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明細書 :マグネシウム二次電池、電解液のマグネシウム二次電池における使用方法、及びマグネシウム二次電池用電解液

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5956175号 (P5956175)
公開番号 特開2012-182124 (P2012-182124A)
登録日 平成28年6月24日(2016.6.24)
発行日 平成28年7月27日(2016.7.27)
公開日 平成24年9月20日(2012.9.20)
発明の名称または考案の名称 マグネシウム二次電池、電解液のマグネシウム二次電池における使用方法、及びマグネシウム二次電池用電解液
国際特許分類 H01M  10/054       (2010.01)
H01M  10/0568      (2010.01)
H01M  10/0569      (2010.01)
H01M  10/058       (2010.01)
H01M   4/136       (2010.01)
H01M   4/1397      (2010.01)
H01M   4/58        (2010.01)
H01M   2/16        (2006.01)
FI H01M 10/054
H01M 10/0568
H01M 10/0569
H01M 10/058
H01M 4/136
H01M 4/1397
H01M 4/58
H01M 2/16 P
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2012-024163 (P2012-024163)
出願日 平成24年2月7日(2012.2.7)
優先権出願番号 201110056952.1
優先日 平成23年2月28日(2011.2.28)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成26年3月19日(2014.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
発明者または考案者 【氏名】努麗 燕娜
【氏名】趙 青松
【氏名】楊 軍
【氏名】郭 永勝
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】佐藤 知絵
参考文献・文献 国際公開第2012/057880(WO,A1)
特開2004-265677(JP,A)
特開平3-34270(JP,A)
特開2001-76721(JP,A)
特開2009-064731(JP,A)
国際公開第2011/137158(WO,A1)
C. Liebenow, Z. Yang, P. Lobitz,The electrodeposition of magnesium using solutions of organomagnesium halides, amidomagnesium halides and magnesium organoborates,Electrochemistry Communications,2000年 9月,Vol. 2,p.641-645
調査した分野 H01M 10/054
H01M 4/136
H01M 4/1397
H01M 4/46
H01M 4/58
H01M 10/0568
H01M 10/0569

JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ケイ酸コバルトマグネシウムと、負極と、隔膜と、電解液とを含み、前記ケイ酸コバルトマグネシウムが正極活物質として用いられているマグネシウム二次電池であって、
前記電解液は、N-Mg結合を含む含窒素複素環マグネシウムハライド単体及び有機エーテル溶剤を含有し、
前記含窒素複素環マグネシウムハライド単体は、ピロリジニルマグネシウムブロミド、ピロリジニルマグネシウムクロリド、ピラゾリルマグネシウムブロミド、及びピラゾリルマグネシウムクロリドからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするマグネシウム二次電池。
【請求項2】
前記電解液は、含窒素複素環マグネシウムハライド単体の濃度が0.2~2mol/Lであることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム二次電池。
【請求項3】
前記有機エーテルは、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム二次電池。
【請求項4】
N-Mg結合を含む含窒素複素環マグネシウムハライド単体及び有機エーテル溶剤を含有し、
前記含窒素複素環マグネシウムハライド単体は、ピロリジニルマグネシウムブロミド、ピロリジニルマグネシウムクロリド、ピラゾリルマグネシウムブロミド、及びピラゾリルマグネシウムクロリドからなる群より選ばれた少なくとも1種である、電解液のマグネシウム二次電池における使用方法であって、前記マグネシウム二次電池の正極活物質はケイ酸コバルトマグネシウムである、使用方法
【請求項5】
前記電解液は、含窒素複素環マグネシウムハライド単体の濃度が0.2~2mol/Lであることを特徴とする請求項4に記載の電解液のマグネシウム二次電池における使用方法。
【請求項6】
ケイ酸コバルトマグネシウム6.7~9.0重量部に、導電剤0.6~1.8重量部と、接着剤0.4~1.5重量部とを添加し、均一に攪拌してから50~100μmの厚さで集電体に塗布し、60~90℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径10~16mmのプレスヘッドで極片にプレスし、0.5~2MPaの圧力で極片を押圧した後、70~130℃で5~12時間真空乾燥を行うことにより正極を作製して、該正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転し、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、含窒素複素環マグネシウムハライド単体の濃度が0.2~2mol/Lである電解液を5~30重量部入れて、充電可能なマグネシウム電池を組み立てることを特徴とする請求項4又は5に記載の電解液のマグネシウム二次電池における使用方法。
【請求項7】
前記有機エーテルは、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項4又は5に記載の電解液のマグネシウム二次電池における使用方法。
【請求項8】
N-Mg結合を含む含窒素複素環マグネシウムハライド単体及び有機エーテル溶剤を含有し、
前記含窒素複素環マグネシウムハライド単体は、ピロリジニルマグネシウムブロミド、ピロリジニルマグネシウムクロリド、ピラゾリルマグネシウムブロミド、及びピラゾリルマグネシウムクロリドからなる群より選ばれた少なくとも1種である、ことを特徴とするマグネシウム二次電池用電解液であって、前記マグネシウム二次電池の正極活物質はケイ酸コバルトマグネシウムである、マグネシウム二次電池用電解液
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム二次電池、電解液のマグネシウム二次電池における使用方法、及びマグネシウム二次電池用電解液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マグネシウムは、地球において埋蔵量が最も多い金属元素の一つであり、優れた機械、物理及び化学性能を有し、様々分野で応用されている。元素周期表において、マグネシウムとリチウムとは、対角線に位置しており、イオン半径が同じ程度で、化学性質も似ている。マグネシウムは、リチウムに比べて、電位が高く(リチウムは-3.03Vであり、マグネシウムは-2.37V(酸性)、-2.69V(アルカリ性)である)、理論比容量(theoretical specific capacity)が低い(リチウムは3862mAh/gであり、マグネシウムは2205mAh/gである)が、安価で加工処理しやすいし、安全性も高いため、マグネシウムを負極とするマグネシウム二次電池は新型電池系の研究テーマとして注目されている(非特許文献1-4)。
【0003】
マグネシウム二次電池の電解液は、マグネシウムの可逆的電着に緊密に関係しており、様々の電解液におけるマグネシウムの性質に関する研究も幅広く行われている。マグネシウムの可逆的析出-溶出率の高い電解液として、有機エーテルのグリニャール試薬系が周知されている。しかし、グリニャール試薬系の導電率(0.5mS/cm未満)及び陽極安定性(陽極酸化分解電位が2.3Vvs.Mg未満)が低い。例えば、エチルマグネシウムブロミド(クロリド)/THF系は、導電率が僅か0.26mS/cmであり、陽極酸化分解電位は1.5Vvs.Mgである(非特許文献5-7)。グリニャール試薬電解液系の陽極安定性は、グリニャール試薬におけるC-Mg結合によって決められる。C-Mg結合の安定性が低いため、充電可能な電池の電解液として使用される場合、その陽極安定性、特に正極材との適合性の向上が期待されている(Aurbach D, Moshkovich M,Schechter A,Turgeaman R, Magnesium Depositon and Dissolution Processes
in Ethereal Grignard Salt Solutions Using Simultaneous EQCM-EIS and In Situ FTIR Spectroscopy, Electrochem.Solid-State Lett.,3(2000)31-34)。
【0004】
現在、マグネシウム二次電池の電解液系として最も成熟したものは、イスラエルの科学者Aurbachが提案した0.25mol/L Mg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン系(ここで、Etはエチル、Buはブチル)であり、その陽極酸化分解電位は、2.5Vvs.Mgである(Aurbach D,LuZ, Schechter
A, Gofer Y,Gizbar H, Turgernann R,Cohen
Y, Moshkovich M, Levi E, Nature,.407(2000)724-727)。
【0005】
低コストで性能の高いマグネシウム二次電池の発展を促進し、高い陽極酸化分解電位、高い導電率、高いマグネシウム可逆的析出-溶出率、及び優れたサイクル性能のうちの少なくとも一つを有する低コストの電解液系を追求するのは、現在のマグネシウム二次電池の主な発展方向である。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Gregory T D, Hoffman R J, Winterton, Development of an ambient secondary magnesium battery,J.Electrochem.Soc., 137(1990)775-780
【非特許文献2】Aurbach D,Lu Z, Schechter A, Gofer Y, Gizbar H, Turgemann R,Cohen Y, Moshkovich M,Levi E, Prototype systems for rechargeable magnesium batteries Nature, 407(2000):724-727
【非特許文献3】袁華堂,呉峰,武緒麗,李強,マグネシウム二次電池の研究及び発展動向,電池,2002,32(6):14-17
【非特許文献4】馮真真,努麗燕娜,王久林,楊軍,マグネシウム二次電池研究発展,化学與物理電源系統,2007,1;73-79
【非特許文献5】Genders J D, Pletcher D, Studies using microelectrodes of the Mg(II)/Mg couple in terahydrofuran and propylene carbonate,J.Electroanal. Chem., 199(1986)93-100;93-100
【非特許文献6】Lu Z,SchechterA,Moshkovich M,Aurbach D, On the electrochemical behavior of magnesium electrodes in polar aprotic electrolyte solutions, J. Electroanal.Chem., 466(1999)203-217
【非特許文献7】Guo Y S,Yang J,NuLi Y N, Wang J L, Study of electronic effect of Grignard reagents on their electrochemical behavior, Electrochem.Commun.,12(2010),1671-1673)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低コストで性能の高いマグネシウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、マグネシウム二次電池は、正極と、負極と、隔膜と、電解液とを含むマグネシウム二次電池であって、前記電解液は、含窒素複素環マグネシウムハライド及び有機エーテル溶剤を含有する。
【0009】
一実施形態において、電解液は、濃度が0.2~2mol/Lである。なお、本明細書において、電解液の濃度とは、電解液全体に対する溶質の濃度を指す。
別の実施形態において、含窒素複素環マグネシウムハライドはN-Mg結合を含み、かつピロリジニルマグネシウムブロミド、ピロリジニルマグネシウムクロリド、ピロリルマグネシウムブロミド、ピロリルマグネシウムクロリド、ピラゾリルマグネシウムブロミド、ピラゾリルマグネシウムクロリド、ピペリジルマグネシウムブロミド、ピペリジルマグネシウムクロリド、イミダゾリルマグネシウムブロミド、イミダゾリルマグネシウムクロリド、カルバゾリルマグネシウムブロミド、カルバゾリルマグネシウムクロリド、インドリルマグネシウムブロミド、インドリルマグネシウムクロリド、プリンマグネシウムブロミド、プリンマグネシウムクロリド、ピペリジルマグネシウムブロミド、ピペリジルマグネシウムクロリド、イミダゾリニルマグネシウムブロミド、イミダゾリニルマグネシウム
クロリド、ベンズイミダゾリルマグネシウムブロミド、ベンズイミダゾリルマグネシウムクロリド、フェノチアジニルマグネシウムブロミド、フェノチアジニルマグネシウムクロリド、テトラヒドロキノリニルマグネシウムブロミド、テトラヒドロキノリニルマグネシウムクロリド、イミダゾピリジンマグネシウムブロミド、イミダゾピリジンマグネシウムクロリド、チエニルピリジンマグネシウムブロミド、チエニルピリジンマグネシウムクロリド、1,4,7-トリアザシクロノナンマグネシウムブロミド、及び1,4,7-トリアザシクロノナンマグネシウムクロリドからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
【0010】
別の実施形態において、有機エーテルは、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、含窒素複素環マグネシウムハライドと有機エーテル溶剤を含有する電解液のマグネシウム二次電池における使用方法が提供される。
一実施形態において、電解液は、濃度が0.2~2mol/Lである。
【0012】
別の実施形態において、正極材料6.7~9.0重量部に、導電0.6~1.8重量部と、結着剤0.4~1.5重量部とを添加し、均一に攪拌してから50~100μmの厚さで集電体に塗布し、60~90℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径10~16mmのプレスヘッドで極片にプレスし、0.5~2MPaの圧力で極片を押圧した後、70~130℃で5~12時間真空乾燥を行うことにより正極を作製して、該正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転し、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、電解液5~30重量部を入れて、マグネシウム二次電池を組み立てる。
【0013】
本発明で使用される結着剤は、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン又はスチレンブタジエンゴムである。
本発明で使用される集電体は、銅箔、アルミニウム箔又は発泡ニッケルである。
【0014】
本発明のマグネシウム二次電池の測定方法は以下のとおりである。
(導電率の測定)
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに、0.2~2mol/Lの電解液をinLab710導電率測定セル(Mettler Toledo,Switzerland)に入れて、FE30導電率計により導電率を測定する。
(サイクル電圧-電流試験)
三電極管において、金属片を作用電極とし、0.2~2mol/Lの電解液を2~5ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極とし、三電極系を組み立てる。そして、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、1~300mV/Sのスキャン速度でサイクル電圧-電流試験を行う。
(マグネシウムの析出-溶出性能の測定)
金属片を正極とし、0.2~2mol/Lの電解液を0.1~0.5ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、充放電電流0.1~10mA/cm、放電時間5~120分、充電オフ電圧0.8Vvs.Mgの条件で、マグネシウムの析出-溶出性能を測定する。
(X線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM))
金属片を正極とし、0.2~2mol/Lの電解液を0.1~0.5ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、析出電流密度0.1~10mA/cm、析出時間5~24時間の条件で、電気化学析出を行う。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SE
M)により測定を行う。
【0015】
本発明で使用される金属片は、白金、銅、アルミニウム、ニッケル又は銀である。
本発明におけるマグネシウム二次電池は、電解液として、0.2~2mol/Lの含窒素複素環マグネシウムハライド/有機エーテル溶液を使用する。含窒素複素環マグネシウムハライドは、N-Mg結合力の大きいイオン結合性能により、電解液の陽極安定性が向上し、陽極酸化電位は最高2.7Vvs.Mg以上になる。該体系の陽極安定性によりマグネシウムの析出-溶出サイクルにおける初回効率が大幅に向上し、最高92%以上になる。15回のサイクルを経た後、マグネシウムの析出-溶出率は、98%以上に維持でき、サイクル回数が350回以上に達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1及び3で得られた1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液及び1mol/Lのピロリジニルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン電解液がマグネシウムの可逆的析出-溶出電解液として使用される場合のPt作用電極においてのサイクル電圧-電流曲線を比較する図である。
【図2】実施例2で得られた1mol/Lのピラゾリルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液のPt作用電極においてのサイクル電圧-電流曲線を示す。
【図3】実施例1で得られた1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液のサイクル初期の充放電効率を示す曲線図である。
【図4】実施例1で得られた1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液の充放電サイクル性能を示す曲線図である。
【図5】実施例1で得られた1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液をCu片に電着した後のX線回析スペクトル及び走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図6】比較例1で得られた0.25mol/LのMg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン電解液のPt作用電極においてのサイクル電圧-電流曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明は以下の実施例に限られない。なお、実施例で用いた試薬はすべて市販されているものであるか、当該技術分野の周知技術により製造可能である。

実施例
実施例1
ケイ酸コバルトマグネシウム75mgに、導電剤としてアセチレンブラック15mg、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10mgを添加して、均一に攪拌した後、100μmの厚さで銅箔に塗布した。こうした銅箔を、80℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径12mmのプレスヘッドで極片にプレスし、1MPaの圧力で極片を押圧し、80℃で10時間真空乾燥を行うことで、正極を作製した後、同正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転した。金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れて、マグネシウム二次電池を組み立てた。LAND電池測定システム(武漢藍電電子有限公司)により定電流充放電性能を測定した結果、Mg/Mg2+に対する充放電オフ電圧が0.5~2.1Vであり、マグネシウム二次電池の0.1C倍率での放電容量は50mAh/gを超えた。

【0018】
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液4mlをinLab710導電率測定セル(Mettler Toledo,Switzerland)に入れて、FE30導電率計に
より導電率を測定した。測定された電解液の導電率は0.647mS/cmであった。

【0019】
白金を作用電極とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。そして、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクル電圧-電流試験を行った。サイクル電圧-電流結果は、図1に示すように、0Vvs.Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.3Vvs.Mgになった。

【0020】
Cuを正極とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、充放電電流1mA/cm、放電時間30分、充電オフ電圧0.8Vvs.Mgの条件で、マグネシウムの析出-溶出性能を測定した。サイクル初期のマグネシウムの析出-溶出率結果は、図3に示すように、初回のサイクル効率が92.6%であった。15回サイクルした後のサイクル効率は98%に近づいた。サイクル回数は350以上であった。図4は、安定したサイクル過程におけるマグネシウムの析出-溶出曲線を示し、析出電位が-0.07Vvs.Mgであり、溶出電位は0.065Vvs.Mgである。

【0021】
金属片を正極とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、析出電流密度0.2mA/cm、析出時間10時間の条件で、電気化学析出を行った。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により測定を行った。XRD結果は、図5に示すように、基質であるCuの回折峰(それぞれ43.2、50.3、及び73.9にある)を除き、32.0、34.3、36.4、及び47.7で現れた回折峰は金属マグネシウムの峰(JCPDS 35-0821)であった。SEM結果(図5における挿図)によれば、析出されたマグネシウム層は緊密で平坦であった。

実施例2
ケイ酸コバルトマグネシウム75mgに、導電剤としてアセチレンブラック15mg、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10mgを添加して、均一に攪拌した後、100μmの厚さで銅箔に塗布した。こうした銅箔を、80℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径12mmのプレスヘッドで極片にプレスし、1MPaの圧力で極片を押圧し、80℃で10時間真空乾燥を行うことで、正極を作製した後、同正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転した。金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、1mol/Lのピラゾリルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れて、マグネシウム二次電池を組み立てた。LAND電池測定システム(武漢藍電電子有限公司)により定電流充放電性能を測定した結果、Mg/Mg2+に対する充放電オフ電圧が0.5~2.5Vであり、マグネシウム二次電池の0.1C倍率での放電容量は120mAh/gを超えた。

【0022】
白金を作用電極とし、1mol/Lのピラゾリルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。そして、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクル電圧-電流試験を行った。サイクル電圧-電流結果は、図2に示すように、0Vvs.Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、2つの窒素の導入によって電解液系の電気化学窓(electrochemical window)が拡大され、陽極酸化電位は2.7Vvs.Mgになった。現時点
で性能の一番優れた充電可能なマグネシウム電解液である0.25mol/L Mg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン系(陽極酸化分解電位が最高2.5Vvs.Mgである)よりも高い。

【0023】
Cuを正極とし、1mol/Lのピラゾリルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、充放電電流1mA/cm、放電時間30分、充電オフ電圧0.8Vvs.Mgの条件で、マグネシウムの析出-溶出性能を測定した。初回サイクル効率が60%以上で、15回サイクルした後のサイクル効率が90%以上で、100回サイクルした後のサイクル効率が98%以上であった。

【0024】
Cuを正極とし、1mol/Lのピラゾリルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレンを隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、析出電流密度0.2mA/cm、析出時間10時間の条件で、電気化学析出を行った。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)により測定を行った結果、電着されたMg結晶の存在が検出された。

実施例3
ケイ酸コバルトマグネシウム75mgに、導電剤としてアセチレンブラック15mg、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10mgを添加して、均一に攪拌した後、100μmの厚さで銅箔に塗布した。こうした銅箔を、80℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径12mmのプレスヘッドで極片にプレスし、1MPaの圧力で極片を押圧し、80℃で10時間真空乾燥を行うことで、正極を作製した後、同正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転した。金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れて、マグネシウム二次電池を組み立てた。LAND電池測定システム(武漢藍電電子有限公司)により定電流充放電性能を測定した結果、Mg/Mg2+に対する充放電オフ電圧が0.5~2.1Vであり、マグネシウム二次電池の0.1C倍率での放電容量は50mAh/gを超えた。

【0025】
アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン電解液4mlをinLab710導電率測定セル(Mettler Toledo,Switzerland)に入れて、FE30導電率計により導電率を測定した。測定された電解液の導電率は0.702mS/cmであった。

【0026】
白金を作用電極とし、1mol/Lのピロリジニルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。そして、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクル電圧-電流試験を行った。サイクル電圧-電流結果は、図1に示すように、0Vvs.Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.3Vvs.Mg以上になった。
比較例1
ケイ酸コバルトマグネシウム75mgに、導電剤としてアセチレンブラック15mg、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10mgを添加して、均一に攪拌した後、銅箔に塗布した。こうした銅箔を、80℃のオーブンに入れて乾燥した後、直径12mmのプレスヘッドで極片にプレスし、1MPaの圧力で極片を押圧し、80℃で10時間真空乾燥を行うことで、正極を作製した後、同正極をアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスに移転した。金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜とし、0.25mol/LのMg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン電解液を0.3ml入れて、マグネシウ
ム二次電池を組み立てた。LAND電池測定システム(武漢藍電電子有限公司)により定電流充放電性能を測定した結果、Mg/Mg2+に対する充放電オフ電圧が0.5~2.1Vであり、マグネシウム二次電池の0.1C倍率での放電容量は100mAh/gを超えた。

【0027】
白金を作用電極とし、0.25mol/LのMg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。そして、該三電極系に対して、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50mV/Sのスキャン速度でサイクル電圧-電流試験を行った。サイクル電圧-電流結果は、図6に示すように、0Vvs.Mgの付近で現れた還元酸化過程は、マグネシウムの析出及び溶出に対応し、陽極酸化電位は2.5Vvs.Mgになった。

【0028】
実施例1~3及び比較例1から明らかであるように、ピロリジニルマグネシウムブロミドなどの含窒素複素環マグネシウムハライドを含有する電解液を使用したマグネシウム二次電池は、陽極酸化分解電位などの性能が高くて、従来のMg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン電解液を使用したマグネシウム二次電池と同等レベルである。また、ピロリジニルマグネシウムブロミドなどの含窒素複素環マグネシウムハライドは製造しやすいため、低価で提供できる。したがって、ピロリジニルマグネシウムブロミドなどの含窒素複素環マグネシウムハライドを含有する電解液を使用したマグネシウム二次電池を低価で提供できる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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