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明細書 :有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4496359号 (P4496359)
公開番号 特開2004-296147 (P2004-296147A)
登録日 平成22年4月23日(2010.4.23)
発行日 平成22年7月7日(2010.7.7)
公開日 平成16年10月21日(2004.10.21)
発明の名称または考案の名称 有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法
国際特許分類 H05B  33/10        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
H05B  33/26        (2006.01)
H05B  33/28        (2006.01)
FI H05B 33/10
H05B 33/14 A
H05B 33/26
H05B 33/28
請求項の数または発明の数 8
全頁数 17
出願番号 特願2003-083913 (P2003-083913)
出願日 平成15年3月25日(2003.3.25)
審査請求日 平成18年3月22日(2006.3.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】谷口 彬雄
【氏名】市川 結
個別代理人の代理人 【識別番号】100074675、【弁理士】、【氏名又は名称】柳川 泰男
審査官 【審査官】池田 博一
参考文献・文献 特開2002-231444(JP,A)
特開2000-133151(JP,A)
特開平07-272849(JP,A)
国際公開第2005/104626(WO,A1)
調査した分野 H01L 51/00-51/56
H01L 27/32
H05B 33/00-33/28
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法:
(1)長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、該第一縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体、および長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、該第二縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体を用意する工程;
(2)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の露出端に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる工程;
(3)重ね合わされた第一積層体と第二積層体とを加圧し、かつ少なくとも一方の積層体の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程;
および、
(4)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【請求項2】
第一縞状電極層の長さ方向と、第二縞状電極層の長さ方向とが、各々の基板の長さ方向に対して40乃至85度の範囲の互いに同一の角度で傾斜している請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法。
【請求項3】
下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法:
(1)長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、該第一縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体、および長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、該第二縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体を用意する工程;
(2)第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる工程;
(3)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の露出端に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程;
および、
(4)接合された第一積層体と第二積層体とを幅方向に沿って切断する工程。
【請求項4】
第一縞状電極層の長さ方向と、第二縞状電極層の長さ方向とが、各々の基板の長さ方向に対して40乃至85度の範囲の互いに同一の角度で傾斜している請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法。
【請求項5】
下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法:
(1)長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体、および長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体を用意する工程;
(2)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる工程;
(3)重ね合わされた第一積層体と第二積層体とを加圧し、かつ少なくとも一方の積層体の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程;
(4)第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去することにより露出させる工程;
および、
(5)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【請求項6】
第一縞状電極層の長さ方向と、第二縞状電極層の長さ方向とが、各々の基板の長さ方向に対して40乃至85度の範囲の互いに同一の角度で傾斜している請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法。
【請求項7】
下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法:
(1)長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体、および長尺状基板の表面に、該基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体を用意する工程;
(2)第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる工程;
(3)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程;
(4)第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去することにより露出させる工程;
および、
(5)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【請求項8】
第一縞状電極層の長さ方向と、第二縞状電極層の長さ方向とが、各々の基板の長さ方向に対して40乃至85度の範囲の互いに同一の角度で傾斜している請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、基板表面に沿って複数個の有機エレクトロルミネッセンス素子が整列配置された構成を有する。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板表面に、第一電極層、有機発光材料層、そして第二電極層がこの順に積層された基本構成を有する。有機エレクトロルミネッセンス素子は、その一方の電極層から正孔を、そして他方の電極層から電子を有機発光材料層の内部に注入し、有機発光材料層の内部にて正孔と電子とを再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光、燐光)により発光する素子である。有機発光材料層の内部にて発生した光を素子の外部に取り出すために、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板と第一電極層とは透明とされる。
【0004】
有機発光材料層の内部にて再結合させる正孔と電子とのそれぞれを、有機発光材料層の内部に効率良く注入して、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くするために、有機発光材料層の一方の面に正孔輸送層もしくは電子輸送層を、あるいは有機材料層の一方の面に正孔輸送層を、そして他方の面に電子輸送層を付設することが知られている。正孔輸送層及び電子輸送層は、いずれも有機材料から形成される。
【0005】
第一電極層は、ITO(錫ドープ酸化インジウム)などの透明導電性材料から形成される。第二電極層は、マグネシウムなどの金属材料から形成される。第二電極層は、真空蒸着法やスパッタ法などにより、有機材料層の表面に直接形成される。
【0006】
第二電極層を真空蒸着法やスパッタ法などにより有機材料層の表面に直接形成すると、第二電極層を形成する金属の分子が有機材料層の表面に衝突するため、有機材料層にダメージを与えてピンホールを発生させるなどして、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光品質を低下させる。
【0007】
特許文献1には、例えば、基板上に電極層を介して正孔輸送層が付設された構成の第一の積層体と、基板上に電極層を介して有機発光材料層が付設された構成の第二の積層体とを、正孔輸送層もしくは有機発光材料層が軟化する温度下で圧着して貼り合わせることにより有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法が提案されている。この製造方法によれば、電極層を真空蒸着法やスパッタ法などにより有機材料層の表面に直接形成する必要がないために、有機材料層にダメージを与えないとされている。
【0008】
特許文献2には、矩形基板上に縞状電極層を介して正孔輸送層が付設された構成の第一の積層体と、矩形基板上に縞状電極層と有機発光材料層とを介して第一の積層体と同じ材料から形成された正孔輸送層が付設された構成の第二積層体とを、前記の矩形基板の幅方向と長さ方向のそれぞれの方向に沿って互いの位置をずらして貼り合わせることにより有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを製造する方法が記載されている。各々の積層体の縞状電極層は互いに直角に交差するように配置され、この縞状電極層が交差する部位のそれぞれに、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている。
【0009】
第一の積層体の縞状電極層の長さ方向は、矩形基板の幅方向に沿った方向に、そして第二積層体の縞状電極層の長さ方向は、矩形基板の長さ方向に沿った方向に設定されている。従って、第一積層体と第二積層体とを、矩形基板の幅方向と長さ方向とのそれぞれの方向に沿って互いの位置をずらして貼り合わせることにより、第一積層体の縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二積層体の縞状電極層の一方の側の端部近傍とが各々露出される。そして各々の縞状電極層の露出端に、外部電源が接続される。
【0010】
【特許文献1】
特許第2755216号公報
【特許文献2】
特開2002-203675号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、各々の積層体の基板として長尺状の基板を用い、二枚の積層体を連続して貼り合わせ、これを基板幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に生産する方法について検討した。その結果、このように作製される有機エレクトロルミネッセンス表示パネルにおいては、パネルの切断部において、一方の縞状電極層(基板の長さ方向に沿って延びる縞状電極層)の端部が二枚の基板に覆われてしまうために、この電極層と外部電源との接続が難しいことが判明した。
【0012】
本発明の目的は、有機材料層へのダメージが低減され、そして容易に外部電源と接続することができる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法にある。
(1)長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第一縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体、および長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体を用意する工程。
(2)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の露出端に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる工程。
(3)重ね合わされた第一積層体と第二積層体とを加圧し、かつ少なくとも一方の積層体の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程。
(4)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【0014】
以下、この有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法を、第一の製造方法と記載する。
【0015】
本発明はまた、下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法にもある。
(1)長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第一縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体、および長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体を用意する工程。
(2)第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる工程。
(3)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の露出端に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程。
および、
(4)接合された第一積層体と第二積層体とを幅方向に沿って切断する工程。
【0016】
以下、この有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法を、第二の製造方法と記載する。
【0017】
本発明はまた、下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法にもある。
(1)長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体、および長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体を用意する工程。
(2)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる工程。
(3)重ね合わされた第一積層体と第二積層体とを加圧し、かつ少なくとも一方の積層体の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程。
(4)第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去することにより露出させる工程。
(5)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【0018】
以下、この有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法を、第三の製造方法と記載する。
【0019】
本発明はまた、下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法にもある。
(1)長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体、および長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体を用意する工程。
(2)第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる工程。
(3)第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する工程。
(4)第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去することにより露出させる工程。
(5)第一積層体および第二積層体を、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断する工程。
【0020】
以下、この有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法を、第四の製造方法と記載する。
【0021】
上記の製造方法(第一の製造方法~第四の製造方法)の好ましい態様は、下記の通りである。
(1)第一縞状電極層の長さ方向と第二縞状電極層の長さ方向とが、各々の基板の長さ方向に対して40乃至85度の範囲の互いに同一の角度で傾斜している。
【0022】
なお、本明細書において、「縞状電極層が基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる」ことには、「縞状電極層が基板の長さ方向に対して直交する方向に延びる」ことも含まれる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法(第一の製造方法~第四の製造方法)においては、まず長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されている第一積層体と、長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されている第二積層体とが用意される。先ず、これらの積層体に備えられている縞状電極層について説明する。
【0024】
図1は、第一積層体の第一縞状電極層の構成例を示す斜視図である。図1に示すように、第一縞状電極層12は、長尺状基板11の表面に形成され、その長さ方向は、基板11の長さ方向に沿って傾斜する方向に設定されている。図1に記入したθ1 は、第一縞状電極層12の長さ方向19と、長尺状基板11の長さ方向18とのなす角度を示している。図1の縞状電極層の場合、θ1 は45度に設定されている。
【0025】
図2は、第二積層体の第二縞状電極層の構成例を示す斜視図である。図2に示すように、第二縞状電極層22は、長尺状基板21の表面に形成され、その長さ方向は、基板11の長さ方向に沿って傾斜する方向に設定されている。図2に記入したθ2 は、第二縞状電極層22の長さ方向29と、長尺状基板21の長さ方向28とのなす角度を示している。図2の縞状電極層の場合、θ2 は45度に設定されている。
【0026】
図3は、図1の長尺状基板11と、図2の長尺状基板21とを、各々の縞状電極層側を内側にして重ね合わせた場合の、第一縞状電極層と第二縞状電極層の配置を説明する図である。
【0027】
図3(a)に示すように、各々の縞状電極層の長さ方向は、長尺状基板の長さ方向に対して傾斜している。図3(b)に示すように、長尺状基板11と長尺状基板21とを、基板の長さ方向に揃えて互いに重ね合わせると、第一縞状電極層12と第二縞状電極層22とは、互いに交差する。従って、このような第一縞状電極層12と第二縞状電極層22との間に、上記の有機発光材料層を含む有機材料層が配置されれば、第一縞状電極層と第二縞状電極層とが交差する部位の各々に有機エレクトロルミネッセンス素子が配置された表示パネルが構成される。
【0028】
図3(b)に示すように、長尺状基板11と長尺状基板21とを、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせると、第一縞状電極層12の一方の側(手前側)の端部近傍は、基板21に覆われずに露出し、第二縞状電極層22の一方の側(奥側)の端部近傍は、基板11に覆われずに露出する。従って、いずれの縞状電極層もその一方の側の端部近傍が露出されるため、第一縞状電極層12および第二縞状電極層22のそれぞれと、外部電源とを容易に接続することができる。
【0029】
図3(b)に示すように二枚の長尺状基板が重ね合わされた状態では、例えば、電極層12dは、その全体が二枚の基板に覆われているために、外部電源との接続が困難である。そして、縞状電極層の長さ方向と、長尺状基板の長さ方向とのなす角度が小さくなるほど、電極層12dのように外部電源との接続が困難となる電極層の数が増加する。従って、各々の縞状電極層の長さ方向と、長尺状基板の長さ方向とのなす角度(図1と図2に示す角度θ1 とθ2 )は、40度以上であることが好ましい。
【0030】
また、縞状電極層の長さ方向と、長尺状基板の長さ方向とのなす角度が大きすぎると、第一縞状電極層12と第二縞状電極層22との交差する部位の各々に構成される有機エレクトロルミネッセンス素子が、より歪んだ平行四辺形の形状で発光する。従って、各々の縞状電極層の長さ方向と、長尺状基板の長さ方向とのなす角度は、85度以下であることが好ましい。
【0031】
図1~図3に示すように、各々の縞状電極層の長さ方向と、長尺状基板の長さ方向とのなす角度を45度に設定して、第一縞状電極層と第二縞状電極層との交差する部位の各々に構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を、四角形の形状で発光させることがさらに好ましい。
【0032】
長尺状基板11の第一縞状電極層12の上に、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層を、その分割面が頂面となるように形成することによって第一積層体が作製される。そして長尺状基板21の第二縞状電極層22の上に、前記有機材料層の他方の側の有機材料層を、その分割面が頂面となるように形成することによって第二積層体が作製される。
【0033】
このようにして用意された第一積層体と第二積層体とを、第一縞状電極層と第二縞状電極層との配置が図3(b)に示す配置となるようにして重ね合わせ、そして各々の積層体の有機材料層を互いに接合し、次いでこれを基板の幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に製造することができる。このような方法によって作製される有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、その有機材料層の表面に直接電極層が形成されないために有機材料層へのダメージが低減されており、そしてパネルの切断部にて電極層と外部電源とを接続する必要がないために、その各々の電極層と外部電源とを容易に接続することができる。
【0034】
次に、第一縞状電極層と第二縞状電極層の間に形成される有機材料層について説明する。有機材料層は、少なくとも有機発光材料層を含む一層あるいは二層以上の層から構成される。有機発光材料層には、前記の正孔輸送層や電子輸送層の他にも様々な層(例えば、これら各々の輸送層の有機発光材料層側とは逆の側の面に付設される正孔注入層や電子注入層など)を付設することが知られている。以下に、有機材料層の層構成の代表例を示す。
【0035】
(a)有機発光材料層
(b)正孔輸送層/有機発光材料層
(c)有機発光材料層/電子輸送層
(d)正孔輸送層/有機発光材料層/電子輸送層
【0036】
前記のように、正孔輸送層(電子輸送層)の有機発光材料層側とは逆の側の面には、正孔注入層(電子注入層)が付設されていてもよい。また、正孔輸送層(電子輸送層)と、有機発光材料層との間には、電子阻止層(正孔阻止層)が付設されていてもよい。有機材料層の各々の層を形成する材料などについては、後に詳しく記載する。このような構成の有機材料層は、各々の層の界面にて分割されてもよいし、あるいは所定の一層の厚み方向の途中の位置にて層の平面に沿って分割されていてもよい(例えば、有機材料層が上記(a)の層構成である場合、有機発光材料層が層の平面に沿って二つに分割される)。
【0037】
長尺状基板11の第一縞状電極層12の上には、前記のようにして分割された一方の側の有機材料層がその分割面を頂面として構成されるように、所定の有機材料層が形成される。そして長尺状基板21の第二縞状電極層22の上には、前記のようにして分割された他方の側の有機材料層がその分割面を頂面として構成されるように、所定の有機材料層が形成される。このようにして、各々の縞状電極層上に有機材料層を形成することにより、第一積層体と第二積層体とが用意される。
【0038】
次に、第一の製造方法について説明する。図4は、本発明に従う有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法(第一の製造方法)の一例について説明する図である。
【0039】
第一の製造方法では、先ず図4に示すように、長尺状基板41の表面に、基板41の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一縞状電極層42を介して、正孔輸送層43が、第一縞状電極層41の一方の側(手前側)の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体44と、長尺状基板51の表面に、基板51の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二縞状電極層を介して、有機発光材料層が、第二縞状電極層の一方の側(奥側)の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体54とを用意する。なお、第二積層体54の第二縞状電極層及び有機発光材料層は、基板51の第一積層体側の面に形成されている。
【0040】
図4を用いて説明する第一の製造方法においては、有機材料層は、正孔輸送層13と有機発光材料層との二層から構成され、分割面はこれらの層の界面とされている。そして第一縞状電極層42上に、このようにして分割された一方の側の有機材料層(正孔輸送層43)が形成され、第二電極層上には、分割された他方の側の有機材料層(有機発光材料層)が形成される。
【0041】
次に、図4に示すように、第一積層体44と第二積層体54とを、その正孔輸送層13側と有機発光材料層側とを内側として基板の長さ方向に揃えて各々の縞状電極層を互いに交差させ、そして第一縞状電極層42の露出端(手前側端部近傍)に第二積層体54が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端(奥側端部近傍)に第一積層体44が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる。
【0042】
そして重ね合わされた第一積層体44と第二積層体54とを加熱ロール61a及び61bによって加圧し、正孔輸送層43および有機発光材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体44の正孔輸送層43と第二積層体54の有機発光材料層とを互いに接合する。
【0043】
有機材料層(正孔輸送層もしくは有機発光材料層)の加熱温度が高すぎると、有機材料層同士を互いに接合する際に、軟化させた層の厚みが大きく変動する。逆に加熱温度が低すぎると、有機材料層同士を互いに強固に接合することができない。このため、有機材料層の加熱温度は、加熱により軟化させる層のガラス転移点±25℃の範囲にあることが好ましく、ガラス転移点±20℃の範囲にあることがより好ましい。
【0044】
このようにして接合された第一積層体と第二積層体とを、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に製造することができる。
【0045】
次に、第二の製造方法について説明する。第二の製造方法では、先ず長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第一縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第一積層体と、長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍を露出させるパターンで形成されている第二積層体とを用意する。第二の製造方法で用意する積層体の構成は、第一の製造方法で用意する積層体と同様である。
【0046】
次に、第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる。第二の製造方法では、第一積層体と第二積層体を重ね合わせる前に、有機材料層を軟化させる。従って、有機材料層は、加熱して軟化させても良いし、その表面に有機溶媒蒸気を接触させて軟化させてもよい。
【0047】
蒸気の発生に用いる有機溶媒の例としては、アルコール、およびケトンが挙げられる。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、およびイソプロピルアルコールが挙げられる。ケトンの例としては、アセトン、およびメチルエチルケトンが挙げられる。有機溶媒の種類は、有機材料層を形成する有機材料の溶解性などを考慮して、実験的に定められる。
【0048】
次いで第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の露出端に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の露出端に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する。
【0049】
このようにして接合された第一積層体と第二積層体とを、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に製造することができる。第二の製造方法は、第一積層体と第二の積層体とを重ね合わせる前に有機材料層を軟化させること以外は、第一の製造方法と同様にして実施される。
【0050】
次に、第三の製造方法について説明する。第三の製造方法では、先ず長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体と、長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体とを用意する。
【0051】
そして第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして重ね合わせる。
【0052】
次に、重ね合わされた第一積層体と第二積層体とを加圧し、かつ少なくとも一方の積層体の有機材料層を加熱して軟化させることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する。
【0053】
そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去する(例えば、有機材料層を有機溶媒に溶解させて除去する)ことにより露出させる。
【0054】
各々の電極層の端部近傍を露出させたにのち、第一積層体と第二積層体とを、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に作製することができる。第三の製造方法は、第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の積層体の有機材料層を互いに接合したのちに、前記端部近傍上に形成されている有機材料層を除去して露出させること以外は、第一の製造方法と同様にして実施される。
【0055】
次に、第四の製造方法について説明する。第四の製造方法では、先ず長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第一の縞状電極層を介して、少なくとも有機発光材料層を含む有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第一積層体と、長尺状基板の表面に、基板の長さ方向に対して傾斜する方向に延びる第二の縞状電極層を介して、前記有機材料層の他方の側の有機材料層が、その分割面を頂面として形成されてなる第二積層体とを用意する。第四の製造方法で用意する積層体の構成は、第三の製造方法で用意する積層体と同様である。
【0056】
そして第一積層体の有機材料層および第二積層体の有機材料層のうちの少なくとも一方の有機材料層を、その表面に有機溶媒蒸気を接触させるか、あるいは加熱することにより軟化させる。
【0057】
次に、第一積層体と第二積層体とを、各々の有機材料層側を内側として基板の長さ方向に揃えて第一縞状電極層と第二縞状電極層とを交差させ、そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第二積層体が重ならないように、かつ第二縞状電極層の一方の側の端部近傍上に第一積層体が重ならないようにして、互いの位置を基板幅方向に沿ってずらして加圧下に重ね合わせることにより、第一積層体の有機材料層と第二積層体の有機材料層とを互いに接合する。
【0058】
そして第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の上に形成された有機材料層を除去することにより露出させる。
【0059】
各々の電極層の端部近傍を露出させたにのち、第一積層体と第二積層体とを、互いに重ね合わされた状態で、基板幅方向に沿って切断していくことにより、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを連続的に製造することができる。第四の製造方法は、第一縞状電極層の一方の側の端部近傍と、第二縞状電極層の一方の側の端部近傍とを、各々の積層体の有機材料層を互いに接合したのちに、前記端部近傍上に形成されている有機材料層を除去して露出させること以外は、第二の製造方法と同様にして実施される。
【0060】
本発明の製造方法において、長尺状基板、第一縞状電極層、有機材料層、および第二縞状電極層を形成する材料などは、公知の有機エレクトロルミネッセンス素子の基板、第一電極層、有機材料層、および第二電極層と同様である。有機エレクトロルミネッセンス素子については、「有機LED素子の残された研究課題と実用化戦略」(ぶんしん出版、1999年)及び「光・電子機能有機材料ハンドブック」(朝倉書店、1997年)などに詳しい記載がある。以下では、長尺状基板、第一縞状電極層、有機材料層、そして第二縞状電極層を形成する代表的な材料などについて、簡単に説明する。
【0061】
第一積層体の長尺状基板、および第二積層体の長尺状基板のうちの少なくとも一方の基板は、有機発光材料層にて発光した光を外部に取り出すために透明とされる。透明な長尺状基板としては、例えば、透明樹脂フイルムが用いられる。有機材料層が雰囲気中の水分を吸湿して劣化することを防止するために、透明樹脂フイルムの表面には、その透明性が低下しない程度の厚みで低透湿膜を付設することが好ましい。低透湿膜の代表例としては、透明樹脂フイルムの透明性を損なわない程度に薄い厚みで形成された金属膜が挙げられる。金属膜は、その厚みを数10nm以下に設定すると、可視光透過性を示すようになる。他方の基板としては、上記透明樹脂フイルムの他に、金属シートなどを用いることができる。金属シートには、この金属シートと縞状電極層とが電気的に接続されないように、その表面に絶縁膜が付設されていることが好ましい。
【0062】
第一縞状電極層は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、導電性化合物、又はこれらの混合物などから形成される。第一縞状電極層を形成する材料の代表例としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)及びIZO(インジウム亜鉛酸化物)が挙げられる。
【0063】
第一縞状電極層の厚みは、1μm以下であることが一般的であり、200nm以下であることがより好ましい。第一縞状電極層の抵抗値は、数百Ω/sq.以下であることが好ましい。第一縞状電極層を形成する方法の例としては、真空蒸着法、直流(DC)スパッタ法、高周波(RF)スパッタ法、スピンコート法、キャスト法、LB法、パイロゾル法、およびスプレー法などが挙げられる。
【0064】
正孔輸送層の材料の例としては、テトラアリールベンジシン化合物、芳香族アミン類、ピラゾリン誘導体、トリフェニレン誘導体、および下記の化学式(1)で表されるNPDなどの正孔輸送性材料が挙げられる。
【0065】
【化1】
JP0004496359B2_000002t.gif【0066】
正孔輸送層の厚みは、2乃至200nmの範囲にあることが好ましい。正孔輸送層を形成する方法の例としては、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、および印刷法などが挙げられる。
【0067】
正孔輸送層には、その正孔移動度を改善するために、電子受容性アクセプタを添加することが好ましい。電子受容性アクセプタの例としては、ハロゲン化金属、ルイス酸、および有機酸などが挙げられる。電子受容性アクセプタが添加された正孔輸送層については、特開平11-283750号公報に記載がある。
【0068】
有機発光材料層は、有機発光材料から形成するか、キャリア輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または両性輸送性)を示す有機材料(以下、ホスト材料と記載する)に少量の有機発光材料を添加した材料から形成される。有機発光材料層に用いる有機発光材料の選択により、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色を容易に設定することができる。
【0069】
有機発光材料層を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、Alq3 (トリス-(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが用いられる。ホスト材料と共に用いる有機発光材料としては、添加量が少ないために、前記の有機発光材料の他に、単独では安定な薄膜を形成し難い蛍光色素なども用いることができる。蛍光色素の例としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、およびルブレンなどが挙げられる。ホスト材料の例としては、前記のAlq3 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、およびポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。また、上記のように、有機発光材料層を有機発光材料から形成する場合にも、発光色を調節するために、蛍光色素などの有機発光材料を少量添加することもできる。
【0070】
有機発光材料層の厚みは、実用的な発光輝度を得るために、200nm以下であることが好ましい。有機発光材料層は、正孔輸送層と同様の方法により形成することができる。
【0071】
電子輸送層の材料の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンピリレンなどの複素環テロラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、およびスチルベン誘導体などの電子輸送性材料が挙げられる。また、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)などのアルミキノリノール錯体を用いることもできる。
【0072】
電子輸送層の厚みは、5乃至300nmの範囲にあることが好ましい。電子輸送層は、正孔輸送層と同様の方法により形成することができる。
【0073】
第二縞状電極層は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金組成物、導電性化合物、又はこれらの混合物などから形成される。第二縞状電極層の材料の例としては、Al、Ti、In、Na、K、Mg、Li、Cs、Rbおよび希土類金属などの金属、Na-K合金、Mg-Ag合金、Mg-Cu合金、およびAl-Li合金などの合金組成物が挙げられる。
【0074】
第二縞状電極層の厚みは、1μm以下であることが一般的であり、200nm以下であることがより好ましい。第二縞状電極層の抵抗値は、数百Ω/sq.以下であることが好ましい。第二縞状電極層は、第一縞状電極層と同様の方法により形成することができる。
【0075】
上記の正孔輸送層と第一縞状電極層との間には、正孔注入層が付設されていてもよい。同様に、電子輸送層と第二縞状電極層との間には、電子注入層が付設されていてもよい。これらの注入層は、電極層からより多くの電荷(正孔もしくは電子)を輸送層に注入する機能を有している。また、注入層は、電極層表面の粗さを緩和したり、有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧を低下させる機能も有している。
【0076】
正孔注入層の材料の代表例としては、銅フタロシアニン(CuPc)が、そして電子注入層の材料の代表例としては、LiF(フッ化リチウム)などのアルカリ金属化合物が挙げられる。正孔注入層は陽極バッファ層と、電子注入層は陰極バッファ層とも呼ばれ、これらの層の詳細については、「有機LED素子の残された研究課題と実用化戦略」(ぶんしん出版、1999年、p44-45)などの文献に詳しく記載されている。
【0077】
また、正孔輸送層と有機発光材料層との間に、電子阻止層(電子障壁層とも呼ばれる)が付設されていてもよい。同様に、電子輸送層と有機発光材料層との間に正孔阻止層(正孔障壁層とも呼ばれる)が付設されていてもよい。正孔輸送層の有機発光材料層側に付設された電子阻止層は、有機発光材料層から電子が正孔輸送層の側に移動することを防止して、有機発光材料層の内部で正孔と電子とを効率よく再結合させ、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くする働きをする。同様に、電子輸送層の有機発光材料層側に付設された正孔阻止層は、有機発光材料層から正孔が電子輸送層の側に移動することを防止して、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くする働きをする。
【0078】
電子阻止層と正孔阻止層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子については、特開2002-313553号公報に記載がある。正孔阻止層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子については、特開2002-33197号、特開2002-100479号、および特開2002-184581号の各公報に記載がある。
【0079】
【実施例】
[実施例1]
長尺状の基板として、幅が5cm、長さが15cmのポリエステルフイルムを用意した。この基板の表面に、スパッタ法により厚さ150nmのITO(錫ドープ酸化インジウム)膜を形成した。ITO膜をパターニングすることにより、図1の第一縞状電極層12と同じパターンの第一縞状電極層を形成した。第一縞状電極層の長さ方向と、基板の長さ方向とのなす角度は、45度に設定した。
【0080】
第一縞状電極層が形成された基板の上に、この縞状電極層の一方の側の端部近傍が露出するように(基板端部から5mmの部分が露出するように)シャドーマスクを置いた。シャドーマスクの上から、前述のNPD(ガラス転移点が約95℃である正孔輸送性材料)を真空蒸着することにより、厚さ50nmのNPD膜を形成した。シャドーマスクを取り除いてNPD膜をパターニングすることにより、正孔輸送層を形成した。このようにして、長尺状基板の表面に、第一縞状電極層を介して正孔輸送層が付設された構成の第一積層体を用意した。
【0081】
第一積層体と同じ基板の表面にシャドーマスクを置いた。シャドーマスクの上から、スパッタ法により厚さ200nmのMg-Ag膜を形成した。シャドーマスクを取り除いてMg-Ag膜をパターニングすることにより、図2の第二縞状電極層22と同じパターンの第二縞状電極層を形成した。第二縞状電極層の長さ方向と、基板の長さ方向とのなす角度は、45度に設定した。
【0082】
第二縞状電極層が形成された基板の上に、この縞状電極層の一方の側の端部近傍が露出するように(基板端部から5mmの部分が露出するように)シャドーマスクを置いた。シャドーマスクの上から、前述のAlq3 (ガラス転移点が約180℃である有機発光材料)を真空蒸着することにより、厚さ50nmのAlq3 膜を形成した。シャドーマスクを取り除いてAlq3 膜をパターニングすることにより、有機発光材料層を形成した。このようにして、長尺状基板の表面に、第二縞状電極層を介して有機発光材料層が付設された構成の第二積層体を用意した。
【0083】
第一積層体と第二積層体とを、正孔輸送層側と有機発光材料層側とを内側にして基板の長さ方向を揃え、そして互いの位置を基板幅方向に沿って5mmずらして重ね合わせた。そして重ね合わせた二枚の積層体を、表面温度が75℃に設定された二本の加熱ロールの間を通過させることにより、第一積層体の正孔輸送層と第二積層体の有機発光材料層とを接合した。接合された第一積層体と第二積層体とを、長さ5cm毎に切断することにより、三枚の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを作製した。
【0084】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって連続的に作製される有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、その有機材料層の表面に直接電極層が形成されないために有機材料層へのダメージが低減されており、そしてパネルの切断部にて電極層と外部電源とを接続する必要がないために、その各々の電極層と外部電源とを容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に用いる第一積層体の第一縞状電極層の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の製造方法の実施に用いる第二積層体の第二縞状電極層の構成例を示す斜視図である。
【図3】図1の長尺状基板と、図2の長尺状基板とを、各々の縞状電極層側を内側にして重ね合わせた場合の、第一縞状電極層と第二縞状電極層の配置を説明する図である。
【図4】本発明に従う有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法(第一の製造方法)の一例について説明する図である。
【符号の説明】
11、21、41、51 長尺状基板
12、22、42 縞状電極層
12d 電極層
18、28 長尺状基板の長さ方向を示す矢印
19、29 縞状電極層の長さ方向を示す矢印
43 正孔輸送層
44 第一積層体
54 第二積層体
61a、61b 加熱ロール
θ1 、θ2 長尺状基板の長さ方向と、縞状電極層の長さ方向とのなす角度
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3