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明細書 :感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4756112号 (P4756112)
登録日 平成23年6月3日(2011.6.3)
発行日 平成23年8月24日(2011.8.24)
発明の名称または考案の名称 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法
国際特許分類 G03F   7/031       (2006.01)
G03F   7/033       (2006.01)
G03F   7/004       (2006.01)
FI G03F 7/031
G03F 7/033
G03F 7/004 501
請求項の数または発明の数 11
全頁数 35
出願番号 特願2011-505289 (P2011-505289)
出願日 平成22年4月26日(2010.4.26)
国際出願番号 PCT/JP2010/057367
国際公開番号 WO2010/126006
国際公開日 平成22年11月4日(2010.11.4)
優先権出願番号 2009111076
優先日 平成21年4月30日(2009.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年2月7日(2011.2.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【識別番号】507190994
【氏名又は名称】上海交通大学
発明者または考案者 【氏名】宮坂 昌宏
【氏名】鍛治 誠
【氏名】印 傑
【氏名】姜 学松
【氏名】スン リダ
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100128381、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 義憲
【識別番号】100169454、【弁理士】、【氏名又は名称】平野 裕之
審査官 【審査官】外川 敬之
参考文献・文献 特開2003-183253(JP,A)
特開2004-325876(JP,A)
特開2008-129132(JP,A)
調査した分野 G03F 7/031
G03F 7/004
G03F 7/033
特許請求の範囲 【請求項1】
バインダポリマーと、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、下記式(1)、(2)、又は(3)で表される構造を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種のピラジン化合物と、を含有する感光性樹脂組成物。
【化1】
JP0004756112B2_000031t.gif
[式(1)中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R1とR2、又は、R3とR4とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【化2】
JP0004756112B2_000032t.gif
[式(2)中、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R5とR6、又は、R7とR8とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。X及びYは、それぞれ独立にピラジン骨格の2つの炭素と共に形成された単環構造又は縮合多環構造の芳香族環を構成する原子群を示す。]
【化3】
JP0004756112B2_000033t.gif
[式(3)中、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R9とR10、又は、R11とR12とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。Zは、ピラジン骨格の4つの炭素と共に形成された、単環構造若しくは縮合多環構造の芳香族環、又は、複素環を構成する原子群を示す。]
【請求項2】
前記ピラジン化合物が、前記式(1)で表される構造を有する化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ピラジン化合物の極大吸収波長が、350~410nmの範囲内である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記バインダポリマーが、(メタ)アクリル酸と、スチレン又はスチレン誘導体とを共重合成分として含む請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
下記式(4)で表される化合物を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【化4】
JP0004756112B2_000034t.gif
[式(4)中、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、R13、R14及びR15はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1~5のアルキル基を示し、R13、R14及びR15のうち少なくとも一つはハロゲン原子を示す。R16は水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又は、炭素数1~5のアルコキシ基を示し、lは0~4の整数を示す。lが2~4のとき、複数のR16は同一でも異なっていてもよい。]
【請求項6】
水素供与性化合物を更に含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記水素供与性化合物が、下記式(5)で表される化合物を含有する請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【化5】
JP0004756112B2_000035t.gif
[式(5)中、R17は炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基若しくはエステル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す。nは0~5の整数であり、nが2~5のとき、複数のR17は同一でも異なっていてもよい。]
【請求項8】
支持体と、該支持体上に形成された請求項1~7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメント。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、
前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、
前記感光性樹脂組成物層の前記所定部分以外の部分を前記基板上から除去することにより、前記基板上に、前記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項10】
前記活性光線の波長が390~410nmである、請求項9に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、プリント配線板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板、プラズマディスプレイ用配線板、液晶ディスプレイ用配線板、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ等の微細電子回路の製造分野においては、エッチングやめっき等に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や感光性エレメント(積層体)が広く用いられている。
【0003】
微細電子回路は、例えば以下のようにして製造される。まず、感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を回路形成用基板上に積層(ラミネート)する。次に、支持フィルムを剥離除去した後、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を硬化させる。その後、未露光部を基板上から除去(現像)することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンが形成される。得られたレジストパターンに対しエッチング処理又はめっき処理を施して基板上に回路を形成した後、最終的にレジストを剥離除去して微細電子回路が製造される。
【0004】
上記露光の方法としては、従来、波長365nmを中心とした水銀灯を光源としてフォトマスクを介して露光する方法が用いられている。また、近年、波長405nmの長寿命で高出力な窒化ガリウム系半導体青色レーザや、波長355nmの固体レーザを光源として、パターンのデジタルデータを直接感光性樹脂組成物層に描画する直接描画露光法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。DLP(Digital Light Processing)やLDI(Laser Direct Imaging)と呼ばれるこれらの直接描画露光法は、フォトマスクを介した露光法よりも位置合わせ精度が良好であり、かつ高精細なパターンが得られることから、高密度パッケージ基板作製のために導入されつつある。
【0005】
また、レーザ露光に適した感光性材料についても検討がなされている。例えば、半導体青紫色レーザを光源とした場合に用いられる感光性材料として、特許文献1、2には、特定の開始剤を用いた感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2002-296764号公報
【特許文献2】特開2004-45596号公報
【0007】

【非特許文献1】エレクトロニクス実装技術2002年6月号(p.74~79)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、露光工程では、生産効率の向上のために、できるだけ露光時間を短縮する必要がある。しかし、上述の直接描画露光法では、光源にレーザ等の単色光を用いるほか、基板を走査しながら光線を照射するため、従来のフォトマスクを介した露光方法と比べ、多くの露光時間を要する傾向がある。そのため、従来よりも感光性樹脂組成物の感度を向上させる必要がある。
【0009】
一方、近年のプリント配線板の高密度化に伴い、感光性樹脂組成物に対しては高解像性及び高密着性への要求も高まっている。さらに配線の微細化に伴い、電源線の抵抗による電圧降下の問題も顕在化しており、厚さ10μm以上のめっき層(導体層)の形成が課題となっている。厚さ10μm以上のめっき層を形成するためには、レジストには15μm以上の膜厚が必要とされるが、一般に感光層の膜厚が厚くなると解像性は低下する傾向がある。従って、膜厚と解像性の両方の特性を満たしうる感光性樹脂組成物が求められている。
【0010】
また、感光性樹脂組成物は、めっきに対する汚染性が低いことも重要である。感光性樹脂組成物がめっき浴を汚染すると、めっき処理を施した基板外観に変色が生じる、又は、めっき形成性が低下し断線の原因となる等の問題がある。
【0011】
さらに感光性樹脂組成物には、めっき後のレジストの剥離特性に優れることが要求される。剥離特性が不足している場合、めっき処理後のレジスト剥離工程において、微細な配線間のレジストを剥離することが困難となり、剥離時間が増大して生産効率が低下する。また、配線間に剥離残りが生じ、歩留まりが低下する等の問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、波長350~410nmの光に対する感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性に優れ、めっきに対する汚染性が低い感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、バインダポリマーと、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、下記式(1)、(2)、又は(3)で表される構造を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種のピラジン化合物と、を含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0014】
【化1】
JP0004756112B2_000002t.gif

【0015】
式(1)中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R1とR2、又は、R3とR4とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。
【0016】
【化2】
JP0004756112B2_000003t.gif

【0017】
式(2)中、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R5とR6、又は、R7とR8とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。X及びYは、それぞれ独立にピラジン骨格の2つの炭素と共に形成された単環構造又は縮合多環構造の芳香族環を構成する原子群を示す。
【0018】
【化3】
JP0004756112B2_000004t.gif

【0019】
式(3)中、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R9とR10、又は、R11とR12とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。Zは、ピラジン骨格の4つの炭素と共に形成された、単環構造若しくは縮合多環構造の芳香族環、又は、複素環を構成する原子群を示す。
【0020】
上記ピラジン化合物は、波長が350~410nmである光に対して比較的強い吸収があるため、本発明の感光性樹脂組成物は、波長350~410nmの光に対して良好な感度を得ることができる。また、上記ピラジン化合物を含む本発明の感光性樹脂組成物は、解像性、密着性、硬化後の感光性樹脂組成物の剥離性(剥離特性)、及びめっき形成性にも優れ、めっきに対する汚染性も低いものとなる。
【0021】
また、上記ピラジン化合物は、上記式(1)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の感光性樹脂組成物において、ピラジン化合物の極大吸収波長は350~410nmの範囲内であることが好ましい。これにより、波長350~410nmの光に対して良好な感度を得ることができると同時に、波長500nm以上の長波長側での吸収が少なくなり、イエロー色光下での安定性が良好となる。
【0023】
また、本発明の感光性樹脂組成物において、バインダポリマーが、(メタ)アクリル酸と、スチレン又はスチレン誘導体とを共重合成分として含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性、解像性及び密着性がさらに向上する。
【0024】
また、本発明の感光性樹脂組成物が、下記式(4)で表される化合物を含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の解像性及び密着性を維持しつつ、感度及びイメージング性(レジストの発色性)が向上する傾向がある。
【0025】
【化4】
JP0004756112B2_000005t.gif

【0026】
式(4)中、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、R13、R14及びR15はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1~5のアルキル基を示し、R13、R14及びR15のうち少なくとも一つはハロゲン原子を示す。R16は水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又は、炭素数1~5のアルコキシ基を示し、lは0~4の整数を示す。lが2~4のとき、複数のR16は同一でも異なっていてもよい。
【0027】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、水素供与性化合物を更に含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度が向上する。
【0028】
また、本発明の感光性樹脂組成物において、水素供与性化合物は下記式(5)で表される化合物を含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度がさらに向上する傾向がある。
【0029】
【化5】
JP0004756112B2_000006t.gif

【0030】
式(5)中、R17は炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基若しくはエステル基、水酸基、又はハロゲン原子を示す。nは0~5の整数であり、nが2~5のとき複数のR17は同一でも異なっていてもよい。
【0031】
また、本発明は、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメントを提供する。このような感光性エレメントを用いることにより、感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性に優れ、めっきに対する汚染性が低いレジストパターンを効率よく形成することができる。
【0032】
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、感光性樹脂組成物層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を含むレジストパターンの形成方法を提供する。上記方法によれば、感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性に優れ、めっきに対する汚染性が低いレジストパターンを効率よく形成することができる。
【0033】
上記レジストパターンの形成方法において、活性光線の波長は390~410nmであることが好ましい。これにより、感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性にさらに優れたレジストパターンを形成することができる。
【0034】
また、本発明は、上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする工程を含む、プリント配線板の製造方法を提供する。この製造方法によれば、高密度パッケージ基板のような高密度化した配線を有するプリント配線板を効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、波長350~410nmの光に対する感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性に優れ、めっきに対する汚染性が低い感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】感光性エレメントの一例を示す模式断面図である。
【図2】本実施例に係る(C-1)の1H-NMRスペクトルである。
【図3】本実施例に係る(C-1)の13C-NMRスペクトルである。
【図4】本実施例に係る(C-1)、(C-3)の紫外可視吸収スペクトルである。
【図5】本実施例に係る(C-1)、(C-2)の紫外可視吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、(ポリ)オキシエチレン鎖はオキシエチレン基又はポリオキシエチレン鎖を意味し、(ポリ)オキシプロピレン鎖はオキシプロピレン基又はポリオキシプロピレン鎖を意味する。さらに「EO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン鎖を有する化合物であることを意味し、「PO変性」とは、(ポリ)オキシプロピレン鎖を有する化合物であることを意味し、「EO・PO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖の双方を有する化合物であることを意味する。

【0038】
(感光性樹脂組成物)
まず、本実施形態に係る感光性樹脂組成物について説明する。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)バインダポリマー、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する。

【0039】
まず、(A)成分であるバインダポリマーについて説明する。(A)バインダポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0040】
(A)バインダポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸フルフリルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロル(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0041】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル及びこれらの構造異性体等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0042】
(A)バインダポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。

【0043】
(A)バインダポリマーは、密着性向上の観点から、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含有させることが好ましい。上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含む場合、その含有量は、密着性及び剥離特性をバランスよく向上する観点から、(A)成分の不揮発分全体に対して5~70質量%含むことが好ましく、10~65質量%含むことがより好ましく、15~60質量%含むことが特に好ましい。含有量が5質量%未満であると、密着性が劣る傾向があり、70質量%を超えると剥離時間が長くなり、めっき後の剥離残りが生じやすくなる傾向がある。

【0044】
また、(A)バインダポリマーは、(メタ)アクリル酸ベンジルエステルを共重合成分として含有させることが好ましい。(メタ)アクリル酸ベンジルエステルを共重合成分として含む場合、その含有量は、解像性及び剥離特性をバランスよく向上する観点から、(A)成分の不揮発分全体に対して5~70質量%含むことが好ましく、10~65質量%含むことがより好ましく、15~60質量%含むことが特に好ましい。含有量が5質量%未満であると、解像性が劣る傾向があり、70質量%を超えると剥離時間が長くなり、めっき後の剥離残りが生じやすくなる傾向がある。

【0045】
但し、本発明における重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算した値を使用したものである。

【0046】
(A)バインダポリマーの重量平均分子量は、5000~300000であることが好ましく、10000~150000であることがより好ましく、20000~80000であることがさらに好ましく、30000~70000であることが特に好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなったり解像性が高くなったり剥離特性が低下したりする傾向がある。

【0047】
(A)成分の酸価は50~250mgKOH/gであることが好ましく、10~230mgKOH/gであることがより好ましく、130~200mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が50mgKOH/g未満であると、現像時間が長くなる傾向があり、250mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性(密着性)が低下する傾向がある。また、現像工程として有機溶剤系現像液を用いる場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。

【0048】
(A)バインダポリマーは、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0~3.0であることが好ましく、1.0~2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると接着性及び解像性が低下する傾向がある。

【0049】
(A)バインダポリマーは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダポリマー等が挙げられる。また、特開平11-327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。

【0050】
なお、(A)バインダポリマーは必要に応じて感光性基を有していてもよい。

【0051】
次に、(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物について説明する。

【0052】
(B)光重合性化合物としては、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0053】
(B)光重合性化合物は、解像性及び剥離特性を向上させる観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。これらは、(B)成分全体の総量に対して20~80質量%含むことがより好ましく、30~70質量%含むことがさらに好ましい。

【0054】
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、なかでも解像性及び剥離特性をさらに向上させる観点から、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンが好ましい。

【0055】
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。

【0056】
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を任意に組み合わせて使用される。

【0057】
これらのうち、2,2-ビス(4-(メタクリロイルエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE-100(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE-500(新中村化学工業(株)製、製品名)又はFA-321M(日立化成工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE-1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。硬化物の可とう性、解像性及び密着性の観点からは、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4~20であることが好ましく、8~15であることがより好ましい。また、剥離性、解像性及び密着性をより向上できる観点からは、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は1~3であることが好ましく、1分子内のエチレンオキサイド基の数が4~20である化合物及び1~3である化合物を併用することが特に好ましい。

【0058】
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。

【0059】
多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、エチレン基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0060】
これらのうち、テトラメチロールメタントリアクリレートは、A-TMM-3(新中村化学工業(株)製、商品名)として、EO変性トリメチロールプロパントリメタクリレートは、TMPT21Eや、TMPT30E(日立化成工業(株)製、サンプル名)として、商業的に入手可能である。

【0061】
(B)光重合性化合物は、アルカリ現像性、解像性、密着性、又は剥離特性を向上させる観点から、分子内に(ポリ)オキシエチレン鎖又は(ポリ)オキシプロピレン鎖を有するトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、分子内に(ポリ)オキシエチレン鎖を有するトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。これらは、(B)成分全体の総量に対して5~50質量%含むことがより好ましく、10~40質量%含むことがさらに好ましい。

【0062】
また、(B)光重合性化合物は、感光性樹脂組成物の硬化物(硬化膜)の可とう性を向上させる観点から、分子内に(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これらは、(B)成分全体の総量に対して5~50質量%含むことがより好ましく、10~40質量%含むことがさらに好ましい。

【0063】
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、分子内の(ポリ)オキシアルキレン鎖として、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖((ポリ)オキシ-n-プロピレン)鎖又は(ポリ)オキシイソプロピレン鎖)の双方を有するものが好ましい。また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、さらに、(ポリ)オキシ-n-ブチレン鎖、(ポリ)オキシ-n-ペンチレン鎖、(ポリ)オキシ-n-ヘキシレン鎖や、これらの構造異性体等である炭素原子数4~6程度の(ポリ)オキシアルキレン鎖を有していてもよい。

【0064】
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの分子内において、(ポリ)オキシエチレン鎖及び(ポリ)オキシプロピレン鎖は、それぞれ連続してブロック的に存在しても、ランダムに存在してもよい。また、(ポリ)オキシイソプロピレン鎖において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。

【0065】
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、特に下記式(6)、(7)又は(8)で表される化合物が好ましい。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0066】
【化6】
JP0004756112B2_000007t.gif

【0067】
【化7】
JP0004756112B2_000008t.gif

【0068】
【化8】
JP0004756112B2_000009t.gif

【0069】
上記式(6)、(7)及び(8)中、R18~R23はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。m1、m2、m3及びm4はオキシエチレン基からなる構成単位の繰り返し数を示し、n1、n2、n3及びn4はオキシプロピレン基からなる構成単位の繰り返し数を示し、オキシエチレン基の繰り返し総数m1+m2、m3及びm4(平均値)はそれぞれ独立に1~30の整数を示し、オキシプロピレン基の繰り返し総数n1、n2+n3及びn4(平均値)はそれぞれ独立に1~30の整数を示す。

【0070】
上記式(6)、(7)又は(8)で表される化合物において、オキシエチレン基の繰り返し総数m1+m2、m3及びm4は1~30の整数であり、好ましくは1~10の整数であり、より好ましくは4~9の整数であり、特に好ましくは5~8の整数である。この繰り返し数の総数が30を超えると、解像性及び密着性が悪くなり、良好なレジスト形状が得られにくくなる傾向がある。

【0071】
また、オキシプロピレン基の繰り返し総数n1、n2+n3及びn4は1~30の整数であり、好ましくは5~20の整数であり、より好ましくは8~16の整数であり、特に好ましくは10~14の整数である。この繰り返し数の総数が30を超えると、十分な解像性が得られにくくなり、スラッジが発生しやすくなる傾向がある。

【0072】
上記式(6)で表される化合物としては、R18及びR19=メチル基、m1+m2=6(平均値)、n1=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名:FA-023M)等が挙げられる。上記式(7)で表される化合物としては、R20及びR21=メチル基、m3=6(平均値)、n2+n3=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名FA-024M)等が挙げられる。上記式(8)で表される化合物としては、R22及びR23=水素原子、m4=1(平均値)、n4=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業(株)製、サンプル名:NKエステルHEMA-9P)等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。

【0073】
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、UA-11(新中村化学工業(株)製、製品名)が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、UA-13(新中村化学工業(株)製、製品名)が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0074】
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を任意に組み合わせて使用される。

【0075】
上記フタル酸系化合物としては、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシアルキル-β’-(メタ)アクリロイルオキシアルキル-o-フタレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0076】
また、(B)光重合性化合物は、感光性樹脂組成物の硬化物(硬化膜)の剥離特性を向上させる観点から、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物を含むことが好ましく、その含有量は、(B)成分全体の総量に対して3~30質量%含むことがより好ましく、5~20質量%含むことがさらに好ましい。

【0077】
(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として30~70質量部とすることが好ましく、35~65質量部とすることがより好ましく、40~60質量部とすることが特に好ましい。この含有量が30質量部未満であると、十分な感度及び解像性が得られにくくなる傾向があり、70質量部を超えると、フィルムを形成しにくくなる傾向があり、また良好なレジスト形状が得られにくくなる傾向がある。

【0078】
次に、(C)成分である光重合開始剤について説明する。

【0079】
(C)成分である光重合開始剤は、(C1)下記式(1)で表される構造を有するピラジン化合物(以下、場合により「(C1)成分」という)、(C2)下記式(2)で表される構造を有するピラジン化合物(以下、場合により「(C2)成分」という)及び(C3)下記式(3)で表される構造を有するピラジン化合物(以下、場合により「(C3)成分」という)からなる群より選択される少なくとも1種のピラジン化合物を含有する。

【0080】
【化9】
JP0004756112B2_000010t.gif

【0081】
式(1)中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R1とR2、又は、R3とR4とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。

【0082】
【化10】
JP0004756112B2_000011t.gif

【0083】
式(2)中、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R5とR6、又は、R7とR8とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。X及びYは、それぞれ独立にピラジン骨格の2つの炭素と共に形成された単環構造又は縮合多環構造の芳香族環を構成する原子群を示し、2つの芳香族環は、所定の構成原子間の単結合により結合している。

【0084】
【化11】
JP0004756112B2_000012t.gif

【0085】
式(3)中、R9、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基又は複素環式基を含む1価の有機基を示し、R9とR10、又は、R11とR12とは、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素原子と共に環を形成していてもよい。Zは、ピラジン骨格の4つの炭素と共に形成された、単環構造若しくは縮合多環構造の芳香族環、又は、複素環を構成する原子群を示す。

【0086】
ピラジン化合物としては、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分のうち、感光性樹脂組成物の感度を向上させる観点から、(C1)成分を用いることができる。

【0087】
上記式(1)~(3)中、アルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数4~10のシクロアルキル基が好ましく、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基が挙げられる。また、シクロアルキル基の水素原子が、任意の置換基で置換されたものが挙げられる。複素環式基としては、例えば、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、ピリジニル基等が挙げられる。なお、フェニル基、ナフチル基及び複素環式基の水素原子は任意の置換基で置換されていてもよい。

【0088】
上記任意の置換基としては、例えば、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルコキシ基、炭素数1~10のエステル基、炭素数1~10のアルキルアミノ基等が挙げられる。

【0089】
1~R4、R5~R8又はR9~R12が、フェニル基、ナフチル基若しくは複素環式基を含む1価の有機基である場合、溶解性を向上させ、化合物の光吸収波長を可視部(405nm近傍)に調整する観点から、R1~R4の少なくとも1つ、R5~R8の少なくとも1つ、又は、R9~R12の少なくとも1つが、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルコキシ基を含むことが好ましい。

【0090】
単環構造又は縮合多環構造の芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン及びこれらの芳香族環の水素原子が任意の置換基で置換されたもの等が挙げられ、価格や合成時の溶解性の観点から、ベンゼン又はナフタレンであることが好ましい。

【0091】
複素環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、フラン、チオフェン及びこれらの複素環の水素原子が任意の置換基で置換されたもの等が挙げられ、合成上安価の観点から、ピリジンであることが好ましい。

【0092】
また、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8、R9とR10、又は、R11とR12とが、互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素と共に環を形成する場合、形成される環は脂肪族環でも芳香族環でもよく、溶解性を向上させ、化合物の光吸収波長を可視部(405nm近傍)に調整する観点から、芳香族環であることが好ましい。芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。

【0093】
上記式(1)で表されるピラジン化合物は、R3とR4とが互いに結合してピラジン骨格の2つの炭素と共に環を形成する場合、形成される環は芳香環であることが好ましく、ナフタレン環であることがより好ましい。また、R1及びR2は、フェニル基であることが好ましく、フェニル基の水素原子が炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルコキシ基で置換されていることがより好ましい。なお、置換基の位置は任意である。上記式(1)で表されるピラジン化合物としては、例えば、下記式(9)、(10)、(11)、(12)で表される化合物等が挙げられる。

【0094】
【化12】
JP0004756112B2_000013t.gif

【0095】
【化13】
JP0004756112B2_000014t.gif

【0096】
【化14】
JP0004756112B2_000015t.gif

【0097】
【化15】
JP0004756112B2_000016t.gif

【0098】
また、上記式(2)で表されるピラジン化合物としては、例えば、下記式(13)、(14)で表される化合物等が挙げられる。

【0099】
【化16】
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【0100】
【化17】
JP0004756112B2_000018t.gif

【0101】
また、上記式(3)で表されるピラジン化合物としては、例えば、下記式(15)、(16)で表される化合物等が挙げられる。

【0102】
【化18】
JP0004756112B2_000019t.gif

【0103】
【化19】
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【0104】
また、本感光性樹脂組成物において、(C1)、(C2)及び(C3)成分の極大吸収波長は350~410nmの範囲内であることが好ましい。これにより、波長350~410nmの光に対して良好な感度を得ることができると同時に、波長500nm以上の長波長側での吸収が少なくなり、イエロー光下での安定性が良好となる。

【0105】
特に露光ヘッドを数本有する波長405nmの直接描画露光装置を用いる場合は、(C1)、(C2)及び(C3)成分の極大吸収波長は380~410nmの範囲内であることが好ましい。極大吸収波長が380~410nmの範囲内であることにより、各露光ヘッドの光源において発光波長分散が若干異なる場合であっても、波長405nm近傍における光の吸収量がほぼ一定となる。その結果、露光ヘッドごとに感度にばらつきが生じる可能性を低減できる。さらに、高い感度が安定して得られるため、光重合開始剤の添加量を低減することも可能となる。

【0106】
上記(C1)、(C2)及び(C3)成分の含有量は、(C)成分全体の総量に対して50~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることがさらに好ましい。この含有量が50質量%未満であると感度及び解像性が低下する傾向がある。なお、ここでいう「含有量」とは、(C1)、(C2)及び(C3)成分のうち、2種以上を含む場合は、それらの合計の含有量を意味する。

【0107】
(C)光重合開始剤は、(C1)、(C2)及び(C3)成分による効果を損なわない程度に、その他の光重合開始剤を含んでいてもよい。その他の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、9-フェニルアクリジン、1,7-(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。

【0108】
また、上記2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一でもよいし、相違してもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。

【0109】
また、その他の光重合開始剤としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。

【0110】
【化20】
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【0111】
式(4)中、Xは炭素原子又は窒素原子を示し、R13、R14及びR15はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1~5のアルキル基を示し、R13、R14及びR15のうち少なくとも一つはハロゲン原子を示す。R16は水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又は、炭素数1~5のアルコキシ基を示し、lは0~4の整数を示す。lが2~4のとき、複数のR16は同一でも異なっていてもよい。

【0112】
本発明の感光性樹脂組成物においては、(C)光重合開始剤として、上記式(4)で表される化合物と、(C1)成分又は(C2)成分とを組み合わせて用いることにより、解像性及び密着性を維持しつつ、感度及びイメージング性(レジストの発色性)が向上する傾向がある。

【0113】
(C)成分の光重合開始剤の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01~10質量部とすることが好ましく、0.05~6質量部とすることがより好ましく、0.1~4質量部とするのが特に好ましい。この含有量が0.01質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、10質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。

【0114】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに(D)水素供与性化合物を含んでいることが好ましい。水素供与性化合物としては、例えば、ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレット、2-メルカプトベンゾオキサゾール、下記式(5)で表される化合物等が挙げられ、感度をより向上させることができる。感度をさらに向上させる観点から、下記式(5)で表される化合物を含むことがより好ましい。式(5)で表される化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン等が挙げられる。

【0115】
【化21】
JP0004756112B2_000022t.gif

【0116】
式(5)中、R17は炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基若しくはエステル基、水酸基、又は、ハロゲン原子を示す。nは0~5の整数であり、nが2~5のとき複数のR17は同一でも異なっていてもよい。R17は炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基若しくはエステル基、水酸基、又は、ハロゲン原子を示す。nは0~5の整数であり、nが2~5のとき複数のR17は同一でも異なっていてもよい。本発明の感光性樹脂組成物においては、上記式(5)で表される化合物と、(C1)成分又は(C2)成分とを組み合わせて用いることにより、波長350~410nmの光に対する感度が向上する傾向がある。

【0117】
(D)水素供与体化合物との含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01~10質量部とすることが好ましく、0.05~5質量部とすることがより好ましく、0.1~2質量部とするのが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度が得られない傾向があり、10質量部を超えるとフィルム形成後、異物として析出してしまう傾向がある。これらは、1種を単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用される。

【0118】
また、感度をより高くすることを目的として、さらに(E)増感色素を含んでいてもよい。増感色素は、使用する活性光線の波長に合わせた吸収波長を有するものを選ぶことができるが、極大吸収波長が370nm~420nmである化合物が好ましい。このような増感色素を用いることにより、特に波長405nmの直接描画露光法の露光光に対して、感光性樹脂組成物が十分高い感度を有することとなる。増感色素の極大吸収波長が370nm未満であると、直接描画露光光に対する感度が低下する傾向があり、420nm以上であると、イエロー光下での安定性が低下する傾向がある。

【0119】
(E)増感色素としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン類、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類、トリアリールアミン類等が挙げられる。増感色素は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用される。

【0120】
特に、390~420nmの活性光線を用いて感光性樹脂組成物層の露光を行う場合には、感度及び密着性の観点から、(E)増感色素は、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類及びトリアリールアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、中でもピラゾリン類、アントラセン類又はトリアリールアミン類を含むことがより好ましい。

【0121】
(E)増感色素の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01~10質量部とすることが好ましく、0.05~5質量部とすることがより好ましく、0.1~2質量部とするのが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、10質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。

【0122】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p-トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を含有してもよい。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの含有量は、(A)成分(バインダーポリマー)及び(B)成分(光重合性化合物)の総量100質量部に対して、それぞれ0.01~20質量部程度とすることが好ましい。

【0123】
上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物を、有機溶剤に溶解して、固形分30~60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液(塗布液)とし、例えば、金属板等の表面上に塗布し、乾燥させることにより、本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成することができる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はこれらの混合溶剤が挙げられる。また、金属板としては、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金が挙げられる。

【0124】
感光性樹脂組成物層の厚みは、その用途により異なるが、乾燥後の厚みで1~100μm程度であることが好ましい。感光性樹脂組成物層の金属板とは反対側の表面を、保護フィルムで被覆してもよい。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルム等が挙げられる。

【0125】
(感光性エレメント)
次に、本実施形態に係る感光性樹脂組成物層及び感光性エレメントについて説明する。図1は、感光性エレメントの一例を示す模式断面図である。感光性エレメント1は、支持フィルム2、感光性樹脂組成物層3、及び場合により保護フィルム4が、この順に積層された積層体である。

【0126】
支持フィルム2としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。支持フィルム(重合体フィルム)の厚みは、1~100μmであることが好ましく、5~50μmであることがより好ましく、5~30μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm未満であると、支持フィルムを剥離する際に支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像性が十分に得られにくくなる傾向がある。

【0127】
上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルム2上に塗布し乾燥させることにより、支持フィルム2上に上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層3を形成することができる。

【0128】
感光性樹脂組成物の溶液の支持フィルム2上への塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法により行うことができる。

【0129】
感光性樹脂組成物の溶液の乾燥は、70~150℃にて、5~30分間程度行うことが好ましい。乾燥後、感光性樹脂組成物層3中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、2質量%以下とすることが好ましい。

【0130】
感光性エレメント1における感光性樹脂組成物層3の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1~100μmであることが好ましく、1~50μmであることがより好ましく、5~50μmであることが更に好ましく、10~40μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満であると、工業的に塗工しにくくなる傾向があり、100μmを超えると、密着性及び解像性が十分に得られにくくなる傾向がある。

【0131】
感光性樹脂組成物層3に対する紫外線の透過率は、波長405nmの紫外線においては5~75%であることが好ましく、10~65%であることがより好ましく、15~55%であることが特に好ましい。この透過率が5%未満であると、十分な密着性が得られにくくなる傾向があり、75%を超えると、十分な解像性が得られにくくなる傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができる。UV分光計としては、日立製作所製228A型Wビーム分光光度計が挙げられる。

【0132】
感光性エレメント1は、必要に応じて、感光性樹脂組成物層3の支持フィルム2とは反対側の表面を被覆する保護フィルム4を備えてもよい。

【0133】
保護フィルム4としては、感光性樹脂組成物層3に対する接着力が、支持フィルム2の感光性樹脂組成物層に対する接着力よりも小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。

【0134】
具体的に、保護フィルム4としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、王子製紙社製のアルファンMA‐410、E-200C、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製のPS-25等のPSシリーズ等のポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。なお、保護フィルム4は支持フィルムと同一のものでもよい。

【0135】
保護フィルム4の厚みは1~100μmであることが好ましく、5~50μmであることがより好ましく、5~30μmであることが更に好ましく、15~30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満であると、感光性樹脂組成物層2及び保護フィルム4を基板上に積層(ラミネート)する際、保護フィルム4が破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると廉価性の点で十分でなくなる傾向がある。

【0136】
感光性エレメントは、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。

【0137】
得られた感光性エレメント1は、シート状で又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。ロール状に巻き取る場合、支持フィルム2が外側になるように巻き取ることが好ましい。巻芯としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。このようにして得られたロール状の感光性エレメントの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。梱包方法としては、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。

【0138】
(レジストパターンの形成方法)
上記感光性樹脂組成物を用いて、レジストパターンを形成することができる。本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、(i)上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、(ii)感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、(iii)感光性樹脂組成物層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する現像工程と、を有する。

【0139】
(i)積層工程
まず、感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する。基板としては、絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板(回路形成用基板)を用いることができる。

【0140】
感光性樹脂組成物層の基板上への積層は、例えば、上記感光性エレメントの保護フィルムを除去した後、感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を加熱しながら上記基板に圧着することにより行われる。これにより、基板と感光性樹脂組成物層と支持フィルムとからなり、これらが順に積層された積層体が得られる。

【0141】
この積層作業は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。圧着の際の感光性樹脂組成物層及び/又は基板に対する加熱温度、圧力等の条件に特に制限はないが、70~130℃の温度で行うことが好ましく、0.1~1.0MPa程度(1~10kgf/cm2程度)の圧力で圧着することが好ましい。なお、感光性樹脂組成物層を70~130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。

【0142】
(ii)露光工程
次に、基板上の感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射してその所定部分に露光し、硬化させる。この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持フィルムが活性光線に対して透過性を有する場合には、支持フィルムを通して活性光線を照射することができるが、支持フィルムが活性光線に対して遮光性を有する場合には、支持フィルムを除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。

【0143】
露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像上に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。また、LDI(Laser Direct Imaging)露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法等の直接描画露光法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。

【0144】
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光等を有効に放射するものが用いられる。

【0145】
活性光線の波長(露光波長)としては、本発明の効果をより確実に得る観点から、350~410nmの範囲内とすることが好ましく、390~410nmの範囲内とすることがより好ましい。

【0146】
(iii)現像工程
さらに、感光性樹脂組成物層の上記所定部分以外の部分を基板上から除去することにより、基板上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成する。感光性樹脂組成物層上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去してから、上記所定部分(露光部分)以外の部分(未露光部分)の除去(現像)を行う。現像方法には、ウェット現像とドライ現像とがあるが、ウェット現像が広く用いられている。

【0147】
ウェット現像による場合、感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、公知の現像方法により現像する。現像方法としては、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング、スクラッピング、揺動浸漬等を用いた方法が挙げられ、解像性向上の観点からは、高圧スプレー方式が最も適している。これらは、2種以上の方法を組み合わせて現像を行ってもよい。

【0148】
現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等が挙げられる。

【0149】
アルカリ性水溶液は、現像液として用いられる場合、安全且つ安定であり、操作性が良好である。アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物;リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩等が用いられる。

【0150】
アルカリ性水溶液としては、0.1~5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1~5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1~5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1~5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは9~11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層のアルカリ現像性に合わせて調節される。アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。

【0151】
水系現像液は、例えば、水又はアルカリ性水溶液と1種以上の有機溶剤とからなる現像液である。ここで、アルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、モルホリン等が挙げられる。水系現像液のpHは、現像が十分に行われる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8~12とすることが好ましく、pH9~10とすることがより好ましい。

【0152】
水系現像液に用いる有機溶剤としては、アセトン、酢酸エチル、炭素原子数1~4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。水系現像液における有機溶剤の濃度は、通常、2~90質量%とすることが好ましく、その温度は、アルカリ現像性に合わせて調整することができる。水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。

【0153】
有機溶剤系現像液としては、1,1,1-トリクロロエタン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤には、引火防止のため、1~20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。

【0154】
未露光部分を除去した後、必要に応じて60~250℃程度の加熱又は0.2~10J/cm2程度の露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化してもよい。

【0155】
(プリント配線板の製造方法)
上記方法によりレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきすることにより、プリント配線板を製造することができる。基板のエッチング又はめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、基板の導体層等に対して行われる。

【0156】
エッチングを行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。

【0157】
めっきを行う場合のめっき方法としては、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル-塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキ等が挙げられる。

【0158】
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液より更に強アルカリ性の水溶液により剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1~10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1~10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。なかでも、1~10質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることが好ましく、1~5質量%水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いることがより好ましい。

【0159】
レジストパターンの剥離方式としては、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、これらは単独で用いても併用してもよい。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。

【0160】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。

【0161】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

【0162】
<実施例1~13及び比較例1>
[感光性樹脂組成物の溶液の調製]
下記表1及び表2に示す成分を、同表に示す配合量で混合することにより、実施例1~13及び比較例1の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。なお、表1及び表2に示す(A)成分の配合量は、不揮発分の質量(固形分量)である。下記表1及び表2に示す各成分の詳細については、以下のとおりである。

【0163】
<(A)バインダポリマー>
[バインダーポリマー(A-1)の合成]
重合性単量体(モノマー)であるメタクリル酸150g、メタクリル酸ベンジルエステル125g、メタクリル酸メチル25g及びスチレン200g(質量比30/25/5/40)と、アゾビスイソブチロニトリル9.0gとを混合して得た溶液を「溶液a」とした。

【0164】
メチルセロソルブ60g及びトルエン40gの混合液(質量比3:2)に、アゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解して得た溶液を「溶液b」とした。

【0165】
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブ270g及びトルエン180gの混合液(質量比3:2)を投入し、フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら撹拌し、80℃まで加熱昇温させた。

【0166】
フラスコ内の上記混合液に、上記溶液aを4時間かけて滴下した後、撹拌しながら80℃にて2時間保温した。次いで、フラスコ内の溶液に、上記溶液bを10分間かけて滴下した後、フラスコ内の溶液を撹拌しながら80℃にて3時間保温した。さらに、フラスコ内の溶液を30分間かけて90℃まで昇温させ、90℃にて2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー(A-1)を含む液を得た。

【0167】
バインダーポリマー(A-1)の不揮発分(固形分)は47.8質量%であり、重量平均分子量は30,000であり、酸価は196mgKOH/gであった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を以下に示す。
(GPC条件)
ポンプ:日立 L-6000型[(株)日立製作所製]
カラム:Gelpack GL-R420 + Gelpack GL-R430 + Gelpack GL-R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L-3300型RI[(株)日立製作所製]

【0168】
<(B)光重合性化合物>
TMPT21E:トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテルトリメタクリレート(日立化成工業社製、商品名)
FA-321M:2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン)(日立化成工業社製、商品名)
FA-024M:上記式(6)で表される化合物において、R20及びR21=メチル基、m3=6(平均値)、n2+n3=12(平均値)である化合物)(日立化成工業社製、商品名)
M-114:4-ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(東亞合成(株)製、商品名)
BPE-100;2,2-ビス(4-(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン)(1分子中に含まれるエチレンオキシド鎖の平均が2.6モル)(新中村化学社製、商品名)

【0169】
<光重合開始剤(C)>
[光重合開始剤(C-1)の合成]
エタノール20mL、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラアミン2mmol及び3,3’-ジメトキシベンジル4mmolをフラスコに加えて混合し、フラスコ内の空気を窒素置換した後、混合物を80℃で12時間還流した。室温まで冷却し、200mLの水を加えた後、減圧濾過により、生成物(C-1)を得た。

【0170】
図2に示す1H-NMRスペクトル、及び図3に示す13C-NMRスペクトルより、生成物(C-1)が下記式(13)で表される構造の化合物であることが確認された。

【0171】
【化22】
JP0004756112B2_000023t.gif

【0172】
[光重合開始剤(C-2)の合成]
3,3’-ジメトキシベンジルに換えて4,4’-ジメトキシベンジルを用いた他は上記(C-1)と同様にして、下記式(14)で表される構造の化合物を得た。

【0173】
【化23】
JP0004756112B2_000024t.gif

【0174】
[光重合開始剤(C-3)の合成]
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラアミン2mmol及び3,3’-ジメトキシベンジル4mmolの代わりに、2,3-ジアミノナフタレン2mmol及び3,3’-ジメトキシベンジル2mmolを用いた他は上記(C-1)と同様にして、下記式(11)で表される構造の化合物を得た。

【0175】
【化24】
JP0004756112B2_000025t.gif

【0176】
[光重合開始剤(C-4)の合成]
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラアミン2mmol及び3,3’-ジメトキシベンジル4mmolの代わりに、2,3-ジアミノナフタレン2mmol及び4,4’-ジメトキシベンジル2mmolを用いた他は上記(C-1)と同様にして、下記式(12)で表される構造の化合物を得た。

【0177】
【化25】
JP0004756112B2_000026t.gif

【0178】
[その他の光重合開始剤]
(C-1)、(C-2)、(C-3)及び(C-4)以外の光重合開始剤を以下に示す。
BCIM:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(Hampford社製、商品名)
TPS:α,α,α-トリブロモメチルフェニルスルホン

【0179】
(吸収スペクトルの測定)
以下のようにして、生成物(C-1)、(C-2)、(C-3)の紫外可視吸収スペクトルの測定を行った。
実施例1で作製した生成物(C-1)を含むフィルム、及び実施例8で作製した生成物(C-3)を含むフィルムを用い、島津社製紫外可視分光光度計UV2550を用い、各サンプルフィルムの紫外可視吸収スペクトルを測定した。得られた結果を図4に示す。
また、生成物(C-1)、(C-2)をクロロホルム中、1×10-5mol/Lとなるよう秤取り、石英セルに入れ、島津社製紫外可視分光光度計UV2550を用い、各サンプル溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した。得られた結果を図5に示す。

【0180】
図4及び図5の示すスペクトルによれば、生成物(C-1)、(C-2)、及び(C-3)は、350~410nmの範囲内に極大吸収波長を有することが確認された。

【0181】
<(D)水素供与性化合物>
LCV:ロイコクリスタルバイオレット
NPG:N-フェニルグリシン(R17=水素原子)
(D-1):2-メルカプトベンゾオキサゾール

【0182】
<(E)増感色素>
ニッカフローMC:7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン(日本化学工業所社製、商品名)
DBA:9,10-ジブトキシアントラセン(川崎化成工業社製、商品名)
(E-1):1-フェニル-3-(4-イソプロピルスチリル)-5-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾリン(日本化学工業所社製)

【0183】
【表1】
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【0184】
【表2】
JP0004756112B2_000028t.gif

【0185】
(感光性エレメント)
上記実施例1~13及び比較例1の感光性樹脂組成物の溶液を、それぞれ厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、製品名「HTF-01」)上に均一に塗布し、70℃及び110℃の熱風対流式乾燥器で乾燥して、乾燥後の膜厚が40μmである感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層上に保護フィルム(タマポリ(株)製、製品名「NF-15」)を貼り合わせ、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)と、感光性樹脂組成物層と、保護フィルムとが順に積層された実施例1~13及び比較例1の感光性エレメントを得た。

【0186】
(積層基板)
ガラスエポキシ材と、その両面に形成された銅箔(厚さ35μm)とからなる銅張積層板(日立化成工業(株)製、製品名MCL-E-67)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。この銅張積層板(以下、「基板」という。)を加熱して80℃に昇温させた後、実施例1~13及び比較例1の感光性エレメントを、基板の銅表面にラミネート(積層)した。ラミネートは、保護フィルムを除去しながら、各感光性エレメントの感光性樹脂組成物層が基板の銅表面に密着するようにして、温度120℃、ラミネート圧力4kgf/cm2の条件下で行った。このようにして、基板の銅表面上に感光性樹脂組成物層及びポリエチレンテレフタレートフィルムが積層された積層基板を得た。

【0187】
(感度の評価)
得られた積層基板を放冷し、23℃になった時点で、積層基板のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、濃度領域0.00~2.00、濃度ステップ0.05、タブレットの大きさ20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。波長405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする日立ビアメカニクス社製直描機「DE-1AH」(商品名)を使用して、所定のエネルギー量(露光量)でフォトツール及びポリエチレンテレフタレートフィルムを介して感光性樹脂組成物層に対して露光を行った。なお、照度の測定は、405nm対応プローブを適用した紫外線照度計(ウシオ電機(株)製、商品名「UIT-150」)を用いて行った。

【0188】
露光後、積層基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂組成物層を露出させ、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃にて60秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去した。このようにして、基板の銅表面上に感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜を形成した。硬化膜として得られたステップタブレットの残存段数が20段となったときの露光量(mJ/cm2)により、感光性樹脂組成物の感度を評価した。この数値が小さいほど感度が良好であることを意味する。結果を表3及び表4に示す。

【0189】
(解像性及び密着性の評価)
ライン幅(L)/スペース幅(S)(以下、「L/S」と記す。)が5/5~30/30(単位:μm)である描画パターンを用いて、41段ステップタブレットの残存段数が20段となるエネルギー量で上記積層基板の感光性樹脂組成物層に対して露光(描画)を行った。露光後、上記感度の評価と同様の現像処理を行った。

【0190】
現像後、スペース部分(未露光部分)がきれいに除去され、且つライン部分(露光部分)が蛇行や欠けを生じることなく形成されたレジストパターンのうち、最も小さいライン幅/スペース幅の値により、解像性及び密着性を評価した。この数値が小さいほど解像性及び密着性が共に良好であることを意味する。結果を表3及び表4に示す。

【0191】
(剥離特性の評価)
上記解像性及び密着性の評価で得られたレジストパターンの形成された積層基板を硫酸銅/硫酸水溶液のめっき液に浸漬し、全電流値2Aで15分間電解銅めっきを行った。得られためっき銅厚は約15μmであった。めっき後の積層基板に、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、レジストを基板から剥離除去した。光学顕微鏡を用いて剥離後の積層基板を観察し、めっきパターン(銅配線)間における硬化膜の剥離残りの有無を調べた。結果を表3及び表4に示す。

【0192】
(めっき形成性の評価)
上記剥離特性の評価により得られた剥離後の積層基板を、光学顕微鏡を用いて観察し、めっきパターンが断線又は短絡することなく形成された最も小さいめっき幅によりめっき形成性を評価した。この数値が小さいほどめっき形成性が良好であることを意味する。結果を表3及び表4に示す。

【0193】
(めっきに対する汚染の防止性の評価)
各感光性エレメントを40cm×50cmの大きさに切り出し、保護フィルムを除去してステップタブレットが20段となる露光量で感光性樹脂組成物層に対して露光を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し硬化膜を得た。この硬化膜を硫酸銅/硫酸水溶液のめっき液1Lに3日間浸漬した。ハルセル試験浴槽(山本鍍金試験機社製)を用いて上記銅張積層板(基板)に全電流値2Aで15分間電解銅めっきを行った。

【0194】
硬化膜を浸漬していないめっき液を用いた場合のめっきをリファレンスとし、硬化膜を浸漬しためっき液を用いた場合のめっきの外観を目視で観察した。リファレンスと比較してめっき外観に変化がないものを汚染性なし、変色等の変化があるものを汚染性ありと判断した。結果を表3及び表4に示す。

【0195】
【表3】
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【0196】
【表4】
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【0197】
実施例1~15の感光性樹脂組成物は、比較例1に比べ、波長405nmの直接描画露光に対して高感度であり、かつ、解像性、密着性、及びめっき形成性が良好であった。なお、レジストの剥離特性及びめっきに対する汚染の防止性も良好に維持されていた。特に、光重合開始剤として(C1)成分又は(C2)成分を用い、水素供与性化合物として上記式(5)で表されるN-フェニルグリシンのみを用いた実施例2、8は感度が向上した。また、上記式(4)で表されるα,α,α-トリブロモメチルフェニルスルホンを、(C1)成分又は(C2)成分と併用することにより、(C1)成分又は(C2)成分を単独で用いた時よりも感度が向上した。また、上記式(4)で表されるα,α,α-トリブロモメチルフェニルスルホンを併用した際には、式(C-4)で表される(C1)成分を用いた実施例15が、式(C-3)で表される(C1)成分を用いた実施例14及び式(C-1)で表される(C2)成分を用いた実施例9に比べ、より感度が向上した。

【0198】
以上より、感度、解像性、密着性、剥離特性、及びめっき形成性に優れ、めっきに対する汚染性が低い感光性樹脂組成物、及び感光性エレメントの得られることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0199】
1…感光性エレメント、2…支持フィルム、3…感光性樹脂組成物、4…保護フィルム。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4