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明細書 :[11C]ハロゲン化メチルの合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4238352号 (P4238352)
公開番号 特開2005-053803 (P2005-053803A)
登録日 平成21年1月9日(2009.1.9)
発行日 平成21年3月18日(2009.3.18)
公開日 平成17年3月3日(2005.3.3)
発明の名称または考案の名称 [11C]ハロゲン化メチルの合成方法
国際特許分類 C07C  17/10        (2006.01)
C07C  19/07        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
FI C07C 17/10
C07C 19/07
C07B 59/00
請求項の数または発明の数 14
全頁数 9
出願番号 特願2003-206541 (P2003-206541)
出願日 平成15年8月7日(2003.8.7)
審査請求日 平成17年8月31日(2005.8.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100080919、【弁理士】、【氏名又は名称】田崎 豪治
【識別番号】100082898、【弁理士】、【氏名又は名称】西山 雅也
審査官 【審査官】藤森 知郎
参考文献・文献 特開昭60-243034(JP,A)
特開昭62-126143(JP,A)
特開平11-171805(JP,A)
調査した分野 CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
C07B 59/00
C07C
特許請求の範囲 【請求項1】
有機溶媒に溶解したLiAlH4を細管内に導入した後、不活性ガスで大部分のLiAlH4溶媒溶液をパージして、残存するLiAlH4の薄膜を細管内面に形成させ、ついで11CO2ガスを導入して残存する該LiAlH4と反応させ、さらにハロゲン化水素酸もしくはハロゲン化水素ガスを導入して細管内で11CH3X(Xはハロゲン原子を示す)を製造することを特徴とする[11C]ハロゲン化メチルの合成方法。
【請求項2】
細管がループ状である請求項1記載の合成方法。
【請求項3】
細管の内径が0.1~4mmである請求項1もしくは2記載の合成方法。
【請求項4】
細管の少なくとも内側表面が耐食性材料からなる請求項1~3のいずれか記載の合成方法。
【請求項5】
有機溶媒がエーテルである請求項1記載の合成方法。
【請求項6】
エーテルがテトロヒドロフランである請求項5記載の合成方法。
【請求項7】
11CO2ガスが不活性ガスとともに導入される請求項1記載の合成方法。
【請求項8】
ハロゲン原子がヨウ素もしくは臭素である請求項1記載の合成方法。
【請求項9】
合成が終了した後に、合成に供された製造経路が自動的に洗浄、乾燥および不活性ガス置換される請求項1記載の合成方法。
【請求項10】
細管状反応器を含む合成反応部;該反応部に自動的に第1反応原料を注入する機構を有する第1注入部;該反応部に自動的に第2反応原料を注入する機構を有する第2注入部;ならびに合成反応後に合成に供された製造経路を自動的に洗浄,乾燥および不活性ガス置換する機構を有する自動洗浄部;を備えてなる [11C]標識薬剤自動合成装置。
【請求項11】
第1反応原料がLiAlH4、第2反応原料 がハロゲン化水素酸もしくはハロゲン化水素ガス、そして[11C]標識薬剤が[11C]ハロゲン化メチルである請求項10記載の自動合成装置。
【請求項12】
細管がループ状である請求項10記載の自動合成装置。
【請求項13】
細管の内径が0.1~4mmである請求項10~12のいずれか記載の自動合成装置。
【請求項14】
細管の少なくとも内側表面が耐食性材料からなる請求項10~13のいずれか記載の自動合成装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は11CH3I等の[11C]ハロゲン化メチル化合物の合成方法ならびにそれらの合成に適した自動合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医学、薬学、生化学等の分野において、PET(ポジトロン断層撮影診断法)は、生体機能の定量的な生理学的画像を得るための手段として有用である。11C、13N,15O等のポジトロン放出核種は、生物学的に活性なトレーサー中にその化学的挙動に影響を与えないで導入できるからである。PETにおいて用いられるポジトロン放出核種のうち、11Cによる被標識化合物の標識化は、通常11Cヨウ化メチル(11CH3I)を標識化剤として用いるが、11Cの半減期が20.4分と短いため、必要に応じて使用現場で迅速に合成することが必要である。
【0003】
従来、11CH3I合成には11CO2 を出発物質として、LiAlH4/THFおよびHIとの反応により11CH3Iを得る古典的LAH(=LiAlH4)法が最も一般的である。この方法においては高収率で、しかも安定的に11CH3Iが得られるが、難点は準備作業が大変であること、高い比放射能が得られにくいこと、繰り返し製造にも不向きなことである。これに対し、11CH4 を出発物質とし、I2 との反応により直接11CH3Iを製造するヨウ素法は、繰り返し製造に適し、準備作業が簡単で、高比放射能化に適している等の利点を有する。しかし、この方法は、第1段階で11CO2を製造し、その後で触媒により、11CH4 に変換し、これをI2 蒸気と一緒に石英製反応管内を循環させることにより11CH3Iを生成させ、それを捕集して利用する方法である。この方法の難点は、11CO2 による汚染が避けられず、比較的高温でI2 蒸気を循環させるため、7~8回の製造でI2 を交換する必要があり、循環などの作業のため時間がかかることである。さらに、この方法で得られる11CH3Iの収量は、LiAlH4を用いる一般的な方法に比べ、数分の一程度と低い点が問題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来法の難点を克服し、LiAlH4を用いて繰り返し製造に適し、準備作業が簡単であり、高比放射能が期待でき、しかも高収率を維持しうる[11C]ハロゲン化メチルの合成方法、ならびにそれらの合成に適した自動合成装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機溶媒に溶解したLiAlH4を細管内に導入した後、不活性ガスで大部分のLiAlH4溶媒溶液をパージして、残存するLiAlH4の薄膜を細管内面に形成させ、ついで11CO2ガスを導入して該LiAlH4と反応させ、さらにハロゲン化水素酸もしくはハロゲン化水素ガスを導入して細管内で11CH3X(Xはハロゲン原子を示す)を製造することを特徴とする[11C]ハロゲン化メチルの合成方法を要旨とする。さらに、本発明は、LiAlH4溶液およびHI溶液等の自動供給機能、製造ラインの自動洗浄/乾燥/不活性ガス置換機能を付加することにより、簡便に11CH3X等を繰り返し製造することのできる装置を要旨とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず有機溶媒に溶解したLiAlH4が細管内に導入される。細管としては好適にはループが用いられる。ループは、内径が0.1~4mm程度、好ましくは0.5~1mm程度のチューブを円筒状に巻いてループ形状としたものであり、好適にはその少なくとも内側表面がポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン等の耐食性材料からなる。チューブ長さは100~500mm程度であり、環状部分の長さは、通常10~50mm程度であり、環状部の外径は通常20~40mm程度である。
【0007】
溶媒としては好適には種々のエーテル類が挙げられるが、沸点の点からテトラヒドロフラン(THF)が好適である。LiAlH4の濃度は特に制限されないが、通常0.01~1M程度から選ばれ、好適には0.05~0.2Mである。LiAlH4溶液の導入量は、経路内に残留する可能性のある水分を除去する意味も含め、0.5~1mL程度が好適であり、分割導入しうる。その後で、不活性ガスを、たとえば10~30mL/分、好適には20mL/分程度、で0.1~3分間程度、好適には2分間程度、導入することにより大部分のLiAlH4溶媒溶液をパージして、LiAlH4の薄膜を細管内面に形成させる。不活性ガスとしてはヘリウム、窒素が好適であり、十分に乾燥したものを用いるのが好適である。この際、過度のガス導入はLiAlH4の失活を招くので好ましくない。また、LiAlH4溶液の除去が不十分であったり、高濃度のLiAlH4溶液を用いると比放射能の低下を招くので好ましくない。
【0008】
ついで、11CO2ガスを不活性ガスとともに好適にはたとえば20mL/分で20~60秒程度導入して残存するLiAlH4と反応させる。この導入の完了を備え付けの放射線センサーで確認した後、さらにハロゲン化水素酸もしくはハロゲン化水素ガスを導入して細管内で11CH3X(Xはハロゲン原子を示す)を製造する。Xとしてはヨウ素もしくは臭素が好適である。たとえば、30μL程度の濃HI溶液をループ内に導入し、バルブ(好ましくは6方バルブもしくは2組の3方バルブ)を閉じてループ内を加熱して11CH3Iを製造する。反応終了後、生成した11CH3Iに窒素ガスを流すことにより、冷却した溶媒中に取り出す。この際に、必要に応じてP25/アスカライト(商標)(水酸化ナトリウム系の二酸化炭素吸収剤)カラムのような精製カラムを通過させることにより11CO2および水分を除去し、メチル化用の反応容器に冷却しながら捕集することにより、直接に目的物([11C]標識化合物)を得ることもできる。本発明においては、1回の合成で使用する濃HI溶液等がたとえば通常数十μLと極めて少ないので、上記のように精製カラムを使用する場合にも、カラムを交換することなく多数回の合成に利用しうる。
【0009】
さらに本発明において、合成が終了した後に、合成に供された製造経路が自動的に洗浄、乾燥および不活性ガス置換されるように構成するのが好適である。そのために、後述するように気密性、耐食性、耐圧性に優れ、デッドボリュームの少ない細管とその保持機構が重要であり、簡便さ、繰り返し製造を可能にするには原料の自動注入、自動洗浄・乾燥・不活性ガス置換機構を備えるのが好適である。すなわち、本発明における自動合成装置は、細管状反応器を含む合成反応部;該反応部に自動的に第1反応原料を注入する機構を有する第1注入部;該反応部に自動的に第2反応原料を注入する機構を有する第2注入部;ならびに合成反応後に合成に供された製造経路を自動的に洗浄,乾燥および不活性ガス置換する機構を有する自動洗浄部;を備えてなり、上記の[11C]ハロゲン化メチル 等の[11C]標識薬剤の自動合成装置として最適である。
【0010】
以下、図面により本発明の好適な実施態様についてさらに詳細に説明する。図1は本発明において使用される自動合成装置の一例を示す系統図である。さらに、図2は本発明において11C標識放射薬剤の製造に適した装置の一例を示す。
【0011】
図1において、自動合成装置はB1~B4の4個のブロックから構成されており、11Cの通過する主要ルートおよびLiAlH4/THFの流れる経路は外径約1.6mm(1/16インチ)、内径0.75mm程度のポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(商標))チューブで接続されている。これらの経路は空気や水分の混入を防ぐため、高い気密性が保持されるようになっている。これらのブロックB1~B4のうち、B2が本発明の核心部であり、B1、B3およびB4は、本発明において繰り返し製造、自動洗浄・乾燥、作業の簡便性、高比放射能化、高収量化、放射線被ばくの低減等を効率良く達成するためにB2を助けるものである。
1.ブロックB1~B4
(1)ブロックB2
ループ状細管(ポリテトラフルオロエチレン製)(1)にLiAlH4の溶媒(THF)溶液(以下、LAH/THFということがある)(0.2M、500μL)を導入後、20mL/分でN2ガスパージを2分間行い、この操作をもう1回繰り返す。こうしてループ状細管1の内面に形成されたLAH/THF薄膜に、サイクロトロンで製造した11CO2/N2ガスを導入する(たとえば20mL/分の流速で40秒程度)。ついで、たとえば30μL程度の濃HI溶液を窒素ガスでゆっくり導入し(たとえば20mL/分の流速で23秒程度)、ループを密閉した後に150℃に加熱し、5分間程度維持して11CH3Iを生成させる。
【0012】
このブロックB2においては、次のような問題が生じやすい:1)少量で、しかも比較的薄いLAH溶液を用いているため、リークが生じると水分、空気中の炭酸ガスの影響でLAHが失活し、反応が全く進行しなかったり、進行しても比放射能を低下させてしまう。2)濃HI溶液を加熱するので使用するパーツ類が容易に腐食し易い。さらに、そのときに細管内の圧力がたとえば5気圧程度まで上昇する。3)残存LAHは容易に析出物となり、狭いガス流路を閉塞する。
【0013】
これらの問題を解決するために、本発明においては、六方バルブ(2)および六方バルブ(3)を特殊仕様の耐食耐圧エア駆動バルブ(好適にはポリテトラフルオロエチレン製)とし、経路内のデッドボリュ-ムを極力減らすようにするのが好適である。この観点から継ぎ手はデッドボリュ-ムのないオシネタイプが好適である。バルブは1~2回の製造ごとに交換するのであれば、市販の耐食バルブを使用しうる。なお、六方バルブ(3)はHI溶液加熱中の圧力上昇に耐えるために挿入されている。
(2)ブロックB1
ブロックB1はLAH/THF溶液の自動注入部の役割を有する。エアシリンダー駆動注射器(4)と電磁バルブ(5)(ポリテトラフルオロエチレン製)を作動させ、ガラス瓶(6)からLAH/THF溶液を1回500μL程度吸入するとともに六方バルブ(2)を経由してループ状細管(1)に押出す。ついで、電磁バルブ(7)(ポリテトラフルオロエチレン製)経由で窒素ガスを送り出し(20mL/分)、ループ状細管(1)のLAH/THF溶液をパージし、ループ状細管(1)内面に薄膜を形成させる。テドラーバッグ(8)は、この作動時にガラス瓶(6)が陰圧になり、空気が混入することによりLAHが失活するのを防ぐために利用される。このテドラーバッグ(8)は予め高純度の窒素ガスを充填して用いるのが好適である。このブロックB1も気密性と不活性雰囲気の保持に有効である。
(3)ブロックB3
ブロックB3はHIの自動注入部の役割を有する。一定量のHI溶液をエアシリンダー駆動注射器(9)と六方バルブ(10)(特殊仕様の耐食耐圧エア駆動バルブ。好適にはポリテトラフルオロエチレン製)を作動させ、ポリテトラフルオロエチレン製のループ状細管(11)に採取した後に、電磁バルブ(12)(ポリテトラフルオロエチレン製)、六方バルブ(10)、(3)および三方バルブ(13)(特殊仕様の耐食耐圧エア駆動バルブ。好適にはポリテトラフルオロエチレン製)をオンにして流速2mL/分で23秒間送り出すことにより、HIをループ状細管(1)に移動させるために利用する。このブロックB3は特に水分、空気を嫌うわけではないが、強酸であるHIを利用するので、テドラーバッグ(14)を設け、酸蒸気が外部に漏れるのを防止している。
(4)ブロックB4
ブロックB4は1回の合成終了によりLAH,HI、反応生成物等で汚染される経路を自動的に洗浄・乾燥する役割を有するブロックであり、気密性等に関してはそれほど厳密である必要はない。合成終了後に、0.1NのHCl/アセトンを20mL/分程度で約1分間送液することにより、三方バルブ(13)、六方バルブ(3)、六方バルブ(2)およびループ状細管(1)ラインの洗浄を行う。引き続き、純アセトンを同様に20mL/分程度で約40秒間送液する。ついで、ループ状細管(1)を190℃程度まで加熱し、約50mL/分の流速で窒素ガスを約10分間流通させ、さらにヒーターをオフにして5分間ガスを流し続ける。ついで、次の回の合成を再開することができる。
2.一連の合成の開始前における準備および全合成終了後の作業
当日の全合成終了時には、特にLAH/THF注入経路の保守方法が重要である。LAH/THF入りのガラス瓶(6)を純粋な乾燥THFを入れたガラス瓶に置き換え、上述のようにエアシリンダー駆動注射器(4)、電磁バルブ(5)および六方バルブ(2)を作動させ、LAH注入経路をTHFで置き換え、さらに窒素ガスで置換し保管する。さらに、HI,0.1NのHCl/アセトン注入経路も必要に応じてガラス瓶をアセトン瓶に置換し、さらに窒素ガスで置換して保管する。合成の開始に当たっては、予め空ガラス瓶をセットし、経路のリーク試験を行った後、窒素ガスで十分に経路の置換を行い、それぞれの試薬を封入したガラス瓶を所定の場所にセットする。この際には、LAH/THFガラス瓶(6)、テドラーバッグ(8)、テドラーバッグ(15)および廃液ガラス瓶(16)は予め十分に窒素ガス置換を行っておくのが好適である。
3.合成手順
1)発明において使用する合成装置において、経路内にリークがないことを確認する。
【0014】
2)ヒーターをオンにして不活性ガスを流しながら主要経路の乾燥と不活性ガス置換を行う。
【0015】
3)試薬類の入った瓶を図1および図2に示される所定の場所にセットする(当日の初回合成時のみ)。
【0016】
4)LAH/THFガラス瓶(6)から六方バルブ(2)(オン状態)、廃液ガラス瓶(16)の経路をエアシリンダー駆動注射器(4)およびバルブ(5)を動作させて窒素ガス置換した後(当日の初回合成時のみ)、針を溶液内に差込み、LAH/THF溶液約0.5mLをループ状細管(1)に導入する。窒素ガスをバルブ(7)経由で2分間程度流す。この操作をもう一度繰り返し、大部分のLAH/THF溶液を廃液ガラス瓶(16)に流し出すとともにTHFを留去した後に、六方バルブ(2)をオフにする。
【0017】
5)11CO2を六方バルブ(3)をオンにして窒素ガスとともにループ状細管(1)内に導入し、残留LAHと反応させる。
【0018】
6)11CO2の導入終了後、電磁バルブ(12)、六方バルブ(10)および三方バルブ(13)をオンにし、30μLのHI(事前にエアシリンダー駆動注射器(9)を動作させてループ状細管(11)に貯えていたもの)を窒素ガスでループ状細管(1)内に導入する。六方バルブ(3)をオフにしてループ状細管を閉鎖系にした後、加熱して190℃で5分間程度維持する(電磁バルブ(12)オフ)。
【0019】
7)三方バルブ(13)をオフ、六方バルブ(3)をオンにして生成した11CH3Iを、冷却したメチル化用反応容器に捕集する。
4.洗浄手順
1)三方バルブ(13)、電磁バルブ(17)(ポリテトラフルオロエチレン製)、六方バルブ(10)および六方バルブ(3)をオンにし、0.1NのHCl/アセトンでHI用ループ状細管(11)、LAH/THF用ループ状細管(1)、その他の主要経路を洗浄する。
【0020】
2)経路をアセトンで置換し(電磁バルブ(17)オフ、(18)オン)、同様に経路を洗浄する。
【0021】
3)洗浄終了後(電磁バルブ(18)(ポリテトラフルオロエチレン製)オフ)、電磁バルブ(12)をオンにしてループ状細管(1)を加熱しながら窒素ガスで洗浄ラインを乾燥する。
【0022】
4)乾燥終了後、バルブを初期位置に戻し、合成を繰り返す。
5.合成結果
約300mCiの11CO2を出発原料として、81mCiの11CH3Iを16Ci/μmolの比放射能で、約15分の合成時間で得ることができた(繰り返し数n=3)この結果は、収量についてはLAHを用いる古典的な方法に、そして比放射能についてはヨウ素法に匹敵、またはそれを超え得ることを示しており、それぞれの方法の優れた点を併せ持つ方法であることが示された。合成に先立ち、試薬類をセットした後はガラス瓶の交換以外に特別に手を加えることなく、上記の収量および比放射能で11CH3Iを1時間間隔で4回合成することも可能であった。合成に先立ちセットする試薬類の量を増やすことにより、さらに多くの回数の合成が可能である。合成終了後に、合成経路およびLAH/THF経路を有機溶媒で自動的に洗浄し、乾燥することにより、翌日以降の合成にもLAHを経路内に沈着させることなく合成可能であった。このように、本発明によれば、高収量、高比放射能、繰り返し合成、作業の簡便性、作業者の放射線被爆の低減等を達成しうる。
【0023】
さらに、本発明に係る方法および装置は、11C‐メチル化反応容器、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、調剤装置と組合わせることにより、容易に静脈注射可能な高比放射能11C標識薬剤の高収量・繰り返し合成に利用し得る。この1例を11CO2を供給部とともに図2に示す。
【0024】
このようにして合成した[11C]CH3Iを用いて、ベンゾジアゼピン受容体の部分インバースアンタゴニストである、臨床利用可能な[11C]Ro15-4513を得ることができた(図3)。図3から分かるように、本発明で得られた[11C]CH3Iを用いて[11C]Ro15-4513が非常に高い収率で得られている。また、対応する非放射性のRo15-4513のピークが非常に小さいことから比放射能が極めて高いことが推察される。この[11C]Ro15-4513に対応するフラクションを分取し、溶媒を除いた後、生理食塩水で溶解し、滅菌濾過を行うことにより最終製剤とし得る。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、LiAlH4を用いて繰り返し製造に適し、準備作業が簡単であり、高比放射能が期待でき、しかも高収率を維持しうる[11C]ハロゲン化メチルの合成方法、ならびにそれらの合成に適した自動合成装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用される自動合成装置の一例を示す系統図。
【図2】本発明において11C標識放射薬剤の製造に適した装置の一例を示す。
【図3】得られた11C標識放射薬剤の分離クロマトグラムの一例を示す。
【符号の説明】
1…ループ状細管
2…六方バルブ
3…六方バルブ
4…エアシリンダー駆動注射器
5…電磁バルブ
6…LAH/THFガラス瓶
7…電磁バルブ
8…テドラーバッグ
9…エアシリンダー駆動注射器
10…六方バルブ
11…ループ状細管
12…電磁バルブ
16…廃液ガラス瓶
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2