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明細書 :熱電変換装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2873961号 (P2873961)
登録日 平成11年1月14日(1999.1.14)
発行日 平成11年3月24日(1999.3.24)
発明の名称または考案の名称 熱電変換装置
国際特許分類 H01L 35/32      
H01L 35/06      
FI H01L 35/32 A
H01L 35/06
請求項の数または発明の数 10
全頁数 10
出願番号 特願平10-075116 (P1998-075116)
出願日 平成10年2月2日(1998.2.2)
審査請求日 平成10年4月9日(1998.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】丹治 雍典
【氏名】森谷 信一
【氏名】新野 正之
【氏名】熊谷 達夫
【氏名】木皿 且人
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】松隈 秀盛
審査官 【審査官】粟野 正明
参考文献・文献 特開 平8-306965(JP,A)
特開 平8-306968(JP,A)
特開 平8-255935(JP,A)
調査した分野 H01L 35/32
H01L 35/06
要約 【課題】 構造の簡潔化、部品点数の減少をはかり、かつ熱電変換効率を高める。
【解決手段】 相対向する金属セグメント41~43間に、熱電変換材料よりなる熱電変換素子31が挟み込まれ、これら金属セグメントと熱電変換素子31とが、固定ねじ34によって結合された構成とされる。そして、相対向する一方の金属セグメントには、固定ねじの貫通孔が形成され、熱電変換素子には、その中央部に、固定ねじ34の貫通孔35が形成され、更に、他方の金属セグメントには、固定ねじ34の先端と螺合するねじ孔37が形成される。そして、その固定ねじ34を、一方の金属セグメントの貫通孔と、熱電変換素子の貫通孔に挿入し、その先端部をセグメントのねじ孔37に螺合させて、上記相対向する金属セグメントとの間において熱電変換素子31を配置結合する構成とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
相対向する金属セグメント間に、熱電変換材料よりなる熱電変換素子が挟み込まれ、これら金属セグメントと熱電変換素子とが、固定ねじによって結合されて成り、
一方の金属セグメントに、上記固定ねじの貫通孔が形成され、
上記熱電変換素子の中央部に、上記固定ねじの貫通孔が形成され、
他方の金属セグメントは、上記固定ねじの先端と螺合するねじ孔が形成され、
上記固定ねじを、上記一方の金属セグメントの貫通孔と、上記熱電変換素子の貫通孔を通じて、上記固定ねじの先端部を上記他方のセグメントのねじ孔に螺合させて、上記両金属セグメントと上記熱電変換素子とを結合して成ることを特徴とする熱電変換装置。

【請求項2】
相対向する金属セグメント間に、熱電変換材料よりなる熱電変換素子体が挟み込まれ、低温側にのみ熱伝達板となるモジュール基板が配置されて成り、
該モジュール基板と、上記熱電変換素子と、上記金属セグメントが固定ねじによって結合され、
上記モジュール基板と、上記熱電変換素子の低温側の金属セグメントとに、上記固定ねじの貫通孔が形成され、
上記熱電変換素子の中央部に、上記固定ねじの貫通孔が形成され、
上記熱電変換素子の高温側の金属セグメントに、上記固定ねじの先端と螺合するねじ孔が形成され、
上記固定ねじを、上記モジュール基板の貫通孔と、上記金属セグメントの貫通孔と、上記熱電変換素子の貫通孔を通じて、その先端部を上記他方のセグメントのねじ孔に螺合させて、上記モジュール基板と、上記両金属セグメントと上記熱電変換素子とを結合して成ることを特徴とする熱電変換装置。

【請求項3】
第1および第2の金属セグメントと、これら第1および第2のセグメントに差し渡って対向する第3の金属セグメントとを有し、これら互いに対向する上記第1および第3の金属セグメント間と、上記第2および第3の金属セグメント間とに、それぞれ互いに導電型を異にする半導体熱電変換材料よりなる対の第1および第2の熱電変換素子が挟み込まれ、これら第1の熱電変換素子と、これを挟み込む上記第1および第3の金属セグメントとが第1の固定ねじによって結合され、第2の熱電変換素子と、これを挟み込む上記第2および第3の金属セグメントとが第2の固定ねじによって結合され、
上記第1および第2の金属セグメントと、第3の金属セグメントとの、いずれか一方に、上記第1および第2の固定ねじの貫通孔が形成され、他方に上記第1および第2の固定ねじの先端と螺合するねじ孔が形成され、
上記第1および第2の熱電変換素子の各中央部に、上記固定ねじの貫通孔が形成され、
上記第1および第2の固定ねじを、対応する上記貫通孔に挿通し、各先端部を対応する上記ねじ孔に螺合させて、上記対向する第1および第3の金属セグメントとこれら間の上記第1の熱電変換素子とを結合すると共に、上記対向する第2および第3の金属セグメントとこれら間の上記第2の熱電変換素子とを結合して成ることを特徴とする熱電変換装置。

【請求項4】
第1および第2の金属セグメントと、これら第1および第2のセグメントに差し渡って対向する第3の金属セグメントとを有し、これら互いに対向する上記第1および第3の金属セグメント間と、上記第2および第3の金属セグメント間とに、それぞれ互いに導電型を異にする半導体熱電変換材料よりなる対の第1および第2の熱電変換素子が挟み込まれて構成される熱電変換装置の、低温側にのみ熱伝達板となるモジュール基板が配置されて成り、
該モジュール基板と、上記第1の熱電変換素子と、これを挟み込む上記第1および第3の金属セグメントとが第1の固定ねじによって結合されるとともに、上記モジュール基板と、上記第2の熱電変換素子と、これを挟み込む上記第2および第3の金属セグメントとが第2の固定ねじによって結合され、
上記モジュール基板および該モジュール基板側に配置された金属セグメントと、これとは反対側に配置された金属セグメントとのいずれか一方に上記第1および第2の固定ねじの貫通孔が形成され、他方に上記第1および第2の固定ねじと螺合するねじ溝が形成され、
上記第1および第2の熱電変換素子の各中央部に、それぞれ上記第1および第2の固定ねじの貫通孔が形成され、
上記第1および第2の固定ねじを、対応する貫通孔に挿通し、各先端部を対応する上記ねじ孔に螺合させて、上記第1の固定ねじによって上記対向する第1および第3の金属セグメントとこれら間の上記第1の熱電変換素子とを結合すると共に、上記第2の固定ねじによって上記対向する第2および第3の金属セグメントとこれら間の上記第2の熱電変換素子とを結合して成ることを特徴とする熱電変換装置。

【請求項5】
請求項2または4に記載の熱電変換装置において、
高温側に耐熱性薄膜が被着されたことを特徴とする熱電変換装置。

【請求項6】
低温側と高温側との間に発生する間隙部に耐熱性断熱材を充填したことを特徴とする請求項2、3、4または5に記載の熱電変換装置。

【請求項7】
上記耐熱性断熱材が水ガラスであることを特徴とする請求項6に記載の熱電変換装置。

【請求項8】
上記熱電変換素子と上記金属セグメントとの間に、金属ペーストを介在させたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の熱電変換装置。

【請求項9】
上記金属ペーストが、室温から熱電変換装置の使用温度までの範囲において、液相金属と固相金属とが常に2相共存相を有する金属によって構成されてなることを特徴とする請求項8に記載の熱電変換装置。

【請求項10】
上記金属ペーストが、GaX In1-X と、MA およびMB の少なくとも一方とを含む組成を有し、
前記xは原子比で、0.1≦x≦0.2に選定され、
前記MA は、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上で、前記金属ペーストの全量に対して0~55重量%添加され、
前記MB は、SnおよびZnのうちの少なくとも1種以上で、前記金属ペーストの全量に対して0~100重量%添加されて成ることを特徴とする請求項8に記載の熱電変換装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換装置に関わる。

【10】
また、本発明による熱電変換装置は、対の熱電変換素子によっていわゆるπ型熱電変換モジュール構成とすることができる。この場合、第1および第2の金属セグメントと、これら第1および第2の金属セグメントに差し渡って対向する第3の金属セグメントとを有し、これら互いに対向する第1および第3の金属セグメント間と、第2および第3の金属セグメント間とに、それぞれ互いに導電型を異にする半導体熱電変換材料よりなる対の第1および第2の熱電変換素子が挟み込まれ、これら第1の熱電変換素子と、これを挟み込む第1および第3の金属セグメントとが第1の固定ねじによって結合され、第2の熱電変換素子と、これを挟み込む第2および第3の金属セグメントとが第2の固定ねじによって結合された構成とする。そして、この構成において、その第1および第2の金属セグメント、あるいは第3の金属セグメントに、それぞれ第1および第2の固定ねじの貫通孔を形成し、他方の第3の金属セグメント、あるいは第1および第2の金属セグメントに、第1および第2の固定ねじの先端と螺合するねじ孔を形成する。また、第1および第2の熱電変換素子の各中央部に、第1および第2の固定ねじの貫通孔を形成する。そして、第1および第2の固定ねじを、それぞれ対応する金属セグメントの貫通孔と、熱電変換素子の貫通孔に挿通し、先端部を金属セグメントの対応するねじ孔に螺合させることによって、対向する第1および第3の金属セグメントとこれら間の第1の熱電変換素子とを結合すると共に、対向する第2および第3の金属セグメントとこれら間の第2の熱電変換素子とを結合する。

【11】
更に、本発明による熱電変換装置は、第1および第2の金属セグメントと、これら第1および第2のセグメントに差し渡って対向する第3の金属セグメントとを有し、これら互いに対向する第1および第3の金属セグメント間と、第2および第3の金属セグメント間とに、それぞれ互いに導電型を異にする半導体熱電変換材料よりなる対の第1および第2の熱電変換素子が挟み込まれて構成される熱電変換装置の、低温側にのみ熱伝達板となるモジュール基板が配置された構成とする。そして、この場合、モジュール基板と、第1の熱電変換素子と、これを挟み込む第1および第3の金属セグメントとが第1の固定ねじによって結合されるとともに、モジュール基板と、第2の熱電変換素子と、これを挟み込む第2および第3の金属セグメントとが第2の固定ねじによって結合された構成とする。モジュール基板と、このモジュール基板側に配置された金属セグメントと、これとは反対側に配置された金属セグメントとの、いずれか一方に、第1および第2の固定ねじの貫通孔を、他方に第1および第2の固定ねじの先端部と螺合するねじ溝を形成する。また、第1および第2の熱電変換素子の各中央部には、それぞれ第1および第2の固定ねじの貫通孔を形成する。そして、第1および第2の固定ねじを、金属セグメントの貫通孔と、熱電変換素子の貫通孔を通じて、各先端部を金属セグメントのねじ孔に螺合させて、第1の固定ねじによって対向する第1および第3の金属セグメントとこれら間の第1の熱電変換素子とを結合すると共に、第2の固定ねじによって対向する第2および第3の金属セグメントとこれら間の第2の熱電変換素子とを結合する。

【12】
また、本発明による熱電変換装置は、上述したモジュール基板上に熱電変換素子等が配置された熱電変換装置において、そのモジュール基板の配置側とは反対側、すなわち高温側に耐熱性薄膜を被着した構成とする。

【13】
更にまた、本発明は、上述した各熱電変換装置において、低温側と高温側との間に発生する間隙部に耐熱性断熱材を充填する構成とすることができる。

【14】
また、本発明は、上述した各熱電変換装置において、熱電変換素子と金属セグメントとの間に、金属ペーストを介在させた構成とすることができる。

【15】
その金属ペーストは、室温から熱電変換装置の使用温度までの範囲において、液相金属と固相金属とが常に2層共存相を有する金属によって構成する。この金属ペーストとしては、GaX In1-X と、MA およびMB の少なくとも一方とを含む組成を有する。ここで、xは原子比で、0.1≦x≦0.2に選定され、MA は、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上で、金属ペーストの全量に対して0~55重量%添加され、MB は、SnおよびZnのうちの少なくとも1種以上で、金属ペーストの全量に対して0~100重量%添加された構成とする。

【16】
上述した本発明による各熱電変換素子および熱電変換装置においては、相対向する金属セグメントと、これら金属セグメント間に配置する熱電変換素子とを固定ねじによって結合する構成を採るものであるが、本発明構成においては、この固定ねじの結合を、従来におけるように、ナットによる締めつけによらず、金属セグメントあるいはモジュール基板に形成したねじ孔を設け、これに固定ねじを螺合して合体するようにしたことから、部品点数の減少をはかることができる。

【17】
また、ナットの配置を回避したことによってこのナットの存在による表面の凹凸が回避され、金属セグメントの外面自体で平坦化をはかることができることから、図10~図12で示したようなナットが挿入される透孔を有する高温側の熱伝達板の配置を回避できる。このため、低温側にのみ各部を一体化するためのモジュール基板を配置するのみであるので、より構造が簡潔化され、また、熱エネルギーを有効に熱電変換素子に伝達することができる。

【18】
また、熱電変換装置において、その高温側と低温側との間に発生する間隙部に耐熱性断熱材を充填した構成とするものにおいては、この間隙における対流を低下すことができることから、熱エネルギーが、直接的に、低温側に抜けることが回避できることから熱電変換効率を高めることができる。

【19】
また、本発明装置においては、金属セグメントと熱電変換素子との結合を、固定ねじによって結合合体するものであるが、この場合において、熱電変換素子に形成する固定ねじの貫通孔を、固定ねじの直径より幾分大きいいわゆるバカ孔として置くことにより、金属セグメントと熱電変換素子との熱膨張率の差や、温度の相違による熱膨張量の相違が生じた場合においても、両者の結合面にずれ、すなわち移動が生じるようにすることができるので、この結合面が固着された場合において生じる剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【2】

【従来の技術】近年、傾斜機能技術、スクリーン印刷等の周辺技術発展に伴い、熱電変換装置の発展が著しい。図7および図8は、それぞれ従来のいわゆるπ型の熱電変換装置の概略拡大断面図およびその分解断面図を示すもので、この熱電変換装置は、p型およびn型の対の半導体熱電変換素子1が、平面的に配置された第1および第2の金属セグメント11および12と、これらに差し渡って共通に対向して配置された第3の金属セグメント13との間に挟み込まれて一体に結合されてπ字型に構成されてなる。

【20】
さらに、熱電変換素子と金属セグメントとの間に、金属ペーストを介在させるときは、これら熱電変換素子と金属セグメントとの間の熱的、電気的結合を高めることができ、これによってこれら間の結合(接合)面における熱的抵抗および電気的コンタクト抵抗の低減化をはかることができる。そして、この金属ペーストは、固相-液相の2相共存の金属によることから、上述した金属セグメントと熱電変換素子との間の移動を阻害することがなく、熱膨張量の相違に基く剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【21】

【発明の実施の形態】本発明装置の例を図1~図6を参照して説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。図1は、本発明装置の一例の拡大断面図を示し、図2は、その分解断面図を示す。この例においては、対の熱電変換素子31によってπ型構成による熱電変換装置を構成した場合である。本発明装置の基本構成は、熱電変換材料よりなる熱電変換素子31が、相対向する対の金属セグメント、例えば図1において、金属セグメント41および43間に挟み込まれて、固定ねじ34によって結合された構成とされ、一方の金属セグメント側を高温側として外部から熱エネルギーが与えられる構成とされる。

【22】
そして、図1および図2で示すπ型の熱電変換装置30においては、対の熱電変換素子31(第1および第2の熱電変換素子311および312)によって構成されるが、この場合、一方の熱電変換素子、例えば第1の熱電変換素子311がp型の半導体熱電変換材料による熱電変換素子、他方の熱電変換素子312がn型の半導体熱電変換材料による熱電変換素子によって構成される。これら熱電変換素子31は、それぞれ断面が、円形、正方形等をなす柱状に形成することができる。また、これら、熱電変換素子31を構成する熱電変換材料は、例えば低温域熱電変換材料としては、BiTe系、BiSbTe系等、中温域熱電変換材料としては、PbTe系、GeTe系等、高温域熱電変換材料としては、SiGe系等を用いることができる。各熱電変換素子31の両端には、例えばNiメッキによる金属電極32および33が被着形成される。

【23】
そして、このπ型熱電変換装置においては、第3の金属セグメント43を共通にして、これに対して第1および第2の金属セグメント41および42が対向するようになされ、これら互いに対向する金属セグメント41および43間と、金属セグメント42および43間とに、それぞれ第1および第2の熱電変換素子311および312が挟み込まれるようになされる。これら金属セグメント41~43は、Feによる金属板によって構成することができる。

【24】
そして、これら互いに対向する第1および第3の金属セグメント41および43と、第2および第3の金属セグメント間42および43と、これら間にそれぞれ配置された第1および第2の熱電変換素子311および312を、それぞれドライバ溝を有する大径頭部を有する固定ねじ34(第1および第2の固定ねじ341および342)によって固定する。これら固定ねじ34は、耐熱性にすぐれた絶縁性樹脂、セラミック等によって構成することもできるし、表面に耐熱性絶縁材を被覆させて構成することできる。

【25】
各熱電変換素子31には、それぞれその中心軸上に、固定ねじ34を緩く貫通することのできるいわゆるバカ孔構成による貫通孔35が形成される。この貫通孔35の形成は、素子31の成形の後に穿孔することもできるし、熱電変換素子31の成形時に同時に穿設することもできる。

【26】
そして、第1および第2の金属セグメント41および42と、第3の金属セグメント43とのいずれか、図示の例では第1および第2の金属セグメント41および42に、それぞれ両熱電変換素子31(第1および第2の熱電変換素子311および312)の各貫通孔35と同心軸上に、各固定ねじ34(第1および第2の固定ねじ341および342)を貫通する貫通孔35が形成され、他方すなわち図示の例では第3の金属セグメント43に、各固定ねじ34(第1および第2の固定ねじ341および342)の先端と螺合するねじ孔37が形成される。

【27】
そして、第1および第2の固定ねじ341および342を、対応する上記貫通孔36および35にそれぞれ挿通し、各先端部を対応するねじ孔37に螺合させて、金属セグメント41と第1の熱電変換素子311と第3の金属セグメント43とを結合し、金属セグメント42と第1の熱電変換素子312と第3の金属セグメント43とを結合する。

【28】
図示の例では、固定ねじ34の大径頭部が、外端に向かって漸次その径が大となるテーパーを有する形状とし、貫通孔36においても、このテーパーに対応する内形状を有する断面とすることによって、これらテーパー部における衝合と、その先端のねじ孔37との螺合によって、上述した各金属セグメントと熱電変換素子との結合を行うことができるようになされる。

【29】
このようにして、本発明構成においては、ナットを使用することなく、熱電変換装置、図1および図2の例では、対のp型およびn型半導体熱電変換素子31によるπ型の熱電変換装置30が構成される。そして、このπ型熱電変換装置30の一方の面側、例えば第1および第2の金属セグメント41および42、あるいは第3の金属セグメント43側に外部から熱エネルギーを与える。

【3】
これら対の熱電変換素子1は、それぞれp型およびn型の半導体熱電変換材料よりなり、両端面に低温側電極3と高温側電極4とが被着形成され、中央に固定ねじ5の貫通孔6が穿設されて成る。また、各金属セグメント11、12および13には、対の熱電変換素子1を並置して挟み込んだ状態で、各貫通孔6と一致する位置にそれぞれ固定ねじの貫通孔7が穿設される。そして、対の固定ねじ5を、第1および第2の金属セグメント11および12の各貫通孔7、対の熱電変換素子1の各貫通孔6、第3の金属セグメント13の対応する各貫通孔7に挿通し、それぞれその先端に、ナット8を螺合させる。ここで各固定ねじ5は、ナット8の螺合先端側とは反対側にドライバー溝を有する大径の頭部が形成されて、これら頭部とナット8との間で各熱電変換素子と金属セグメントとが保持されてこれらが結合一体化されて、π型熱電変換装置9が構成される。

【30】
また、本発明装置においては、π型の熱電変換装置30を複数個配列した構成とすることによって大出力の熱電変換装置、すなわち熱電変換モジュールを構成することができる。この場合の一例を、図3にその平面図を示し、図4に図3のA-A線上の断面図を示し、また図5にその要部の断面図を示し、図6に要部の分解断面図を示す。これら図3~図6において、図1および図2に対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。

【31】
この場合においては、図1および図2に示したπ型の熱電変換装置30の、各第1および第2の金属セグメント41および42を、それぞれ隣り合うπ型の熱電変換装置30の一方の熱電変換素子31における各第1および第2の金属セグメント41および42と共通に用いられる構成とすることによって、隣り合う各π型の熱電変換装置30が相互に連結されて平面的に配列されるようにする。このようにして、金属セグメント41、42および43によって電気的には、多数の熱電変換素子31が、順次n型-p型ーn型ーp型・・・をもって直列に接続するようにし、熱的には並列に配置されるようにする。

【32】
そして、このように多数の熱電変換素子が配列された低温側のみに関して、この低温側の金属セグメントの外面に、絶縁シート38を介して、熱伝導性にすぐれた低温側熱伝達板となり、かつ複数の熱電変換素子、この例ではπ型熱電変換装置30を、機械的に一体化するモジュール基板39に結合する。この場合においては、モジュール基板39に、各固定ねじ34を貫通する貫通孔50が形成される。そして、この場合においては、このモジュール基板39側に位置する金属セグメントに形成される貫通孔36は、テーパーのない筒状貫通孔とし、モジュール基板39に、固定ねじ34の頭部のテーパー形状に対応する内形状の貫通孔50を形成し、このテーパー部における衝合と、その先端のねじ孔37との螺合によって、上述した各熱電変換装置30における各金属セグメント41~43と熱電変換素子31との結合とともに、これら熱電変換装置30を絶縁シート38を介してモジュール基板39によって並置配列して一体化された熱電変換装置70が構成される。

【33】
ここで、モジュール基板39は、熱伝導性にすぐれたAl,Cu等の金属基板によって形成することが望ましい。このようにモジュール基板39を導電性を有する基板によって形成する場合は、金属セグメントとの間に絶縁シート38を介在させるか、モジュール基板39の表面に絶縁層を被着させる。

【34】
このようにして、多数の熱電変換素子31が直列に接続されて成る熱電変換装置70において、その両端の熱電変換素子から、それぞれ出力が取り出される端子板50および51が導出される。

【35】
また、この熱電変換装置70においては、そのモジュール基板39の配置側とは反対側、すなわち高温側に例えば水ガラス、セラミックス、いわゆる瀬戸引きによる絶縁性の耐熱性薄膜62を被覆する。この薄膜62は、その厚さが薄く選定されることによって熱の伝達が阻害されることがない構成とされる。

【36】
この熱電変換装置70においても、ナットを使用することなく、対のp型およびn型半導体熱電変換素子によるπ型の熱電変換装置30が構成されると共に、これらが平面的に配置されて構成される。

【37】
また、本発明による熱電変換装置70において、その低温側と高温側との間に発生する間隙部、すなわち各熱電変換素子31間および周辺部には、図4に示すように、耐熱性断熱材71の水ガラス、あるいは耐熱性樹脂等を充填することができる。

【38】
また、本発明による各熱電変換装置において、その熱電変換子31と、各金属セグメント41~43との結合面(接合面)間に、金属ペースト72を介在させることができる。

【39】
この金属ペーストは、室温から熱電変換装置の使用温度までの範囲において、液相金属と固相金属とが常に2層共存相を有する金属によって構成する。このような金属ペーストとしては、GaX In1-X と、MA およびMB の少なくとも一方とを含む組成(xは原子比)で、0.1≦x≦0.2に選定され、MA は、Au,Al,Bi,Cuのうちの少なくとも1種以上で、このMA が金属ペーストの全量に対して0~55重量%添加され、MB は、SnおよびZnのうちの少なくとも1種以上で、金属ペーストの全量に対して0~100重量%添加された構成とする。

【4】
このような構成によるπ型熱電変換装置9は、図9にその平面図を示し、図10にそのA-A線上の断面図を示すように、多数個相互に連結して平面的に配列して、大出力の熱電変換装置を構成する。図11および図12はその要部の断面図および分解断面図である。この場合、1つのπ型熱電変換装置9の第1および第2の金属セグメント11および12が、それぞれ隣り合う他のπ型熱電変換装置の第3の金属セグメント13として機能させるようにする。このようにして、金属セグメント11、12および13によって電気的には、多数の熱電変換素子1が、順次n型-p型ーn型ーp型・・・をもって直列に接続するようにし、熱的には並列に配置されるようにする。

【40】
上述したように、本発明装置によれば、固定ねじ34を、ナットによらず、金属セグメント41~43あるいはモジュール基板39に形成したねじ孔に固定ねじを螺合によって結合するようにしたことから、部品点数の減少をはかることができる。

【41】
また、ナットの配置を回避したことによってこのナットの存在による表面の凹凸が回避され、金属セグメントの外面自体で平坦化をはかることができることから、高温側の熱伝達板の配置を回避でき、より構造が簡潔化され、また、熱エネルギーを有効に熱電変換素子に伝達することができる。

【42】
また、熱電変換装置において、その高温側と低温側との間に発生する間隙部に耐熱性断熱材を充填した構成とするものにおいては、この間隙における対流を低下すことができることから、対流の発生や、熱エネルギーが直接的に低温側に抜けることが回避することができることから熱電変換効率を高めることができる。

【43】
また、本発明装置においては、金属セグメントと熱電変換素子との結合を、固定ねじによって結合合体するようにするものであるが、この場合において、熱電変換素子に形成する固定ねじの貫通孔を、固定ねじの直径より幾分大きいいわゆるバカ孔として置くことにより、金属セグメントと熱電変換素子との熱膨張率の差や、温度の相違による熱膨張量の相違が生じた場合においても、両者の結合部にずれ、すなわち移動が生じるようにすることができるので、この結合部が固着された場合において生じる剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【44】
さらに、熱電変換素子と金属セグメントとの間に、金属ペーストを介在させるときは、これら熱電変換素子と金属セグメントとの間の熱的、電気的結合を高めることができ、これによってこれら間の結合(接合)面における熱的抵抗および電気的コンタクト抵抗の低減化をはかることができる。

【45】
そして、この金属ペーストは、固相-液相の2相共存の金属によることから、上述した金属セグメントと熱電変換素子との間の移動を阻害することがなく、熱膨張量の相違に基く剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【46】
尚、本発明装置は、図示の例に限られるものではなく、使用態様、配置状態によって種々の変形変更を行うことができることは言うまでもない。

【47】

【発明の効果】上述したように、本発明装置によれば、固定ねじを、金属セグメントもしくはモジュール基板に形成したねじ孔に固定ねじを螺合するようにしたことにより、また、低温側にのみ、いわば熱伝達板となるモジュール基板を形成して、高温側には熱伝達板を設けない構成とすることができるようにしたので、部品点数の減少をはかることができ、組み立ての簡易化、したがって、量産性、コストの低減化をはかることができる。

【48】
そして、このように高温側の熱伝達板を排除できることから、高温側から与えられる熱エネルギーを効果的に熱電変換素子に伝達することができ、効率の高い熱電変換を行うことができる。

【49】
さらに、高温側と低温側との間に発生する間隙部に耐熱性断熱材を充填した構成とすることにより、この間隙における対流を低下すことができることから、熱エネルギーが、直接的に、低温側に抜けることが回避することができて、より熱電変換効率を高めることができる。

【5】
そして、このように多数の熱電変換素子が配列された低温側電極3側に位置する金属セグメントに絶縁シート14を介して低温側の熱伝達基板となるモジュール基板15を配置し、反対側に耐熱性絶縁シート16を介して高温側の熱伝達基板17を配置する。これら低温側のモジュール基板15および高温側の熱伝達基板17には、固定ねじ5の大径頭部とナット8とをそれぞれ挿入する透孔18および19が形成され、透孔18側からそれぞれ固定ねじ5を挿通して、その各先端をナット8に螺合してモジュール基板15と高温側熱電変換伝達板17との間に、複数組のπ型熱電変換装置9、したがって、多数の熱電変換変換素子1が配列されてなる大出力の熱電変換装置を構成する。このようにして、多数の熱電変換素子が直列に接続されて成る熱電変換装置において、その両端の熱電変換素子から、それぞれ出力が取り出される端子板18および19が導出される。

【50】
また、本発明装置においては、金属セグメントと熱電変換素子との結合を、固定ねじによって結合合体するものであるが、この場合において、熱電変換素子に形成する固定ねじの貫通孔を、固定ねじの直径より幾分大きいいわゆるバカ孔として置くことにより、金属セグメントと熱電変換素子との熱膨張率の差や、温度の相違による熱膨張量の相違が生じた場合においても、両者の結合部にずれ、すなわち移動が生じるようにすることができるので、この結合部が固着された場合において生じる剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【51】
さらに、熱電変換素子と金属セグメントとの間に、金属ペーストを介在させることにより、これら熱電変換素子と金属セグメントとの間の熱的、電気的結合を高めることができ、これによってこれら間の結合(接合)面における熱的抵抗および電気的コンタクト抵抗の低減化をはかることができ、より熱電変換効率を高めることができる。

【52】
そして、この金属ペーストは、固相-液相の2相共存の金属によることから、上述した金属セグメントと熱電変換素子との間の移動を阻害することがなく、熱膨張量の相違に基く剪断応力の発生、これによる特性の低下、熱電変換素子の破壊等を回避できる。

【6】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このように、部品点数が大で、組み立てが煩雑であることから、量産性を阻むのみならず、高温側に熱伝達板が配置されることによって、熱電変換素子への熱の伝達効率を低下させてしまう。

【7】
本発明は、上述した欠点を回避することができるようにした熱電変換装置を提供する。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明による熱電変換装置は、相対向する金属セグメント間に、熱電変換材料よりなる熱電変換素子が挟み込まれ、これら金属セグメントと熱電変換素子とが、固定ねじによって結合された構成とされる。そして、一方の金属セグメントには、固定ねじの貫通孔が形成され、熱電変換素子には、その中央部に、固定ねじの貫通孔が形成され、更に、他方の金属セグメントには、固定ねじの先端と螺合するねじ孔が形成される。そして、その固定ねじを、一方の金属セグメントの貫通孔と、熱電変換素子の貫通孔に挿入し、その先端部をセグメントのねじ孔に螺合させて、上記相対向する金属セグメントとの間において熱電変換素子を配置した状態で結合する構成とする。

【9】
また、本発明は、複数の熱電変換素子を配列して熱電変換装置を構成するいわゆるモジュール型構成とする熱電変換装置において、熱電変換素子の低温側にのみ熱伝達板となるモジュール基板を配置した構成とする。このモジュール基板には、固定ねじを挿通する透孔を穿設して、このモジュール基板と、熱電変換素子と、金属セグメントとを固定ねじによって結合する構成とする。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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