TOP > 中国の大学の特許 > 上海交通大学の特許一覧 > ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイス及びその製造方法 > 明細書

明細書 :ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイス及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5356019号 (P5356019)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
発行日 平成25年12月4日(2013.12.4)
発明の名称または考案の名称 ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイス及びその製造方法
国際特許分類 B01D  53/28        (2006.01)
FI B01D 53/28
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2008-510811 (P2008-510811)
出願日 平成19年3月19日(2007.3.19)
国際出願番号 PCT/JP2007/055495
国際公開番号 WO2007/119416
国際公開日 平成19年10月25日(2007.10.25)
優先権出願番号 200610025464.3
優先日 平成18年4月6日(2006.4.6)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成20年10月3日(2008.10.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】王 如竹
【氏名】代 彦軍
【氏名】神野 亮
【氏名】喜 冠南
個別代理人の代理人 【識別番号】100094145、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 由己男
【識別番号】100111187、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 秀忠
審査官 【審査官】岡谷 祐哉
参考文献・文献 特開昭57-165033(JP,A)
特開2001-004172(JP,A)
特開平11-182890(JP,A)
特開2002-361026(JP,A)
特開2002-228189(JP,A)
特開平05-057129(JP,A)
調査した分野 B01D 53/26-53/28
F24F 3/14
特許請求の範囲 【請求項1】
ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法であって、
基材をハロゲン化金属塩の溶液にディッピングさせ、中間体を生成するハロゲン化金属塩ディッピング工程と、
前記中間体を潮解させ、ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを生成させる強制潮解工程と、
前記ハロゲン化金属塩ディッピング工程で生成された前記中間体を乾燥させる第1乾燥工程と、
前記強制潮解工程で生成された前記ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを乾燥させる第2乾燥工程と、
を備えた、ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記強制潮解工程では、前記中間体の周囲の空気を循環させる、
請求項1に記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記強制潮解工程では、発生した潮解液を前記中間体から排除して前記ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを生成させる、
請求項1または2に記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項4】
前記強制潮解工程は、前記潮解による液垂れが発生しなくなるまで行われる、
請求項1から3のいずれかに記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項5】
前記基材は、非潮解性吸着剤を含有している、請求項1に記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項6】
前記基材は、非潮解性吸着剤溶液にディッピングさせて生成された、請求項5に記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
【請求項7】
前記基材は、非潮解性吸着剤溶液にディッピングさせた後、さらに乾燥工程で乾燥させて生成された、請求項6に記載のハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水分の吸着と脱着が可能なデシカントデバイスの製造方法、特にハロゲン化金属塩を有する複合デシカントデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の湿度は、空気の温度とともに室内の空気品質を表わす重要な環境パラメータであって、室内の人間あるいは物品に対して最適な条件に維持する必要がある。そこで、室内の人間に対する快適環境を作ることを目的とし、空気が乾燥する冬には室外空気(外気)から水分を取り込み室内にその水分を搬送する加湿機能を加えて、室内が心地よい相対湿度を有するようにするとともに、梅雨など湿気の高い季節には室内の空気に対し除湿を行う除湿機能をも有する調湿ユニットを備えた空気調和機が登場してきている。また、工業用空調設備においては、室内において生産または保管される物品、機械などに対する最適な条件を維持するため、厳密な湿度制御を行う調湿装置が存在する。
【0003】
このような調湿ユニットまたは調湿装置では、従来シリカゲル、ゼオライト等の非潮解性吸着剤を用いたデシカントロータなどが使用されている。また、デシカントデバイスの吸着性能を高めるため、吸着剤として塩化カルシウム、塩化リチウムなどの潮解性吸着剤を使う技術も提案されている。さらに、シリカゲル、ゼオライト等に塩化カルシウム、塩化リチウムなどを担持させたデシカントデバイスも提案されている(特許文献1)。

【特許文献1】特開2001-4172
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シリカゲル、ゼオライト等の吸着剤は、潮解性を有さず安全無害な調湿剤であるが、吸水量が不十分であるため、デシカントデバイスの高性能化が難しいという問題がある。一方、塩化カルシウム、塩化リチウムなどの潮解性固体吸着剤を使用したロータなどにおいては、空気に含まれる水分が潮解性固体に衝突すると、潮解性固体の一部がその水分に溶解するとともに、水分が潮解性固体に吸収される。したがって、シリカゲルなどに比べて吸水量が優れているが、水分を吸着した塩化カルシウム、塩化リチウムなどが水に溶解し垂れ流されることにより、吸着剤の流失が発生し、デバイスの除湿力が低下してしまう。また、デバイス構成部材の腐食及び吸湿液の空気中への飛散などが発生するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、製品の使用・保管環境において潮解しにくいハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、水分の吸着脱着性能が高く、潮解しにくいハロゲン化金属塩複合デシカントデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、基材をハロゲン化金属塩の溶液にディッピングさせ、中間体を生成するハロゲン化金属塩ディッピング工程と、中間体に対し強制潮解処理を行い、ハロゲン化金属塩を有するデバイスを生成させる強制潮解工程とを備えている。
【0008】
ここでは、ハロゲン化金属塩ディッピング工程において、基材をハロゲン化金属塩の溶液にディッピングさせ中間体を生成する。吸着剤としてハロゲン化金属塩を採用することにより、デシカントの吸水性を高め、デバイスの高性能化を図る。
【0009】
従来は、潮解性固体が含まれた溶液に基材を含浸させるディッピング工程だけによりデシカントデバイスを製造していた。しかし、ディッピング工程だけで製造されたデシカントデバイスは、使用及び保管中に潮解性吸着剤が大気中の水分を吸着して溶解し垂れ流されることにより、吸着剤の流失が発生し、デバイスの除湿力が低下してしまう。また、潮解液によるデバイス部材の腐食のおそれもある。
【0010】
そこで、本発明では、ハロゲン化金属塩ディッピング工程に加えて、強制潮解工程をさらに加えている。この強制潮解工程においては、ディッピング工程で生成された中間体に対し強制潮解処理を行う。強制潮解工程を経て、ハロゲン化金属塩含有量の最適化が図られ、製品の使用・保管環境において潮解しにくいハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを得ることができる。
【0011】
また、ハロゲン化金属塩ディッピング工程で生成された中間体に対し乾燥処理を行う第1乾燥工程をさらに備えている。
【0012】
ここでは、ディッピング工程で生成された中間体に対し乾燥処理を行うことで、ハロゲン化金属塩を中間体に固着させることができる。
【0013】
さらに、強制潮解工程で生成されたハロゲン化金属塩を有するデバイスに対し乾燥処理を行う第2乾燥工程をさらに備えている。
【0014】
ここでは、強制潮解工程でポストトリートメントされ、生成されたハロゲン化金属塩を有するデバイスに対し乾燥処理を行うことで、強制潮解工程で発生した潮解液をデバイスから除去することができる。
【0015】
第2発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、第1発明に係る製造方法において、強制潮解工程では中間体の周囲の空気を循環させる。
【0016】
第3発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、第1または2の発明に係る製造方法において、強制潮解工程では、発生した潮解液を中間体から排除する。
【0017】
第4発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、請求項1から3のいずれかに係る製造方法において、強制潮解工程は、中間体から潮解による液垂れが発生しなくなるまで行われる。
【0018】
通常、デシカントデバイスは、一定の温度及び湿度の空気に対し、加湿処理または除湿処理用に使用されるものである。ここでは、通常の環境より潮解が発生しやすい環境において、中間体の周囲の空気を循環させ、強制潮解工程で発生した潮解液を中間体から排除する。その結果、中間体に固着した余分なハロゲン化金属塩を排除させ、ハロゲン化金属塩含有量の最適化を図ることができる。また、中間体から潮解による液垂れが発生しなくなるまでこのような工程を継続させることで、製品の使用・保管環境において潮解しにくいハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを得ることができる。
【0019】
第5発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、第1発明に係る製造方法において、基材は、非潮解性吸着剤を含有している。
【0020】
ここでは、基材が非潮解性吸着剤を含有しており、この基材にハロゲン化金属塩溶液にディッピングさせてハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造をしている。したがって、この製造方法で得られたデシカントデバイスは、非潮解性吸着剤とハロゲン化金属塩とを有する複合デシカントデバイスとなり、非潮解性吸着剤とハロゲン化金属塩との相乗効果により、吸着性能をさらに高めるとともに安定性を確保することができる。
【0021】
第6発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、第5発明に係る製造方法において、基材は、非潮解性吸着剤溶液にディッピングさせて生成されたものである。
【0022】
第7発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、第6発明に係る製造方法において、基材は、非潮解性吸着剤溶液にディッピングさせた後、さらに乾燥工程で乾燥処理を行って生成されたものである。
【0023】
ここでは、基材を非潮解性吸着剤溶液にディッピングさせた後、乾燥工程で乾燥処理を行って生成することで、簡易に製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法は、基材をハロゲン化金属塩の溶液にディッピングさせ、中間体を生成するハロゲン化金属塩ディッピング工程と、中間体に対し強制潮解処理を行い、ハロゲン化金属塩を有するデバイスを生成させる強制潮解工程とを備えている。
【0025】
ここでは、ハロゲン化金属塩ディッピング工程において、基材をハロゲン化金属塩の溶液にディッピングさせ中間体を生成する。吸着剤としてハロゲン化金属塩を採用することにより、デシカントの吸水性を高め、デバイスの高性能化を図る。
【0026】
また、本発明では、ハロゲン化金属塩ディッピング工程に加えて、強制潮解工程をさらに加えている。この強制潮解工程においては、ディッピング工程で生成された中間体に対し強制潮解処理を行う。強制潮解工程を経て、ハロゲン化金属塩含有量の最適化が図られ、製品の使用・保管環境において潮解しにくいハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】デシカントデバイスの例である除湿ロータの概略図。
【図2】ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法の概略図。
【図3】(a)塩化リチウムディッピング処理後の表面状態組織図。

【0028】
(b)塩化リチウムディッピング処理後の表面の概念図。
【図4】(a)強制潮解処理後の表面状態組織図。

【0029】
(b)強制潮解処理後の表面の概念図。
【図5】塩化リチウムディッピング処理後の吸湿材の塩化リチウム分析SEM画像。
【図6】強制潮解処理後の吸湿材の塩化リチウム分析SEM画像。
【図7】(a)外気調湿ユニット100の上面図。

【0030】
(b)外気調湿ユニット100の概略従断面図。
【図8】従来のシリカゲル吸着剤ロータとシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータとの吸湿性能を比較したグラフ。
【符号の説明】
【0031】
1 デシカントデバイス
2 フレーム
3 吸湿材
3a 基材
3b 第一中間体
3c 第二中間体
10 除湿ロータ
X シリカゲル
Y 塩化リチウム
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法)
<デシカントデバイス>
本発明の一実施形態にかかるデシカントデバイスを図1に示す。デシカントデバイス1は、平面視において円形を有するフレーム2と、フレーム2の内部に設けられた吸湿材3とにより構成されている。吸湿材3は、水平面で切った断面において細かいハニカム(蜂の巣)状になっており、セラミック繊維紙の基材に吸着剤ディッピングなどの処理を行って製造されたものである。ここで、基材として、セラミック繊維にシリカゲルなどを担持させた複合繊維などを用いることも可能である。ここでは、吸湿材3の処理方法について、従来の製造方法と比較して説明する。
【0033】
<製造方法>
ガラス繊維紙の基材3aから吸湿材3を製造する製造方法の手順は、図2に示す通りである。まず、第一乾燥工程(S1)では、基材3aの乾燥を行い、基材3aに付着した水分及び揮発性不純物を取り除く。次に、シリカゲルディッピング工程(S2)では、シリカゲル溶液が収納されているディッピング槽に基材3aを含浸させる。この際、シリカゲル溶液の濃度は20%~40%である。その後、第二乾燥工程(S3)では、シリカゲル粒子がディッピングされた第一中間体3bを取り出して乾燥処理を行う。ここで、シリカゲルディッピング工程(S2)と第二乾燥工程(S3)とを繰り返し反復することで、シリカゲル粒子の第一中間体3bへの添着を図ることができる。
【0034】
その後、塩化リチウムディッピング工程(S4)では、中間体3bを塩化リチウム溶液が収納されているディッピング槽に含浸させる。この際、塩化リチウム溶液の濃度は25%~55%、好ましくは40%である。後に、第三乾燥工程(S5)では、塩化リチウムがディッピングされた第二中間体3cを取り出して乾燥処理を行う。ここで、塩化リチウムディッピング工程(S4)と第三乾燥工程(S5)とを繰り返し反復することで、塩化リチウム粒子の第二中間体3cへの担持を強化することができる。
【0035】
さらに、強制潮解工程(S6)では、第三乾燥工程(S5)で得られた第二中間体3cを恒温恒湿槽に入れて強制潮解処理を行う。この過程で、図示しないファンを用いて第二中間体3cの周囲の空気を強制循環させると同時に、第二中間体3cから発生した潮解液を排除し、第二中間体3cから発生した潮解液垂れが発生しなくなるまで処理を行う。強制潮解の際、恒温恒湿槽の温度は35℃~70℃、湿度は80%~100%で、第二中間体3cから潮解による液垂れが発生しなくなるまで行われることが好ましい。本実施形態では、潮解を防止するためのポストトリートメントとして、温度60℃湿度90%の恒温恒湿槽で8時間強制潮解工程(S6)を行っている。その後、第四乾燥工程(S7)において乾燥処理を行い、吸湿材3が得られる。このように製造された吸湿材3において、基材の重量組成が40-50重量部、シリカゲルの重量組成が40-50重量部、塩化リチウムの重量組成が10-20重量部であることが好ましい。
【0036】
従来は、第一乾燥工程(S1)、シリカゲルディッピング工程(S2)、第二乾燥工程(S3)、塩化リチウムディッピング工程(S4)、第三乾燥工程(S5)の五つの工程で基材3aへの処理が完成された。図3(a)は、上記製造工程後の第二中間体3cの表面状態組織を表す走査電子顕微鏡(SME)画像である。ここでは、塩化リチウムYが表面全体に覆われるように担持されており、シリカゲルXや基材3aは確認できない。図3(b)は、塩化リチウムディッピング処理後の表面の概念図である。ここで示すように、塩化リチウムYがシリカゲルXの外表面及び細孔表面全体を覆うように担持されている。
【0037】
一方、本実施形態においては、強制潮解工程(S6)と第四乾燥工程(S7)とをさらに加えている。図4(a)は、強制潮解工程(S6)、第四乾燥工程(S7)後の吸湿材3の表面状態組織を表す走査電子顕微鏡(SME)画像である。図3(a)で示された表面全体に覆われるように担持されていた塩化リチウムYは、強制潮解工程(S6)により除去され、図4(a)でシリカゲルXや基材3aが確認できる。図4(b)は、強制潮解工程(S6)、第四乾燥工程(S7)後の吸湿材3の表面の概念図であり、図3(b)と比較すると、吸湿材3のシリカゲルXの外表面及び細孔表面における塩化リチウムYは80%以上減少されている。
【0038】
図5は第三乾燥工程(S5)後、図6は第四乾燥工程(S7)後の吸湿材の塩化リチウム分析SEM画像である。ここでは、日本電子社製のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)装置でEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)分析を行い、第2中間体3cと基材3に含まれているClの含有量を測定し、Clの含有量に基づいて塩化リチウムYの含有量の分析を行った。図面において白い点はClを表すものである。図5において、塩化リチウムディッピング工程(S4)、第三乾燥工程(S5)後の第二中間体3cにおいては、塩化リチウムの存在を表す白点が画面全体を覆うように形成されている。一方、図6においては、塩化リチウムの存在を表す白点が図5に比べて80%以上減少され、画面全体に点在する形で形成されている。
【0039】
上記分析結果からわかるように、強制潮解工程(S6)と第四乾燥工程(S7)を行うことにより、吸湿材3には使用条件下で潮解が発生しない程度の塩化リチウムの最適量が担持されている。その結果、通常使用過程で吸湿材3が水蒸気を吸湿すると、吸湿材3の表面の一部を覆う塩化リチウムYに潮解が発生するが、塩化リチウムYの吸湿による液状水がシリカゲルX及び基材3aにより吸収されて液状水を保持でき、液垂れが発生しない。
【0040】
本実施形態では、基材としてガラス繊維紙を採用したが、セラミック繊維、RVC等の材料を使用してもよい。また、本実施形態では、シリカゲルディッピング工程(S2)から製造を開始しているが、シリカゲルなどを含む基材、例えばセラミック繊維と繊維状シリカゲル/ゼオライトとの複合繊維から構成されたものを採用しても良い。シリカゲルなどを含む基材を採用する際は、基材にシリカゲルディッピング処理を行う工程は省略可能である。また、ハロゲン化金属塩として塩化リチウムを採用したが、そのほかに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化リチウムなどを採用しても同様の効果を得ることができる。
【0041】
(ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの応用例)
本発明にかかる製造方法で製造されたハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの一例である吸湿ロータ10が採用されている外気調湿ユニットについて説明する。ここで、外気調湿ユニット100は、図示しない空気調和装置の構成部分である。
【0042】
<外気調湿ユニット100の構成>
図7(a)は外気調湿ユニット100の上面図、図7(b)は外気調湿ユニット100の側面視の概略断面図である。この外気調湿ユニット100は、主として、吸湿ロータ10、送風機20、および切換ダンパ30から構成されている。また、外気調湿ユニット100は、吸湿ロータ10の設置スペースおよび吸湿ロータ10から送風機20までのスペースが、仕切板40によって第1空間A1および第2空間A2に区分されている。そして、送風機20から送り出された空気は、切換ダンパ30から連絡管7aを通って室内へと流れるか、あるいは切換ダンパ30からユニット外に排出されることになる。
【0043】
吸湿ロータ10は、上述の製造方法で製造されたセラミックロータであり、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって吸着した水分を脱着する。この吸湿ロータ10は、周面にギアが形成された噛み合い部10aが設けられ、ロータ駆動モータ11の駆動軸に取り付けられるロータ駆動ギアと歯合している。ロータ駆動モータ11の回転力により、吸湿ロータ10が回転する。また、吸湿ロータ10は、その半分が第1空間A1に配置され、残り半分が第2空間A2に配置されている。さらに、吸湿ロータ10の第2空間A2に配置されている部分を加熱するために、ヒータ50が設置されている。
【0044】
送風機20は、除加湿ファンモータ20aによって駆動回転する送風機であり、吸着用ファン21と、脱着用ファン22とを有している。吸着用ファン21は、第1空間A1に配置されている。脱着用ファン22は、第2空間A2に配置されている。また、切換ダンパ30は、吸着用ファン21および脱着用ファン22から送り出される空気(後述する除湿外気および加湿外気)を取り込み、室内への供給あるいは大気排出する役割を果たす。この切換ダンパ30は、切換ダンパ用モータおよび減速用ギア32を介して回動する内部ロータとから構成されている。
【0045】
<外気調湿ユニット100の動作>
図7(b)を参照しながら、外気調湿ユニット100の動作について説明する。
【0046】
吸着用ファン21および脱着用ファン22の上流側の空気の流れは、それぞれ第1空間A1および第2空間A2における空気の流れである。第1空間A1では、吸着用ファン21に吸引され、外気がどんどんと吸湿ロータ10を通過して吸着用ファン1へと流れ込んでくる。この外気は、吸湿ロータ10を通過する際に水分を取られて除湿された除湿外気である。したがって、図7(b)に示す状態では、除湿外気が吸着用ファン21に流れ込み、室内へと送られていくことになる。一方、第2空間A2では、脱着用ファン22に吸引され、どんどんと外気が吸湿ロータ10を通過して脱着用ファン22へと流れ込んでくる。この外気は、吸湿ロータ10を通過する際にヒータ50に加熱されて吸湿ロータ10から脱着した水分を含むようになっているので、加湿外気となる。したがって、図7(b)に示す状態では、脱着用ファン22から送り出され、大気に排出される空気は、加湿されたものとなっている。
【0047】
これに対し、切換ダンパ30の状態を変えることにより、室内機に対して除湿外気および加湿外気のいずれか一方を選択的に供給することができるようになっている。
【0048】
なお、ヒータ50やロータ駆動モータ11を作動させなければ、吸湿ロータ10の機能が働かず、除湿も加湿もされていない外気を室内機2へと送り込むことも可能である。
【0049】
<シリカゲル吸着剤ロータとシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータとの比較>
本外気調湿ユニット100では、ハロゲン化金属塩を有するデシカントデバイスの製造方法で製造した吸湿材3を用いたシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータを採用している。従来のシリカゲル吸着剤ロータに比べて、吸着性能が明らかに向上されている。図8は、異なる湿度における従来のシリカゲル吸着剤ロータとシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータとの吸湿性能を比較したグラフである。図8の横軸はデシカントロータ回転数を表し、縦軸はデシカントロータ入口出口における空気の絶対湿度差(デシカント前後の湿度差)を表している。ここで、デシカントロータ入口における空気の温度は26.5℃、絶対湿度10.8(g/kg)、風量は360m3/hである。ここで分かるように、すべての回転数において、本実施形態におけるシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータは、従来のシリカゲル吸着剤ロータに比べて、吸湿性及び除湿性が明らかに向上されている。
【0050】
また、表1は、従来の製造方法で製造された複合吸着剤ロータと本発明により製造された複合吸着剤ロータの潮解性とを比較したものである。ここで、従来の製造法で製造されたシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータは、図2に示す第一乾燥工程(S1)、シリカゲルディッピング工程(S2)、第二乾燥工程(S3)、塩化リチウムディッピング工程(S4)、第三乾燥工程(S5)の五つの工程で製造されたものである。一方、本発明にかかる製造方法で製造されたシリカゲル-塩化リチウム複合吸着剤ロータは前記五つの工程に加えて強制潮解工程(S6)と第四乾燥工程(S7)とを有している。その結果、夏季の使用条件下(温度35℃、湿度75%)において、従来の製造方法で製造された複合吸着剤ロータには潮解により水が垂れる現象がみられるが、本発明に係る製造方法で製造された複合吸着剤ロータには潮解による液垂れ現象がみられない。
表1
JP0005356019B2_000002t.gif
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7