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明細書 :レーザー増幅装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4149326号 (P4149326)
公開番号 特開2005-039031 (P2005-039031A)
登録日 平成20年7月4日(2008.7.4)
発行日 平成20年9月10日(2008.9.10)
公開日 平成17年2月10日(2005.2.10)
発明の名称または考案の名称 レーザー増幅装置
国際特許分類 H01S   3/081       (2006.01)
FI H01S 3/081
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2003-273971 (P2003-273971)
出願日 平成15年7月14日(2003.7.14)
審査請求日 平成17年6月6日(2005.6.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】金邉 忠
【氏名】中塚 正大
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】傍島 正朗
参考文献・文献 特開平08-148739(JP,A)
特開平10-270781(JP,A)
Taku Saiki, Thierry Bontoux, Tadashi Kanabe, Hisanori Fujita, Masahiro Nakatsuka, Sadao Nakai,Optimization of Cassegrain type 3-pass amplifier with ASE,Fusion Engineering and Design,1999年,44,pp.393-399
調査した分野 H01S 3/00 - 3/30
IEEE
Science Direct
JSTPlus(JDreamII)
Scitation
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)凸面を有するカセグレン副鏡と、
(b)該カセグレン副鏡に対応して配置される第1の偏光子と、
(c)該第1の偏光子に対応して配置される偏光制御素子と、
(d)該偏光制御素子に対応して配置される第2の偏光子と、
(e)該第2の偏光子からの光を増幅する光路に導入する第1の鏡と、
(f)該第1の鏡からの反射光が入射されるレーザー増幅器と、
(g)該レーザー増幅器からの通過光を折り返すように配置される第2の鏡と、
(h)該第2の鏡を中央に形成されるホールに配置するとともに、該第2の鏡と同軸状に配置される凹面を有するカセグレン主鏡とを備え、
(i)レーザー光を前記第1の偏光子から入射させ、そのレーザー光を、前記偏光制御素子、前記第2の偏光子を通して前記第1の鏡で曲げて、前記レーザー増幅器で第1回目の増幅通過を行い、前記第2の鏡で反射させて進行方向を折り返し、前記レーザー増幅器で第2回目の増幅通過を行い、その増幅されたレーザー光を前記第1の鏡で曲げて、前記第2の偏光子を通して前記偏光制御素子で偏光90度回転、前記第1の偏光子を通して前記凸面を有するカセグレン副鏡で反射させて進行方向を折り返し、前記第1の偏光子、前記偏光制御素子、前記第2の偏光子を通過させ、前記第1の鏡で前記レーザー増幅器へ向かう光路に導入、前記レーザー増幅器で第3回目の増幅通過を行い、その増幅通過されたレーザー光を前記凹面を有するカセグレン主鏡によりビーム径を広げて方向え、前記レーザー増幅器で第4回目の増幅通過を行い、前記カセグレン主鏡のホールによってホールが空いたビームを前記第1の鏡を通過させてレーザー出力光を得ることを特徴とするレーザー増幅装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザー増幅装置において、前記偏光制御素子が150mm未満の小口径であることを特徴とするレーザー増幅装置。
【請求項3】
(a)レーザー光の入射用の第1のレンズと、
(b)該第1のレンズからのレーザー光を増幅する光路に導入する第1の鏡と、
(c)入射光を受ける第2のレンズと、
(d)該第2のレンズからのレーザー光が入射されるレーザー増幅器と、
(e)該レーザー増幅器からの通過光を同光軸方向に折り返すように配置される第2の鏡と、
(f)アイソレート用偏光制御素子の光路に導く第3の鏡と、
(g)前記偏光制御素子へ向かう光路に導入されたレーザー光をコリメートする第3のレンズと、
(h)該第3のレンズに対応して配置される第1の偏光子と、
(i)該第1の偏光子に対応して配置されるアイソレート用偏光制御素子と、
(j)該アイソレート用偏光制御素子に対応して配置される第2の偏光子と、
(k)該第2の偏光子の通過光を折り返す第4の鏡と、
(l)レーザー出力光を得る第4のレンズとを備え、
(m)入射レーザー光は、前記第1のレンズを通過し、前記第1の鏡で反射され、拡大されて前記レーザー増幅器へ向かう光路に入射し、前記第2のレンズを通過し、このとき第2のレンズにより完全にコリメートされずに発散角を持つ条件となるように、予め前記第1のレンズと前記第2のレンズを配置するとともに、前記入射レーザー光の入射角も調整し、前記第2のレンズ通過後、前記レーザー増幅器で第1回目の増幅通過を行い、前記平面の第2の鏡で反射させて、進行方向を反転させ、前記レーザー増幅器により第2回目の増幅通過を行い、次いで、前記第2のレンズを通過し、ビームが縮小され前記第3の鏡によって前記レーザー増幅器へ向かう光路から外部に外され、前記偏光制御素子へ向かう光路に光路を変更し、前記第1の偏光子と前記第2の偏光子は、偏光透過方向が直交するように配置されており、前記第1の偏光子を通過し、偏光が前記偏光制御素子により90度回転し、前記第2の偏光子を通過し、前記第4の鏡で反射され、進行方向が折り返されて、再び前記第2の偏光子、前記偏光制御素子、前記第1の偏光子を通過し、前記第3の鏡により前記レーザー増幅器へ向かう光路に導入され、再度前記第2のレンズを介して前記レーザー増幅器により、第3回目の増幅通過を行い、再度、前記第2の鏡で、ビームの進行方向が折り返され、前記レーザー増幅器により、第4回目の増幅通過を行い、前記第2のレンズを通過し、その後光軸のずれから前記第4のレンズを通過し、コリメートされたレーザー出力光を得ることを特徴とするレーザー増幅装置。
【請求項4】
請求項3記載のレーザー増幅装置において、前記入射レーザー光に発散角を付けて、前記第1の鏡および第3の鏡の焦点位置を前記レーザー増幅器へ向かう光路の垂直方向にずらすと共に、前記レーザー増幅器へ向かう光路の前後方向にもずらして、前記第3の鏡でのビーム面積を大きくしてレーザービームの大出力化を図ることを特徴とするレーザー増幅装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工、レーザー核融合等に使用する大出力レーザーを得るためのレーザー増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、溶接・切断等のレーザー加工、レーザーアブレーションや描画加工において、レーザー装置の大出力化の要望は益々高くなっている。
【0003】
(1)まず、従来の一般多数回通過増幅を行うレーザー増幅装置の構成について説明する。
【0004】
図7はかかる従来の多数回通過レーザー増幅装置の模式図である。
【0005】
この図において、1は偏光によって反射と透過を行う偏光子、2は偏光を電圧のON・OFFによって変化させる偏光制御素子、3はレーザー増幅器、4は光路の折り返し用の第1の鏡、5は光路の折り返し用の第2の鏡である。
【0006】
次に、この多数回通過レーザー増幅装置の動作について説明する。
【0007】
入射レーザー光L1の偏光は、偏光子1の反射条件を満たす偏光方向であるため偏光子1で反射され、偏光制御素子2、レーザー増幅器3を通過する。このとき、レーザー増幅器3を通過する際に増幅されるため、レーザー光の強度は増大する。そのレーザー光は第1の鏡4で反射され、進行方向が折り返される。そのため、再び、レーザー増幅器3を通過し増幅される。また、偏光制御素子2を2度目に通過する際に、レーザー光の偏光は90度回転され、これにより偏光子1の透過条件を満たし、偏光子1を透過する。そして、第2の鏡5で反射され、進行方向が折り返される。さらに、偏光子1、偏光制御素子2、レーザー増幅器3を通過して、第1の鏡4により再度、方向が折り返される。この時点で、偏光制御素子2に偏光を変化させる動作をさせなければ、レーザー光は第1の鏡4と第2の鏡5の間を、多数回往復する。また、偏光制御素子2に偏光を変化させる動作をさせれば、入射時と逆の動作が可能となる。すなわち、偏光子1の反射条件を満たすように偏光方向を変えることにより、偏光子1で反射させ、十分増幅されたレーザー出力光L2を取り出すことができる。
【0008】
かかる多数回通過レーザー増幅装置は、下記の特許文献1~2、非特許文献1に開示されている。
【0009】
(2)図8は従来の3回通過レーザー増幅装置の模式図である。
【0010】
この図において、L1は入射レーザー光、11はホール12を有する凹面型主鏡、13はレーザー増幅器、14は凸面型副鏡、15,16は対向したレンズ(空間フィルタ)、L2はレーザー出力光である。
【0011】
ここでは、入射レーザー光L1は凹面型主鏡11のホール12から入射され、レーザー増幅器13で第1回目の増幅通過が行われ、凸面型副鏡14で反射される。このときレーザー光のビームは広げられて、レーザー増幅器13で第2回目の増幅通過が行われる。その広げられたレーザー光は、凹面型主鏡11で反射されコリメートされるが、この凹面型主鏡11のホール12の存在によってホールの空いたビームが凸面型副鏡14を通過し、空間フィルタ15,16を通過してレーザー出力光L2が出力される。
【0012】
かかる3回通過レーザー増幅装置は下記の非特許文献2に開示されている。
【0013】
このように、従来では、大出力化には、偏光制御素子(ポッケルスセル等)、偏光子、鏡を用いて、レーザー光がレーザー増幅器を多重往復する方式が用いられている。
【0014】
(3)従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置について説明する。
【0015】
図9は従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置の構成図である。
【0016】
この図において、21は入射用の第1のレンズ、22は入射レーザー光L1を増幅器へ向かう光路に導入する第1の鏡、23は入射レーザー光L1をコリメートする第2のレンズ、24はレーザー増幅器、25は光路の折り返し用の第2の鏡、26はアイソレート用偏光制御素子の光路に導く第3の鏡、27は偏光制御素子へ向かう光路のレーザー光をコリメートする第3のレンズ、28と30は第1と第2の偏光子、29はアイソレート用偏光制御素子、31は偏光制御素子へ向かう光路の折り返し用の第4の鏡、32はレーザー出力光L2をコリメートする第4のレンズである。
【0017】
図10はかかる角度ずらし4回通過レーザー増幅装置の動作の詳細説明図である。
【0018】
ここで、第1のレンズ21の焦点距離はf1、第2のレンズ23の焦点距離はf2、第3のレンズ27の焦点距離はf3、第4のレンズ32の焦点距離はf4である。
【0019】
はじめに、角度ずらしのない場合〔図10(b)に示す焦点距離が1点に集光される場合〕のレンズ位置を示すと、第1のレンズ21と第2のレンズ23はf1+f2の距離に設置されている。第2のレンズ23と第3のレンズ27はf2+f3の距離に設置されている。また、第2のレンズ23と第4のレンズ32は、f2+f4の距離に設置されている。なお、dは焦点位置A面でのレーザービームの分離量(焦点シフト)を示している。
【0020】
このとき、レンズ光軸中心にレーザービームを通すと、図10(b)に示すように、レーザービームは、焦点位置A面で1点に集光される。そこで、レーザービームを光軸中心から(d/2)はずした位置から入射させると焦点位置A面では、パスごとに焦点を分離できる。すなわち、図10(c)に示すように、1回目、2回目、3回目、4回目に通過するときのそれぞれの焦点を4つの異なった位置に配置できる。この焦点位置A面の前後での距離X1(X1=d・f2・D1:ただしD1は第2のレンズ23出射後のビーム口径)ならびに距離Y1(Y1=d・f2・D1)には、それぞれのビームが重ならないエリアができる。この部分に第1の鏡22及び、第3の鏡26を設置すれば、増幅器へ向かう光路への入射用、また偏光制御素子へ向かう光路への導出用として機能させることができる。よってこの構成で4回増幅通過のレーザー増幅装置が構成できる。
【0021】
ただし、4つのビームの焦点位置A面での分離量dを大きくすると、光軸中心からのビーム角度が大きくなり、第2のレンズ23およびそれを出射後にレーザー増幅器24に入射するビームの光軸中心からのずれが大きくなる。そのため第2のレンズ23および、レーザー増幅器24の開口制限以内にビームを保つため分離量d(焦点シフト)は制限される。また、この例での第1の鏡22と第3の鏡26で反射するビームの口径は最大で約dである。
【0022】
次に、かかる4回通過レーザー増幅装置の動作について説明する。
【0023】
入射レーザー光L1は、第1のレンズ21を通過し、第1の鏡22で反射され、増幅器へ向かう光路に入射する。第2のレンズ23までビームは拡大され、第2のレンズ23によりコリメートされ、レーザー増幅器24を通過する。これが第1回目の増幅通過である。増幅されたレーザー光は、平面の第2の鏡25により反射され、進行方向が反転し、再度、レーザー増幅器24を通過する。これが第2回目の増幅通過である。そして、第2のレンズ23を通過し、ビームが縮小され第3の鏡26によって増幅器へ向かう光路から外部に出され、増幅器へ向かう光路から偏光制御素子へ向かう光路に光路を変更する。第1の偏光子28と第2の偏光子30は、偏光透過方向が直交するように配置されている。レーザー光は第3のレンズ27、第1の偏光子28を通過し、偏光が偏光制御素子29により90度回転され、第2の偏光子30を通過する。第2の偏光子30を通過したレーザー光は、第4の鏡31で反射され、進行方向が折り返され、再び第2の偏光子30、偏光制御素子29、第1の偏光子28、第3のレンズ27を通過し、第3の鏡26により増幅器へ向かう光路に導入される。増幅器へ向かう光路に導入されたレーザー光は、再度第2のレンズ23とレーザー増幅器24を通過する。これが第3回目の増幅通過である。そして、再度、第2の鏡25でビームの進行方向が折り返され、レーザー増幅器24を通過する。これが第4回目の増幅通過である。さらに、第2レンズ23を通過し、その後光軸のずれから第3の鏡26にあたらずに第4のレンズ32を通過し、コリメートされたレーザー出力光L2が得られる。
【0024】
かかる従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置は、非特許文献2として開示されている。

【特許文献1】特許第3251873号公報(第3-4頁 図1)
【特許文献2】特開平9-181378号公報(第4-5頁 図3)
【非特許文献1】Bruno M.Van Wonterghem,John R.Murray,Jack H.Campbell,D.Ralph Speck,Charles E.Barker,Ian C.Smith,Donald F.Browning,and William C.Behrendt,“Performance of a prototype for a large-aperture multipass Nd:glass laser for inertial confinement fusion”,APPLIED OPTICS,Vol.36,No.21,20 July 1997
【非特許文献2】Taku Saiki,Thierry Bontoux,Tadashi Kanabe,Hisanori Fujita,Masahiro Nakatsuka,Sadao Nakai,“Optimization of Cassegrain type 3-pass amplifier with ASE”,Fusion Engineering and Design,44(1999),393-399
【非特許文献3】Michel L.Andre* ,“Solid State Lasers for Application to Inertial Confinement Fusion”,SPIE,Vol.3047〔なお、e* にはアクサン・テギュが付く〕。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記した従来技術(1)では、増幅器へ向かう光路に偏光制御素子2を配置するため、レーザー光の大出力化のためには大口径の偏光制御素子が必要となり、技術的・経済的制限がある。
【0026】
また、上記した従来技術(2)は、3回通過のレーザー増幅装置であり、4回通過のレーザー増幅装置と比較すると、同等の入力エネルギーでも出力エネルギーが低いといった問題がある。
【0027】
更に、上記した従来技術(3)では、偏光制御素子へ向かう光路を増幅器へ向かう光路から外に出すために配置される鏡が同一平面に配置されるが、焦点位置の関係上、鏡の反射面積を小さくせざるを得ないため、鏡の耐力に限度があるといった問題があった。すなわち、第3の鏡で大きな反射面積が取れないために、この第3の鏡によるレーザー損傷限界で、高いレーザー出力を得ることができなかった。
【0028】
本発明は、上記状況に鑑みて、主要な部品の小型化を図るとともに、効率を高め、大出力化を図ることができるレーザー増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕レーザー増幅装置において、凸面を有するカセグレン副鏡と、このカセグレン副鏡に対応して配置される第1の偏光子と、この第1の偏光子に対応して配置される偏光制御素子と、この偏光制御素子に対応して配置される第2の偏光子と、この第2の偏光子からの光を増幅する光路に導入する第1の鏡と、この第1の鏡からの反射光が入射されるレーザー増幅器と、このレーザー増幅器からの通過光を折り返すように配置される第2の鏡と、この第2の鏡を中央に形成されるホールに配置するとともに、この第2の鏡と同軸状に配置される凹面を有するカセグレン主鏡とを備え、レーザー光を前記第1の偏光子から入射させ、そのレーザー光を、前記偏光制御素子、前記第2の偏光子を通して前記第1の鏡で曲げて、前記レーザー増幅器で第1回目の増幅通過を行い、前記第2の鏡で反射させて進行方向を折り返し、前記レーザー増幅器で第2回目の増幅通過を行い、その増幅されたレーザー光を前記第1の鏡で曲げて、前記第2の偏光子を通して前記偏光制御素子で偏光90度回転、前記第1の偏光子を通して前記凸面を有するカセグレン副鏡で反射させて進行方向を折り返し、前記第1の偏光子、前記偏光制御素子、前記第2の偏光子を通過させ、前記第1の鏡で前記レーザー増幅器へ向かう光路に導入、前記レーザー増幅器で第3回目の増幅通過を行い、その増幅通過されたレーザー光を前記凹面を有するカセグレン主鏡によりビーム径を広げて方向え、前記レーザー増幅器で第4回目の増幅通過を行い、前記カセグレン主鏡のホールによってホールが空いたビームを前記第1の鏡を通過させてレーザー出力光を得ることを特徴とする。
【0030】
〔2〕上記〔1〕記載のレーザー増幅装置において、前記偏光制御素子が150mm未満の小口径であることを特徴とする。
【0031】
〔3〕レーザー増幅装置において、レーザー光の入射用の第1のレンズと、この第1のレンズからのレーザー光を増幅する光路に導入する第1の鏡と、入射光を受ける第2のレンズと、この第2のレンズからのレーザー光が入射されるレーザー増幅器と、このレーザー増幅器からの通過光を同光軸方向に折り返すように配置される第2の鏡と、アイソレート用偏光制御素子の光路に導く第3の鏡と、前記偏光制御素子へ向かう光路に導入されたレーザー光をコリメートする第3のレンズと、この第3のレンズに対応して配置される第1の偏光子と、この第1の偏光子に対応して配置されるアイソレート用偏光制御素子と、このアイソレート用偏光制御素子に対応して配置される第2の偏光子と、この第2の偏光子の通過光を折り返す第4の鏡と、レーザー出力光を得る第4のレンズとを備え、入射レーザー光は、前記第1のレンズを通過し、前記第1の鏡で反射され、拡大されて前記レーザー増幅器へ向かう光路に入射し、前記第2のレンズを通過し、このときこの第2のレンズにより完全にコリメートされずに発散角を持つ条件となるように、予め前記第1のレンズと前記第2のレンズを配置するとともに、入射レーザー光の入射角も調整し、前記第2のレンズ通過後、前記レーザー増幅器で第1回目の増幅通過を行い、前記平面の第2の鏡で反射させて、進行方向を反転させ、前記レーザー増幅器により第2回目の増幅通過を行い、次いで、前記第2のレンズを通過し、ビームが縮小され前記第3の鏡によって前記レーザー増幅器へ向かう光路から外部に外され、前記偏光制御素子へ向かう光路に光路を変更し、前記第1の偏光子と前記第2の偏光子は、偏光透過方向が直交するように配置されており、前記第1の偏光子を通過し、偏光が前記偏光制御素子により90度回転し、前記第2の偏光子を通過し、前記第4の鏡で反射され、進行方向が折り返されて、再び前記第2の偏光子、前記偏光制御素子、前記第1の偏光子を通過し、前記第3の鏡により前記レーザー増幅器へ向かう光路に導入され、再度前記第2のレンズを介して前記レーザー増幅器により、第3回目の増幅通過を行い、再度、前記第2の鏡で、ビームの進行方向が折り返され、前記レーザー増幅器により、第4回目の増幅通過を行い、前記第2のレンズを通過し、その後光軸のずれから前記第4のレンズを通過し、コリメートされたレーザー出力光を得ることを特徴とする。
【0032】
〕上記〔3〕記載のレーザー増幅装置において、前記入射レーザー光に発散角を付けて、前記第1の鏡および第3の鏡の焦点位置を前記レーザー増幅器へ向かう光路の垂直方向にずらすと共に、前記レーザー増幅器へ向かう光路の前後方向にもずらして、前記第3の鏡でのビーム面積を大きくしてレーザービームの大出力化を図ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0034】
(A)レーザー増幅器の口径に対し、小口径の偏光制御素子を用いることができる。すなわち、大きな口径の偏光制御素子を必要としないため、偏光制御素子の口径内の電界強度の一様性の確保(プラズマ電極型が不要である)や、大型結晶の供給などの技術的問題を無くすことができる。また、小口径の偏光制御素子で良いので、低コスト化を図ることができる。
【0035】
因みに、偏光制御素子の口径が150mm以上に大きくなると、従来のリング電極型のポッケルスセルでは対応できない。米国LLNLでは、リング電極型から新たな方式であるプラズマ電極型のポッケルスセルを開発し、大口径化を可能としたが、プラズマ電極型ポッケルスセルは、プラズマの生成回路必要なことや、プラズマ電極からのスパッターによる汚れによる寿命(ショットライフ)制限がある。
【0036】
これに対して、本発明は、プラズマ電極を用いないで、従来のリング電極ポッケルスセルで対応できる。また、同じリング電極型のポッケルスセルでも小口径もので対応できるので、低コスト化できる。
【0037】
(B)従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置の構成では、第3の鏡で大きな反射面積が取れないために、この鏡によるレーザー損傷限界で、高いレーザー出力が得にくかったが、本発明の発散角付き角度ずらし4回通過レーザー増幅装置においては、従来の構成に加え、入射時に発散角を付けることで、従来法の発散角付きでない角度ずらし4回通過レーザー増幅装置に比べ、第3の鏡でも反射面積を2倍から10倍以上に大きくすることができるので、問題となったレーザー損傷による、出力限界を解消することができ、大出力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(A)カセグレン型4回通過レーザー増幅装置において、レーザー光は、第1の偏光子から入射し、第1の鏡で折り曲げられレーザー増幅器に入り1回目の増幅通過を行う。その後、第2の鏡に反射され、レーザー増幅器に入り2回目の増幅通過を行う。再度、第1の鏡で曲げられ、偏光制御素子で偏光が90度回転され、第1の偏光子を通過し、カセグレン副鏡で反射される。再び、ビーム径を広げながら、第1の鏡で反射され3回目の増幅通過を行う。その後、カセグレン主鏡で反射・コリメートされ、4回目の増幅通過を行う。
【0039】
(B)発散角付き角度ずらし4回通過レーザー増幅装置として構成し、入射時に発散角を付けることで、従来法のレーザーに比べ、第3の鏡でも反射面積を2倍から10倍以上に大きくすることができるので、問題となったレーザー損傷による、出力限界をなくすことができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は本発明の第1実施例を示すカセグレン型4回通過レーザー増幅装置の構成図である。
【0042】
この図において、41は偏光によって反射と透過を行う第1の偏光子、42は偏光を電圧のON・OFFによって変化させる偏光制御素子、43は第2の偏光子、44は光路を増幅器へ向かう光路内部に導入する第1の鏡、45はレーザー増幅器、46は初期光路を折り返す第2の鏡、47は凸面のカセグレン副鏡、48はホール49を有する凹面のカセグレン主鏡である。
【0043】
次に、本発明の第1実施例を示すカセグレン型4回通過レーザー増幅装置の動作について説明する。
【0044】
入射レーザー光L1の偏光は、第1の偏光子41の反射条件を満たす偏光方向であるため第1の偏光子41で反射され、偏光制御素子42、第2の偏光子43を通過し、第1の鏡44によって増幅器へ向かう光路に入射する。その後、レーザー増幅器45を通過する。これが第1回目の増幅通過である。
【0045】
次に、増幅されたレーザー光は、凹面のカセグレン主鏡48のホール49を通過し、第2の鏡46により反射され、進行方向が反転し、再度、レーザー増幅器45を通過する。これが、第2回目の増幅通過である。
【0046】
次いで、第1の鏡44によって増幅器へ向かう光路から外部に出され、偏光制御素子へ向かう光路に光路を変更する。ここで、第1の偏光子41と第2の偏光子43は、偏光透過方向が直交するように配置されている。レーザー光は、まず、第2の偏光子43を通過し、偏光制御素子42により偏光が90度回転され、第1の偏光子41を通過する。そして、凸面のカセグレン副鏡47で反射され、進行方向が折り返される。再び第1の偏光子41、偏光制御素子42、第2の偏光子43を通過し、第1の鏡44により増幅器へ向かう光路に導入され、再度レーザー増幅器45を通過する。これが第3回目の増幅通過である。
【0047】
このときレーザー光は凸面のカセグレン副鏡47によりビーム径が広げられ、レーザー増幅器45の開口と同程度になっている。ビームは凹面のカセグレン主鏡48で、進行方向が折り返され、レーザー増幅器45を通過する。これが第4回目の増幅通過である。この時のレーザー光は凹面のカセグレン主鏡48によってコリメートされている。凹面のカセグレン主鏡48のホール49の存在によってホールの空いたビームが第1の鏡44を通過しレーザー出力光L2が出力される。
【0048】
図2に従来のカセグレン型3回通過レーザー増幅装置構成と、本発明にかかるカセグレン型4回通過レーザー増幅装置構成での、計算での入出力特性を示す。横軸に入力エネルギー〔J〕、縦軸に出力エネルギー〔J〕をそれぞれ示す。
【0049】
この図において、点線での曲線は従来の3回通過のカセグレン構成での計算特性の例、実線は本発明の4回通過のレーザー増幅装置構成での計算特性の例である。
【0050】
計算の条件は、3回通過増幅構成でも4回通過増幅構成でも同じパラメーターである。なお、ここでは、レーザー増幅器は、利得1.8倍の増幅器を4段に直列接続した構成で総合利得10倍であり、レーザー媒質はNdガラス、誘導放出断面積は4.2×10-20 cm2 であり、レーザーの開口は40cm×40cmである。この図に示すように、増幅通過回数が多い4回通過増幅のほうが、入力エネルギーが同等でも、高い出力エネルギーが得られていることがわかる。
【0051】
次に、発散角付き角度ずらしレーザー増幅装置について説明する。
【0052】
図3は本発明の第2実施例を示す発散角付き角度ずらしビーム増幅装置の構成図である。
【0053】
この図3においては、51は入射用の第1のレンズ、52は増幅器へ向かう光路に導入する第1の鏡、53は入射レーザー光L1をコリメートする第2のレンズ、54はレーザー増幅器、55は光路の折り返し用の第2の鏡、56はアイソレート用偏光制御素子へ向かう光路に導く第3の鏡、57は偏光制御素子へ向かう光路のレーザー光をコリメートする第3のレンズ、58は第1の偏光子、59はアイソレート用偏光制御素子、60は第2の偏光子、61は偏光制御素子へ向かう光路の折り返し用の第4の鏡、62はレーザー出力光L2をコリメートする第4のレンズである。
【0054】
図4はかかる発散角付き角度ずらし増幅器の配置と動作の詳細説明図である。 この図において、図4(a)は全体の装置の配置と動作の説明図、図4(b)は焦点位置A面でのビームの状態を、図4(c)は焦点位置B面でのビームの状態をそれぞれ示す図である。
【0055】
ここでは、第1のレンズ51の焦点距離はf1、第2のレンズ53の焦点距離はf2、第3のレンズ57の焦点距離はf3、第4のレンズ62の焦点距離はf4である。
【0056】
第1のレンズ51と第2のレンズ53はf1+f2+Zの距離に設置されている。第2のレンズ53と第3のレンズ57はf2+f3-Zの距離に設置されている。また、第2のレンズ53と第4のレンズ62はf2+f4+Zの距離に設置されている。
【0057】
すなわち、図10の構成に加え、第1のレンズ51と第2のレンズ53をf1+f2+Zの距離に設置するため、ビームに発散が生じ、第2回目の増幅通過後のビームは、f2-Z(B点)で集光する。これをコリメートするために、第2のレンズ53と第3のレンズ57はf2+f3-Zの距離に設置する。第4回目の増幅通過後のビームは、第4のレンズ62出射後レーザーをコリメートするために、第2のレンズ53と第4のレンズ62はf2+f4+Zの距離に設置されている。
【0058】
図5は従来の角度ずらしのみと本発明の発散角付き角度ずらしビーム増幅装置のレーザービームの態様を示す図である。
【0059】
ここで、焦点位置A,B面での分離量をdとし、ビーム焦点シフトZを2・Zを2・d・f2/Dまで与えるとすると、図5(b)に示すような配置を取ることにより、図10に示す構成〔図5(a)参照〕に比べ、図5(b)に示すようにビーム焦点位置A,Bが互いにシフトして、ビームの重ならないエリアが拡大できる。なお、Dはレンズ出射ビーム径を示す。
【0060】
その拡大の領域は、図10に示したX1,Y1面のビーム径dに対し、ビームB1とビームB2の焦点位置がシフトしたため、ビームが重なる部分が少なくなり、セパレートされた部分のビームB2およびビームB1の最大ビーム径は2dが得られる。X2、Y2は、第1の鏡52、第3の鏡56の設置可能な最大距離を示す。
【0061】
特に、このような構成の従来のレーザー装置は、図10に示すように、第3の鏡26のレーザー損傷の限界によって制限されるため、最終動作出力が制限されていた。
【0062】
それに対して本発明では、図4に示す構成を取ることによって、ビームエリアを4倍(ビーム径は2倍)確保できる構成とすることができ、大出力化を図ることができる。
【0063】
次に、かかる発散角付き角度ずらしレーザー増幅装置の動作について説明する。
【0064】
入射レーザー光L1は、第1のレンズ51を通過し、第1の鏡52で反射され、増幅器へ向かう光路に入射する。第2のレンズ53までビームは拡大され、第2のレンズ53を通過する。このとき、第2のレンズ53を通過後、レーザー光が完全にはコリメートされずに少しの発散角を持つ条件となるように、第1のレンズ51と第2のレンズ53の配置及び入射レーザー光L1の入射角を調整可能とする。その後、レーザー光がレーザー増幅器54を通過する。これが第1回目の増幅通過である。
【0065】
次に、レーザー増幅器54を通過したレーザー光は平面の第2の鏡55により反射され、進行方向が反転し、再度、レーザー増幅器54を通過する。これが第2回目の増幅通過である。
【0066】
次いで、第2のレンズ53を通過し、ビームが縮小され第3の鏡56によって増幅器へ向かう光路から外部に出され、増幅器へ向かう光路から偏光制御素子へ向かう光路に光路を変更する。この時点でのビームの口径は、従来型の発散角なしのビーム口径に比べ大きく設定でき、面積比で、約4倍以上にできる。第1の偏光子58と第2の偏光子60は、偏光透過方向が直交するように配置されている。レーザー光は、第1の偏光子58を通過し、偏光が偏光制御素子59により90度回転し、第2の偏光子60を通過する。第4の鏡61で反射され、進行方向が折り返される。折り返されたレーザー光は、再び第2の偏光子60、偏光制御素子59、第1の偏光子58を通過し、第3の鏡56により増幅器へ向かう光路に導入される。そして、再度第2のレンズ53とレーザー増幅器54を通過する。これが第3回目の増幅通過である。
【0067】
次に、再度、第2の鏡55で、ビームの進行方向が折り返され、レーザー増幅器54を通過する。これが第4回目の増幅通過である。第2のレンズ53を通過し、その後光軸のずれから第4のレンズ62を通過し、コリメートされたレーザー出力光L2が出力される。
【0068】
図6には従来型の発散角なしと本発明の発散角付きの角度ずらし4回通過レーザー増幅装置構成での、計算での入出力特性を示す。この図において、横軸に入力エネルギー〔J〕、縦軸に出力エネルギー〔J〕を示す。計算の条件は、発散角なしと発散角付き増幅構成でも同じパラメーターである。レーザー増幅器は、利得1.8倍の増幅器を4段に直列接続した構成で総合利得10倍であり、レーザー媒質はNdガラス、誘導放出断面積は4.2×10-20 cm2 である。レーザーの開口は40cm×40cmである。
【0069】
この図から明らかなように、本発明の発散角付きの構成の方が第3の鏡56でのビームの面積が大きいため従来の発散角なしの構成より高い出力エネルギーを得ることができる。
【0070】
上記したように、入射レーザー光に発散角を付けて、焦点位置を増幅器へ向かう光路の垂直方向にずらすとともに、増幅器へ向かう光路の前後方向にもずらして、第3の鏡でのビーム面積を大きくするようにしたので、レーザービームの大出力化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかるレーザー増幅装置は、大出力レーザー装置、高ピークパワーレーザー装置、高平均パワーレーザー装置、超短パルスレーザー装置に適しており、機械切断、溶接、材料表面改質(ピーニング)、レーザーアブレーション、電子基盤トリミング、半導体トリミング、液晶回路トリミング、ナノテクノロジー、高密度半導体露光装置、EUV光源、X線源、X線レーザー源、γ線源、γ線レーザー源、PET、高密度プラズマ源、レーザー核融合などへの広範な応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施例を示すカセグレン型4回通過レーザー増幅装置の構成図である。
【図2】従来のカセグレン型3回通過レーザー増幅装置構成と、本発明にかかるカセグレン型4回通過レーザー増幅装置構成での、計算での入出力特性を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す発散角付き角度ずらし増幅器の構成図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す発散角付き角度ずらし増幅器の配置と動作の詳細説明図である。
【図5】従来の角度ずらしのみと本発明の発散角付き角度ずらしビーム増幅装置のレーザービームの態様を示す図である。
【図6】従来型の発散角なしと本発明の発散角付きの角度ずらし4回通過レーザー増幅装置構成での、計算での入出力特性を示す図である。
【図7】従来の多数回通過レーザー増幅装置の模式図である。
【図8】従来の3回通過レーザー増幅装置の模式図である。
【図9】従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置の構成図である。
【図10】従来の角度ずらし4回通過レーザー増幅装置の配置と動作の詳細説明図である。
【符号の説明】
【0074】
41,58 第1の偏光子
42,59 偏光制御素子
43,60 第2の偏光子
44,52 第1の鏡
45,54 レーザー増幅器
46,55 第2の鏡
47 凸面のカセグレン副鏡
48 凹面のカセグレン主鏡
49 ホール
51 第1のレンズ
53 第2のレンズ
56 第3の鏡
57 第3のレンズ
61 第4の鏡
62 第4のレンズ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9