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明細書 :水噴霧方式高温排気冷却器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2934848号 (P2934848)
公開番号 特開平11-200891 (P1999-200891A)
登録日 平成11年6月4日(1999.6.4)
発行日 平成11年8月16日(1999.8.16)
公開日 平成11年7月27日(1999.7.27)
発明の名称または考案の名称 水噴霧方式高温排気冷却器
国際特許分類 F02C  7/141     
F01N  3/04      
FI F02C 7/141
F01N 3/04
請求項の数または発明の数 3
全頁数 4
出願番号 特願平10-013179 (P1998-013179)
出願日 平成10年1月8日(1998.1.8)
審査請求日 平成10年1月8日(1998.1.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】林 茂
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男 (外2名)
審査官 【審査官】田澤 英昭
参考文献・文献 実開 昭63-143499(JP,U)
実開 昭49-14858(JP,U)
調査した分野 F02C 7/141
F01N 3/04
B64F 1/26
特許請求の範囲 【請求項1】
ジェットエンジンやガスタービンの加圧燃焼試験設備の水噴霧排気冷却器において、冷却器容器内の底部に溜まった水を噴霧ノズルに給送するための配管及びその供給量を調整できるポンプと、冷却器の容器内の液面を検出するための液面計と、この液面計の信号を受け、冷却器から持ち去られた量の水を冷却器容器内に供給するポンプとを備えたことを特徴とする水噴霧排気冷却器。

【請求項2】
上記の冷却器容器内の底部に溜まった水を噴霧ノズルに給送するポンプに代え、加圧燃焼器試験設備に供給される加圧空気の一部を上記噴霧ノズルに導く配管と、この空気流による負圧によって冷却器容器内の水を吸い上げ噴霧する気流微粒化ノズルを備えたことを特徴とする請求項1記載の水噴霧排気冷却器。

【請求項3】
冷却器容器が縦置きの円筒形耐圧容器で、この冷却器容器内に旋回流の場を形成するように側壁にあけられた接線方向の燃焼ガス流入口と、冷却器容器の上部壁面に冷却器容器と同軸上に取り付けられ、上記燃料ガス流入口より下方まで延在する円筒状の出口を備えたことを特徴とする請求項1記載の水噴霧排気冷却器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、高温加圧ガスを扱う装置が加圧ガスを大気中に排気する際に用いられる冷却器であって、特にジェットエンジンやガスタービンの燃焼器の開発に使われている加圧燃焼器試験設備における水噴霧方式排気冷却器に関する。

【10】
また、従来の装置では、条件によるものの一般には蒸発割合は本発明のものに比べて小さく、噴霧された水の大部分は排水されてしまうため、水資源を浪費していた。それに対し、本発明によれば、容器に供給された水は繰返し循環されて蒸気として使用されるので、著しい節約になる。更に、従来の装置では圧力の高い排気中に直接噴霧する必要があるので、噴霧に必要な圧力よりも冷却器内の圧力(すなわち試験圧力)の分だけ高い吐出圧のポンプが必要である。これに対して、この発明の装置は、冷却器容器内の下部に溜まった未蒸発の水を外部に排出せずに、圧送ポンプで直接噴霧ノズルから噴霧する方式であるため、この水の給配は加圧容器内で完結することとなり、その圧力ポンプは試験圧力に関係なく噴霧するに必要な吐出圧が得られれば良いことになる。したがって、本発明の圧送ポンプは過大の馬力・容量のものを求める必要はなく、設備や消費電力の面でも大幅なコストダウンとなる。なお、蒸発によって排気冷却器から持ち去られる量の水は外部から輸送ポンプを介して冷却器に供給されるようになっているが、このポンプは試験圧力を越える吐出圧を必要とするが、噴霧する従来の方式よりも低くてすみ、また必要な吐出流量も遥かに小さくてよく、全体としては、コストと電力の節約になる。

【11】

【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例の一つである。冷却器容器底部の溜り部21と水噴霧ノズル18とは、圧送ポンプ17と配管22により接続されている。底部溜り部の水面位置23は水面計24で検知され、設定レべル以下になると水が外部から輸送ポンプ25により供給される。冷却器容器19の壁面を濡らすように供給してもよい。また圧送ポンプと配管を冷却器容器内に設置することによって、圧送ポンプ自体の耐圧は噴霧に必要な圧力(通常は数気圧)にまで下げることができる。

【12】
図2は本発明の第2の実施例である。これは圧送ポンプの代わりに、燃焼器試験設備に供給される空気の一部を冷却器容器内に噴出させ、その負圧を利用して水を噴霧ノズルに吸い上げ、噴出空気によって噴霧する点に特徴がある。一般に、この方式の気流微粒化装置は細かい噴霧を作ることができ、蒸発割合を増加させることができ、冷却器容器の小型化を可能にする利点がある。また、噴霧水量の制御は供給する空気流量を適宜変更することで達成できる。なお、供給する空気は冷却器容器内の混合気を循環させる方式を採ることも可能であるが、その際に必要となるポンプは、加圧容器内での給配となるため高馬力のものでなくてよいものの、新たに余分のポンプを必要とするため、本実施例のように流量調整弁で一部大気中に放出している加圧ガスを利用するのが合理的といえる。

【13】
図3は本発明の第3の実施例である。これは試験器からの燃焼ガスが冷却器容器内に接線方向から流入されるように管と略ロート形状の容器を接続し、その排気により冷却器容器内に旋回流を発生させ、サイクロンの原理で噴霧中の未蒸発液滴を効率よく分離させるものである。噴霧中の大きな液滴は冷却器容器19の壁面に衝突して、下方に流れ、蒸気と燃焼ガスとの混合気だけが中心軸上の排気筒28から調圧弁に導かれる。液滴が調圧弁に流入するのを防止しエロージョンを防ぐ効果と、冷却器容器壁面上に液膜が形成されるので、冷却器容器の温度上昇を抑制できるという効果が期待される。そして、この実施例において安定した旋回流を形成するためには、円筒状の排気筒が容器と同軸位置に該容器上部から燃焼ガスの流入口より下方まで延在するようにし、容器の下方部は略ロート状に構成することが好ましい。

【14】

【発明の効果】本発明によれば、噴霧水量は冷却器容器から排水として排出される水量によって制約を受けないので、噴霧水量を従来装置より多く設定できる。そのため空間の液滴密度を高めることができ、冷却効果が大きくなると共に、冷却器容器壁面の冷却にも十分な噴霧水量を確保できるといった利点がある。また、噴霧される水の温度は外部から直接供給する場合より高いので、冷却器容器内での水の蒸発量が増加し、結果的に冷却性能が向上する。この噴霧水量の増大と蒸発率の増大は、冷却器容器の小型化を可能にする。

【15】
また、本発明によれば、容器に供給された水は繰返し循環されて蒸気として使用されるので、著しい節約になる。更に、この発明の装置は、冷却器容器内の下部に溜まった未蒸発の水を外部に排出せずに、圧送ポンプで直接噴霧ノズルから噴霧する方式であるため、この水の給配は加圧容器内で完結することとなり、その圧力ポンプは試験圧力に関係なく噴霧するに必要な吐出圧が得られれば良いことになり、本発明の圧送ポンプは過大の馬力・容量のものを求める必要はなく、設備や消費電力の面でも大幅なコストダウンとなる。

【16】
更に、圧送ポンプの代わりに、燃焼器試験設備に供給される空気の一部を冷却器容器内に噴出させ、その負圧を利用して水を噴霧ノズルに吸い上げ、噴出空気によって噴霧する構成を採用すると、この気流微粒化装置によって細かい噴霧を作ることができ、蒸発割合を増加させることができ、冷却器容器の小型化を可能にすることができる。

【17】
また更に、試験器からの排気が冷却器容器内に接線方向から流入されるように管と容器を接続し、その排気により冷却器容器内に旋回流を発生させる様な構成を採用すれば、サイクロンの原理で噴霧中の未蒸発液滴を効率よく分離させることができ、噴霧中の大きな液滴は冷却器容器19の壁面に衝突して、下方に流れ、混合気だけを効率よく排気させることができる。液滴が調圧弁に流入するのを防止しエロージョンを防ぐ効果と、冷却器容器壁面上に液膜が形成されるので、冷却器容器の温度上昇を抑制できるという効果が期待できる。

【2】

【従来の技術】圧力の高い高温ガスを扱う装置において、高温ガスを大気中に排気する際、高温ガスの流れる配管や弁、消音器などの使用温度の制限のためにガスを冷却する必要が生じる。ジェットエンジンやガスタービンの燃焼器の開発に用いられる加圧燃焼器試験設備もその1例である。図4にその加圧燃焼器試験設備の全体構成を示す。この設備においては、図に示されるように、試験部10の上流側に流量調整弁11、下流側に調圧弁12を備えることによって試験部の圧力と流量が独立して変えられるようになっている。調圧弁の下流には消音器や排気筒が設けられる。燃焼器13からの燃焼ガス14は千数百度にもなるが、調圧弁12の使用温度の上限は数百度であるので、試験部と調圧弁との間に排気冷却器15を置き、燃焼ガスの温度を下げる必要がある。そのような高温ガスの冷却器として、高温排気中に水を直接噴霧し、主として水の蒸発潜熱により排気ガスの温度を下げる方式の冷却器が用いられる。本発明は、この種の水噴霧方式の排気冷却器である。

【3】
図4に示す排気冷却器15は、現在使用されている水噴霧排気冷却器の典型であるが、貯水槽16の水は圧送ポンプ17により噴霧ノズル18に供給され、霧状に噴霧されて燃焼器13からの高温の排気ガス14と混合する。壁面を積極的に冷却するために一部の水を容器19の壁面に向けて噴霧しすることもある。冷却器の適正な状態では、調圧弁12からは噴霧が蒸発してできた水蒸気と排気ガスとの混合気だけが排出され、未蒸発の水はすべて底部の排水口20から外部へ吐出される。この排水は、大型の設備では貯水槽16に戻され、噴霧水として再使用される。

【4】
上記の方式の基本的な問題は、噴霧水量が蒸気の状態で容器から排出される水量と、容器の排水口からの水として吐出される水量の和に等しくなれば、その冷却系は定常状態となり安定となるが、なかなかそうはならないという点にある。例えば、噴霧水量が少なすぎると容器下部の排水口から水に混じって排気ガスが流出する事態が生じ、ガスが漏れる時には容器の圧力が低下し、排水通路が水で満たされると冷却器容器内部の圧力は上昇し、その水が排出されると又急激に圧力が下がる、という繰り返しで脈動するようになる。

【5】
また、逆に噴霧水量が多くなりすぎた場合を想定する。排水口からは水だけが、調圧弁からは水蒸気と排気ガスの混合気だけが排出されている正常な動作状態において、何らかの理由でガス温度が上昇し、冷却のため噴霧水量を増やす必要が生じたとする。増加した噴霧水がすべて蒸気に変わることはあり得ないので、液面は上昇し続けるので、やがて水が調圧弁に流れ込むようになる。調圧弁の部分的な閉塞では、上昇する試験部の圧力を設定値に戻すように調圧弁の開度が制御される結果、通常、大きな圧力振動には発展しないが、流量が変化し、さらには流量調整弁の制御との干渉によって圧力と流量を一定に保てなくなる。噴霧水量がさらに増えて、調圧弁の通路が水によって間歇的に閉塞されるようになると大きな圧力変動が生じる。

【6】
この様な問題を解決する手段として、排水口に可変開度の弁を設け、この弁の開度を制御することによって容器内の水位をある範囲内に制御することが考えられる。しかしこの方法は、試験設備が加圧ガスの温度、圧力、流量が基本的に変化しない状態で運転されるものであれば問題はなく容易に制御できるが、大幅に変わるような設備では期待する制御は困難である。すなわち排水口からの排水量は弁の開度のみならず容器内の圧力にも大きく依存するからである。そしてその容器内圧力は蒸気の発生量に影響されるが、それは加圧ガスの温度、流量、水噴霧量、噴霧の微粒化の程度など様々な変量が関係している。従って、その制御は複雑で、制御が暴走する方向に働く危険性もある。また、冷却器容器内の圧力変動は試験部にも及ぶ。圧力変動が大きくなると燃焼器への燃料流量もそれにつれて変動し、冷却器容器内の圧力変動を大きくする。場合によっては、燃料流量が瞬間的に限界以下になって火か消えることもあり、そうなると、いったん燃料を完全に止め、試験を中断しなければならない。可燃性の混合気が試験部、冷却冷却器容器、排気筒を満たすことになるので、何らかの原因でこの大量の混合気に火が着くと爆轟にいたり、大災害になる可能性すらある。

【7】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、加圧燃焼器の試験設備が加圧ガスの温度、圧力、流量の変化する状態で運転されるものであっても、その冷却器容器内の水位をある範囲内に制御することを可能とし、安定した動作が実現できる冷却系を提供することを目的とするものである。

【8】

【課題を解決するための手段】この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、噴霧ノズルより噴霧された後蒸発しなかった水は外部に排出せずに蒸発器の冷却器容器の底部に溜め、それを繰り返して噴霧に使用するようにし、蒸気として容器外に持ち去られた量の水だけを外部から冷却器容器内に供給するようにしたものである。

【9】

【作用】このようにすれば、噴霧水量は冷却器容器から持ち去られる量(本発明では蒸発量のみ、従来装置では蒸発量と排水量の和)によって制約を受けないので、噴霧水量を従来装置より多く設定できる。そのため空間の液滴密度を高めることができ、冷却効果が大きくなると共に、冷却器容器壁面の冷却にも十分な噴霧水量を確保できるといった利点がある。また、噴霧される水の温度は外部から直接供給する場合より高いので、冷却器容器内での水の蒸発量が増加し、結果的に冷却性能が向上する。このことは、沸点上昇のためにより大きな冷却熱量が要求される加圧条件下では特に有効である。したがって、本発明により可能となる噴霧水量の増大と蒸発率の増大は、冷却器容器の小型化を可能にする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3