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明細書 :太陽集熱装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-052153 (P2014-052153A)
公開日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発明の名称または考案の名称 太陽集熱装置
国際特許分類 F24J   2/14        (2006.01)
F24J   2/24        (2006.01)
FI F24J 2/14
F24J 2/24 A
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2012-198077 (P2012-198077)
出願日 平成24年9月10日(2012.9.10)
発明者または考案者 【氏名】圓山 重直
【氏名】岡島 淳之介
【氏名】張 信栄
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
【識別番号】500212103
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY
個別代理人の代理人 【識別番号】100095359、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 篤
【識別番号】100143834、【弁理士】、【氏名又は名称】楠 修二
審査請求 未請求
要約 【課題】比較的簡単な構成で熱損失を抑えることができ、メンテナンスが容易で、製造コストなどの費用を低減することができる太陽集熱装置を提供する。
【解決手段】内部に熱媒体を流すための集熱管12が、真空透明管11の内部に配置されている。1対の第1反射板13が、真空透明管11の内部に、集熱管12に沿って設けられている。各第1反射板13は、集熱管12の長さ方向に対して垂直な断面内で、集熱管12から左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びている。1対の第2反射板14が、複合放物面形状を成し、真空透明管11の内部で、各第1反射板13の開口端縁A,Dにそれぞれ接続されている。各第2反射板14の各入射端縁B,Cの間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板13もしくは各第2反射板14で少なくとも1回反射して集熱管12に当たるよう構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
内部を真空にすることができる真空透明管と、
前記真空透明管の内部に配置された、内部に熱媒体を流すための集熱管と、
前記真空透明管の内部に前記集熱管に沿って設けられ、前記集熱管の長さ方向に対して垂直な断面内で、前記集熱管から左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びる1対の第1反射板と、
前記真空透明管の内部で各第1反射板の前記集熱管とは反対側の開口端縁にそれぞれ接続された、複合放物面形状を成す1対の第2反射板とを有し、
各第2反射板の各第1反射板とは反対側の入射端縁の間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板もしくは各第2反射板で少なくとも1回反射して前記集熱管に当たるよう構成されていることを特徴とする太陽集熱装置。
【請求項2】
前記集熱管は円筒形状を成し、
各第1反射板は、前記集熱管の長さ方向に対して垂直な断面内で、前記集熱管の外周円の1点からそれぞれ左右に伸びて、各開口端縁を結ぶ直線が前記集熱管の外周円の前記1点とは反対側でほぼ接するよう形成されており、各開口端縁の間に入射した光が、直接または各第1反射板で反射して前記集熱管に当たるよう構成され、
各第2反射板は、各入射端縁に向かって間隔が広がるよう取り付けられており、各入射端縁の間から入射した太陽光が各第1反射板の開口端縁の間に集光するよう構成されていることを
特徴とする請求項1記載の太陽集熱装置。
【請求項3】
前記集熱管と各第1反射板と各第2反射板とで構成される集熱器を2組有し、
各集熱器は、前記真空透明管の内部に、各入射端縁間の開口の向きを揃えて並べて配置されていることを
特徴とする請求項1または2記載の太陽集熱装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽集熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽集熱装置として、平面鏡に太陽追尾機構を設けたもの(例えば、特許文献1参照)や、複合放物面集光(Compound Parabolic Concetrator;CPC)型反射鏡により太陽光を集熱部に入射させるもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【0003】
なお、本発明者等により、円筒状の放射源から放射される光を効率良く反射し、開口部で均一かつ当方性の放射面を得ることができるインボリュート形反射板が開発されているが(例えば、特許文献3参照)、このインボリュート形反射板は、光源からの光を放射するために開発されたものであり、集光するために使用されたことはない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-286200号公報
【特許文献2】特許第3958032号公報
【特許文献3】特許第3205809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような太陽追尾機構を有する太陽集熱装置では、高い集光効率は得られるが、太陽追尾機構が複雑な構成となるため、製造コストや設置コストが嵩むという課題があった。また、メンテナンスが困難となり、維持費用も嵩むという課題もあった。特許文献2に記載のような複合放物面集光型反射鏡を利用した太陽集熱装置では、複合放物面集光型反射鏡による集光範囲が平面となり、平面状の集熱面の表裏両面から周囲空気への熱伝達や対流・熱ふく射による熱損失が生じるため、集熱効率が低下してしまうという課題があった。特許文献2では、熱損失を抑制するために微細な複合放物面集光型反射鏡を使用しているが、この場合には高度な加工技術が必要となり、製造コストが嵩むという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、比較的簡単な構成で熱損失を抑えることができ、メンテナンスが容易で、製造コストなどの費用を低減することができる太陽集熱装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る太陽集熱装置は、内部を真空にすることができる真空透明管と、前記真空透明管の内部に配置された、内部に熱媒体を流すための集熱管と、前記真空透明管の内部に前記集熱管に沿って設けられ、前記集熱管の長さ方向に対して垂直な断面内で、前記集熱管から左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びる1対の第1反射板と、前記真空透明管の内部で各第1反射板の前記集熱管とは反対側の開口端縁にそれぞれ接続された、複合放物面形状を成す1対の第2反射板とを有し、各第2反射板の各第1反射板とは反対側の入射端縁の間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板もしくは各第2反射板で少なくとも1回反射して前記集熱管に当たるよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る太陽集熱装置は、各第2反射板が複合放物面形状を成しているため、各第2反射板の入射端縁の間から入射した太陽光のうち、各第2反射板に当たる光を1回または複数回反射して、各第1反射板または集熱管に当てるよう構成することができる。また、各第1反射板が、集熱管の長さ方向に対して垂直な断面内で、集熱管から左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びるよう構成されているため、各第1反射板に当たる光を集熱管に集めることができる。このように、本発明に係る太陽集熱装置は、各第2反射板の入射端縁の間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板もしくは各第2反射板で1回以上反射して集熱管に当たるよう構成されており、集光効率が高く、優れた集熱効果を有している。
【0009】
本発明に係る太陽集熱装置は、設置地域に応じて、各第1反射板や各第2反射板の大きさ、各第2反射板の入射端縁の受光開口角や取付角度を最適に設計することができ、季節変動によらず固定したまま集光することができる。このため、太陽追尾機構のような複雑な構成が不要で、比較的簡単な構成で集光効率を高めることができる。また、メンテナンスも容易となり、製造コストなどの費用を低減することができる。
【0010】
また、本発明に係る太陽集熱装置は、集熱管と各第1反射板と各第2反射板とが真空透明管の内部に設置されているため、真空透明管の内部を真空にすることにより、集熱管、各第1反射板および各第2反射板から周囲空気への熱伝達による熱損失を防ぐことができる。熱損失の中で大きな割合を占める熱伝達による熱損失が無くなるため、熱損失を、真空透明管と周囲空気との間の熱伝達、集熱管、各第1反射板および各第2反射板からの放射に限定することができる。また、集熱管の直径を小さくすることにより、集熱管からのふく射損失を低減することができる。各第1反射板がインボリュート曲線状を成しているため、各第1反射板と集熱管との接触面積を小さくすることができ、集熱管から各第1反射板への熱伝導損失も最小限にすることができる。このように、本発明に係る太陽集熱装置は、比較的簡単な構成で熱損失を抑えることができる。
【0011】
本発明に係る太陽集熱装置は、集熱管と各第1反射板と各第2反射板とが真空透明管に覆われるため、塵や埃などがそれらに付着するのを防ぐことができ、塵や埃などによる故障等を防止することができる。また、真空透明管の外側を拭くだけで、塵や埃などを取り除くことができ、クリーニングなどのメンテナンスが容易である。この集熱管、各第1反射板および各第2反射板を封入した真空透明管を一単位として製造することにより、設置場所の大きさに合わせて必要単位数や配列などを構成することができ、コストを削減することができる。
【0012】
本発明に係る太陽集熱装置で、各第1反射板は、設置地域に応じて設計することができ、従来のCPC型反射鏡のような対称形状である必要はない。また、本発明に係る太陽集熱装置は、真空透明管の内部の各第1反射板および各第2反射板の裏側の熱損失を抑えるために、各第1反射板および各第2反射板の裏側に断熱材が設けられていてもよい。真空透明管は、例えばガラス製である。
【0013】
本発明に係る太陽集熱装置は、集熱管の内部を流れる熱媒体として、例えば、水、油、冷媒である代替フロン、フロリナート、超臨界二酸化炭素などを用いることができる。水を使用する場合、集熱管を通過後は、直接お湯として利用したり、蒸気にして洗濯工場や食品工場などの工場で利用したりすることができる。また、油や超臨界二酸化炭素を使用する場合、集熱管を通過後は、蒸気発生装置等の熱源として利用することができる。熱の利用効率は低下するが、蒸気タービンを接続して発電に使用することもできる。また、集熱管の直径を小さくできるため、内部を流れる熱媒体に高圧の流体を用いることができる。
【0014】
なお、本発明に係る太陽集熱装置は、これまで光の放射にしか利用されなかったインボリュート形状の反射板を、初めて集光に利用したものである。本発明に係る太陽集熱装置は、所定の幅を有する平面内に集光可能な複合放物面形状の各第2反射板と、所定の幅を有する平面内に入射した光を集熱管に集めることができるインボリュート形状の各第1反射板とを組み合わせることにより、それぞれ単独の使用では得られない、飛躍的に高い集光効率を得ることができる。また、各第1反射板と各第2反射板とを組み合わせることにより、従来の平面状の集熱装置で生じる平面の裏側からの熱損失をゼロにすることができる。すなわち、従来の平面状の集熱装置では、熱損失の生じる部分が平面の表裏両面であったのに対し、本発明に係る太陽集熱装置では、集熱管の表面のみとなるため、熱損失の生じる面積が約半分となる。このため、本発明に係る太陽集熱装置は、従来の平面状の集熱装置と比べて、熱損失を大幅に抑えることができる。
【0015】
本発明に係る太陽集熱装置で、前記集熱管は円筒形状を成し、各第1反射板は、前記集熱管の長さ方向に対して垂直な断面内で、前記集熱管の外周円の1点からそれぞれ左右に伸びて、各開口端縁を結ぶ直線が前記集熱管の外周円の前記1点とは反対側でほぼ接するよう形成されており、各開口端縁の間に入射した光が、直接または各第1反射板で反射して前記集熱管に当たるよう構成され、各第2反射板は、各入射端縁に向かって間隔が広がるよう取り付けられており、各入射端縁の間から入射した太陽光が各第1反射板の開口端縁の間に集光するよう構成されていることが好ましい。この場合、各第2反射板の入射端縁の間から入射した太陽光のほとんど全てを集熱管に当てることができ、特に集光効率が高く、非常に優れた集熱効果を有している。
【0016】
本発明に係る太陽集熱装置は、前記集熱管と各第1反射板と各第2反射板とで構成される集熱器を2組有し、各集熱器は、前記真空透明管の内部に、各入射端縁間の開口の向きを揃えて並べて配置されていてもよい。この場合、真空透明管の内部空間を効率的に利用することができ、設置面積に対する太陽光の利用率を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的簡単な構成で熱損失を抑えることができ、メンテナンスが容易で、製造コストなどの費用を低減することができる太陽集熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の太陽集熱装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す太陽集熱装置の設計方法を説明するための(a)各第2反射板を示す断面図、(b)設置状態を示す断面図である。
【図3】図1に示す太陽集熱装置の光学効率および熱効率を示すグラフである。
【図4】図1に示す太陽集熱装置の集熱管の温度と熱効率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態の太陽集熱装置の、集熱器を2組有する変形例を示す(a)断面図、(b)斜視図である。
【図6】図5に示す太陽集熱装置の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の実施の形態の太陽集熱装置を示している。
図1に示すように、太陽集熱装置10は、真空透明管11と集熱管12と1対の第1反射板13と1対の第2反射板14とを有している。

【0020】
真空透明管11は、ガラス製で円筒形状を成している。真空透明管11は、内部の空気を抜いて真空状態を保持可能に構成されている。
集熱管12は、円筒形状を成し、内部に水や油などの熱媒体を流すよう構成されている。集熱管12は、真空透明管11の内部を通るよう、真空透明管11の長さ方向に沿って配置されている。

【0021】
各第1反射板13は、真空透明管11の内部に、集熱管12に沿って設けられている。各第1反射板13は、集熱管12の長さ方向に対して垂直な断面内で、集熱管12の外周円の1点Eから、左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びて形成されている。各第1反射板13は、それぞれ集熱管12とは反対側の開口端縁A,Dを結ぶ直線が、集熱管12の外周円の1点Eとは反対側でほぼ接するよう形成されている。また、各第1反射板13は、それぞれの開口端縁A,Dを結ぶ直線の長さが、集熱管12の円周と同じ長さに形成されている。これにより、各第1反射板13は、各開口端縁A,Dの間に入射した光が、直接または各第1反射板13で反射して集熱管12に当たるよう構成されている。

【0022】
各第2反射板14は、真空透明管11の内部で、各第1反射板13の開口端縁A,Dにそれぞれ接続されている。各第2反射板14は、複合放物面集光(CPC)型反射鏡から成り、第1反射板13とは反対側の入射端縁B,Cに向かって互いの間隔が広がるよう取り付けられている。各第2反射板14は、各入射端縁B,Cの間から入射した太陽光が、各第1反射板13の開口端縁A,Dの間に集光するよう構成されている。こうして、太陽集熱装置10は、各第2反射板14の入射端縁B,Cの間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板13もしくは各第2反射板14で少なくとも1回反射して集熱管12に当たるよう構成されている。

【0023】
太陽集熱装置10は、具体的には、以下のようにして設計される。ここでは、仙台市(緯度38.254162°、経度140.891403°)で使用することを仮定して設計を行う。図2に示すように、仙台の夏至の太陽高度は74.4664°、冬至の太陽高度は28.0169°であるため、入射端縁B,Cの向きを南向きにすると、各第2反射板14の南中時における最適な開口角度θは23.22°、仰角は51.24°となる。

【0024】
次に、集熱管12の直径を15mmと仮定すると、各第1反射板13の開口端縁A,Dを結ぶ直線の長さa’は、47.1mmとなる。また、各第2反射板14がCPC型反射鏡から成るため、各第2反射板14のパラメータは、以下の(1)~(4)式で計算することができる。

【0025】
【数1】
JP2014052153A_000003t.gif

【0026】
(1)~(4)式から、各第2反射板14の焦点距離fは65.7mm、各開口端縁A,Dの間隔aは119.5mm、長さLは388.3mm、CPC型反射鏡である各第2反射板14の単体での理論最大集光率Cは2.54となる。

【0027】
次に、このようにして設計した太陽集熱装置10の光学効率を計算する。ここで、光学効率とは、太陽集熱装置10に入射した太陽光のうち集熱管12へ到達する光の割合を示したものである。太陽光はガラス製の真空透明管11を透過する際に減衰し、また各第1反射板13や各第2反射板14で反射する際に一部が吸収されるため、太陽集熱装置10の集光性能を評価する上で光学効率が重要となる。太陽光に対する真空透明管11のガラスの透過率を0.95、集熱管12の吸収率を0.90、各第1反射板13および各第2反射板14の反射率を0.90と仮定したときの太陽集熱装置10の光学効率を、図3に示す。図3に示すように、太陽光の入射角度が開口角度θの23.2°以下の場合、光学効率が約70%となっており、入射角によらず高い光学効率が得られている。

【0028】
次に、太陽集熱装置10の熱効率を計算する。ここで、熱効率とは、入射した太陽エネルギーの中で集熱管12へ吸収されるエネルギーの割合を表している。太陽集熱装置10は、ガラス製の真空透明管11の内部を真空に保っているため、集熱管12から環境への熱損失は、熱ふく射(放射)によってのみ生じる。このため、熱効率ηthermalは、光学効率ηoptを用いて次式で計算することができる。

【0029】
【数2】
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ここで、(5)式の右辺第二項は、ふく射による熱損失を表しており、εは放射率で0.90、σはステファン‐ボルツマン定数、qinは太陽定数、Cは集光比で太陽集熱装置10の開口面積を集熱管12の表面積で除したものである。Tambは環境温度で、ここでは20℃とした。また、Tは集熱管12の温度で、太陽集熱装置10でお湯を作ることを想定し、100℃とした。

【0030】
(5)式を用いた熱効率の計算結果を、図3に示す。図3に示すように、太陽集熱装置10を100℃のお湯を作るために動作させた場合、約50%の熱効率で集熱可能であることが確認できる。また、(5)式に示すように、残りの50%はふく射による損失であり、集熱管12の放射特性を改善することにより、熱効率を大幅に向上させることができる。なお、図3での計算では、集熱管12の放射率εを0.9としているが、これは集熱管12として完全に酸化した鉄を使用した場合や、黒色のペンキで表面を塗装したものを使用した場合などを想定したものである。

【0031】
集熱管12の温度と熱効率との関係を、図4に示す。図4に示すように、低温で太陽集熱装置10を動作させると、熱効率は高くなることが確認できる。一方、高温で動作させると、ふく射による熱損失の割合が増加し、熱効率が低下することがわかる。また、図4に示すように、この例での太陽集熱装置10は、最高到達温度が180℃となる。

【0032】
次に、作用について説明する。
太陽集熱装置10は、各第2反射板14が複合放物面形状を成しており、各第2反射板14の入射端縁B,Cの間から入射した太陽光のうち、各第2反射板14に当たる光を1回または複数回反射して、各第1反射板13または集熱管12に当てることができる。また、各第1反射板13が、集熱管12の長さ方向に対して垂直な断面内で、集熱管12から左右対称にそれぞれインボリュート曲線状に伸びるよう構成されているため、各第1反射板13に当たる光を集熱管12に集めることができる。このように、太陽集熱装置10は、各第2反射板14の入射端縁B,Cの間から入射した太陽光が、直接または、各第1反射板13もしくは各第2反射板14で1回以上反射して集熱管12に当たるよう構成されており、集光効率が高く、優れた集熱効果を有している。

【0033】
太陽集熱装置10は、設置地域に応じて、各第1反射板13や各第2反射板14の大きさ、各第2反射板14の入射端縁B,Cの受光開口角や取付角度を最適に設計することができ、季節変動によらず固定したまま集光することができる。このため、太陽追尾機構のような複雑な構成が不要で、比較的簡単な構成で集光効率を高めることができる。また、メンテナンスも容易となり、製造コストなどの費用を低減することができる。

【0034】
また、太陽集熱装置10は、集熱管12と各第1反射板13と各第2反射板14とが真空透明管11の内部に設置されているため、真空透明管11の内部を真空にすることにより、集熱管12、各第1反射板13および各第2反射板14から周囲空気への熱伝達による熱損失を防ぐことができる。熱損失の中で大きな割合を占める熱伝達による熱損失が無くなるため、熱損失を、真空透明管11と周囲空気との間の熱伝達、ならびに、集熱管12、各第1反射板13および各第2反射板14からの放射に限定することができる。また、集熱管12の直径を小さくすることにより、集熱管12からのふく射損失を低減することができる。各第1反射板13がインボリュート曲線状を成しているため、各第1反射板13と集熱管12との接触面積を小さくすることができ、集熱管12から各第1反射板13への熱伝導損失も最小限にすることができる。このように、太陽集熱装置10は、比較的簡単な構成で熱損失を抑えることができる。

【0035】
太陽集熱装置10は、集熱管12と各第1反射板13と各第2反射板14とが真空透明管11に覆われるため、塵や埃などがそれらに付着するのを防ぐことができ、塵や埃などによる故障等を防止することができる。また、真空透明管11の外側を拭くだけで、塵や埃などを取り除くことができ、クリーニングなどのメンテナンスが容易である。この集熱管12、各第1反射板13および各第2反射板14を封入した真空透明管11を一単位として製造することにより、設置場所の大きさに合わせて必要単位数や配列などを構成することができ、コストを削減することができる。

【0036】
なお、太陽集熱装置10は、真空透明管11の内部の各第1反射板13および各第2反射板14の裏側の熱損失を抑えるために、各第1反射板13および各第2反射板14の裏側に断熱材が設けられていてもよい。

【0037】
また、図5に示すように、太陽集熱装置10は、集熱管12と各第1反射板13と各第2反射板14とで構成される集熱器20を2組有し、各集熱器20は、真空透明管11の内部に、各入射端縁B,C間の開口の向きを揃えて並べて配置されていてもよい。この場合、真空透明管11の内部空間を効率的に利用することができ、設置面積に対する太陽光の利用率を高めることができる。例えば、図1に示す集熱器20が1組だけの場合、真空透明管11の直径に対し、各入射端縁B,C間の開口の割合が小さく、真空透明管11に到達した太陽光のうち50%程度しか各入射端縁B,C間の開口から入射しない。これに対し、図6に示す集熱器20を2組設けた場合、真空透明管11に到達した太陽光の80%程度を集熱管12へ集めることができる。また、図5(b)に示すように、1本の集熱管12を真空透明管11の内部で折り返すことにより、各集熱器20に使用することができる。このとき、真空透明管11の一方の端面のみから真空透明管11の内部に集熱管20を配設することができるため、他方の端面を封じ切ることができる。このため、真空透明管11の密封処理を容易にすることができるとともに、熱損失部を少なくすることができる。

【0038】
太陽集熱装置10は、集熱管12の内部を流れる熱媒体として、例えば、水、油、超臨界二酸化炭素などを用いることができる。図6に、熱媒体として代替フロンなどの冷媒を使用した場合の使用例を示す。図6に示す使用例では、太陽集熱装置10として図5に示すものを使用しており、ポンプ51により、集熱管12とタービン52と復水器53との間を冷媒が循環するよう構成されている。すなわち、集熱管12を通過して温められた冷媒は、過熱蒸気に変換されてタービン52を回すよう構成されている。これにより、タービン52に接続された発電機54で発電を行うことができる。また、タービン52を通過した過熱蒸気は、復水器53で液体に戻された後、再び集熱管12に循環するよう構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る太陽集熱装置は、メンテナンスが容易であるため、日本の住宅や工場の屋根だけではなく、特にユーラシア大陸の中心部やアフリカ大陸など、日射量が豊富な地域での設置に適している。また、熱媒体の循環装置と組み合わせることにより、例えば、熱媒体として水を用いた場合には、動作圧力にもよるが、100℃程度のお湯を供給可能な給湯器として利用することができる。また、熱媒体として超臨界二酸化炭素や油など、水以外の熱媒体を利用した場合、動作圧力を調整することにより、150℃程度の熱源とすることができ、過熱蒸気を発生させることができる。このため、この蒸気を工場で利用したり、発電に利用したりすることができる。
【符号の説明】
【0040】
10 太陽集熱装置
11 真空透明管
12 集熱管
13 第1反射板
A,D 開口端縁
14 第2反射板
B,C 入射端縁
図面
【図2】
0
【図1】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5