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明細書 :キナーゼ阻害剤及び関連する疾患の処置方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2014-532630 (P2014-532630A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成26年12月8日(2014.12.8)
特許番号 特許第5909558号 (P5909558)
登録日 平成28年4月1日(2016.4.1)
発行日 平成28年4月26日(2016.4.26)
発明の名称または考案の名称 キナーゼ阻害剤及び関連する疾患の処置方法
国際特許分類 C07D 239/48        (2006.01)
A61K  31/505       (2006.01)
A61P  37/02        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P   7/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI C07D 239/48 CSP
A61K 31/505
A61P 37/02
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 7/02
A61P 43/00 111
請求項の数または発明の数 10
全頁数 52
出願番号 特願2014-537452 (P2014-537452)
出願日 平成24年10月25日(2012.10.25)
国際出願番号 PCT/CN2012/001432
国際公開番号 WO2013/060098
国際公開日 平成25年5月2日(2013.5.2)
優先権出願番号 201110327240.9
優先日 平成23年10月25日(2011.10.25)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成27年3月20日(2015.3.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】514104645
【氏名又は名称】北京大学深▲ヂェン▼研究生院
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY SHENZHEN GRADUATE SCHOOL
【識別番号】515245158
【氏名又は名称】ベイジン レシプロカファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
発明者または考案者 【氏名】パン,ジェンイン
【氏名】リー,シータオ
個別代理人の代理人 【識別番号】230104019、【弁護士】、【氏名又は名称】大野 聖二
【識別番号】100105991、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 玲子
【識別番号】100119183、【弁理士】、【氏名又は名称】松任谷 優子
【識別番号】100114465、【弁理士】、【氏名又は名称】北野 健
【識別番号】100149076、【弁理士】、【氏名又は名称】梅田 慎介
審査官 【審査官】黒川 美陶
参考文献・文献 特表2011-526299(JP,A)
国際公開第2007/022380(WO,A1)
国際公開第2008/008234(WO,A1)
特表2008-533166(JP,A)
調査した分野 C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP0005909558B2_000043t.gif
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩{式中、Wは、H、C1-6アルキル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここでLは結合、C1-3アルキレンまたはC2-3アルケニレンであり;
3は、C3-8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、それぞれハロゲン、アミノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシル、ハロ-C1-6アルキルからなる群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく
nは0または1の整数であり;
Xは、H、ハロゲン、及びC1-6アルキルから選択され;
1及びR2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してH、C(O)及びS(O)2から選択される;
1及びL2は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1-3アルキルで置換されていてもよい2-3アルケニル、及びC1-3アルキル-NHC(O)-C2-3アルケニルから選択される;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない}。
【請求項2】
式中、Wは、H、エチル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここでLは結合またはビニレンであり;
3は、F、Cl、アミノ、メトキシル及びCF3から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいシクロプロピル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリルまたはベンゾ-[d][1,3]-ジオキソール基であり;
nは1の整数である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
式中、Xは、H、F、Cl、及びメチルから選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
式中、R1及びR2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してH、C(O)及びS(O)2から選択され;
1及びL2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC2-3アルケニル、及びメチル-NHC(O)-エテニルから選択され;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式中、Wは、H、エチル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここでLは結合またはビニレンであり;
3はF、Cl、アミノ、メトキシル及びCF3から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいシクロプロピル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリルまたはベンゾ-[d][1,3]-ジオキソール基であり;
nは1の整数であり;
Xは、H、F、Cl、及びメチルから選択され;
1及びR2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してH、C(O)及びS(O)2から選択され;
1及びL2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC2-3アルケニル、及びメチル-NHC(O)-エテニルから選択され;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
以下のもの:
【化2】
JP0005909558B2_000044t.gif
【化3】
JP0005909558B2_000045t.gif
【化4】
JP0005909558B2_000046t.gif
【化5】
JP0005909558B2_000047t.gif
【化6】
JP0005909558B2_000048t.gif
【化7】
JP0005909558B2_000049t.gif
【化8】
JP0005909558B2_000050t.gif
から選択される化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項8】
以下の疾病または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患の処置用薬剤の製造における、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物または請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
以下の疾患または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患の処置法で使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物または請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物または請求項7に記載の医薬組成物の必要な非ヒト被験者に投与することを含む、以下の疾患または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患の処置方
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、(アミノフェニルアミノ)ピリミジルベンズアミドの化合物の分子構造及びその合成法、並びにキナーゼを阻害してB-細胞関連疾患を処置することにおける前記化合物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
キナーゼの作用機序は、高エネルギードナー分子(たとえばATP)から特定の分子へリン酸基を移動させることであり、これはリン酸化反応と呼ばれるプロセスである。プロテインキナーゼは、細胞内のタンパク質に関連するシグナル伝達及び他の作用を制御及び調節するために、リン酸化反応によって特定のタンパク質の活性を変える。細胞シグナル伝達におけるプロテインキナーゼの重要性のため、特定のキナーゼの幾つかの小分子化合物の選択性は、細胞シグナル伝達プロセスをさらに理解するのに有用であろう。その一方で、小分子化合物はキナーゼ活性を調節することによって細胞の機能を制御し、これによってプロテインキナーゼは、臨床疾患の処置における優れた薬剤標的になる。
【0003】
ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton's tyrosine kinase:Btk)、非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリーの一員は、(Tリンパ球及び形質細胞を除く)造血細胞におけるシグナル伝達で重要な役割を果たし、特にB細胞では、自己免疫疾患及び炎症性疾患の発病機序で重要な役割を果たす。Btkは、関節リウマチ、リンパ腫及び白血病などの多くの深刻な難病で良好な臨床的効果を示してきた。
【0004】
Btkは、B-細胞発生、分化、増殖、活性化及び生存のプロセスで重要な役割を果たす。B細胞におけるBtkの効果は、B-細胞受容体(B-cell receptor:BCR)シグナル伝達経路を制御することにより達成される。BtkはBCRの下流に隣接して位置している。Btkは、BCR刺激の際にシグナルを伝え、一連のシグナル伝達の後、最終的に細胞間カルシウム動員及びプロテインキナーゼC活性化を導く。X-連鎖無ガンマグロブリン血症(ブルトン症候群、XLAともいう)はまれな遺伝性疾患である。これらのXLA患者は成熟B細胞を産生できない。正常なB細胞は、(免疫グロブリンと呼ばれる)抗体を産生することによって外部感染に抵抗する。B細胞も抗体も欠如しているため、XLA患者は深刻、それも致命的な感染症に罹りやすい。さらに研究者らは、B-細胞発生を阻害する直接的な理由が、Btkの遺伝子突然変異であることを知見した。従って、Btkは正常B細胞の発生及び作用において非常に重要な役割を果たしていることが証明されている。
【0005】
Btkは、B-細胞に関連する癌、特にB-細胞リンパ腫及び白血病において、注目すべき薬剤標的になる。
【0006】
細胞は、成長及び増殖するのにBCRシグナルが必要である。BtkはBCRシグナル伝達経路で必要不可欠な重要な一員であるので、Btk阻害剤は、BCRシグナル伝達を遮断し、且つ癌細胞のアポトーシスを誘導することができる。現在、慢性リンパ性白血病(Cll)及び小リンパ球性リンパ腫(Sll):PCI-32765(臨床試験フェーズIII)及びAVL-292(臨床試験フェーズI)の臨床処置に関して米国及びヨーロッパで二種類のBtk阻害剤がある(Hermanら(2011年)、Blood 117(23):6287-96頁を参照されたい:非特許文献1)。Btkは急性リンパ芽球性白血病にも関連している。急性リンパ芽球性白血病は子供にもっとも多い癌であり、大人では予後不良である。遺伝子解析から、BTK発現欠乏症は、すべての種類の白血病で知見された。欠陥Btkは、白血病細胞をアポトーシスから守る。
【0007】
Btkは、自己免疫疾患の治療標的でもある。関節リウマチは慢性の自己免疫疾患である。Btkは、B細胞におけるBCRシグナル伝達及び骨髄細胞におけるFC-γシグナル伝達の重要な成分である。Btk阻害剤は、自己免疫疾患の二つの主な成分、B細胞により産生される病原性自己抗体と、骨髄細胞により産生される炎症性サイトカインを下げると予測される。細胞実験では、Btk阻害剤は、自己抗体と炎症性サイトカインを効果的に下げうることが判明している。コラーゲン誘導関節炎のマウスでは、Btk阻害剤は、自己抗体のin vivoレベルを下げ、疾患を効果的に制御した。これらの結果は、B-細胞または骨髄細胞により活発化した疾患の進行の間に、Btk機能の新しい理解を提供し、関節リウマチの処置においてBtkを標的化する納得できる理由を提供する。(LA Honigbergら(2010年)、Proc Natl Acad Sci USA 107:29:13075-80頁(非特許文献2)及びJA Di Paoloら(2011年)、Nat Chem Biol 7(1):41-50頁(非特許文献3)を参照されたい)。
【0008】
炎症性疾患におけるBtkの役割は、ラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)モデルで論証されてきた。RBL-2H3は、マスト細胞炎症性疾患研究の一般的なモデルである。マスト細胞は、好塩基性顆粒が多く、免疫グロブリンE(IgE)-媒介アレルギー反応で主要な役割を果たす。低分子干渉RNA(siRNA)、及びLFM-A13(有効なBtk阻害剤)は、Btk活性を阻害することにより、マスト細胞により誘導された炎症反応を抑制することができる。siRNA及びLFM-A13で処理されたマスト細胞では、炎症誘発性メディエーター(pro-inflammatory mediator)、ヒスタミンの放出が20~25%抑制される。
【0009】
Btkは、異種免疫疾患及び血栓塞栓性疾患における治療標的として使用されることも文献で報告されている。
【0010】
従って、本発明の開示は、自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患を処置するための新規化合物を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【0011】

【非特許文献1】SE Hermanら(2011年)、Blood 117 (23):6287-96頁
【非特許文献2】LA Honigbergら(2010年)、Proc Natl Acad Sci USA 107:(29)13075-80頁
【非特許文献3】JA Di Paoloら(2011年)、Nat Chem Biol 7(1):41-50頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一つの側面において、式(I):
【0013】
【化1】
JP0005909558B2_000002t.gif
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、式中、
【0014】
Wは、H、C1-6アルキル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここでLは結合、C1-3アルキレンまたはC2-3アルケニレンであり;
L3は、C3-8シクロアルキル、たとえば
【0015】
【化2】
JP0005909558B2_000003t.gif
アリール、たとえばフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、フルオレニル、及びインデニル、またはヘテロアリール、たとえば
【0016】
【化3】
JP0005909558B2_000004t.gif
であり、
【0017】
前記C3-8シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、ハロゲン、たとえばF及びCl、アミノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシル、ハロ-C1-6アルキル、たとえばパーハロ-C1-6アルキル、たとえばCF3からなる群から選択される、1、2または3個の置換基で場合により置換される;
nは、0または1の整数であり;
Xは、H、ハロゲン、たとえばF及びCl、及びC1-6アルキル、たとえばメチルから選択され;
R1及びR2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してH、C(O)及びS(O)2から選択される;
L1及びL2は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、場合によりC1-3アルキルで置換されたC2-3アルケニル、及びC1-3アルキル-NHC(O)-C2-3アルケニルから選択され;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない。
【0018】
好ましい態様では、Wは、H、エチル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここで、
Lは結合またはビニレンであり;
L3は、F、Cl、アミノ、メトキシル及びCF3から選択される1または2個の置換基で場合により置換されるシクロプロピル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリルまたはベンゾ[d][1,3]ジオキソール基であり;
nは1の整数である。
【0019】
別の好ましい態様では、Xは、H、F、Cl、及びメチルから選択される。
【0020】
別の好ましい態様では、R1及びR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C(O)及びS(O)2から選択され;
L1及びL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してC2-3アルケニル、及びメチル-NHC(O)-エテニルから選択される;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない。
【0021】
別の好ましい態様では、Wは、H、エチル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択され、ここで、
Lは結合またはビニレンであり;
L3は、F、Cl、アミノ、メトキシル及びCF3から選択される1または2個の置換基で場合により置換されるシクロプロピル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリルまたはベンゾール[d][1,3]ジオキソール基であり;
nは1の整数であり;
Xは、H、F、Cl、及びメチルから選択され;
R1及びR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立してH、C(O)及びS(O)2から選択され;
L1及びL2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC2-3アルケニル、及びメチル-NHC(O)-エテニルから選択され;
ただし、R1がHであるとき、L1は存在しない;及びR2がHであるとき、L2は存在しない。
【0022】
本開示の別の側面では、化合物は以下のものから選択される。
【0023】
【化4】
JP0005909558B2_000005t.gif

【0024】
【化5】
JP0005909558B2_000006t.gif

【0025】
【化6】
JP0005909558B2_000007t.gif

【0026】
【化7】
JP0005909558B2_000008t.gif

【0027】
【化8】
JP0005909558B2_000009t.gif

【0028】
本開示の別の側面では、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0029】
本開示の別の側面では、以下の疾患または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患を処置する薬剤の製造における本発明の化合物または組成物の使用を提供する。
【0030】
本開示の別の側面では、以下の疾患または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患の処置法で使用される本発明の化合物または組成物を提供する。
【0031】
本開示の別の側面では、以下の疾患または症状:自己免疫疾患、異種免疫疾患、炎症性疾患、癌または血栓塞栓性疾患の処置法を提供し、前記方法は、ヒトなどの哺乳類などの、処置の必要な被験者に本発明の化合物または組成物を投与することを含む。
【0032】
態様の全てにおいて、置換基は、列記した選択肢のサブセットから選択することができる。たとえば態様によっては、Wは、H、エチル、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択される。さらに態様によっては、Wは、-(NH-CO)n-L-L3、-(CO-NH)n-L-L3、及び-(NH-CO)n-NH-L-L3から選択される。さらに態様によっては、Wは、-(NH-CO)n-L-L3から選択される。
【0033】
本明細書中に記載される方法及び組成物の他の目的、特徴及び好都合な点は、以下の詳細な記載から明らかになるだろう。しかしながら、本開示から本開示の趣旨及び範囲内で様々な変形及び変更が当業者には明らかであるから、具体的な態様を示しているけれど、詳細な記載及び特定の実施例は、説明のためだけに提供されていることを理解すべきである。本明細書で使用される見出しは、構成的な目的のためだけであって、記載された主題を限定するものではない。特許、特許出願、文献、書籍、マニュアル及び論文に限定されないが、これらを含む、本出願中に引用されたすべての資料または資料の一部は、すべての目的に関してその全体が参照として含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
他に記載しない限り、本明細書中で使用するすべての技術的及び科学的用語は、請求された事柄が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味をもつ。

【0035】
標準的な化学用語の定義は、Carey及びSundbergの"ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th ED."、A巻(2000年)及びB巻(2001年)、Plenum Press、ニューヨークなどの参照文献に知見することができる。

【0036】
「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子をもつアルキル基を指し、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル、ならびにそのすべての可能な異性体、たとえばn-プロピル及びイソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルなどがある。「C1-6アルキル」としては、この中に含まれるすべてのサブレンジ、たとえばC1-2アルキル、C1-3アルキル、C1-4アルキル、C1-5アルキル、C2-5アルキル、C3-5アルキル、C4-5アルキル、C3-4アルキル、C3-5アルキル及びC4-5アルキルが挙げられる。

【0037】
「C1-3アルキレン」としては、メチレン、エチリデン、プロピリデン及びイソプロピリデンが挙げられる。

【0038】
「C2-3アルケニル」としては、エテニル(-CH=CH2)、プロペニル(-CH=CHCH3)及びイソプロペニル(-C(CH3)=CH2)が挙げられる。

【0039】
「C2-3アルケニレン」としては、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH=CHCH2-)及びイソプロペニレン(-C(CH3)=CH-)が挙げられる。

【0040】
「芳香族基」なる用語は、4n+2π個の電子(ここでnは整数である)を含む非局在化π-電子系をもつ平面環を指す。芳香族基は5、6、7、8、9、または10個以上の原子から形成されえる。芳香族基は場合により置換されていてもよい。芳香族基としては、「アリール」(環を形成している原子のそれぞれは炭素原子である)、及び「ヘテロアリール」(環を形成している原子は(単数または複数の)炭素原子及び、酸素、硫黄及び窒素から選択される(単数または複数の)ヘテロ原子を含む)が挙げられる。「アリール」及び「ヘテロアリール」としては、単環式または融合環の多環式(即ち、環原子の隣接対を共有する環)基が挙げられる。

【0041】
アリール基の例としては、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニル及びインデニルが挙げられるが、これらに限定されない。

【0042】
ヘテロアリール基の例としては、以下のものなどが挙げられる。

【0043】
【化9】
JP0005909558B2_000010t.gif
「C3-8シクロアルキル」は、3~8個の環を形成する炭素をもつ、炭素と水素のみを含む、非芳香族単環式または多環式基を指し、飽和していても、部分不飽和であっても、または完全不飽和であってもよい。C3-8シクロアルキル基の例としては、以下のものなどが挙げられる。

【0044】
【化10】
JP0005909558B2_000011t.gif

【0045】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。

【0046】
「C1-6アルコキシル」は、基(C1-6アルキル)O-をさし、ここで前記C1-6アルキルは本明細書中に定義の通りである。

【0047】
「ハロ-C1-6アルキル」は、ハロ-(C1-6アルキル)-をさし、ここで前記C1-6アルキルは、本明細書中に定義の通りである。ハロ-C1-6アルキルとしては、パーハロゲン化C1-6アルキルが挙げられ、ここでC1-6アルキル中の全ての水素原子は、たとえば-CF3、-CH2CF3、-CF2CF3、-CH2CH2CF3など、ハロゲンで置換されている。

【0048】
「場合によりC1-3アルキルで置換されたC2-3アルケニル」は、C2-3アルケニルまたは、C1-3アルキルで置換されたC2-3アルケニルをさし、この場合、これはC2-3アルケニルによって化合物の主構造に結合する。

【0049】
「C1-3アルキル-NHC(O)-C2-3アルケニル」は、C1-3アルキル-NHC(O)で置換されたC2-3アルケニルをさし、この場合これはC2-3アルケニルによって化合物の主構造に結合する。

【0050】
「結合」なる用語は、結合によって連結された原子がより大きな基礎構造(substructure)の一部であるとみなされるとき、二つの原子、または二つの部分の間の化学結合をさす。

【0051】
本明細書中で使用されるように、製剤、組成物または成分に関して使用される「薬学的に許容可能な」なる用語は、処置される被験者の全体的な健康に持続性の有害作用をもたらさないことを意味するか、または本化合物の生物学的活性若しくは特性を無効にせず、比較的、非毒性であることを意味する。

【0052】
本明細書中で使用するように、「ブルトン型チロシンキナーゼ」なる用語は、米国特許第6,326,469号(GenBank登録番号NP 000052)に開示されるように、Homo sapiens由来のブルトン型チロシンキナーゼをさす。

【0053】
本明細書中で使用するように、「有効量」または「治療的有効量」なる用語は、処置される疾患の症候または症状の一つ以上をある程度、和らげるのに十分量の、投与される薬剤または化合物を指す。結果は、疾患の兆候、症候または原因の軽減及び/または緩和でありえるか、または生体系の任意の他の所望の変化でありうる。たとえば、治療的使用に関する「有効量」は、過度の有害な副作用なく、症状に臨床的に有意な軽減をもたらすのに必要な、本明細書に開示の化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における好適な「有効量」は、投与量増加研究などの手法を使用して決定することができる。「治療的有効量」としては、たとえば予防的有効量が挙げられる。本明細書に開示される化合物の「有効量」は、過度の有害な副作用を与えることなく所望の薬理学的効果または治療的改善を達成するのに有効な量である。「有効量」または「治療的有効量」は、化合物の代謝の変動、被験者の年齢、体重、全身状態、処置される症状、処置される症状の重篤度、及び処方医師の判断により、被験者によって変動しえる。たとえば、治療的有効量は、これらに限定されないが、投与量増加臨床試験などの日常の実験により決定することができる。

【0054】
本明細書中で使用するように、キナーゼの「阻害する(inhibit)」、「阻害している(inhibiting)」または「阻害剤」なる用語は、酵素ホスホトランスフェラーゼ活性の阻害を指す。

【0055】
本明細書中に開示されるように、自己免疫疾患としては、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スティル病、若年性関節炎、紅斑性狼瘡、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、グレーブス病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、アディソン病、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫肝炎、小児脂肪便症、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、皮膚硬化症、原発性胆汁性肝硬変症、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ブェグナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性緊張病、皮膚硬化症、及び外陰部痛が挙げられるが、これらに限定されない。

【0056】
本明細書中で開示されるように、異種免疫疾患としては、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィキラシー、アレルギー(たとえば、植物花粉、ラテックス、薬剤、食品、昆虫毒、動物の毛、動物のふけ、イエダニまたはゴキブリの貯卵嚢に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、及びアトピー性皮膚炎が挙げられるが、これらに限定されない。

【0057】
本明細書中で開示されるように、炎症性疾患としては、喘息、炎症性腸疾患、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚炎、胆道炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、線維炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、汗腺膿瘍、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、耳管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎、膣炎、脈管炎、及び外陰炎が挙げられるが、これらに限定されない。

【0058】
本明細書中で開示されるように、癌、たとえばB-細胞増殖性疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、B-細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外周辺帯B細胞リンパ腫、節性周縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性浸出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病及びリンパ腫様肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない。

【0059】
本明細書中に開示されるように、血栓塞栓性疾患としては、心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術後の再閉塞または再狭窄、発作、一過性虚血、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症、及び深部静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。

【0060】
上記症状のそれぞれに関する症候、診断検査及び、予後検査は当業界で公知である。たとえば、Harrison's Principles of Internal Medicine(登録商標)、第16版、2004年;The McGraw-Hill Companies, Inc.Deyら(2006年)、Cytojournal 3(24);及び"Revised European American Lymphoma"(REAL)分類体系(たとえば、国立癌研究所により保持されるウエブサイト参照)を参照されたい。

【0061】
多くの動物モデルは、上記疾患のいずれかを処置するための不可逆的Btk阻害剤の治療的有効投与量範囲を確立するのに有用である。

【0062】
たとえば、自己免疫疾患を処置するための不可逆的Btk阻害剤化合物の投薬は、関節リウマチのマウスモデルで評価することができる。このモデルでは、関節炎は、抗コラーゲン抗体とリポ多糖類とを投与することによってBalb/cマウスで誘発させる。Nandakumarら(2003年),Am.J.Pathol 163巻:1827-1837頁を参照されたい。

【0063】
別の例では、B-細胞増殖性疾患の処置のための不可逆性Btk阻害剤の投与は、Pagelら(2005年)、Clin Cancer Res 11(13):4857-4866頁に記載されているように、ヒトB-細胞リンパ腫細胞(たとえばラモス細胞)を免疫不全マウス(たとえばヌードマウス)に移植する、ヒト-マウス異種移植モデルで調べることができる。

【0064】
血栓塞栓性疾患を処置するための動物モデルも公知である。

【0065】
上記疾患の一つに関する本化合物の治療効力は、処置の間に最適化することができる。たとえば処置される被験者は、症状または病態(pathology)の軽減と、不可逆的Btk阻害剤の所与の投与量を投与することによって達成されるin vivo Btk活性の阻害とを関連付けるための診断評価を受けることができる。当業界で公知の細胞アッセイを使用して、不可逆的Btk阻害剤の存在の有無におけるBtkのin vivo活性を測定することができる。たとえば、活性化Btkはチロシン223(Y223)及びチロシン551(Y551)でリン酸化されるので、P-Y223またはP-Y551-陽性細胞のリン特異的免疫細胞化学的染色を使用して、細胞集団中のBktの活性化を検出または定量化することができる(たとえば、染色対非染色細胞のFACS分析)。たとえばNisitaniら(1999年)、Proc.Natl.Acad.Sci、USA 96巻:2221-2226頁を参照されたい。従って、被験者に投与されるBtk阻害剤化合物の量は、被験者の病状を処置するのに最適なBtk阻害レベルを維持するように必要に応じて増減することができる。

【0066】
本明細書中に記載される化合物の合成で使用される出発物質は、合成することができるか、またはこれらに限定されないが、Aldrich Chemical Co.(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、Bachem(Torrance、カリフォルニア州)、またはSigma Chemical Co.(St.Louis、ミズーリ州)などの市販品を得ることができる。本明細書に記載の化合物及び、様々な置換基をもつ他の関連する化合物は、当業界で公知の方法及び材料を使用して合成することができる。たとえば、Marrch、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第四版、(Wiley、1992年);Carey及びSundberg、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第四版、A及びB巻(Plenum、2000年、2001年);Green及びWuts、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第三版、(Wiley、1999年);Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1-17巻(John Wiley and Sons、1991年);Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1-5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers、1989年);Organic Reactions、1-40巻(John Wiley and Sons、1991年);並びにLarock's Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)がある。これらは全て、そのすべてが参照として含まれる。本明細書中に記載の化合物の他の合成法は、国際特許出願国際公開第WO01/01982901号、Arnoldら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10巻(2000年)2167-2170頁;Burchatら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12巻(2002年)1687-1690頁に知見することができる。本明細書中に開示される化合物の一般的な製造法は、当分野で公知の反応から導き出すことができ、当業者には理解されるように、本明細書中に提供される式中に知見される様々な部分を導入することに関して、好適な試薬及び条件を使用することにより修正することができる。参考のために、以下の合成法を使用することができる。

【0067】
反応生成物は、所望により、これらに限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどの慣用技術を使用して単離及び精製することができる。かかる材料は、物理定数及びスペクトルデータなどの慣用手段を使用してキャラクタリゼーションすることができる。

【0068】
本明細書に記載の化合物は、単一の異性体または異性体の混合物として本明細書に記載の合成法を使用して製造することができる。

【0069】
本明細書に記載の化合物は、一つ以上の立体中心をもつことができ、各中心は、RまたはS配置で存在することができる。本明細書に示される化合物は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマー及びエピマー形、並びにその好適な混合物を全て含む。所望により、立体異性体は、キラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離として当業界で公知の方法により得ることができる。

【0070】
ジアステレオマー混合物は、公知方法、たとえばクロマトグラフィー及び/または分別晶出により、その物理化学的差をベースとして個々のジアステレオマーに分離することができる。一態様において、エナンチオマーは、キラルクロマトグラフィーカラムにより分離することができる。別の態様では、エナンチオマーは、好適な光学活性化合物(たとえばアルコール)との反応によりエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に転換し、ジアステレオマーを分離し、及び個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに転換(たとえば加水分解)することにより分離することができる。ジアステレオマー、エナンチオマー及びそれらの混合物などのそのようなすべての異性体は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。

【0071】
本明細書に記載の方法及び処方(formulation)は、N-オキシド、結晶形(多形体としても知られる)、または本明細書に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩、並びに同型の活性を持つこれらの化合物の活性代謝産物を含む。状況によっては、化合物は互変異性体として存在することができる。すべての互変異性体は、本明細書に示された化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形、並びに水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和形で存在することができる。本明細書に示される化合物の溶媒和形は、本明細書に開示されたものとみなされる。

【0072】
非酸化形の化合物は、好適な不活性有機溶媒、これらに限定されないが、たとえばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなどの中で、0~80℃で、還元剤、これらに限定されないが、たとえば硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物などで処理することにより、N-オキシドから製造することができる。

【0073】
態様によっては、本明細書に記載の化合物は、プロドラッグとして製造される。「プロドラッグ」は、in vivoで親薬剤(parent drug)に転換される薬剤をさす。プロドラッグは、状況によっては親薬剤を投与するよりも容易であるので、有用であることが多い。たとえば、これらは経口投与により生物学的に利用可能でありえるが、親薬剤はそうではない。プロドラッグは、親薬剤よりも医薬組成物中で優れた溶解性をもつこともできる。これらに限定されないが、プロドラッグの一例は、本明細書中に記載の化合物であり、これは水溶性が移動性に害を及ぼす場合に、細胞膜を通りやすくするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、水溶性が都合がよい細胞内に入ると、代謝的に加水分解してカルボン酸、活性実体(active entity)になる。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝されて活性部分を暴露する場合、酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)かもしれない。特定の態様では、in vivo投与すると、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的または治療的活性形に転換される。特定の態様では、プロドラッグは、一つ以上の段階またはプロセスによって、酵素的に代謝されて化合物の生物学的、薬学的または治療的活性形に転換される。プロドラッグを製造するために、活性化合物がin vivo投与の際に再生されるように、薬学的に活性な化合物を修飾(modify)する。プロドラッグは、薬剤の代謝安定性若しくは輸送特性を変更するために、副作用若しくは毒性を遮蔽するために、薬剤のフレーバーを改善するために、または薬剤の他の特徴若しくは特性を変更するために設計することができる。in vivo薬力学的プロセス及び薬物代謝の知識により、薬学的に活性な化合物が公知になるとすぐに、当業者は化合物のプロドラッグを設計することができる。たとえば、Nogrady(1985年)、Medicinal Chemistry A Biochemical Approach、Oxford University Press、ニューヨーク、388-392頁;Silverman(1992年)、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Academic Press,Inc.、San Diego、352-401頁、Saulnierら(1994年)、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、第4巻、1985年を参照されたい。

【0074】
本明細書に記載のようにプロドラッグがin vivo代謝されて誘導体を産生する、本明細書に記載の化合物のプロドラッグ形は、請求の範囲内に含まれる。場合により、本明細書に記載の化合物の幾つかは、別の誘導体または活性化合物のプロドラッグでありえる。

【0075】
プロドラッグは有用であることが多い。というのも、状況によってはプロドラッグは親薬剤よりも投与しやすいからである。たとえばこれらのプロドラッグは経口投与により生物学的に利用可能でありえるが、親薬剤はそうではない。プロドラッグは、親薬剤よりも医薬組成物中で優れた溶解性をもちうる。プロドラッグは、位置特異的組織に薬剤を輸送し易くするための調節剤(modifier)として使用するための、可逆的薬剤誘導体として設計することができる。態様によっては、プロドラッグの設計は、効果的な水溶性を高める。たとえば、Fedorakら、Am.J.Physiol、269巻:G210-218頁(1995年);McLoedら、Gastroenterol、106巻:405-413頁(1994年);Hochhausら、Biomed. Chrom.、6巻:283-286頁(1992年);J. Larsen及びH.Bundgaard、Int. J. Pharmaceutics、37巻、87頁(1987年);J. Larsenら、Int. J. Pharmaceutics、47巻、103頁(1988年);Sinkulaら、J. Pharm. Sci.、64巻:181-210頁(1975年);T.Higuchi及びV.Stella、Pro-drugs as Novel Delivery Systems、the A.C.S. Symposium Seriesの第14号;並びにEdward B. Roche、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年を参照されたい。これらは全てその全体が参照として含まれる。

【0076】
本明細書に記載の化合物には同位体で標識された化合物が含まれ、これは、一つ以上の原子が、自然界において通常知見される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数をもつ原子で置き換わっている点を除いて、本明細書中に示された様々な式及び構造に列記されたものと同一である。本化合物に組み込みえる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素及び塩素、たとえばそれぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clが挙げられる。本明細書に記載の特定の同位体で標識された化合物、たとえば3H及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれているようなものは、薬剤及び/または基質組織分布アッセイ(substrate tissue distribution assay)で有用である。さらに、重水素、即ち2Hなどの同位体で置換すると、たとえば、長いin vivo半減期や少ない必要用量など、より高い代謝安定性に起因する特定の治療上の利点を提供することができる。

【0077】
追加またはさらなる態様において、本明細書に記載の化合物は、必要としている有機体に投与すると、代謝されて代謝産物を産生し、これは所望の治療効果を含む、所望の効果を生み出すために使用される。

【0078】
本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成され、及び/または薬学的に許容可能な塩として使用されえる。薬学的に許容可能な塩の種類としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:(1)薬学的に許容可能な無機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸など;または有機酸、たとえば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4、4'-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと前記化合物の遊離塩基形と反応させることにより形成された酸付加塩;(2)金属イオン、たとえばアルカリ金属イオン(たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(たとえばマグネシウム、若しくはカルシウム)、またはアルミニウムイオンで親化合物中に存在する酸性プロトンが置き換わっているときに形成される塩;あるいは有機塩基との配位化合物(coordinate)が挙げられる。許容可能な有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが挙げられる。許容可能な無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。

【0079】
薬学的に許容可能な塩の対応する対イオンは、これらに限定されないが、様々な方法、たとえばイオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、誘導結合プラズマ、原子吸光分光学法、質量分析法、またはこれらの任意の組み合わせを使用して分析及び同定することができる。

【0080】
塩は、以下の方法の一つ、濾過、非溶媒による沈殿、続く濾過、溶媒の蒸発、または水溶液の場合には凍結乾燥を使用して回収する。

【0081】
薬学的に許容可能な塩と言及するときには、溶媒付加形またはその結晶形、特に溶媒和物または多形体を包含すると理解すべきである。溶媒和物は、溶媒の化学量論量または非化学量論量を含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒と結晶化プロセスの間に形成することができる。溶媒が水であるときに水和物が形成され、溶媒がアルコールであるときアルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセスの間に好都合に製造または形成することができる。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形並びに溶媒和形で存在することができる。通常、溶媒和系は、本明細書で提供した化合物及び方法の目的に関して、非溶媒和形と等価であるとみなされる。

【0082】
塩を言及するときは、溶媒付加形またはその結晶形、特に溶媒和物または多形体を包含するものと理解すべきである。溶媒和物は、溶媒の化学量論量または非化学量論量を含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒と結晶化プロセスの間に形成することができる。溶媒が水であるときに水和物が形成され、溶媒がアルコールであるときアルコラートが形成される。多形体としては化合物の同一元素組成の異なる結晶充填配置が挙げられる。多形体は通常、異なるX-線散乱パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気的特性、安定性及び溶解性をもつ。再結晶溶媒、結晶化速度及び貯蔵温度などの様々な因子により、単結晶形を優位にすることができる。

【0083】
本明細書に記載の化合物は、これらに限定されないが様々な形状、アモルファス形、粉砕形及びナノ粒子形でありえる。さらに本明細書に記載の化合物は、多形体としても知られる結晶形を含む。多形体は、化合物の同一元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、異なるX-線散乱パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学及び電気的特性、安定性及び溶解性をもつ。再結晶溶媒、結晶化速度及び貯蔵温度などの様々な因子により、単結晶形を優位にすることができる。

【0084】
薬学的に許容可能な塩、多形体及び/または溶媒和物のスクリーニング及びキャラクタリゼーションは、様々な技術、これらに限定されないが、熱分析、x-線散乱、分光法、蒸気収着(vapor sorption)、及び顕微鏡法を使用して実施することができる。熱分析法は、これらに限定されないが、多形転移を含む熱化学分解または熱物理的プロセス(thermo physical process)に取り組み、かかる方法を使用して、多形間の関係を分析し、重量損失を測定し、ガラス転移温度を知見し、賦形剤との適合性を研究する。かかる方法としては、これらに限定されないが、示差走査熱量計(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析(TGA)、及び熱重量及び赤外線分析(TG/IR)が挙げられる。X-線散乱法としては、これらに限定されないが、単結晶及び粉末回折計及びシクロトロンソース(synchrotron source)が挙げられる。使用される様々な分光分析技術としては、これらに限定されないが、ラマン、FTIR、UVIS、及びNMR(液体及び固体状態)が挙げられる。様々な顕微鏡法としては、これらに限定されないが、偏光顕微鏡、エネルギー分散型X線分析(EDX)の備わった走査電子顕微鏡(SEM)、EDXの備わった環境制御型走査電子顕微鏡(気体または水蒸気環境中)、IR顕微鏡法、及びラマン顕微鏡法が挙げられる。

【0085】
本明細書を通して、その基及び置換基は、安定な部分及び化合物を提供するように、当業者によって選択され得る。
【実施例】
【0086】
以下の具体的且つ非限定的な実施例は、単に説明を目的とするものであって、本開示をいかなる方法にも限定するものではない。さらなる仕上げなしで、当業者には本発明の記載を元にして、本開示をその最大限まで利用できると考えられる。
【実施例】
【0087】
化合物の合成
合成スキームI
段階1:
【化11】
JP0005909558B2_000012t.gif
【実施例】
【0088】
m-フェニレンジアミン(0.500g,4.62mmol)、(Boc)2O(0.92mL,4.02mmol)及びトリエチルアミン(1.4mL,9.98mmol)を、0℃に冷却しておいた1,4-ジオキサンと水(30mL,2:1 V/V)の混合溶媒系に添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応系を室温に戻し、さらに10時間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮すると、黄色い油状物が得られ、これを酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=10:1~8:1~4:1~2:1~1:1)で精製すると、化合物2が白色固体で得られた(0.48g,収率:58%)。
【実施例】
【0089】
段階2:
【化12】
JP0005909558B2_000013t.gif
【実施例】
【0090】
化合物2(0.352g,1.69mmol)及び2-クロロ-5-ニトロ-ピリミジン(0.270g,1.69mmol)を最初に12mLアセトニトリルに溶解し、次いで炭酸カリウム(0.702g,5.08mmol)をこの溶液に添加した。全反応系を室温で3時間攪拌し、次いで反応溶媒を減圧下でロータリーエバポレーションで除去した。次いで濃縮した物質を酢酸エチルに溶解し、水、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製(ヘキサン:酢酸エチル=4:1~3:1~2:1~1:1~1:3)すると、黄色固体状の生成物3が得られた(0.50g,収率:89%)。
【実施例】
【0091】
段階3:
【化13】
JP0005909558B2_000014t.gif
【実施例】
【0092】
化合物3(0.500g,1.51mmol)及びパラジウム-炭素(0.16g,質量分率:5%)を25ml二つ首フラスコに添加し、ゆっくりと攪拌しながら反応系にメタノール10mLを添加した。全反応系中の空気を窒素で置換した後、十分量の水素を充填した風船を系に接続し、次いで反応系の窒素を風船中の水素で置換した(3回)。反応系を室温で3時間攪拌してから、反応を停止した。反応溶液をフリット漏斗で濾過して、パラジウム-炭素残渣を除去すると、茶色の濾液となった。濾液を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1~1:2~1:4~1:6)で精製すると、黄色固体状の生成物4が得られた(0.45g,収率:100%)。
【実施例】
【0093】
段階4:
【化14】
JP0005909558B2_000015t.gif
【実施例】
【0094】
3-(トリフルオロメチル)安息香酸(0.500g,2.63mmol)を塩化チオニル5mLに分散させた。反応系を80℃に加熱し、攪拌に保持し、1時間還流させ、次いで室温に冷却した。ゆっくり攪拌しながら反応液にトルエン10mLを添加し、次いで反応溶液を減圧下でロータリーエバポレーターで濃縮すると、薄黄色油状物になった。濃縮した物質を塩化メチレン15mlに溶解し、次いで5-アミノ-2-メチル-安息香酸(0.478g,3.16mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)をこの溶液に添加した。反応系を室温で一晩攪拌すると、大量の白色固体が沈殿した。反応溶液を減圧下で濃縮し、酢酸エチルに分散し、飽和塩化アンモニウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色固体の生成物5が得られた(0.68g,収率:80%)。
【実施例】
【0095】
段階5:
【化15】
JP0005909558B2_000016t.gif
【実施例】
【0096】
化合物4(0.263g,0.813mmol)を塩化チオニル3mLに分散した。この反応系を80℃に加熱し、攪拌下に保持し、1時間還流させ、次いで室温に冷却した。ゆっくり攪拌しながら反応溶液にトルエン5mLを添加し、反応溶液を減圧下で濃縮すると、茶色油状物が得られた。濃縮した物質をジクロロメタン5mLに溶解し、次いで化合物5(0.270g,0.894mmol)とジイソプロピルエチルアミンアミン(0.1mL)を添加した。最終反応系を室温で一晩攪拌し、反応溶液を減圧下で濃縮すると固体が得られた。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、濃縮した物質をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=2:1~1:1~1:2~1:4)で精製すると、黄色固体状の化合物6が得られた(0.451g,収率:92%)。
【実施例】
【0097】
段階6:
【化16】
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化合物6(0.278g,0.458mmol)をジクロロメタン2mLに分散した。トリフルオロ酢酸2mLを、攪拌下、ゆっくりと反応系に滴下した。最終反応系を室温で1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮すると固体が得られた。残渣を酢酸エチルに溶解し、10%水酸化ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮した物質をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:1~1:2~1:4)で精製すると、白色固体状の生成物7が得られた(0.193g,収率:83%)。
【実施例】
【0098】
合成スキームII
段階1:
【化17】
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【実施例】
【0099】
化合物7(0.080g,0.16mmol)をTHFと水の混合溶媒(4mL,1:1 V/V)に分散させ、次いでジイソプロピルエチルアミン(27μL,0.16mmol)を添加した。塩化アクリロイル(13μL,0.16mmol)を攪拌下、反応系にゆっくりと滴下した。反応溶液を室温で2時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮した物質は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=1:1~1:2)で精製すると、白色粉末固体として生成物8が得られた(80mg,収率:89%)。
【実施例】
【0100】
合成スキームIII
段階1:
【化18】
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【実施例】
【0101】
グリシン(1.00g,13.3mmol)を水酸化カリウム水溶液と1,4-ジオキサンの混合溶媒(40mL,1:1 V/V)に溶解した。(Boc)2O(3.7mL,16.0mmol)を反応溶液に添加した。反応系を室温で12時間攪拌し、次いで反応溶液を減圧下で濃縮した。濃縮物を酢酸エチルに溶解し、10%重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮すると粗な生成物9がオフホワイト固体状で得られた(2.33g,収率:100%)。
【実施例】
【0102】
段階2:
【化19】
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【実施例】
【0103】
化合物7(0.090g,0.177mmol)、Boc-保護化グリシン9(0.032g,0.213mmol)及びHATU(0.101g,0.266mmol)を3mLのDMFに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(44μL,0.266mmol)を攪拌下、ゆっくりと添加した。反応溶液を室温で2時間攪拌し、次いで溶媒を減圧下でロータリーエバポレーターで除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1~1:2~1:4)で精製すると、白色固体状の生成物10が得られた(0.106g,収率:90%)。
【実施例】
【0104】
段階3:
【化20】
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【実施例】
【0105】
化合物10(0.102g,0.154mmol)を2mLのジクロロメタンに分散させた。2mLのトリフルオロ酢酸を、攪拌下、反応系にゆっくりと滴下した。最終反応系を室温で1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮すると、固体が得られた。残渣を酢酸エチルに溶解し、10%水酸化ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、真空中で一晩乾燥すると、白色固体状の生成物11が得られた(0.080g,収率:92%)。
【実施例】
【0106】
段階4:
【化21】
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【実施例】
【0107】
化合物11(0.050g,0.089mmol)をTHFと水との混合溶媒(2mL,1:1 V/V)に分散し、次いでジイソプロピルエチルアミン(18μL,0.11mmol)を添加した。塩化アクリロイル(14μL,0.18mmol)は、攪拌下、反応系にゆっくり滴下した。反応物は室温で2時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和塩水で洗浄した。最終有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2~1:4~1:8~100%EA)で精製すると、白色固体状の生成物12が得られた(43mg,収率:79%)。
【実施例】
【0108】
Btk in vitro阻害活性の分析
本明細書中で開示された化合物のBtk IC50を、以下に記載の方法または類似の方法により、細胞キナーゼアッセイで測定した。
【実施例】
【0109】
Btkキナーゼ活性は、時間分解蛍光エネルギー移動(TR-FRET)方法論を使用して測定した。測定は、96-ウエルアッセイプレートを使用して反応体積50μLで実施した。キナーゼ酵素、阻害剤、ATP(キナーゼに関してKm)、及び1μMペプチド基質(ビオチン-AVLESEEELYSSARQ-NH2)を、20mM Tris、50mM NaCl、MgCl2(5~25mM、キナーゼに依存)、MnCl2(0~10mM)、1mM DTT、0.1mM EDTA、0.01%ウシ血清アルブミン、0.005%Tween-20、及び10%DMSOから構成される反応緩衝液中でpH7.4で1時間培養した。反応は、1×Lance緩衝液25μL(Perkin-Elmer)中、1.2当量のEDTA(二価カチオンに対して)を添加してクエンチした。1×Lance緩衝液中のストレプトアビジン-APC(Perkin-Elmer)及びEu-標識化p-Tyr100抗体(Perkin-Elmer)を、25μL体積に添加して、それぞれ終濃度100nM及び2.5nMとし、この混合物を放置して1時間培養した。TR-FRETシグナルは、励起波長(λEx)330nmと検出波長(λEm)615及び665nmで、マルチモードプレートリーダーで測定した。活性は、665nmと615nmにおいて蛍光の比により決定した。それぞれの化合物について、化合物の様々な濃度で酵素活性を測定した。負の対照反応は、阻害剤の非存在下、六つの複製を行って実施し、酵素を使用しない二つの対照を使用してベースライン蛍光レベルを決定した。IC50は、プログラムバッチKi(Kuzmicら、2000年、Anal. Biochem.286巻:45-50頁)を使用して得た。
【実施例】
【0110】
上記合成スキームI、II及びIIIに従って、本発明の実施例の化合物1~37を合成した。具体的な合成段階及び実施例化合物のキャラクタリゼーションを以下の表に示した。Btk in vitro阻害活性の分析の間、本発明の化合物1~37のIC50値を測定した。さらに、IC50値は、IC50値範囲で以下の表に示した。”+++”は、IC50<100nMを表し;"++"は100nM<IC50<1000nMを表し;"+"は1000nM<IC50<10000nMを表す。
【実施例】
【0111】
表1 実施例の化合物の合成及びBtk IC50
【化22】
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【実施例】
【0112】
【化23】
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【実施例】
【0113】
【化24】
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【実施例】
【0114】
【化25】
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【実施例】
【0115】
【化26】
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【実施例】
【0116】
【化27】
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【実施例】
【0117】
【化28】
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【実施例】
【0118】
【化29】
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【実施例】
【0119】
【化30】
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【実施例】
【0120】
【化31】
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【実施例】
【0121】
【化32】
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【実施例】
【0122】
【化33】
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【実施例】
【0123】
【化34】
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【実施例】
【0124】
【化35】
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【実施例】
【0125】
【化36】
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【実施例】
【0126】
【化37】
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【実施例】
【0127】
【化38】
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【実施例】
【0128】
【化39】
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【実施例】
【0129】
【化40】
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【実施例】
【0130】
【化41】
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【実施例】
【0131】
本明細書中に記載の実施例及び態様は、説明の目的だけであり、それを考慮すると、当業者には様々な変更及び変形が示唆されるが、本出願の趣旨及び範囲並びに付記請求の範囲内に含まれることは理解されよう。本明細書中で引用したすべての出版物、特許及び特許出願は、すべての目的に関してその全体が参照として含まれる。