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明細書 :有機性汚泥の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5317283号 (P5317283)
公開番号 特開2011-072852 (P2011-072852A)
登録日 平成25年7月19日(2013.7.19)
発行日 平成25年10月16日(2013.10.16)
公開日 平成23年4月14日(2011.4.14)
発明の名称または考案の名称 有機性汚泥の処理方法
国際特許分類 C02F  11/14        (2006.01)
FI C02F 11/14 ZABC
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2009-223601 (P2009-223601)
出願日 平成21年9月29日(2009.9.29)
審査請求日 平成24年8月21日(2012.8.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000208695
【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社
【識別番号】500212103
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称】PEKING UNIVERSITY
【識別番号】509270580
【氏名又は名称】北京市奥利▲愛▼得科技▲発▼展有限公司
【氏名又は名称】Beijing Aoliaide S&T Development Co.,Ltd
発明者または考案者 【氏名】木村 壮次郎
【氏名】平山 鋼太郎
【氏名】▲劉▼▲陽▼生
【氏名】▲楊▼盛林
【氏名】▲陳▼子庭
【氏名】中島 實
個別代理人の代理人 【識別番号】100100066、【弁理士】、【氏名又は名称】愛智 宏
【識別番号】100100365、【弁理士】、【氏名又は名称】増子 尚道
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開昭54-121558(JP,A)
特開昭55-044338(JP,A)
特開昭58-045798(JP,A)
特開平09-122700(JP,A)
特開平09-248600(JP,A)
特開2000-176495(JP,A)
特開昭63-084699(JP,A)
特開2009-202078(JP,A)
特開平09-243262(JP,A)
特開平11-035388(JP,A)
特開2005-125265(JP,A)
特開平07-239118(JP,A)
特開昭58-101796(JP,A)
特開2008-049318(JP,A)
特開2008-238129(JP,A)
特開平10-272497(JP,A)
特開2010-036128(JP,A)
米国特許第5200033(US,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
B09B 1/00- 5/00
F26B 1/00-25/22
特許請求の範囲 【請求項1】
脱水汚泥100質量部と生石灰5~30質量部とを攪拌混合機に仕込み、前記脱水汚泥中の水と前記生石灰との反応熱によって当該脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生する水蒸気を前記攪拌混合機から回収して蒸気過熱装置で過熱し、得られる過熱水蒸気を前記攪拌混合機に供給して、前記脱水汚泥および前記生石灰と接触させる乾燥工程を含むことを特徴とする有機性汚泥の処理方法。
【請求項2】
有機性汚泥を脱水して含水率が70~90質量%の脱水汚泥を得る脱水工程と、
得られた脱水汚泥100質量部と生石灰5~30質量部とを攪拌混合機に仕込み、前記脱水汚泥中の水と前記生石灰との反応熱によって当該脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生する水蒸気を前記攪拌混合機から回収して蒸気過熱装置で過熱し、得られる過熱水蒸気を前記攪拌混合機に供給して、前記脱水汚泥および前記生石灰と接触させる一次乾燥工程と、
前記一次乾燥工程を経た汚泥を前記攪拌混合機から取り出して乾燥する二次乾燥工程とを含むことを特徴とする有機性汚泥の処理方法。
【請求項3】
脱水汚泥と生石灰との仕込比率(質量)が100:10~30であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機性汚泥の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は有機性汚泥の処理方法に関し、さらに詳しくは、下水処理汚泥、し尿処理汚泥などの有機性汚泥を生石灰を使用して乾燥する工程を含む処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー消費量の少ない有機性汚泥の処理方法として、酸素不存在下で汚泥を熱分解して燃料などの炭化物製品とすることが行われており、種々の炭化処理方法が提案されている(特許文献1および2参照)。
【0003】
有機性汚泥から炭化物を得る場合には、炭化処理する前の汚泥を乾燥する必要がある。また、有機性汚泥を他の用途に供する場合においても、含水率が90~100質量%程度である有機汚泥を乾燥して、含水率が20~30質量%程度の乾燥汚泥を得る必要がある。
【0004】
有機性汚泥から乾燥汚泥を得る方法としては、通常、脱水機によって機械的に脱水して含水率が75質量%程度の脱水汚泥とし、この脱水汚泥を加熱乾燥することが行われている(特許文献1-3参照)。
【0005】
ここに、脱水汚泥を加熱乾燥する方法としては、加熱式乾燥機などを用いて脱水汚泥に熱エネルギーを付与する方法、脱水汚泥に生石灰を接触させて、脱水汚泥中の水と生石灰との反応熱を利用して脱水汚泥中の水を蒸発させる方法がある。
【0006】
生石灰と水との反応熱を利用する乾燥処理は、脱水汚泥と生石灰とを攪拌混合機(反応器)に仕込み、脱水汚泥中の水と生石灰とを反応させ、その反応熱によって当該脱水汚泥中の水を蒸発させる。この乾燥処理は、通常、連続的に実施され、また、反応器内のみで実施することもできるが、反応器から排出後、二次乾燥(後乾燥)として、例えば屋外で更に行うこともできる。
【0007】
生石灰と水との反応熱を利用する乾燥処理は、熱エネルギーを外部から付与する必要がないために、エネルギーコストの点から有利である。
また、生石灰との反応によって汚泥がアルカリ性を示し、有機物に由来する臭気が低減される。特に、屋外において二次乾燥(例えば、天日乾燥)を行う場合に衛生面で有利である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-49318号公報
【特許文献2】特開2008-238129号公報
【特許文献3】特開昭58-101796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
脱水汚泥中の水と生石灰との反応熱を利用する乾燥処理において、生石灰の添加量は、水との反応熱によって十分な乾燥(水分の蒸発)が実現されるように、脱水汚泥の処理量および含水率から決定される。
ここに、生石灰の添加量の一例を示すと、含水率75質量%程度の脱水汚泥100質量部に対して20質量部程度とされる。
【0010】
しかしながら、含水率が75質量%程度の脱水汚泥は粘土質の塊状物であるため、その内部に生石灰を浸透させることができず、このため、乾燥処理後の汚泥(塊状物)の表面に、未反応の生石灰が付着残留している一方で、当該汚泥(塊状物)の内部には依然として一定量の水分が残留したままとなって十分な乾燥が行われていないのが現実である。
【0011】
発熱反応に寄与できない未反応の生石灰は、処理コストの点から好ましくないばかりか、生石灰(カルシウム)の濃度が高くなることによって、得られる乾燥汚泥の用途が限定され、例えば、燃料などとして利用する炭化物製品を得ることができなくなる。
なお、未反応の生石灰が汚泥に残留することを防止するために、生石灰の添加量を低減すると、十分な乾燥(水分の蒸発)を実現することができなくなる。
【0012】
このため、未反応の生石灰が乾燥汚泥に残留しない程度に少ない量の生石灰で、有機性汚泥を十分に乾燥することのできる処理方法が望まれていた。
【0013】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、少ない量の生石灰によって有機性汚泥を十分に乾燥することができ、カルシウム含有率の低い乾燥汚泥を得ることができる有機性汚泥の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明に係る有機性汚泥の処理方法は、脱水汚泥100質量部と生石灰5~30質量部とを攪拌混合機に仕込み、前記脱水汚泥中の水と前記生石灰との反応熱によって当該脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生する水蒸気を前記攪拌混合機から回収して蒸気過熱装置で過熱し、得られる過熱水蒸気を前記攪拌混合機に供給して、前記脱水汚泥および前記生石灰と接触させる乾燥工程を含むことを特徴とする。
【0015】
このような処理方法によれば、
(1)過熱水蒸気は、塊状(ケーキ状)の脱水汚泥の内部に浸透し、当該脱水汚泥(塊状物)を軟化・崩壊させる。これにより、脱水汚泥の内部に存在していた水分が、攪拌混合機内の高温雰囲気と接触して水蒸気となり、これにより乾燥効率が向上する。
(2)過熱水蒸気による脱水汚泥の軟化・崩壊に伴って、その内部に存在していた水分の一部が、脱水汚泥の表面に付着していた生石灰と反応して発熱し、攪拌混合機内の温度を上昇させ、これにより乾燥効率が向上する。
(3)過熱水蒸気の凝縮水が、脱水汚泥(塊状物)の表面に付着している生石灰と反応して発熱し、攪拌混合機内の温度を上昇させ、これにより乾燥効率が向上する。
(4)過熱水蒸気の有する熱エネルギーが攪拌混合機の内部温度を上昇させ、これにより乾燥効率が向上する。
(5)過熱水蒸気は湿度が低いので、攪拌混合機内を湿潤化させることがない。
(6)過熱水蒸気により、生石灰と水(凝縮水および脱水汚泥の内部に存在していた水)との接触効率が格段に向上するので、攪拌混合機内への生石灰の仕込量を少なくしても、脱水汚泥を効率的に乾燥することができる。そして、生石灰の仕込量を少なくすることができるために、得られる乾燥汚泥中のカルシウム含有率を低くすることができる。
【0016】
第2の発明は、有機性汚泥を脱水して含水率が70~90質量%の脱水汚泥を得る脱水工程と、
得られた脱水汚泥100質量部と生石灰5~30質量部とを攪拌混合機に仕込み、前記脱水汚泥中の水と前記生石灰との反応熱によって当該脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生する水蒸気を前記攪拌混合機から回収して蒸気過熱装置で過熱し、得られる過熱水蒸気を前記攪拌混合機に供給して、前記脱水汚泥および前記生石灰と接触させる一次乾燥工程と、
前記一次乾燥工程を経た汚泥を前記攪拌混合機から取り出して乾燥する二次乾燥工程とを含むことを特徴とする。

【0017】
このような処理方法によれば、二次乾燥工程を経て得られる乾燥汚泥中の含水率を十分に低いものとすることができる。
また、一次乾燥工程における過熱水蒸気の供給により、生石灰の仕込量を少なくすることができるので、得られる乾燥汚泥中のカルシウム含有率を低くすることができる。
さらに、一次乾燥工程を経た汚泥が、生石灰と水との反応によってアルカリ性を示し、有機物に由来する臭気を低減することができる。
【0018】
本発明の処理方法において、攪拌混合機に仕込まれる脱水汚泥と生石灰との仕込比率(質量)が100:10~30であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の処理方法によれば、従来の使用量よりも少ない量の生石灰によって有機性汚泥(脱水汚泥)を効率的に乾燥することができる。
本発明の処理方法により処理された乾燥汚泥は、カルシウム含有率を低くすることができるので、種々の用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の処理方法の一実施形態で使用する装置の全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において、1は脱水機、2はロータリーキルン(攪拌混合機)、3は蒸気過熱装置、4は循環用送風機、5は排気部、6は屋外乾燥場である。
本実施形態の処理方法は、脱水工程と、一次乾燥工程と、二次乾燥工程とを含む。

【0022】
(1)脱水工程:
本実施形態の処理方法を構成する脱水工程は、脱水機1により有機性汚泥を脱水して含水率が70~90質量%の脱水汚泥を得る工程である。
脱水工程に供される有機性汚泥は、下水処理場や食品製造工場から発生する汚泥であり、その含水率は、通常90~100質量%程度とされ、具体的な一例を示せば95質量%である。
脱水機1としては、特に限定されるものではなく、従来公知の機械的な脱水機をすべて使用することができる。好適な脱水機1として遠心分離を利用するものを挙げることができる。
脱水工程を経て得られる脱水汚泥の含水率は70~90質量%であり、好ましくは70~80質量%とされ、具体的な一例を示せば75質量%である。

【0023】
(2)一次乾燥工程:
本実施形態の処理方法を構成する一次乾燥工程は、脱水工程により得られた脱水汚泥と、生石灰とをロータリーキルン2に仕込み、脱水汚泥中の水と生石灰とを反応させ、その反応熱によって脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生する水蒸気をロータリーキルン2から回収し、その一部を蒸気過熱装置3で過熱し、得られる過熱水蒸気をロータリーキルン2に供給して(戻して)、脱水汚泥および生石灰と接触させる工程である。

【0024】
本実施形態で使用するロータリーキルン2は、滞留物である脱水汚泥と生石灰とを混合するための攪拌混合機である。
脱水汚泥および生石灰は、一定の比率で、ロータリーキルン2内に連続的に仕込まれる。
脱水汚泥および生石灰の仕込比率としては、脱水汚泥の含水率などによっても異なるが、例えば、脱水汚泥100質量部に対して生石灰が5~30質量部であることが好ましく、更に好ましくは5~20質量部とされる。

【0025】
脱水汚泥に対する生石灰の仕込み量が過少である場合には、脱水汚泥中の水分との反応が十分に行われないために、ロータリーキルン2内の雰囲気温度を十分に上昇させることができず、効率的な乾燥処理を行うことができない。
一方、脱水汚泥に対する生石灰の仕込み量が過剰である場合には、最終的に得られる乾燥汚泥中におけるカルシウムの含有率が高くなり、乾燥汚泥の用途が制限される。

【0026】
ロータリーキルン2内において、脱水汚泥中の水と生石灰とが反応して消石灰が生成され(CaO+H2 O→Ca(OH)2 )、そのときの反応熱によって脱水汚泥に含まれる水分が蒸発する。これにより発生する水蒸気の一部は、管路P1をとおって蒸気過熱装置3に供給され、水蒸気の残部は、管路P2を通って排気部5から排気される。
排気部5には、粉体を回収するフィルタ(図示省略)が設けられており、これにより、水蒸気とともに排気部5に流入した消石灰を分離して回収することができる。
消石灰が分離された後の水蒸気は、大気中に排気されるが、熱源として利用することも可能である。

【0027】
一方、蒸気過熱装置3に供給された水蒸気は、蒸気過熱装置3で過熱されて過熱水蒸気となり、管路P3を通ってロータリーキルン2に供給され、脱水汚泥および生石灰と接触する。
蒸気過熱装置3から排出された直後の過熱水蒸気の温度は、例えば200~350℃とされ、ロータリーキルン2内に供給されるときには150~170℃程度に維持されている。

【0028】
ロータリーキルン2内に滞留する脱水汚泥に過熱水蒸気を接触させることにより、湿度の低い過熱水蒸気は、脱水汚泥の表面を濡らすことなく、脱水汚泥の内部に浸透する。
そして、過熱水蒸気が浸透した後の脱水汚泥は、軟化してほぐされた状態(沸騰状態)となって崩壊する。これに伴って、脱水汚泥の内部に閉じ込められていた水分が、ロータリーキルン2内の高温雰囲気と接触し、加熱されて水蒸気となる。
また、軟化・崩壊する前の脱水汚泥(塊状物)の内部に閉じ込められていた水分の一部が、脱水汚泥(塊状物)の表面に付着していた生石灰と反応して発熱し、ロータリーキルン2内の温度を更に上昇させる。
また、過熱水蒸気の凝縮水が、脱水汚泥(塊状物)の表面に付着している生石灰と反応して発熱し、ロータリーキルン2内の温度をさらに上昇させる。
また、過熱水蒸気自体の有する熱エネルギーがロータリーキルン2の内部温度をさらに上昇させる。
なお、過熱水蒸気は湿度が低いために、供給された過熱水蒸気がロータリーキルン2内を湿潤化することはない。
以上のように、ロータリーキルン2に供給される過熱水蒸気は、脱水汚泥に含まれる水分を蒸発させるための熱エネルギーの供給源として機能するのみでなく、脱水汚泥の塊状物を崩壊させることによって内部に閉じ込められていた水分を蒸発させたり、生石灰と反応させたりする機能と、脱水汚泥の塊状物に付着していた生石灰と発熱反応する凝縮水の供給源としての機能とを兼ね備えている。そして、これらの相乗効果により、過熱水蒸気を供給しないときと比較して脱水汚泥の乾燥効率が格段に向上する。

【0029】
ここに、過熱水蒸気の代わりに常圧水蒸気(100℃)を使用する場合には、常圧水蒸気が脱水汚泥の塊状物の表面で凝縮してしまい、内部に浸透することはできない。このため、脱水汚泥の内部に閉じ込められた水分を蒸発させたり、生石灰と反応させたりすることは不可能である。また、常圧水蒸気は、脱水汚泥の塊状物の表面を濡らしてしまうとともに、ロータリーキルン内を湿潤化してしまう。従って、常圧水蒸気をロータリーキルン内に常圧蒸気が存在しても、乾燥効率の向上を十分に図ることができない。

【0030】
また、本実施形態の処理方法によれば、過熱水蒸気を供給することにより、生石灰と水(過熱水蒸気の凝縮水および脱水汚泥内部に閉じ込められていた水)との接触効率を格段に向上させることができるので、ロータリーキルン内への生石灰の仕込量を少なくしても、脱水汚泥を十分に乾燥することができる。そして、生石灰の仕込量を少なくすることができるので、得られる乾燥汚泥中のカルシウム含有率(未反応の生石灰および反応後の消石灰に由来するカルシウムの合計含有率)を低くすることができる。

【0031】
ロータリーキルン2から蒸気過熱装置3を経てロータリーキルン2に戻る(過熱)水蒸気の流量は、循環用送風機4への供給電力を調整することにより制御することができる。また、ロータリーキルン2へ供給される過熱水蒸気の温度および流量は、更に、蒸気過熱装置3への供給電力を調整することにより制御することができる。
循環用送風機4および蒸気過熱装置3への供給電力が大きいほど、過熱水蒸気による熱エネルギーが増大して効率的な乾燥を行うことができる。但し、供給電力が過大であると、この電力を得るために過大なエネルギーコストが発生する場合がある。
例えば、循環用送風機4への供給電力を0.75KW、蒸気過熱装置3への供給電力を1.5KWと設定することにより、150~170℃程度の過熱水蒸気を3~5kg/hrの流量でロータリーキルン2内に供給することができる。

【0032】
ロータリーキルン2内における乾燥効率は、ロータリーキルン2内の雰囲気温度や滞留している汚泥の温度に依存する。
ここに、ロータリーキルン2内に滞留する汚泥の温度としては、脱水汚泥および生石灰の仕込量・仕込比率、過熱水蒸気の供給量などによっても異なるが、70℃以上であることが好ましく、過熱水蒸気を供給しない場合よりも5℃以上高いことが好ましい。
一次乾燥工程において、脱水汚泥および生石灰は、ロータリーキルン2に連続的に仕込まれ、一定時間滞留した後、ロータリーキルン2から排出される。
一次乾燥工程に要する時間、すなわち、ロータリーキルン2内での脱水汚泥および生石灰の滞留時間は3~20分間であることが好ましく、更に好ましくは7~9分間とされる。
一次乾燥工程を経てロータリーキルン2から排出される汚泥の含水率は20~70質量%とされ、好ましく30~50質量%とされる。

【0033】
(3)二次乾燥工程:
本実施形態の処理方法を構成する二次乾燥工程は、一次乾燥工程を経てロータリーキルンから取り出された汚泥を屋外で天日乾燥する工程である。この工程によって含水率の低い乾燥汚泥を確実に得ることができる。
本実施形態においては、過熱水蒸気を利用した効率的な乾燥処理が一次乾燥工程で実施されているので、二次乾燥工程における処理時間を短縮することができる。
また、一次乾燥工程を経た汚泥が、生石灰と水との反応によってアルカリ性を示すので、有機物に由来する臭気を低減することができる。
二次乾燥工程に要する時間は、温度・湿度などによっても異なるが、例えば8~50時間とされる。

【0034】
本実施形態の処理方法で得られる乾燥汚泥の含水率は50質量%以下、好ましくは20~30質量%とされる。
本実施形態の処理方法で得られる乾燥汚泥は、一次乾燥工程における生石灰の仕込量を少なくすることができることから、生石灰を利用した従来の処理方法で得られる乾燥汚泥と比較してカルシウムの含有率が低く、未反応の生石灰に由来するカルシウムの含有率は実質的に0である。このように低カルシウムの乾燥汚泥は種々の用途、例えばセメント原料、道路基材、化石燃料代替に適用することができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例について説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
【実施例】
【0036】
<実施例1>
図1に示したような装置を使用して、脱水工程、一次乾燥工程および二次乾燥工程を実施した。
(1)脱水工程:
遠心分離機からなる脱水機1を使用して、含水率95%の有機性汚泥261tを8時間かけて連続的に脱水処理することにより含水率75%の脱水汚泥51tを得た。
【実施例】
【0037】
(2)一次乾燥工程:
脱水工程を経て脱水機1から排出された脱水汚泥を、順次、生石灰と共にロータリーキルン2(直径=0.9m、長さ=5.5m)に仕込み、ロータリーキルン2内で脱水汚泥中の水と生石灰とを反応させ、その反応熱によって脱水汚泥中の水を蒸発させるとともに、発生した水蒸気をロータリーキルン2から回収し、回収した水蒸気の一部を循環用送風機4により蒸気過熱装置3に供給して過熱し、得られた過熱水蒸気をロータリーキルン2に供給して脱水汚泥および生石灰と接触させ、他方、回収した水蒸気の残部を排気部5から排気する操作を、脱水工程と並行して8時間にわたり連続的に行った。
【実施例】
【0038】
ここに、ロータリーキルン2への脱水汚泥と生石灰との仕込比率は、平均で100:14.1(質量)であり、ロータリーキルン2内での脱水汚泥および生石灰の滞留時間を8分間とした。
また、循環用送風機4への供給電力を0.75kW、蒸気過熱装置3への供給電力を1.5kWとすることにより、150℃程度の過熱水蒸気を3kg/時間の流量でロータリーキルン2内に供給した。
一次乾燥工程での乾燥効率の指標として、ロータリーキルン2内に滞留する汚泥の温度を測定したところ60.8℃であった。
【実施例】
【0039】
(3)二次乾燥工程:
一次乾燥工程を経てロータリーキルン2から排出された汚泥を屋外乾燥場6にて24時間にわたり天日乾燥を行い、含水率25%の乾燥汚泥28.8tを得た。二次乾燥工程中の最高気温は30℃(湿度68%)、最低気温は24℃(湿度90%)であった。
得られた乾燥汚泥において、未反応の生石灰によるカルシウムの残留は認められなかった。
【実施例】
【0040】
<比較例1>
(1)脱水工程:
遠心分離機からなる脱水機1を使用して、含水率95%の有機性汚泥288tを8時間かけて連続的に脱水処理することにより含水率75%の脱水汚泥56.4tを得た。
【実施例】
【0041】
(2)一次乾燥工程:
脱水工程を経て脱水機1から排出された脱水汚泥を、順次、生石灰と共にロータリーキルン2に仕込み、ロータリーキルン2内で脱水汚泥中の水と生石灰とを反応させ、その反応熱によって脱水汚泥中の水を蒸発させ、発生した水蒸気を排気部5から排気する操作を、脱水工程と並行して8時間にわたり連続的に行った。
ここに、ロータリーキルン2への脱水汚泥と生石灰との仕込比率は、平均で100:17.0(質量)であり、ロータリーキルン2内での脱水汚泥および生石灰の滞留時間を8分間とした。
一次乾燥工程での乾燥効率の指標として、ロータリーキルン2内に滞留する汚泥の温度を測定したところ54.5℃であった。
【実施例】
【0042】
(3)二次乾燥工程:
一次乾燥工程を経てロータリーキルン2から排出された汚泥を、実施例1(3)と同様の条件下で天日乾燥を行い、含水率35%の乾燥汚泥38.4tを得た。
得られた乾燥汚泥において、未反応の生石灰によるカルシウムの残留が認められた。
【実施例】
【0043】
この比較例1は、ロータリーキルン内への過熱水蒸気の供給を行わなわずに、生石灰の仕込比率を高くした比較例である。
【実施例】
【0044】
<比較例2>
(1)脱水工程:
遠心分離機からなる脱水機1を使用して、含水率95%の有機性汚泥270tを8時間かけて連続的に脱水処理することにより含水率75%の脱水汚泥52.9tを得た。
【実施例】
【0045】
(2)一次乾燥工程:
脱水工程を経て脱水機1から排出された脱水汚泥を、順次、生石灰と共にロータリーキルン2に仕込み、ロータリーキルン2内で脱水汚泥中の水と生石灰とを反応させ、その反応熱によって脱水汚泥中の水を蒸発させ、発生した水蒸気を排気部5から排気する操作を、脱水工程と並行して8時間にわたり連続的に行った。
ここに、ロータリーキルン2への脱水汚泥と生石灰との仕込比率は、平均で100:14.1(質量)であり、ロータリーキルン2内での脱水汚泥および生石灰の滞留時間を8分間とした。
一次乾燥工程での乾燥効率の指標として、ロータリーキルン2内に滞留する汚泥の温度を測定したところ15~18℃と低いものであった。
【実施例】
【0046】
(3)二次乾燥工程:
一次乾燥工程を経てロータリーキルン2から排出された汚泥を、実施例1(3)と同様の条件下で天日乾燥を行い、含水率45%の乾燥汚泥21.5tを得た。
得られた乾燥汚泥において、未反応の生石灰によるカルシウムの残留が認められた。
この比較例2は、ロータリーキルン内への過熱水蒸気の供給を行わなかった比較例である。
以上の結果を表1にまとめて示す。
【実施例】
【0047】

【表1】
JP0005317283B2_000002t.gif
【符号の説明】
【0048】
1 脱水機
2 ロータリーキルン
3 蒸気過熱装置
4 循環用送風機
5 排気部
6 屋外乾燥場
図面
【図1】
0