TOP > 中国の大学の特許 > 北京大学の特許一覧 > 希土類異方性永久磁石材料、その磁気粉末およびそれからなる磁石の製造方法 > 明細書

明細書 :希土類異方性永久磁石材料、その磁気粉末およびそれからなる磁石の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4659780号 (P4659780)
公開番号 特開2008-078610 (P2008-078610A)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発行日 平成23年3月30日(2011.3.30)
公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
発明の名称または考案の名称 希土類異方性永久磁石材料、その磁気粉末およびそれからなる磁石の製造方法
国際特許分類 H01F   1/053       (2006.01)
C01G  49/00        (2006.01)
C01F  17/00        (2006.01)
C08L  21/00        (2006.01)
C08K   3/08        (2006.01)
H01F   1/08        (2006.01)
H01F  41/02        (2006.01)
FI H01F 1/04 A
C01G 49/00 D
C01F 17/00 Z
C08L 21/00
C08K 3/08
H01F 1/08 A
H01F 41/02 G
請求項の数または発明の数 10
全頁数 20
出願番号 特願2007-110646 (P2007-110646)
出願日 平成19年4月19日(2007.4.19)
優先権出願番号 200610113209.4
優先日 平成18年9月19日(2006.9.19)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成19年4月19日(2007.4.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】500212103
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY
発明者または考案者 【氏名】楊應昌
個別代理人の代理人 【識別番号】100078662、【弁理士】、【氏名又は名称】津国 肇
【識別番号】100113653、【弁理士】、【氏名又は名称】束田 幸四郎
【識別番号】100116919、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 房幸
審査官 【審査官】山田 倍司
参考文献・文献 特開平06-013212(JP,A)
特開2000-049006(JP,A)
特開2003-293002(JP,A)
特開2001-210506(JP,A)
特開2005-050988(JP,A)
特開2006-086290(JP,A)
特開平06-330252(JP,A)
特開平10-289812(JP,A)
特開平11-340020(JP,A)
特開平08-081741(JP,A)
調査した分野 H01F 1/00- 1/117
1/40
7/00- 7/02
41/00-41/04
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式:
(Sm1-ααFe100-x-y-z
(式中、Rは、単一のPr、またはPrとLa、Ce、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYからなる群から選択される少なくとも1種類の希土類元素との組み合わせであり、αは、0.01≦α≦0.20であり、Mは、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Al及びZrからなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、Iは、単一のNまたはNとCの組み合わせであり、x、y及びzは、それぞれ原子%で、7≦x≦12、0.01≦y≦8.0、6≦z≦14.4である)で表され、Th2Zn17型結晶構造を有し、平均粒径が1~3μmの異方性を有するスライス状の単結晶粉末であり、結晶粒子の磁化容易軸方向c軸がスライス状結晶の短軸方向に沿うことを特徴とする、希土類異方性永久磁石材料。
【請求項2】
前記αが0.1~0.20である、請求項1記載の希土類異方性永久磁石材料。
【請求項3】
前記Rが、Pr1-ββ’(式中、R’は、Yを含むがSm及びPr以外の希土類元素であり、βは、0.95未満である)であり、かつ、Prの含有量が希土類元素組成(Sm1-αα)全体に対して1原子%以上である、請求項1記載の希土類異方性永久磁石材料。
【請求項4】
前記Mが、Si、V、Ni、またはSi-V、Si-Ni、もしくはSi-V-Niの組み合わせである、請求項1記載の希土類異方性永久磁石材料。
【請求項5】
IがNとCの組み合わせであり、かつ、Nの含有量が50原子%以上である、請求項1記載の希土類異方性永久磁石材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の希土類異方性永久磁石材料の粉末の製造方法であって、
(1)窒素以外の他の成分を使用して、溶解またはメルトスピニング薄片技術によって母合金を作製する工程、
(2)前記母合金を、窒素雰囲気中で、窒化温度が450~600℃、反応時間が4~8時間で気相-固相反応させる工程、
(3)前記得られた窒化物を粉砕し、平均粒径が1~3μmの異方性を有するスライス状の単結晶粉末を形成する工程、
を含む方法。
【請求項7】
請求項1記載の希土類異方性永久磁石材料の磁気粉末と、ゴムと、加工補助剤とを、磁気粉末78~98重量%、ゴム1.5~20重量%、加工補助剤0.5~10重量%の割合で混合し、その後、混練、圧延を行い、ここで、混練と圧延成型工程中において圧延の繰り返し回数が少なくとも30回であり、これによって異方性圧延ゴム磁石が成形される、異方性圧延フレキシブル磁石の製造方法。
【請求項8】
混練前、混練工程中、または圧延工程中に磁場をかける、請求項7記載の異方性圧延フレキシブル磁石の製造方法。
【請求項9】
磁場として、ネオジウム系焼結磁石からの永久磁場、定常電磁場またはパルス電磁場を使用し、磁場強度が4~60kOeである、請求項8記載の異方性圧延フレキシブル磁石の製造方法。
【請求項10】
圧延後、磁石を50~100℃の温度に加熱し、再び磁場中で磁石表面の垂直方向に圧縮成形し、冷却し、ここで、磁界の方向と圧縮方向が同一であり、磁場強度が15~20kOeである、請求項7記載の異方性圧延フレキシブル磁石の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類異方性永久磁石材料、異方性磁気粉末および圧延磁気異方性を有するフレキシブル磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類磁石は焼結磁石とボンド磁石との2種類に大別される。最近、ボンド磁石に関する技術が急速に進歩している。また、ボンド磁石も、成形技術により、圧縮成形磁石、射出成形磁石、押出成形磁石および圧延成形磁石などの異なる種類がある。圧延技術により製造されるフレキシブルゴム磁石は、加工が容易で、コストが低く、その市場も大きい。従来の永久磁石材料の中では、フェライト粉末だけが圧延磁気異方性を有し、すでにフレキシブル圧延磁石の製造に多く使用されている。しかし、フェライトは圧延磁気異方性を有するものの、フェリ磁性に属するので、それ自身の磁性は低い。このため、現在製造することができる圧延磁石の最大磁気エネルギー積は5.6~13.6kJ/m3(0.7~1.7MGOe)にとどまり、デバイスの小型化と高性能化の要望に対しては、性能が十分であるとはいえない。
【0003】
一方、希土類永久磁石材料において、希土類ボンド磁石の製造に多く使用されているのが急冷ネオジウム磁気粉末である。急冷ネオジウム磁気粉末は等方性の圧縮成形磁石の製造に広く応用されている。しかし、急冷ネオジウム磁気粉末を用いて圧延磁石を製造すると、いくつかの問題が生じる。たとえば、その粉末は粒子が大きいので、延性が低い、表面が荒い、加工が難しいという問題が生じる。また、急冷ネオジウム磁気粉末は等方性であり、圧延磁気異方性を有しないので、高性能の圧延磁石の製造には使用できない。なお、一般に異方性を有する希土類永久磁石材料と言われるもの、たとえば、サマリウムコバルト磁石とHDDR方法(Hydrogenation:水素吸蔵、 Disproportionation:ディスプロポーショネーション、 Desorption:脱水素、 Recombination:再結合)により製造されるテクスチャーを有するネオジウム磁気粉末は、その異方性は結晶磁気異方性だけを示し、これらを磁場中において配向することができる。磁場成形技術によって異方性圧縮成形磁石または異方性射出成形磁石を作製できるが、圧延磁気異方性を有しない、たとえば、サマリウムコバルト磁気粉末は高い特性を有するものの、圧延異方性を有しないので、得られた圧延ゴム磁石は等方性であり、最大磁気エネルギー積が低く、実用的ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1990年頃、J.M.D.Coeyらは、組成がSm2Fe17Ndである希土類元素-鉄-窒素系材料を発明した(J.M.D.Coey et al., "Rare Earth based magnetic materials, production process and use". European patent Application number:91303442.7)。人上恭彦らは、“希土類元素、鉄、窒素および水素の磁性材料”を報告した(中国特願:89101552.3)。楊応昌らは、中性子回折により、R2Fe17系化合物の結晶構造を測定し、これらの窒化物がTh2Zn17構造を有し、窒素原子が結晶の格子の隙間を占めることを明らかにした(Yingchang Yang et al. (1991) Neutron diffraction study of ternary nitrides of R2Fe17Nx, Journal of Applied Physics, 70(10): 6018)。窒素の格子による隙間原子の効果により、これらの窒化物は高いキューリ温度(Tc)、高い飽和磁化強度(Ms)および高い結晶磁気異方性磁場(Ha)を有するので、高い保磁力(Hc)、高い残留磁束密度(Br)および高い最大磁気エネルギー積((BH)max)を兼ね備えた磁石材料の開発における基本条件を提供した。現在、これら希土類元素-鉄-窒素を主成分とする磁石材料の開発が注目を集めている。溶解、急冷、メカニカルアロイング、還元拡散、メルトスピニング薄片、HDDR等のさまざまな技術でこれらの窒化物磁気粉末を製造しているが、圧延磁気異方性を有するフレキシブルゴム磁石を製造することができる磁気粉末に関する製造技術は現時点では存在しない。また、異方性Sm2Fe17δ型磁気粉末の製造にあたって、磁気粉末のサイズがミクロンオーダーにならないと高い保磁力を示さない。しかし、ミクロンオーダーの磁気粉末は室温大気中で酸化され易く、時間とともにその性能が低下する。夏の蒸し暑い季節に磁気粉末を製造すると特に問題となる。たとえば、粒子サイズ1~3μmのSm2Fe173磁気粉末においては、最初に測定した保磁力が室温で11.5kOeであり、日数の経過とともに保磁力が減衰し、10週間後には7.0kOeまで減少する。残留磁束密度はあまり変化しないが、保磁力が減少するために最大磁気エネルギー積も明らかに低下する。
【0005】
上記の性能の不安定性を解決するために、急冷、メカニカルアロイングまたはHDDR等の技術により、微細な結晶からなる大きな磁気を有する粉末を製造する技術が提案されている。たとえば、日立金属株式会社の中国特許ZL99800830.3によると、高保磁力を得るために、メルトスピニング薄片技術により母合金を作製した後、母合金に対して、水素吸蔵、ディスプロポーショネーション、脱水素、再結合等の反応を起こさせ、窒化処理をする。これによって、高保磁力を保つための結晶粒径1μm未満、平均結晶直径0.1~1.0μmの結晶粒子を作製する。このようにして製造した磁気粉末の平均直径は10~300μmであるので、磁気粉末の安定性も向上する。しかし、このような磁気粉末は等方性であり、すなわち、安定性を得る代わりに磁気特性を犠牲にしているので、圧縮成形での等方性磁石の製造にのみ使用することができる。
【0006】
上述のように、これまで、様々な方法及び各種の元素の添加によって作製された希土類元素-鉄-窒素系磁気粉末は等方性のものであり、または磁場を印加した場合だけ異方性が現われる。いずれも、圧延磁気異方性を有せず、圧延磁気異方性のフレキシブルゴム磁石を作製することができない。デバイスの小型化の要望に応じるためには、各種の高性能異方性希土類ボンド磁石、特に圧延磁気異方性フレキシブルゴム磁石の開発が必要である。その他、工業的に応用するために、異方性磁気粉末の安定性の問題を解決しなければならないが、これらの要求を満足する希土類磁石材料はいまだにない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、異方性圧縮成形、押出成形および射出成形によるボンド磁石の製造のみならず、圧延磁気異方性磁石の製造にも使用することができる希土類永久磁石材料、いわゆる、万能型異方性永久磁気粉末を提供することにある。また、この磁気粉末は高い安定性を有する。
【0008】
また、本発明のその他の目的は、前記異方性磁石磁気粉末の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明のその他の目的は、前記異方性磁石磁気粉末を用いて圧延磁気異方性を有するフレキシブル磁石の製造方法を提供することにある。
【0010】
上述の目的を実現するために、本発明者らは、希土類元素-鉄-窒素系磁気粉末の組成とその製造技術を検討した。その結果、磁場で異方性が発現するだけでなく、圧延磁気異方性と応力異方性とを有する希土類磁石材料を製造し、また、この三種類の異方性を利用して、圧延磁気異方性磁石を製造する成形技術を開発した。
【0011】
具体的には、本発明は、下記の組成式:
(Sm1-ααFe100-x-y-z
(式中:Rは、単一のPr、またはPrとLa、Ce、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びYからなる群から選択される少なくとも1種類の希土類元素との組み合わせであり、αは、0.01≦α≦0.30であり、Mは、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Al及びZrからなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、Iは、単一のNまたはNとCの組み合わせであり、x、y、zは、それぞれ原子%で、7≦x≦12、0.01≦y≦8.0、6≦z≦14.4である)で表される異方性希土類永久磁石材料を提供する。
【0012】
この異方性希土類磁石材料は、Th2Zn17型結晶構造を有し、その結晶粒子はスライス状であり、結晶粒径は1~5μmであり、結晶粒子の磁化容易軸方向c軸はスライス状結晶の短軸方向に沿う。
【0013】
従来技術の特許文献に開示されたように、一般の2-17型構造希土類窒化物永久磁石材料の組成は、Sm、Fe及びNが必要である。一方、本発明の材料は、Smと他の希土類元素の混合物(Sm1-ααを含み、同時に付加的な元素Mを含み、かつαとyが所定の範囲内にあることを特徴とする。また、本発明の異方性希土類永久磁石材料は、下記のさらなる特徴を有する。
(1)希土類元素の組成(Sm1-αα)においては単一のSmのみからなることはない。すなわち、αは0ではなく0.01≦α≦0.30の範囲にあり、特に0.1≦α≦0.30の関係を満たすことが好ましい。
(2)Rは、単一のPrのみ、またはPrと、Yを含むSm以外の他の希土類元素との組み合わせである。すなわち、Rは、Prを含まなければならないが、他の希土類元素でPrの一部を置換することができ、この時Rの組成式はPr1-ββ’であり、R’がYを含む、SmとPr以外の他の希土類元素である。なお、他の希土類元素、たとえば、Nd、Gd、YでPrの一部を置換する場合、置換量がモル分率で0.95を超えてはならない。すなわち、β<0.95、かつ、Prの含有量は、希土類元素組成(Sm1-αα)全体に対して原子百分率で1%以上である。
(3)Mは、Si、V、Ni、またはSiとMとの組み合わせ(Si1-y)から選択されることが好ましい。ただし、yは、0.01≦y≦0.99である。上述の組み合わせは、たとえば、Si1-y、Si1-yNi、またはSi1-y(V+Ni)のような組み合わせである。
(4)CでNの一部を置換することができる。Nの一部をCで置換する場合、置換量が50%を超えることは好ましくない。すなわち、NはN-Cの組み合わせにおいて原子百分率で50%以上である必要がある。
【0014】
一般式(Sm1-ααFe100-x-y-zで表される本発明の異方性希土類永久磁石材料として、たとえば、次の組成が挙げられる。
Sm8.0Pr1.0Febal3.514.0
Sm8.0Pr1.0Nd0.2FebalSi0.53.014.0
Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0
Sm9.0Pr1.2FebalNi2.0Si0.13.513.0
Sm9.0Pr1.2FebalSi0.2Ni3.05.09.0
Sm9.0Pr1.2FebalNi5.014.0
【0015】
上述した本発明の異方性希土類永久磁石材料粉末の製造方法は、下記の工程を含む:
(1)窒素以外の他の成分を用いて、溶解またはメルトスピニング薄片技術によって母合金を作製する。
(2)得られた母合金を、窒素雰囲気中で、窒化温度が450~600℃、反応時間が4~8時間で気相-固相反応させる。
(3)得られた窒化物を粉砕して、平均粒径が1~3μmの異方性を有するスライス状の単結晶粉末を形成する。
【0016】
上述の工程においては、スライス状単結晶粉末を形成することが本発明の重要な特徴である。
【0017】
母合金の製造に関しては、誘導炉での溶融精錬、またはメルトスピニング薄片技術を利用することができるが、メルトスピニング薄片技術を利用することが好ましい。メルトスピニングロールのスピードは2~4m/秒であり、得られる薄片の厚さは0.2~0.5mmであり、幅が3~5cmである。この母合金は、適切なミクロ構造を有し、結晶粒子形状はスライス状であり、結晶粒径は1μmより大きく、結晶粒径の分布は1~5μmである。このようにして作製された母合金は良好な単一相を有するので、均一化するための熱処理は簡便にできるか、または省略することできる。その後、母合金を窒化反応させる。窒化温度は450~600℃であり、反応時間は4~8時間であるのが好ましい。窒化反応させた後、この窒化物をジェット粉砕機またはボール・ミル機で粉砕して、平均粒径が1~3μmであり、スライス状の単結晶粒子である磁気粉末を得る。
【0018】
上述の方法と組成で製造されたスライス状の単結晶粒子の磁気粉末は次の三種類の異方性を有する。
(1)圧延磁気異方性:図1に示すように、磁気粉末はスライス状の単結晶粒子であり、結晶粒子のc軸が磁気粉末の短軸方向に分布する。この磁気粉末をゴムと混合して圧延成形技術によって圧延磁石を作製する場合、圧延工程中に、c軸は圧延磁石表面に垂直方向に配向する。すなわち、圧延工程中に、磁気モーメントは圧延磁石表面に垂直方向に配向し、それによって圧延磁気異方性が発現する。
(2)結晶磁気異方性:磁気粉末は1~3μmの単結晶粒子であり、磁気モーメントが結晶のc軸に沿って配向する。外磁場をかけると磁気粉末は磁界方向に沿って配向する。
(3)応力異方性:本発明者らは上述の材料が強い磁歪を有することを発見した。変形計を用いて、メルトスピニング技術により作製されたサンプルの磁歪を測定することができる。Sm9.0Pr1.5Fe88.3Si1.2及び窒化物Sm7.7Pr1.4Fe76.3Si1.013.6の磁歪定数λ(λ=Δl/l)の磁場中での変化を、図2及び図3に示す。まず、母合金Sm9.0Pr1.5FebalSi1.2の磁歪効果を測定する。すなわち、図2に示すように、メルトスピニング薄片のサンプルに磁場をかけ、磁場変化に伴う磁場と平行方向のサンプル長さの変化量を測定する。その後、このメルトスピニング薄片のサンプルをさらに窒化させ、窒化させたメルトスピニング薄片サンプルSm7.7Pr1.4FebalSi1.013.6の磁歪効果を再び同じ条件で測定する。その結果、窒化させたメルトスピニング薄片のサンプルの磁歪効果は著しく変化した。磁歪定数λが増大するので、応力異方性も強くなる。また、より重要なことは磁歪定数λがマイナスとなり、すなわち、図3に示すように、λ<0となることである。つまり、磁化すると材料が短くなる。従って、材料は圧力を受けると、材料の磁気モーメントの方向が圧力の方向と一致する場合、応力磁気異方性エネルギーが最も低い。すなわち、その時の圧力方向が容易磁化方向となる。
【0019】
本発明は、この材料の三種類の異方性を利用して、磁気異方性を有する圧延ゴムフレキシブル磁石を作製する方法を開発した。上述の方法で作製した磁気粉末、ゴム、加工補助剤を、それぞれ78~98重量%、1.5~20重量%及び0.5~10重量%の割合で十分に混合した後、混練、圧延する。混練と圧延の繰り返し回数はあわせて少なくとも30回である。これによって磁気異方性の圧延ゴム磁石が成形される。
【0020】
圧延技術によりゴム磁石を作製する場合、最適な磁気特性及び顕著な圧延磁気異方性を発現させるために、平均粒径が1μmを超えるスライス状の単結晶粒子を使用することが必要である。理由は、上述のスライス状磁気粉末の容易磁化方向がスライス状単結晶粒子表面に垂直方向であり、混練及び圧延工程において、圧延機の二つのロールが異なるスピードあるいは同じスピードの回転により生じる剪断応力によって、磁気粉末のc軸を磁石表面に垂直方向に配向させることにある。その結果、圧延成形された磁石の磁気モーメントが磁石表面に垂直方向に配向され、圧延磁気異方性が発現する。圧延磁気異方性を効果的に発現するために、混練、圧延成形工程を少なくとも30回を繰り返すことが必要である。この圧延磁気異方性は、高性能の圧延磁石を製造するために最も重要な特性であるが、それだけに完全に配向させることは難しい。そして、圧延磁石の性能をさらに改善するために、結晶磁気異方性の磁場配向と、応力異方性の加圧配向の特性を補助的に利用することができる。すなわち、製造工程中にさらに磁場配向を補助的に利用する。その方法としては、たとえば、混練、圧延前に磁場をかけて磁気粉末を配向させ、その後、混練、圧延を行うことにより、圧延工程中における磁石の配向率を増加させる。また、混練、圧延工程においてローラの円周箇所に磁場をかけて磁気粉末を配向させ、磁石の配向率を増加させることもできる。磁場として、ネオジウム系焼結磁石からの永久磁場を利用するか、または、定常電磁場またはパルス電磁場を利用することができる。磁場強度は4~60kOeである。
【0021】
上述のように圧延成形された後、最後に応力異方性を利用し、磁石の性能をさらに高めることもできる。作製された磁気粉末には強い磁歪効果があり、かつ、磁歪定数λ<0になるので、強い応力異方性を生じるからである。圧縮成形の方向が磁気粉末の容易磁化方向になる。応力異方性を利用し、圧延成形された磁石を再び磁場中で圧縮し、さらに圧延磁気異方性磁石の配向度を高めることができる。具体的には、圧延磁石を成形した後、50~100℃の温度で磁石を加熱する。さらに、磁場中で磁石表面に垂直方向に圧縮成形し、磁場と圧力で磁石を冷却する。ただし、磁界と圧力の方向は同一であり、磁場強度は15~20kOeである。加熱させる目的は、磁石中のゴムなどの物質を軟化させ、磁気粉末を圧縮方向に配向させる時の抵抗を減らすためである。
【0022】
具体的には、圧延磁気異方性磁石の製造方法の全体としては、配合、混練、及び圧延に加えて、磁気粉末の被覆、磁石の硫化、磁場配向などの後処理工程が含まれる。たとえば、
a)配合:磁気粉末は、バインダー、カップリング剤、可塑剤及び抗酸化剤などの加工補助剤を所定の割合で秤量、配合し、かつ均一に混合する。混練前に磁場をかけて、混練材を磁場中で配向させる。
b)混練:配合された材料を、所定のロール周速に調整された開放式練りロールまたは密閉式混合機によって混練する。
c)圧延:混合された材料は所定のロール周速とロール間隔に調整された開放式練りロールによって圧延される。所定のサイズの圧延磁石が作製される。
d)磁石の硫化:要求に応じて、赤外線での硫化、電子ビームでの硫化などの方法で、エステル酸、アルキオキシカルボニルなどの硫化剤を使用して硫化を行う。
e)磁石の後処理:圧延磁石を成形した後に、50~100℃の温度で磁石を加熱する。磁場中で膜表面に垂直方向に圧縮成形し、磁場と圧力で磁石を冷却する。ただし、磁界と圧力の方向は同一であり、磁場強度は15~20kOeである。応力異方性によってさらに磁石の配向を高める。加熱する目的は、磁石中のゴムなどの物質を軟化させ、磁気粉末を圧縮成形方向に配向する時の抵抗を降下させることである。
f)最後に、磁石のサイズの要求に応じて、磁石に対して切断加工、プレス成形加工を行う。
【0023】
圧延技術によるゴム磁石の製造に適用されるゴムは、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロロブチレンゴム、天然ゴム、ブチロニトリルゴム、シスブチレンゴム及び優れた低温性能を有するクロロエーテルゴム、シリコンゴム、またはゴムの変性剤である。用いられる加工補助剤は、可塑剤、カップリング剤、潤滑剤、難燃剤、着色剤、芳香剤、抗酸化剤から選択される少なくとも1種類である。
【0024】
なお、本発明に係る磁気粉末の応力異方性と単結晶粒子の特性を利用し、圧縮成形、押出成形または射出成形技術によって相応の異方性ボンド磁石を製造することができる。たとえば、本発明の磁気粉末をエポキシ(epoxy)樹脂、アクリル酸系(acrylic)またはフェノール系(phenolic)などの熱硬化型バインダーと混合し、磁場中で圧縮した後、固化させて、異方性圧縮成形の磁石を作製することができる。磁気粉末をナイロン(polyamids)、ポリエステル(polyester)、pps(ポリフェニレンサルファイド)、pvc(ポリ塩化ビニル)またはLDPE(低密度ポリエチレン)などの熱可塑型バインダーと混合し、造粒した後、磁場中で射出成形し、異方性射出成形磁石を製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の顕著な技術的な特徴は、希土類元素-鉄-窒素を主成分とする希土類磁石材料中に、PrとM(MはSi、Al、Vなどから選択)を所定の割合で添加するため、技術応用における二つの問題を解決した。
【0026】
第1は、適量のPrとMを同時に添加することによって、通常の溶融精錬技術または単一のメルトスピニング薄片技術にて単一相性の良い母合金を製造することができる。従来のSm2Fe17型合金の製造方法としては、高周波誘導炉溶解(またはアーク溶解炉)技術、還元拡散技術または急冷技術が使用されている。最近開発されたメルトスピニング薄片技術をNd-Fe-Bの製造に応用すればよい結果が得られる。しかし、単純な二元系Sm2Fe17型合金の製造においてメルトスピニング薄片技術を応用すると、単一相を生成することが困難であり、または不純な相が生じる。中国特許ZL99800830.3によれば、メルトスピニング薄片技術により母合金を製造する場合は、その後水素雰囲気中での処理を必要とし、再び水素化、分解、脱水素、再結合などの反応をさせた後、始めて窒化させて窒化物磁気粉末が得られる。一方本発明は、PrとMの添加により、メルトスピニング薄片技術により作製する磁気粉末は、明らかに次の特徴を有する:
(1)α-Fe相の生成を抑制し、単一相性がよくかつ化学量論組成に近い組成を有するTh2Zn17型構造の母合金及びその窒化物を形成する。図4と図5に、Sm9.0Pr1.5FebalSi1.2及びその窒化物Sm7.7Pr1.4FebalSi1.013.6のX線回折パターンを示す。単一相性がよく、化学量論組成に近い組成を有するので、材料の固有磁性を向上させ、高性能の磁気粉末を製造するための基本条件を整える。一方、プロセスが簡単になり、均一化するための熱処理を簡便に済ませることができるか、または省略することができ、直接に窒化反応を行えるので、材料製造のコストが低下する。
(2)走査電子顕微鏡の観察から、PrとMの添加によって材料中に適切な微細構造が生成したことが判明した。図6に、Sm9.0Pr1.5FebalSi1.0Vi3.0合金の走査電子顕微鏡写真を示す。PrとSiを同時に含む合金は、平均結晶直径が1μmより大きく、平均結晶サイズが3μmであり、また、1~5μmの範囲に分布する。
(3)平均結晶サイズが3μmである合金を窒化した後、ジェット粉砕機またはボール・ミル機で粉砕すると、平均粒径が1~3μmの範囲に分布する単結晶磁気粉末が生成しやすい。そのヒステリシスループから高い保磁力と高い角型性を示すことがわかる。したがって、磁気粉末の磁気特性を改善する。なお、磁気粉末の形がスライス状であり、その短軸方向が結晶の容易磁化方向c軸である。すなわち、c軸はスライスの表面に垂直方向になる。
【0027】
また、指摘すべきことは、Prの二階Stevensファクターとしてα<0となり、Smと逆であるため、Th2Zn17型構造の窒化物の中にPrは1軸結晶磁気異方性を有していないが、Mは非磁性のものである。従って、PrとMの添加量が多すぎると、材料の固有磁性(飽和磁化強度、キューリ温度と結晶磁気異方性磁場)が弱くなり、永久磁石の磁気特性(保磁力、残留磁束密度、最大磁気エネルギー積)の低下を招く。従って、PrとMの添加量αとyの値は一定の範囲に収める必要がある。本発明はPrとMが積極的に作用するための添加量の範囲を開示した。
【0028】
Prの一部はNd、Gd、Yなどの元素で置換することができる。ただし、所定量のPrを含有しなければならない。置換量は95モル%を超えてはいけない。且つ、希土類元素組成(Sm1-αα)全体に対して原子パーセントでPrの含有量がαの下限より低くなってはいけない。PrとM元素の存在下、Feの一部がMn、Co、Crなどの元素で置換され、Nの一部もC元素で置換することができる。これらの置換は磁気粉末の性能と安定性を調整することに寄与する。
【0029】
一方、本発明の組成の磁気粉末によって、Th2Zn17型窒化物磁気粉末の時間と温度の安定性を改善することができる。通常の三元系Sm2Fe17窒化物の粒径はミクロンオーダーの微細粉であるので、室温で酸化しやすい。保磁力は時間が経つにつれて弱くなり、実用化に強く影響する。本発明は、PrとMの添加により磁気粉末の抗酸化能力を増加し、時間安定性の問題を解決することができることを発見した。図6はSm9.0Febal14.0とSm8.0Pr1.0Nd0.2FebalSi0.53.014.0との保磁力jHcの時間に対する変化を比較して示している。
【0030】
前記の組成に基づいて本発明の方法で作られる磁気粉末は、単結晶粒子であるが、単磁区粒子ではない。その保磁力のメカニズムがヌクリエーション特徴を示す。すなわち、保磁力と残留磁束密度両方が磁気粉末の粒径の変化と共に変化し、極値に達する。しかし、保磁力と残留磁束密度の極値を同じ粒径で達することはない。また、磁気粉末サイズが小さ過ぎると、作製中に急激に酸化するので、避けるべきである。これらの問題を考慮すると、最適な磁気粉末の平均粒径は好ましくは1.5~3.0μmである。
【0031】
そのうち、メルトスピニング薄片技術で母合金を作製すると、次のような長所がある:
【0032】
第一に、化学量論組成に近い組成を有しかつ単一相性のよい母合金を製造することができる。組成が化学量論組成に近くなると、高い飽和磁化強度と高いキューリ温度を有する母合金を製造することができる。このようにして製造される窒化物は常温下で初めて高い残留磁束密度を示すことができる。また、単一相性のよい母合金である場合、窒化されてからはじめて不純相の少ない窒化物を生成する可能性があり、このように磁気粉末のヌクリエーション磁界強度を向上させ、はじめて保磁力と角型性を高く保つ可能性がある。第二に、粒子の形がスライス状である。これは圧延異方性を得る必要な条件である。第三に、微細化された結晶粒子およびサイズの均一な分布は、最後にジェット粉砕機またはボール・ミル機で平均粒径1.5~3.0μmの高い残留磁束密度、高い保磁力および高い磁気エネルギー積の単結晶磁気粉末粒子が製造されることにおいて有利である。
【0033】
本発明は、磁気粉末の三種類の異方性、すなわち圧延異方性、単結晶粒子の磁場中の配向異方性と応力異方性を利用し、高性能の圧延ゴムフレキシブル磁石を製造するための技術を開発した。まず、最も重要な点は圧延磁気異方性を利用することである。圧延工程において、二つロールの同じスピードあるいは異なるスピードから生じた剪断応力で磁石材料中の磁気粉末の容易磁化軸を磁石表面に垂直方向に整列させ、圧延配向を実現させる。これは最も重要な異方性である。次に、単結晶粒子が磁場中で配向する特性を利用し、製造工程において磁界をかける。混練、圧延前に磁場をかけると圧延工程において磁気粉末の配向に有利である。混練、圧延工程においてロールの円周に磁場をかけて磁気粉末を配向させ、または、混練、圧延後に下ロールの箇所に磁場をかけて磁気粉末を配向させることで圧延工程中の配向度を増やすことができる。最後に、上述の圧延磁石を大方成形した後に、温度50~100°Cまで磁石を加熱し、磁場中に膜の表面に垂直方向に圧縮し、磁場と圧力との作用で磁石を冷却する。磁界と圧力の方向が一致する。磁場強度が10~15kOeである。応力異方性を利用してサンプルの配向度をさらに高める。
【0034】
ゴムをバインダー剤とし本発明の磁気粉末を用いて、圧延成形技術により製造されるフレキシブル磁石は、良好な磁気特性を有するだけでなく、磁石の表面が平滑で、緻密であり、バインダー性がよく、引張強度、延伸率、硬度などの機械性質が適切であり、且つ柔軟性が良い。また、温度、湿度、油及び腐食に良く耐える。
【0035】
前述のように、本発明は万能型異方性永久磁石の磁気粉末を提供する。この粉末を用いて、圧縮成形、押出または射出により成形される異方性ボンド磁石だけでなく、圧延異方性磁石を製造することができる。本発明の方法により製造した異方性圧延ゴム磁石は高い磁気特性を持ち、高い可とう性を有する。また、腐食に良く耐え、圧延磁石の表面が平滑で、平担である。磁気粉末の析出、または、脱落がない。従って、従来の磁石の欠点を補い、磁気特性と実用性の両方とも要求される高性能フレキシブルゴム磁石に対する市場の要望を満たすことができる。
【実施例】
【0036】
以下実施例を用い、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例には限られない。
【0037】
(実施例1)
表1に示すSm、Pr、Fe、Siの組成を使用し、メルトスピニング技術によって母合金を製造し、窒素雰囲気にて熱処理をした。処理温度は450℃~600℃、保温時間は4~6時間である。なお、組成変化があるので、各組成で最適な気相-固相反応条件を保証するために、窒化温度を適切に調節した。最後にボール・ミル機で粉末を作製した。磁気粉末の平均粒径は1.5μmである。磁気粉末は室温、大気中に放置した(7月1日から11月1日まで)。その結果、Sm2Fe17型磁気粉末は残留磁束密度があまり変化しなかったが、保磁力が著しく低下し、最大磁気エネルギー積も変化した。対比した結果より、Sm-Pr-Fe-Si-N型磁気粉末は優れた性能と安定性を備えることが分かった。
【0038】
【表1】
JP0004659780B2_000002t.gif

【0039】
(実施例2)
実施例1と同様にして、(Sm1-αPrα9.0FebalSi1.014.0で表される組成を用いて磁気粉末を製造した。表2に、α値を変化させた時の磁気粉末の特性変化を示す。
【0040】
【表2】
JP0004659780B2_000003t.gif

【0041】
(実施例3)
実施例1と同様にして、(Sm0.9Pr0.19.0FebalSi14.0で表される組成を用いて磁気粉末を製造した。表2に、yの値を変化させた時の磁気粉末の特性変化を示す。
【0042】
【表3】
JP0004659780B2_000004t.gif

【0043】
(実施例4)
実施例1と同様にして、(Sm0.9Pr0.19.0Febal14.0で表される組成を用いて磁気粉末を製造した。表4に、yの値を変化させた時の磁気粉末の特性変化を示す。
【0044】
【表4】
JP0004659780B2_000005t.gif

【0045】
(実施例5)
実施例1と同様にして母合金を溶解し、窒化物を製造した。窒化物の組成を変化させた。たとえば、Prの一部分をNd、Gd、Yなどの元素で置換し、Siの一部分をV、Ni、NbまたはMoなどの元素で置換し、Nの一部分を適切な量のCで置換した。ここで、Cは母合金の成分として溶解されるが、CはNと同じ結晶格子の格子間位置を占める。これらの置換はさらに磁気粉末の特性及び安定性の調整に有利である。
【0046】
【表5】
JP0004659780B2_000006t.gif

【0047】
(実施例6)
Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0磁気粉末を用いて以下の配合で圧延磁石を作製した。Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0磁気粉末:93重量%;カップリング剤:0.8重量%;塩素化ポリエチレン(CPE):5.4重量%、エポキシ誘導体の可塑剤:0.3重量%;ケトンアミン系化合物抗酸化剤:0.5重量%。ここで、磁気粉末の平均粒径は2.1μmである。前記材料を十分に配合、混合した後、混合物を開放式練りロールに入れ、混練した。開放式練りロールのロールの温度は50℃、予備加熱時間は150分である。前ロールと後ロールの周速比は1.15:1とし、ロールの間隔は0.3mmとした。粉体全試料が均一に結合され、一体の物として見られると混練を終了する。混練した材料を圧延し、平らな板状圧延磁石を作製する。前後ロールの周速比は1:1であり、ロールの間隔は0.5mmである。圧縮比率は4:1である。良好な圧延異方性を得るために、混練回数と圧延回数は合わせて30回である。その後、ロール間隔を調整し、厚さ2.0mmの磁石を圧延して、本発明の圧延磁気異方性磁石を作製した。
【0048】
【表6】
JP0004659780B2_000007t.gif

【0049】
(実施例7)
本発明の磁気粉末について磁場中の磁場配向効果と応力異方性効果を利用するために、混合工程が終るまで実施例1と6と同様にして作製した。ただし、混合した材料を圧延する前に、磁場で配向させながらスライス状に圧縮し、その圧力は1トン/cm2であった。スライス状の混合物を実施例6に述べたように開放式練りロールに入れ、混練、圧延し、平担な板状圧延磁石を作製した。前後ロールの周速比を1:1とし、ロールの間隔を0.5mmとした。圧縮比率を4:1とした。圧延回数を30回とした。その後、ロールの間隔を調整し、厚さ1.5mmの磁石を圧延して、本発明の圧延磁気異方性磁石を製作した。
【0050】
【表7】
JP0004659780B2_000008t.gif

【0051】
(実施例8)
本発明の磁気粉末が単結晶粒子であり、またc軸が容易磁化軸であるから、結晶粒子が磁場において磁場の方向に応じて配列する配向効果を利用するために、混合工程が終るまで実施例1と6と同様にして作製した。ただし、混合した材料を圧延する際に、ロールの円周に磁場をかけて配向させた。(前後ロールの内側に焼結Nd-Fe-B磁石を配置した。この設計方法は、例えば、磁気選択機で、ロールの間隔は、やはり0.5mmに維持した)。圧延後にロールから外す際にも磁場をかけた。平板状の圧延磁石を作製した。前後ロールの周速比をやはり1:1とし、ロールの間隔を0.5mmとした。圧縮比率を4:1とした。その後、ロールの間隔を調整し、厚さ2.5mmの磁石を圧延した。良好な圧延異方性を得るために、混練回数と圧延回数は合わせて30回とした。このようにして本発明の圧延磁気異方性磁石を製作した。
【0052】
【表8】
JP0004659780B2_000009t.gif

【0053】
(実施例9)
応力異方性効果を充分に利用するために、実施例8で得られた磁石を再び対流式加熱乾燥炉中に入れ、100℃、10分で加熱してから、磁石を冷却するまで、空気中で25kOeの磁場で10~20トン/cm2の圧力で加圧して、本発明の磁石を作製した。表8に、Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0圧延ゴムフレキシブル磁石の磁気特性を示す。
【0054】
【表9】
JP0004659780B2_000010t.gif

【0055】
(実施例10)
Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0の磁気粉末を、エポキシ樹脂、アクリル酸類又はフェノリック(phenolic)系などの熱硬化型バインダーと混合し、磁場中で圧縮成形した後に、固化して、異方性圧縮成形の磁石を作製した。作製した異方性圧縮成形の磁石の磁気特性を表10に示す。Sm7.8Pr1.2FebalSi0.83.014.0の磁気粉末を、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、pps(ポリフェニレンスルファイド)、pvc(ポリ塩化ビニル)またはLDPE(低密度ポリエチレン)などの熱可塑型のバインダーと混合、造粒した後に、磁場中で射出成形し、異方性射出成形の磁石作製した。作製した異方性射出成形磁石の磁気特性を表11に示す。
【0056】
【表10】
JP0004659780B2_000011t.gif

【0057】
【表11】
JP0004659780B2_000012t.gif

【0058】
(実施例12)
磁気粉末のサイズを変えた他は実施例1と同様にして得られた磁石の磁気特性の磁気粉末のサイズの変化に応じた変化を表12に示す。
【0059】
【表12】
JP0004659780B2_000013t.gif

【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】Sm8.2Pr1.3FebalSi0.82.614.2磁気粉末の走査電子顕微鏡写真である。観察前に、磁気粉末はパルス磁場中で磁化した。
【図2】Sm9.0Pr1.5FebalSi1.2の磁歪定数Δl/lの磁場Hによる変化曲線である。
【図3】Sm7.7Pr1.4FebalSi1.013.6の磁歪定数Δl/lの磁場Hによる変化曲線である。
【図4】Sm9.0Pr1.5Fe88.3Si1.2のX線回折パターンである。
【図5】Sm7.7Pr1.4Fe76.3Si1.013.6のX線回折パターンである。
【図6】Sm9.0Pr1.5FebalSi1.0Vi3.0の組織の走査電子顕微鏡写真である。
【図7】Sm9.0Febal14.0とSm8.0Pr1.0Nd0.2FebalSi0.53.014.0の固有保磁力の時間による変化の比較例である。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図7】
4
【図1】
5
【図6】
6