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明細書 :希土類ユーロピウム錯体および発光材料としてのその使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2014-516040 (P2014-516040A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成26年7月7日(2014.7.7)
特許番号 特許第5957518号 (P5957518)
登録日 平成28年6月24日(2016.6.24)
発行日 平成28年7月27日(2016.7.27)
発明の名称または考案の名称 希土類ユーロピウム錯体および発光材料としてのその使用
国際特許分類 C07D 471/04        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C07D 471/04 113
C07D 471/04 CSP
H05B 33/14 B
請求項の数または発明の数 8
全頁数 21
出願番号 特願2014-511712 (P2014-511712)
出願日 平成24年2月19日(2012.2.19)
国際出願番号 PCT/CN2012/071298
国際公開番号 WO2012/163108
国際公開日 平成24年12月6日(2012.12.6)
優先権出願番号 201110139842.1
優先日 平成23年5月27日(2011.5.27)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成27年1月21日(2015.1.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】513298169
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY
発明者または考案者 【氏名】卞 祖強
【氏名】衛 慧波
【氏名】丁 飛
【氏名】黄 春輝
個別代理人の代理人 【識別番号】100088580、【弁理士】、【氏名又は名称】秋山 敦
【識別番号】100111109、【弁理士】、【氏名又は名称】城田 百合子
審査官 【審査官】黒川 美陶
参考文献・文献 米国特許出願公開第2004/0247937(US,A1)
中国特許出願公開第1587343(CN,A)
特表2001-511813(JP,A)
特開平10-231479(JP,A)
特開平09-194831(JP,A)
Katkova, Marina A. et al.,Efficient synthetic route to anhydrous mononuclear tris(8-quinolinolato)lanthanoid complexes for organic light-emitting devices,Inorganica Chimica Acta,2005年,358(13),3625-3632
Tsaryuk, V.; Zhuravlev et al.,Regulation of excitation and luminescence efficiencies of europium and terbium benzoates and 8-oxyquinolinates by modification of ligands,Journal of Photochemistry and Photobiology, A: Chemistry ,2006年,177(2-3),314-323
Albrecht, Markus et al.,Enhancement of near-IR emission by bromine substitution in lanthanide complexes with 2-carboxamide-8-hydroxyquinoline,Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom) ,2007年,(18),1834-1836
Liao, Szu-Hung et al.,Hydroxynaphthyridine-Derived Group III Metal Chelates: Wide Band Gap and Deep Blue Analogues of Green Alq3 (Tris(8-hydroxyquinolate)aluminum) and Their Versatile Applications for Organic Light-Emitting Diodes,Journal of the American Chemical Society,2009年,131(2),763-777
調査した分野 C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体の構造は、式IIで表されることを特徴とするユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000024t.gif (式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基である。)
(式IIにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは窒素または酸素の配位点を含んでおらず、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。)
【請求項2】
前記ユーロピウム錯体は、以下の構造の1つを有することを特徴とする請求項1に記載のユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000025t.gif (ここで、A、L、x、y、およびmは請求項1に記載のとおりである。)
【請求項3】
前記Aはβ-ジケトン系配位子であり、前記ユーロピウム錯体は以下の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000026t.gif (上式において、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは窒素または酸素の配位点を含んでおらず、R、Rは、それぞれ独立して、アリール基、ヘテロアリール基または含フッ素アルキル基であり、Lは中性配位子であり、x=1または2、y=1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。)
【請求項4】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体の構造は、式Vで表されることを特徴とするユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000027t.gif (式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRが窒素または酸素の配位点を含む基であって、前記4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子はアニオン性三座配位子であり、形成される錯体Eu(ND)において、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)
(式Vにおいて、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは、窒素または酸素の配位点を含む基であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)
【請求項5】
前記Rは、含窒素5員複素環アリール基、含窒素6員複素環アリール基、またはカルボニル基を含む基であることを特徴とする請求項4に記載のユーロピウム錯体。
【請求項6】
前記ユーロピウム錯体の構造は、式IIIまたは式IVで表されることを特徴とする請求項5に記載のユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000028t.gif (式IIIおよび式IVにおいて、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基またはアルコキシ基であり、R10は、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基またはアルコキシ基であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)
【請求項7】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体は、以下の錯体の1つであることを特徴とするユーロピウム錯体。
JP0005957518B2_000029t.gifJP0005957518B2_000030t.gif (式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基である。)
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のユーロピウム錯体発光材料としての使用
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類錯体発光材料の分野に関し、特に、高効率のフォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス性能を有する新規な希土類錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、21世紀において、エネルギーは人類、社会の発展と進歩により解決しなければならない難題である。人々が新しいエネルギーを開発するとともに、「省エネ」を行うことも重要となっている。生活におけるエネルギーの消費の方面で、照明のみでエネルギー総量の20%程度を占めている。しかしながら、現在の照明光源におけるエネルギーの利用効率はいまだに満足な効果を達成できていない。LED(Light-emitting Diode)光源は、高効率のエネルギー変換率により注目されている。特にOLED(Organic Light-emitting Diode、有機発光ダイオード)は、大面積、フレキシブル、超薄型であるなどの潜在的な長所を有しており、かつ理論的な発光効率が高く、研究の中心となりつつある。
【0003】
また、フルカラーディスプレイの方面で、OLEDは同様に魅力的な応用可能性を有している。現在、人々が用いているカラーディスプレイの多くは陰極線管または液晶ディスプレイである。陰極線管は、体積が大きく、応答速度が遅く、効率が低いため次第に淘汰されている。一方、現在市場で最も多く用いられている液晶ディスプレイは、体積が小さく、性能もある程度向上しているが、パッシブ式光源で、視野角が小さく、応答速度が遅い等の短所がある。有機エレクトロルミネッセンスに存在する大きな魅力としては、第一に、フルカラー自発発光で、色が鮮明であり(液晶パネルは背景光源を必要とする)、第二に、超薄型ディスプレイで、フレキシブルに屈曲可能であり、第三に、応答速度が速く(液晶の100倍)、視野角範囲が180°までと広く、(液晶パネルはわずか45°である)、第四に、低駆動電圧でわずか3~10ボルトの直流電圧を必要とし、発光効率が高く、第五に、作製が簡単で、低コストであるといった特徴がある。
【0004】
そのため、有機分子発光材料は、照明またはディスプレイのいずれの方面でも重要な応用可能性を有している。そのうちの希土類発光材料は、その特有の性質のため、これらの2つの面において非常に利点がある。希土類錯体発光材料の優位性は主に下記の点で具現される。
【0005】
第一に、狭帯域放出で、単色性が良い。これは高色純度のディスプレイ素子に極めて有利である。希土類元素は独特の電子配置およびエネルギー準位構造を有しており、特にその4f電子軌道上のエネルギー準位が豊富であり、希土類元素の発光は全て4f軌道のエネルギー準位間で行われる。そのエネルギー準位が高く、同時に内殻電子でもあり、外殻電子がそれに対してシールドするため、その発光の外部要素から受ける干渉が小さくなり、鋭い狭帯域放出を有するようになる。カラーディスプレイに用いられる有機低分子エレクトロルミネッセンスにとって、赤緑青(RGB)の三原色はフィルタまたは他の方法によって得る必要があるため、一定の光エネルギーが無駄になってしまう。希土類化合物は色座標が10nm未満の狭帯域放出を有するため、それを有機エレクトロルミネッセンス材料に応用することも重要な意義がある。
【0006】
第二に、量子効率が理論的に高い。純粋な有機蛍光発光材料はスピン統計の制限を受け、その最大内部量子効率には理論的な限界(25%以下)がある。それに比べ、希土類錯体の発光過程は有機配位子の励起一重項が系間を通じて励起三重項に項間交差し、さらにエネルギーを希土類イオンに伝達することで、4f電子が励起を受けるようにし、その後、基底状態に戻り発光する。一重項および三重項はいずれもエネルギー伝達が可能であるため、理論的には、内部量子効率が100%に達することが可能となる。
【0007】
第三に、配位子の修飾が発光の波長に影響を及ぼさない。良好なエネルギー準位マッチングおよびキャリア伝導性に達成するためには、一般に配位子に対して様々な修飾が行われるが、発光性を有する希土類錯体の中心イオンは希土類イオンであるため、配位子の修飾はスペクトルのピーク変位の変化を生じさせない。よって、材料の設計および変性の面で、希土類錯体発光材料はさらに独特の長所を有する。
【0008】
これから分かるように、希土類錯体は優れた発光性能を有しており、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス分野においていずれも幅広い応用可能性がある。フォトルミネッセンス分野において、通常、赤色光ユーロピウムおよび緑色光テルビウムの下方変換フォトルミネッセンス材料は蛍光粉として用いることができる。現在、照明蛍光灯において最も一般的に使用される三原色蛍光粉は、希土類緑色粉(Ce,Tb)MgAl1119、青色粉(Ba,Mg,Eu)Al1627、および赤色粉Y:Eu3+である。これらは全て希土類を含有する無機固体発光材料である、希土類有機錯体に対して言えば、その発光効率はより高いものの、化学的安定性および蛍光熱安定性は無機材料に及ばない。そのため、熱および赤外線の放射に対して安定的な有機錯体蛍光材料を開発することで、希土類の用量を減少し、コストを削減することができる。三価のユーロピウム錯体は、紫外線光を効率よく吸収し、鮮明な赤色光を放出することができ、有機赤色光下方変換材料として用いることができる。中山大学のキョウ孟濂らはカルバゾール含有βジケトン配位子を含む一連の希土類Eu錯体を合成して、このような錯体を下方変換発光蛍光粉として近紫外光を発光するInGaN基板上に塗布し、赤色光を発光するLED素子を作製した(M.L.Gong et al,Appl.Phys.B,2010,99,757)。ただし、Eu錯体を用いてフォトルミネッセンスするこのようなLED素子には、温度消光と電圧の変化に応じて混色が発生する可能性とが存在するという不安定な問題がある。
【0009】
エレクトロルミネッセンス分野において、既に多くの人々により希土類Eu錯体のOLED方面への応用に関する研究が行かれている。現在使用されているユーロピウム錯体はほぼ全てがβ-ジケトン系化合物である。1991年に、日本のKidoらが初めて希土類ユーロピウム錯体Eu(TTA)・2HOを発光材料として用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、狭帯域の赤色発光を実現した。最近、本研究チームにより、オキサジアゾール含有フェナントロリン誘導体を中性第2配位子として用いてEu(TTA)PhOを合成し、かつOLED素子が作製され、最大輝度が1086カンデラ毎平方メートルの純粋なユーロピウム赤色光放出が得られ、最大電力効率が5.5ルーメン毎ワットに達することができ、これはOLED素子に用いられるEu(TTA)系発光材料の研究において比較的高いレベルである(Zhuqi Chen et al,New J.Chem.,2010,34,487)。
【0010】
現在、研究に利用されている希土類ユーロピウム錯体は、ほぼ全てがβ-ジケトン系化合物をアンテナ配位子として用いており、β-ジケトン系化合物にはフォトルミネッセンス量子収率が比較的高い化合物が少なくないが、LED材料の下方変換またはエレクトロルミネッセンスOLEDにおける応用は順調でない。主な源因は、このタイプの配位子には、第一に、β-ジケトン構造錯体の発光は温度消光が発生しやすく、第二に、β-ジケトン構造錯体はエレクトロルミネッセンスの際のキャリア輸送性能が比較的低いといった重要な短所があるためである。これらの欠点はβ-ジケトン系ユーロピウム錯体のエレクトロルミネッセンスの効率および素子の作動における温度上昇の安定性に大きな影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンスなどの方面に用いられる、4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子に基づく新規な希土類ユーロピウム錯体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のユーロピウム錯体は、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子を示し、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、mの具体的な値は異なる中性配位子により決定される。

JP0005957518B2_000002t.gif
【0013】
式Iにおいて、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基である。
【0014】
前記ハロゲン原子はF、Clなどを示す。
【0015】
前記アルキル基はC1-C24の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、C1-C6の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基などである。C1-C4の直鎖または分岐のアルキル基が特に好ましい。
【0016】
前記ハロゲン置換アルキル基は、C1-C24の直鎖または分枝のハロゲン置換アルキル基が好ましく、C1-C6の直鎖または分枝のハロゲン置換アルキル基がより好ましく、例えば、ハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化プロピル、ハロゲン化イソプロピル、ハロゲン化ブチル、ハロゲン化イソブチル、ハロゲン化tert-ブチル、ハロゲン化sec-ブチルなどであり、C1-C3の直鎖または分枝のハロゲン置換アルキル基が特に好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
【0017】
前記アルケニル基またはアルキニル基は、C2-C24の直鎖または分枝のアルケニル基またはアルキニル基が好ましく、C2-C6の直鎖または分枝のアルケニル基またはアルキニル基がより好ましく、C2-C4の直鎖または分枝のアルケニル基またはアルキニル基が特に好ましく、例えば、ビニル基、エチニル基、1-プロペニル基、1-プロピニル基、1-ブテニル基、1-ブチニル基、およびブタジエニル基などである。
【0018】
前記N-置換アミン基は、C1-C6アルキル基で置換されたアミン基が好ましく、例えば、ジメチルアミン基である。
【0019】
前記アルコキシル基は、C1-C24の直鎖または分枝のアルコキシル基が好ましく、C1-C6の直鎖または分枝のアルコキシル基がより好ましく、C1-C4の直鎖または分枝のアルコキシル基が特に好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基などである。
【0020】
前記エステル基は、構造式が-COORのカルボン酸エステル基を示し、ここで、RはC1-C24の直鎖または分枝のアルキル基またはハロゲン置換アルキル基が好ましく、RはC1-C6の直鎖または分枝のアルキル基またはハロゲン置換アルキル基がより好ましく、RはC1-C4の直鎖または分枝のアルキル基またはハロゲン置換アルキル基が特に好ましく、前記エステル基は、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、カルボン酸イソプロピル基、カルボン酸ブチル基、カルボン酸トリフルオロメチル基、ペルフルオロカルボン酸エステル基などである。
【0021】
前記アシル基は、構造式が-CORの基を示し、ここで、RはC1-C24の直鎖または分枝のアルキル基が好ましく、C1-C6の直鎖または分枝のアルキル基がより好ましく、C1-C4の直鎖または分枝のアルキル基が特に好ましく、前記アシル基は、例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブタノイル基などである。
【0022】
前記N-置換アミド基は、N上の置換基がC1-C24の直鎖または分枝のアルキル基が好ましく、N上の置換基がC1-C6の直鎖または分枝のアルキル基がより好ましく、N上の置換基がC1-C4の直鎖または分枝のアルキル基が特に好ましく、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド基、N,N-ジエチルホルムアミド基などである。
【0023】
前記アリール基または複素環式アリール基は、C5-C10の無置換のアリール基、複素環式アリール基、または置換基を含有するアリール基、複素環式アリール基が好ましく、例えば、フェニル基、フリル基、ピラゾール基、ピリジン基、オキサジアゾール基などである。
【0024】
が窒素または酸素の配位点を含む基でない場合、本発明の4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系ユーロピウム錯体の構造は以下のように(式II)表すことができる。

JP0005957518B2_000003t.gif
【0025】
式IIにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは窒素または酸素の配位点を含んでおらず、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、mの具体的な値は異なる中性配位子により決定される。各種の基の好ましい範囲は上述のとおりである。

【0026】
具体的には、R、Rがメチル基で、R、R、Rが水素原子である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

JP0005957518B2_000004t.gif
【0027】
がシアン基で、Rがメチル基で、R、R、Rが水素原子である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

JP0005957518B2_000005t.gif
【0028】
がトリフルオロメチル基で、Rがフッ素原子で、R、R、Rが水素原子である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

JP0005957518B2_000006t.gif
【0029】
アニオン配位子Aがβ-ジケトン系配位子である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

JP0005957518B2_000007t.gif
【0030】
ここで、R、Rはそれぞれ独立して、フェニル基、ナフチル基などの芳香族基、またはチエニル基、フリル基、ピリジル基などの複素環式アリール基、またはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などのフッ素含有化合物である。好ましいβ-ジケトンアニオン配位子は、ジベンゾイルメタン基(DBM)、テノイルトリフルオロアセトン基(TTA)、ジナフトイルメタン基(DNM)、ナフトイルトリフルオロアセトン基(NTA)などを有する。x=1または2、y=1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。

JP0005957518B2_000008t.gif
【0031】
中性配位子Lは、水分子、アルコール分子、アセトンなどの配位低分子、およびフェナントロリン(phen)、ビピリジル(bpy)、トリアリールホスフィンオキシド(ArPO)系構造の分子および誘導体であってもよい。

JP0005957518B2_000009t.gif
【0032】
特に、Rが窒素または酸素の配位点を含む基である場合、前記4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子(ND)はアニオン性三座配位子となり、形成される錯体の構造式はEu(ND)であり、式Vのように表される。ここで、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2であり、mの具体的な値は異なる中性配位子により決定される。このタイプのアニオン性三座配位子は新規な配位子であり、かつ配位が安定的で、錯体の昇華成膜性が良く、3つのアニオン性三座配位子と1つの三価ユーロピウムイオンとの配位後に中性配位子が必要ないなどのメリットを有する。故に、このような新規なアニオン性三座配位子および合成されたユーロピウム錯体は全て本発明の保護範囲内にある。
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【0033】
前記窒素配位点を含む基としてよく見られるものには、含窒素5員複素環アリール基および含窒素6員複素環アリール基があり、例えば、ピリル基、イミダゾール基、ピリジン基、オキサゾリル基などである。例えば、Rがピリジン基である場合、該三座配位子とEuとが形成する錯体の構造式(式III)は以下のとおりである。

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【0034】
上式のように、該三座配位子はエノール型とケトン型の2種類の共鳴構造を含む。ここで、R、R、R、Rは上述のとおりであり、R、R、R、Rは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基から選ばれる。各種の基の好ましい範囲は上述のとおりである。AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2であり、mの具体的な値は異なる中性配位子により決定される。
【0035】
前記窒素の配位点を含む基は主にカルボニル基を含む基を示し、Rがカルボニル基を含む基である場合、該三座配位子とEuとが形成する錯体の構造式(式IV)は以下のとおりである。

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【0036】
上式のように、該三座配位子は、エノール型とケトン型の2種類の共鳴構造を含む。ここで、R、R、R、Rは上述のとおりであり、R10は、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基から選ばれる。各種の基の好ましい範囲は上述のとおりである。AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2であり、mの具体的な値は異なる中性配位子により決定される。
【0037】
式IIIの錯体において、Rがシアン基で、R、R、R、R、R、R、Rが水素原子である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

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【0038】
さらに、x=3である場合、y=0、かつm=0であり、このときの錯体の構造式は以下のとおりである。

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【0039】
式IVの錯体において、Rがシアン基で、R、R、Rが水素原子で、R10がメチル基である場合、錯体の構造式は以下のとおりである。

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【0040】
さらに、x=3である場合、y=0、かつm=0であり、このときの錯体の構造式は以下のとおりである。

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【0041】
本発明の4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子は、一般に用いられているエレクトロルミネッセンス材料における星状分子Alq中の8-ヒドロキシキノリンの構造と類似するが、Alqは非常に優れた電子輸送能力を有する。8-ヒドロキシキノリンに比べ、4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子のHOMOエネルギー準位は低下するが、LUMOエネルギー準位はほぼ一定に保たれる。そのため、LUMOエネルギー準位での電子の良好な注入および伝導を確保すると同時に、HOMOエネルギー準位におけるその正孔の伝導能力を大幅に向上させることができる。4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子の良好な電子および正孔輸送性能に基づき、三価のユーロピウムイオンと該配位子から形成された錯体を用いて赤色光ユーロピウムのエレクトロルミネッセンス素子を作製することができる。
【0042】
フォトルミネッセンス量子収率は、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス材料の他の重要なパラメータである。本発明におけるユーロピウム錯体Eu(8mCND)Lは、昇華してEu(8mCND)を得ることができる。ビピリジンルテニウム水溶液を基準として測定されたフォトルミネッセンス量子収率は40%程度(アセトニトリル溶液中で酸素除去されず)であり、ユーロピウム錯体において比較的高いレベルにある。
【0043】
本発明における4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系ユーロピウム錯体は、一般に用いられているβ-ジケトン系ユーロピウム錯体に比べ、コンパクトな剛性構造、熱安定性が良好で、キャリア輸送能力が強いなどの長所を有し、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス材料として非常に適している。

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【図面の簡単な説明】
【0044】
図1は、本発明の実施例5で測定されたEu(8mCND)のフォトルミネッセンススペクトルである。
【0045】
図2は、本発明の実施例5で製造されたエレクトロルミネッセンス素子の構造模式図である。
【0046】
図3は、本発明の実施例5のエレクトロルミネッセンス素子の電圧変化に伴うエレクトロルミネッセンススペクトル図である。
【0047】
図4は、本発明の実施例5のエレクトロルミネッセンス素子の電力効率-電流効率-電圧図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下において、具体的な実施例を通じて本発明の製品とその製造方法についてさらに説明するが、これらの具体的な実施態様はいかなる方式においても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0049】
本実施例に係る合成経路は以下のとおりである。

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【実施例1】
【0050】
(1)8mCND(3-シアノ-4-ヒドロキシ-8-メチル-1,5ナフチリジン、4-hydroxy-8-methyl-1,5-naphthyridine-3-carbonitrile)の合成:
4-メチル-3-アミノピリジン3.24g(30mmol)と2-シアノ-3-エトキシエチルアクリレート5.07g(30mmol)とを100mLの丸底フラスコ内で混合し、トルエンを30mL加え、アルゴンの保護下で15分還流する。殆どのトルエンを蒸発乾燥させ、石油エーテルを加えて生成物を直ちに析出する。吸引濾過し、ジクロロメタン/石油エーテル(体積比1:3)で再結晶させ、中間体pre-8mCNDの淡黄色結晶6.51gが得られ、収率は95%である。H NMR(400 MHz,CDCl,δ):10.84(br,d,J=12.8 Hz,1H),8.48(s,1H),8.36(d,J=5.2 Hz,1H),7.91(d,J=12.8 Hz,1H),7.19(d,J=5.2 Hz,1H),4.32(q,J=7.2 Hz,2H),2.39(s,3H),1.38(t,J=7.2 Hz,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C1213 231,found 232(+ H).
【実施例1】
【0051】
中間体は真空乾燥した後、250mLのジフェニルエーテルに3.25g投入し、アルゴンの保護下で4h還流する。冷却した後に生成物を析出して、少量のジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥する。粗生成物は昇華して精製(10-1Pa,220℃)する必要があり、それによって淡黄色の生成物8mCND1.66gが得られ、収率は65%である。H NMR(300 MHz,DO,NaCO,δ):8.11(d,J=4.5 Hz,1H),7.93(s,1H),7.04(d,J=4.5 Hz,1H),2.10(s,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C10O 185,found 186(+ H).EA for C10O:C,64.86;H,3.81;N,22.69 Found C,64.86;H,3.89;N,22.60.
【実施例1】
【0052】
(2)ユーロピウム錯体Eu(8mCND)phenの合成:
塩化ユーロピウム(III)六水和物366mg(1mmol)を20mLのメタノールに溶かし、フェナントロリン(198mg,1mmol)のメタノール溶液(30mL)を滴下し、30分撹拌する。その後8mCNDのナトリウム塩のメタノール溶液(8mCND 555mg、3mmol、NaOH 3mmol、メタノール100mL)を徐々に滴下し、50℃下で2時間反応させる。反応液を30mLに濃縮し、析出された白色固体を濾過する。少量の水で洗浄し、メタノールで洗浄する。真空乾燥してユーロピウム錯体の目的生成物724mgが得られ、収率は82%である。MS(m/z,ESI):calcd for C4226EuN11 885,found 886(+ H).
【実施例2】
【0053】
本実施例に係る合成経路は以下のとおりである。

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【実施例2】
【0054】
(1)3m8mND(3-メチル-4-ヒドロキシ-8-メチル-1,5ナフチリジン、3,8-dimethyl-1,5-naphthyridin-4-ol)の合成:
3m8mNDの合成は8mCNDと類似しており、原材料2-シアノ-3-エトキシエチルアクリレートを2-メチル-3-メトキシアクリレートに代えるだけでよい。4-メチル-3アミノピリジン5.16g(46mmol)と2-メチル-3-メトキシアクリレート6.5g(50mmol)を100mLの丸底フラスコ内で混合し、トルエンを20mL加え、アルゴンの保護下で36時間還流する。トルエンを蒸発乾燥させ、析出された未反応の原材料4-メチル-3アミノピリジンを吸引濾過して回収する(3.5g)。濾液に対してカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/石油エーテル=1:1、体積比)を行い、中間体pre-3m8mNDを分離するとともに、原材料2-メチル-3-メトキシアクリレート4.5gを回収することができる。
【実施例2】
【0055】
中間体pre-3m8mNDの白色固体488mgが得られ、収率は5%である。H NMR(400 MHz,CDCl,δ):9.82(br,d,J=12.8 Hz,1H),8.36(s,1H),8.12(d,J=4.8 Hz,1H),7.24(d,J=12.8 Hz,1H),7.07(d,J=4.8 Hz,1H),3.79(s,3H),2.31(s,3H),1.88(s,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C1114 206,found 207(+ H).
【実施例2】
【0056】
中間体pre-3m8mNDから3m8mNDを得る方法は実施例1と同様であり、生成物3m8mNDは淡黄色固体(300mg)であり、収率は77%である。H NMR(300 MHz,DO,NaCO,δ):8.61(d,J=4.5 Hz,1H),8.00(s,1H),7.60(d,J=4.5 Hz,1H),2.67(s,3H),2.24(s,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C1010O 174,found 175(+ H).EA for C1010O:N:16.1;C:68.95;H:5.8 Found N:16.0;C:68.8;H:5.8.
【実施例2】
【0057】
(2)ユーロピウム錯体Eu(3m8mND)phenの合成:
Eu(8mCND)phenの合成と同様であり、8mCNDの代わりに3m8mND配位子を用い、ユーロピウム錯体Eu(3m8mND)phenが得られる。収率は95%である。MS(m/z,ESI):calcd for C4235EuN 852,found 853(+ H).
【実施例3】
【0058】
本実施例に係る合成経路は以下のとおりである。

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【実施例3】
【0059】
(1)Ac-CND(3-シアノ-4ヒドロキシ-6-アセチル-1,5ナフチリジン、6-acetyl-4-hydroxy-1,5-naphthyridine-3-carbonitrile)の合成:
Ac-CNDの合成は8mCNDと類似しており、原材料4-メチル-3-アミノピリジンを2-アセチル-5-アミノピリジンに代えるだけでよい。2-アセチル-5-アミノピリジンは、2-シアノ-5-アミノピリジンとメチルグリニャール試薬とを反応させることによって得られる。
【実施例3】
【0060】
中間体pre-AcCNDの収率は63%である。H NMR(300 MHz,CDCl,δ):10.96(br,d,J=12.8 Hz,1H),8.47(d,J=2.7 Hz,1H),8.12(d,J=8.7 Hz,1H),7.93(d,J=13.2 Hz,1H),7.54(dd,J=8.7,2.7 Hz,1H),4.34(q,J=7.2 Hz,2H),2.71(s,3H),1.39(t,J=7.2 Hz,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C1313 259,found 260(+ H).
【実施例3】
【0061】
生成物Ac-CNDの収率は40%である。H NMR(300 MHz,DMSO-d6,δ):13.13(br,s,1H),8.88(s,1H),8.27(d,J=8.7 Hz,1H),8.19(d,J=8.7 Hz,1H),2.71(s,3H).MS(m/z,ESI):calcd for C11 213,found 214(+ H).
【実施例3】
【0062】
(2)ユーロピウム錯体Eu(Ac-CND)の合成:
塩化ユーロピウム(III)六水和物366mg(1mmol)を10mLのメタノールに溶かし、その後Ac-CNDのナトリウム塩のメタノール溶液(Ac-CND 642mg、3mmol、NaOH 3mmol、メタノール100mL)を徐々に滴下し、50℃下で2時間反応させる。溶媒を蒸発乾燥する。少量の水で塩類を洗浄して除去し、少量のメタノールで洗浄する。真空乾燥し、ユーロピウム錯体の目的生成物が得られる。収率は90%である。MS(m/z,ESI):calcd for C3318EuN 789,found 790(+ H).
【実施例4】
【0063】
本実施例に係る合成経路は以下のとおりである。

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【実施例4】
【0064】
(1)pyND(6-(ピリジン-2-イル)-4ヒドロキシ-1,5ナフチリジン、6-(pyridin-2-yl)-1,5-naphthyridin-4-ol)の合成:
5-アミノ-2,2’-ビピリジン2g(11.7mmol)、メルドラム酸2.52g(17.5mmol,1.5eq)、およびオルトギ酸トリエチル(8.65g,58.4mmol,5eq)を混合し、Arの保護下で100℃まで加熱する。白色ペースト状物がすぐに現れる。5分後に加熱を停止する。冷却後50mLのメタノールを加え、白色固体の粉末を濾出し、メタノールで数回洗浄する。乾燥し、中間体生成物pre-pyND3.48gが得られ、収率は92%である。H NMR(400 MHz,CDCl,δ):11.34(br,d,J=14.0 Hz,1H),8.71~8.67(m,2H),8.63(d,J=2.7 Hz,1H),8.54(d,J=8.6 Hz,1H),8.40(d,J=7.9 Hz,1H),7.87~7.83(m,1H),7.74(dd,J=8.9,2.7 Hz,1H),7.36~7.34(m,1H),1.78(s,6H).MS(m/z,ESI):calcd for C1715 325,found 326(+ H).
【実施例4】
【0065】
中間体から生成物pyNDへの合成方法は8mCNDと同様である。収率は84%である。H NMR(400 MHz,DMSO-d6,δ):11.98(br,1H),8.70~8.67(m,2H),8.60(d,J=7.9 Hz,1H),8.12(d,J=9.1 Hz,1H),7.94~7.88(m,2H),7.42~7.40(m,1H),6.36(d,J=7.2 Hz,1H).MS(m/z,ESI):calcd for C13O 223,found 224(+ H).EA for C13O:N:18.82;C:69.95;H:4.06 Found N:18.86;C:70.12;H:4.10.
【実施例4】
【0066】
(2)ユーロピウム錯体Eu(pyND)の合成:
Eu(Ac-CND)と同様であり、Ac-CNDの代わりにpyNDを用いる。収率は90%である。MS(m/z,ESI):calcd for C3924EuN 819,found 820(+ H).EA for C3924EuN・2HO:N:14.75;C:54.81;H:3.30 Found N:14.74;C:55.45;H:3.40.
【実施例5】
【0067】
(1)フォトルミネッセンスの性質:
ユーロピウム錯体Eu(8mCND)を例とすると、ビピリジンルテニウム水溶液を基準として測定されたフォトルミネッセンス量子収率は40%程度(アセトニトリル溶液中で、酸素除去されず)であり、ユーロピウム錯体において比較的高いレベルにある。錯体の励起スペクトル(EuL-ex)および放出スペクトル(EuL-em)から見ると(図1)、このタイプのユーロピウム錯体は紫外線光を吸収可能で、下方変換して赤色光を発光し、LED中の赤色蛍光粉として使用することができる。現在一般に用いられている無機赤色蛍光粉(例えばY:Eu3+)に比べ、その蛍光量子収率はさらに高い。かつ該錯体の分子構造は比較的コンパクトで、温度消光が発生し難く、発光における熱安定性が非常によい。このタイプのユーロピウム錯体をLED蛍光粉に用いることで、希土類Euの用量を効果的に減少して、コストを大いに削減することができる。
【実施例5】
【0068】
(2)エレクトロルミネッセンス素子の作製:
本実施例における希土類ユーロピウム錯体のエレクトロルミネッセンス素子に用いられる材料は、導電ガラス(ITO)基板層、Ν,Ν’ジフェニル-Ν,Ν’-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPB)を選択して用いる正孔輸送層、Eu(8mCND)を選択して用いる発光層、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)を選択して用いる正孔バリア層、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(AIQ)である電子輸送層、およびマグネシウム銀合金であるカソード層を含んでおり、ITO/NPB(30nm)/Eu:BCPO(1:1,20nm)/BCP(10nm)/AIQ(30nm)/Mg0.9Ag0.1で表すことができる(素子の構造模式図は図2に示す)。

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【実施例5】
【0069】
エレクトロルミネッセンス素子は、当分野における公知の方法により作製可能であり、例えば、参照文献(Appl.Phys.Lett.1987,51,913)に公開された方法により作製される。具体的な方法は、高真空(8×10-5Pa未満)条件下で、洗浄した導電ガラス(ITO)の基板上に、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、およびカソード材料を順に堆積することである。
【実施例5】
【0070】
ITOガラス板(3×3平方ミリメートルの有効面積)をそれぞれ有機溶媒で超音波洗浄した後に乾燥し、オゾン洗浄した後に真空コーティング機内に置き、8×10-5Pa未満の高真空条件下で、水晶発振器で各層の厚さを監視しながら、導電ガラス上に、正孔輸送材料、有機低分子、電子輸送材料、および金属カソードマグネシウム銀合金(Mg0.9Ag0.1)を順に堆積する。各有機層の厚さは変更可能である。
【実施例5】
【0071】
素子の性能およびエレクトロルミネッセンススペクトルの測定時、ITO電極は常に正極に接続されている。エレクトロルミネッセンススペクトルの測定は、PR650分光計またはHitachi F4500蛍光光度計において、素子に定電圧(通常は3~30ボルトの間)を印加するとともに、放出スペクトルを記録する(図3参照)。
【実施例5】
【0072】
電圧-電流(I-V)曲線および電圧-輝度(L-V)曲線は、コンピュータで制御されるKeithley 2400 Sourcemeter Unitにより測定され、輝度はシリコンフォトダイオードにより補正される(図4参照)。
【実施例5】
【0073】
該ユーロピウム錯体のエレクトロルミネッセンス素子は9Vで点灯し始め、15.5Vのときに輝度が100cdm-2に達し、このときの電力効率は0.34lmW-1であり、電流効率は1.67cdA-1であり、最大輝度は868cdm-2である。これは素子が最適化されていない結果であり、ユーロピウム錯体のエレクトロルミネッセンスにおいては中間レベルである。最適化処理することで、その発光性能をさらに向上させることができるものとみなされる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3