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明細書 :定在波電子線形加速器装置及びその動作方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5775141号 (P5775141)
公開番号 特開2014-130816 (P2014-130816A)
登録日 平成27年7月10日(2015.7.10)
発行日 平成27年9月9日(2015.9.9)
公開日 平成26年7月10日(2014.7.10)
発明の名称または考案の名称 定在波電子線形加速器装置及びその動作方法
国際特許分類 H05H   9/00        (2006.01)
H05H   9/04        (2006.01)
G21K   5/02        (2006.01)
H05G   1/02        (2006.01)
FI H05H 9/00 C
H05H 9/04
G21K 5/02 X
H05G 1/02 L
請求項の数または発明の数 19
全頁数 15
出願番号 特願2013-264518 (P2013-264518)
出願日 平成25年12月20日(2013.12.20)
優先権出願番号 201210586678.3
優先日 平成24年12月28日(2012.12.28)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成25年12月20日(2013.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称】TSINGHUA UNIVERSITY
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
発明者または考案者 【氏名】唐 ▲傳▼祥
【氏名】張 哲
【氏名】▲斤▼ 清秀
【氏名】施 嘉儒
【氏名】陳 懐璧
【氏名】黄 文曾
【氏名】鄭 曙▲斤▼
【氏名】劉 耀紅
個別代理人の代理人 【識別番号】100089118、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 宏明
審査官 【審査官】藤本 加代子
参考文献・文献 米国特許出願公開第2007/0046401(US,A1)
米国特許第05744919(US,A)
特開2008-218053(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0064873(US,A1)
米国特許出願公開第2009/0302785(US,A1)
調査した分野 H05H 9/00
H05H 9/04
G21K 5/02
H05G 1/00-2/00
特許請求の範囲 【請求項1】
電子ビームを発生する電子銃と、
主パルスパワー信号を供給するパルスパワー源と、
前記パルスパワー源に接続され、前記パルスパワー源から供給される前記主パルスパワー信号を、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号とに分割する電力分配器と、
前記電子銃の下流側に配置され、前記電力分配器に接続され、前記第1のパルスパワー信号が入力されて前記電子ビームを加速する第1の加速管と、
前記第1の加速管の下流側に配置され、前記第2のパルスパワー信号に基づいて前記電子ビームを加速する第2の加速管と、
前記電力分配器と前記第2の加速管との間に接続され、前記第1のパルスパワー信号と前記第2のパルスパワー信号と間の位相差を連続的に調整する移相器と、
前記第2の加速管の下流側に配置され、前記加速電子ビームが衝突してX線を発生するターゲットと
を備え、
前記第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲内でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームが生成され
前記ターゲットは、回転可能なベースに載置され、
前記加速電子ビームの進行方向と、前記ターゲットのターゲット面とがなす角度は、前記電子ビームのエネルギーに応じて可変である
ことを特徴とする定在波電子線形加速器装置。
【請求項2】
前記電力分配器と前記移相器との間に接続され、前記第1のパルスパワー信号および/または前記第2のパルスパワー信号を減衰する減衰器を更に備える請求項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項3】
前記移相器は、前記第1の加速管の加速キャビティおよび前記第2の加速管の加速キャビティにおいて、電子が加速されるように、前記位相差を調整する請求項1または2に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項4】
前記移相器は、前記第1の加速管の加速キャビティにおいては、電子が加速されるように前記位相差を調整し、前記第2の加速管の加速キャビティにおいては、電子が減速されるように、前記位相差を調整する請求項からのいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項5】
前記第1の加速管および前記第2の加速管は、加速キャビティどうしを磁気結合するための結合孔を有し、前記結合孔は各々の前記加速キャビティの壁に開口されている請求項からのいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項6】
前記第1のパルスパワーおよび前記第2のパルスパワーを前記第1の加速管および前記第2の加速管のそれぞれに供給するパワーカプラを更に備える請求項からのいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項7】
前記電子銃は、前記電子ビームの入射時の包絡角度が負の値であるように、前記電子ビームを前記第1の加速管に入射する請求項からのいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項8】
前記ターゲットは、真空ボックスに配置され、
前記真空ボックスは、回転可能な前記ベースに固定され、
前記真空ボックスの壁にはX線ウィンドウが実装され、
前記第2の加速管は波形管を介して前記真空ボックスに接続される請求項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項9】
前記所定のエネルギー範囲は、0.50MeVから2.00MeVである請求項からのいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項10】
電子ビームを発生するよう電子銃と、
第1のパルスパワー信号を供給する第1のパルスパワー源と、
第2のパルスパワー信号を供給する第2のパルスパワー源と、
前記電子銃の下流側に配置され、且つ、前記第1のパルスパワー源に接続され、前記第1のパルスパワー信号を受信して前記電子ビームを加速する第1の加速管と、
前記第1の加速管の下流側に配置され、前記第2のパルスパワー信号に基づいて前記電子ビームを加速する第2の加速管と、
前記第1のパルスパワー源の出力及び/又は前記第2のパルスパワー源の出力と、前記第1の加速管および/または前記第2の加速管との間に接続され、前記第1のパルスパワー信号と前記第2のパルスパワー信号との間の位相差を連続的に調整する移相器と、
前記第2の加速管の下流側に配置され、前記加速電子ビームが衝突してX線を発生するターゲットと
を備え、
前記第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲内でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームが生成され
前記ターゲットは、回転可能なベースに載置され、
前記加速電子ビームの進行方向と、前記ターゲットのターゲット面とがなす角度は、前記電子ビームのエネルギーに応じて可変である
ことを特徴とする定在波電子線形加速器装置。
【請求項11】
前記第1のパルスパワー源の出力及び/又は前記第2のパルスパワー源の出力と、前記移相器との間に接続され、前記第1のパルスパワー信号及び/又は前記第2のパルスパワー信号を減衰する減衰器を更に備える請求項10に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項12】
前記移相器は、前記第1の加速管のキャビティおよび前記第2の加速管のキャビティにおいて、電子が加速されるように、前記位相差を調整する請求項10または11に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項13】
前記移相器は、前記第1の加速管の加速キャビティにおいては、電子が加速され、前記第2の加速管の加速キャビティにおいては、電子が減速されるように、前記位相差を調整する請求項10から12のいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項14】
前記第1の加速管および前記第2の加速管は、加速キャビティどうしを磁気結合するための結合孔を有し、前記結合孔は各々の前記加速キャビティの壁に開口されている請求項10から13のいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項15】
前記第1のパルスパワーおよび前記第2のパルスパワーを前記第1の加速管および前記第2の加速管のそれぞれに供給するパワーカプラを更に備える請求項10から14のいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項16】
前記電子銃は、前記電子ビームの入射時の包絡角度が負の値であるように、前記電子ビームを前記第1の加速管に入射する請求項10から15のいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項17】
前記ターゲットは、真空ボックスに配置され、
前記真空ボックスは、回転可能な前記ベース上に固定され、
前記真空ボックスの壁にはX線ウィンドウが実装され、
前記第2の加速管は波形管を介して前記真空ボックスに接続される請求項10に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項18】
前記所定のエネルギー範囲は、0.50MeVから2.00MeVである請求項10から17のいずれか一項に記載の定在波電子線形加速器装置。
【請求項19】
電子ビームを発生させるステップと、
第1の加速管において、第1のパルスパワー信号によって前記電子ビームを加速する第1の加速ステップと、
前記第1の加速管の下流側に配置された第2の加速管において、第2のパルスパワー信号によって前記電子ビームを加速する第2の加速ステップと、
前記第1のパルスパワー信号と前記第2のパルスパワー信号との間の位相差を連続的に調整するステップと、
ターゲットを前記第2の加速管の下流側で、かつ、回転可能なベース上に配置し、前記加速電子ビームを衝突させてX線を発生させるステップと、
前記加速電子ビームの進行方向と、前記ターゲットのターゲット面とがなす角度は、前記電子ビームのエネルギーに応じて可変であるように、前記ターゲットを前記回転可能なベース上で回転させるステップと
を備え、
前記第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームを生成することを特徴とする定在波電子線形加速器装置の動作方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、定在波電子線形加速器の技術分野に関し、特に、加速器を放射源とする医学撮像及び照射などの分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代医学において、診断及び治療でX線が広く利用されている。従来の医学撮像システムにおいて、エネルギーが500keVより低いX線(ここのエネルギーとは、ターゲットに衝突する前の電子ビームのエネルギーである)を発生するには、主にX線管を用い、エネルギーが2MeVより高いX線を発生するには、主に低エネルギー電子線形加速器を用いている。エネルギーが0.5MeVと2MeVの間になるX線源は、無いに等しい(600keVのX線管はあるが、非常に高価なものである)。それは、このエネルギー区間において、X線管の性能がほぼ限界に達しており、エネルギーが高くなることに伴い、その発生するコストが急上昇することと、電子線形加速器の製造原価が高い(X線管に比べ、加速器は単一エネルギーのX線しか提供できない)ため、実用に導入することができないからである。但し、医学撮像において、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間のX線は非常に重要である。
【0003】
医学撮像の対象物の多くは、Z値(平均原子番号)が10程度の生体原子である。この場合、明らかな撮像品質を確保するために、光子と対象物が相互作用する際のコンプトン散乱を抑制しなければならない。入射光子のエネルギーが高い時はコンプトン効果が支配的で、撮像品質を損なうため、X線のエネルギーが約0.6MeVである時が最適な撮像エネルギーであると考えられ、丁度上記のエネルギーの区間に入る。さらに、撮像対象物のZ値が異なれば、撮像の最適なエネルギーも異なるため、医学撮像において、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間が必要とされている。
【0004】
X線管が該エネルギーの区間をカバーできなければ、エネルギーを連続的に調整可能な加速器を用いる方法がある。加速器のエネルギーの連続的な調整を実現する方法としては、パワー源に送るパワーの大きさを変更することよって、加速器の加速勾配を変化させて、エネルギーゲインを変化させる方法がある。この方法の主なデメリットは、加速管の低エネルギー領域勾配の変化によりエネルギーの分散が大きくなり、ビームの品質が劣化してしまうことである。エネルギーの分散が大きくなる課題を解決するために、米国特許第2,920,228号と第3,070,726号には、第1段目の進行波管が電子を光速に近くまで加速し、第2段目の進行波管がRFの位相を変化させることによってエネルギーの調整を実現する2段構成の進行波管を用いて電子を加速させる加速器が開示されている。この方法の主なデメリットは、進行波加速構成を用いるため、加速効率が低下してしまうことである。効率が低いという課題を解決するために、米国特許第4,118,653号には、進行波と定在波とを結合する加速構成が提案されている。この方法の主なデメリットは、2種類の加速構成を必要し、構成が分散し、周辺回路が複雑になってしまうことである。コンパクトな加速構成を得るために、米国特許第4,024,426号には、加速管の間におけるマイクロ波の位相を変化させることでエネルギーの調整を実現する交替式のサイド結合型定在波加速器が提案されている。この方法の主なデメリットは、加速管の構成が複雑で、工程の難度が非常に大きく、実現が困難であることである。簡単な加速構成と高い加速効率を得るために、米国特許第4,286,192号と第4,382,208号には、それぞれサイド結合型線形加速器の結合キャビティの上に挿入深さの調整で位相を調整する幾つか(1本又は2本)の摂動棒を追加した加速器が開示されている。この方法の主なデメリットは、エネルギーの調整可能な範囲が小さく、かつ摂動棒の調整は専門技能を必要することである。上記課題を解決するために、中国特許第202,019,491号には、2段の加速管のそれぞれの加速勾配を調整することによって、エネルギーを調整するサイド結合型定在波加速器が開示されている。該方法の主なデメリットは、加速器の横方向のサイズが大きく、マイクロ波の送り込みシステムが複雑で、低エネルギー(~1MeV)の電子ビームを供給することができないことである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】米国特許第2,920,228号明細書
【特許文献2】米国特許第3,070,726号明細書
【特許文献3】米国特許第4,118,653号明細書
【特許文献4】米国特許第4,024,426号明細書
【特許文献5】米国特許第4,286,192号明細書
【特許文献6】米国特許第4,382,208号明細書
【特許文献7】中国特許第202,019,491号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来のX線管および線形加速器は、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間をカバーすることができず、又は構成の複雑さで実現が困難である。したがって、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間をカバーする電子エネルギーを出力することができる、構成が簡単で、実現可能で、かつ、製造コストが低い加速器が望まれる。
【0007】
本発明は、エネルギーを連続的に調整でき、出力する電子のエネルギーが所定のエネルギー区間(例えば、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間)をカバーする定在波電子線形加速器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態にかかるひとつの態様において、定在波電子線形加速器装置が提供される。当該定在波電子線形加速器装置は、電子ビームを発生する電子銃と、主パルスパワー信号を供給するパルスパワー源と、パルスパワー源に接続され、パルスパワー源から供給される主パルスパワー信号を、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号とに分割する電力分配器と、電子銃の下流側に配置され、電力分配器に接続され、第1のパルスパワー信号が入力されて電子ビームを加速する第1の加速管と、第1の加速管の下流側に配置され、第2のパルスパワー信号に基づいて電子ビームを加速する第2の加速管と、電力分配器と第2の加速管との間に接続され、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号と間の位相差を連続的に調整する移相器とを備え、第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲内でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームが生成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、他の定在波電子線形加速器装置が提供される。当該他の定在波電子線形加速器装置は、電子ビームを発生するよう電子銃と、第1のパルスパワー信号を供給する第1のパルスパワー源と、第2のパルスパワー信号を供給する第2のパルスパワー源と、電子銃の下流側に配置され、且つ、第1のパルスパワー源に接続され、第1のパルスパワー信号を受信して電子ビームを加速する第1の加速管と、第1の加速管の下流側に配置され、第2のパルスパワー信号に基づいて電子ビームを加速する第2の加速管と、第1のパルスパワー源の出力及び/又は第2のパルスパワー源の出力と、第1の加速管および/または第2の加速管との間に接続され、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号との間の位相差を連続的に調整する移相器とを備え、第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲内でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームが生成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、定在波電子線形加速器装置の動作方法が提供される。当該方法は、電子ビームを発生させるステップと、第1の加速管において、第1のパルスパワー信号によって前記電子ビームを加速する第1の加速ステップと、前記第1の加速管の下流側に配置された第2の加速管において、第2のパルスパワー信号によって前記電子ビームを加速する第2の加速ステップと、前記第1のパルスパワー信号と前記第2のパルスパワー信号との間の位相差を連続的に調整するステップとを備え、前記第2の加速管の出力において、所定のエネルギー範囲でエネルギーを連続的に調整可能な加速電子ビームを生成することを特徴とする。
【0011】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、定在波電子線形加速器装置は、第2の加速管の下流側に配置され、加速電子ビームが衝突してX線を発生するターゲットを更に備える。
【0012】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、定在波電子線形加速器装置は、電力分配器と移相器との間に接続され、第2のパルスパワー信号を減衰する減衰器を更に備える。
【0013】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、移相器は、第1の加速管の加速キャビティおよび第2の加速管の加速キャビティが加速位相モードで動作するように、位相差を調整する。
【0014】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、移相器は、第1の加速管の加速キャビティが加速位相モードで動作し、第2の加速管の加速キャビティが減速位相モードで動作するように、位相差を調整する。
【0015】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、第1の加速管および第2の加速管は、加速キャビティどうしを磁気結合するための結合孔を有し、結合孔は加速キャビティの壁の磁場の比較的強い位置に開口される。
【0016】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、定在波電子線形加速器装置は、第1のパルスパワーおよび第2のパルスパワーを第1の加速管および第2の加速管のそれぞれに供給するパワーカプラを更に備える。
【0017】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、電子銃は、電子ビームを負角度で第1の加速管に入射する。
【0018】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、ターゲットは、回転可能なベースに載置され、加速電子ビームの進行方向と、ターゲットのターゲット面とがなす角度は、電子ビームのエネルギーに応じて可変である。
【0019】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、ターゲットは、真空ボックスに配置され、真空ボックスは、回転可能なベースに固定され、真空ボックスの壁にはX線ウィンドウが実装され、第2の加速管は波形管を介して真空ボックスに接続される。
【0020】
本発明の実施形態にかかる他の態様において、所定のエネルギー範囲は、0.50MeVから2.00MeVである。
【0021】
以下の図面は本発明の実施形態を示す。これらの図面は、本発明の実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置における加速管と結合器の構成を説明する模式図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置における第1の加速管と第2の加速管の位相間の関係を説明する模式図である。
【図3B】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置における第1の加速管と第2の加速管の位相間の関係を説明する模式図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置においてエネルギーと電流とが位相差の変化に伴って変化する様子を説明する模式図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置においてエネルギーとビーム半径とが位相差の変化に伴って変化する様子を説明する模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置における直流高圧電子銃のビーム入射を説明する模式図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置におけるターゲットの構成及び動作原理を説明する模式図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置におけるターゲットの構成及び動作原理を説明する模式図である。
【図6C】本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置におけるターゲットの構成及び動作原理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、ここで説明する実施形態は、例示のためのものであり、本発明はそれらに限定されない。以下の説明において、本発明を明瞭に理解するために、複数の特定の細部を記載したが、当業者にとって、本発明の実現についてこれらの特定の細部の使用が必須ではないことは言うまでも無い。他の実施形態においては、重複説明を避けるために、周知の回路、材料または方法に対する具体的な説明を省略した。

【0024】
本明細書の全体において、「一実施形態」、「実施形態」、「一例示」または「例示」は、該実施形態または例示と関連して説明した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、明細書全体に記載された「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例示」または「例示」は、必ず同一の実施形態または例示を指すものではない。また、何らかの適宜な組合せ及び/又は準組合せで、特定の特徴、構成または特性を一つまたは複数の実施形態または例示に組合せることは勿論可能である。また、当業者は、この「及び/又は」という用語が一つ又は複数の関連する項目の任意及び全ての組合せを含むことを理解する。

【0025】
従来技術の電子線形加速器が所定のエネルギー区間(例えば、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー区間)内において連続的に調整することができないという課題を解決するべく、本発明の実施形態は、定在波電子線形加速器装置を提案する。当該装置において、直列接続された第1の加速管および第2の加速器は、電子銃の発生した電子ビームを加速する。第1の加速管および第2の加速管に、対応する第1のパルスパワー信号および第2のパルスパワー信号をそれぞれ供給して、加速操作を行う。また、当該装置は、第2の加速管の出力でエネルギーが連続的に調整された加速電子ビームを生成するように、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワーとの間の位相差を連続的に調整する移相器を備える。

【0026】
ある実施形態において、同一のパルスパワー源を用いてもよいが、パワー源から出力されたマイクロ波パワーは電力分配器を通じて2つに分割される。一つは、加速管の組合せ(2つの加速器と、2つの加速器間を接続するドリフト段とからなる)における第1の加速管に供給され、直流高圧銃の発生した連続的な電子ビームを集束して、第1の高エネルギー(例えば、1.25MeV)まで加速する。もう一つは、減衰器により減衰されてから、360°の位相シフト量を調整可能な移相器を介して、第2の加速管に供給される。移相器がある適当な移相量φに調整されると、第2の加速管と第1の加速管とは同じ位相になり、第1の加速管から出力された電子ビームは最大エネルギーである第2の高エネルギー(例えば、2.00MeV)まで調整される。移相器の移相量が180°+φ付近に調整されると、第2の加速管および第1の加速管が逆位相になり、第1の加速管から出力される電子ビームは最小エネルギー(例えば、0.50MeV)まで減速される。移相器の移相量がφと180°+φとの間で連続的に変化する場合、第2の加速管から出力される電子ビームのエネルギーは、第2の高エネルギー(例えば、2.00MeV)と最小エネルギー(例えば、0.50MeV)との間で連続的に変化する。

【0027】
ある実施形態において、回転可能なターゲットを利用してもよい。適宜にターゲット及びウィンドウを平行に回転することによって、各エネルギーの電子ビームがターゲットに衝突した後、X線の最大出力パワーを取得することができる。

【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る定在波電子線形加速器装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態にエネルギーを連続的に調整可能な定在波電子線形加速器装置は、マイクロ波パワーシステム(パルスパワー源1、電力分配器2、移相器3、減衰器16、及び図2に示す導波管およびカップラ12)と、電子銃パワーシステム(高圧電源4及び伝送線)と、直流高圧電子銃5と、加速管の組合せ(加速管6、加速管7及び図2に示す両者を接続するドリフト段15)と、回転可能なターゲット構造(ターゲット8、図6A~Cに示す波形管17、真空ボックス18、X線ウィンドウ19及び回転可能なベース20)とを備える。

【0029】
装置が動作する時、パルスパワー源1(一般的に、マグネトロン)から出力されるマイクロ波パワー9は、電力分配器2を通じて2路に分割される。1路のパワーは、そのまま図2に示すパワーカップラ12(左側)を通して加速管6に入力される。もう1路のパワーは、減衰器16を介して減衰されて、移相器3によって位相がシフトされてから加速管7に入力される。加速管6および加速管7は、極めて短い時間(100ns程度)を経過して、フィールドタイプがTM010モードである加速場を形成する。この時に、高圧電源4がトリガーされ、直流高圧銃5に電力が供給され、直流高圧銃5は電子ビーム10を射出する。電子ビーム10は、加速管6による集束及び加速を経て、ビームバンチ中心の縦方向における間隔が1マイクロ波長(X線波長帯域で動作する場合、間隔は3.22cm)の電子ビームバンチシーケンスを形成する。操作者11が、リアルタイムで移相器3の位相シフト量(即ち、加速管6と加速管7との間の位相差)を変化させることで、電子ビームバンチは、加速管7によって、異なる最終エネルギーを取得する。これによって、電子ビームバンチがターゲット8に衝突すると、異なるエネルギーのX線を取得することができる。移相器3の位相シフト量を連続的に調整できるため、X線のエネルギーも連続的に変化させることができる。電子がターゲットに衝突して発生するX線のパワー角度分布は電子エネルギーに応じて異なる。ターゲット8を固定するためのベース20(図6A~C参照)を回転させることによって最大パワー角度近傍のX線を出力することができる。

【0030】
2段の加速管の間の位相差を調整して電子ビームバンチのエネルギーを変化させる原理を説明する前に、先ず他の必要な説明を行う。図3A、Bは、加速管6、7の軸線方向における加速電場の分布を示している。図3A、Bに示す実線において、2つ毎の隣接する零点間はいずれも1つのキャビティを表している。図2に示すように、加速管6は6つのキャビティを含み、加速管7は2つのキャビティを含む。図3A、Bから、対応する加速電場の分布がわかる。加速効率を最大限にするために、2段の加速管6、7が共にπモードで動作し、隣接する2つのキャビティ間のマイクロ波の位相差は180°であるため、図3A、Bにおいて、加速電場はプラス方向とマイナス方向とが交互に分布している。図2および図3A、Bに示すように、キャビティの長さが次第に大きくなるが、これは、加速中の電子の相対速度βが増大するので、電子が加速管中で加速されている全過程において、ほぼ常に加速位相を感じるようにするためである。加速キャビティのチャンバの長さは電子の相対速度βの増大に伴って増大する。加速管6の最大加速エネルギーが1.25MeVで、加速管7の最大加速エネルギーが0.75MeVであってよい。

【0031】
以下、図2および図3A、Bを参照して2段の加速管6,7の間の位相差を調整することによって電子ビームバンチエネルギーを変化させる原理を説明する。電子ビーム10が加速管6に入ると、そのエネルギーは15keV(直流高圧キャビティ5から供給された電子ビームの初期エネルギー)である。加速管6を通じた電子ビームの集束及び加速によって、エネルギーが約1.25MeVの電子ビームバンチシーケンスが、加速管6の出口で形成される。その場合、図3Aに示すように、移相器3の位相シフト量は、丁度加速管7におけるマイクロ波場に対して、加速管6のキャビティと加速管7のキャビティの全体が準πモードで動作するように調整される(点線は現実の電場ではなく、直観的に理解しやくするために作成した参照フィールドであることに注意されたい)。電子ビームバンチは、ドリフト段15を通過後も、加速管7内での全過程において依然として加速位相を感じることができる。電子ビームのエネルギーが0.75MeV高くなって、最大エネルギーである2.00MeVとなる。図3Bに示すように、移相器3の位相シフト量を調整して、加速管7の位相を図3Aの場合と逆になるようにすると、電子ビームバンチは、ドリフト段15を通過した後でも、加速管7での全過程において減速位相を感じることができる。電子ビームのエネルギーが0.75MeV低くなって、最小エネルギーである0.5MeVとなる。移相器3の位相シフト量を調整すると、電子ビームバンチは加速管7中を通過する間に、ある時間帯で加速位相を感じ、ある時間帯で減速位相を感じることができる。したがって、加速管7で取得された電子ビームエネルギーは±0.75MeVの範囲内で変化する。これによって、装置の出口において、0.50MeVから2.00MeVまでのエネルギー区間をカバーするエネルギーを有する電子ビームバンチを得ることができる。

【0032】
電子ビームバンチの最終エネルギーは、以下の数式で表される。
E=E1+E2cos(ΔΦ) ・・・ (1)
E=電子ビームバンチの最終エネルギーMeV
E1=第1の加速管の最大加速エネルギーMeV
E2=第2の加速管の最大加速エネルギーMeV
ΔΦ=移相器の相対(最大加速時の位相シフト量に対する)位相シフト量deg

【0033】
本実施形態において、E1=1.25MeV、E2=0.75MeVであるため、最終のエネルギー変化範囲は、0.50MeVから2.00MeVまでとなる。

【0034】
加速器の構成をよりコンパクトにするために、加速キャビティ間に磁気結合(図2を参照)を用いた。結合孔13は、加速キャビティの壁における磁場の比較的強い場所に開口される。図2には、奇数番目のキャビティとその右側に隣接するキャビティとの結合孔のみが示されている。偶数番目のキャビティとその右側に隣接するキャビティとの結合孔は、図示されていないが、横方向に結合孔13の方位となす角度が90°である位置に開口されている。この結合孔は、キャビティ内にダイポールモード(ビームに対して偏向効果が生じる)が発生することを抑制する。ドリフト段15は、加速管6および加速管7のカップリングを妨げ、2つの加速管6、7の間における位相差の自由調整を実現する。カップラ12は、2段の加速管6、7にそれぞれ異なる電力を供給する。加速キャビティは、鼻錐体構造14を含む。この鼻錐体構造14は、通過時間をより長くし、有効シャント抵抗をより大きくする。

【0035】
図4Aは、移相器3が位相シフト量を調整する際、重要なパラメータである、装置の出口における電子ビームバンチの平均エネルギーEおよびピーク電流Iが、相対位相シフト量ΔΦに伴ってどのように変化するかを示している。図4Bは、移相器3が位相シフト量を調整する際、重要なパラメータである、装置の出口における電子ビームバンチの平均エネルギーEおよび二乗平均平方根半径rrmsが、相対位相シフト量ΔΦに伴ってどのように変化するかを示している。図4Aおよび図4Bから、平均エネルギーEの変化は、数式1で表した余弦関数に適合し、他のパラメータ(Iおよびrrms)の変化は安定していることがわかる。これは、実施形態にかかる装置が、エネルギーを連続的に調整可能な、医学撮像の要求を満たした電子ビームバンチを確実に提供していることを示す。

【0036】
装置の出口においてビームスポットを十分に小さくするために、直流高圧銃5から電子ビーム10を入射する際に、負角度の入射を用いるのが好ましい。図5は、負角度の入射について直観的に説明する模式図である。図5を参照すると、電子ビーム10は、入射時の包絡角度が負の値であることを確保しつつ、加速管6内で横方向によりよくフォーカスすることで、装置の出口におけるビームスポットを小さくすることができる。同時に、負角度の入射を用いると、装置の捕捉率を向上させ、出口においてより大きな電流を得ることができる。

【0037】
電子ビームがターゲットに衝突して発生するX線のパワー角度分布は、電子ビームのエネルギーに応じて異なる(高エネルギーの電子ビームが反射ターゲットに衝突すると、パワーが主に電子ビームの進行方向に集中する。一方、低エネルギーの電子ビームが反射ターゲットに衝突すると、パワーが主に電子ビームの進行方向に対して垂直方向に集中する)ため、電子ビームのエネルギーを調整する際に、電子がターゲットに衝突して発生するX線の出力方向を同時に調整すれば、常に最大パワーのX線を出力することができる。実施形態は、ターゲットの構成を新たにデザインすることで、この要求を実現している。

【0038】
以下、最大パワーのX線を出力可能なターゲット構造と原理について詳しく説明する。図6A~Cを参照し、加速管7は、波形管17を介して真空ボックス18に接続されている(システムを真空に封止すると共に、真空ボックス18を一定の角度範囲内で水平に回転させるために、波形管17が用いられる)。ターゲット8は真空ボックス18内に置かれ、真空ボックス18は回転可能なベース20に固定され、真空ボックス18の壁にX線ウィンドウ19が実装されている。ターゲット8の寿命と電子ビームの品質を確保するために、システム全体(加速管7、波形管17、真空ボックス18)は、真空引きされる。システムが動作する際、電子ビーム10は、加速管7により加速された後、波形管17に入り、その中でドリフトする。電子ビーム10は、真空ボックス18に入り、ターゲット8に衝突して、X線21を発生させる。X線21は、真空ボックス18の壁に設けられたX線ウィンドウを通って出力され、下流側の撮像システムによって収集されて利用される。電子ビーム10のエネルギーが比較的低いと(~450keV)、図6Aに示すように、ベース20は、電子ビーム10に対して小さい角度で配置される。その時、X線ウィンドウ19は、最大パワー角度分布近傍のX線を出力する。電子ビーム10のエネルギーが高くなると(~1MeV)、最大パワー角度分布の方向と電子ビーム10の進行方向との角度が小さくなり、図6Aに示すX線ウィンドウの位置ではX線の最大パワーを出力することができなくなる。この時、ベース20を回転してターゲット8およびX線ウィンドウ19を適宜回転させることで、図6Bに示すように、最大パワー角度分布のX線を、再びX線ウィンドウ19を通じて出力することができる。実施形態にかかる電子ビーム10のエネルギー範囲は0.5MeVから2MeVまでであるが、電子ビームのエネルギーがさらに高くなっても(~10MeV)、実施形態にかかるターゲット8の構造は、依然として有効である。この場合、図6Cに示すように、反射ターゲット8を透過ターゲットに代え、且つX線ウィンドウ19を真空ボックス18の後壁に配置すればよい。

【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば、エネルギーを連続的に変化させることが可能な定在波電子線形加速器装置が提供される。加速管の間の位相差を調整することで、電子ビームのエネルギーを連続的に調整した結果、安定なビームスポットが得られる。また、実施形態にかかる加速管は、単一周期構成を用いており、πモードで動作し、加速効率が高い。また、実施形態では、回転可能なターゲット構造を用いており、ターゲットに衝突する電子ビームのエネルギーが変化しても、最大パワー角度分布のX線の出力を確保することができる。

【0040】
本発明の他の実施形態によれば、エネルギーを連続的に変化することが可能な定在波電子線形加速器装置の動作方法が提供される。当該方法は、電子ビームを発生するステップと、第1の加速管で第1のパルスパワー信号を利用して電子ビームを加速する第1の加速ステップと、第1の加速管の下流側に配置された第2の加速管で第2のパルスパワー信号を利用して電子ビームをさらに加速する第2の加速ステップと、第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号との間の位相差を連続的に調整するステップを備える。当該方法によれば、第2の加速管の出力において、エネルギーが連続的に調整された加速電子ビームを生成することができる。

【0041】
具体的に、定在波電子線形加速器装置は、2段の加速管6、7および両者を仲介し、両者の連結を妨げるドリフト段15を含む加速管の組合せと、パワーを2路に分けて2段の加速管にそれぞれ供給する電力分配器2と、加速管7へのパワー供給路に実装された減衰器16及び移相器3を含むパワー制御システムと、回転可能なベース20に固定された真空ボックス18、真空ボックス18内に実装されたターゲット8及びX線ウィンドウ19、加速管7と真空ボックス18を接続する波形管17を含む回転可能なターゲット構造とを備える。2段の加速管6、7は、共通のパルスパワー源1を使用しているが、電力分配器2によって分配されたエネルギーがそれぞれの加速管6、7に入力される。加速管のキャビティは単一周期構成であり、キャビティ間は磁気結合され、πモードで動作する。直流高圧銃5は、電子ビームを負角度の入射方式で加速管の組合せへ入射する。移相器3で2段の加速管の間におけるマイクロ波の位相差を連続的に調整して、電子ビームバンチのエネルギーを連続的に調整する。それによって、装置の出力する電子ビームバンチは、ビームスポットの二乗平均平方根半径が小さく、医学撮像の要求を満たすものになる。ビームバンチのエネルギーの調整範囲は、0.5MeVから2MeVまでであり、これは医学撮像に適合する。マイクロ波パワー9に対する減衰器16の減衰量を調整することによってエネルギーの変化範囲を変化させてもよく、移相器3の位相シフト量の大きさを制限することによってエネルギーの調整範囲を制限してもよい。同時に、パルスパワー源1のパワーを向上させることによってエネルギーの調整範囲の上限を増大させてもよいので、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー範囲の電子ビームを発生することに限定することなく、エネルギーのレベルがより高い電子ビームの生成も可能である。回転可能なターゲット構造を導入し、異なるエネルギーの電子ビームバンチがターゲットに衝突する際、いつでも最大パワーのX線を出力するようにできる。ここで、回転可能なターゲット構造は、0.5MeVから2MeVまでのエネルギー範囲の電子ビームがターゲットに衝突する場合のみに限定されず、ターゲットを代えて高エネルギー電子ビームがターゲットに衝突する場合に応用してもよい。

【0042】
実施形態によれば、2段の加速管のキャビティ間において、定在波線形加速器が常用するサイド結合ではなく、磁気結合を用いて、加速管の横方向のサイズを小さくしている。また、加速管は、単一周期構成を用い、結合キャビティを取り除いたので、キャビティの壁が厚くなり、キャビティ本体の加工が容易である。また、2段の加速管は、いずれもπモードで動作しているため、加速効率が最高であり、低エネルギーの場合に適用されるため、キャビティの数が少なく、モードの間隔が十分に大きく、加速システムの動作状態の安定を確保することができ、かつ加速器の縦方向の寸法がコンパクトになる。また、加速管は、RF交替位相集束技術を用いており、加速管におけるマイクロ波場を利用して、電子ビームバンチに対して横方向に自己フォーカスを行い、加速器の出口においてビームスポットが十分小さく(二乗平均平方根半径が、例えば0.5mm)、高い撮像品質を確保すると共に、フォーカスコイルを省略できるので加速管の横方向のサイズをさらに小さくすることができる。

【0043】
また、装置の出力するX線のパワーと品質をさらに向上させるために、実施形態では、ターゲット構造を新たにデザインし、波形管と回転可能なベースを用いて、ターゲットの回転メカニズムを導入することによって、電子ビームのエネルギーが変化しても常に最大パワーのX線を出力することができる。

【0044】
上述した実施形態において、パルスパワー信号は、単一のパルスパワー源1によって供給され、電力分配器2によって第1のパルスパワー信号と第2のパルスパワー信号に分割されて、それぞれ加速管6、7に供給されている。他の実施形態において、パルスパワー信号は、2つのパルスパワー源によって加速管6、7のそれぞれに供給されてもよい。

【0045】
また、上述した実施形態において、減衰器16および移相器3は、第2のパルスパワー信号の経路に配置されている。他の実施形態において、それらは、第1のパルスパワー信号の経路に配置されてもよく、又は、第1及び第2のパルスパワー信号の双方の経路に配置されてもよい。

【0046】
また、上述した実施形態において、加速された電子ビームがターゲットに衝突してX線を発生する。他の実施形態において、電子ビームをターゲットに衝突させることなく、所定のエネルギーの電子ビームをそのまま用いることも可能である。

【0047】
また、上述した実施形態において、直流高圧電子銃を電子ビーム源として使用したが、異なる適用環境及びシーンに応じて、他の電子銃を用いて電子ビームを発生させることは当業者にとって自明である。

【0048】
以上、詳細な説明は、ブロック図、フローチャット及び/又は例を使用することによって、定在波電子線形加速器に係る複数の実施形態を説明した。このようなブロック図、フローチャット及び/又は例が、1つまたは複数の機能及び/又は操作を含む場合、このようなブロック図、フローチャットまたは例における各機能及び/又は操作が、各種のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組合せによって、個別及び/又は共同で実現できることは当業者の知るところである。実施形態において、本発明の実施形態の主題の幾つかの部分は、カスタム集積回路(ASIC)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはその他の集積フォーマットで実現できる。しかしながら、当業者にとって、ここに開示した実施形態の一部が、全体または部分的に集積回路において同様に実現可能であり、例えば、1台または複数台のコンピュータで実行される1つまたは複数のコンピュータプログラム(例えば、1台または複数台のコンピュータシステム上で実行される1つまたは複数のプログラム)のように実現されてもよいし、1つまたは複数のプロセッサで実行される1つまたは複数のプログラム(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサで実行される1つまたは複数のプログラム)のように実現されてもよく、ファームウェアのように実現されても良いし、または、実施形態の任意の組合せとして実現してもよいことは当業者の知るところである。また、当業者は、本開示に基づいて、回路の設計及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアへの書き込みの能力を備えることになる。また、当業者は、本開示の主題のメカニズムが、多種形式のプログラム製品として配布できると共に、実際に配布される信号記憶媒体の具体的なタイプが何であっても、本開示の主題の例示的な実施形態は全て適用できることを認識する。信号記憶媒体は、例えば、ソフトディスク、ハートディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録可能な記録型媒体、及び例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバ、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)の伝送型媒体を含むが、これらに限定されない。

【0049】
以上、本発明の典型的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、当業者は、使用された用語が、説明のための例示的なもので、本発明を限定するものではないことを理解する。また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の思想および態様から逸脱することなく、種々の形態で具体的に実施できるので、実施形態は、詳細な説明に記載されたものに限定されない。あらゆる変更および改良が、特許請求の範囲およびその均等の範囲でカバーされることは言うまでもない。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4A】
4
【図4B】
5
【図5】
6
【図6A】
7
【図6B】
8
【図6C】
9