TOP > 国内特許検索 > 接合媒体 > 明細書

明細書 :接合媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3094094号 (P3094094)
公開番号 特開平11-220182 (P1999-220182A)
登録日 平成12年8月4日(2000.8.4)
発行日 平成12年10月3日(2000.10.3)
公開日 平成11年8月10日(1999.8.10)
発明の名称または考案の名称 接合媒体
国際特許分類 B23K 35/28      
H01L 23/373     
H01L 35/08      
FI B23K 35/28 310Z
H01L 35/08
H01L 23/36
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平10-035525 (P1998-035525)
出願日 平成10年2月2日(1998.2.2)
審査請求日 平成10年4月9日(1998.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】丹治 雍典
【氏名】森谷 信一
【氏名】新野 正之
【氏名】熊谷 達夫
【氏名】木皿 且人
個別代理人の代理人 【識別番号】100080883、【弁理士】、【氏名又は名称】松隈 秀盛
審査官 【審査官】小川 進
参考文献・文献 特開 平3-71992(JP,A)
特開 平5-70252(JP,A)
特開 平8-150493(JP,A)
特開 昭57-22869(JP,A)
調査した分野 B23K 35/28 310
H01L 23/373
H01L 35/08
特許請求の範囲 【請求項1】
室温(20℃)から600℃の温度領域において、液相金属と固相金属とが常に2相共存相を呈し、温度変化に応じて固溶量が変化する組成によって構成されたことを特徴とする接合媒体。

【請求項2】
前記接合媒体が、Ga1-X Inx と、下記Mの少なくとも1 種以上を含み、
前記xは原子比で、0.1≦x≦0.2に選定され、
前記Mは、Au,Al,Bi,Cu,Znであることを特徴とする請求項1に記載の接合媒体。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば金属と金属との接合、金属と半導体との接合に用いられる接合媒体に関わり、特に電気伝導性および熱伝導性が共に優れ、更にその被接合体同士が、その接合面で、微小移動が可能とされて、温度差もしくは熱膨張率差の存在による接合部の剥がれ、あるいは被接合体の破損等を回避することができるようにした新規な接合媒体に関わる。

【10】
上述の本発明による接合媒体においては、室温~600℃という高温にわたる広範囲の温度領域において、液相金属と固相金属とが常に2相共存相を呈する組成としたことにより、この接合媒体によって接合した被接合体相互が、その接合面において、移動可能となり、このために、被接合体同士の熱膨張率が相違した場合等において、いわゆるリジッドに接合された場合における、被接合体相互の温度差、熱膨張率の差に伴って発生する剪断応力の発生、反り、変形等が回避される。

【11】
また、この場合、液相と固相とが共存した構成とされていることによって、被接合体の接合面に多少粗面や、凹凸が存在する場合においても、これらを接合媒体によって埋め込んだ状態とすることができることから、接合を確実に、しかも電気的および熱的に密に接合することができ、上述の組成による接合媒体自体が例えば10-8Ω・m程度の低い抵抗率を有し、かつ例えば10~100W・m-1・K-1程度の熱伝導率を有することによって、被接合体同士を、電気的および熱的に良好に結合することができる。

【12】

【発明の実施の形態】本発明による接合媒体は、互いに接合すべき被接合体が、熱膨張率を異にする場合、例えば異種の金属同士もしくは金属と半導体である場合、両被接合体に、異なる温度を与えられる場合等における接合に用いられるものであり、本発明による接合媒体は、室温(20℃)~600℃の温度領域において、液相金属と固相金属とが常に2相共存相を呈する組成の構成とする。例えばGa1-X InX とMA およびMB の少なくとも一方を含む組成を有する。ここで、xは原子比で、0.1≦x≦0.2に選定される。また、MA は、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上であって、接合媒体の全量に対して0~55重量%添加されるものであり、MB は、Znで、接合媒体の全量に対して0~100未満重量%添加される。

【13】
この本発明による接合媒体は、高い融点をもち、常に液相金属と固相金属とが共存する組成であり、室温における凝固体の表面はシャーベット状であるが一定の形状を保つことができるものである。そして、その硬さは、融点によって異なることから、融点の選定によって選定することができる。

【14】
図4はGa-In状態図で、これから、共晶点を示すGa-Inの組成は、Ga0.835 In0.165 である。一方、図5はGa-Zn状態図で、これより、共晶点を示すGa-Znの組成は、Ga0.95Zn0.05である。次に、Ga-In-Znの3元の状態図を推定するに当たり、この3元の共晶点を、図5の共晶点組成におけるGa組成に換えて図4のGa-Inの2元の共晶点組成として仮定すると、(Ga0.835 In0.165 0.95Zn0.05となる。そして、いま、例えば200℃における状態図を推定すると、図5における200℃におけるGa-Znの組成は、Ga0.62Zn0.38であることから、(Ga0.835 In0.165 0.62Zn0.38となる。すなわち、Ga0.5146In0.1023Zn0.38となる。この組成は、GaInに関しては、図4により液相を示すことがわかり、Znに関しては、この組成Zn38原子%では、図5によりその融点が200℃から充分高くなることから固相を示すことがわかる。すなわち、GaInZnの3元合金は、例えば200℃では、GaInは液相、Znが固相を示す2相共存相を示すことがわかる。

【15】
そして、具体的には、Ga1-X InX と、MA およびMB の少なくとも一方とを含む組成を有し、0.1≦x≦0.2に選定され、MA が、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上で、これが接合媒体の全量に対して0~55重量%添加され、MB が、Znで、接合媒体の全量に対して0~100重量%未満添加された接合媒体において、室温(20℃)~600℃の温度領域において、液体金属と固体金属とが常に2相共存相を呈することが認められた。

【16】
次に、本発明による接合媒体の実施例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、種々の構成を、被接合体および使用温度、すなわち使用環境等に応じて変更することができる。

【17】
実施例1
(Ga0.84In0 .16 0.62Zn0.38の組成を秤量し、底の平らな坩堝の中で加熱溶解し凝固させると、室温近傍において、液相GaおよびInが、それぞれほぼが52原子%および10原子%で、固相金属Znが約38原子%の比による、液相および固相の2相が存在する扁平なシャーベット状インゴットによる接合媒体を得ることがができる。この場合の融点は約210℃であった。

【18】
図1は、この実施例1によって作製した接合媒体を用いて2枚の例えば鉄金属板による被接合体1および2を接合する場合の概略断面図で、図1を参照して説明する。この場合、実施例1で作製した接合媒体の表面に、一方の被接合体1の一方の主面を数回擦り付ける。このようにすると、図2にその分解断面図を示すように、この被接合体1の一方の主面1aに、この実施例1による接合媒体層3がメッキ状態に付着される。このようにして、接合媒体層3が被着形成された金属板による被接合体1の主面1a上に、他方の金属板による被接合体2を重ね合わせて圧着し、両被接合体1および2を、例えば中央部において固定ねじ4をもって固定する。

【19】
このようにして固定された両被接合体は、その一方の例えば被接合体1が高温が印加される高温側とされ、他方の例えば被接合体2が低温側とされる。

【2】

【従来の技術】一般に、金属合板の接合材として使用される半田の接合機能は、その被接合体の金属板と金属板との間に塗布された半田接合材、すなわち接合媒体を、その共晶点まで加熱溶解しそして凝固させることによって金属板と金属板とを接合し、両金属板の例えば電気的結合がなされるようにするものである。しかし、この接合は、凝固状態いわゆるリジッドな接合状態とされるために、その接合が、電気的および熱的に関して優れた伝導性をもってなされたとしても、接合面における被接合体相互の移動に関する自由度がない。

【20】
このようにして接合された両被接合体1および2は、高温側の被接合体1が低温側の被接合体2に比し、大きく熱膨張するが、本発明による場合、その接合媒体が液相および固相の両相が同時に存在している2相共存相であることから、その接合面において互いの面方向に移動可能の状態とされていることによって、被接合体1の膨張は、低温側被接合体1との板面方向に沿って矢印αおよびβをもって示すように、外周方向に延びることができ、これによって低温側被接合体2との間に剪断応力を発生させたり、低温側被接合体2を、高温側被接合体1によって強制的に引っ張る作用を回避でき、これによって図2で説明したような、反りを発生させるとか、接合面に剥離を生じるなどの不都合を回避できる。

【21】
そして、上述した接合媒体によれば、20℃~600℃という高温、広温度範囲に渡って2相共存相を保持できる接合媒体であることから、この接合媒体を、例えば中温型の熱電モジュールにおける、熱電半導体、例えばPbTe系、GeTe系、PbSnTe系、ZnSb系、AgGeSbTe系等による熱電変換素子と金属セグメントとの接合に用いて、信頼性の高い接合を行うことができる。

【22】
尚、上述した例では、被接合体が、同一構成材料による金属板とした場合であるが、その形状は板状同士である場合に限らず種々の形状を有する場合、被接合体が異種の材料ないしは組成による金属同士、あるいは金属と半導体である場合等種々の組み合わせによる接合に適用することができる。

【23】

【発明の効果】上述したように、本発明による接合媒体は、20℃~600℃の範囲において、液相と、固相の2相共存相を保持できることから、この温度範囲で使用して、接合面における移動が可能であり、したがって、被接合体間に与えられる温度差あるいは/および被接合体の熱膨張率の相違等による、剪断応力の発生、変形等による接合部の剥離、あるいは被接合体における破損等を回避することができ、例えば熱電変換モジュールに適用して、その接合部における電気的、熱的結合を良好にでき、信頼性の向上をはかることができる。

【3】
したがって、例えば図2にその概略断面図を示すように、例えばそれぞれ平板状の同一金属板による第1および第2の被接合体11および12を接合材すなわち接合媒体層13によって接合した場合において、例えば一方の金属板による被接合体11側に高温が印加される場合、この高温側被接合体11が他方の金属板による被接合体12に比し大きく膨張することによって、他方の被接合体12に対して、その被接合体接合面に引っ張り力を与えて、結果的に反りを発生させるとか、この接合面に発生する剪断応力によって剥離を発生させるとか接合に不安定性を来す。

【4】
他方、接合面におけるの移動に関して自由度をもつ接合媒体として、潤滑材グリースおよびオイルコンパウンド等がある。これら接合媒体の素材には、一般に油脂、樹脂および、ゴム等が使用されている。これらの接合媒体は、接合面の移動に関する自由度はもつが、電気伝導性および熱伝導性に劣る。

【5】

【発明が解決しようとする課題】何れにしても、接合面の移動に自由度をもち、しかも、それと同時に広い温度範囲にわたって、優れた電気的および熱的伝導性をもつ接合媒体は、未だ開発されていない。因みに、室温近傍における熱電素子の熱伝導率の測定に際して熱電素子と金属電極の接合に用いる接合媒体として、16.5℃に共晶点をもつ液相金属In0.165 Ga0.835 が知られているが、この接合媒体は、50℃以上の温度で使用する場合、表面張力が低下し、例えば100℃~500℃で使用する熱電変換素子もしくは熱電変換モジュールにおいて、金属-熱電半導体間の接合に用いる場合においては、接合機能が低下したり、不安定となる。

【6】
また、例えばいわゆる中温用の熱電変換モジュールにおいては、その高温側においては、100℃~500℃程度の高温に加熱されること、したがって、その高温側と低温側の温度差が大きいこと、その熱電変換素子と、これに電気的、熱的に結合される金属セグメントとの熱膨張率の差が大きいことから、その結合を、前述したように、リジッドに接合する場合、その温度差もしくは熱膨張率の相違による熱歪みに基く熱剪断応力によって、接合部に剥離を発生させて電気的、熱的結合の低下を来し、熱電変換素子を破損させるなどの問題生じる。

【7】
本発明においては、このような熱剪断応力の発生を回避することができるように、室温(20℃)~600℃程度に渡って、金属と金属の接合、もしくは金属と半導体の接合を、その接合面において移動可能に、したがって、剪断応力を吸収することが可能にされ、しかも電気的および熱的結合を密に接合することができるようにした接合媒体を提供する。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明による接合媒体は、室温(20℃)~600℃の温度領域において、液相金属と固相金属とが常に2相共存相を呈する組成に構成する。尚、本発明でいう金属とは、金属単体、合金、金属化合物を総称するものである。

【9】
また、その接合媒体は、例えばGa1-X InX とMA およびMB の少なくとも一方を含む組成を有する。ここで、xは原子比で、0.1≦x≦0.2に選定される。また、MA は、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上であって、接合媒体の全量に対して0~55重量%添加されるものであり、MB は、Znで、接合媒体の全量に対して0~100重量%未満添加される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4