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明細書 :超短パルス光のための位相共役鏡とそれを用いた光増幅器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4492922号 (P4492922)
公開番号 特開2005-070108 (P2005-070108A)
登録日 平成22年4月16日(2010.4.16)
発行日 平成22年6月30日(2010.6.30)
公開日 平成17年3月17日(2005.3.17)
発明の名称または考案の名称 超短パルス光のための位相共役鏡とそれを用いた光増幅器
国際特許分類 G02F   1/35        (2006.01)
H01S   3/108       (2006.01)
FI G02F 1/35
H01S 3/108
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2003-208727 (P2003-208727)
出願日 平成15年8月25日(2003.8.25)
審査請求日 平成18年8月15日(2006.8.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】尾松 孝茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100107009、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 隆生
審査官 【審査官】植田 高盛
参考文献・文献 T. Omatsu, M.J. Damzen,Multi-watt CW output from a double-pass diode side-pumped Nd:YVO4 amplifier with a Rh:BaTiO3 phase conjugator,Optics Communications,2001年10月15日,vol.198,pp.135-139
Arnaud Bringnon, Jean-Pierre Huignard,Rhodium-Doped Barium Titanate Nolinear Mirror for High Beam Quality Pulsed Nd:YAG Lasers,Proceedings of the IEEE,1999年12月,vol.87, no.12,pp.2050-2058
調査した分野 G02F 1/29-7/00
JST Plus, JST7580(JDreamII)
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特許請求の範囲 【請求項1】
フォトリフラクティブ材料の固体媒質と、焦点距離f2 の第1のレンズと、焦点距離f2 の第2のレンズと、第1のレンズの通過光を反射する第1の鏡と、第2のレンズの通過光を反射する第2の鏡とからなり、該第1のレンズと該第2のレンズは該固体媒質の中心から夫々の焦点距離f2 だけ離間して配置され、該第1のレンズの光軸と該第2のレンズの光軸は互いに略25度の小さい角度θで配置され、該第1の鏡と該第2の鏡は互いに光反射する向きに配置され、該固体媒質の前方には、レーザー素子から異なる波長の信号光が入射される回折格子もしくはプリズムと焦点距離f1 の第3のレンズが配置され、該第3のレンズは該プリズムの中心と固体媒質の中心から夫々の焦点距離f1 だけ離間して配置され、該第1の鏡と該第2の鏡と該固体媒質内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成してなることを特徴とする波長毎に分離した一桁のピコ秒の超短パルス光のための位相共役鏡。
【請求項2】
フォトリフラクティブ材料の固体媒質と、第1の凹面鏡と、第2の凹面鏡と、反射鏡とからなり、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡は該固体媒質の中心からそれぞれ両凹面鏡の離間距離と略等しい距離だけ離れて配置され、該反射鏡は該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡との中間にそれぞれの焦点距離だけ離間して配置され、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡は反射鏡を介して互いに光反射する向きに配置され、該固体媒質の前方には、レーザー素子から異なる波長の信号光が入射される回折格子もしくはプリズムと第3の凹面鏡が配置され、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡と該固体媒質内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成してなることを特徴とする波長毎に分離した一桁のピコ秒の超短パルス光のための位相共役鏡。
【請求項3】
入力信号源であるレーザー光源と、偏ビームスプリッターと、ファラデー回転子と、第1の半波長板と、鏡と、第1のシリンドリカルレンズと、励起ダイオードで励起される増幅器と、第2のシリンドリカルレンズと、第2の半波長板と、レンズと、超短波パルス光のための上記請求項1または請求項2に記載の位相共役鏡とからなり、かつ、これらが順次接続され、該偏ビームスプリッターから出力光が出射されることを特徴とする一桁のピコ秒の超短パルス光のための光増幅器。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密加工に利用可能な高出力レーザーを得ることができる超短パルス光のための位相共役鏡とそれを用いた光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超短パルスレーザーによる精密加工が注目を集めているが、超短パルスレーザー発振器自身での出力はたかだか数Wである。このため、一般には増幅器を組み合わせ高出力化している。従来、ナノ波やCW(連続波)領域では位相共役鏡による波面補償をおこなうものが種々提案され実現されていた。
【0003】
位相共役波の発生は記録されたホログラムの実像再生と同じである。図1にその概要を示しているが、図において、信号光E1 と前進励起光E2 、後進励起光E3 を固体媒質に入射することにより、位相共役波E*23 のホログラムが実像再生させられる。そして、記録再生を同時に行なうホログラムという意味でリアルタイムホログラムとも呼ばれる。
【0004】
信号光を位相共役鏡で時間反転した位相共役波は、図2の位相共役鏡を用いた光増幅器の基本図に示すように、普通の反射波と違い、時間反転した光で、入射した元の状態に戻す性質がある。その結果、きれいな光ではあるがパワーが小さい入射信号光は位相共役鏡で反射されることにより、波面を歪ませる媒質(例えば、励起エネルギーで増幅される増幅器等)を一往復すると歪みがなかったかのように元の波面に戻るが、強度や振幅は元に戻ることはなく、きれいな光でかつパワーも大きい増幅光が出射される。
【0005】
従来、よく用いられている位相共役鏡は、図11に示すように、例えばRh:BaTiO3 の固体媒質11のみで構成され、レーザーからの信号を入射すると、固体媒質11中で荒いホログラムと細かいホログラムが生じ、それらをの合成となる位相共役波が出射される。このタイプでは、図12に示すように、利用可能な利得はスペクトル幅が0.4nm程度の範囲にすぎない。
【0006】
このような位相共役鏡を用いて、ナノ波やCW(連続波)領域では位相共役鏡による波面補償を行なうもので、特に、石英ガラスを大出力レーザ用の固体媒質SBS位相共役鏡として用いる高出力レーザパルス位相補償装置に関する発明も提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、この発明は誘導ブリルアン散乱を使用したナノ波を対象とするものであり、ピコ秒の超短パルス光を対象とするものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11-149098号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のものは、増幅器を通過したレーザー光は出力こそ大きくなるものの、位相共役鏡が示すスペクトルフィルタリング効果(波長選択性)により、発生する位相共役波は入射したパルスより周波数幅が狭く、また、パルス幅も広くなり、入射パルスに含まれる有用な情報がカットされる原因となり、ビーム品質の低下は避けらず、ピコ秒の超短パルス光に対して実用レベルの反射率を示す位相共役鏡は存在しなかった。
【0009】
超短パルス光はスペクトル幅が広いので、パルス幅が広がったり、位相共役鏡から光が戻ってこなかったりする、所謂、反射率の低下をきたしかねないので、広いパルス幅をもつ光に対して動作する広い利得帯域を必要とする。そこで本発明は、超短パルス光のための位相共役鏡とそれを用いた光増幅器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る超短パルス光のための位相共役鏡は、フォトリフラクティブ材料の固体媒質と、焦点距離f2 の第1のレンズと、焦点距離f2 の第2のレンズと、第1のレンズの通過光を反射する第1の鏡と、第2のレンズの通過光を反射する第2の鏡とからなり、該第1のレンズと該第2のレンズは該固体媒質の中心から夫々の焦点距離f2 だけ離間して配置され、該第1のレンズの光軸と該第2のレンズの光軸は互いに略25度の小さい角度θで配置され、該第1の鏡と該第2の鏡は互いに光反射する向きに配置され、該固体媒質の前方には、レーザー素子から異なる波長の信号光が入射される回折格子もしくはプリズムと焦点距離f1 の第3のレンズが配置され、該第3のレンズは該プリズムの中心と固体媒質の中心から夫々の焦点距離f1 だけ離間して配置され、該第1の鏡と該第2の鏡と該固体媒質内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成して波長毎に分離した一桁のピコ秒の超短パルス光のための位相共役鏡を構成する。
【0011】
これにより、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡は、等倍結像光学系を外部に付加して外部共振器を構成することにより、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができ、異なる波長の光を波長毎に違う位置にホログラムが記録できるように、回析格子あるいはプリズムとレンズを用いて波長を空間的に分離処理し、ホログラム全体のコントラストの低下を防ぐことができ、超短パルスのきれいな信号光を位相共役鏡で時間反転した波長毎の位相共役波が入射した元の状態に戻されることになる。
【0016】
この発明の請求項に係る超短パルス光のための位相共役鏡は、フォトリフラクティブ材料の固体媒質と、第1の凹面鏡と、第2の凹面鏡と、反射鏡とからなり、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡は該固体媒質の中心からそれぞれ両凹面鏡の離間距離と略等しい距離だけ離れて配置され、該反射鏡は該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡との中間にそれぞれの焦点距離だけ離間して配置され、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡は反射鏡を介して互いに光反射する向きに配置され、該固体媒質の前方には、レーザー素子から異なる波長の信号光が入射される回折格子もしくはプリズムと第3の凹面鏡が配置され、該第1の凹面鏡と該第2の凹面鏡と該固体媒質内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成して波長毎に分離した一桁のピコ秒の超短パルス光のための位相共役鏡を構成した。
【0017】
これにより、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡は、結像光学系に屈折光学素子を用いず反射光学素子を用いることも可能とし、等倍結像光学系を外部に付加して外部共振器を構成することにより、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができ、異なる波長の光を波長毎に違う位置にホログラムが記録できるように、回析格子あるいはプリズムとレンズを用いて波長を空間的に分離処理し、ホログラム全体のコントラストの低下を防ぐことができ、超短パルスのきれいな信号光を位相共役鏡で時間反転した波長毎の位相共役波が入射した元の状態に戻されることになる。
【0021】
この発明の請求項に係る超短パルス光のための位相共役鏡を用いた光増幅器は、入力信号源であるレーザー光源と、偏ビームスプリッターと、ファラデー回転子と、第1の半波長板と、鏡と、第1のシリンドリカルレンズと、励起ダイオードで励起される増幅器と、第2のシリンドリカルレンズと、第2の半波長板と、レンズと、超短波パルス光のための上記請求項1または請求項2に記載の位相共役鏡とからなり、かつ、これらが順次接続され、該偏ビームスプリッターから出力光が出射されることを特徴とする一桁のピコ秒の超短パルス光の出力光が出射される構成とした。
【0022】
これにより、等倍結像光学系を外部に付加して外部共振器を構成することにより、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができ、超短パルスのきれいな信号光を位相共役鏡で時間反転した位相共役波は、入射した元の状態に戻され、励起エネルギーで増幅される増幅器等の波面を歪ませる媒質を一往復することにより、強度や振幅は増幅された状態で歪みがなかったかのように元の波面に戻り、きれいな光でかつパワーも大きい増幅光が出射される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡にできるホログラムについて説明する。図3のフォトリフラクティブ材料の固体媒質に信号光と参照光を入射した時に生じるホログラムにおいて、ホログラム間隔をΛ、結合係数あるいは二光波混合利得係数をκ、干渉縞のコントラストをmとした時の利得スペクトル幅をΔλとすれば、次式の関係がある。
【数1】
Δλ∝mκΛ2
【0025】
従って、利得スペクトル幅Δλを大きくするには、κの大きな材料を選ぶ、ホログラム間隔Λを大きくする、干渉縞のコントラストmを上げると良い。ホログラム間隔Λを大きくするには、外部共振器を有する位相共役鏡にし、κの大きな材料としては、フォトリフラクティブ材料であるRh:BaTiO3、Ce:BaTiO3、Co:BaTiO3、Mg:LiNbO3、Sn226を使用してフォトリフラクティブ効果を用いた位相共役鏡とすれば良い。これらの材料を使用してフォトリフラクティブ効果を用いた位相共役鏡は、光の平均パワー(瞬間的な光の強さではなく)で現象が起こるので、素子自体の速度は遅いが、時間積分すると超短パルス光でも使用できる。
【0026】
次に、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は本発明の外部共振器を有する位相共役鏡の基本形態である。図において、11は上記フォトリフラクティブ材料の固体媒質、12は焦点距離fの第1のレンズ、13は焦点距離fの第2のレンズ、14は第1のレンズ12の第1の鏡M1、15は第2のレンズ13の第2の鏡M2である。第1のレンズ12と第2のレンズ13は固体媒質11の中心から夫々の焦点距離fだけ離間して配置されている。第1の鏡M1と第2の鏡M2は互いに光反射する向きに配置され、また、第1のレンズ12の光軸と第2のレンズ13の光軸は互いに小さい角度θ(例えば25度)でかつ略2fの距離の間に配置される。
【0027】
そして、第1のレンズ12と第1の鏡14及び第2のレンズ13と第2の鏡15でもって外部共振器を構成している。レーザー光源であるレーザー素子からの信号光は、まず固体媒質11に入射され、第1のレンズ12を通って鏡14で反射され、鏡15で更に反射されて、第2のレンズ13を通って再び固体媒質11に入射されて、位相共役波として出力される。こうして等倍結像光学系を外部に付加して、第1の鏡と第2の鏡と固体媒質11内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成することにより、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができる。信号光の通過は第2のレンズ13から第1のレンズ12を通るルートでも同じである。
【0028】
この時のレーザー素子としては、Nd:YAG、Nd:YVO4、Nd:KGd(WO3)2、Nd:YLF、Nd:YAl3(BO3)4、Yb:YAG、Yb:KGd(WO3)2が適している。
【0029】
ここで、数1の式は次式に変換できる。
【数2】
Δλ∝mκ(λ/2sinθ)2
【0030】
この結果、κの大きな材料を選ぶことにより、ホログラム間隔Λを大きくすることができ、また、干渉縞のコントラストを上げることができる。そして、第1のレンズ12と第2のレンズ13の互いの角度θは小さい程、利得スペクトル幅Δλを大きくすることができる。本発明の位相共役鏡の利得スペクトル特性は、図5に示すように、利用可能な利得はスペクトル幅が1nm程度の範囲に拡大することができる。
【0031】
本発明の外部共振器を有する位相共役鏡の第の実施形態を図6を参照して説明する。これは波長毎に空間分離したホログラム(所謂、スペクトルホログラム)を利用した、複数の波長の超短パルス光の外部共振器を有する位相共役鏡である。超短パルス光はスペクトル幅の広い光であるから、異なる波長の光が同じ位置にホログラムを記録してしまうと波長毎のホトグラムが互いに打ち消しあい、ホログラム全体のコントラストが低下する。そこで波長毎に違う位置にホログラムが記録できるように、回析格子あるいはプリズムとレンズを用いて波長を空間的に分離処理するものである。図4と同等物には同じ符号を付している。
【0032】
図6において、11は上記フォトリフラクティブ材料の固体媒質、12は焦点距離f2 の第1のレンズ、13は焦点距離f2 の第2のレンズ、14は第1のレンズ12の通過光を反射する第1の鏡M1、15は第2のレンズ13の通過光を反射する第2の鏡M2である。第1のレンズ12と第2のレンズ13は固体媒質11の中心から夫々の焦点距離f2 だけ離間して配置されている。また、第1のレンズ12の光軸と第2のレンズ13の光軸は互いに小さい角度θでかつ略2f2 の距離の間に配置され、第1の鏡14と第2の鏡15は互いに光反射する向きに配置される。
【0033】
固体媒質11の前方には、回折格子もしくはプリズム16と焦点距離f1 の第3のレンズ17が配置される。レンズ17はプリズム16の中心と固体媒質11の中心から夫々の焦点距離f1 だけ離間して配置されている。
【0034】
そして、第1のレンズ12と鏡14及び第2のレンズ13と鏡15でもって外部共振器を構成している。レーザー光源であるレーザー素子からの異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光は、プリズム16を介して分離され、焦点距離f1 の第3のレンズ17を通って固体媒質11に入射される。
【0035】
固体媒質11からの光は、第1のレンズ12を通って第1の鏡14で反射され、第2の鏡15で更に反射されて、第2のレンズ13を通って再び固体媒質11に入射される。固体媒質11では、異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光毎のホログラムが形成され、各波長成分が第3のレンズ17を通ってプリズム16に帰還され、該プリズム16で異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光に分離されて位相共役波として出力される。こうして等倍結像光学系を外部に付加して、第1の鏡14と第2の鏡15と固体媒質11内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成することにより、波長毎に分離したピコ秒(例えば7ps)の超短パルス光のための位相共役鏡を実現でき、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にし、ホログラム全体のコントラストの低下を防止することができる。ここで、ピコ秒の超短パルス光は、通常、当該技術分野ではパルス幅100fs~10ps位までのを呼んでいるが、本発明者等の実験では、固体物質としてNd:YVO4 を用いた場合、パルス幅9.2psが確認されているし、また、パルス幅2.8psであることも知られいる(「2.8ps pulses from a mode-loked diode pumped Nd:YVO4 laser using quadratic polarization switching」 ,August 1999,Optic Communication.166 103,p103-p111)。 それ故、本発明のピコ秒の超短パルス光は、パルス幅が一桁のピコ秒の超短パルス光とするのが妥当である。
【0036】
本発明の他の基本の実施形態として反射光学系を用いた位相共役鏡の実施形態を図7を参照して説明する。図において、11は上記フォトリフラクティブ材料の固体媒質、18は第1の凹面鏡、19は第2の凹面鏡、20は反射鏡である。第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19は固体媒質11の中心からそれぞれ両凹面鏡の離間距離と略等しい距離だけ離れて配置される。また、反射鏡20は第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19との中間にそれぞれの焦点距離だけ離間して配置され、第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19は反射鏡20を介して互いに光反射する向きに配置される。
【0037】
そして、第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19と固体媒質11内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成している。レーザー光源であるレーザー素子からの信号光は、まず固体媒質11に入射され、第1の凹面鏡18を通って反射鏡20で反射され、第2の凹面鏡19で更に反射されて再び固体媒質11に入射され、位相共役はとして出力される。こうして等倍結像光学系を外部に付加して固体媒質11内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成することにより、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができる。信号光の通過は第2の凹面鏡19から第1の凹面鏡18を通るルートでも同じである。
【0038】
本発明の外部共振器を有する位相共役鏡の第2の実施形態として、反射光学系を用いた位相共役鏡の別の実施形態実施形態を図8を参照して説明する。これは波長毎に空間分離したホログラム(所謂、スペクトルホログラム)を利用した、複数の波長の超短パルス光の外部共振器を有する位相共役鏡であり、図6に示す本発明の位相共役鏡の変形である。
【0039】
図において、11は上記フォトリフラクティブ材料の固体媒質、18は第1の凹面鏡、19は第2の凹面鏡、20は反射鏡である。反射鏡20は第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19と夫々の焦点距離だけ離間して配置されている。第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19は固体媒質11の中心からそれぞれ両凹面鏡の離間距離と略等しい距離だけ離れて配置される。また、反射鏡20は第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19との中間にそれぞれの焦点距離だけ離間して配置され、第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19は反射鏡20を介して互いに光反射する向きに配置される。また、固体媒質11の前方には、回折格子もしくはプリズム16との第3の凹面鏡21が配置される。
【0040】
レーザー光源であるレーザー素子からの異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光は、プリズム16を介して分離され、第3の凹面鏡21を通って固体媒質11に入射される。固体媒質11からの光は、第1の凹面鏡18を通って反射鏡20で反射され、更に第2の凹面鏡19を通って再び固体媒質11に入射される。第1の凹面鏡18と第2の凹面鏡19と固体媒質11内の回折格子でもってリング型の外部共振器を構成している。固体媒質11では、異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光毎のホログラムが形成され、各波長成分が第3の凹面鏡21を通ってプリズム16に帰還され、該プリズム16で異なる波長λ1 、λ2 、λ3 の信号光に分離されて、波長毎に分離したピコ秒(例えば7ps)の超短パルス光の位相共役波として出力される。
【0041】
次に、かかる本発明の超短パルス光のための位相共役鏡を用いた光増幅器の実施形態について、図9を参照して説明する。図において、1は超短パルス光のための位相共役鏡、2は偏向ビームスプリッター、3はファラデー回転子、4は第1の半波長板、5は鏡、6は第1のシリンドリカルレンズ、7は励起ダイオードで励起される増幅器、8は第2のシリンドリカルレンズ、9は第2の半波長板、10はレンズである。
【0042】
レーザー素子からの波形Aの超短パルス光(例えば、30mW,7ps)は偏向ビームスプリッター2により45°偏向され、次いでファラデー回転子3により更に45°回転される。該超短パルス光は第1の半波長板4を通って鏡5で反射され、シリンドリカルレンズ6を介して励起ダイオードで励起される増幅器7で増幅され、次段のシリンドリカルレンズ8を介して第2の半波長板9、レンズ10を通って超短パルス光用の位相共役鏡1に入射される。
【0043】
超短パルス光用の位相共役鏡1での光の作用は上記した通りであり、位相共役鏡1から出射された光は逆のルートを通り、増幅器7で更に増幅されて、ファラデー回転子3で45°回転された後、偏向ビームスプリッター2から波形Bの超短パルス光(例えば、6W,7ps)の出力が得られる。この結果、パルス幅はそのままで振幅のみが大きい超短パルス光を実現できる。
【0044】
図4に説明した本発明の超短パルス光のための位相共役鏡を例にして、光増幅器の具体的な実施形態について、図10を参照して説明する。図において、図4及び図9と同一物には同じ符号を付している。
【0045】
レーザー素子からの波形Aの超短パルス光(例えば、30mW,7ps)は偏向ビームスプリッター2により45°偏向され、次いでファラデー回転子3により更に45°回転される。該超短パルス光は第1の半波長板4を通って鏡5で反射され、シリンドリカルレンズ6を介して励起ダイオードで励起される増幅器7で増幅され、次段のシリンドリカルレンズ8を介して第2の半波長板9、レンズ10を通って鏡22、レンズ23、鏡24を介して超短パルス光用の位相共役鏡に入射される。
【0046】
超短パルス光用の位相共役鏡での光の作用は、図4のように、鏡24からの信号光は、まず固体媒質11に入射され、第1のレンズ12を通って鏡14で反射され、鏡15で更に反射されて、第2のレンズ13を通って再び固体媒質11に入射されて、位相共役波として出射される。
【0047】
位相共役鏡の固体媒質11から出射された光は、逆のルートを通り増幅器7で更に増幅されて、ファラデー回転子3で45°回転された後(ファラデー回転子は光の方向に関わらず一方向の回転方向を示す。)、偏ビームスプリッター2から波形Bの超短パルス光(例えば、6W,7ps)の出力が得られる。この結果、パルス幅はそのままで振幅のみが大きい超短パルス光を実現できる。
【0048】
このように、図9の超短パルス光用の位相共役鏡1に代えて、上述した図6または図8に示した本発明の外部共振型位相共役鏡を適用して、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡を用いた光増幅器を実現できる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の超短パルス光のための位相共役鏡は、位相共役鏡に記録されるホログラム間隔を広げることができ、等倍結像光学系としての共振器を外部に付加して、プローブ光と対向励起光のビーム重なりを良好にすることができる。また、入射光を回折格子もしくはプリズムなどを用いてスペクトル分解し、位相共役鏡の異なる位置に回折格子を記録することにより(スペクトルホログラム)、異なる波長の超短パルス光毎の共役波を分離処理することができる。
【0050】
本発明の超短パルス光のための位相共役鏡を用いた光増幅器は、位相共役鏡のスペクトルフィルタリング効果(波長選択性)を低減し、超短パルス光に対しても高い反射率を示す位相共役鏡を実現できる。この結果、高出力でかつ回折限界に迫る高いビーム品質の超短パルスレーザーが実現でき、パルス幅はそのままで振幅のみが大きい超短パルス光を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラムの実像再生の概要図。
【図2】位相共役鏡を用いた光増幅器の基本図。
【図3】固体媒質に信号光と参照光を入射した時に生じるホログラム。
【図4】本発明の外部共振器を有する位相共役鏡の基本の実施形態図。
【図5】本発明の位相共役鏡の利得スペクトル特性図。
【図6】本発明の外部共振器を有する位相共役鏡の第の実施形態図。
【図7】本発明の反射光学系を用いた位相共役鏡の他の基本の実施形態図。
【図8】本発明の反射光学系を用いた位相共役鏡の第の実施形態図。
【図9】本発明の位相共役鏡を用いた光増幅器の実施形態図。
【図10】本発明の位相共役鏡を用いた光増幅器の具体的な実施形態図。
【図11】従来の位相共役鏡の構成図。
【図12】従来の位相共役鏡の利得スペクトル図。
【符号の説明】
1 位相共役鏡
2 偏向ビームスプリッター
3 ファラデー回転子
4,9 半波長板
5,14,15
22,23 鏡
6,8 シリンドリカルレンズ
7 増幅器
10 レンズ
11 固体媒質
12,13,
17,23 レンズ
16 回折格子もしくはプリズム
18,19,21 凹面鏡
20 反射鏡
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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