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明細書 :バイオチップをベースにした核酸結合タンパク質の試験方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2008-520212 (P2008-520212A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成20年6月19日(2008.6.19)
特許番号 特許第4664373号 (P4664373)
登録日 平成23年1月14日(2011.1.14)
発行日 平成23年4月6日(2011.4.6)
発明の名称または考案の名称 バイオチップをベースにした核酸結合タンパク質の試験方法
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAA
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 36
全頁数 17
出願番号 特願2007-541638 (P2007-541638)
出願日 平成16年11月23日(2004.11.23)
国際出願番号 PCT/CN2004/001340
国際公開番号 WO2006/053463
国際公開日 平成18年5月26日(2006.5.26)
優先権出願番号 200410090423.3
優先日 平成16年11月18日(2004.11.18)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成19年8月7日(2007.8.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507060099
【氏名又は名称】北京博奥生物芯片有限▲責▼任公司
【識別番号】507061421
【氏名又は名称】清▲華▼大学
発明者または考案者 【氏名】邵威
【氏名】▲趙▼永超
【氏名】▲孫義▼民
【氏名】▲喬継▼英
【氏名】魏▲華▼江
【氏名】▲楊衛▼平
【氏名】周玉祥
【氏名】程京
個別代理人の代理人 【識別番号】100078282、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 秀策
【識別番号】100062409、【弁理士】、【氏名又は名称】安村 高明
【識別番号】100113413、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 夏樹
審査官 【審査官】冨永 みどり
参考文献・文献 国際公開第02/052037(WO,A1)
米国特許出願公開第2004/0115794(US,A1)
国際公開第2004/046387(WO,A1)
調査した分野 C12Q 1/68
C12N 15/00-90
CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
PubMed
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
バイオチップをベースにした核酸結合タンパク質を検出するための方法であって、該方法は、以下:
1)数種のグループの核酸捕捉プローブを含有する溶液を、標的核酸結合タンパク質を含有する生物学的サンプルに加える工程であって、該工程によって、該核酸捕捉プローブと該核酸結合タンパク質との間で複合体が形成され、該核酸捕捉プローブは、少なくとも1つの該標的核酸結合タンパク質が結合し得る配列を含み、そして各グループの該核酸捕捉プローブの一本の鎖が、3’突出末端配列を含む、工程;
2)該核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離して、該複合体中の該核酸捕捉プローブを収集する工程;
3)プライマーを用いた一本鎖増幅によって該収集された核酸捕捉プローブを増幅する工程であって、該プライマーは、該核酸捕捉プローブの3’突出末端配列にハイブリダイズする、工程;
)工程)において増幅した捕捉プローブを、バイオチップの基板上に固定化した一本鎖固定化プローブとハイブリダイズさせる工程であって、該固定化プローブは、該増幅した核酸捕捉プローブに対して相補的な配列を含む、工程;および
)該ハイブリダイゼーションの結果を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程が、前記工程1)からの混合物サンプルをゲル電気泳動し、ゲルスライスを切り出し、そして、ゲル精製キットもしくは電気溶出法によって回収して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るプロセスである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程が、前記工程1)からの混合物サンプルをクロマトグラフィーに供し、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る工程である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程が、前記工程1)からの混合物サンプルを、タンパク質を吸着し得る膜を用いて濾過して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る工程である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程が、各核酸結合タンパク質を特異的に認識する抗体を前記工程1)からの混合物サンプルに加え、そして、抗体精製法により単離して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るプロセスである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程が、キャピラリー電気泳動によって前記工程1)からの混合物サンプルを分離し、そして、該核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を収集するプロセスである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記核酸結合タンパク質が、二本鎖DNA(dsDNA)結合タンパク質、RNA結合タンパク質、一本鎖DNA(ssDNA)結合タンパク質、または、試験管内進化法によって生成された天然に存在しないタンパク質結合核酸アプタマーである、方法。
【請求項8】
前記dsDNA結合タンパク質が、転写因子である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸捕捉プローブが、核酸結合タンパク質によって結合され得る核酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
各固定化プローブが、その対応する核酸捕捉プローブの突出末端配列に対して相補的である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記核酸捕捉プローブの突出末端が、標識分子によって標識されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法であって、前記3’突出末端を有する核酸捕捉プローブの各グループにおける3’突出末端配列は同一であり、そして、前記プライマーの配列は、該3’突出末端配列に対して完全に相補的である、方法。
【請求項14】
前記プライマーを増幅のために使用する場合、該プライマーは、標識分子で標識される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマーの5’末端が標識される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プライマーを増幅のために使用する場合、標識分子で標識されたヌクレオチドが、前記増幅プロセスに加えられる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって、核酸結合タンパク質を検出するためのキットであって、該キットは、以下:
数種のグループの核酸捕捉プローブであって、該核酸捕捉プローブは、少なくとも1つの生物学的サンプル中の標的核酸結合タンパク質が結合し得る配列を含み、そして、各グループの該核酸捕捉プローブの一本の鎖が、3’突出末端配列を含む、数種のグループの核酸捕捉プローブ;
一本鎖増幅を実施するためのプライマーであって、該プライマーは、該核酸捕捉プローブの3’突出末端配列にハイブリダイズする、プライマー;
バイオチップの基板上に固定化された一本鎖固定化プローブを含むバイオチップであって、該固定化プローブは、該核酸捕捉プローブに対して相補的な配列を含む、バイオチップ
を備える、キット。
【請求項20】
請求項19に記載のキットであって、さらに以下:
前記核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離するためのゲル電気泳動キット;および
該単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るためのゲル精製キットまたは電気溶出キット
を備える、キット。
【請求項21】
請求項19に記載のキットであって、さらに以下:
前記単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るためのクロマトグラフィーキット
を備える、キット。
【請求項22】
請求項19に記載のキットであって、さらに以下:
前記単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るための、タンパク質を吸着し得る膜
を備える、キット。
【請求項23】
請求項19に記載のキットであって、さらに以下:
前記単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得るための、各核酸結合タンパク質を特異的に認識する抗体
を備える、キット。
【請求項24】
請求項19に記載のキットであって、さらに以下:
前記核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を収集するための、キャピラリー電気泳動キット
を備える、キット。
【請求項25】
請求項19に記載のキットであって、前記核酸結合タンパク質は、二本鎖DNA(dsDNA)結合タンパク質、RNA結合タンパク質、一本鎖DNA(ssDNA)結合タンパク質、または、試験管内進化法によって生成された天然に存在しないタンパク質結合核酸アプタマーである、キット。
【請求項26】
前記dsDNA結合タンパク質が、転写因子である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記核酸捕捉プローブが、核酸結合タンパク質によって結合され得る核酸配列を含む、請求項19~26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
各固定化プローブが、その対応する核酸捕捉プローブの突出末端配列に対して相補的である、請求項19に記載のキット。
【請求項29】
前記核酸捕捉プローブの突出末端が、標識分子によって標識されている、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
請求項30に記載のキットであって、前記3’突出末端を有する核酸捕捉プローブの各グループにおける3’突出末端配列は同一であり、そして、前記プライマーの配列は、該3’突出末端配列に対して完全に相補的である、キット。
【請求項32】
前記プライマーを増幅のために使用する場合、該プライマーは、標識分子で標識される、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記プライマーの5’末端が標識される、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
標識分子で標識されたヌクレオチドをさらに含む、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記標識分子が、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子、またはナノ粒子である、請求項35に記載のキット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸結合タンパク質を検出するための方法、特に、バイオチップをベースにした核酸結合タンパク質を検出するための方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
核酸結合タンパク質は、二本鎖DNA(dsDNA)結合タンパク質、一本鎖DNA(ssDNA)結合タンパク質、およびRNA結合タンパク質などを含む。
【0003】
dsDNA結合タンパク質は、dsDNAの特定の配列に結合する、タンパク質またはタンパク質分子複合体のグループである。dsDNA結合タンパク質は、核生物のリプレッサータンパク質およびオペレータータンパク質、ならびに、真核生物の転写因子(TF)などを含む。これらのdsDNA結合タンパク質は、dsDNAの特定の配列(オペレーター/プロモーター)への結合によって、標的遺伝子の発現を活性化、阻害、減少または増強し得る。原核生物において、リプレッサータンパク質およびオペレータータンパク質の機能は、比較的単純である。これらは、細胞の代謝に関する酵素をコードする遺伝子、および、抗生物質耐性遺伝子を調節して、外部環境に対する細胞の生理学的な活性を調節する。真核生物において、転写因子は、多くの活動に関与する。細胞周期、アポトーシスおよび腫瘍新生などは、全て、特定の転写因子に関連する。生物系、特に、真核生物の遺伝子発現調節ネットワークにおいて、遺伝子をコードするタンパク質の発現としては、転写因子を介した転写の活性化、転写、転写後修飾(スプライシング、ならびに、RNAの5’および3’のキャッピング)、翻訳、翻訳後修飾(リン酸化、グリコシル化、アセチル化など)が挙げられ、そして、転写前、転写後、および翻訳後の段階で調節される。

【0004】
転写因子による転写の活性化は、遺伝子発現調節ネットワークにおける最初でかつ重要な段階である。外部環境に対する生物系のストレス応答の多くは、特定の転写因子による、特定の遺伝子の活性化または停止を伴う。研究は、多くの真核生物の遺伝子の発現が、1以上の特定の転写因子によって調節されることを示す。より複雑な生物は、より多くの転写因子と、より複雑な遺伝子発現調節機構を有する。推定すると、5%より多くのタンパク質をコードする遺伝子が、転写因子をコードする。多くの転写因子は、癌に密接に関連する。例えば、いくつかの転写因子(例えば、FOSおよびC-Myc)は、悪性腫瘍のみで発現されるか、または、癌遺伝子の発現を増強し得る;他の転写因子(例えば、p53およびE2F)は、弱く発現するか、または、悪性腫瘍においては発現しない。従って、生物における特定の転写因子、または、全ての転写因子のレベルをある時点で検出することは、それらの標的遺伝子のデータと組み合わせて、転写前の調節情報を得ることを可能にする。この情報は、組織における腫瘍新生を診断したり、薬物標的をスクリーニングしたり、細胞のストレス応答機構を研究したり、細胞のシグナル伝達経路の活性化および停止を観察したりするなどのために使用され得る。
【0005】
cDNAマイクロアレイ技術は、ゲノムの遺伝子をコードする全ての転写因子のmRNAプロファイリングを提供することを可能にする。しかしながら、活性な転写因子のみが、遺伝子発現の調節に寄与する。転写因子の活性は、通常、リン酸化、アセチル化、グリコシル化などを含む多数のタンパク質修飾、または、転写因子の細胞内局在化によって調節される。従って、活性な転写因子の量は、転写因子のmRNAまたはタンパク質の量と必ずしも相関するわけではない。例えば、転写因子Yin Yang 1(YY1)のmRNAおよびタンパク質の発現レベルは、細胞周期の間、安定しているが、活性なYY1のレベルは、異なる細胞周期の段階において、大きく変化する。従って、cDNAマイクロアレイ技術は、研究者が興味を抱く転写因子の発現情報を提供することができない。
【0006】
「活性な」dsDNA結合タンパク質を検出するための従来の方法は、ゲルシフト法(EMSA:電気泳動移動度シフトアッセイ、ゲルシフト、バンドシフト)である。試験されるタンパク質は、放射性同位元素で標識された既知のdsDNA分子と混合される。反応生成物は、非変性条件下で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析される。電気泳動の間に、タンパク質により結合されるdsDNA分子は、タンパク質によって結合されていないdsDNA分子よりも遅く泳動される。電気泳動の後、結果は、オートラジオグラフィーによって読み取られ得る。フィルム上では、分離した電気泳動バンドが見られ得、そして、dsDNAと核酸結合タンパク質との間の結合を検出するために使用される。近年、ゲルシフト技術は向上している。例えば、放射性同位元素の代わりに蛍光が使用されている。非特異的な結合を解決するために、dsDNA結合タンパク質に特異的な抗体を用いて、DNA-タンパク質複合体を検出する。この方法は、スーパーシフト(Super-shift)と呼ばれる。ゲルシフト法は、DNAとタンパク質との間の相互作用の研究を促進した。しかし、この方法は明らかな欠点を有する:この方法は、複雑な手順を伴い;時間と労力がかかり(実験には丸一日かかる);スループットが低く(一度に、1つのdsDNA結合タンパク質のみが検出される);複数のdsDNA結合タンパク質が検出されるべき場合、大量のサンプルを必要とし;放射性同位元素が使用される場合、人間に対して有害であり;そして、化学色素もしくは蛍光色素が使用される場合、高額なものとなる。
【0007】
MercuryTM転写因子キットは、BD Biosciences Clontech Inc.(Palo Alto,CA)の製品である。このキットは、転写因子の検出のための96ウェルプレートを提供する。1つの転写因子によって特異的に結合され得るdsDNAプローブが、各ウェルの内面上に固定化される。タンパク質サンプルがウェル内に加えられた後、固定化されたdsDNAプローブが、サンプル内の対応する転写因子と結合する。洗浄した後、転写因子を特異的に認識する一次抗体と、この一次抗体を特異的に認識する、酵素標識した二次抗体が、一つ一つ加えられる。化学色素が、アッセイの検出のために使用される。この方法は、従来のEMSA法よりも速く、そして、生体に有害な放射性同位元素の代わりに化学色素が使用される。しかし、この方法は、依然としてスループットの低い方法であり、1つのウェル内で常に、1つの転写因子のみが試験され得る。多数のdsDNA結合タンパク質を検出するためには、大量のサンプルが必要とされる。転写因子特異的な抗体に対する必要性があり、そして、この転写因子抗体の多くは、市販されていない。
【0008】
生物系において生理的な活動を調節する、いくつかの配列特異的なssDNA結合タンパク質およびRNA結合タンパク質が存在する。ますます多くの、標的のタンパク質分子の特異的に結合し得る「抗体様」アプタマーが、近年の試験管内進化(in vitro evolution)法により獲得されている。これらの核酸結合タンパク質を検出するためのハイスループット法は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、バイオチップをベースにした、ハイスループットで、高感度で、かつ、特異的な、核酸結合タンパク質の検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の開示)
本発明は、バイオチップをベースにした、核酸結合タンパク質の検出方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:1)数種のグループの核酸捕捉プローブを含有する溶液を、標的核酸結合タンパク質を含有する生物学的サンプルに加える工程であって、この工程によって、核酸捕捉プローブと核酸結合タンパク質との間で複合体が形成され、この核酸捕捉プローブは、少なくとも1つの標的核酸結合タンパク質が結合し得る配列を含む、工程;2)核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離して、複合体中の核酸捕捉プローブを収集する工程;3)工程2)において収集した捕捉プローブを、バイオチップの基板上に固定化した一本鎖固定化プローブとハイブリダイズさせる工程であって、この固定化プローブは、対応する核酸捕捉プローブ、または、核酸捕捉プローブの一本の鎖に対して相補的な配列を含む、工程;および、4)ハイブリダイゼーションの結果を検出する工程。
【0011】
いくつかの実施形態において、工程2)における核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を単離する工程は、以下に記載される5つのプロセスのいずれかを用いて行われ得る:a)工程1)からの混合物サンプルをゲル電気泳動し、ゲルスライスを切り出し、そして、ゲル精製キットもしくは電気溶出法によって回収して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る;b)工程1)からの混合物サンプルをクロマトグラフィーに供し、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る;c)工程1)からの混合物サンプルを、タンパク質を吸着し得る膜を用いて濾過して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る;d)各核酸結合タンパク質を特異的に認識する抗体を工程1)からの混合物サンプルに加え、そして、抗体精製法(例えば、抗体に結合させるために、プロテインA/Gコーティングアガロースビーズを用いる)により単離して、単離された核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を得る;ならびに、e)キャピラリー電気泳動装置によって工程1)からの混合物サンプルを分離し、そして、核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体を自動的に収集する。

【0012】
いくつかの実施形態において、本発明(「末端標識法」と呼ぶ)は、核酸結合タンパク質(例えば、dsDNA結合タンパク質、ssDNA結合タンパク質、RNA結合タンパク質(例えば、HuB、HuC、ELAVなど)、試験管内進化法によって生成された天然に存在しないタンパク質結合核酸アプタマー(例えば、トロンビンアプタマー))を検出するために使用される。
【0013】
好ましくは、核酸結合タンパク質は、dsDNA結合タンパク質であり;より好ましくは、AP1、Sp1、p53、E2Fなどのような転写因子である。
【0014】
本発明の方法を用いた検出の好ましい実施形態において、上記核酸捕捉プローブは、標的核酸結合タンパク質に結合し得る核酸配列を含み;そして、各核酸捕捉プローブの一本の鎖は、突出末端を有する。
【0015】
核酸捕捉プローブと固定化プローブとの間のハイブリダイゼーション親和性を高めるために、上記固定化プローブは、対応する核酸捕捉プローブの突出末端配列に対して完全に相補的である。
【0016】
ハイブリダイゼーションシグナルを検出するために、核酸捕捉プローブの突出末端は、標識分子で標識される。好ましい標識分子は、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子またはナノ粒子である。より高い感度に達するために、以下のような改善がなされている(「ハイブリダイゼーション前の一本鎖増幅法」):上記核酸捕捉プローブの各々の一本の鎖は、3’突出末端を有し;工程3)のハイブリダイゼーション反応の前に、収集された核酸捕捉プローブが、1つのプライマーを用いて増幅され、このプライマーの配列は、後の核酸増幅手順のための3’突出末端配列とハイブリダイズし得る。

【0017】
好ましくは、各核酸捕捉プローブの3’突出末端配列は同一であり、そして、プライマー配列は、この3’突出末端配列に対して完全に相補的である。
【0018】
ハイブリダイゼーションシグナルを簡便に検出するために、標識分子が、この系に加えられ得る。プライマーは、増幅の前に末端が標識され得るか;または、標識されたヌクレオチドが、増幅材料に加えられ、そして、増幅の間に使用され得る。好ましい標識分子は、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子またはナノ粒子である。
【0019】
より高い感度に達するために、以下のような改善がなされている(「ハイブリダイゼーション前の二本鎖増幅法」):上記核酸捕捉プローブの各々の一本の鎖は、3’突出末端および5’突出末端の両方を有し;工程3)のハイブリダイゼーション反応の前に、収集された核酸捕捉プローブが、2つのプライマーを用いて増幅され、このプライマーのうちの一方のプライマーは、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの鎖の3’突出末端とハイブリダイズし得、そして、もう一方のプライマー配列は、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの鎖の5’突出末端と同じである。

【0020】
好ましくは、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの各々における3’突出末端配列は同一であり、かつ、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの各々における5’突出末端配列は同一であり、そして、使用されるプライマーのうちの一方の配列は、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの3’突出末端配列にハイブリダイズし得、もう一方のプライマー配列は、3’突出末端および5’突出末端の両方を有する核酸捕捉プローブの5’突出末端配列と同一の配列である。
【0021】
二本鎖増幅法の作業手順は、図7に示される。捕捉プローブ1と標的タンパク質3(図面において、丸と三角で表される)とを混合する;核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体4を単離し、そして、複合体中の捕捉プローブを収集する;2つのプライマー6を使用して、収集した捕捉プローブを増幅する;増幅生成物を、バイオチップ上に固定化した固定化プローブ2とハイブリダイズさせる;そして、ハイブリダイゼーションシグナルを検出して、結果を得る。捕捉プローブ、固定化プローブおよびプライマーのための好ましい設計は、図8に示される:捕捉プローブは、標的タンパク質結合配列を含み;2本の鎖のうちの1本の鎖が、3’突出末端および5’突出末端を有する;プライマー1の配列は、3’突出末端に対して相補的であり、かつ、プライマー2の配列は、5’突出末端と同じであり;そして、固定化プローブの配列は、結合配列と同じである。
【0022】
ハイブリダイゼーションシグナルを簡便に検出するために、標識分子が、この系に加えられ得る。プライマーは、増幅の前に末端が標識され得るか;または、標識されたヌクレオチドが、増幅材料に加えられ、そして、増幅の間に使用され得る。好ましい標識分子は、ビオチン、ジゴキシン、蛍光色素、量子ドット、金粒子またはナノ粒子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(好ましい実施形態)
(実施例1:3つの核酸結合タンパク質AP1、NFκBおよびSp1を同時に検出するためのDNAバイオチップの使用(末端標識法))
図1に示すように、末端標識した捕捉プローブ1を、標的タンパク質3と混合した(図面において、丸と三角で表す)。形成した核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体4を、次いで単離し、そして、この複合体中の捕捉プローブを収集した。この収集した捕捉プローブを、バイオチップ5の上に固定化した固定化プローブ2とハイブリダイズさせ、そして、ハイブリダイゼーションシグナルを検出して、結果を得た。
【0024】
図2は、捕捉プローブおよび固定化プローブのための好ましい設計を示す。二本鎖捕捉プローブは、標的核酸結合タンパク質が結合する配列を含む。捕捉プローブのうちの1本の鎖は、標識分子(図面ではビオチン)で標識された突出末端を含む。固定化プローブは、捕捉プローブの長い方の鎖に対して相補的である。
【0025】
(材料)
転写因子AP-1(c-Jun)(#E3061)、NFκB(p50)(#E3770)およびSp1(#E6391)を、Promega(Madison,WI)から入手した。一般的な結合緩衝液は、10mM Tris-HCl(pH 7.5)、4% グリセロール、1mM MgCl、0.5mM EDTA、5mM DTT、50mM NaClおよび0.05mg/mL ポリ(dI-dC)・(dI-dC)を含んだ。電気泳動バッファーは、0.5xTBE(0.9M Tris、0.9M ホウ酸および0.02M EDTA,pH 8.0)であった。PBST(PBS、0.1% Tween 20)を洗浄緩衝液として使用した。電気泳動のためのアガロースは、Biowest(Miami,FL)から入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)は、Amresco(Solon,OH)から入手した。Cy3標識ストレプトアビジンは、Amersham Biosciences(Uppsala,Sweden)から入手した。
【0026】
(実験手順)
A.DNAプローブの調製:全てのプローブは、Bioasia Inc.(Shanghai,China)により合成され、その配列は表1に列挙する。表1において、AP-1-IPは、AP-1に対する固定化プローブを表し;AP-1-LPおよびAP-1-FPは、AP1のための捕捉プローブを形成し;そして、AP-1-CPおよびAP-1-FPは、AP-1結合のための競合プローブを形成した。他のプローブの設計は、AP-1の設計と同様であった。この実施例におけるLPプローブの突出末端の配列は、5’-CGGGA-3’であった。各グループのための固定化プローブを、まず、水中に溶解し、次いで、50%DMSO水溶液で希釈して、10μMの最終プローブ濃度にした。タンパク質捕捉プローブを水中に溶解し、そして、それぞれ同じグループからの対応するプローブ(各捕捉プローブグループにおいてFPおよびLP)とアニールさせて、二本鎖DNA分子を形成させた。各二本鎖DNA分子は、60nMの最終濃度を有した。
【0027】
B.DNAチップの調製:PixSys5500機械式アレイ作成装置(Cartesian Technologies,Irvine,CA)を用いて、図3Aのアレイ形式に従い、アミノ誘導体化ガラススライド上に、上記の固定化プローブをスポットした。2つの隣接するスポット間の中心間距離は、350μmであった。スポッティングの後、スライドを80℃にて1時間インキュベートした。次いで、250mJのStratalinkerセットを用いて、スライド表面上にスポットされた核酸分子を架橋して、固定化した。図3Aにおいて、AP1のための固定化プローブをA1~A5にスポットし;NFκBのための固定化プローブをB1~B5にスポットし;Sp1のための固定化プローブをC1~C5にスポットし;TFIIDのための固定化プローブをD1~D5にスポットし;NCのための固定化プローブをE1~E5にスポットし;そして、HCのための固定化プローブをF1~F5にスポットした。A6、B6、C6、D6、E6およびF6には、コントロール(蛍光色素で標識した核酸分子)をスポットした。スポッティングの後、スライドを走査してコントロールを検出し、スポッティング手順が適切であったことを示した。
【0028】
C.核酸-タンパク質結合系の調製:3つの転写因子(1.0μg AP1、300ng NFκBおよび1.0μg Sp1)およびタンパク質捕捉プローブ(LPおよびFPのアニールさせた生成物)を混合した。一般的な結合緩衝液を、1倍の最終濃度に達するように加えた。この反応混合物を、室温で30分間インキュベートした。図3C、3Dおよび3Eに示される実験において、反応に、競合プローブを加えた。

【0029】
D.核酸-タンパク質結合複合体の単離:2%のアガロースゲルおよびTBE電気泳動バッファーを調製し、そして、4℃に冷却した。上記の反応混合物を、アガロースゲルのサンプルウェルにロードした。電気泳動を、120Vにて20分間行った。ブロモフェノールブルーの位置に基づいて、該当するゲルのスライスを切り出した。
【0030】
E.核酸の抽出:QIAEX IIゲル精製キットを、製造業者の説明書に従って用いることによって、ゲルスライスから核酸を収集した。
【0031】
F.バイオチップを用いたハイブリダイゼーション解析:これより前の工程において得られた核酸を、ハイブリダイゼーション緩衝液(HC-LPプローブを含む)と混合し、15mlにした。ハイブリダイゼーション緩衝液は、3×SSCおよび0.1% SDSを含んだ。このハイブリダイゼーション混合物を、スライドとともに65℃で1時間インキュベートした。このスライドを、0.2×SSCおよび0.1% SDSを含有する洗浄緩衝液を用いて、室温にて10分間洗浄した。このスライドを、1000rpmで回転させることによって乾燥させた。次いで、このスライドを、37℃にて30分間1% BSAでブロッキングした。このスライドを、室温にて10分間PBSTで洗浄し、次いで、1000rpmで回転させることによって乾燥させた。1μg/mlのCy3標識ストレプトアビジンを含有する15μlの溶液を、このスライドの表面に加え、そして、37℃にて1時間反応させた。このスライドを、室温にて10分間PBSTで洗浄した。このスライドを、1000rpmで回転させることによって乾燥させた。このスライドを、スキャンアレイ4000画像スキャナで走査し、そして、GenePixを用いて像を解析した。図3Aは、アレイ形式を示す。図3Bは、「末端標識法」を用いた、1枚のスライド上での3つの核酸結合タンパク質の同時検出の結果を示す。図3Cは、核酸結合タンパク質AP1に対する競合プローブを反応系に加えた場合の、「末端標識法」を用いた、1枚のスライド上での3つの核酸結合タンパク質の同時検出の結果を示す。図3Dは、核酸結合タンパク質NFκBに対する競合プローブを反応系に加えた場合の、「末端標識法」を用いた、1枚のスライド上での3つの核酸結合タンパク質の同時検出の結果を示す。図3Eは、核酸結合タンパク質Sp1に対する競合プローブを反応系に加えた場合の、「末端標識法」を用いた、1枚のスライド上での3つの核酸結合タンパク質の同時検出の結果を示す。これらの結果は、本発明の「末端標識法」が、3つの転写因子を容易に検出し得ることを示す。NC内の配列は、原核生物のファージのプロモーターに由来し、真核生物の転写因子結合配列とは有意に異なるので、そして、それゆえ、上記の転写因子のいずれにも結合し得ない。従って、NCプローブに由来するシグナルは、常にネガティブであった。HCは、ハイブリダイゼーションコントロールとして使用した。HCは、ハイブリダイゼーション前に加え、そして、異なるスポッティング形式間での規準化のために使用した。従って、HCのシグナルは、常にポジティブである。
【0032】
【表1】
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(実施例2:3つの核酸結合タンパク質AP1、NFκBおよびSp1を同時に検出するためのDNAバイオチップの使用(一本鎖増幅法))
図4は、一本鎖増幅法を用いた検出の作業概略を示す。捕捉プローブ1を、標的タンパク質3と混合した(図面において、丸と三角で表す)。形成した核酸捕捉プローブ-核酸結合タンパク質複合体4を単離し、そして、捕捉プローブを収集した。プライマー6を使用して、この収集した捕捉プローブを増幅し、そして、この増幅生成物を、バイオチップ5の上に固定化した固定化プローブ2とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションシグナルを検出して、結果を得た。
【0033】
図5は、捕捉プローブ、固定化プローブおよびプライマーのための好ましい設計を示す。二本鎖捕捉プローブは、核酸結合タンパク質が結合する配列を含み、そして、一本の鎖が、3’突出末端を含む。プライマーの配列は、この3’突出末端に対して相補的である。固定化プローブの配列は、結合配列と一致する。
【0034】
(材料)
転写因子AP-1(c-Jun)(#E3061)、NFκB(p50)(#E3770)およびSp1(#E6391)を、Promega(Madison,WI)から入手した。一般的な結合緩衝液は、10mM Tris-HCl(pH 7.5)、4% グリセロール、1mM MgCl、0.5mM EDTA、5mM DTT、50mM NaClおよび0.05mg/mL ポリ(dI-dC)・(dI-dC)を含んだ。電気泳動バッファーは、0.5xTBE(0.9M Tris、0.9M ホウ酸および0.02M EDTA,pH 8.0)であった。洗浄緩衝液は、PBST(PBS、0.1% Tween 20)であった。電気泳動のためのアガロースは、Biowest(Miami,FL)から入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)は、Amresco(Solon,OH)から入手した。Cy3標識ストレプトアビジンは、Amersham Biosciences(Uppsala,Sweden)から入手した。
【0035】
(実験手順)
A.DNAプローブの調製:全てのプローブは、Bioasia Inc.(Shanghai,China)により合成され、その配列は表2に列挙する。プローブの各グループにおいて、LFPおよびLPは対応する転写因子のための捕捉プローブを形成し;そして、IPプローブは、固定化プローブであった。各グループにおける固定化プローブの調製は、実施例1の「DNAプローブの調製」と同様である。タンパク質捕捉プローブを水中に溶解させ、そして、対応するプローブ(各グループにおいてLFPプローブおよびLPプローブ)とアニールさせて、二本鎖DNAを形成させた。各プローブグループの最終濃度は60nMであった。

【0036】
B.DNAチップの調製:手順は実施例1の「DNAチップの調製」と同様である。
【0037】
C.核酸-タンパク質結合系の調製:3つの転写因子(1.0μg AP1、100ng NFκBおよび0.1μg Sp1)およびタンパク質捕捉プローブを混合した。一般的な結合緩衝液を、1倍の最終濃度に達するように加えた。この結合反応を、室温で30分間行った。

【0038】
D.核酸-タンパク質結合複合体の単離:2%のアガロースゲルおよびTBE電気泳動バッファーを調製し、そして、4℃に冷却した。上記の反応混合物を、アガロースゲルのサンプルウェルにロードした。電気泳動を、120Vにて20分間行った。ブロモフェノールブルーの位置に基づいて、該当するゲルのスライスを切り出した。
【0039】
E.核酸の抽出:QIAEX IIゲル精製キットを、製造業者の説明書に従って用いて、ゲルスライスから核酸を収集した。溶出には、20μlの溶出緩衝液を用いた。
【0040】
F.DNAチップを用いたハイブリダイゼーション解析:抽出したDNAを真空で乾燥させ、次いで、5μlの水に再度溶解させた。核酸増幅のために、dNTP、PCR緩衝液およびCy3標識T7 Proプライマーを加えた。PCRのサイクルは、95℃で5分間;95℃で30秒間、53℃で30秒間、72℃で20秒間、を40回の増幅サイクル;そして、73℃で7分間であった。この増幅生成物を真空で乾燥させ、次いで、5μlの水に再度溶解させた。この溶解した増幅生成物を、3×SSCおよび0.1% SDSを含有する、15μlのハイブリダイゼーション溶液(このハイブリダイゼーション溶液にはHC-LPプローブを加えた)に入れた。このハイブリダイゼーション溶液を、DNAチップに加え、65℃にて1時間ハイブリダイゼーションさせた。次いで、0.2×SSCおよび0.1% SDSを含有する洗浄緩衝液を用いて、室温にて10分間このスライドを洗浄した。このスライドを、1000rpmで回転させることによって乾燥させた。Scanarray 4000画像スキャナを用いてスライドを走査し、そして、GenePixを用いて像を解析した。
【0041】
実施例1に記載される「末端標識法」を用いて、この実施例において3つの転写タンパク質を検出し、そして、この「末端標識法」を、結果の比較のためのコントロールとして使用した。
【0042】
結果を、図6Aおよび図6Bに示す。図6Aは、一本鎖増幅法を用いた場合の検出の結果を示す。図6Bは、実施例1の「末端標識法」を用いた場合の検出の結果を示す。この図において、A1~A5は、AP1の検出結果であり;B1~B5は、NFκBの検出結果であり;C1~C5は、ハイブリダイゼーションコントロールであり(HC;HC-IPおよびHC-LPの配列については表1を参照のこと);D1~D5は、Sp1の検出結果である。これらの結果は、一本鎖増幅法を用いることで、検出感度が向上し;末端標識法を用いても検出できなかったシグナルが、単一のプライマー増幅によって検出されたことを示した。
【0043】
【表2】
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【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、核酸結合タンパク質、特に、転写因子を検出するためのバイオチップをベースにした方法を使用する。この方法は、捕捉プローブと固定化プローブとの間のハイブリダイゼーションシグナルの検出を包含する。これは、非常に感度が高く、ハイスループットの方法である。さらに、本発明の2つの改善された方法(ハイブリダイゼーション前の一本鎖増幅、ハイブリダイゼーション前の二本鎖増幅)およびプライマーが予め標識され得る場合、各グループの捕捉プローブを標識する必要がない。実験の費用は、有意に低減され得る。本発明の方法は、疾患の診断、薬物標的のスクリーニング、および、疾患プロセスの研究に広く使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明において使用される「末端識法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質の検出の概略を示す。
【図2】図2は、本発明において使用される「末端標識法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質の検出のためのプローブ構造の概略を示す。
【図3A】図3Aは、実施例1において使用されるアレイ形式を示す。
【図3B】図3Bは、実施例1における、3つの核酸結合タンパク質の同時検出の実験結果を示す。
【図3C】図3Cは、競合因子であるAP1結合プローブが加えられた場合の、実施例1における、3つの核酸結合タンパク質の同時検出の実験結果を示す。
【図3D】図3Dは、競合因子であるNFκB結合プローブが加えられた場合の、実施例1における、3つの核酸結合タンパク質の同時検出の実験結果を示す。
【図3E】図3Eは、競合因子であるSp1結合プローブが加えられた場合の、実施例1における、3つの核酸結合タンパク質の同時検出の実験結果を示す。
【図4】図4は、本発明において使用される「一本鎖増幅法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質の検出の作業概略を示す。
【図5】図5は、本発明において使用される「一本鎖増幅法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質を検出するためのプローブおよびプライマーの設計の概略を示す。
【図6A】図6Aは、実施例2における「一本鎖増幅法」を用いた場合の、3つの核酸結合タンパク質(AP1、NFκBおよびSp1)の同時検出の実験結果を示す。
【図6B】図6Bは、実施例1に記載される「末端標識法」を用いた場合の、実施例2における実験結果を示す。
【図7】図7は、本発明において使用される「二本鎖増幅法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質の検出の作業概略を示す。
【図8】図8は、本発明において使用される「二本鎖増幅法」を用いた場合の、複数の核酸結合タンパク質を検出するためのプローブおよびプライマーの設計の概略を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図3C】
4
【図3D】
5
【図3E】
6
【図4】
7
【図5】
8
【図6A-B】
9
【図7】
10
【図8】
11