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明細書 :パルス出力を制御するためのデバイス及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2015-505236 (P2015-505236A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成27年2月16日(2015.2.16)
特許番号 特許第5951042号 (P5951042)
登録日 平成28年6月17日(2016.6.17)
発行日 平成28年7月13日(2016.7.13)
発明の名称または考案の名称 パルス出力を制御するためのデバイス及び方法
国際特許分類 H02M   3/155       (2006.01)
FI H02M 3/155 H
H02M 3/155 U
請求項の数または発明の数 16
全頁数 9
出願番号 特願2014-549299 (P2014-549299)
出願日 平成24年12月28日(2012.12.28)
国際出願番号 PCT/CN2012/001752
国際公開番号 WO2013/097298
国際公開日 平成25年7月4日(2013.7.4)
優先権出願番号 201110457646.9
優先日 平成23年12月31日(2011.12.31)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成26年6月26日(2014.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称】Tsinghua University
発明者または考案者 【氏名】劉 燿紅
【氏名】唐 伝祥
【氏名】▲閻▼ 忻水
【氏名】賈 ▲韋▼
【氏名】高 建軍
【氏名】劉 晋升
【氏名】印 ▲韋▼
【氏名】劉 西穎
【氏名】史 浩
個別代理人の代理人 【識別番号】110000785、【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
審査官 【審査官】尾家 英樹
参考文献・文献 特開2008-011595(JP,A)
特開平05-055879(JP,A)
特開平09-047032(JP,A)
特開2004-364452(JP,A)
調査した分野 H02M 3/00- 3/44
特許請求の範囲 【請求項1】
放電時に直列に接続される複数の放電モジュールと、
前記複数の放電モジュールに対応し、対応する放電モジュールを導通するように、それぞれが該対応する放電モジュールにトリガ信号を提供する複数のトリガと、
前記複数の放電モジュールを順次に遅延して導通するように、トリガ信号を制御するための制御ロジックモジュールと、
電圧を出力するための出力端と、を備えるパルス変調電源であって、
前記制御ロジックモジュールは、前記パルス変調電源のパルス出力のパルストップが所望の形状となるように、前記複数の放電モジュールを順次導通する際の遅延時間を制御して前記パルス出力のパルス前縁の傾きを調節するように構成された、
ことを特徴とするパルス変調電源
【請求項2】
前記パルス変調電源は、マルクス発生器に基づくパルス変調電源である請求項1に記載のパルス変調電源。
【請求項3】
前記出力端に階段状の出力前縁が発生する請求項2に記載のパルス変調電源。
【請求項4】
前記階段状の出力前縁は、電流伝送ネットワークを通してスムーズになる請求項3に記載のパルス変調電源。
【請求項5】
前記放電モジュールは、IGBTモジュールである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス変調電源。
【請求項6】
パルストップにトップ下降が現れる時に、前記遅延を増やす請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス変調電源。
【請求項7】
パルストップにトップ上昇が現れる時に、前記遅延を減らす請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のパルス変調電源。
【請求項8】
前記制御ロジックモジュールは、
前記パルストップにトップ下降が現れる場合、前記パルス前縁の発生期間中において前記遅延時間を増やして前記パルス前縁の傾きを小さくするとともに、
前記パルストップにトップ上昇が現れる場合、前記パルス前縁の発生期間中において前記遅延時間を減らして前記パルス前縁の傾きを大きくするように構成された、
ことを特徴とする、請求項1記載のパルス変調電源
【請求項9】
放電時に直列に接続される複数の放電モジュールを備えるパルス変調電源において、パルス出力を制御する方法であって、
前記複数の放電モジュールを順次に導通するように、前記複数の放電モジュールに順次に遅延したトリガ信号を提供するステップと、
放電電圧を出力するステップと、を含み、
前記トリガ信号を提供するステップは、前記パルス変調電源のパルス出力のパルストップが所望の形状となるように、前記複数の放電モジュールを順次導通する際の遅延時間を制御して前記パルス出力のパルス前縁の傾きを調節するように構成された、
ことを特徴とするパルス出力を制御する方法。
【請求項10】
前記パルス変調電源は、マルクス発生器に基づくパルス変調電源である請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記出力端に階段状の出力前縁が発生する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記階段状の出力前縁をスムーズにさせるステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放電モジュールは、IGBTモジュールである請求項乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
パルストップにトップ下降が現れる時に、前記遅延を増やす請求項乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
パルストップにトップ上昇が現れる時に、前記遅延を減らす請求項乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記トリガ信号を提供するステップは、
前記パルストップにトップ下降が現れる場合、前記パルス前縁の発生期間中において前記遅延時間を増やして前記パルス前縁の傾きを小さくするとともに、
前記パルストップにトップ上昇が現れる場合、前記パルス前縁の発生期間中において前記遅延時間を減らして前記パルス前縁の傾きを大きくするように構成された、
ことを特徴とする、請求項9記載の方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にパルス出力の制御に関し、特に、パルス出力前縁の制御に関する。具体的に、本発明はマルクス発生器の原理に基づくソリッドステートパルス変調電源において、出力パルス前縁を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
マルクス発生器は、パルス変調電源を実現する方式であり、コンデンサを並列に充電してから直列に放電する装置である。マルクス発生器はナノ秒レベルの狭パルスと高いパルス周波数を実現できる。ソリッドステートパルス変調電源は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のようなソリッドステートスイッチによって、パルス変調を行う電源である。現在では、直線加速器に用いられるマルクス発生器の原理に基づくソリッドステートパルス変調電源は、一般的に、各IGBTを同時にトリガリングする動作方式を採用している。
【0003】
マグネトロンを負荷とする電源システムにおいて、マグネトロン自身のインピーダンス特性によって、特定のパルス電流で動作させるために、パルス前縁の傾きが特定要求を満足する必要がある。 図1 は、パルス前縁の傾きが要求を満足する場合のパルス電流の波形を示す概略図である。
図2は、パルス前縁が急すぎる場合のパルス電流の波形を示す概略図であり、同図に示すように、パルストップに明らかなトップ下降現象を呈する。図3は、パルス前縁が緩やかすぎる場合のパルス電流の波形を示す概略図であり、同図に示すように、パルストップに明らかなトップ上昇現象を呈する。そして、パルス電流の振幅が変化すると、パルス電流の波形のトップをフラットに維持できるパルス前縁の傾きも変化し、振幅が大きいほど、必要となる前縁の傾きも急になる。
【0004】
パルストップがフラットになれない問題を解決するために、現在解決方案として、パルス電源の出力端に一つのインダクタを直列に接続するのは一般的である。パルス電流の振幅を調整する必要がある場合に、インダクタのインダクタンスを調整することで、インピーダンス整合の目的を達成する。この方法は、パルス電流の振幅を頻繁に調整する必要がある場合、インダクタンスを調整する作業が複雑であり、特にデュアルエネルギー加速器製品用のソリッドステートパルス変調電源において、パルス電流の振幅がパルス周期毎に交互に変化するので、インダクタンスを調整する方法はこれらの製品に実現できない欠点がある。
【0005】
そのため、マグネトロンの負荷にさらによく適応するために、出力パルス前縁を比較的に便利に制御できることが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は順次に遅延するトリガ信号により、パルス出力を制御するためのデバイス及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、放電時に直列に接続される複数の放電モジュールと、前記複数の放電モジュールに対応し、対応する放電モジュールを導通するように、それぞれが該対応する放電モジュールにトリガ信号を提供する複数のトリガと、前記複数の放電モジュールを順次に遅延して導通するように、トリガ信号を制御するための制御ロジックモジュールと、電圧を出力するための出力端と、を備え、前記制御ロジックモジュールは、前記パルス変調電源のパルス出力のパルストップが所望の形状となるように、前記複数の放電モジュールを順次導通する際の遅延時間を制御して前記パルス出力のパルス前縁の傾きを調節するように構成された、ことを特徴とするパルス変調電源を提供する。
【0008】
本発明の他の態様によれば、放電時に直列に接続される複数の放電モジュールを含むパルス変調電源において、パルス出力を制御する方法であって、前記複数の放電モジュールを順次に導通するように、前記複数の放電モジュールに順次に遅延するトリガ信号を提供するステップと、放電電圧を出力するステップと、を含み、前記トリガ信号を提供するステップは、前記パルス変調電源のパルス出力のパルストップが所望の形状となるように、前記複数の放電モジュールを順次導通する際の遅延時間を制御して前記パルス出力のパルス前縁の傾きを調節するように構成された、ことを特徴とする、パルス出力を制御する方法を提供する。

【0009】
本発明の好適な実施例において、マルクス発生器の原理に基づくソリッドステートパルス変調電源に、IGBTモジュールのオン遅延時間を調整することで、良好なパルス出力の波形が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パルス電源の出力端に一つのインダクタを直列に接続しなくても、パルス電流の振幅を調整することができるため、例えば、マグネトロンの負荷にさらによく適応するように、出力パルスの前縁及びパルストップがフラットになれないことに対して、より便利に制御及び調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明をより明瞭に理解するために、添付の図面を参照して以下の明細書を説明する。
【図1】パルス前縁の傾きが要求を満足する場合のパルス電流の波形を示す概略図である。
【図2】パルス前縁が急すぎる場合のパルス電流の波形を示す概略図である。
【図3】パルス前縁が緩やかすぎる場合のパルス電流の波形を示す概略図である。
【図4】現在よく用いられるマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源の原理を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施例によるマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源を示す概略図である。
【図6】前縁制御のないソリッドステートパルス変調電源のトリガリングとパルス出力の動作タイミングを示す概略図である。
【図7】前縁制御ロジックを増やしたソリッドステートパルス変調電源のトリガリングとパルス出力の動作タイミングを示す概略図である。
【図8】図7のパルス前縁の細部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において説明される図1~8、及び該出願書類における本発明の原理を説明するための各実施例は、説明するためであり、いずれかの形態により本発明の範囲を定めることに理解されるべきではない。当業者は、いずれの適当な形態のデバイスまたはシステムによって、本発明の原理を実現できることを理解すべきである。

【0013】
図4は、現在よく用いられる、マルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源の原理を示す概略図である。同図において、PSはハイパワー直流安定化電源であり、ソリッドステートパルス変調電源の給電電源であり、電源電圧がVinである。Ml~Mmはm個のIGBTモジュールユニットである。Trig(l)~Trig(m)はIGBTモジュールグループに対応するトリガ信号である。Voutはソリッドステートパルス変調電源の出力端の電圧である。

【0014】
二回トリガリングする間の期間に、PSは充電インダクタL及びダイオードによりIGBTモジュールユニットのコンデンサCに充電し、並列に充電されるコンデンサアレイを形成し、且つ次のトリガリングする前に、コンデンサCの電圧をVinに維持させる。トリガリングすると、各IGBTモジュールが導通され、モジュールにおけるコンデンサCは各IGBTモジュールユニットにより一つの直列に接続される放電回路を形成し、このとき、ソリッドステートパルス変調電源の出力電圧Vout=n*Vinであり、ここで、nは現時点に導通されているIGBTモジュールの数である。

【0015】
図5は、本発明の一実施例によるマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源を示す概略図である。図5に示すソリッドステートパルス変調電源は、例えば図4に示すような典型的なマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源であり、ここで、m個のトリガ1...トリガn、トリガn+1...トリガmはソリッドステートパルス変調電源にトリガ信号Trig(l)...Trig(n)、Trig(n+l)...Trig(m)を提供する。トリガ1~トリガmは、制御ロジックモジュールにより制御される。制御ロジックモジュールは、ソリッドステートパルス変調電源におけるm個のIGBTモジュールユニットを順次に遅延して導通するように、トリガ1~mにより発生するトリガ信号Trig(l)~Trig(m)を制御する。

【0016】
トリガリングすると、マルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源における各IGBTモジュールMl~Mmは順次に遅延するトリガ信号Trig(l)~Trig(m)を受信して、順次に遅延して導通される。このように、ソリッドステートパルス変調電源の出力端に、一つの階段状の出力前縁のVoutが発生する。電流伝送ネットワークのフィルタリング作用によって、マグネトロンの負荷端(図示せず)にスムーズな出力Vout'が得られる。

【0017】
制御ロジックモジュールは、トリガ1~トリガmがそれぞれ遅延しないTrig(l)、…Δt(n-l)遅延したTrig(n)、Δt(n)遅延したTrig(n+1)...Δt(m-l)遅延したTrig(m)を出力するように、トリガ1~トリガmを制御する。制御ロジックモジュールは、特定要求を満足するパルス前縁の傾きが得られるように、遅延時間Δtl~Δt(m-l)のそれぞれの長さを制御する。本発明の一好適な実施例において、パルス前縁が急すぎる場合に、パルストップに図2に示すような明らかなトップ下降現象が現れる。このとき、制御ロジックモジュールは、傾きが小さくなるパルス出力のパルス前縁を得るように、遅延時間Δtl~Δt(m-l)を増やす。本発明の他の好適な実施例において、パルス前縁が緩やかすぎる場合に、パルストップに図3に示すような明らかなトップ上昇現象が現れる。このとき、制御ロジックモジュールは、傾きが大きくなるパルス出力のパルス前縁を得るように、遅延時間Δtl~Δt(m-l)を減らす。

【0018】
図5は、本発明によるソリッドステートパルス変調電源の一例を説明したが、図5に対しさまざまな変更が可能である。図5に示すマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源は、ソリッドステートパルス変調電源を実現する一つの方式だけである。実際には、本発明はいかなる直列に接続され放電するソリッドステートパルス変調電源に適用できる。なお、ソリッドステートパルス変調電源におけるソリッドステートスイッチはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)型のソリッドステートスイッチに限定されなく、放電時に直列に接続され放電するモジュールとして用いられるいかなる素子やデバイスでもよい。当業者は、本発明の明細書を見て、本発明がマルクス発生器に基づくソリッドステートパルス変調電源におけるパルス前縁の傾きを調整することに用いられることだけでなく、いかなる直列に接続され放電するソリッドステートパルス変調電源におけるパルストップがフラットになれない問題を解消することもできることがわかる。

【0019】
図6は、前縁制御のないソリッドステートパルス変調電源のトリガリングとパルス出力の動作タイミングを示す概略図である。この動作モードにおいて、トリガ信号Trig(l)~Trig(m)の間に遅延がなく、各IGBTモジュールが同時にトリガリングされて、同時に導通される。出力電圧の上昇時間は単にIGBTモジュールのパラメータ及び出力回路のパラメータに関係する。

【0020】
図7は、前縁制御ロジックを増やしたソリッドステートパルス変調電源のトリガリングとパルス出力の動作タイミングを示す概略図であり、図8は、図7のパルス前縁の細部を示す概略図である。

【0021】
図8に示すように、各IGBTモジュールのトリガ信号Trig (n+l)... Trig (m)が同時に導通されずに、順次に遅延して導通されることで、電源の出力端に一つの階段状の出力前縁のVoutが発生し、電流伝送ネットワークのフィルタリング作用によって、マグネトロンの負荷端(図示せず)にスムーズな出力Vout'が得られる。各IGBTモジュールがトリガリングされる遅延時間Δtl~Δt(m-l)を調整することで、Vout'の前縁の傾きを変更することができる。

【0022】
上記から分かるように、本発明により提供されるトリガ信号を順次に遅延することでパルス出力を制御するためのデバイス及び方法によれば、パルス電源の出力端にインダクタを直列に接続することを避けることから、インダクタを直列に接続することによる問題を避けることができる。

【0023】
本発明の基本的な構造を示すために、いくつかの構造を説明したが、当業者は、本発明の特許請求の範囲に記載の範囲内におけるほかの変更も可能であることを理解すべきである。本発明は現在最も実用的で好適な実施例に基づいて説明したが、依然として、本発明は開示された実施例に限定されなく、反して、特許請求の範囲の要旨と範囲に含まれる種々の修正や等価的な技術案を含むと意味することを理解すべきである。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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