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明細書 :電子透かしシステム、電子透かし埋込装置および電子透かし検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3627022号 (P3627022)
公開番号 特開2004-279469 (P2004-279469A)
登録日 平成16年12月17日(2004.12.17)
発行日 平成17年3月9日(2005.3.9)
公開日 平成16年10月7日(2004.10.7)
発明の名称または考案の名称 電子透かしシステム、電子透かし埋込装置および電子透かし検出装置
国際特許分類 G10L 11/00      
FI G10L 9/00 E
請求項の数または発明の数 12
全頁数 13
出願番号 特願2003-066978 (P2003-066978)
出願日 平成15年3月12日(2003.3.12)
審査請求日 平成15年3月12日(2003.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 陽一
【氏名】西村 竜一
【氏名】高橋 晃
審査官 【審査官】山下 剛史
参考文献・文献 特開2000-174628(JP,A)
特開2000-207828(JP,A)
南憲明,他,標本化格子の位相変調に基づく情報の埋め込み,画像電子学会誌,1999年 6月25日,通巻140号,Vol.28,No.3,p.278-283
池田幹男,他,トレリス符号を用いたオーディオ信号へのデータ埋め込みの改良,日本音響学会2000年春季研究発表会講演論文集-I-,2000年 3月15日,2-7-11,p.261-262
高橋晃,西村竜一,鈴木陽一,トレリス符号を用いた周期的位相変調による音楽用電子透かしシステムの提案,日本音響学会2003年春季研究発表会講演論文集-I-,2003年 3月18日,3-P-32,p.791-792
高橋孝仁,高橋晃,西村竜一,鈴木陽一,ステレオ音楽信号における周期的位相変調の検知限に関する検討,日本音響学会2003年秋季研究発表会講演論文集-I-,2003年 9月17日,2-7-13,p.449-450
高橋晃,西村竜一,鈴木陽一,チャネル間位相差を利用した周期的位相変調法のブラインド検出,日本音響学会2003年秋季研究発表会講演論文集-I-,2003年 9月17日,3-5-2,p.551-552
高橋晃,西村竜一,鈴木陽一,周期的位相変調法を用いた透かし情報の多重化に関する検討,電子情報通信学会技術研究報告[応用音響],2003年 8月 2日,EA2003-58,p.7-14
調査した分野 G10L 19/00
JICSTファイル(JOIS)
IEEE Xplore
特許請求の範囲 【請求項1】
情報信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置と、この電子透かし埋込装置により埋め込まれた電子透かし情報を前記情報信号から検出する電子透かし検出装置とを備える電子透かしシステムにおいて、
前記電子透かし埋込装置は、
情報信号に対して周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する生成手段と、
電子透かし情報に応じて、前記生成手段が生成したキャリア信号の位相変化パターンを制御することで、前記電子透かし情報を前記キャリア信号に埋め込む変調手段とを備え、
前記電子透かし検出装置は、
前記変調手段によって電子透かし情報が埋め込まれたキャリア信号と、前記周期的な位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出する位相差検出手段と、
この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、前記キャリア信号に埋め込まれた電子透かし情報を検出する検出手段とを備えることを特徴とする電子透かしシステム。
【請求項2】
前記位相差検出手段は、前記リファレンス信号として前記生成手段が生成したキャリア信号を用いて、この信号と前記変調手段によって電子透かし情報が埋め込まれたキャリア信号との位相差を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子透かしシステム。
【請求項3】
情報信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置において、
情報信号に対して周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する生成手段と、
電子透かし情報に応じて、前記生成手段が生成したキャリア信号の位相変化パターンを制御することで、前記電子透かし情報を前記キャリア信号に埋め込む変調手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込装置。
【請求項4】
さらに、前記電子透かし情報をトレリス符号に変換する符号化手段を備え、
前記変調手段は、前記符号化手段にて得られたトレリス符号に応じて、前記生成手段が生成したキャリア信号の位相変化パターンを制御することで、前記電子透かし情報を前記キャリア信号に埋め込むことを特徴とする請求項3に記載の電子透かし埋込装置。
【請求項5】
周期的な位相変化パターンを有する情報信号の位相が前記電子透かし情報を示すように制御された前記情報信号に基づいて、前記電子透かし情報を検出する電子透かし検出装置であって、
前記情報信号と、前記周期的な位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出する位相差検出手段と、
この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、前記情報信号に埋め込まれた電子透かし情報を検出する検出手段とを具備することを特徴とする電子透かし検出装置。
【請求項6】
前記情報信号は、音楽信号であって、
前記位相差検出手段は、聴覚マスキングモデルに基づいて選出した周波数について、前記位相差を検出することを特徴とする請求項5に記載の電子透かし検出装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、符号化された電子透かし情報を検出し、
さらに、前記検出手段が検出した電子透かし情報をビタビ復号する復号手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の電子透かし検出装置。
【請求項8】
音楽信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置と、この電子透かし埋込装置により埋め込まれた電子透かし情報を前記音楽信号から検出する電子透かし検出装置とを備える電子透かしシステムにおいて、
前記電子透かし埋込装置は、
2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成する生成手段と、
この生成手段が生成した2つのキャリア信号の位相パターンを、前記2つのキャリア信号間の位相差が前記電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して、前記2つのキャリア信号に前記電子透かし情報を埋め込む変調手段とを備え、
前記電子透かし検出装置は、
前記変調手段によって電子透かし情報が埋め込まれた2つのキャリア信号間の位相差を検出する位相差検出手段と、
この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、前記電子透かし情報を検出する検出手段とを備えることを特徴とする電子透かしシステム。
【請求項9】
音楽信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置において、
2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成する生成手段と、
この生成手段が生成した2つのキャリア信号の位相パターンを、前記2つのキャリア信号間の位相差が前記電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して、前記2つのキャリア信号に前記電子透かし情報を埋め込む変調手段とを具備することを特徴とする電子透かし埋込装置。
【請求項10】
さらに、前記電子透かし情報をトレリス符号に変換する符号化手段を備え、
前記変調手段は、前記符号化手段にて得られたトレリス符号に応じて、前記生成手段が生成した2つのキャリア信号の位相パターンをそれぞれ制御することで、前記2つのキャリア信号に前記電子透かし情報を埋め込むことを特徴とする請求項9に記載の電子透かし埋込装置。
【請求項11】
周期的な位相変化パターンを有する2つの音楽信号間の位相差が前記電子透かし情報を示すように位相が制御された前記2つの音楽信号に基づいて、前記電子透かし情報を検出する電子透かし検出装置であって、
前記2つの音楽信号の位相差を検出する位相差検出手段と、
この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、前記電子透かし情報を検出する検出手段とを具備することを特徴とする電子透かし検出装置。
【請求項12】
前記検出手段は、前記位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、符号化された電子透かし情報を検出し、
さらに、前記検出手段が検出した電子透かし情報をビタビ復号する復号手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子透かし検出装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば音声信号や映像信号などの情報信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置や、電子透かし情報が埋め込まれた電子透かし検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、音声信号や映像信号などの情報信号に電子透かし情報を埋め込む技術として、単発のエコーを用いるエコー法や、PN(Pseudo Noise)系列を秘匿鍵として用いるスペクトル拡散法が提案されている。
【0003】
これらの手法では、電子透かし情報の秘匿性を確保できなかったり、あるいは音楽信号を再生する際に電子透かし情報の埋め込みに起因する雑音が生じたり、その埋め込み自体を視聴者に認識させてしまうという問題があった。
【0004】
一方、これらの手法に対して本願発明者らは、人間の聴覚が緩やかな位相変調に対して鈍感なことに着目し、音楽信号に周期的な位相変調を加えて、その周波数を電子透かし情報に対応させることで、電子透かし情報を埋め込む手法を提案している(例えば、特許文献1参照)。この手法によれば、上述した問題がなく、音楽信号の複写に対する安全性が高かった。
【0005】
しかしながら、近時、悪意を持つ者による電子透かし情報に対する攻撃は、より高度なものとなっており、さらに耐攻撃性が高く、安全性の高い電子透かし情報の埋め込み技術の開発が求められている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001-236698公報(第4-6頁、図9)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近時、電子透かし情報に対する攻撃は、より高度なものとなっており、さらに耐攻撃性が高く、安全性の高い電子透かし情報の埋め込み技術への要望が高かった。
【0008】
この発明は上記の要望に応えるべくなされたもので、耐攻撃性が高く、安全性の高い電子透かし情報を、音楽信号などの情報信号に埋め込むことが可能な電子透かしシステム、電子透かし埋込装置および電子透かし検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係わる本発明は、情報信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置と、この電子透かし埋込装置により埋め込まれた電子透かし情報を情報信号から検出する電子透かし検出装置とを備える電子透かしシステムにおいて、電子透かし埋込装置は、情報信号に対して周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する生成手段と、電子透かし情報に応じて、生成手段が生成したキャリア信号の位相変化パターンを制御することで、電子透かし情報をキャリア信号に埋め込む変調手段とを備え、電子透かし検出装置は、変調手段によって電子透かし情報が埋め込まれたキャリア信号と、周期的な位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、キャリア信号に埋め込まれた電子透かし情報を検出する検出手段とを具備して構成するようにした。
【0010】
また請求項3に係わる本発明は、情報信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置において、情報信号に対して周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する生成手段と、電子透かし情報に応じて、生成手段が生成したキャリア信号の位相変化パターンを制御することで、電子透かし情報をキャリア信号に埋め込む変調手段とを具備して構成するようにした。
【0011】
さらに請求項5に係わる本発明は、周期的な位相変化パターンを有する情報信号の位相が電子透かし情報を示すように制御された情報信号に基づいて、電子透かし情報を検出する電子透かし検出装置であって、情報信号と、周期的な位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、情報信号に埋め込まれた電子透かし情報を検出する検出手段とを具備して構成するようにした。
【0012】
上記構成では、電子透かし埋込装置において、情報信号に位相変調を施して周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成し、このキャリア信号の位相変化パターンを電子透かし情報に応じて制御することで、キャリア信号に電子透かし情報を埋め込み、そして、電子透かし検出装置においては、電子透かし情報を埋め込んだキャリア信号と、上記位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出することで電子透かし情報を検出するようにしている。
【0013】
したがって、上記構成によれば、情報信号に対して周期的な位相変調を施して生成した周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号に対し、上記位相変化パターンを制御することで電子透かし情報を埋め込むため、高い密度で情報信号に透かし情報を埋め込むことができ、これにより耐攻撃性を高めることができる。
【0014】
また、電子透かし情報が埋め込まれた情報信号は、埋め込んだ電子透かし情報に伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、電子透かし情報の埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
【0015】
そして、上記の目的を達成するために、請求項8に係わる本発明は、音楽信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置と、この電子透かし埋込装置により埋め込まれた電子透かし情報を音楽信号から検出する電子透かし検出装置とを備える電子透かしシステムにおいて、電子透かし埋込装置は、2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成する生成手段と、この生成手段が生成した2つのキャリア信号の位相パターンを、2つのキャリア信号間の位相差が電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して、2つのキャリア信号に電子透かし情報を埋め込む変調手段とを備え、電子透かし検出装置は、変調手段によって電子透かし情報が埋め込まれた2つのキャリア信号間の位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、電子透かし情報を検出する検出手段とを具備して構成するようにした。
【0016】
また請求項9に係わる本発明は、音楽信号に電子透かし情報を埋め込む電子透かし埋込装置において、2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成する生成手段と、この生成手段が生成した2つのキャリア信号の位相パターンを、2つのキャリア信号間の位相差が電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して、2つのキャリア信号に電子透かし情報を埋め込む変調手段とを具備して構成するようにした。
【0017】
さらに請求項11に係わる本発明は、周期的な位相変化パターンを有する2つの音楽信号間の位相差が電子透かし情報を示すように位相が制御された2つの音楽信号に基づいて、電子透かし情報を検出する電子透かし検出装置であって、2つの音楽信号の位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検出手段が検出した位相差に基づいて、電子透かし情報を検出する検出手段とを具備して構成するようにした。
【0018】
上記構成では、電子透かし埋込装置において、例えば左右など2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成し、これらをそれぞれ位相変調するが、その際、2つのキャリア信号間の位相差が電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して1つの電子透かし情報を埋め込む。そして、電子透かし検出装置においては、電子透かし情報が埋め込まれた2つのキャリア信号の位相差を検出することで、電子透かし情報を検出するようにしている。
【0019】
したがって、上記構成によれば、2つの音楽信号に対して周期的な位相変調を施して生成した周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号に対し、これらの位相差が電子透かし情報を示すように上記位相変化パターンを制御して電子透かし情報を埋め込むため、高い密度で電子透かし情報を埋め込むことができ、これにより耐攻撃性を高めることができる。
【0020】
また、電子透かし情報が埋め込まれた音楽信号は、埋め込んだ電子透かし情報に伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、電子透かし情報の埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
【0021】
さらに、時間伸縮攻撃が行われた場合、原信号を用いた電子透かし情報の検出は困難である。しかしながら、上記構成では上述したように、2つのキャリア信号に対し位相差が電子透かし情報を示すように上記位相変化パターンを制御して電子透かし情報を埋め込むため、時間伸縮攻撃が行われても、2つのキャリア信号の位相差から電子透かし情報を検出できるので、時間伸張攻撃に対して高耐性を発揮することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる電子透かしシステムの構成を示すものである。この図に示す電子透かしシステムは、電子透かし埋込装置100と電子透かし検出装置200とを備える。
【0023】
電子透かし埋込装置100は、符号化部110と、全域通過フィルタ120と、2つの出力端子130,131とを備える。
符号化部110は、透かしデータ(電子透かし情報)に基づくトレリス符号を生成し、この生成したトレリス符号を全域通過フィルタ120に出力する。
【0024】
全域通過フィルタ120は、入力される音楽信号に対して周期的な位相変調を施すことで、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する。そして、全域通過フィルタ120は、自己が備えるPSK部(PSK)121において、符号化部110より入力されるトレリス符号に基づいて上記キャリア信号の位相パターンを制御(位相変調)することで、上記トレリス符号をキャリア信号に重畳する。
【0025】
PSK部121にて位相変調されたキャリア信号は、出力端子130より外部に出力され、PSK部121にて位相変調される前のキャリア信号は、出力端子131より外部に出力される。
【0026】
電子透かし検出装置200は、入力端子210,211と、周波数検出部220と、位相検出部230,240と、位相差検出部250と、復号部260とを備える。
【0027】
入力端子210には、PSK部121にて位相変調されたキャリア信号が入力され、一方、入力端子211には、PSK部121にて位相変調される前のキャリア信号が入力される。
【0028】
周波数検出部220は、聴覚マスキングモデルに基づいて、後述する位相検出部230,240にて位相を精度よく検出できる周波数を検出し、この周波数を位相検出部230,240に通知する。
【0029】
位相検出部230は、周波数検出部220から通知される周波数における、入力端子210を通じて入力されたキャリア信号の位相を検出し、これを位相差検出部250に出力する。
【0030】
同様に、位相検出部240は、周波数検出部220から通知される周波数における、入力端子211を通じて入力されたキャリア信号の位相を検出し、これを位相差検出部250に出力する。
【0031】
位相差検出部250は、位相検出部230にて検出された位相と、位相検出部240にて検出された位相との差を検出する。すなわち、電子透かし埋込装置100のPSK部121によって与えられたトレリス符号に基づく位相変化量を検出する。ここで検出された位相差は、復号部260に出力される。
【0032】
復号部260は、位相差検出部250にて検出された位相差に基づくデータをビタビ復号して、電子透かし埋込装置100側で埋め込まれた透かしデータを同定する。
【0033】
次に、上記構成の電子透かしシステムの動作について説明する。
まず、電子透かし埋込装置100側の動作について説明する。
透かしデータは、符号化部110により、トレリス符号に変換され、全域通過フィルタ120に出力される。
【0034】
音楽信号は、全域通過フィルタ120により、周期的な位相変調が施されて、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号となり、出力端子131より外部に出力される。
【0035】
また上記キャリア信号は、PSK部121により、符号化部110にて生成されたトレリス符号で位相制御されることで、上記トレリス符号が重畳される。このようにして透かしデータが重畳されたキャリア信号は、出力端子130より外部に出力される。
【0036】
次に、電子透かし検出装置200側の動作について説明する。
透かしデータが重畳されたキャリア信号は、入力端子210を通じて、周波数検出部220と位相検出部230に入力される。
【0037】
周波数検出部220に入力された上記キャリア信号は、聴覚マスキングモデルに基づいて、位相検出部230,240にて位相を精度よく検出できる周波数が検出され、この周波数は位相検出部230,240に通知される。
【0038】
また、位相検出部230に入力された上記キャリア信号は、位相検出部230において、周波数検出部220から通知される周波数における位相が検出され、この位相は位相差検出部250に通知される。
【0039】
一方、透かしデータが重畳されていないキャリア信号は、入力端子211を通じて、位相検出部240に入力される。
このようにして、位相検出部240に入力された上記キャリア信号は、位相検出部240において、周波数検出部220から通知される周波数における位相が検出され、この位相は位相差検出部250に通知される。
【0040】
そして、位相検出部230にて検出された位相と、位相検出部240にて検出された位相との差が、位相差検出部250にて検出される。これにより、電子透かし埋込装置100のPSK部121によって与えられたトレリス符号に基づく位相差(位相変化量)が検出される。
【0041】
上記検出された位相差は、復号部260に出力される。この位相差は、復号部260にてビタビ復号され、電子透かし埋込装置100側で埋め込まれた透かしデータが同定される。
【0042】
以上のように、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし埋込装置100において、音楽信号に対して周期的な位相変調を施すことでキャリア信号を生成し、これを透かしデータに応じた位相変調することで、音楽信号に透かしデータを埋め込む。
【0043】
そして、電子透かし検出装置200においては、透かしデータを埋め込んだ音楽信号と、埋め込んでいない音楽信号との位相差を検出することで透かしデータを検出するようにしている。
【0044】
したがって、上記構成の電子透かしシステムによれば、キャリア信号となる音楽信号に対して、透かしデータに応じた位相変調を行うことで、透かしデータを音楽信号に埋め込むため、高い密度で透かしデータを埋め込むことができ、これにより耐攻撃性を高めることができる。
【0045】
また、透かしデータが埋め込まれた音楽信号は、埋め込んだ透かしデータに伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、透かしデータの埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
【0046】
さらに、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし埋込装置100において、透かしデータをトレリス符号に変換してから音楽信号に埋め込み、電子透かし検出装置200において、ビタビ復号により透かしデータを復元するようにしているので、圧縮処理などの信号処理に対する高耐性を実現できる。
【0047】
そしてまた、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし検出装置200において、聴覚マスキングモデルに基づいて選出した周波数について位相差を求めるようにしているので、位相変調を精度よく追跡することができる。
【0048】
次に、この発明の第2の実施形態に係わる電子透かしシステムについて説明する。図2は、その構成を示すものである。この図に示す電子透かしシステムは、電子透かし埋込装置300と電子透かし検出装置400とを備える。
【0049】
電子透かし埋込装置300は、符号化部310と、分離部320と、全域通過フィルタ330,340と、合成部350と、出力端子360とを備える。
符号化部310は、透かしデータ(電子透かし情報)に基づくトレリス符号を生成し、この生成したトレリス符号を全域通過フィルタ330,340に出力する。
【0050】
分離部320は、入力される音楽信号を、左右のチャネルの信号に分離し、左のチャネルの信号を全域通過フィルタ330に出力し、一方、右のチャネルの信号を全域通過フィルタ340に出力する。
【0051】
全域通過フィルタ330は、入力される左チャネルの音楽信号に対して周期的な位相変調を施すことで、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する。
【0052】
そして、全域通過フィルタ330は、自己が備えるPSK部(PSK)331において、符号化部310より入力されるトレリス符号に基づいて上記キャリア信号の位相パターンを制御(位相変調)することで、上記トレリス符号をキャリア信号に重畳する。
【0053】
同様に、全域通過フィルタ340は、入力される右チャネルの音楽信号に対して周期的な位相変調を施すことで、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成する。
【0054】
そして、全域通過フィルタ340は、自己が備えるPSK部(PSK)341において、符号化部310より入力されるトレリス符号に基づいて上記キャリア信号の位相パターンを制御(位相変調)することで、上記トレリス符号をキャリア信号に重畳する。
【0055】
PSK部331にて位相変調されたキャリア信号と、PSK部341にて位相変調されたキャリア信号は、合成部350にて1つの信号に合成された後、出力端子360より外部に出力される。
【0056】
電子透かし検出装置400は、入力端子410と、分離部420と、位相検出部430,440と、位相差検出部450と、復号部460とを備える。
入力端子410には、位相変調されたキャリア信号が入力される。
【0057】
分離部420は、上記キャリア信号を左右のチャネルの信号に分離し、左のチャネルの信号を位相検出部430に出力し、一方、右のチャネルの信号を位相検出部440に出力する。
【0058】
位相検出部430は、分離部420から入力された左のチャネルの信号の位相を検出し、これを位相差検出部450に出力する。
同様に、位相検出部440は、分離部420から入力された右のチャネルの信号の位相を検出し、これを位相差検出部450に出力する。
【0059】
位相差検出部450は、位相検出部430にて検出された位相と、位相検出部440にて検出された位相との差を検出する。すなわち、電子透かし埋込装置300のPSK部331,341により、左右のチャネルにそれぞれ与えられたトレリス符号に基づく位相変化量を検出する。ここで検出された位相差は、復号部460に出力される。
【0060】
復号部460は、位相差検出部450にて検出された位相差に基づくデータをビタビ復号して、電子透かし埋込装置300側で埋め込まれた透かしデータを同定する。
【0061】
次に、上記構成の電子透かしシステムの動作について説明する。
まず、電子透かし埋込装置300側の動作について説明する。
透かしデータは、符号化部310により、トレリス符号に変換され、全域通過フィルタ330,340に出力される。
【0062】
音楽信号は、分離部320にて左右のチャネルの信号に分離され、左のチャネルの信号は全域通過フィルタ330に出力され、一方、右のチャネルの信号は全域通過フィルタ340に出力される。
【0063】
そして、左のチャネルの信号は、全域通過フィルタ330により、周期的な位相変調が施されて、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号となる。このようにして生成されたキャリア信号は、PSK部331により、符号化部310にて生成されたトレリス符号で位相制御されることで、上記トレリス符号が重畳される。
【0064】
同様に、右のチャネルの信号は、全域通過フィルタ340により、周期的な位相変調が施されて、周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号となる。このようにして生成されたキャリア信号は、PSK部341により、符号化部310にて生成されたトレリス符号で位相制御されることで、上記トレリス符号が重畳される。
【0065】
このようにして、全域通過フィルタ330,340によって透かしデータが重畳された2つのキャリア信号は、合成部350にて1つの信号に合成された後、出力端子360より外部に出力される。
【0066】
次に、電子透かし検出装置400側の動作について説明する。
透かしデータが重畳されたキャリア信号は、入力端子410を通じて、分離部420に入力される。
【0067】
上記キャリア信号は、分離部420にて、左右のチャネルの信号に分離され、左のチャネルの信号は位相検出部430に出力され、一方、右のチャネルの信号は位相検出部440に出力される。
【0068】
位相検出部430に入力されたキャリア信号は、位相検出部430において、その位相が検出され、この位相は位相差検出部450に通知される。
一方、位相検出部440に入力されたキャリア信号は、位相検出部440において、その位相が検出され、この位相は位相差検出部450に通知される。
【0069】
そして、位相検出部430にて検出された位相と、位相検出部440にて検出された位相との差が、位相差検出部450にて検出される。これにより、電子透かし埋込装置300のPSK部331,341によって与えられたトレリス符号に基づく位相差(位相変化量)が検出される。
【0070】
上記検出された位相差は、復号部460に出力される。この位相差は、復号部460にてビタビ復号され、電子透かし埋込装置300側で埋め込まれた透かしデータが同定される。
【0071】
以上のように、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし埋込装置300において、左右のチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施すことで2つのキャリア信号を生成し、これらをそれぞれ同じ透かしデータに応じた位相変調することで、左右のチャネルの音楽信号に互いに同じ透かしデータを埋め込む。
【0072】
そして、電子透かし検出装置400においては、透かしデータを埋め込んだ左チャネルの音楽信号と、透かしデータを埋め込んだ右チャネルの音楽信号との位相差を検出することで透かしデータを検出するようにしている。
【0073】
したがって、上記構成の電子透かしシステムによれば、キャリア信号となる音楽信号に対して、透かしデータに応じた位相変調を行うことで、透かしデータを音楽信号に埋め込むため、高い密度で透かしデータを埋め込むことができ、これにより耐攻撃性を高めることができる。
【0074】
また、透かしデータが埋め込まれた音楽信号は、埋め込んだ透かしデータに伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、透かしデータの埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
【0075】
さらに、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし埋込装置300において、左右のチャネルの信号に透かしデータを埋め込み、そして、電子透かし検出装置400において、左右のチャネルの位相差を検出するようにしているので、時間伸張攻撃に対して高耐性を発揮することができる。
【0076】
そしてまた、上記構成の電子透かしシステムでは、電子透かし埋込装置300において、透かしデータをトレリス符号に変換してから音楽信号に埋め込み、電子透かし検出装置400において、ビタビ復号により透かしデータを復元するようにしているので、圧縮処理に対する高耐性を実現できる。
【0077】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、音楽信号を例に挙げて説明したが、映像信号など他のメディアの信号に適用することも可能である。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、電子透かし埋込装置において、情報信号に位相変調を施して周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号を生成し、このキャリア信号の位相変化パターンを電子透かし情報に応じて制御することで、キャリア信号に電子透かし情報を埋め込み、そして、電子透かし検出装置においては、電子透かし情報を埋め込んだキャリア信号と、上記位相変化パターンを有するリファレンス信号との位相差を検出することで電子透かし情報を検出するようにしている。
【0079】
したがって、この発明によれば、情報信号に対して周期的な位相変調を施して生成した周期的な位相変化パターンを有するキャリア信号に対し、上記位相変化パターンを制御することで電子透かし情報を埋め込むため、高い密度で情報信号に透かし情報を埋め込むことができ、これにより耐攻撃性が高い電子透かしシステム、電子透かし埋込装置および電子透かし検出装置を提供できる。
【0080】
またこれらは、電子透かし情報が埋め込まれた情報信号は、埋め込んだ電子透かし情報に伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、電子透かし情報の埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
【0081】
また、この発明では、電子透かし埋込装置において、例えば左右など2つのチャネルの音楽信号に対してそれぞれ周期的な位相変調を施して、周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号を生成し、これらをそれぞれ位相変調するが、その際、2つのキャリア信号間の位相差が電子透かし情報を示すようにそれぞれ制御して1つの電子透かし情報を埋め込む。そして、電子透かし検出装置においては、電子透かし情報が埋め込まれた2つのキャリア信号の位相差を検出することで、電子透かし情報を検出するようにしている。
【0082】
したがって、この発明によれば、2つの音楽信号に対して周期的な位相変調を施して生成した周期的な位相変化パターンを有する2つのキャリア信号に対し、これらの位相差が電子透かし情報を示すように上記位相変化パターンを制御して電子透かし情報を埋め込むため、高い密度で電子透かし情報を埋め込むことができ、これにより耐攻撃性が高い電子透かしシステム、電子透かし埋込装置および電子透かし検出装置を提供できる。
【0083】
またこれらは、電子透かし情報が埋め込まれた情報信号は、埋め込んだ電子透かし情報に伴って周波数が大きく変動することがないため、再生時に歪みが生じることがなく、電子透かし情報の埋め込みを視聴者に知覚させてしまうことがない。
さらに、時間伸縮攻撃が行われた場合、原信号を用いた電子透かし情報の検出は困難である。しかしながら、上記構成では上述したように、2つのキャリア信号に対し位相差が電子透かし情報を示すように上記位相変化パターンを制御して電子透かし情報を埋め込むため、時間伸縮攻撃が行われても、2つのキャリア信号の位相差から電子透かし情報を検出できるので、時間伸張攻撃に対して高耐性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる電子透かしシステムの第1の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】この発明に係わる電子透かしシステムの第2の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
100…電子透かし埋込装置、110…符号化部、120…全域通過フィルタ、121…PSK部(PSK)、130,131…出力端子、200…電子透かし検出装置、210,211…入力端子、220…周波数検出部、230,240…位相検出部、250…位相差検出部、260…復号部、300…電子透かし埋込装置、310…符号化部、320…分離部、330,340…全域通過フィルタ、331,341…PSK部(PSK)、350…合成部、360…出力端子、400…電子透かし検出装置、410…入力端子、420…分離部、430,440…位相検出部、450…位相差検出部、460…復号部。
図面
【図1】
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【図2】
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