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明細書 :望遠鏡システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3086869号 (P3086869)
公開番号 特開平11-006966 (P1999-006966A)
登録日 平成12年7月14日(2000.7.14)
発行日 平成12年9月11日(2000.9.11)
公開日 平成11年1月12日(1999.1.12)
発明の名称または考案の名称 望遠鏡システム
国際特許分類 G02B 27/58      
G02B 23/00      
FI G02B 27/58
G02B 23/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 3
出願番号 特願平09-175248 (P1997-175248)
出願日 平成9年6月17日(1997.6.17)
審査請求日 平成9年6月17日(1997.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】有賀 規
審査官 【審査官】瀬川 勝久
参考文献・文献 特開 昭59-159120(JP,A)
特開 平6-223401(JP,A)
調査した分野 G02B 27/58
G02B 23/00
特許請求の範囲 【請求項1】
光の送受信用いる望遠鏡の接眼レンズ系に凹レンズを用い、有限距離を対象とする球面波の波面を、上記凹レンズに球面収差をもたせて上記望遠鏡の開口面で光軸より遠い程曲率が小さくなるように歪ませ、回折限界の光強度分布よりも狭い幅をもつ特殊な回折ビームを生成して、分解能を回折限界以上にすることを特徴とする望遠鏡システム。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は分解能が回折限界を上回る性能を発揮する望遠鏡システムに関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来、凸レンズの対物レンズ系と凹レンズの接眼レンズ系を有するガリレオ式望遠鏡においては、簡単なレンズ構成でありながら正立の虚像を得ることができるため、低価格の望遠鏡において頻繁に使用されてきた。

【0003】

【発明が解決しようする課題】しかしながら、上記ガリレオ式望遠鏡においては光の回折現象によって、望遠鏡の分解能(解像度)が決まってしまうため、光の回折現象の影響が顕著にならない範囲でしか望遠鏡を使用できないという問題を有していた。

【0004】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑みてなされたもので、光の送受信用いる望遠鏡の接眼レンズ系に凹レンズを用い、有限距離を対象とする球面波の波面を、上記凹レンズに球面収差をもたせて上記望遠鏡の開口面で光軸より遠い程曲率が小さくなるように歪ませ、回折限界の光強度分布よりも狭い幅をもつ特殊な回折ビームを生成して、分解能を回折限界以上にする望遠鏡システムを提供するものである。

【0005】

【発明の実施の形態】以下に本発明における一実施形態の構成を説明する。図1に示される接眼レンズ6に凹レンズを用いるガリレオ式望遠鏡を考える。対物レンズ5に対する接眼レンズ6の位置を変えることによって、対象物の距離に応じて無限遠及び有限距離に焦点を合わせることができる。これらの状態は各々望遠鏡の光ビームが平行ビーム(平面波)状態及び収束ビーム(球面波)状態になることに相当する。

【0006】
ここで、対物レンズ5及び接眼レンズ6の焦点距離を各々f1,f2(凹レンズの場合は負に定義)と、対物、接眼の両レンズの間隔をLとすると、L=f1+f2で平行ビーム、L>f1+f2で収束ビーム状態となる。ここでは望遠鏡を収束ビーム(球面波)状態にして有限距離の対象物を扱う。

【0007】
次に図1の接眼レンズ6として適度な球面収差を持った凹レンズを使用する。凹レンズの球面収差は負の球面収差であるので、光軸に近い中心部を通る光線より周辺部を通る光線の方が望遠鏡の焦点距離が短くなるように作用する。

【0008】
その結果、本望遠鏡の光ビームは、有限距離の物体を対象とする場合の球面波状態において、周辺にいく程曲率が小さくなるように歪んだ波面となる。その際における光線は図2のようになる。尚、図2において1は歪んだ球面、2は球面、3は光軸である。

【0009】
図2に示されるような特殊な光線の状態の場合、光の干渉効果により中心部に細い副ビーム状の強度の大きい回折ビームが生成される。正確には、フレネル積分によって任意の距離でのビーム内光強度分布を求めることができる。近似的には、次のようにして光強度分布が求まる。この光強度分布の中心部の幅が望遠鏡の分解能となる。

【0010】
強度の大きい副ビーム状の中心部の生成に注目すると、図2からも理解できるように、波面の各部分(軸対象のため環状になる)が、波面の法線の光軸3と交わる距離に最も寄与してベッセルビームが形成されると考えることができる。長い距離にわたって生成される回折ビームのうち遠距離の部分は望遠鏡の開口の外側の部分、近距離の部分は開口の内側の部分が各々生成に寄与している。

【0011】
ビームの中心部の形は非常に良い近似で0次ベッセル型のJ02となっており、光強度分布の半値幅(FWHM)をw0 とすると、J02が半値(1/2)となるのはJ0 の変数が1.125の時であるので、これを表すと数式(1)となる。

【0012】

【数1】
JP0003086869B2_000002t.gif【0013】但し、λは波長、zは対象物までの距離、ρa は開口内で最も寄与する第1フレネル帯(この場合環状になる)の平均半径である。ρa が開口半径aとなる開口端付近が寄与する距離では、数式(2)と表される。但し、Dは開口の直径である。

【0014】

【数2】
JP0003086869B2_000003t.gif【0015】一方、一般の望遠鏡の回折限界の分解能に相当する回折パターンは良く知られているように1次ベッセル型のJ12となり、その半値幅(FWHM)をw1 とすると、有限距離zでは数式(3)と表される。

【0016】

【数3】
JP0003086869B2_000004t.gif【0017】数式(2)、(3)より、w0 /w1 =2.25/π≒0.72となり、ビーム幅が回折限界の70%程度となり、その分だけ分解能が良くなることになる。数式(1)、(3)より、開口内半径ρa がρa ≧0.72aとなる開口周辺部の寄与する距離に対して超回折限界の分解能が得られることが分かる。(但し、遠距離になる程本回折ビームの主ローブの強度が小さくなるので、無限遠相当の距離に対しては本システムは有効でない。)

【0018】
従って、本発明の望遠鏡システムを用いた場合、上記の距離に対しては、従来の望遠鏡の回折限界の分解能を超えた、超高分解能を得ることができる。

【0019】

【実施例】本実施例では本発明の光学望遠鏡システムを用い、対物レンズ(口径10cm、焦点距離40cm)と、接眼レンズ(使用有効径1.25cm、有効径端での球面収差=-0.58mm)を用いた場合の正確なフレネル積分により得られたビーム内の光強度分布の例を示す。

【0020】
1kmの距離での本発明の望遠鏡システムによる光強度分布を、一般の望遠鏡で1kmにビームを集光した(1kmに焦点を合わせたことに相当)場合の光強度分布(図4)と比較できるように図3に示した。図3の主ローブの幅は、図4の回折限界の光強度分布の幅より小さく(≒80%)なっており、超回折限界の分解能となっていることが分かる。

【0021】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り、どのようにでも実施できる。

【0022】

【発明の効果】以上述べたように、本発明におけるにおいては、超回折限界の望遠鏡を光の送受信に用いたので、レーザー光等の送信に用いると従来以上の細い光ビームが遠距離で得られ、また、受信に用いると従来以上の高分解能が得られる等、多大な効果を奏する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3