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明細書 :ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ、その製造方法及びその利用方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2014-534241 (P2014-534241A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成26年12月18日(2014.12.18)
特許番号 特許第5997288号 (P5997288)
登録日 平成28年9月2日(2016.9.2)
発行日 平成28年9月28日(2016.9.28)
発明の名称または考案の名称 ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ、その製造方法及びその利用方法
国際特許分類 A61K  49/00        (2006.01)
C07D 403/12        (2006.01)
C07D 401/06        (2006.01)
C07D 471/04        (2006.01)
G01N  21/64        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
FI A61K 49/00 Z
C07D 403/12
C07D 401/06
C07D 471/04 107Z
G01N 21/64 F
C09K 11/06
請求項の数または発明の数 10
全頁数 30
出願番号 特願2014-541508 (P2014-541508)
出願日 平成24年3月5日(2012.3.5)
国際出願番号 PCT/CN2012/071940
国際公開番号 WO2013/131235
国際公開日 平成25年9月12日(2013.9.12)
審査請求日 平成26年5月15日(2014.5.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
【識別番号】514121387
【氏名又は名称】大連科栄生物技術有限公司
発明者または考案者 【氏名】彭 孝軍
【氏名】▲ジャン▼ 華
【氏名】樊 江莉
【氏名】王 静云
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
【識別番号】100132883、【弁理士】、【氏名又は名称】森川 泰司
【識別番号】100123618、【弁理士】、【氏名又は名称】雨宮 康仁
【識別番号】100148633、【弁理士】、【氏名又は名称】桜田 圭
【識別番号】100147924、【弁理士】、【氏名又は名称】美恵 英樹
審査官 【審査官】井上 明子
参考文献・文献 Organic letters,2011年 2月,Vol.13, No.5,p.1190-1193
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2006年,Vol.16,p.1562-1566
調査した分野 A61K 49/00
C07D 401/06
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式Iで示される構造を有する、ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【化1】
JP0005997288B2_000023t.gif
ここで、Xは、X、X、X及びXから選択されるものであり、点線で示される結合によって一般式Iと結合され、
【化2】
JP0005997288B2_000024t.gif
及び Rは、それぞれ-OCH、-OCOCH、またはハロゲンから独立して選択されるものであり、
は、- CH-、- (CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、または-(CH-から選択され、
は、C1-6アルキル基 、HOCH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、またはHO(CH-から選択され、
は、-H、-CN、-COOH、-NH、-NO、-OH、または-SHから選択される。
【請求項2】
及びRは、それぞれ-OCH及びハロゲンから独立して選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【請求項3】
は-(CH-又は-(CH-である、
ことを特徴とする請求項1に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【請求項4】
はC1-4アルキル基から選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【請求項5】
は-H、-CN、-COOH又は-NOから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【請求項6】
以下の化合物A~Aから選択される、請求項1に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ。
【化3】
JP0005997288B2_000025t.gif

【請求項7】
請求項1に記載するナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの製造方法であって、下記のステップ、つまり、
1)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(4-bromo-1,8-naphthalic anhydride)と、R-NHとを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物Vを製造するステップ、
【化4】
JP0005997288B2_000026t.gif
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される、
2)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物とを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIを製造するステップ、
【化5】
JP0005997288B2_000027t.gif
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される、
3)4-ブロモアセナフテンキノン(4-bromoacenaphthenequinone)と、式iの化合物とを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIIを製造するステップ、
【化6】
JP0005997288B2_000028t.gif
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される、
4)アセナフテンキノンと、マロノニトリル(malononitrile)と、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)とを1:1:5のモル比で反応させて、化合物VIIIを製造するステップ、
【化7】
JP0005997288B2_000029t.gif
まず室温で0.5時間反応させてから、反応温度を徐々に70~180℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~12時間反応させ、反応溶媒はジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、又はそれらと水からなる混合物から選択される、
5)ステップ1)~4)で製造された化合物V、VI、VII、VIIIをそれぞれNHNHと1:1~1:2.5のモル比で反応させて、化合物IX、X、XI、XIIを製造するステップ、
【化8】
JP0005997288B2_000030t.gif
ここで、反応温度は100~175℃、反応時間は1~7時間、反応溶媒はエタノール、2-メトキシエタノール(2-methoxyethanol)、またはそれらの混合物である、
6)化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物とを1:1~1:3のモル比で反応させて、化合物Iを製造するステップ、
【化9】
JP0005997288B2_000031t.gif
ここで、反応温度は0~100℃,反応時間は12~48時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、またはそれらの混合物であり、反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジン(Dimethylaminopyridine)を触媒とする、
を含む二光子蛍光プローブの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ4)において、水と、ジメチルスルホキシド又はテトラヒドロフランとのモル比はそれぞれ1:1~1:1.25である、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブを利用して生体試料標識する方法
【請求項10】
前記生体試料は、腫瘍組織又は腫瘍細胞である、
ことを特徴とする請求項9に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブを利用して生体試料標識する方法
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブ、その製造方法及び腫瘍細胞又は組織を標識するものとして、該蛍光プローブを利用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、腫瘍の発症率は急増しており、「爆発」的に増加する寸前の状態である。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関が公開した「世界がん報告」では、近年のがん発症率の増加傾向によれば、2020年には全世界のがんの発症率は現在より50%増加し、新たに発症するがん患者数は毎年1500万人になると説明されている。そこで、簡単、迅速、有効、且つ高感度のがん標識技術の開発が、重要な任務になっている。X線による検出技術、超音波による検出技術、CTによる検出技術、核磁気共鳴(MRI)による検出技術、赤外線サーモグラフィによる検出技術、近赤外線スキャニングによる検出技術、PET-CTによる検出技術などが従来の標識を用いるイメージング法として用いられている。しかしながら、上記方法は、イメージングの実行時に、イメージングの特異性に欠け、放射線による損害が大きく、腫瘍を個別に標識により診断できず、腫瘍に対して深度イメージングができない等の欠点がある。蛍光標識の光学分子イメージング法により、既存の問題を解決するのに優れた方法が提供される。現在、フェナントリジン(phenanthridine)系(EB、PI)、アクリジン(acridine)系(AO)、イミダゾール(iminazole)系(Hoechst、DAPI)とシアニン(cyanine)族染料系(Cy、TOTO、SYTO)等の商品化された蛍光染料は、ゲノミクス技術、核酸の定量検出、血液細胞分析等の分野で大きな役割を果たしている。しかしながら、腫瘍細胞及び組織を標識するための蛍光染料は、プローブと比べてまだ少なく、標識性能も低い。
【0003】
二光子技術の進展に伴って、二光子励起蛍光顕微鏡がライフサイエンスに関する研究でもっとも重要なイメージング手段になっている。従来の一光子励起型の共焦点蛍光顕微鏡に比べて、二光子励起蛍光顕微鏡は、近赤外線による励起、暗視野イメージング、蛍光漂白と光毒性の回避、固定されたターゲットの励起、横方向分解能及び縦方向分解能の高さ、生体組織の光吸収係数の低下及び組織からの自発蛍光の干渉の減少等(Helmchen F, Svoboda K, Denk W et al. Nature,1999, 2:989-996. Maiti S, Shear J B, Williams R M et al. Science, 1997, 275:530. Ventelon L,Charier S, Moreaux L et al. Angewandte Chemie International Edition, 2001, 40: 2098. )の面で極めて優れている。そのため、二光子励起顕微鏡によるイメージング技術により、生体イメージングにおいて新たな議論の場が提供される。しかしながら、腫瘍の標識イメージング、生体内での腫瘍の分布のイメージング及び腫瘍の深度イメージング等に対応する特異的な蛍光プローブはまだ少なく、腫瘍標識用の特異性に優れた二光子蛍光プローブの開発は、二光子腫瘍イメージングを実現する要となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブを提供する。前記蛍光プローブは下記の一般式Iで示される構造(図1を参照)を有する。
【化1】
JP0005997288B2_000002t.gif

【0005】
ここで、Xは、X、X、X及びXから選択され、点線で示される結合によって一般式Iと結合され、
【化2】
JP0005997288B2_000003t.gif
及び Rは、それぞれ-OCH、-OCOCH、またはハロゲンから独立して選択され、
は、- CH-、- (CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、または-(CH-から選択され、
は、C1-6アルキル基 、HOCH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、またはHO(CH-から選択され、
は、-H、-CN、-COOH、-NH、-NO、-OH、または-SHから選択される。
【0006】
一方、本発明は、さらに以下のステップを含む前記ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの製造方法を提供する。
【0007】
1)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(4-bromo-1,8-naphthalic anhydride)と、R-NHと、を1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物Vを製造するステップ。
【化3】
JP0005997288B2_000004t.gif

【0008】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。
【0009】
2)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物と、を1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIを製造するステップ。
【化4】
JP0005997288B2_000005t.gif

【0010】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。
【0011】
3)4-ブロモアセナフテンキノン(4-bromoacenaphtenequinone)と、式iの化合物と、を1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIIを製造するステップ。
【化5】
JP0005997288B2_000006t.gif

【0012】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。
【0013】
4)アセナフテンキノンと、マロノニトリル(malononitrile)と、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)と、を1:1:5のモル比で反応させて、化合物VIIIを製造するステップ。
【化6】
JP0005997288B2_000007t.gif

【0014】
まず室温で0.5時間反応させてから、反応温度を徐々に70~180℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~12時間反応させる。反応溶媒はジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、又はそれらと水からなる混合物から選択される。
【0015】
5)ステップ1)~4)で製造された化合物V、VI、VII、VIIIをそれぞれNHNHと1:1~1:2.5のモル比で反応させて、化合物IX、X、XI、XIIを製造するステップ。
【化7】
JP0005997288B2_000008t.gif

【0016】
ここで、反応温度は100~175℃、反応時間は1~7時間、反応溶媒はエタノール、2-メトキシエタノール(2-methoxyethanol)、またはそれらの混合物である。
【0017】
6)化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物と、を1:1~1:3のモル比で反応させて、化合物Iを製造するステップ。
【化8】
JP0005997288B2_000009t.gif

【0018】
ここで、反応温度は0~100℃,反応時間は12~48時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、またはそれらの混合物であり、反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジン(Dimethylaminopyridine)を触媒とする。
【0019】
本発明のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの製造方法に対する上記記載において、各置換基の定義、即ちR、R、R、R及びRの定義は上記化合物に対する定義と同じである。
【0020】
一方、本発明は、さらに上記ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの生体試料の標識、特に腫瘍細胞及び組織標識への利用を提供する。
【0021】
本発明により、従来の腫瘍標識用の蛍光プローブの機能上の欠点を改善し、二光子励起され、生がん細胞と発がん組織を有効且つ特異的に標識するのに適用できる二光子蛍光プローブが設計され、合成された。このような種類の二光子蛍光染料は、非腫瘍細胞と組織内では蛍光バックグラウンドが低いが、腫瘍細胞と組織内では蛍光信号が高く、且つ腫瘍細胞と組織に対して特異的な高い標識性能を有する。この種の化合物は、ある程度の水溶性を有すると共に、細胞膜透過性が良好であり、更に有効な二光子を吸収する断面が大きい。本発明のこの種の化合物は、更に生体毒性、光毒性、光による漂白性が低く、そのスペクトル範囲と生体サンプルのスペクトル範囲とは、かなり大きく異なる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブを示す一般式Iである。
【図2】二光子共焦点イメージングによる、実施例2に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの腫瘍細胞および非腫瘍細胞の写真である。濃度が4μMであるA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたHela細胞とHEK293細胞を、37度、COが5%存在する条件下で60分培養した後、代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。写真を撮像した波長は500~550nmである。図2(a)はHela細胞であり、図2(b)はHEK293細胞である。
【図3】実施例3に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの異なる溶媒での二光子を吸収する断面の測定結果を示す。測定溶媒はジメチルスルホキシドである。測定方法は以下の通りである:フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用いる。フルオレセイン(fluorescein)を含むNaOH溶液(pH11)を参照とする。使用するAを含む溶液の濃度は全て1×10-4Mである。レーザーパルス幅(laser pulse width)は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)である。調節可能な波長範囲は700~980nmである。実験中にフェムト秒レーザーの波長が所望の測定波長に調節される。
【図4】二光子共焦点イメージングによる、実施例5に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの腫瘍細胞および非腫瘍細胞の写真である。濃度が4μMであるA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたHela細胞とHEK293細胞を、37℃、COが5%存在する条件下で60分培養した後、代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。写真を撮像した波長は500~550nmである。図4(a)はHela細胞であり、図4(b)はHEK293細胞である。
【図5】実施例6に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aを水溶液に溶かしたときの結果を示す。濃度が異なる化合物Aの水溶液を用いて、最大吸収波長での吸光度を測定する。測定は三回繰り返される。
【図6】実施例8に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの溶媒効果の結果を示す。化合物Aをジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランにそれぞれ添加し、異なる溶媒での紫外吸収スペクトル(a)と蛍光発光スペクトル(b)を測定する。
【図7】実施例9に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの異なる溶媒での二光子を吸収する断面の結果を示す。測定溶媒はジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランである。測定方法は以下の通りである:フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用いる。フルオレセインを含むNaOH溶液(pH11)を参照とする。使用するAを含む溶液の濃度は全て1×10-4Mである。レーザーパルス幅は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)である。調節可能な波長範囲は700~980 nmである。実験中にフェムト秒レーザーの波長が所望の測定波長に調節される。
【図8】実施例11に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aのマウスの肺部の腫瘍組織とマウスの肺部の非腫瘍組織での二光子共焦点イメージングによる写真を示す。濃度が10μMであるA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたマウスの肺部の腫瘍組織の切片およびマウスの肺部の非腫瘍組織の切片から代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。図8(a1)と(a2)はプローブAが加えられた後のマウスの肺部の腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真であり、図8(b1)と図8(b2)はプローブAが加えられた後のマウスの肺部の非腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真である。ここで、図8(a1)と図8(b1)で適用した波長は500~550nmであり、図8(a2)と図8(b2)で適用した波長は570~650nmである。
【図9】実施例12に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aを水溶液に溶かしたときの結果を示す。濃度が異なる化合物Aの水溶液を使用して、最大吸収波長での吸光度を測定する。当該試験は三回繰り返される。
【図10】実施例14に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの腫瘍細胞および非腫瘍細胞の二光子共焦点結像による写真を示す。濃度が4μMであるA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたHela細胞とHEK293細胞を、37℃、COが5%存在する条件下で60分培養した後、代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。図10(a1)および図10(a2)はHela細胞であり、図10(b1)および図10(b2)はHEK293細胞である。ここで、図10(a1)および図10(b1)で適用した波長は500~550nmであり、図10(a2)および図10(b2)で適用した波長は570~650nmである。
【図11】実施例15に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aのマウスの肺部の腫瘍組織とマウスの肺部の非腫瘍組織の二光子共焦点イメージングによる写真を示す。濃度が10μMであるA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたマウスの肺部の腫瘍組織の切片とマウスの肺部の非腫瘍組織の切片から代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。図11(a1)および図11(a2)は、マウスの肺部の腫瘍組織であり、図11(b1)および図11(b2)は、マウスの肺部の非腫瘍組織である。ここで、図11(a1)および図11(b1)で適用した波長は500~550nmであり、図11(a2)および図11(b2)で適用した波長は570~650nmである。
【図12】実施例17に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの溶媒効果の結果を示す。測定溶媒はジメチルスルホキシドである。異なる溶媒での紫外吸収スペクトルと蛍光発光スペクトルを測定する。
【図13】実施例18に係る本発明の蛍光プローブ化合物Aの異なる溶媒での二光子を吸収する断面の測定結果を示す。測定溶媒はジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランである。測定方法は以下の通りである:フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用いる。フルオレセインを含むNaOH溶液(pH11)を参照とする。使用するAを含む溶液の濃度は全て1×10-4Mである。レーザーパルス幅は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)である。調節可能な波長範囲は700~980nmである。実験中にフェムト秒レーザーの波長が所望の測定波長に調節される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明には、13枚の図面が含まれる。

【0024】
別途に説明する場合を除き、本明細書で使用されている用語の定義は下記の通りである。

【0025】
本明細書で使用されている「アルキル基」は、直鎖アルキル基と分枝鎖アルキル基とを含む。単体のアルキル基、例えば「プロピル (propyl) 」と言う場合には、直鎖アルキル基だけを指す。単体の分枝鎖アルキル基、例えば「イソプロピル(isopropyl)」と言う場合には、分枝鎖アルキル基だけを指す。例えば、「C1-6アルキル基」には、C1-4アルキル基、C1-3アルキル基、メチル基、エチル、n-プロピル、イソプロピルとターシャリーブチル(tertiary-butyl)基が含まれる。このような規則は、本明細書で使用された他のラジカルにも適用される。

【0026】
本明細書で使用されている「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。

【0027】
本発明の一般式の化合物において、上記R及びRは、それぞれ独立に-OCH、-OCOCH、またはハロゲンから選択される。好ましい態様では、R及びRは、それぞれ独立に-OCH またはハロゲンから選択される。より好ましくは、R及びRは、それぞれ独立に-OCHまたは-Clである。最適には、Rは-OCHであり、Rは全て-Clである。

【0028】
好ましくは、上記Rは-(CH3~7-であり、最適には、Rは-(CH-、または-(CH-である。

【0029】
上記Rは、C1-6 アルキル基、HOCH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、HO(CH-、またはHO(CH-から選択される。好ましい態様では、RはC1-6アルキル基である。最適には、RはC1-4アルキル基である。

【0030】
上記Rは-H、-CN、-COOH、-NH、-NO、-OH、または-SHから選択される。好ましくは、-H、-CN、-COOH、-NH、または-NOである。より好ましくは、-H、-CN、-COOH、または-NOである。最適には、-H、または-NOである。

【0031】
一方、本発明は、さらに以下のステップを含む前記ナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの製造方法を提供する。

【0032】
1)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(4-bromo-1,8-naphthalic anhydride)と、R-NHとを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物Vを製造するステップ。
【化9】
JP0005997288B2_000010t.gif

【0033】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。

【0034】
好ましい実施形態では、反応温度は80~140℃、反応時間は2~10時間、反応溶媒はエタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、R-NHとのモル比は1:1~1:4である。

【0035】
より好ましい実施形態では、反応温度は90~120℃、反応時間は3~10時間、反応溶媒は酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、R-NHとのモル比は1:1~1:3である。

【0036】
最適な実施形態では、反応温度は95~110℃、反応時間は4~8時間、反応溶媒は酢酸である。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、R-NHとのモル比は1:1~1:2である。

【0037】
2)4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物とを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIを製造するステップ。
【化10】
JP0005997288B2_000011t.gif

【0038】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。

【0039】
好ましい実施形態では、反応温度は80~140℃、反応時間は2~10時間、反応溶媒はエタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物とのモル比は1:1~1:4である。

【0040】
より好ましい実施形態では、反応温度は90~120℃、反応時間は3~10時間、反応溶媒は酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物とのモル比は1:1~1:3である。

【0041】
最適な実施形態では、反応温度は95~110℃、反応時間は4~8時間、反応溶媒は酢酸である。4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、式iの化合物とのモル比は1:1~1:2である。

【0042】
3)4-ブロモアセナフテンキノン(4-bromoacenaphtenequinone)と、式iの化合物とを1:1~1:5のモル比で反応させて、化合物VIIを製造するステップ。
【化11】
JP0005997288B2_000012t.gif

【0043】
ここで、反応温度は70~150℃、反応時間は1~12時間、反応溶媒はジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。

【0044】
好ましい実施形態では、反応温度は80~140℃、反応時間は2~10時間、反応溶媒はエタノール、酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモアセナフテンキノンと、式iの化合物とのモル比は1:1~1:4である。

【0045】
より好ましい実施形態では、反応温度は90~120℃、反応時間は3~10時間、反応溶媒は酢酸エチル、酢酸、またはそれらの混合物から選択される。4-ブロモアセナフテンキノンと、式iの化合物とのモル比は1:1~1:3である。

【0046】
最適な実施形態では、反応温度は95~110℃、反応時間は4~8時間、反応溶媒は酢酸である。4-ブロモアセナフテンキノンと、式iの化合物とのモル比は1:1-1:2である。

【0047】
4)アセナフテンキノンと、マロノニトリル(malononitrile)と、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)とを1:1:5のモル比で反応させて、化合物VIIIを製造するステップ。
【化12】
JP0005997288B2_000013t.gif

【0048】
まず室温で0.5時間反応させた後、反応温度を徐々に70~180℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~12時間反応させる。反応溶媒は、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、又はそれらと水からなる混合物から選択される。

【0049】
好ましい実施形態では、まず室温で0.5時間反応させた後、反応温度を徐々に80~160℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~10時間反応させる。反応溶媒は、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、又はそれらと水からなる混合物から選択される。

【0050】
より好ましい実施形態では、まず室温で0.5時間反応させた後、反応温度を徐々に90~140℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~8時間反応させる。反応溶媒は、ジメチルスルホキシド、又はそれと水からなる混合物から選択される。

【0051】
最適な実施形態では、まず室温で0.5時間反応させた後、反応温度を徐々に100~120℃まで上昇させ、この温度を保ちながら4~6時間反応させる。反応溶媒は、ジメチルスルホキシドである。

【0052】
5)ステップ1)~4)で製造された化合物V、VI、VII、VIIIをそれぞれNHNHと1:1~1:2.5のモル比で反応させて、化合物IX、X、XI、XIIを製造するステップ。
【化13】
JP0005997288B2_000014t.gif

【0053】
ここで、反応温度は100~175℃、反応時間は1~7時間、反応溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール(2-methoxyethanol)、またはそれらの混合物である。

【0054】
好ましい実施形態では、反応温度は100~165℃、反応時間は1~6時間、反応溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール、またはそれらの混合物であり、それぞれの化合物V、VI、VII、VIIIと、NHNHとのモル比は1:1~1:2.5である。

【0055】
より好ましい実施形態では、反応温度は100~150℃、反応時間は1~5時間、反応溶媒は、エタノール、2-メトキシエタノール、またはそれらの混合物であり、それぞれの化合物V、VI、VII、VIIIと、NHNHとのモル比は1:1~1:2である。

【0056】
最適な実施形態では、反応温度は100~130℃、反応時間は1~4時間、反応溶媒は2-メトキシエタノールであり、それぞれの化合物V、VI、VII、VIIIと、NHNHとのモル比は1:1~1:1.5である。

【0057】
6)化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物とを1:1~1:3のモル比で反応させて、化合物Iを製造するステップ。
【化14】
JP0005997288B2_000015t.gif

【0058】
ここで、反応温度は0~100℃,反応時間は12~48時間、反応溶媒は、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、またはそれらの混合物である。反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジン(Dimethylaminopyridine)を触媒とする。

【0059】
好ましい実施形態では、反応温度は10~80℃、反応時間は12~32時間、反応溶媒は、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、またはそれらの混合物である。反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物とのモル比は1:1~1:3である。

【0060】
より好ましい実施形態では、反応温度は20~70℃、反応時間は12~24時間、反応溶媒は、ジクロロメタン、酢酸エチル、またはそれらの混合物である。反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物とのモル比は1:1~1:2.5である。

【0061】
最適な実施形態では、反応温度は25~40℃、反応時間は12~24時間、反応溶媒はジクロロメタンである。反応は有機塩基の存在する条件下で行われ、4-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、化合物IX、X、XI、XIIと、式iiの化合物とのモル比は1:1~1:1.5である。

【0062】
上記本発明のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブの製造方法に記載の各置換基(R、R、R、RおよびR)の定義及び好ましい態様は、本発明の記載における化合物に対する定義、およびその好ましい態様と同じである。

【0063】
本発明の上記方法で合成された二光子蛍光プローブ化合物に対して、核磁気共鳴スペクトルまたはマススペクトルを利用して、その構造を確認し、且つ補助的に、13C-NMRスペクトル、融点試験によりその構造を確認する。

【0064】
本発明に記載のナフタレンを基本骨格とする二光子蛍光プローブは下記の利点を有する。

【0065】
上記化合物に特有の標的点が導入されることによって、腫瘍細胞と組織に対する標識の特異性、特殊性が高められた。

【0066】
上記化合物は二光子を吸収する機能に優れるので、生体試料のイメージングに利用する際に、光による生体の漂白性、光損傷、生体への毒性が低く、且つ生成される蛍光信号は生体組織の深くまで透過できる。

【0067】
上記化合物の一部の分子は、600nmより大きい蛍光発光波長を有し、動物の生体イメージングに利用できる。

【0068】
上記化合物においてニトロ(nitro)基を有する分子は、比例型プローブとして、腫瘍細胞および組織の標識に利用でき、定量的な標識を良好に実現でき、更に外部環境にある要素が、蛍光強度に及ぼす影響を防止できる。

【0069】
上記化合物は毒性が低く、原料が入手しやすく、構造が簡単であり、製造しやすく、産業化しやすい。

【0070】
上記に鑑みて、本発明に記載の二光子蛍光プローブ化合物は、腫瘍細胞および組織の標識に適用できる。本明細書に記載の形で腫瘍細胞および組織の染色に直接使用されるだけでなく、本発明に記載の二光子蛍光プローブ化合物を含む組成物も腫瘍細胞および組織の染色に使用できる。前記組成物は、本発明で提供される二光子蛍光プローブ化合物のうちの一つを有効量含むべきである。また、例えば、溶媒、pH調整剤等のような、生体試料の染色に必要な他の成分を含んでもよい。これらの成分はすべて当該技術分野で公知のものである。上記組成物は、水溶液で存在してもよく、又は使用直前に水で溶液を調合する等、他の適切な形で存在してもよい。

【0071】
本発明は、更に上記本発明の二光子蛍光プローブ化合物により腫瘍細胞および組織の生体試料を標識する方法を提供する。該当方法は、前記化合物を生体試料に接触させるステップを含む。本明細書で使用される「接触」は溶液または固相中での接触を指してもよい。

【0072】
下記の非限定的な実施例は、当業者に本発明の全体を理解させるものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0073】
(実施例1:プローブ化合物Aの製造)
【化15】
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【実施例】
【0074】
(1)中間体1の合成
20mmolの4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、25mmolのメチルアミン(methylamine)とを、10mlの酢酸溶液が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を100℃で2hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、白い固体粉末の粗生成物である中間製品1を得た。収率は96%であった。
【実施例】
【0075】
(2)中間体2の合成
ステップ(1)で得られた、20mmolの粗生成物1と、30mmolのヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)とを、20mlの2-メトキシエタノール(2-methoxyethanol)が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を125℃で5hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって黄色い固体粉末の中間体2を得た。収率は55%であった。
【実施例】
【0076】
(3)プローブ化合物Aの合成
20mmolの黄色い固体粉末の中間体2と、25mmolのインドメタシン(indometacin)と、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide)(EDC )と、少量の4-メチルピリジン(4-methylpyridine)とを、無水ジクロロメタン(dichloromethane)溶液に入れ、室温下で撹拌しながら24時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって山吹色の生成品を得た。収率は84%であった。
【実施例】
【0077】
図1は化合物Aの核磁気共鳴スペクトル(NMR)である。ここで、H NMR (400 MHz、 DMSO) δ 8.69 (d、J =8.3 Hz、1H)、8.43 (d、J=7.2 Hz、1H)、8.25 (d、J=8.5Hz、1H)、 8.03 (s、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、2H)、7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、6.91(d、J=9.0Hz、1H)、 6.72(d、J=8.6Hz、1H)、6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.74(s、3H)、3.48(s、2H)、3.37—3.12(m、16H)、3.08(d、J=6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6 Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71—1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、14.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)である。
【実施例】
【0078】
(実施例2:プローブ化合物Aで腫瘍細胞および非腫瘍細胞を標識する試験)
実施例1で合成された化合物Aを使用して、濃度が4μMのA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたHela細胞とHEK293細胞を、培地において、37度、COが5%存在する条件下で60分培養する。そして、PBSで5 min×3回振とう洗浄した後、更に細胞培地を加えて、二光子を用いた共焦点レーザー法によりイメージングを行う。代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察する。観察は三回繰り返される。イメージングにより、Hela細胞内で強い蛍光信号が得られるが、HEK293細胞内では蛍光信号が得られないことが分かった。図2(a)はプローブAを加えた後のHela細胞の焦準を合わせて撮った写真であり、図2(b)はプローブAを加えた後のHKE293細胞の焦準を合わせて撮った写真である。写真を撮った波長は500~550nmであった。
【実施例】
【0079】
(実施例3:プローブAの二光子を吸収する有効断面の測定試験)
フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用い、フルオレセインを含むNaOH溶液(pH11)を参照とし、実施例1で合成された化合物Aをそれぞれメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル(acetonitrile)、ジオキサン(dioxane)、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide )、水などの溶媒に加えて、二光子を吸収する断面の測定を行った。使用される溶液の濃度は全て1×10-4Mであり、以下の式で算出する。
【数1】
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【実施例】
【0080】
式中、Cは溶液の濃度、nは溶媒の屈折率を示し、表を調べることによって得られる。Fは転換された蛍光強度を示し、実験によって得られる。δは二光子を吸収する断面である。参照溶液の物理量は全て下付き文字rで示す。
【実施例】
【0081】
異なる溶媒において、異なる波長で測定した二光子を吸収する有効な断面(Φδ)の結果を図3に示す。二光子励起蛍光スペクトルの励起源はモード同期チタンサファイアレーザーである。レーザーパルス幅は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)であり、調節可能な波長範囲は700~980 nmであった。実験中に、フェムト秒レーザー波長は、所望の測定波長に調節された。
【実施例】
【0082】
(実施例4:プローブ化合物Aの製造)
【化16】
JP0005997288B2_000018t.gif
【実施例】
【0083】
(1)中間体1の合成
20mmolの4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、25mmolのo-フェニレンジアミン(o-phenylenediamine)とを、10mlの酢酸溶液が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を95℃で4hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物である中間製品1を得た。収率は90%であった。
【実施例】
【0084】
(2)中間体2の合成
ステップ(1)で得られた、20mmolの粗生成物1と、25mmolのヘキサメチレンジアミンとを、20mlの2-メトキシエタノールが入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を125℃で5hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって黄色い固体粉末の中間体2を得た。収率は63%であった。
【実施例】
【0085】
(3)プローブAの合成
20mmolの黄色い固体粉末の中間体2と、25mmolのインドメタシンと、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と、少量の4-メチルピリジンとを、無水ジクロロメタン溶液に入れ、室温下で撹拌しながら24時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによってインディアンイエロー色の生成品Aを得た。収率は84%であった。ここで、H NMR(400MHz、DMSO) δ8.99(d、J=7.2Hz、2H)、8.69(d、J=8.3Hz、1H)、8.43(d、J=7.2Hz、1H)、8.25(d、J=8.5Hz、1H)、8.19(d、J=6.3Hz、2H)、8.03(s、1H)、7.85(d、J=4.6Hz、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、2H)、 7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、6.91(d、J=9.0Hz、1H)、6.72(d、J=8.6Hz、1H)、 6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.48(s、2H)、3.37—3.12(m、16H)、3.08(d、J=6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71—1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、14.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)であった。
【実施例】
【0086】
(実施例5:プローブ化合物Aで腫瘍細胞および非腫瘍細胞を標識する試験)
マウスの肺部の腫瘍組織の切片およびマウスの肺部の非腫瘍組織の切片を、上記実施例4で合成された化合物Aを含む10μMのPBS溶液に浸す。30分後に取り出し、マウンテング及びシーリングしてから、二光子を用いた共焦点レーザー法により蛍光写真を撮った。二光子を用いた共焦点レーザー法によるイメージングにより、マウスの肺部の腫瘍組織の切片では強い蛍光信号が得られたが、マウスの肺部の非腫瘍組織の切片では蛍光信号が得られないことが分かった。図4(a)はプローブAを添加した後のマウスの肺部の腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真であり、図4(b)はプローブAを添加した後のマウスの肺部の非腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真である。写真を撮った波長は500~550nmであった。
【実施例】
【0087】
(実施例6:プローブ化合物Aの水溶性測定試験)
上記実施例4で合成された化合物Aを水に入れて、異なる濃度でAを含む水溶液の、最大吸収波長での吸光度を測定した。測定結果により、化合物Aの濃度が5μMである場合、吸光度に変化が見られないことが分かった。即ち、化合物Aの水に対する溶解度は5μMであった。図5は、異なる濃度のプローブAの最大吸収波長での吸光度を示す。使用される測定機器は、それぞれAgilent 8453紫外分光光度計である。
【実施例】
【0088】
(実施例7:プローブ化合物Aの製造)
【化17】
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【実施例】
【0089】
(1)中間体1の合成
20mmolの4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物と、25mmolの4-ニトロ-ο-フェニレンジアミン(4-Nitro-o-phenylenediamine)とを、10mlの酢酸溶液が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を105℃で3hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物である中間製品1を得た。収率は87%であった。
【実施例】
【0090】
(2)中間体2の合成
ステップ(1)で得られた、20mmolの粗生成物1と、25mmolのヘキサメチレンジアミンとを、20mlの2-メトキシエタノールが入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を125℃で4hし続た後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、橙赤色の固体粉末の粗生成物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって橙赤色の固体粉末の中間体2を得た。収率は54%であった。
【実施例】
【0091】
(3)プローブAの合成
20mmolの橙赤色の固体粉末の中間体2と、25mmolのインドメタシンと、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と、少量の4-メチルピリジンとを、無水ジクロロメタン溶液に入れ、室温下で撹拌しながら28時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除し去、カラムクロマトグラフィーによって橙赤色の生成品Aを得た。収率は84%であった。ここで、H NMR(400MHz、DMSO)δ8.99(d、J=7.2Hz、1H)、8.69(d、J=8.3Hz、1H)、8.43(d、J=7.2Hz、1H)、8.25(d、J= 8.5Hz、1H)、8.19(d、J=6.3Hz、1H)、8.03(s、1H)、7.85(d、J=4.6Hz、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、2H)、7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、6.91(d、J=9.0Hz、1H)、6.72(d、J=8.6Hz、1H)、6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.48(s、2H)、3.37-3.12(m、16H)、3.08(d、J=6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71-1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、14.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)であった。
【実施例】
【0092】
(実施例8:プローブ化合物Aの溶媒効果の測定試験)
上記実施例7で合成された化合物Aをそれぞれメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、水などの溶媒に加えて、異なる溶媒での紫外吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを測定した。測定結果により、溶媒の極性の変化に伴って、紫外吸収スペクトルでの最大吸収波長も変化し、蛍光発光スペクトルでも最大吸収波長が変化することが分かった。図6(a)は異なる溶媒でのプローブAの紫外吸収スペクトルであり、図6(b)は異なる溶媒でのプローブAの蛍光発光スペクトルである。使用される測定機器は、それぞれAgilent 8453紫外分光光度計、およびAgilent Cary Eclipse蛍光分光光度計である。
【実施例】
【0093】
(実施例9:プローブ化合物Aの二光子を吸収する有効断面の測定試験)
フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用い、フルオレセインを含むNaOH溶液(pH11)を参照とし、実施例7で合成された化合物Aをそれぞれメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、水などの溶媒に加えて、二光子を吸収する断面を測定する。使用される溶媒の濃度は全て1×10-4Mであり、式2.2により二光子を吸収する断面の値を得た。使用した異なる溶媒において、異なる波長で二光子を吸収する有効断面(Φδ)を測定した結果を図7に示す。二光子励起蛍光スペクトルの励起源はモード同期チタンサファイアレーザーである。レーザーパルス幅は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)であり、調節可能な波長範囲は700~980 nmであった。実験中にフェムト秒レーザー波長が所望の測定波長に調節された。
【実施例】
【0094】
(実施例10:プローブ化合物Aの製造)
【化18】
JP0005997288B2_000020t.gif
【実施例】
【0095】
(1)中間体1の合成
33mmolのアセナフテンキノン、および180mmolの液体臭素をシングルネック(Single neck)フラスコに入れて、撹拌しながら、65℃までゆっくりと温度を上げた後、一定温度で3h撹拌し続けた。反応を停止してから、少量のHSOを含む300mlの蒸留水を加えると、黄色い固体が析出し、水溶液がインディアンイエロー色になった。更に、液体が無色になるまで加熱沸騰させて臭素と臭化水素を除去した。ろ過して、ろ過液が中性になるまで複数回溶解した。乾燥してから粗生成物である中間体1を得た。粗収率は90%であり、M.p.は、236~238℃であった。
【実施例】
【0096】
(2)中間体2の合成
20mmolの中間体1と、25mmolのo-フェニレンジアミンとを10mlの酢酸を含む溶液が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を105℃で6hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物である中間製品2を得た。収率は79%であった。
【実施例】
【0097】
(3)中間体3の合成
ステップ(2)で得られた、20mmolの中間製品2と、25mmolのヘキサメチレンジアミンとを、20mlの2-メトキシエタノールが入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を125℃で6hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、黄色い固体粉末の粗生成物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって黄色い固体粉末の中間体3を得た。収率は66%であった。
【実施例】
【0098】
(4)プローブAの合成
20mmolの黄色い固体粉末の中間体3と、30mmolのインドメタシンと、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と、少量の4-メチルピリジンとを、無水ジクロロメタン溶液に入れ、室温下で撹拌しながら25時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって黄色い生成品Aを得た。収率は74%であった。ここで、H NMR (400MHz、DMSO)δ8.86(d、J=7.9Hz、2H)8.69(d、J=8.3Hz、1H)、8.43(d、J=7.2Hz、1H)、8.25(d、J=8.5Hz、1H)、8.17(d、J=6.3Hz、2H)、8.03(s、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、2H)、7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、6.91(d、J=9.0Hz、1H)、6.72(d、J=8.6Hz、1H)、6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.48(s、2H)、3.37-3.12(m、16H)、3.08(d、J=6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71-1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、14.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)であった。
【実施例】
【0099】
(実施例11:プローブAの腫瘍組織および非腫瘍組織に対する標識試験)
マウスの肺部の腫瘍組織の切片およびマウスの肺部の非腫瘍組織の切片を、上記実施例10で合成された化合物Aを10μM含むPBS溶液に浸した。30分後に取り出し、マウンテング及びシーリングしてから、二光子を用いた共焦点レーザー法により蛍光写真を撮った。二光子を用いた共焦点レーザー法によるイメージングにより、マウスの肺部の腫瘍組織の切片では強い蛍光信号が得られたが、マウスの肺部の非腫瘍組織の切片では蛍光信号が得られないことが分かった。図8(a1)および(a2)はプローブAを添加した後のマウスの肺部の腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真であり、図8(b1)および(b2)は、プローブAを添加した後のマウスの肺部の非腫瘍組織の切片の焦準を合わせて撮った写真である。ここで、図8(a1)および図8(b1)の撮像波長は500~550nmであり、図8(a2)および図8(b2)の撮像波長は570~650nmである。
【実施例】
【0100】
(実施例12:プローブの水溶性測定試験)
上記合成された化合物Aを水に入れて、異なる濃度のAの最大吸収波長での吸光度を測定した。測定結果により、化合物Aの濃度が24μMである場合、吸光度の変化がないことが分かった。即ち、化合物Aの水に対する溶解度は24μMであった。図9は異なる濃度のプローブAの最大吸収波長での吸光度である。使用される測定機器はそれぞれAgilent 8453紫外分光光度計である。
【実施例】
【0101】
(実施例13:プローブ化合物Aの合成)
【化19】
JP0005997288B2_000021t.gif
【実施例】
【0102】
(1)中間体1の合成
33mmolのアセナフテンキノン、および180mmolの液体臭素をシングルネックフラスコに入れて、撹拌しながら、65℃までゆっくりと温度を上げた後、一定温度で3h撹拌し続けた。反応を停止した後、少量のHSOを含む300mlの蒸留水を加えると、黄色い固体が析出し、水溶液がインディアンイエロー色になった。更に、液体が無色になるまで加熱沸騰させて臭素と臭化水素を除去した。ろ過して、ろ過液が中性になるまで複数回溶解させた。乾燥した後、粗生成物である中間体1を得た。粗収率は90%であり、M.p.は236~238℃であった。
【実施例】
【0103】
(2)中間体2の合成
20mmolの中間体1と、30mmolのO-フェニレンジアミンとを10mlの酢酸を含む溶液が入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を100℃で5hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、赤い固体粉末の粗生成物である中間製品2を得た。収率は83%であった。
【実施例】
【0104】
(3)中間体3の合成
ステップ(2)で得られた、20mmolの中間製品2と、25mmolのヘキサメチレンジアミンとを、20mlの2-メトキシエタノールが入った丸底フラスコに入れて、窒素雰囲気にした。加熱還流を125℃で5.5hし続けた後、反応を停止した。混合物を氷水に注いだ後、橙赤色の沈殿物を析出させ、吸引ろ過して、橙赤色の固体粉末の粗生成物を得た。更にカラムクロマトグラフィーによって橙赤色の固体粉末の中間体3を得た。収率は72%であった。
【実施例】
【0105】
(4)プローブAの合成
20mmolの橙赤色の固体粉末の中間体3と、30mmolのインドメタシンと、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と、少量の4-メチルピリジンとを、無水ジクロロメタン溶液に入れ、室温下で撹拌しながら25時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって黄色い生成品Aを得た。収率は74%であった。ここで、H NMR (400MHz、DMSO)δ8.86(d、J=7.9Hz、1H)8.69(d、J=8.3Hz、1H)、8.43(d、J=7.2Hz、1H)、8.25(d、J=8.5Hz、1H)、8.23(d、J=6.9Hz、1H)、8.18(d、J=6.3Hz、1H)、8.03(s、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、162H)、7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、 6.91(d、J=9.0Hz、1H)、6.72(d、J=8.6Hz、1H)、6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.48(s、2H)、3.37-3.12(m、16H)、3.08(d、J=6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71-1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、4.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)であった。
【実施例】
【0106】
(実施例14:プローブAの腫瘍細胞および非腫瘍細胞に対する標識試験I)
実施例13で合成された化合物Aを使用して、濃度が4μMのA-DMSO溶液4μLがそれぞれ添加されたHela細胞とHEK293細胞を、培地において、37度、COが5%存在する条件下で60分培養した。そして、PBSで5 min×3回振とう洗浄した後、更に細胞培地を加えて、二光子を用いた共焦点レーザー法によりイメージングを行った。代表的な領域を選択して、油浸レンズ(100×)で観察した。観察は三回繰り返された。イメージングにより、Hela細胞内では強い蛍光信号が得られるが、HEK293細胞内では蛍光信号が得られないことが分かった。図10(a1)および図10(a2)はHela細胞であり、図10(b1)および図10(b2)はHEK293細胞である。ここで、図10(a1)および図10(b1)の撮像波長は500~550nmであり、図10(a2)および図10(b2)の撮像波長は570~650nmであった。
【実施例】
【0107】
(実施例15:プローブAの腫瘍組織および非腫瘍組織に対する標識試験II)
マウスの肺部の腫瘍組織の切片およびマウスの肺部の非腫瘍組織の切片を上記実施例13で合成された化合物Aを含むPBS溶液(濃度は10μMである)に浸した。30分後に取り出し、マウンテング及びシーリングしてから、二光子を用いた共焦点レーザー法により蛍光写真を撮った。二光子を用いた共焦点レーザーによるイメージングにより、マウスの肺部の腫瘍組織の切片では強い蛍光信号が得られるが、マウスの肺部の非腫瘍組織の切片では蛍光信号が得られないことが分かった。図11(a1)および図11(a2)はマウスの肺部の腫瘍組織であり、図11(b1)および図11(b2)はマウスの肺部の非腫瘍組織である。ここで、図11(a1)および図11(b1)の撮像波長は500~550nmであり、図11(a2)および図11(b2)の撮像波長は570~650nmである。
【実施例】
【0108】
(実施例16:プローブ化合物Aの合成)
【化20】
JP0005997288B2_000022t.gif
【実施例】
【0109】
(1)中間体1の合成
0.5gのアセナフトキノンおよびと0.2gのマロノニトリル(Malononitrile)を50mlのジクロロメタンに溶解させて、寸胴のシリカゲルカラム(直径は50mmであり、シリカゲルの充填高さは約100mmである)に直接加え、ジクロロメタンで素早く連続的にカラム洗浄して、Rf=0.8の橙色バンドを収集して、ジクロロメタンを蒸発させて、橙赤色の固体の中間製品1を得た。収率は97%より高かった。
【実施例】
【0110】
(2)中間体2の合成
1.1gの中間製品と、0.2gの炭酸カリウムとを20mlの溶媒に入れて、加熱還流した。数分後に大量の褐色結晶が現れた後、冷却ろ過して、水洗して炭酸カリウムおよび溶媒を除去した。更に、乾燥して純粋な中間製品2を得た。収率は93%より高かった。
【実施例】
【0111】
(3)中間体3の合成
ステップ(2)で得られた、20mmolの中間体2と、25mmolのヘキサンジアミンとを20mlのアセトニトリル (acetonitrile)が入った丸底フラスコに入れて、常温で撹拌しながら1h反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により溶媒を除去し、シリカゲルカラム・クロマトグラフィーによって分離を行い、Rf=0.25の赤色バンドを収集して、溶媒を除去し、純粋な中間製品3を得た。収率は73%であった。
【実施例】
【0112】
(4)プローブAの合成
20mmolの赤色の固体粉末の中間体3と、30mmolのインドメタシンと、25mmolの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と、少量の4-メチルピリジンとを、無水ジクロロメタン溶液に入れ、室温下で撹拌しながら24時間反応させた後、反応を停止した。減圧蒸留により大部分の溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって赤色の生成品Aを得た。収率は69%であった。ここで、H NMR(400MHz、DMSO)δ8.95(d、J=7.6Hz、1H)、8.58(d、J= 7.2Hz、1H)、7.98(d、J=8.8Hz、1H)、7.88(t、J=7.8Hz、1H)、7.72(d、J=3.5Hz、2H)、7.64(dt、J=20.8、6.4Hz、5H)、7.12(d、J=2.4Hz、1H)、7.03(d、J= 9.2Hz、1H)、6.91(d、J=9.0Hz、1H)、6.72(d、J=8.6Hz、1H)、6.68(dd、J=9.0、2.5Hz、1H)、4.22(s、1H)、3.48(s、2H)、3.37-3.12(m、16H)、3.08(d、J= 6.1Hz、2H)、2.51(d、J=1.6Hz、6H)、2.22(s、3H)、1.71-1.57(m、3H)、1.37(ddd、J=24.7、14.6、6.8Hz、8H)、1.23(s、1H)であった。
【実施例】
【0113】
(実施例17:プローブ化合物Aの溶媒化効果の測定試験)
上記の実施例16により合成された化合物Aを、それぞれメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、水などの溶媒に加えて、異なる溶媒での紫外吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを測定した。測定結果により、溶媒の極性の変化に伴って、紫外吸収スペクトルでの最大吸収波長も変化し、蛍光発光スペクトルでも最大吸収波長が変化することが分かった。図12(a)は異なる溶媒でのプローブAの紫外吸収スペクトルであり、図12(b)は異なる溶媒でのプローブAの蛍光発光スペクトルである。使用される測定機器はそれぞれAgilent 8453紫外分光光度計およびAgilent Cary Eclipse蛍光分光光度計であった。
【実施例】
【0114】
(実施例18:プローブ化合物Aの二光子を吸収する有効断面の測定試験)
フェムト秒レーザーを用いた二光子誘導蛍光法を用い、フルオレセインを含むNaOH溶液(pH11)を参照とし、実施例16で合成された化合物Aをそれぞれメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、水などの溶媒に加えて、二光子を吸収する断面を測定した。使用される溶媒の濃度は全て1×10-4Mであった。式2.2により二光子を吸収する断面の値が得られる。使用する異なる溶媒において、異なる波長で二光子を吸収する有効断面(Φδ)を測定した結果を図13に示す。二光子励起蛍光スペクトルの励起源はモード同期チタンサファイアレーザーである。レーザーパルス幅は70fsであり、重複周波数は80MHzであり、レーザーの平均出力電力は1.5W(780nm)であり、調節可能な波長範囲は700~980 nmであった。実験中にフェムト秒レーザー波長が所望の測定波長に調節された。

【実施例】
【0115】
上記内容は、好ましい具体的な実施形態を用いて、本発明を詳細に説明したものであるが、本発明の具体的な実施はこれらの説明に限定されない。本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない前提で、いくつかの簡単な推論または置換を行うことも、すべて本発明の保護範囲に含まれるとみなされるべきである。蛍光染料として用いることは本発明の新規な化合物の用途の一つであるが、本発明の化合物は、蛍光染料だけに用いられるものとみなされるべきではなく、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明における化合物が蛍光染料として用いられる場合と同じメカニズムに基づき、いくつかの簡単な推論を経て得られる本発明の化合物の他の用途も、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
図面
【図1】
0
【図2(a)】
1
【図2(b)】
2
【図3】
3
【図4(a)】
4
【図4(b)】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13
【図13】
14