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明細書 :ページラスタライズの過程でマークを追加する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2008-527551 (P2008-527551A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成20年7月24日(2008.7.24)
特許番号 特許第4555867号 (P4555867)
登録日 平成22年7月23日(2010.7.23)
発行日 平成22年10月6日(2010.10.6)
発明の名称または考案の名称 ページラスタライズの過程でマークを追加する方法
国際特許分類 G06F   3/12        (2006.01)
FI G06F 3/12 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2007-550661 (P2007-550661)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
国際出願番号 PCT/CN2006/000043
国際公開番号 WO2006/076855
国際公開日 平成18年7月27日(2006.7.27)
優先権出願番号 200510001855.7
優先日 平成17年1月18日(2005.1.18)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成20年5月12日(2008.5.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507230289
【氏名又は名称】ペキン ユニバーシティ ファウンダー グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY FOUNDER GROUP CO.,LTD.
【識別番号】507230304
【氏名又は名称】北京北大方正▲電▼子有限公司
【氏名又は名称】BEIJING FOUNDER ELECTRONICS CO.,LTD.
【識別番号】504415968
【氏名又は名称】北京大学
発明者または考案者 【氏名】黄渭平
【氏名】康俊杰
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査官 【審査官】中田 剛史
参考文献・文献 特開平08-169156(JP,A)
特開平05-324930(JP,A)
特開2002-073595(JP,A)
調査した分野 G06F 3/12
特許請求の範囲 【請求項1】
ページラスタライズの過程でマークを追加する方法であって、
(1)PostScriptまたはPDFのジョブファイルをRIPに入力し、
(2)ジョブファイルにマークが加えられた後のページの拡大を計算し、ユーザにより選択されたマークのタイプを考慮してマークの記述ファイルを生成し、
(3)RIPがジョブファイルのページを解釈した後に、RIPの実行環境を切り替えてマークの記述ファイルを実行して、マークがページ内容に追加され組み込まれるようにし、
(4)マークの記述ファイルを実行した後に、RIPの実行環境を元に戻して次のページの解釈および実行に進むことを含み、
ステップ(3)におけるマークの追加はRIP内部でのページラスタライズの過程で実行され、元のページのサイズを考慮してマークが配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(2)におけるマークには、視準マーク、切り出し線マーク、ステップウェッジ、色プレート名、縁、ジョブファイル名、出力時間、またはユーザ定義のカスタマイズされたマークが含まれることを特徴とする請求項1に記載のページラスタライズの過程でマークを追加する方法。
【請求項3】
ステップ(2)におけるマークの記述ファイルはPostScriptファイルであることを特徴とする請求項1または2に記載のページラスタライズの過程でマークを追加する方法。
【請求項4】
ステップ(3)および(4)において、RIPの状態がジョブファイルの実行とマークのPS記述ファイルの実行との間で切り替えられるとき、保護機構が使用されることを特徴とする請求項3に記載のページラスタライズの過程でマークを追加する方法。
【請求項5】
前記保護機構は、
(1)PS言語標準で定義されるシステム辞書「systemdict」、グローバル辞書「globaldict」およびユーザ辞書「userdict」を、RIPのカーネルの辞書スタックにプッシュし、
(2)PS言語標準で定義される保存演算子「save」を実行し、
(3)PS言語標準で定義される初期化グラフィックス状態演算子「initgraphics」を実行し、
(4)マークが追加されたジョブファイルのページの左下角に現在の座標の原点を設定しし、この座標の1/72.0インチの単位および方向は、PS言語標準で定義されるデフォルト座標のものと一致しており、
(5)マークが追加されたジョブファイルのページとして現在のクリッピングを設定し、
(6)マークが追加されたジョブファイルのページの左下角の点として現在の点を設定し、現在のパスを「empty」に設定し、
(7)パラメータをRIPのカーネルのオペランドスタックにプッシュし、
前記ジョブファイルが複合ファイルである場合、前記パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズとブール値「偽」とを含み、
前記ジョブファイルが色前分離ファイルである場合、前記パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズと、現在処理されている色プレート名列と、ブール値「真」とを含み、
(8)マークのPS記述ファイルを解釈して実行し、
(9)PS言語標準で定義される復元演算子「restore」を実行し、
(10)辞書スタックからユーザ辞書「userdict」、グローバル辞書「globaldict」およびシステム辞書「systemdict」を取り出し、
(11)ジョブファイルの次のページを順に実行するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載のページラスタライズの過程でマークを追加する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ画像処理技術の分野に関し、特に、ページラスタライズ過程においてマークを追加する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PostScript(すなわち、PS)は、コンピュータ画像処理技術においてページコンテンツを記述するためのプログラミング言語である。これは、アドビ社により開発され、テキスト、図形および画像を処理する大半のソフトウェアでページを記述するために広く用いられている。PSは、当分野の業界標準となっている。
【0003】
Portable Document Format(すなわち、PDF)は、ページコンテンツを記述するための電子文書フォーマットであり、アドビ社によって開発された。通常、PDFファイルは、同一のページコンテンツに対して、PSファイルよりもファイルサイズが小さくなり、その構造もコンパクトになる。
【0004】
ラスタ画像プロセッサ(すなわち、RIP:Raster Image Processor)は、PSまたはPDFで記述されたページを変換して画像を描画し、ラスタイメージング装置(例えば、写真植字機、コンピュータから印刷用刷版を直接作成する(computer-to-plate)装置およびプリンタ)に出力するプロセッサである。RIPシステムは、使いやすいグラフィカルインタフェースをユーザに提供するRIPユーザインタフェースと、PSまたはPDFでのページ記述を変換してビットマップを描画するRIPカーネルと、ラスタ装置にラスタビットマップを出力するドライバとを主に備える。
【0005】
本発明における「マーク」という用語は、一般に、出力されるページの余白に追加される様々なマークのことを指している。例えば、視準マーク(collimating mark)、切り出しマーク(clipping mark)、ステップウェッジ(step wedge)、カラープレート名、縁(margent)、ジョブファイル名、出力時間、ページ番号、ユーザが定義するカスタマイズされたマークなどがある。
【0006】
本発明における「ジョブファイル」という用語は、描画および印刷のためにRIP装置に渡されるページの記述ファイルのことを指す。一般に、ジョブファイルは、PSファイル、PDFファイル等である。以下では、「ジョブPS/PDFファイル」という用語はジョブファイルを指すものとする。
【0007】
印刷分野において、色分解重ね刷りにはCMYK(すなわち、シアン、マゼンタ、黄色および黒の印刷インク)カラーモデルが用いられる。重ね刷りの定義は最終製品の品質に直接影響する。このため、通常、印刷されるページの周囲には視準マークが追加される。さらに、切り出しマーク、ステップウェッジなどの他のマークが追加されることもある。
【0008】
一般に、マークを追加するには3つの方法がある。第1に、フロントエンドの刷版作成ソフトウェアにおいて、バックエンド出力により要求されるマークを直接配置する方法である。この結果、RIPにファイルされるジョブPS/PDFは配置されたマークを含むようになる。それらの配置されたマークは、実際にはRIPのページ内容の一部になっている。次に、ジョブPS/PDFファイルがRIPにファイルされる前に、ジョブファイルを前処理する方法である。この結果、マークを記述するPSストリームがページPSストリーム内に挿入される。こうすると、マークを記述するPSストリームが、実際には前処理されたジョブファイルの一部となる。これら2つの方法の共通する特徴は、RIPにファイルされるジョブPS/PDFファイルが既にマークを含んでいること、すなわち、RIPによりページがラスタライズされる前にページにマークが追加されており、RIPはマークを追加する責任がないことである。第3の方法は、ページビットマップ上に格納されたマークのビットマップをスプライスし、最終的なビットマップを生成する方法である。
【0009】
上述の方法には全て限界がある。第1の方法では、オペレータは刷版の作成に詳しく、またバックエンドの出力装置とポスト印刷過程に精通していなければならない。その反対に、オペレータは、自らの作成した刷版を完成させるときにどのような種類のバックエンド出力装置やポスト印刷過程が使用されるかを知らないことがある。これは、いわゆる「編集と印刷を分離する」作業モデルである。すなわち、刷版の作成と編集とが切り離されている。このモデルでは、刷版の作成中にオペレータがマークを追加することができない。その代わり、バックエンド出力装置を操作するオペレータによってマークが追加されなければならない。
【0010】
様々な既存の植字ソフトウェアによって生成されるPSファイルに第2の方法の前処理を適用することは困難である。特に、各ページのページ記述が独立していないような複数ページのPSファイルに対して適用することが困難である。前処理によってマークを加えるには、各ページのページ記述PSストリームの最後に、マークを記述したPSストリームを追加する必要がある。しかしながら、2つのPSストリームは互換性を有しておらず、その結果、前処理されたジョブファイルをRIPで正確に解釈することができなくなる。さらに、異なる植字ソフトウェアによって生成されるPSファイルのページ末尾の記号は、同一でない。したがって、前処理プログラムがジョブファイルのPSストリーム内でページ末尾の記号を発見することは困難である。そのためには、様々なソフトウェアまたは同一ソフトウェアの様々なバージョンによって生成されるPSファイルを特別に処理する必要がある。したがって、この方法では、あらゆるPSファイルにマークを追加するという問題を解決することができない。この方法のもう一つの欠点は、ジョブファイルを前もって走査する必要があるため、効率が低下することである。
【0011】
上述の第3の方法は、第2の方法で生じる互換性の問題を解決する。しかし、第3の方法では、第2の方法よりも効率が低下する。これは、第3の方法は、最終的なビットマップを生成するために、ページビットマップ上にマークのビットマップをスプライスするからである。処理すべきビットマップのサイズは非常に大きくなり、高解像度のラスタ装置では特に大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術の欠点を解決するために、本発明の目的は、ページラスタライズ過程においてマークを追加して編集と印刷とを分離するという必要性を満足し、また、前もって走査する必要なしに、あらゆるPSファイルおよびPDFファイルに様々なマークを追加するための方法を提供することにある。本発明の別の目的は、ジョブPS/PDFファイルの実行によりマークのPS記述ファイルの実行が影響を受けないようにすること、すなわち、二種のPSファイルが互いに独立した状態にあり、適合性のあるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明はページラスタライズの過程でマークを追加するための方法を提供する。この方法は、
(1)PostScriptまたはPDFのジョブファイルをRIPに入力し、
(2)ジョブファイルにマークが加えられた後のページの拡大を計算し、ユーザにより選択されたマークのタイプを考慮してマークの記述ファイルを生成し、
(3)RIPがジョブファイルのページを解釈した後に、RIPの実行環境を切り替えてマークの記述ファイルを実行して、マークがページ内容に追加され組み込まれるようにし、
(4)マークの記述ファイルを実行した後に、RIPの実行環境を元に戻して次のページの解釈および実行に進むことを含む。
ステップ(3)におけるマークの追加はRIP内部でのページラスタライズの過程で実行され、元のページのサイズを考慮してマークが配置される。
【0014】
さらに、ステップ(2)におけるマークには、視準マーク、切り出し線マーク、ステップウェッジ、色プレート名、縁、ジョブファイル名、出力時間、またはユーザ定義のカスタマイズされたマークが含まれる。
【0015】
ステップ(2)におけるマークの記述ファイルはPostScriptファイル、すなわちPSファイルである。
【0016】
さらに、ステップ(3)および(4)において、RIPの状態がジョブファイルの実行とマークのPS記述ファイルの実行との間で切り替えられるとき、保護機構が使用される。
【0017】
ステップ(3)および(4)の保護メカニズムは、
(1)PS言語標準で定義されるシステム辞書「systemdict」、グローバル辞書「globaldict」およびユーザ辞書「userdict」を、RIPのカーネルの辞書スタックにプッシュし、
(2)PS言語標準で定義される保存演算子「save」を実行し、
(3)PS言語標準で定義される初期化グラフィックス状態演算子「initgraphics」を実行し、
(4)マークが追加されたジョブファイルのページの左下角に現在の座標の原点を設定しし、この座標の1/72.0インチの単位および方向は、PS言語標準で定義されるデフォルト座標のものと一致しており、
(5)マークが追加されたジョブファイルのページとして現在のクリッピングを設定し、
(6)マークが追加されたジョブファイルのページの左下角の点として現在の点を設定し、現在のパスを「empty」に設定し、
(7)パラメータをRIPのカーネルのオペランドスタックにプッシュし、
前記ジョブファイルが複合ファイルである場合、前記パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズとブール値「偽」とを含み、
前記ジョブファイルが色前分離ファイルである場合、前記パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズと、現在処理されている色プレート名列と、ブール値「真」とを含み、
(8)マークのPS記述ファイルを解釈して実行し、
(9)PS言語標準で定義される復元演算子「restore」を実行し、
(10)辞書スタックからユーザ辞書「userdict」、グローバル辞書「globaldict」およびシステム辞書「systemdict」を取り出し、
(11)ジョブファイルの次のページを順に実行するステップを含む
【0018】
本発明によると、編集と印刷とを分離することができ、またジョブファイルを前もって走査する必要なしに、PS/PDFファイルに様々なマークを追加することができる。追加されたマークはPS言語で記述されるので、柔軟な記述を実現することができ、マークの位置と内容を動的に設定することができ、さらに、ユーザによる任意のカスタマイズされたマークを追加することができる。他の効果として、ジョブPS/PDFファイルによってマークを有するPSファイルの実行に影響が出ることを防止できる一方、ジョブPS/PDFファイルの実行を普通に実行できるようになる。すなわち、RIPは2つのファイルをそれぞれ解釈しまた実行することができる。
【0019】
本発明によると、RIPユーザは、視準マーク、切り出し線マーク、ステップウェッジ、色プレート名、縁、ジョブファイル名、出力時間、またはカスタマイズされたマークをジョブファイルのページの余白に追加することができる。この効果は、実際のファイルが出力される最後の時にユーザが様々なマークを追加できる点である。さらに、追加されたマークはPS言語で記述されるので、マークを有するジョブファイルの実行は、ジョブファイルの実行により影響を受ける。すなわち、2種類のPSファイルは互いに独立している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面および実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明は、ページをラスタライズする過程でマークを追加する方法を提供し、以下のステップを含む。
【0022】
ステップ1では、図2に示すように、ユーザによってファイルされたPSジョブファイルまたはPDFジョブファイル9がRIP(ラスタ画像プロセッサ)10に入力される。
【0023】
ジョブファイルへの様々なマークの追加は、本発明にしたがってRIPで実行される。RIPにPSジョブファイルまたはPDFジョブファイルを入力した後、元のページのページ1の拡大が計算される。この計算には、下側の拡大2、左側の拡大3、上側の拡大4および右側の拡大5を含む。これら全ては、マークパラメータグループ8を形成する。これらの拡大は、ユーザによってRIPインタフェース上で選択されたマークのタイプと、マークおよびページの間の距離とにしたがって容易に求められる。マークが追加されたページ6を図1に示す。
【0024】
ステップ2では、追加されたマークがPS言語で記述される。
【0025】
ページに追加される全てのマークは、対応するPS言語記述ファイル(以下、「マークのPS記述ファイル」と呼ぶ)によって記述される。マークのタイプにしたがって、RIPは、マークのPS記述ファイルを自動的に生成することができる。マークのPS記述ファイルによりマークの記述のために使用される座標の原点は、図1に示す破線の枠の左下角に置かれる。座標の単位および方向は、PS標準で定義されているデフォルト座標のものと一致している(すなわち、座標単位は1/72.0インチである)。使用時、元のグラフィックス状態は、PS標準で定義されているように、PSファイルの最初のデフォルトグラフィックス状態と一致している。PS命令を使用してマークを追加するとき、元のページ内容と重なることを避けるために、原則として、マークはマーク領域にのみ追加することができる。使用されるPS命令は、PS標準で定義されているEPS(encapsulated PS)標準に準拠していなければならない。RIP10は、マークのPS記述ファイルを自動的に実行して、ラスタライズ中のページに対応するマークを適時に追加することができる。マークのPS記述ファイルが毎回実行される前に、RIPはPS言語で定義されたオペランドスタックにパラメータをプッシュし、それに応じてマークのPS記述ファイルはマークの位置と内容を動的に設定することができる。パラメータは、元のジョブページのサイズ、ジョブファイルが色前分離(color pre-separation)ファイルであるか否かに関する判断、その他を主に含む。「動的に」という用語は、元のジョブページの観点からのものであり、元のジョブページに対して中央に位置するマークとなるように視準マークをセットできることを意味しており、そうすることで、マークのPS記述ファイルがRIPのオペランドスタックから元のジョブページのサイズを取得し、続いて、中央に位置する視準マークの実際の位置を計算することができる。
【0026】
ステップ3では、予め設定されたラスタライゼーションパラメータ7にしたがって、ジョブファイルの特定のページのページ内容がRIP10により解釈された後、RIP10の実行環境がマークを記述するPSファイルの実行に切り替えられ、マークが追加され、追加されたマークが元のページ内容に組み込まれる。
【0027】
ステップ4では、RIP10の実行環境が元に戻り、マークを記述するPSファイルの実行後に、次のページの解釈および実行へと進む。
【0028】
ステップ3において、ジョブファイルへの様々なマークの追加は、RIPの内部で実現される。マークのPS記述ファイルの実行は、元のジョブページのサイズ、ジョブファイルが色前分離ファイルであるかに関する判断などで特徴付けられるパラメータにしたがって、動的に行われる。
【0029】
ユーザPSストリームの実行とマークPSストリームの実行の間でのRIP10の状態の切り替え過程では、保護機構が使用される。その結果、マークのPS記述ファイルの実行は、ジョブPS/PDFファイルの実行による影響を受けない。つまり、2つのファイルは互いに独立している。
【0030】
ページラスタライズ過程でマークを追加するプロセスには、以下のステップが含まれる。
【0031】
ステップ1では、ページ1の実際のサイズがPS/PDFジョブファイルの解釈プロセスで求められると、RIP10のインタープリタがページ1を拡大する。この拡大は、上で計算したように、左側、右側、上側および下側の拡大である。拡大されたページ6のサイズは、生成されるラスタビットマップのサイズである。続いて、装置座標の原点が、図1に示す破線の枠の左下角に設定される。また、現在のユーザの座標の原点が、図1に示す灰色の長方形の左下角に設定される。現在のユーザ座標から装置座標への変換マトリクスは、RIPで現在変換マトリクス(CTM:current transformation matrix)として設定される。一方、デフォルトのクリッピングパスが、図1に示す灰色の長方形として設定される。
【0032】
ステップ2では、RIP10の状態が、ユーザによりファイルされたPS/PDFジョブファイルの解釈および実行から、マークのPS記述ファイルの解釈および実行状態へと切り替えられる。これは、PS命令「showpage」がRIP10によって実行されるか、またはPDFファイルの一つのページコンテンツストリームの実行が完了したときに行われる。マークのPS記述ファイルの解釈および実行は、一般のPSファイルのそれらと異なるところはない。マークのPS記述ファイルの実行が完了した後、全てのマークが自動的にラスタページのマーク領域に追加される。このような方法で、元のページへのマークの組み込みが実現される。RIPは、組み込みにより得られたページの全体をラスタページに追加し、ラスタビットマップ11を生成する。最後に、RIP10の状態が、マークのPS記述ファイルの解釈および実行からジョブファイルの解釈および実行状態に再び切り替えられ、順に次のページの解釈および実行へと進む。2つの状態の間での切り替えと互いの独立を確実にするために、切り替えの発生時にRIPのインタープリタの実行環境が破壊されないようにする必要がある。このため、RIPは以下のステップを実行する。
1)PS言語標準で定義される「systemdict」、「globaldict」および「userdict」をRIPの辞書スタックにプッシュする。
2)PS言語標準で定義される演算子「save」を実行する。
3)PS言語標準で定義される演算子「initgraphics」を実行する。
4)図1に示す破線の枠の左下角に現在のユーザ座標の原点を設定する。この座標の単位および方向は、PS言語標準で定義されるデフォルト座標のものと一致する(すなわち、座標単位は1/72.0インチ)。
5)現在のクリッピングを図1に示す破線の枠に設定する。
6)現在の点を図1に示す破線の枠の左下角の点に設定し、現在のパスを「empty」に設定する。
7)パラメータをRIPのオペランドスタックにプッシュする。ユーザPSファイルまたはPDFファイルが複合ファイルである場合、パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズとブール値「偽」とを含む。ユーザPSファイルまたはPDFファイルが色前分離ファイルである場合、パラメータはマークを追加する前の元のページのサイズと、現在処理されている色プレート名列と、ブール値「真」とを含む。
8)マークのPS記述ファイルを解釈して実行する。
9)PS言語標準で定義される演算子「restore」を実行する。
10)辞書スタックから「userdict」、「globaldict」および「systemdict」を取り出す。
11)ユーザPSファイルまたはPDFファイルジョブファイルの次のページを順に実行する。
【0033】
上述の各演算子は、対応するPS名と置換されてはならないことを注意する。この理由は、PSファイルにおけるあらゆる名前は再定義することができるので、演算子の名前はジョブPSファイル内で繰り返し再定義され、これにより、ジョブPSファイルの実行がマークのPS記述ファイルの実行と干渉することがあるからである。RIPにおいて内部で予め定義された演算子を直接実行することで、この問題を完全に解決することができる。
【0034】
上記から、本発明にしたがってページラスタライズの過程でPSファイルにマークを追加することは、PSファイルを前処理してマークを追加するのと同様に、PS言語でマークを記述し、さらにページ記述の末端でマークのPS記述ファイルを実行して、マークと元のページとの組み込みを実現することである点に注意する。しかしながら、本発明は従来技術とは本質的に異なる。本発明によると、ページラスタライズ過程でのマークの追加がRIPで完全に実施され、また任意のPSファイルにマークを追加することができる。これとは逆に、PSファイルの前処理によるマークの追加では、特定のソフトウェアの特定のバージョンにより生成されるPSファイルに対してしかマークを追加することができない。そのため、従来の方法は互換性を欠いており、マークの追加に失敗することが多い。さらに、本発明の方法は、前処理ステップを含まないので、従来技術よりも効率性が高い。同一のジョブファイルに対して、マークを追加するときの処理速度はマークを追加しないときの処理速度とほとんど同じである。さらに、本発明の方法は、PSファイルだけでなくPDFファイルにも適用される一方、前処理による方法では、PDFファイルの構造がPSファイルの構造とは異なるため、PDFファイルに対しては特別なステップが必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】マークの有無によるジョブファイルのページの変化を示す模式図である。
【図2】ジョブファイルにマークを追加するRIPの過程を示す模式図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1