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明細書 :難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2013-536805 (P2013-536805A)
公報種別 公表特許公報(A)
公表日 平成25年9月26日(2013.9.26)
発明の名称または考案の名称 難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法
国際特許分類 A61K   9/08        (2006.01)
A61K  47/24        (2006.01)
A61K  47/14        (2006.01)
A61K  47/46        (2006.01)
A61K  47/10        (2006.01)
A61K  47/34        (2006.01)
A61K  47/16        (2006.01)
A61K   9/48        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
FI A61K 9/08
A61K 47/24
A61K 47/14
A61K 47/46
A61K 47/10
A61K 47/34
A61K 47/16
A61K 9/48
A61P 35/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 32
翻訳文提出日 平成25年3月1日(2013.3.1)
出願番号 特願2013-526308 (P2013-526308)
出願日 平成23年8月31日(2011.8.31)
国際出願番号 PCT/CN2011/079194
国際公開番号 WO2012/028101
国際公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
優先権出願番号 201010268940.0
優先日 平成22年9月1日(2010.9.1)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , MD , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC , VN , ZA
発明者または考案者 【氏名】チャン,キアン
【氏名】ダイ,ウェンビン
【氏名】ワン,ジァンチェン
【氏名】チャン,シュアン
出願人 【識別番号】508369940
【氏名又は名称】北京大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100122389、【弁理士】、【氏名又は名称】新井 栄一
【識別番号】100111741、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 夏夫
審査請求
テーマコード 4C076
Fターム 4C076AA11
4C076AA53
4C076AA56
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC27
4C076DD15E
4C076DD37
4C076DD46E
4C076DD52
4C076DD63E
4C076EE23E
4C076EE53E
4C076FF12
4C076FF15
4C076FF67
4C076GG46
要約 難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法である。該組成物は難溶性薬物を0.01~10重量%、注射用油を0~20重量%、リン脂質を10~80重量%、溶媒を20~89重量%含む。組成物の調製方法は、まず難溶性薬物を溶媒、注射用油又はそれらの混合物に溶解させ、さらに他の成分を加え、均一に混合するか、難溶性薬物を他の成分の混合物に溶解させ、均一に混合するか、又はまず難溶性薬物を一部の溶媒に溶解させ、さらに他の成分と残量の溶媒との混合溶媒に加え、均一に混合することを含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
成分として、難溶性薬物を0.01~10重量%、注射用油を0重量%~20重量%、リン脂質を10~80重量%、溶媒を20~89重量%含む難溶性薬物の液体組成物。
【請求項2】
成分として、難溶性薬物を0.1~2.5重量%、注射用油を0.5重量%~10重量%、リン脂質を20~45重量%、溶媒を42.5~79重量%含む請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記難溶性薬物が、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、オキサリプラチン、ゲフチナット、ドキソルビシン、イリノテカン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、テモゾロミド、イマチニブ、ビノレルビン、レトロゾール、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-ヒドロキシカンプトテシン、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンSN-38、トポテカン、イリノテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビンポセチン、ノルカンタリジン、シリビン、プロポフォール、フロルフェニコール、ミチグリニド、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、シロリムス、イブプロフェン、ニトレンジピン、ニカルジピン、ニモジピン、グリクラジド、プロパルシド、ニフェジピン、フェロジピン、グリベンクラミド、アシクロビル、オレアノール酸、ブレビスカピン、フェルラ酸、パラセタモール、パルミトイルリゾキシン、ペンクロメジン、ビタミンA、タモキシフェン、ナベルビン、バルプロ酸、タクロリムス、シクロスポリンA、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、ドンペリドン、スルピリド、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アジスロマイシン、イトラコナゾール、ミコナゾール、ブリモニジン、ラタノプロスト、シリビン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リファキシミン、シサプリド、シクロスポリン、ジクロフェナック酸、フェロジピン、イブプロフェン、インドメタシン、ニカルジピン、ニフェジピン、テルフェナジン、テオフィリン、ケトプロフェン、フロセミド、スピロノラクトン、ジピリダモール、ピロキシカム、メフェナム酸、トリクロロチアジド、ピンドロール又はそれらの混合物から選ばれ、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、アルテミシニン、カンプトテシン、ビンブラスチン又はそれらの混合物が好ましく、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、アルテミシニン、カンプトテシン又はパクリタキセルとテニポシドとの混合物がより好ましい請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記リン脂質が、天然リン脂質、半合成リン脂質、合成リン脂質又はそれらの混合物から選ばれる請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記天然リン脂質がレシチンであり、前記レシチンとして好ましくは卵黄レシチン、大豆レシチン又はそれらをいかなる割合で組み合せた混合物から選ばれる請求項4に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記半合成リン脂質と合成リン脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルグリセロホスホコリン (DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、前記リン脂質のペグ化誘導体又はそれらの混合物から選ばれ、水素添加大豆ホスファチジルコリンとポリエチレングリコール-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンが好ましい請求項4に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記注射用油が、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ヒマシ油、オリーブオイル、ピーナッツ油、綿実油、ごま油、サフラワー油、モノステアリン酸グリセリル又はモノオレイン酸グリセリルから選ばれる1種又は2種以上の混合物であり、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド又はそれらの混合物が好ましい請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、無水エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N,N-ジメチルアセトアミド、安息香酸ベンジル、オレイン酸エチル、ベンジルアルコールから選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、無水エタノール、又は無水エタノールとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物、又は無水エタノールとポリエチレングリコールの混合物、又はグリセリンとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物である請求項8に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールに重量平均分子量が異なったポリエチレングリコール又はそれらの混合物が含まれ、前記重量平均分子量が200~2000の範囲、好ましく200~400の範囲である請求項8又は9に記載の液体組成物。
【請求項11】
さらに薬学的に許容可能な医薬品用添加剤を含む請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記医薬品用添加剤が、補助乳化剤、安定剤、pH調節剤および酸化防止剤を含む請求項11に記載の液体組成物。
【請求項13】
前記液体組成物が、注射用濃溶液の形を呈し、使用直前に注射用溶液で調製して注射用に用いられるか、又はカプセル剤、軟カプセル剤又は経口液体製剤とする請求項1~12のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項14】
前記注射用濃溶液が、臨床使用時に5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水又はそれらの混合物で分散され、静脈用として均一な水和液を形成する請求項13に記載の液体組成物。
【請求項15】
前記水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲である請求項14に記載の液体組成物。
【請求項16】
難溶性薬物を溶媒、注射用油又はそれらの混合物に溶解させ、さらにリン脂質及び液体組成物におけるその他の成分を加えて均一に混合した後、前記液体組成物が得られること、又は難溶性薬物を溶媒、注射用油、リン脂質及びその他の成分の混合物中に溶解させ、均一に混合した後、前記液体組成物が得られること、又はまず難溶性薬物を一部の溶媒中に溶解させ、さらにリン脂質、注射用油、残量の溶媒及びその他の成分の混合物中に加え、均一に混合した後、前記液体組成物が得られることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の液体組成物の調製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は薬物製剤の分野に属し、難溶性薬物の溶解度を増加させる技術に関し、具体的に難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統計によれば、新薬の開発中、約40%の薬物は水溶解度が原因でその開発が制限されてしまい、ある薬物は汎用の有機溶媒に対しても難溶性である。水に難溶性の薬物を可溶化させることが薬剤学に対する研究における重要な課題の1つとなる。汎用の可溶化方法としてpH値の調節;共溶媒、助溶媒、シクロデキストリン包接体、リン脂質複合体、界面活性剤による可溶化;ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、固体脂質ナノ粒子、マイクロエマルション、脂肪乳剤等の調製;又は薬物構造の面で適当な基により水溶性基を導入して水溶性の大きい誘導体を得る化学的方法がある。
【0003】
一部の薬物分子が解離可能な弱酸又は弱アルカリで、溶液のpH値を調節することによって、難溶性薬物を解離させる方法が溶解度を増加するための簡単でかつ効果的な方法である。注射により薬剤を投入する時に、緩衝対の容量の問題に対する注意が要求されており、血液が優れた緩衝能力を有するために、難溶性薬物は血液による希釈で過飽和になりやすい。
【0004】
ある非極性薬物については、極性の比較的小さい有機溶媒(共溶媒)と水の混合物で薬物を溶解させるのが普通である。FDAにより許容される注射剤において、10%は共溶媒が使用され、この処方は薬物の溶解度を顕著に増加できるだけでなく、溶液における薬物の加水分解反応を減少させ、製剤の安定性を増加させることもできる。難溶性薬物の一部では、比較的高割合の有機溶媒を使用することによってしか溶解度への要求に達することができず、例えば、フェノバルビタール注射液が10%エタノールと67.8%プロピレングリコールで溶解させることが必要である。高割合の有機溶媒は注射部位の局所刺激性と静脈炎を起こしやすく、例えば処方にエタノールを10%より多く含有すると、注射による疼痛が著しく感じる。
【0005】
シクロデキストリンの包接は多種の薬物に用いられ、その特有のかご型構造がホストゲスト分子複合体を形成可能で、非極性薬物分子が非極性かご型構造の内部に位置し、シクロデキストリンの外部におけるポリヒドロキシと極性水分子との親和力が強いために、溶解度を向上させる效果を有する。しかしながら、一部の難溶性薬物では、薬物担持量が低い。シクロデキストリンにおける薬物の可溶化効果が薬物分子とシクロデキストリンの結合定数に依存し、例えばベンゾジアゼピン系薬物の結合定数が低く、比較したところ、従来の共溶媒の処方が用いられる。言い換えれば、全部の薬物がシクロデキストリンで包接できるとは限らない。また、シクロデキストリンの種類に制限がある上に、顕著な毒性を有し、現在注射剤への応用がまた普及されていない。
【0006】
近年、リポソーム、ミクロスフェア、固体脂質ナノ粒子、マイクロエマルション及び親水性誘導体を難溶性薬物の水溶性の向上へ応用することが多くなり、国内外でそれに対する研究と特許が大量にある。それらの研究はある程度の進捗を得たが、また効果が不安定で、処方プロセスが複雑で、薬物担持量が低く、界面活性剤の毒性が大きくかつ開発コストが高い等の問題が存在している。
【0007】
界面活性剤はミセルを形成することにより水における非極性薬物の溶解度を増加させる。多くの難溶性抗腫瘍薬物は臨床注射用とする時に、界面活性剤を用いて可溶化させることを必要とする。現在国内外で許容される注射用とすることができる界面活性剤にはポリソルベート(主にポリソルベート80、即ちTween 80)、ポロキサマー(主にpoloxamer 188)、ポリオキシエチレンヒマシ油類(主にCremophor EL)及びリン脂質がある。その中でも、poloxamer 188とリン脂質は乳化能がより強いために、可溶化能が弱く、主に静脈注射用脂肪乳剤に用いられる。Cremophor ELとTween 80は可溶化能と乳化能がともに強く、非水媒体において難溶薬物を可溶化させ、使用直前に注射用水(又は注射用生理食塩水溶液、注射用グルコース溶液)等で配制して、水溶液又は乳剤を形成することができる。この使用準備済の注射剤において、Cremophor EL又はTween 80の可溶化能と乳化能は両方ともに重要な役割を果たす。
【0008】
例えば、上場したパクリタキセル、テニポシド注射剤に大量のCremophor ELが含有されて、使用直前に注射用水等の水性媒体で水溶液を調製でき、ドセタキセル注射剤に大量のTween 80が含有されて、使用直前に注射用水等の水性媒体で水溶液を調製でき、それに関する特許文献がまた多くあり、いずれもCremophor EL又はTween 80が用いられる。特許(特許文献1)において、リン脂質、その他の界面活性剤(Tween 80、poloxamer 188およびCremophor EL)および非水溶媒を使用してパクリタキセル難溶性薬物の注射剤を調製し、中国発明特許(特許文献2)は注射用のテニポシド注射剤に関し、処方に界面活性剤としてツウィーン80が含まれる。一般的に、Cremophor EL又はTween 80を使用せずに難溶性薬物の注射剤を調製するのが困難である。
【0009】
しかし、処方にCremophor EL又はTween 80を使用した注射液は、投入した後、一部の患者が薬疹、頻呼吸、気管支けいれん、低血圧、溶血等の不良反応を発生することで、臨床上の応用が非常に不便になり、患者に大きな苦しみをもたらし、投薬のコンプライアンスが悪い。近年、国内外の多くの薬剤師がCremophor EL又はTween 80を減少また代替するために新しい抗腫瘍薬物の投入システムを研究している。それら2種の界面活性剤は重度の副作用を引き起こすために、一般的に限られた注射剤に用いられるだけで、注射剤にそれら2種の界面活性剤を使用しないと薬物のコンプライアンスの向上に有利であることが勿論のことである。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】CN200610037337.3
【特許文献2】CN200710198956.7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記背景に鑑み、一連の研究を為した結果、適当な条件下で、界面活性剤Cremophor EL又はTween 80を含まない場合にも、難溶性薬物を澄んだ液体(真溶液)に調製でき、且つ該溶液を注射用溶媒(例えば5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水)で水和した後、8時間の内に安定性を保持し、臨床的投薬の要求に合致することが意外に見出された。そのため、界面活性剤Cremophor EL又はTween 80を含有しない難溶性薬物の液体組成物が提案された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明は難溶性薬物の液体組成物を提供することを主な目的とする。この難溶性薬物の液体組成物において安全性に優れ、静脈注射可能な医薬品添加剤であるリン脂質、注射用油及び無水エタノール等の溶媒が用いられ、顕著な副作用を引き起こす界面活性剤を含まず、市販製剤におけるCremophor EL又はTween 80による厳重な副反応の恐れを解消でき、患者のコンプライアンスを顕著に向上させる。この難溶性薬物の液体組成物は安定性に優れ、注射用溶液で分散して乳剤を形成して静脈注射用とすることができる真溶液である。従来の市販製剤に比べ、この難溶性薬物の液体組成物は、処方プロセスが簡単で、工業的生産に適している。
【0013】
具体的に、本発明に係る難溶性薬物の液体組成物は成分として、難溶性薬物を0.01~10重量%、注射用油を0重量%~20重量%、リン脂質を10~80重量%、溶媒を20~89重量%含み、好ましくは、本発明に係る難溶性薬物の液体組成物における各成分及び重量百分率は、難溶性薬物が0.1~2.5%、注射用油が0.5%~10%、リン脂質が20~45%、溶媒が42.5~79%、より好ましくは、本発明に係る難溶性薬物の液体組成物における各成分及び其重量百分率は、難溶性薬物が0.1~2.5%、注射用油が0.5%~3%、リン脂質が25~40%、溶媒が55~70%である。
【0014】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物において、前記「難溶性薬物」とは既知の医薬分野へ応用でき、且つその有効投与量に対して水における溶解度が比較的低い薬物のことを意味する。具体的に、中国薬局方の前書きに記載の溶解度における「微溶」、「極微溶」又は「ほぼ不溶又は不溶」を使用された薬物のことである。言い換えれば、1g又は1mLの溶質を溶解するのに必要な溶媒量(水量)が100mL以上(濃度が1%以下)、好ましく1000mL(濃度が0.1%以下)、より好ましく10000mL(濃度が0.01%以下)である薬物のことである。
【0015】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物において、前記難溶性薬物は、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、オキサリプラチン、ゲフチナット、ドキソルビシン、イリノテカン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、テモゾロミド、イマチニブ、ビノレルビン、レトロゾール、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-ヒドロキシカンプトテシン、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンSN-38、トポテカン、イリノテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビンポセチン、ノルカンタリジン、シリビン、プロポフォール、フロルフェニコール、ミチグリニド、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、シロリムス、イブプロフェン、ニトレンジピン、ニカルジピン、ニモジピン、グリクラジド、プロパルシド、ニフェジピン、フェロジピン、グリベンクラミド、アシクロビル、オレアノール酸、ブレビスカピン、フェルラ酸、パラセタモール、パルミトイルリゾキシン、ペンクロメジン、ビタミンA、タモキシフェン、ナベルビン、バルプロ酸、タクロリムス、シクロスポリンA、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、ドンペリドン、スルピリド、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アジスロマイシン、イトラコナゾール、ミコナゾール、ブリモニジン、ラタノプロスト、シリビン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リファキシミン、シサプリド、シクロスポリン、ジクロフェナック酸、フェロジピン、イブプロフェン、インドメタシン、ニカルジピン、ニフェジピン、テルフェナジン、テオフィリン、ケトプロフェン、フロセミド、スピロノラクトン、ジピリダモール、ピロキシカム、メフェナム酸、トリクロロチアジド、ピンドロール等、又はそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではなく、その中でも、難溶性抗腫瘍薬物、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、アルテミシニン、カンプトテシン、ビンブラスチン等又はそれらの混合物が好ましい。前記難溶性薬物が、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、アルテミシニン、カンプトテシン又はパクリタキセルとテニポシドとの混合物であることがより好ましい。
【0016】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物におけるリン脂質として、天然リン脂質、半合成リン脂質、合成リン脂質又はそれらの混合物が含まれる。天然リン脂質の中の1種又はそれらの混合物が好ましい。前記天然リン脂質は、好ましくレシチン、より好ましく卵黄レシチン、大豆レシチン又はそれらをいかなる割合で組み合せた混合物である。
【0017】
前記半合成リン脂質と合成リン脂質としては、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルグリセロホスホコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、前記リン脂質のペグ化誘導体(例えばポリエチレングリコール-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)又はそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではなく、好ましくは、水素添加大豆ホスファチジルコリンとポリエチレングリコール-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンである。
【0018】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物において、前記注射用油としては、具体的に、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ヒマシ油、オリーブオイル、ピーナッツ油、綿実油、ごま油、サフラワー油、モノステアリン酸グリセリル又はモノオレイン酸グリセリル等から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。好ましくは、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド又はそれらの混合物である。前記注射用油には、長鎖・中鎖脂肪酸、長鎖・中鎖脂肪酸グリセリド、長鎖脂肪アルコール及び前記成分の2種以上の混合物をさらに含んでも良く、それらの飽和、不飽和、直鎖、分岐の形式等が含まれる。
【0019】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物において、前記溶媒としては、無水エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N,N-ジメチルアセトアミド、安息香酸ベンジル、オレイン酸エチル、ベンジルアルコール等から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。その中でも、無水エタノール、無水エタノールとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物、無水エタノールとポリエチレングリコールの混合物、又はグリセリンとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物が好ましい。その中で、前記ポリエチレングリコールは重量平均分子量の異なったポリエチレングリコール又はそれらの混合物を含み、前記重量平均分子量が200~2000、好ましく200~400の範囲である。固体のポリエチレングリコールの場合、まずその他の溶媒に溶解させる必要がある。
【0020】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物には、必要に応じて補助乳化剤、安定剤、pH調節剤、酸化防止剤等、薬学的に許容可能な医薬品用添加剤を加えても良い。
【0021】
前記安定剤はコレステロール、ポリエチレングリコール類及びその誘導体、グリセリン、キシローズ、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、グリセロール、尿素、サリチル酸ナトリウム、ホスファチジン酸、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、コール酸、コール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、でんぷん及びその誘導体、ポロキサマー、ゼラチン及びその誘導体、アルギン酸及びそのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの中の1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0022】
前記pH調節剤はマレイン酸、塩酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、酢酸、酢酸塩、リン酸、リン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンの中の1種でもよいし、2種以上でもよい。普通、液体組成物のpH値を4~8の範囲に調節する。
【0023】
前記補助乳化剤として、各種の小分子アルコール類及びポリグリセリンの誘導体の中の1種又はそれらの混合物を含む。
【0024】
前記酸化防止剤として、α-トコフェロール、α-トコフェロールコハク酸エステル、アスコルビン酸パルミテート、t-ブチル-p-ヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)又は没食子酸プロピルの中の1種又は2種以上を含む。
【0025】
当業者がよく知っているいかなる医薬品用添加剤も本発明の液体組成物に用いられ、且つその用量ついてはほぼ薬学分野における常規の使用量としてもよいことが理解すべきものである。
【0026】
また、いかに本発明に基づいて従来の技術と使用される成分によって本願で提供した好適な範囲を適宜に変更するかは当業者によって明らかなことである。それら変更は本発明の主旨を逸脱しないために、本発明の請求の範囲による保護範囲内に入られる。
【0027】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物は注射用濃溶液としてもよく、普通体積の小さい注射用濃溶液であり、アンプル又は小容量のバイアル中に無菌充填され、その投薬方式がタキソール(パクリタキセル注射液)、タキソテール(ドセタキセル注射液)などの市販製剤に類似し、即ち使用直前に注射用溶液で調製した後、注射用として用いられる。好ましくは、臨床使用時に5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水又はそれらの混合物を使用して前記注射用濃溶液を分散させ、均一な水和液を形成し、注射に用いられ、特に静脈注射用として使用される。前記水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲である。
【0028】
また、薬剤学の常法によって、本発明に係る難溶性薬物の液体組成物をカプセル剤、軟カプセル剤又は経口液体製剤に調製して経口使用などに供する。
【0029】
前記のように、普通は、Cremophor ELとTween 80を使用せずに使用準備済の注射剤も含まれる難溶性薬物の注射剤を調製することが困難である。界面活性剤の可溶化能が弱いと、注射用水等の水性媒体で調製する時に、パクリタキセル等の難溶薬物が析出して結晶しやすいためである。本発明は大量の研究を為したところ、難溶薬物、油相、リン脂質および有機溶媒の割合が非常に適当である時だけで、調製した液体組成物は澄んで透明で且つ注射用溶液で水和した後、8時間の内に安定性を保持し、薬物の結晶、成層、凝集を発生せず、臨床的投薬の要求に合致することが見出される。この結果になる原因については、難溶薬物は有機溶媒と油相のいずれにも一定の溶解度を有し、割合を適当にすると、溶解度が最大になり、リン脂質は一定の粘度を有するとともに過飽和に対する安定化作用を有し、水と混合して乳化すると薬物を油相、油水界面に保持又は複雑なリン脂質複合体を形成でき、以上を組合せた原因で薬物は短期間内に結晶を析出することがないためである可能性が高い。
【0030】
本発明における各成分の用量が非常に重要である。本発明の用量範囲内だけで、安定性が要求に合致する難溶薬物の注射剤の調製が可能である。
【0031】
本発明に使用される各成分、例えば難溶性薬物、注射用油、溶媒又はリン脂質の類型が変化すると、その用量もある程度変化する可能性があるが、本発明における用量範囲内であり、各成分の用量が本発明における用量範囲を超えると、澄んで透明な溶液が形成できず、溶液粘度が大きすぎ、又は水和してから8時間まで結晶を析出する等の現象が生じて、臨床使用として好ましくない。一部の処方の選別試験及び結果は実施例に示す。
【0032】
同様に、本発明における各成分の種類も非常に重要である。その中でもリン脂質と有機溶媒による作用が欠くことができず、ある極難溶性薬物に対して、有機溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミドと無水エタノールを同時に使用することが必要であるが、それ以外のドセタキセル又はパクリタキセルなど難溶性薬物は、有機溶媒として無水エタノールを単独で使用してもよいし、又は両方を同時に使用してもよい。相対的に、体外安定性の点では、油相の作用が比較的小さく、使用しない場合にも注射剤を調製可能で、8時間の内に安定性を保持できる。油相を加えない場合に水と混合した後リポソームを形成でき、リポソームと乳剤は体内における過程が異なって、それなりの特徴を有するために、油相を加える場合も加えない場合も本発明の保護範囲内に入られる。
【0033】
本発明は本発明に係る難溶性薬物の液体組成物の調製方法を提供することを他の目的とする。
【0034】
一面では、本発明の調製方法は、難溶性薬物をまず溶媒、注射用油又はそれらの混合物に溶解させ、さらにリン脂質及び液体組成物におけるその他の成分を加え、均一に混合後透明で澄んだ液体組成物、即ち本発明に係る難溶性薬物の液体組成物を形成することが含まれる。
【0035】
また一面では、本発明の調製方法は、難溶性薬物を溶媒、注射用油、リン脂質および液体組成物におけるその他の成分の混合物中に直接溶解して、均一に混合後透明で澄んだ液体、即ち本発明に係る難溶性薬物の液体組成物を形成することが含まれる。
【0036】
さらに一面では、本発明の調製方法は、難溶性薬物をまず一部の溶媒に溶解し、さらにリン脂質、注射用油、残量の溶媒及びその他の成分の混合物に加え、均一に混合後透明で澄んだ液体、即ち本発明に係る難溶性薬物の液体組成物を形成することが含まれる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物はろ過、充填等のプロセスを経て規格が一定の医薬品に製造できる。
【0038】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物は、
ポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor EL)又はポリソルベート80(Tween 80)など、従来の難溶性薬物の市販注射製剤における界面活性剤のかわりに生体相容性に優れたリン脂質、大豆油などの注射用油を使用することにより、処方の面で難溶性薬物製剤による厳重なアレルギー性と溶血性等の恐れを解消するメリット1と、
本発明において、難溶性薬物が有機溶媒、注射用油又はそれらの混合物中に溶解されて水相媒体における難溶性薬物の酸化、加水分解等を防止でき、製剤の安定性を増加させ、有効期間を延長できると同時に、水を含まないために、小体積の濃縮液で、輸送も保存も便利であるメリット2と、
該液体組成物の調製プロセスが簡単で、工業的生産が容易であるメリット3と、
臨床応用時に調製方法が従来の製剤とほぼ一致し、使用の難しさを増加することがなく、薬品のコンプライアンスの向上に有利であるメリット4と、
該液体組成物を注射用溶液(例えば5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水)で水和した後、8時間のうちに安定性を保持し、臨床投薬の要求に合致するメリット5とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は実施例1における液体組成物3を50mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後、水和液において結晶が析出することを示す写真である。
【図2】図2は実施例1における液体組成物1を50mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後の水和液を示す写真である。
【図3】図3は実施例2における液体組成物15を200mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後、水和液において結晶が析出することを示す写真である。
【図4】図4は実施例2における液体組成物11を200mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後の水和液を示す写真である。
【図5】図5は実施例23の液体組成物を300mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後、水和液において結晶が析出することを示す写真である。
【図6】図6は実施例22における液体組成物を300mlの5%グルコース注射液に注入して8時間後の水和液を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明を制限するものとは思えない。本文に含まれる実施例は本文に記載の発明を全面的に理解させるためだけである。これら実施例は本文に記載の、又は本文に請求される保護範囲を如何なる方式によりも制限できない。

【0041】
実施例1、パクリタキセルの液体組成物の選別
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)を0.03g秤量して、無水エタノール3gに加え、パクリタキセルが完全に溶解するまで撹拌した後、さらに順に卵黄レシチン(レシチンE80、LIPOID)1.2gと大豆油(龍遊県田雨山茶油開発有限公司製)0.12gを加え、さらに撹拌して液体組成物1を形成する。

【0042】
同様な方法で以下の表1における液体組成物の組成により液体組成物2~10を調製する。液体組成物1~10について、液体組成物の外観、性状及び各成分の溶解状態を観察し、得られた液体組成物が透明で済んだ場合に、さらに50mlの5%グルコース注射液に注入し、軽く振とうして均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液の外観と性状を観察し、同時に水和液を取って顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で薬物結晶析出の有無を観察する。パクリタキセルの液体組成物の組成と選別結果を表1に示す。液体組成物3と液体組成物1の顕微鏡写真は図1と図2を参照する。
【表1】
JP2013536805A_000002t.gif

【0043】
安定:水和液が成層も凝集も発生せず、且つ薬物結晶析出がない;
結晶析出:顕微鏡検査により顕著な薬物結晶が認められる;
流動性不良:液体流動が緩慢で、サンプリング及びサンプルのロードに適していない;
リン脂質が完全に溶解せず:顕著なリン脂質の塊状物又は綿状物が見られる;
N/A:使用できない。

【0044】
結果によると、パクリタキセルの液体組成物の各成分の重量百分率による含有量が本発明の範囲内である場合には澄んで透明な溶液が得られ、且つ50mlの5%グルコース注射液に注入して均一な水和液を形成後8時間内に安定性を保持し、結晶析出がなく、パクリタキセルの液体組成物の各成分の重量百分率による含有量が本発明の範囲以外である場合には澄んで透明な溶液を得ることができないか、又は澄んで透明な溶液を得たとしても、50mlの5%グルコース注射液に注入して均一な水和液を形成した後8時間内に結晶が析出することが示されている。それ以外に、レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で液体組成物1、2、4及び7から得られた水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径がいずれも10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0045】
実施例2、ドセタキセルの液体組成物の選別
まず卵黄レシチン(レシチンE80、LIPOID)1.6g、大豆油(龍遊県田雨山茶油開発有限公司製)0.16gを無水エタノール4gに加えて均一に撹拌した後、さらにドセタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.08gを前記混合物に加え、さらに撹拌して液体組成物11を形成する。

【0046】
同様な方法で以下の表2における液体組成物の組成により液体組成物12~15を調製する。液体組成物11~15について、液体組成物の外観、性状及び各成分の溶解状態を観察し、得られた液体組成物が透明で済んだ場合に、さらに200mlの5%グルコース注射液に注入し、軽く振とうして均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液外観と性状を観察し、同時に水和液を取って顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で薬物結晶析出の有無を観察する。ドセタキセルの液体組成物の組成と選別結果を表2に示す。液体組成物15と11の顕微鏡写真は図3と図4を参照する。
【表2】
JP2013536805A_000003t.gif

【0047】
安定:水和液が成層も凝集も発生せず、且つ薬物結晶析出がない;
結晶析出:顕微鏡検査により顕著な薬物結晶が認められる;
結果によると、ドセタキセルの液体組成物の各成分の重量百分率による含有量が本発明の範囲内である場合には澄んで透明な溶液が得られ、且つ200mlの5%グルコース注射液に注入して均一な水和液を形成した後8時間内に安定性を保持し、結晶析出がなく、ドセタキセルの液体組成物の各成分の重量百分率による含有量が本発明の範囲以外である場合には澄んで透明な溶液を得る場合においても、200mlの5%グルコース注射液に注入して均一な水和液を形成した後8時間内に結晶が析出することが示されている。それ以外に、レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で液体組成物11~14から得られた水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径がいずれも10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0048】
その上に、本発明の発明者は本発明のパクリタキセル、ドセタキセルの他の液体組成物、及びその他の難溶性薬物の液体組成物を調製して、かつその液体の性質と注射用溶液に注入した後8時間内の安定性を観察する。

【0049】
実施例3
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
大豆レシチン(レシチンS100) 1.2g
大豆油 0.12g
無水エタノール 3g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチン(S100、LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入し、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0050】
実施例4
液体組成物:
ドセタキセル 0.08g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.6g
大豆油 0.16g
無水エタノール 4g
調製方法:
ドセタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.08gを無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.6g、大豆油0.16gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を400mlの5%グルコース注射液に注入し、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0051】
実施例5
液体組成物:
ドセタキセル 0.08g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.6g
無水エタノール 4g
調製方法:
ドセタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.08gを無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.6gと無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を200mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0052】
実施例6
液体組成物:
カペシタビン 0.5g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.12g
無水エタノール 5g
調製方法:
カペシタビン(台州沃徳凱化工原料有限公司製)0.5gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を500mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0053】
実施例7
液体組成物:
ビノレルビン 0.01g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.12g
無水エタノール 3g
調製方法:
ビノレルビン(武漢遠成化工製)0.01gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0054】
実施例8
液体組成物:
テモゾロミド 0.1g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.12g
無水エタノール 3g
調製方法:
テモゾロミド(大連美侖生物技術有限公司製)0.1gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を200mlの生理食塩水液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0055】
実施例9
液体組成物:
ドキソルビシン 0.05g
卵黄レシチン(レシチンE80) 2.4g
大豆油 0.12g
無水エタノール 3g
調製方法:
ドキソルビシン(浙江海正薬業株式会社製)0.05gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)2.4g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0056】
実施例10
液体組成物:
ゲフチナット 0.25g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.12g
無水エタノール 3g
調製方法:
ゲフチナット(大連美侖生物技術有限公司製)0.25gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を250mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0057】
実施例11
液体組成物:
エトポシド 0.05g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
無水エタノール 5g
調製方法:
エトポシド(大連美侖生物技術有限公司製)0.05gをN,N-ジメチルアセトアミド0.3gと無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよび無水エタノール3gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0058】
実施例12
液体組成物:
パクリタキセル 0.15g
卵黄レシチン(レシチンE80) 6.0g
大豆油 0.4g
無水エタノール 10g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.15gを無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)6g、大豆油0.4gおよび無水エタノール8gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を250mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0059】
実施例13
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.12g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.06g
無水エタノール 5g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gをN,N-ジメチルアセトアミド0.06gと無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール3gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0060】
実施例14
液体組成物:
ドセタキセル 0.08g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 1g
無水エタノール 5g
調製方法:
ドセタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.08gを大豆油1gに加え、均一に撹拌した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3gと無水エタノール5gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を200mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)でドセタキセル薬物の結晶が析出することが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0061】
実施例15
液体組成物:
カンプトテシン 0.05g
水素添加大豆ホスファチジルコリン 3.0g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
無水エタノール 10g
調製方法:
カンプトテシン(成都元成生物科技有限公司製)0.05gをN,N-ジメチルアセトアミド0.3gに加え、完全に溶解した後、さらに水素添加大豆ホスファチジルコリンHSPC(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよび無水エタノール10gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0062】
実施例16
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
ポリエチレングリコール-
ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン 0.4g
大豆油 0.2g
無水エタノール 5g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、ポリエチレングリコール-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE-PEG)(日本NOF)0.4g、大豆油0.2gおよび無水エタノール4gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0063】
実施例17
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
コーン油 0.2g
無水エタノール 5g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gを無水エタノール1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、コーン油0.2gおよび無水エタノール4gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0064】
実施例18
液体組成物:
アルテミシニン 0.05g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
グリセリン 5g
調製方法:
アルテミシニン(湖南華誠製薬有限公司製)0.05gをN,N-ジメチルアセトアミド0.3gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよびグリセリン5gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0065】
実施例19
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
無水エタノール 2.5g
ポリエチレングリコール400 2.5g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gをポリエチレングリコール400 1.25gと無水エタノール1.25gとの混合溶液に加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2g、無水エタノール1.25gおよびポリエチレングリコール400 1.25gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0066】
実施例20
パクリタキセル 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
ポリエチレングリコール400 5g
マレイン酸 適量
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gをポリエチレングリコール400 1gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよびポリエチレングリコール400 4gを加え、均一に混合するまで撹拌した後、マレイン酸でpH値を4~8に調節し、透明で澄んだ液体組成物が得られる。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0067】
実施例21
パクリタキセル 0.03g
テニポシド 0.03g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
無水エタノール 5g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03g、テニポシド(北京凱森菜医薬科技有限公司製)0.03gをそれぞれ無水エタノール1gとN,N-ジメチルアセトアミド0.3gの混合溶液に加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよび無水エタノール4gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0068】
実施例22
液体組成物:
テニポシド 0.05g
卵黄レシチン(レシチンE80) 3.0g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
無水エタノール 5g
調製方法:
テニポシド(北京凱森菜医薬科技有限公司製)0.03gをそれぞれ無水エタノール1gとN,N-ジメチルアセトアミド0.3gの混合溶液に加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)3g、大豆油0.2gおよび無水エタノール4gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を300mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。その顕微鏡写真は図6を参照する。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0069】
実施例23
液体組成物:
テニポシド 0.05g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.2g
大豆油 0.2g
N,N-ジメチルアセトアミド 0.3g
無水エタノール 5g
調製方法:
テニポシド(北京凱森菜医薬科技有限公司製)0.03gをそれぞれ無水エタノール1gと N,N-ジメチルアセトアミド0.3gの混合溶液に加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.2g、大豆油0.2gおよび無水エタノール4gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を300mlの5%グルコース注射液に注入し、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出することが観察された。その顕微鏡写真は図5を参照する。

【0070】
実施例24
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
大豆レシチン(レシチンS100) 1.2g
大豆油 0.12g
PEG200 1g
無水エタノール 3g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gを無水エタノール1gとPEG200 1gとの混合溶液に加え、完全に溶解した後、さらにレシチン(S100、LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を50mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0071】
実施例25
液体組成物:
パクリタキセル 0.03g
大豆レシチン(レシチンS100) 1.2g
大豆油 0.12g
PEG2000 1g
無水エタノール 4g
調製方法:
パクリタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.03gを無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにPEG2000 1g、レシチン(S100、LIPOID)1.2g、大豆油0.12gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を100mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0072】
実施例26
液体組成物:
ドセタキセル 0.08g
卵黄レシチン(レシチンE80) 1.6g
中鎖トリグリセリド(MCT) 0.2g
無水エタノール 4g
調製方法:
ドセタキセル(桂林暉昂生化薬業有限責任公司製)0.08gを無水エタノール2gに加え、完全に溶解した後、さらにレシチンE80(LIPOID)1.6g、中鎖トリグリセリド(MCT、鉄嶺北亜薬用油有限公司製)0.2gおよび無水エタノール2gを加え、撹拌してそれらを均一に混合させて透明で澄んだ液体組成物を形成する。液体組成物を200mlの5%グルコース注射液に注入して、軽く振とうし、均一な水和液を形成し、静置して観察し、8時間後、目視で水和液が成層と凝集を発生しないことが観察され、且つ顕微鏡(オリンパス製倒立顕微鏡XDS-1B、40×)で水和液が薬物結晶を析出しないことが観察された。レーザ粒度分析計(Zetasizer Nano ZS、Malvern、イギリス)で水和液の平均粒径を測定したところ、水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲内であり、臨床投薬の要求に合致する。

【0073】
本発明の液体組成物は、臨床使用時に、体積が異なった5%グルコース溶液又は生理食塩水に投入し、適当に振とうした後、静脈注射又は点滴静脈注射の方式で投薬する。

【0074】
前記実施例の結果によると、本発明の液体組成物は、成分および各成分の含有量が本発明の範囲内である限り、澄んだ溶液が得られ、且つ注射用溶液(例えば5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水)で水和した後、8時間の内に安定性を保持し、臨床投薬の要求に合致することが示されている。

【0075】
当業者にとって、本発明の他の点は明らかで本文で繰り返す必要がない。採用する用語と措辞が説明用としてかつ制限性がなく、且つそれら用語と措辞を使用する時に示されかつ叙述した特徴のいかなる均等物又はその一部を排除することが目的でなく、本発明の範囲内における多種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る難溶性薬物の液体組成物は、
ポリオキシエチレンヒマシ油(Cremophor EL)又はポリソルベート80(Tween 80)など、従来の難溶性薬物の市販注射製剤における界面活性剤のかわりに生体相容性に優れたリン脂質、大豆油などを使用することにより、処方の面で難溶性薬物製剤による厳重なアレルギー性と溶血性等の恐れを解消するメリット1と、
本発明において、難溶性薬物が有機溶媒、注射用油又はそれらの混合物中に溶解されて水相媒体における難溶性薬物の酸化、加水分解等を防止でき、製剤の安定性を増加させ、有効期間を延長できると同時に、水を含まないために、小体積の濃縮液で、輸送も保存も便利であるメリット2と、
該液体組成物は調製プロセスが簡単で、工業的生産が容易であるメリット3と、
臨床応用時に調製方法が従来の製剤とほぼ一致し、使用の難しさを増加することがなく、薬品のコンプライアンスの向上に有利であるメリット4と、
該液体組成物を注射用溶液(例えば5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水)で水和した後、8時間のうちに安定性を保持し、臨床投薬の要求に合致するメリット5とを有する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5