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明細書 :マグネシウム電池用電解液

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2014-521195 (P2014-521195A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成26年8月25日(2014.8.25)
特許番号 特許第5956573号 (P5956573)
登録日 平成28年6月24日(2016.6.24)
発行日 平成28年7月27日(2016.7.27)
発明の名称または考案の名称 マグネシウム電池用電解液
国際特許分類 H01M  10/054       (2010.01)
H01M  10/0568      (2010.01)
H01M  10/0569      (2010.01)
FI H01M 10/054
H01M 10/0568
H01M 10/0569
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2014-519405 (P2014-519405)
出願日 平成24年7月30日(2012.7.30)
国際出願番号 PCT/CN2012/079376
国際公開番号 WO2013/020463
国際公開日 平成25年2月14日(2013.2.14)
優先権出願番号 201110254585.6
優先日 平成23年8月5日(2011.8.5)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成26年1月14日(2014.1.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
発明者または考案者 【氏名】楊 軍
【氏名】郭 永勝
【氏名】張 帆
【氏名】王 菲菲
個別代理人の代理人 【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
審査官 【審査官】神野 将志
参考文献・文献 特表2003-512704(JP,A)
Doron Aurbach et al.,Electrolyte Solutions for Rechargeable Magnesium Batteries Based on Organomagnesium Chloroaluminate,Journal of The Electrochemical Society,米国,The Electrochemical Society, Inc.,2002年,149(2),pp.A115-A121
調査した分野 H01M 10/054、10/0568、10/0569
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
有機ホウ素マグネシウム塩を溶質として、0.2~1mol/Lの濃度で有機エーテル類の非プロトン性極性溶媒に配合してなり、
前記有機ホウ素マグネシウム塩は、ホウ素を中心としたルイス酸RBとマグネシウム含有のルイス塩基R’MgXとを合成してなる有機ホウ素マグネシウム塩錯体であって、RとR’は、それぞれフルオロアリール基、アルキル化アリール基、アリール基、アルキル基、又はピロリジニル基を示し、Xはハロゲンを示すことを特徴とするマグネシウム電池用電解液。
【請求項2】
前記ホウ素を中心としたルイス酸の化学式はRBであって、Rはアルキル化アリール基、フルオロアリール基、アリール基、又はアルキル基を示すことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム電池用電解液。
【請求項3】
前記ホウ素を中心としたルイス酸は、以下の構造式で示す化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載のマグネシウム電池用電解液。
【化1】
JP0005956573B2_000002t.gif

【請求項4】
前記有機ホウ素マグネシウム塩錯体において、ルイス酸とルイス塩基とのモル配合比率は1:1~1:3であることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム電池用電解液。
【請求項5】
前記有機エーテル類の非プロトン性極性溶媒及びそれらの混合溶媒は、溶媒として有機マグネシウム塩を溶解するとともに、有機金属マグネシウム塩と配位し、有機エーテル類の非プロトン性極性溶媒として、テトラヒドロフラン、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジェチルエーテルジブチルエーテル、1,3-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを含むことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム電池用電解液。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム電池用電解液に関する。特に、広い電気化学安定窓を有するとともに、マグネシウムの可逆的析出特性が優れるマグネシウム電池用電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用性を有する二次電池系として、主に鉛酸電池、ニッケル水素電池、及びリチウムイオン電池がある。これらの電池は、我々の日常生活や社会経済発展において大事な役割を担っている。しかし、鉛酸電池は、そのエネルギー密度が低く、環境に対する汚染が大きいため、その使用は限られている。ニッケル水素電池は、技術が成熟し、安全性が高いため、ここ数年、ハイブリットシステムにおいて主流の電池となっている。しかし、ニッケル水素電池も、エネルギー密度が充分ではなく、その技術発展はもはや限界になっており、性能の更なる向上の余地があまりない。また、リチウム二次電池は、高いエネルギー密度、長いサイクルライフ、及び環境に優しいなどの長所を有するため、その研究開発が注目を浴びている。ところで、金属リチウムは、融点が低くて活性が高いとともに、有機電解液の多くにおいてリチウムの樹枝状結晶析出の現象が発生するため、現在では、黒鉛などのインターカレーション型負極材料をしか採用できない。しかも、リチウム二次電池の信頼性及び安全性上の問題はまだ解決されず、特に高エネルギー密度のリチウム二次電池として使用される場合、その安全性が懸念される。したがって、比エネルギーが高く、汚染がなく、且つ安全性の高い新型電池の開発は、電気化学研究の方向になっている。
【0003】
金属マグネシウムは、負極としての理論比容量が2205 mAh/gで、電極電位が約-2.37V vs.SHEであるとともに、優れた導電性及び機械性を有する。特に、マグネシウムは、値段が安く(リチウムの約1/24)、安全性が高く、且つ環境に優しいという長所がある。そのため、マグネシウム電池は、安全性及びコストの面において優れている。したがって、マグネシウムを電極材料とする研究は、科学研究者に注目されている(The Journal of The Electrochemical Society, 1990, 137 (3): 775-780)。Aurbachなどの研究者のマグネシウム二次電池研究成果によれば、マグネシウム二次電池は、小型機器(例えば、携帯用電気機器)の分野でリチウムイオン電池と競争できないが、大型機器の用途では潜在的な優勢を有し、電動自動車やエネルギー蓄積装置に用いられるグリーン充電電池として活用できると思われている(Nature, 2000, 407 (6805): 724-727)。
【0004】
マグネシウム二次電池の発展を制限する要因は、主に、多くの非プロトン電解質溶液において金属リチウムの表面に形成される不活性化膜とマグネシウムの表面に形成される不活性化膜との性質が異なることにある。リチウムの表面に形成される不活性化膜は、リチウムイオンの良導体であるが、マグネシウムの表面に形成される不活性化膜は、マグネシウムイオンの不良導体である。これにより、マグネシウムイオンが不活性化膜を通過できなくなり、その電気化学活性が制限される。マグネシウム二次電池の発展は、電解液の発展に大きく関連すると言える。
【0005】
今までの研究結果によると、簡単なイオン化マグネシウム塩(例えば、MgCl、Mg(ClO、Mg(CFSOなど)の非プロトン性極性溶媒においてマグネシウムの可逆的析出が実現できない(Journal of Electroanalytical Chemistry, 1999, 466 (2): 203-217)。Mgは、グリニャール試薬のエーテル溶液において可逆的に析出-溶出することができる。しかし、一般のグリニャール試薬は、電気化学窓が狭く、活性が高いため、そのままマグネシウム二次電池用電解液として使用できない。1990年に、Gregoryらは、マグネシウムがMg[B(BuPh)]のエーテル溶液(Buはブチル、Phはフェニル)においても可逆的に析出することができると発表した(US patent,No.4894302)。なお、その電気化学窓が約1.9V(vs.Mg/Mg2+)であり、一般のグリニャール試薬に比べて、何百mVも高い。当該電解液を利用して始めてマグネシウム二次電池: Mg||0.25 mol/L Mg[B(BuPh)]/70%THF+30%DME||Coを組み立てた。この電池系において、正極活性物質の利用率が86%で、充放電のクーロン効率が99%であった。この電池は、放電電圧が低く、且つ極性化がひどいが、マグネシウム二次電池が技術的に使用可能であることを証明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、マグネシウム二次電池用電解液系として最も成熟したものは、2000年にイスラエルの科学者Aurbachが提案した電解液、即ち0.25mol/L Mg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン系(ここで、Etはエチル、Buはブチル)である。この電解液は、安定した電気化学窓が2.2V vs.Mg/Mg2+以上になり、マグネシウム二次電池の実用化に向かって大きな一歩を踏み出した(Nature, 2000, 407: 724-727)。しかし、当該電解液は、電気化学窓が相対的に狭いため、酸化還元電位及び容量の高い正極材料の使用が制限されている。したがって、電解質系は、マグネシウム二次電池の発展の最大のネックになっている。
【0007】
近年、マグネシウム電池のポリマー固体電解質は注目されており、様々なポリマー系が提出されている(Solid State Ionics, 2000, 128 (1-4): 203-210.,Journal of Power Sources, 2001, 102 (1-2): 46-54.)。これらのポリマー系では、SiOナノ粒子、マグネシウム塩ナノ粒子、及びイオン液体などを添加剤として添加している。ところが、その研究内容は、基本的に導電率及びサイクル電圧電流曲線を測定しているのみで、マグネシウム析出/溶出の電極過程可逆性には係っておらず、金属マグネシウム析出の直接な証拠がない。そのため、二次マグネシウム電池に用いられるポリマー固体電解質系は開示されていない。マグネシウム電池のポリマー電解質を開発するためには、まず、電解質におけるイオン解離及び導電メカニズムを把握し、金属マグネシウムの電気析出過程を研究する必要がある。一方、イオン液体は、揮発及び熱分解が生じにくく、熱安定性が高い、電気化学窓が広いなどの長所を有するため、マグネシウム二次電池の溶媒の条件を満たしている。そのため、ここ数年、イオン液体に対する研究が増えている。しかし、現時点では、まだ、イオン液体電解液において界面特性が複雑で、電解液の純度などに大きく影響されるため、マグネシウムの可逆的析出效率及びサイクル安定性はまだ理想的なものではない。性能の高いマグネシウム二次電池の発展のために、より高い導電率やアノード酸化電位、高いマグネシウム可逆的析出-溶出效率、及び優れたサイクル性能を有する電解液体系を開発することは、現在のマグネシウム二次電池の主な発展方向である。
【0008】
本発明は、上記の技術課題を解決するためになされたものであって、その目的は、広い電気化学安定窓を有するとともに、マグネシウムの可逆的析出特性が優れる新型マグネシウム二次電池用電解液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マグネシウム電池用電解液及びその製造方法に関するものであって、当該電解液は、合成された新型有機ホウ素マグネシウム塩錯体を溶質として、0.2~1mol/Lの濃度で有機エーテルなどの非プロトン性極性溶媒に配合してなる。当該電解液は、広い電気化学窓及び高い電気化学的安定性を有するとともに、高い導電率、優れたマグネシウムの可逆的析出特性を有する。これにより、高電圧、高容量のマグネシウム電池の開発のためにポイントとなる課題を解決する。
【0010】
本発明のマグネシウム電池用電解液における有機ホウ素マグネシウム塩は、ホウ素を中心としたルイス酸RBとマグネシウム含有のルイス塩基R2‐nMgXnとを所定の比率で合成してなる有機ホウ素マグネシウム塩錯体であって、nは0又は1を示し、RとRは、それぞれフルオロアリール基、アルキル化アリール基、アリール基、アルキル基、又はピロリジニル基を示し、Xはハロゲンを示す。また、RとRは、同じであっても異なってもよい。
【0011】
本発明において、ホウ素を中心としたルイス酸の製造方法は、以下のとおりである。
不活性気体雰囲気で有機ハロゲン化物、金属マグネシウム、ホウ素ハロゲン化物を乾燥後の無水エチルエーテルにおいて反応させ、反応が開始した後に、反応液をゆっくり滴下し、微沸騰を保持しながら反応させた後、不活性気体雰囲気において濾過を行い、得られた濾過液に対して真空抽出を行うことによりエチルエーテル溶媒を除去し、ホウ素を中心としたルイス酸が得られる。
【0012】
電解液の調製及び電池の組立てのすべての操作はアルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて行う。
調製された0.2~1mol/Lの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れて、FE30導電率計により導電率を測定する。
【0013】
パイプ型三電極ガラス測定電池において、白金を作用電極とし、0.2~1mol/Lの電解液を2~5ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てる。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、1~300mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行う。
【0014】
Ag片を正極とし、0.2~1mol/Lの電解液を0.1~0.5mL入れ、金属マグネシウムを負極とし、多孔性ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、0.1~5mA/cmの充放電電流密度で、定電流放電(マグネシウム析出)際に時間による制御を行い、定電流充電(マグネシウム溶出)際に電圧による制御を行うことで、マグネシウム析出-溶出性能テストを行う。
【0015】
Ag片を正極とし、0.2~1mol/Lの電解液を0.1~0.5mL入れ、金属マグネシウムを負極とし、多孔性ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てる。そして、析出電流密度0.1~10 mA/cm、析出時間5~24時間の条件で、電気化学析出を行う。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により測定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1で調製された0.4Mのマグネシウム二次電池用電解液のPt盤作用電極におけるサイクル電圧電流曲線を示す。
【図2】実施例2で調製された0.25Mのマグネシウム二次電池用電解液のPt盤作用電極におけるサイクル電圧電流曲線を示す。
【図3】実施例2で得られた析出マグネシウムのX線回析スペクトル及走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図4】実施例2に係るマグネシウムの析出-溶出効率及び充放電曲線を示す。
【図5】実施例4で調製された0.25Mのマグネシウム二次電池用電解液のPt盤作用電極における安定サイクル電圧電流曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限られない。
実施例1
0.528gのMg、2.05gの三フッ化ホウ素エチルエーテル、及び少量のIを、100mLの丸底フラスコに入れて、少量のm-メチル-ブロモベンゼンのエチルエーテル溶液を滴下した。反応が開始した後、m-メチル-ブロモベンゼンのエチルエーテル溶液をゆっくり滴下した。滴下完了後に、続いて3~5時間攪拌し、その後、得られた反応液を窒素雰囲気で濾過した。濾過液に対して真空抽出を行うことによりエチルエーテルを除去し、トリ(メタトリル)ホウ素のろう状固体が得られた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、当該固体とPhMgClとを複合させることで、0.4MのRB-(PhMgCl)(Rはメタトリル)のテトラヒドロフラン溶液、即ち、新型マグネシウム二次電池用電解液が得られた。4mlの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れて、FE30導電率計により導電率を測定した結果、電解液の導電率の値が1.2 mS/cmであった。

【0018】
白金を作用電極とし、3mlの上記電解液を入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50 mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行った。サイクル電圧電流結果を示した図1から分かるように、0V vs.Mg/Mg2+の近くで現れた還元酸化過程がマグネシウムの析出-溶出に対応し、アノード酸化電位が3.0V vs.Mg/Mg2+以上になった。
実施例2
0.528gのMg、2.05gの三フッ化ホウ素エチルエーテル、及び少量のIを、100mLの丸底フラスコに入れて、少量のm-メチル-ブロモベンゼンのエチルエーテル溶液を滴下した。反応が開始した後、1-ブロモ-3,5-ジメチルベンゼンのエチルエーテル溶液をゆっくり滴下した。滴下完了後に、続いて10時間攪拌し、その後、得られた反応液を窒素雰囲気で濾過した。濾過液に対して真空抽出を行うことによりエチルエーテル溶媒を除去し、トリ(メタジメチルフェニル)ホウ素のピンク色固体が得られた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、上記固体とPhMgClとを複合させることで、0.25MのRB-(PhMgCl)(Rはメタジメチルフェニル)のテトラヒドロフラン溶液、即ち、新型マグネシウム二次電池用電解液が得られた。4mlの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れて、FE30 導電率計により導電率を測定した結果、電解液の導電率の値が1.3 mS/cmであった。

【0019】
白金を作用電極とし、3mlの上記電解液を入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50 mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行った。サイクル電圧電流結果を示した図2から分かるように、0V vs.Mg/Mg2+の近くで現れた還元酸化過程がマグネシウムの析出-溶出に対応する。メチル置換有機ホウ素マグネシウム塩により電解液体系の電気化学窓口が広くなったので、そのアノード安定電位が3.5V vs. Mg/Mg2+になっても酸化させず、現時点で一番優れたマグネシウム二次電池用電解液である0.25 mol/LのMg(AlClEtBu)/テトラヒドロフラン系(2.5V vs. Mg/Mg2+)よりも高くなった。

【0020】
Ag片を正極とし、電解液を0.3ml入れ、金属マグネシウムを負極とし、ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、析出電流密度0.1mA/cm、析出時間8時間の条件で、電気化学析出を行った。その後、アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて電池を分解してテトラヒドロフランで洗浄し、析出物に対してX線回折(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)により測定を行った。XRD結果は、図3に示すように、32.0、34.3、36.4、及び47.7で現れた回折ピークは金属マグネシウムのピーク(JCPDS 35-0821)であった。SEM結果(図3を参照)から分かるように、析出されたマグネシウム層は緊密で平坦であった。

【0021】
Ag片を正極とし、0.25mol/Lの電解液を0.1~0.5mL入れ、金属マグネシウムを負極とし、多孔性ポリエチレン膜を隔膜として、ボタン型電池を組み立てた。そして、充放電電流密度0.1mA/cm、定電流放電時間30分、定電流充電オフ電圧0.8Vの条件で、マグネシウムの析出‐溶出性能を測定した。図5は、マグネシウムの析出-溶出效率及び充放電曲線を示しており、図5から分かるように、上記電解液は、優れたマグネシウムの可逆的析出特性を有し、安定サイクル効率が99%以上になった。

実施例3
0.528gのMg、2.05gの三フッ化ホウ素エチルエーテル、及び少量のIを、100mLの丸底フラスコに入れて、少量のm-メチル-ブロモベンゼンのエチルエーテル溶液を滴下した。反応が開始した後、m-フルオロ-ブロモベンゼンのエチルエーテル溶液をゆっくり滴下した。滴下完了後に、続いて2時間攪拌し、その後、得られた反応液を窒素雰囲気で濾過した。濾過液に対して真空抽出を行うことによりエーテル溶媒を除去し、トリ(メタフルオロフェニル)ホウ素の黄色固体が得られた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、上記固体とPhMgClとを複合させることで、0.25MのRB-(PhMgCl)(Rはメタフルオロフェニル)のテトラヒドロフラン溶液、即ち、新型マグネシウム二次電池用電解液が得られた。4mlの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れて、FE30 導電率計により導電率を測定した結果、電解液の導電率の値が1.08mS/cmであった。

【0022】
白金を作用電極とし、1 mol/Lの電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50 mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行った。サイクル電圧電流結果によれば、0V vs. Mg/Mg2+の近くで現れた還元酸化過程がマグネシウムの析出-溶出に対応する。アノード酸化電位が3.0 V vs. Mg/Mg2+以上になった。
実施例4
実施例2で調製されたトリアリールホウ素RB(Rは3,5-ジメチルフェニル)とPhMgClを複合させることで、0.25MのRB-(PhMgCl)の混合エーテル溶液(テトラエチレングリコールジメチルエーテル:テトラヒドロフラン=3:1)、即ち、新型マグネシウム二次電池用電解液を得た。この電解液は、溶媒としてのテトラヒドロフランの揮発性を大幅に低減することで、安全性が大幅に向上させた。4mlの電解液をinLab 710導電率測定セル(Mettler Toledo, Switzerland)に入れて、FE30 導電率計により導電率を測定した結果、電解液の導電率の値が0.91mS/cmであった。

【0023】
白金を作用電極とし、1 mol/Lの電解液を3ml入れ、金属マグネシウムを対電極及び参照電極として、三電極系を組み立てた。アルゴン雰囲気のグローブ・ボックスにおいて、50 mV/sのスキャン速度でサイクル電圧電流テストを行った。サイクル電圧電流結果によれば、0V vs. Mg/Mg2+の近くで現れた還元酸化過程がマグネシウムの析出-溶出に対応する。アノード酸化電位が3.0 V vs. Mg/Mg2+以上になった(図5を参照)。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4