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明細書 :ポリエチレングリコールでガス中のSOxを除去する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2012-517890 (P2012-517890A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成24年8月9日(2012.8.9)
特許番号 特許第5694957号 (P5694957)
登録日 平成27年2月13日(2015.2.13)
発行日 平成27年4月1日(2015.4.1)
発明の名称または考案の名称 ポリエチレングリコールでガス中のSOxを除去する方法
国際特許分類 B01D  53/14        (2006.01)
B01D  53/50        (2006.01)
B01D  53/77        (2006.01)
B01J  20/04        (2006.01)
B01J  20/10        (2006.01)
B01J  20/26        (2006.01)
FI B01D 53/14 102
B01D 53/14 103
B01D 53/34 125N
B01J 20/04 ZABA
B01J 20/10 A
B01J 20/26 D
B01J 20/10 D
B01J 20/04 B
請求項の数または発明の数 10
全頁数 17
出願番号 特願2011-549426 (P2011-549426)
出願日 平成22年2月10日(2010.2.10)
国際出願番号 PCT/CN2010/070622
国際公開番号 WO2010/091638
国際公開日 平成22年8月19日(2010.8.19)
優先権出願番号 200910009058.1
優先日 平成21年2月16日(2009.2.16)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成25年2月8日(2013.2.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】511199756
【氏名又は名称】北京博源恒升高科技有限公司
【氏名又は名称】BEIJING BOYUAN-HENGSHENG HIGH-TECHNOLOGY CO., LTD.
【識別番号】511199767
【氏名又は名称】江西永▲豊▼▲県▼博源▲実▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称】YONGFENG BOYUAN INDUSTRY CO., LTD.
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY
発明者または考案者 【氏名】ウェイ ションフイ
【氏名】ハン ファン
【氏名】チャン ジェンビン
【氏名】チャン ペンヤン
【氏名】ガオ ダオロン
【氏名】ワン ジンフェイ
【氏名】ゾウ チュアン
【氏名】フウ チュン
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査官 【審査官】井上 能宏
参考文献・文献 特開昭60-139320(JP,A)
特公昭45-017765(JP,B1)
特開昭54-072762(JP,A)
米国特許第04659553(US,A)
特表2003-505554(JP,A)
特開2006-272143(JP,A)
特開2006-136885(JP,A)
調査した分野 B01D 53/00~ 53/96
B01J 20/00~ 20/34
特許請求の範囲 【請求項1】
ガス中のSOxを吸収する方法であって、前記ガスをポリエチレングリコール溶液に接触させて、前記ポリエチレングリコール溶液が前記ガスからSOxを吸収して前記ガスを浄化するようにする工程を含み、xが2または3であり、前記ポリエチレングリコール溶液がポリエチレングリコールおよび水の組成を有する水性溶液であり、前記ポリエチレングリコールが前記ポリエチレングリコール溶液の主成分である、方法。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコール溶液の組成が、質量%で80.00%以上のポリエチレングリコールおよび質量%で20.00%未満の水であることを特徴とする、請求項1に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項3】
前記ポリエチレングリコール溶液が、常圧吸収または加圧吸収を用い、温度-20~200℃でSOxを吸収することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項4】
前記ガスが99.9%未満のSOxの合計体積%を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項5】
ガス中のSOxを吸収したポリエチレングリコール溶液を、加熱法、真空法および放射法からなる群から選択された1種または複数種の方法で再生し、再生温度が0~300℃であり、再生過程で再生されたポリエチレングリコール溶液から二酸化硫黄および/または三酸化硫黄を放出し、再生後のポリエチレングリコール溶液がリサイクル可能であり、前記放射法が超音波法またはマイクロ波法であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項6】
前記方法により、SOx含有廃ガスおよび/または工業用原料ガスからSOx除去ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項7】
前記方法が、加熱法、真空法および放射法からなる群から選択された2種以上の再生手段1つの再生器中で共用して使用することを含むことを特徴とする、請求項5に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコール溶液が質量で20%を超える水の含有量を有する場合、前記方法は前記再生されたポリエチレングリコール溶液から水を除去する工程を更に含み、除去方法は、加熱精留法および/または、CaO、無水CaSO4、シリカゲルおよび吸水樹脂からなる群から選択された1種以上の吸水剤を使用した吸水剤吸収法があり、水除去後のポリエチレングリコール溶液をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項5または請求項7に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコール溶液は、重合度が2以上のポリエチレングリコールの1種または複数種のポリエチレングリコールからなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
【請求項10】
前記SOx含有廃ガスが煙道ガスを含むことを特徴とする、請求項6に記載のガス中のSOxを吸収する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、煙道ガス、SOx含有廃ガスおよび/または工業用原料ガス中のSOxを除去する浄化方法、または煙道ガス、SOx含有廃ガスおよび/または工業用原料ガス中のSOx(x=2および/または3)を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業の迅速な発展によって、煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの消耗や排出量が日々増えつつある。硫黄含有廃ガスの排出は、深刻な環境汚染、例えば、酸性雨の形成、建築物の酸腐食、呼吸道疾患および皮膚病などを引き起こして、人間の健康に直接害を及ぼしている。数年来、世界中の科学者は、煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫技術に対して多くの研究を行って、たくさんの研究資料を蓄積している。環境意識の高まりに伴って、煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫問題が重視されつつある。しかしながら、今まで、煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫技術は、まだ飛躍的な進歩を遂げていない。煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫問題は、ずっとチャレンジングな課題である。
【0003】
従来の煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫技術は、主に湿式脱硫と乾式脱硫の二種類がある。具体的な湿式脱硫は、水洗浄法、石灰石と石灰水法、アルカリ金属溶液法、アルカリ溶液法、アンモニア法、およびヒドロキシアミン法などがあり、具体的な乾式脱硫は、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム、酸化モリブデン、および活性炭の方法などがある。中国では、主に水洗浄法、石灰石と石灰水法が用いられているが、先進国では、石灰石と石灰水法、アルカリ金属溶液法、アルカリ溶液法、アンモニア法、およびヒドロキシアミン法などがより多く用いられている。なかでも、水洗浄法は、水の消費量が多く、かつ水をリサイクルすることができず、硫黄含有廃水の排出が深刻な二次汚染を引き起こし、そして脱硫効果に劣っている。石灰石と石灰水法は、水洗浄法より優れるが、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、および炭酸カルシウムなどの固形廃棄物が多く発生し、石灰石と酸化カルシウムの消費量が多く、設備が大型で、投資が多額で、そして、吸収プロセスにおいて既に固体沈殿物が発生し、設備の詰まりを引き起こしやすく、更に、石灰石と水酸化カルシウムの水に対する溶解度が小さいため、吸収の際に、水酸化カルシウムが主に、優先的に二酸化炭素と反応し、その次に硫黄酸化物と反応するので、石灰水法は、脱硫効果も満足のいくものではなく、廃水排出量が多く、二次汚染が深刻である。アルカリ金属溶液法、アルカリ溶液法、アンモニア法およびヒドロキシアミン法などは、主に二酸化硫黄含有量が比較的に高い煙道ガス(例えば、製鋼、製銅などの精錬の排気ガスがあり、二酸化硫黄含有量が8%以上と高い)の脱硫に用いられ、そして二酸化硫黄を回収するが、これらの方法は、必要とする技術が高レベルで、エネルギー消費が高く、設備材質への要求が厳しく、一般の煙道ガスの脱硫に適さない。しかも、現在用いられる煙道ガス、硫黄含有工業用原料ガスおよびその他の廃ガスの脱硫方法は全て、設備への腐食がかなりひどいものである。
【0004】
従来、各種のガスは大気に排出される前に、脱硫処理されることが少なく、たとえ処理されたとしても、その含有量が比較的に高い。従来のHiPure法、Benfield法、G-V法、A.D.A法、水洗浄法、石灰石と石灰水法、アルカリ金属溶液法、アルカリ溶液法、アンモニア法、ヒドロキシアミン法、タンニンエキス法、およびスルホラン法などの脱硫法や、乾式脱硫である酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム、酸化モリブデン、および活性炭の方法などは、主に一次脱硫法として、工業原料ガス中の硫化水素を除去するが、一般のガス中の硫化水素の除去に広く用いられていない。その原因は主に、これらの脱硫方法は、脱硫効率が高くなく、ランニングコストが高く、設備の投資が多額で、腐食がひどく、効果が満足のいくものではなく、有機硫黄の除去率に劣っているからである(非特許文献1~3を参照)。低温メタノール法の脱硫技術(非特許文献4を参照)は、硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および二酸化炭素を物理的に吸着する方法であって、現在、大規模な化学企業において原料ガスの脱炭素脱硫に用いられることはよくあるが、メタノールは、低沸点で、揮発しやすく、飽和蒸気圧が高いため、通常、高圧・低温下(-10℃以下)で扱う必要があり、エネルギー消費が高く、メタノールのロスがひどく、プロセスフローが複雑で、作業が煩雑で、総合ランニングコストが高い。常温メタノール法(非特許文献5を参照)は、メタノール60%とジエタノールアミン40%との混合溶液を用いて、ガス中の硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および二酸化炭素を吸収した後、加熱・減圧して硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および二酸化炭素を放出するものである。メタノールは、低沸点で、揮発しやすく、飽和蒸気圧が高いため、放出したガスにメタノールが多く含まれるため、溶液の組成が不安定になり、メタノールのロスがひどい。しかも、ジエタノールアミンは、光や空気に曝されると酸化分解しやすく、溶液の化学安定性に劣るため、溶液の再生手段は、加熱・減圧により再生して、硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および二酸化炭素の混合ガスを放出させてから、放出した硫黄含有ガスをクラウス(Claus)法で硫黄に転換させるしかない。そのエネルギー消費が高く、メタノールとジエタノールアミンのロスがひどく、プロセスフローが複雑で、作業が煩雑で、総合ランニングコストが高い。以上の方法は、主にガス中の硫化水素、硫化カルボニルおよび二硫化炭素などの有機硫黄の除去に用いられるが、ガス中のSO2および/またはSO3の除去に用いられていない。
【0005】
プロパントリオール(グリセリン)を含有するウロトロピンの水溶液で、煙道ガス中のSO2を吸収することが提案されている(非特許文献6を参照)。しかし実際の実験において、ウロトロピンは、煙道ガスと接触後、その中の酸素ガスにより酸化分解されやすく、溶液の化学的性質が不安定になってしまうことが分かった。かつ、ウロトロピンは高価で、容易に入手できない化学工業・医薬製品である。そのため、そのランニングコストが非常に高く、脱硫性能が不安定なので、当該技術はまだ普及されていない。
【0006】
Fe2+とFe3+を含有する酢酸・アンモニア緩衝溶液(非特許文献7、特許文献1~2を参照)は、既に半水性ガスの脱硫に用いられ、高い脱硫効率と低い腐食性を有するが、当該溶液はイオン効果と塩効果が発生し、溶液が不安定である。鉄-アルカリ溶液触媒法によるガス脱炭素脱硫脱シアン方法における、鉄イオン含有アルカリ性物質の水溶液による湿式脱硫方法は、さまざまな形態の硫黄を除去する力を持ち、かつ低硫黄分ガスに対する脱硫効果が伝統的なガス湿式脱硫方法よりも優れる。しかしながら、鉄イオンは、アルカリ性溶液での安定性が悪く、水酸化鉄または水酸化第一鉄の沈殿が大量に発生し、そして、当該鉄-アルカリ溶液が硫化物含有ガスと接触した場合、更に硫化鉄または硫化第一鉄の沈殿が大量に発生して、溶液中の鉄イオン含有量が急減し、脱硫効果が激減するとともに、脱硫塔の詰まりなどの現象を引き起こしてしまい、高硫黄分ガスの脱硫に適さない(特許文献3を参照)。この状況を改善するために、本発明者らは、微生物を含有する「鉄-アルカリ性溶液」を用いて、常圧または加圧で脱硫することを試みて、良好な効果が得られた(特許文献4を参照)。同時に、エチレングリコール、またはエチレングリコールエステル、またはジエチレングリコールモノメチルエーテルの溶液を用いて硫化水素を吸収し、さらに、硫化水素を吸収した有機溶液に二酸化硫黄ガスを吹き込んで、硫化水素と二酸化硫黄とを反応させ、硫黄を生成し、有機溶液を再生し、そしてリサイクルすることも提案されている(特許文献5~7を参照)。二酸化硫黄で硫化水素含有エチレングリコール溶液を再生する方法は簡単であるが、二酸化硫黄の供給源が不足し、容易に入手できず、運送過程には特殊な道具や特別な安全措置が必要となり、ランニングコストが高く、安全措置が厳しい。エチレングリコール溶液、或いはエチレングリコールとアルカノールアミン類との混合溶液、或いはエチレングリコールとアルカノールアミン類と炭酸ナトリウムとの混合溶液、或いはエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルの溶液、或いはジエチルアミンとジエチレングリコールとトリエチレングリコールとトリエチレングリコールメチルエーテルとの混合水溶液、或いはアミンとアセトアルデヒドとの混合溶液、或いはジエチレングリコールモノメチルエーテルとニトリロ三酢酸鉄(III)との混合水溶液を用いて、天然ガスまたはその他のガス中の硫化水素、有機硫黄および水を吸収する研究者もいる(特許文献8~16を参照)。しかしながら、現在、以上に述べた技術は、工業用原料ガスの脱硫分野のみに大規模に用いられて、ガス中の硫化水素、硫化カルボニルおよび二硫化炭素を除去しているが、まだ煙道ガスおよびその他の廃ガスの脱硫分野でSOx(二酸化硫黄および/または三酸化硫黄を含む)の除去に用いられていない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】中国特許出願公開第1087110号明細書(Wei Xionghui, Novel Process for Desulfurization and Deoxidation of Semi-water Gas)
【特許文献2】中国特許出願公開第1133817号明細書(Wei Xionghui, Pressurized Decarbonization and Desulfurization with Iron-Alkali Solution)
【特許文献3】中国特許第99100596.1号明細書(Wei Xionghui, Zou Meihua, Wei Fenghui, Gas Decarbonization, Desulfurization and Decyanation Technology by Fe-Alkali Solution Catalytic Method)
【特許文献4】中国特許第02130605.2号明細書(Wei Xionghui, Biochemical Iron-Alkali Solution Catalytic Process for Desulfurization of Gas)
【特許文献5】RU2070423C1(Galeeva R. G., Kamalov Kh. S., Aminov M. Kh., Gafiatullin R. R., Mitina A. P., Bakhshijan D. Ts., Safin G. R., Levanov V. V., Installation for Complete purification of Petroleum and Natural Gases)
【特許文献6】PCT/FR83/00174(Biedermann, Jean-Michel, Process for Eliminating Hydrogen Sulphide Contained in Gas Mixture)
【特許文献7】FR2532190-A1(Biedermann, Jean-Michel, etc., Process for Eliminating Hydrogen Sulphide Contained in Gas Mixture)
【特許文献8】特開昭62-95118号公報(村岡寛允)
【特許文献9】DE2333708A1(Method of Dehydration Using Glycol, a German patent with the publication number)
【特許文献10】SU1611411A1(A patent of the former Soviet Union with the publication number)
【特許文献11】特開平6-228573号公報(小室武勇)
【特許文献12】SU655410A(A patent of the former Soviet Union with the publication number)
【特許文献13】WO03011432A1(PCT/EP02/07915)(Wyschofsky Michael, Hoberg Dirk, Method for the Separation of Gaseous Components from Technical Gases by Means of Ethylene Glycol Dimethyl Ethers at Low Temperatures)
【特許文献14】SU927282B(A patent of the former Soviet Union with the publication number)
【特許文献15】WO9007467A1(PCT/US89/05742)(Dillon Edward Thomas, Composition and Method for Sweetening Hydrocarbons)
【特許文献16】米国特許第4368178号明細書(Zaida Diaz, Process for the Removal of H2S and CO2 from Gaseous Streams)
【0008】

【非特許文献1】Benson, H.E., Parrish, R.W., HiPure Process Removes CO2/H2S, Hydrocarbon Processing, April, 1974, p.81-82.
【非特許文献2】Jenett, E., Giammarco-Vetrocoke Process, The Oil and Gas Journal, April 30, 1962, p.72-79.
【非特許文献3】F. C. Riesenfeld, A. L. Kohl, translated by Shen Yusheng, Gas Purification, Beijing, China Building Industry Press, 1982.
【非特許文献4】Dai Wenbin, Tang Hongqing, Computer and Applied Chemistry, 1994, 11(1), p.44-51
【非特許文献5】Ma Bin, Coal Chemical Industry, 1994, issue 68, p.35-38.
【非特許文献6】Zh. Prikl. Khim.(S.-Peterburg), 1993, 66(10), p.2383-2385 (Russian) .
【非特許文献7】Wei Xionghui, Dai Qianyuan, Chen Zhongming, Shao Kesheng, Zhang Chending, The Principle of Desulfurization of Gases with Buffering Solution of Basic Ironic Salts, Journal of Chemical Industry and Engineering, 1998, 49(1), p.48-58.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ポリエチレングリコールを溶液として(以下、単に「ポリエチレングリコール溶液」と略す)ガス中のSOx(x=2および/または3)を吸収する方法(以下、単に「ポリエチレングリコール脱硫法」と略す)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のポリエチレングリコール溶液は、主成分がポリエチレングリコールであり、ポリエチレングリコールの重合度が2以上であり、複数種の異なる重合度のポリエチレングリコールの混合液体であってもよい。ポリエチレングリコールの分子式は以下のとおりである。
【0011】
HO-C2H4-O-C2H4-OH 重合度2、
HO-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-OH 重合度3、
HO-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-OH 重合度4、
HO-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-O-C2H4-OH 重合度5、
・・・・これによって類推する。
【0012】
本発明のポリエチレングリコール脱硫法において、まず、ポリエチレングリコール溶液を用いてガス中のSOx(x=2および/または3)を吸収し、つぎに、SOxを吸収したポリエチレングリコール溶液を、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法の1種または複数種の方法で再生して、再生後のポリエチレングリコール溶液をリサイクルする。再生後のポリエチレングリコール溶液中の水の含有量が多くて脱硫効果に影響を及ぼす場合、ポリエチレングリコール溶液中の水を除去する必要がある。水の除去方法は、加熱精留法、吸水剤吸収法があり、これらの方法を併用してもよい。水除去後のポリエチレングリコール溶液をリサイクルする。
【0013】
本発明のポリエチレングリコール脱硫法では、脱硫前の硫黄含有ガス中のSOx合計含有量に特別な要求はないが、より優れた脱硫効果を達成するために、硫黄含有ガスにおけるSOx合計含有量が99.9%(体積比)未満であることが好ましい。
【0014】
本発明のポリエチレングリコール脱硫法において、プロセス条件が厳しく制限されないが、常圧吸収または加圧吸収を用いることが好ましく、吸収温度が-20~200℃であることが好ましい。そして、SOxを吸収したポリエチレングリコール溶液を、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法の1種または複数種の方法で再生する際に、再生温度が0~300℃であることが好ましい。
【0015】
前記ポリエチレングリコール溶液は、主にポリエチレングリコールを含む液状流体であり、質量%で80.00%以上のポリエチレングリコールと、質量%で20.00%未満の水である。
【0016】
本発明のポリエチレングリコール脱硫法において、SOxを吸収したポリエチレングリコール溶液を、加熱法、真空法、超音波、マイクロ波および放射法の1種または複数種の方法で再生する際に、二酸化硫黄および/または三酸化硫黄を副生する。
【0017】
本発明の基本原理は以下のとおりである。
【0018】
煙道ガス、またはその他のSOx含有ガスを、ポリエチレングリコール溶液に接触させると、下記のような吸収反応が起こる。
【0019】
以下、重合度2のポリエチレングリコールを例として、本発明の原理をより詳しく述べるが、本発明のポリエチレングリコール溶液が重合度2のポリエチレングリコール溶液に限定されるわけではなく、その上、本発明の特許請求の範囲を制限するものと解してはならない。
【0020】
【数1】
JP0005694957B2_000002t.gif

【0021】
二酸化硫黄、三酸化硫黄を吸収したポリエチレングリコール溶液が富液となり、脱硫塔底部から流出し、再生器に入って、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法の1種または複数種の方法で再生され、高純度の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄を放出する。富液は再生器にて以下のような再生反応が起こる。
【0022】
【数2】
JP0005694957B2_000003t.gif

【0023】
試験研究によって、ポリエチレングリコール溶液に水が含まれる場合、ポリエチレングリコール溶液の硫黄吸収能力が顕著に低下することを見出した。したがって、ポリエチレングリコール溶液中の水をできるだけ除去し、その水の含有量を少なくすればするほど良いが、実際に、脱硫プロセスにおいて、ポリエチレングリコール溶液中の水を完全に除去することが不可能でるので、水除去のコストを合理的に低減するとともに、ポリエチレングリコール溶液が硫黄成分を効果的に吸収することを確保するため、ポリエチレングリコール溶液中の水の質量%を20%以下に低減させればよい。
【0024】
再生後のポリエチレングリコール溶液(以下、単に「脱硫液」と略す)をリサイクルする。
【0025】
上記基本原理を実現するために、本発明者らは2つのプロセスを設計した。第1のプロセスが、脱硫吸収プロセスであり、第2のプロセスが、脱硫液再生プロセスであり、脱硫液再生プロセスに用いられる再生手段は、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法がある。
【0026】
第1のプロセス:脱硫吸収プロセスは、常圧吸収プロセスであってもよく、加圧吸収プロセスであってもよく、その脱硫吸収フローは、図1に示すようなものである。脱硫吸収プロセスは、脱硫塔の中で起こる。通常、SOx含有ガスは脱硫塔底部から脱硫塔に入り、再生された脱硫液(通常、「貧液」と呼ばれる)は脱硫塔頂部から脱硫塔に入り、脱硫塔の中で、SOx含有ガスと脱硫液とが向流接触し、ガス中のSOx物質が脱硫液に吸収された後、SOxが除去されたガスは脱硫塔頂部から出る。ガス中のSOxを吸収した脱硫液は「富液」となり、「富液」は脱硫塔底部から出た後、再生プロセスに入る。吸収プロセスでは、ガスと脱硫液とがともに脱硫塔頂部から入り、脱硫塔の中で並流吸収の形で吸収プロセスを完成することも可能である。
【0027】
第2のプロセス:脱硫液再生プロセスであり、用いられる再生手段は、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法がある。
【0028】
加熱再生フローの概略図は、図2に示すようなものである。その再生手段は、SOxを吸収した脱硫「富液」を加熱再生器に入れ、加熱下で再生して、SO2および/またはSO3を放出する。加熱再生された後の脱硫液は、通常、脱硫「半貧液」または「貧液」と呼ばれる。当該「半貧液」または「貧液」は、脱硫吸収プロセスに直接供されて再利用してもよく、続いてその他の再生手段に供されて更に再生された後、脱硫吸収プロセスに供されて再利用してもよい。
【0029】
真空再生フローの概略図は、図3に示すようなものである。その再生手段は、SOxを吸収した脱硫「富液」を真空再生器に入れ、真空排気して再生する。この時、SO2および/またはSO3を放出する。真空再生された後の脱硫液は、通常、脱硫「半貧液」または「貧液」と呼ばれる。当該「半貧液」または「貧液」は、脱硫吸収プロセスに直接供されて再利用してもよく、続いてその他の再生手段に供されて更に再生された後、脱硫吸収プロセスに供されて再利用してもよい。
【0030】
超音波法および/またはマイクロ波法または放射法による再生フローの概略図は、図4に示すようなものである。その再生手段は、SOxを吸収した脱硫「富液」を超音波および/またはマイクロ波または放射再生器にいれ、超音波および/またはマイクロ波または放射波の照射下で、SO2および/またはSO3を放出する。超音波および/またはマイクロ波または放射再生された後の脱硫液は、通常、脱硫「半貧液」または「貧液」と呼ばれる。当該「半貧液」または「貧液」は、脱硫吸収プロセスに直接供されて再利用してもよく、続いてその他の再生手段に供されて更に再生された後、脱硫吸収プロセスに供されて再利用してもよい。
【0031】
以上に述べた加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法などの再生手段は、2種または2種以上の手段が1つの再生器に複合されたものであってもよい。
【0032】
再生後のポリエチレングリコール溶液中の水の含有量が多くて脱硫効果に影響を及ぼす場合、ポリエチレングリコール溶液中の水を除去する必要があり、除去方法は、加熱精留法、吸水剤吸収法があり、これらの方法を併用してもよく、水除去後のポリエチレングリコール溶液をリサイクルする。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、伝統的な湿式脱硫技術(例えば、カルシウム法脱硫技術、アンモニア法脱硫技術など)と比べて、以下のような利点がある。(1)伝統的な湿式脱硫技術は、硫黄分が比較的に低いガスの脱硫のみに適用するが、本発明にかかるポリエチレングリコール脱硫法は、低硫黄分ガスの脱硫にも高硫黄分ガスの脱硫にも使用できる。(2)伝統的な湿式脱硫技術は、脱硫・再生の全過程で不溶性カルシウム塩またはアンモニウム塩の沈殿が生じ、設備やパイプの詰まりを引き起こすおそれがあるが、本発明にかかるポリエチレングリコール脱硫法は、不溶性カルシウム塩またはアンモニウム塩の沈殿がほとんど生じない。(3)伝統的な湿式脱硫技術は、煙道ガスの脱硫に用いられると、副生物が、硫酸カルシウムと亜硫酸カルシウム、または硫酸アンモニウムと亜硫酸アンモニウムであるが、本発明にかかるポリエチレングリコール脱硫法は、副生物が高純度の液状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄であり、これらの副生物は重要な化学工業原料で、幅広い市場と重要な応用価値を持つ。ポリエチレングリコール脱硫法は、浄化度が高く、ガス中の全硫黄分を5mg/m3以下に安定して低減させることができるとともに、ランニングコストが低く、ショートプロセスで、投資が小額で、作業が簡単である。
【0034】
本発明にかかるポリエチレングリコール脱硫法は、幅広い工業用途があり、煙道ガス、焼却ガス、コークス炉ガス、染料工場の合成廃ガス、化学繊維工場の汚染排出ガス、クラウステールガス(Clause tail gas)、およびSOxを含有する他の工業用原料ガスまたは廃ガスの脱硫に用いることができる。なお、上記硫黄含有ガスおける全硫黄分が全て99.9%(体積比)未満である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】脱硫吸収プロセスの概略図である。
【図2】脱硫液の加熱再生手段の概略図である。
【図3】脱硫液の真空再生手段の概略図である。
【図4】脱硫液の超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生手段の概略図である。
【図5】異なる組成のポリエチレングリコールと水の溶液の、298.15K、122.61KPaの条件下、二酸化硫黄と窒素の混合ガスとの吸収気液平衡図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、具体的な実施形態を併せて、本発明のポリエチレングリコール脱硫法を説明する。本実施形態は、本発明をよりよく説明するためのものであり、本発明の特許請求の範囲を制限するものと解してはならない。

【0037】
第1のプロセスが脱硫吸収プロセスであり、その実施形態は図1に示すようなものである。図1において、1が脱硫塔、2がSOx含有ガス、3が浄化ガス、4が脱硫貧液、5が脱硫富液である。

【0038】
図1を参照されるように、SOx含有ガス2は、脱硫塔1の底部から入り、脱硫貧液4と向流接触する。SOx含有ガス2中のSOxが貧液4に吸収され、SOx含有ガス2は、浄化ガス3となり、脱硫塔1の頂部から出る。SOxを吸収した脱硫貧液4は、脱硫塔1の底部で脱硫富液5となる。脱硫富液5は、脱硫塔1の底部から流出し、脱硫液再生プロセスに供され、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法の1種または複数種の方法で再生される。

【0039】
図1の態様に従って、本発明者らは、ガスクロマトグラフィー法で気相中の二酸化硫黄含有量を測定し、ヨウ素滴定法で液相中の二酸化硫黄含有量を測定する方法を用いて、298.15K、122.61kPaの条件で研究を行い、ポリエチレングリコール(「PEG」と略記する。当該実験に用いられるポリエチレングリコールは、重合度が8~10の混合液体であり、平均分子量が380~420である。)と水の混合溶液が、二酸化硫黄と窒素ガスの混合ガスと接触し吸収平衡になった時点の吸収平衡データは、以下のとおりである。

【0040】
【表1】
JP0005694957B2_000004t.gif

【0041】
JP0005694957B2_000005t.gif

【0042】
JP0005694957B2_000006t.gif

【0043】
表1中のデータをプロットし、図5に示す。

【0044】
以上の実験結果から、ポリエチレングリコール溶液中の水の質量含有量が20%を超えた場合、ポリエチレングリコール溶液の二酸化硫黄吸収能力が顕著に低下することが分かった。そのため、ポリエチレングリコール溶液中の水の質量含有量をできるだけ20%以下に低減させることは、脱硫効果に有利である。

【0045】
第2のプロセスが脱硫液再生プロセスであり、脱硫液再生プロセスに用いられる再生手段は、加熱法、真空法、超音波法、マイクロ波法および放射法がある。

【0046】
加熱再生手段の実施形態は、図2に示すようなものである。図2において、4が脱硫貧液、5が脱硫富液、7が二酸化硫黄および/または三酸化硫黄、8が硫黄含有泡沫および/またはゴミ、9が加熱再生器である。

【0047】
図2に参照されるように、脱硫富液5は、加熱再生器9に供され、加熱されて、ガス状二酸化硫黄および/または三酸化硫黄7を放出する。ガス状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄7を、いくつかの加工方法によって、高純度の液状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄の副産物に転換することができる。更に、硫黄含有泡沫および/またはゴミ8が発生または蓄積し、脱硫液の主体との分離を実現する。分離した硫黄含有泡沫および/またはゴミ8を、更に硫黄副生物に加工することができる。更に、灰分も僅かに排出される。脱硫富液5は、加熱再生器9によって再生された後、脱硫貧液4となる。脱硫貧液4は、脱硫吸収プロセスに直接供しリサイクルしてもよく、真空再生および/または超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生手段に供し更に再生してもよい。

【0048】
真空再生手段の実施形態は、図3に示すようなものである。図3において、4が脱硫貧液、5が脱硫富液、7が二酸化硫黄および/または三酸化硫黄、8が硫黄含有泡沫および/またはゴミ、10が真空再生器、11が真空機である。

【0049】
図3に参照されるように、脱硫富液5は、真空再生器10に供され、真空機11の作用で真空化され、ガス状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄7を放出する。ガス状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄7を、いくつかの加工方法によって、高純度の液状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄の副産物に転換することができる。更に、硫黄含有泡沫および/またはゴミ8が発生または蓄積し、脱硫液の主体との分離を実現する。分離した硫黄含有泡沫および/またはゴミ8を、更に硫黄副生物に加工することができる。更に、灰くずも僅かに排出される。脱硫富液5は、真空再生器10によって再生された後、脱硫貧液4となる。脱硫貧液4は、脱硫吸収プロセスに直接供しリサイクルしてもよく、加熱再生および/または超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生手段に供し更に再生してもよい。

【0050】
超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生手段の実施形態は、図4に示すようなものである。図4において、4が脱硫貧液、5が脱硫富液、6が超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生器、7が二酸化硫黄および/または三酸化硫黄、9が硫黄含有泡沫および/またはゴミである。

【0051】
図4に参照されるように、脱硫富液5は、超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生器6に供され、超音波および/またはマイクロ波および/または放射の照射下で、ガス状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄7を放出する。ガス状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄を、いくつかの加工方法によって、高純度の液状の二酸化硫黄および/または三酸化硫黄の副産物に転換することができる。更に、硫黄含有泡沫および/またはゴミ8が発生または蓄積し、脱硫液の主体との分離を実現する。分離した硫黄含有泡沫および/またはゴミ8を、更に硫黄副生物に加工することができる。更に、灰くずも僅かに排出される。脱硫富液5は、超音波および/またはマイクロ波および/または放射再生器6に再生された後、脱硫貧液4となる。脱硫貧液4は、脱硫吸収プロセスに直接供しリサイクルしてもよく、加熱再生および/または真空再生手段に供し更に再生してもよい。

【0052】
再生後のポリエチレングリコール溶液中の水の含有量が多くて脱硫効果に影響を及ぼす場合、ポリエチレングリコール溶液中の水を除去する必要があり、除去方法は、加熱精留法、吸水剤吸収法があり、これらの方法を併用してもよく、水除去後のポリエチレングリコール溶液をリサイクルする。常用の吸水剤は、CaO、無水CaSO4、シリカゲル、および吸水性樹脂がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4