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明細書 :給湯用コルゲート伝熱管

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4768029号 (P4768029)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発行日 平成23年9月7日(2011.9.7)
発明の名称または考案の名称 給湯用コルゲート伝熱管
国際特許分類 F28F   1/40        (2006.01)
F28F   1/42        (2006.01)
F24H   9/00        (2006.01)
FI F28F 1/40 A
F28F 1/42 B
F24H 9/00 A
請求項の数または発明の数 16
全頁数 21
出願番号 特願2008-533094 (P2008-533094)
出願日 平成19年8月24日(2007.8.24)
国際出願番号 PCT/JP2007/066436
国際公開番号 WO2008/029639
国際公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
優先権出願番号 200610113027.7
優先日 平成18年9月8日(2006.9.8)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成21年3月3日(2009.3.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506259634
【氏名又は名称】清華大学
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】李 志信
【氏名】孟 継安
【氏名】沼田 光春
【氏名】笠井 一成
個別代理人の代理人 【識別番号】100094145、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 由己男
【識別番号】100111187、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 秀忠
審査官 【審査官】柿沼 善一
参考文献・文献 特開2005-221172(JP,A)
特開昭61-235694(JP,A)
特開平08-075384(JP,A)
特開2005-009833(JP,A)
特開平06-317362(JP,A)
特開2003-056995(JP,A)
特開昭61-289293(JP,A)
調査した分野 F28F 1/40
F24H 9/00
F28F 1/42
特許請求の範囲 【請求項1】
給湯器の熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行うコルゲート伝熱管であって、その特徴は、
管内に螺旋コルゲートが設けられており、
前記内部を流れる流体である水が流入する流入口の近傍に位置する部分の内面に、高さ(H1)が0.5mm~1.5mmである複数の突起が設けられており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外部には、前記流体と熱交換を行う第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外面には、前記第2伝熱管が接触しており、
前記突起は、前記外面を凹ませることによって前記内面に形成されるものであって、前記第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている、
給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項2】
給湯器の熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行うコルゲート伝熱管であって、その特徴は、
管内に螺旋コルゲートが設けられており、
前記内部を流れる流体である水が流入する流体入口の近傍に位置する部分の内面に、高さ(H1)が内径(D)の0.05~0.15倍である複数の突起が設けられており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外部には、前記流体と熱交換を行う第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外面には、前記第2伝熱管が接触しており、
前記突起は、前記外面を凹ませることによって前記内面に形成されるものであって、前記第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている、
給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項3】
給湯器の熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行うコルゲート伝熱管であって、その特徴は、
管内に螺旋コルゲートが設けられており、
前記内部を流れる流体である水が流入する流体入口の近傍に位置する部分の内面に、高さ(H1)がコルゲート溝の深さ(Hm)の1~3倍である複数の突起が設けられており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外部には、前記流体と熱交換を行う第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外面には、前記第2伝熱管が接触しており、
前記突起は、前記外面を凹ませることによって前記内面に形成されるものであって、前記第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている、
給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項4】
給湯器の熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行うコルゲート伝熱管であって、その特徴は、
管内に螺旋コルゲートが設けられており、
前記内部を流れる流体である水が流入する流入口の近傍に位置する部分の内面に、複数の突起が設けられており、
前記複数の突起のピッチ(P1)と前記コルゲートのピッチ(Pm)とは異なる値であり、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外部には、前記流体と熱交換を行う第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、
前記給湯用コルゲート伝熱管の外面には、前記第2伝熱管が接触しており、
前記突起は、前記外面を凹ませることによって前記内面に形成されるものであって、前記第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている、
給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項5】
内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである、請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項6】
前記突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている、請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項7】
前記流体が流出する流体出口の近傍に位置する部分の内面には、前記突起が設けられていない平滑部を有する
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項8】
前記突起の高さ(H1)よりも溝深さの浅い溝が前記内面に形成されている、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項9】
前記複数の突起は、管軸の方向に平行して設けられている、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項10】
前記複数の突起は、螺旋状に設けられている、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項11】
前記複数の突起は、径方向の対向する位置で一対となるように設けられている、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項12】
前記複数の突起のピッチ(P1)と内径(D)との比は、0.5~10である、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項13】
前記複数の突起間には、高さ(H2)が0.5mm未満である小突起が設けられている、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項14】
前記内面には、前記突起が設けられていない平滑部が存在する、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項15】
前記突起は、前記外部から力を加えることにより形成されるものであり、直線部には前記突起が形成され、曲げ部には前記突起が形成されない、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
【請求項16】
前記突起は、前記外部から力を加えることにより形成されるものであり、曲げ部においては、曲げられている面と交差する部分には前記突起が形成されていない、
請求項1からのいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器技術、特に管内を流れる流体のレイノルズ数Reが7000未満の給湯用コルゲート伝熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置、給湯器などに用いられる熱交換装置においては、管内に水などの流体が流れるとともに管内外の温度差によって熱交換を行う伝熱管が設けられている。そして、伝熱管の伝熱性能を向上させるため、管内面に溝が形成された溝付管が使われることがある。また、伝熱管の内面に突起を設けて伝熱性能を向上させる技術も提案されている。
【0003】
このように、伝熱管内部に突起を設けると、伝熱管の伝熱面積が大きくなるとともに、突起により流体が撹拌されることで、伝熱面における熱伝達率が増大され、伝熱性能が向上する。しかし、伝熱管内部に突起を設けると、突起によって管摩擦係数が増大し、管内の流れの圧力損失が大きくなる。そこで、伝熱管内部に高さが0.45mm~0.6mmの突起を設けて、冷媒との熱伝達を促進しつつ圧力損失を抑える技術が提案されている(特許文献1)。また、伝熱管にコルゲート管を採用することで、伝熱能力の向上を図る技術も提案されている(特許文献2)。

【特許文献1】特公平6-70556
【特許文献2】特開平2002-228370
【発明の開示】
【0004】
しかし、伝熱管内の流体の流速が非常に低く、管内における流体の流れが層流域から乱流域への遷移領域である場合、特許文献1で開示された高さ0.45mm~0.6mmの突起を設けても伝熱性能の向上は小さい。
【0005】
例えば、図1に示すヒートポンプ式給湯器においては、電気代の安い夜間電力を効率的に利用するため、長い時間をかけて水を約10℃から約90℃まで一過式で沸かす。ここでは、製品のコンパクト化と高効率を確保するため、伝熱管内を流れる水の流量を非常に小さい値(例えば、0.8L/min)に設定している。このように管内の水流量が小さい伝熱管においては、伝熱管の内径を小さくすることで管内の流速を高め、伝熱性能を向上させる方法を採用している。しかし、この場合でも管内の水流量が小さいため、管内における水の流れは、流入口付近では層流域から乱流域への遷移領域(Re=1500~3000)、流出口付近でも乱流初期(Re=7000)程度である。また、水の流入口付近の低温区間では、熱伝導率も小さいため、効率的な熱交換が期待できない。
【0006】
また、伝熱管内の流体の流速が非常に低く、管内における流体の流れが層流域から乱流域への遷移領域である場合、コルゲート管のみによる伝熱性能の向上は小さい。さらに、コルゲート管は管壁の境界において強い乱流を発生させるため、コルゲート溝の深さによっては、管摩擦係数が平滑管よりかなり増大し、管内の流れの圧力損失が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、上記背景技術の問題点を克服し、簡単な構造で、低レイノルズ数域において伝熱性能の向上を図るとともに、管内の圧力損失が小さい給湯用コルゲート伝熱管を提供することにある。
【0008】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、給湯用熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行う伝熱管であって、内部を流れる流体である水が流入する流入口の近傍に位置する部分の内面に、高さH1が0.5mm~1.5mmである複数の突起が設けられている。
【0009】
給湯用熱交換器に用いられる伝熱管の流入口付近の水の流れは、層流域および/または層流域から乱流域への遷移領域に該当する。一方、伝熱管の流入口付近では水温が低く、熱伝達率も低い。そこで、本発明では、少なくとも水の流入口近傍に位置する部分の内面に、高さが0.5mm~1.5mmの複数の突起を設けて、管内に設けた突起による熱伝達率の向上を図っている。また、突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が小さく、給湯用コルゲート伝熱管全体の性能が向上する。
【0010】
また、外部には流体に熱を供給する第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、外面には第2伝熱管が接触しており、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであって、第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている。
【0011】
ここでは、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであるため、内面に突起が形成された部位に対応する外面には凹みが形成されている。第2伝熱管と接触する部分に突起が形成される。すなわち外面に凹みが形成されると、伝熱管と第2伝熱管との接触が悪くなり、第2伝熱管からの伝熱効果が低下する。そこで、第2伝熱管との接触区間には突起を設けないようにすることで、第2伝熱管からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。
【0012】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、給湯用熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行う伝熱管であって、内部を流れる流体である水が流入する流体流入口の近傍に位置する部分の内面に、高さH1が内径Dの0.05~0.15倍である複数の突起が設けられている。
【0013】
給湯用熱交換器においては、伝熱管の流入口付近の水の流れは、層流域および/または層流域から乱流域への遷移領域に該当する。また、伝熱管の流入口付近では水温が低く、熱伝達率も低い。そこで、この給湯用熱交換器において、少なくとも水の流入口近傍に位置する伝熱管の内面に、高さが伝熱管内径の0.05~0.15倍である複数の突起を設けている。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用コルゲート伝熱管全体の性能が向上する。
【0014】
また、外部には流体に熱を供給する第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、外面には第2伝熱管が接触しており、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであって、第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている。
【0015】
ここでは、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであるため、内面に突起が形成された部位に対応する外面には凹みが形成されている。第2伝熱管と接触する部分に突起が形成される。すなわち外面に凹みが形成されると、伝熱管と第2伝熱管との接触が悪くなり、第2伝熱管からの伝熱効果が低下する。そこで、第2伝熱管との接触区間には突起を設けないようにすることで、第2伝熱管からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。
【0016】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、給湯用熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行う伝熱管であって、内部を流れる流体である水が流入する流体入口の近傍に位置する部分の内面に、高さ(H1)がコルゲート溝の深さ(Hm)の1~3倍である複数の突起が設けられている。
【0017】
伝熱管の流入口付近の水の流れは、層流域および/または層流域から乱流域への遷移領域に該当する。また、伝熱管の流入口付近では水温が低く、熱伝達率も低い。ここでは、コルゲート溝が設けられている伝熱管内に突起を設け、熱伝達率の向上を図っている。しかし、コルゲート溝が設けられている伝熱管内に突起を設けた場合、突起の高さ(H1)とコルゲート溝の深さ(Hm)による伝熱効果の向上を図るとともに圧力損失による影響を最小限に抑える必要がある。レイノルズ数(Re)が7000未満の低レイノルズ数の区間において、複数の突起の高さ(H1)がコルゲート溝の深さ(Hm)の1~3倍である場合、コルゲート管及び管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、コルゲート溝の深さを抑え、且つ突起が管内の圧力損失に与える影響が小さく、給湯用コルゲート伝熱管全体の性能が向上することができる。
【0018】
また、外部には流体に熱を供給する第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、外面には第2伝熱管が接触しており、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであって、第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている。
【0019】
ここでは、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであるため、内面に突起が形成された部位に対応する外面には凹みが形成されている。第2伝熱管と接触する部分に突起が形成される。すなわち外面に凹みが形成されると、伝熱管と第2伝熱管との接触が悪くなり、第2伝熱管からの伝熱効果が低下する。そこで、第2伝熱管との接触区間には突起を設けないようにすることで、第2伝熱管からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。
【0020】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、給湯用熱交換器に用いられ、内部と外部との熱交換を行う伝熱管であって、内部を流れる流体である水が流入する流入口の近傍に位置する部分の内面に複数の突起が設けられており、複数の突起のピッチ(P1)とコルゲートのピッチ(P2)とは異なる値である。
【0021】
伝熱管の流入口付近の水の流れは、層流域および/または層流域から乱流域への遷移領域に該当する。また、伝熱管の流入口付近では水温が低く、熱伝達率も低い。ここでは、コルゲート溝が設けられている伝熱管内に突起を設け、熱伝達率の向上を図っている。しかし、突起とコルゲート溝とが重なる位置に設けられた場合、管内の摩擦係数が高くなり、管内の圧力損失が急激に高くなる恐れがある。そこで、突起のピッチ(P1)とコルゲートのピッチ(P2)とは異なる値にすることで、突起がコルゲート溝と重ならない位置に設けられることとなり、管内における圧力損失の急増を抑えることができる。
【0022】
また、外部には流体に熱を供給する第2流体を流すための第2伝熱管が配置されており、外面には第2伝熱管が接触しており、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであって、第2伝熱管との接触部分以外の場所に形成されている。
【0023】
ここでは、突起は外面を凹ませることによって内面に形成されるものであるため、内面に突起が形成された部位に対応する外面には凹みが形成されている。第2伝熱管と接触する部分に突起が形成される。すなわち外面に凹みが形成されると、伝熱管と第2伝熱管との接触が悪くなり、第2伝熱管からの伝熱効果が低下する。そこで、第2伝熱管との接触区間には突起を設けないようにすることで、第2伝熱管からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。
【0024】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである。なお、給湯用コルゲート伝熱管の内部を流れる流体の流速が0.2m/s~0.4m/sであることが好ましい。ここで、管内の流体の流速が0.1m/s未満である場合、コルゲート伝熱管の熱伝達率が極めて低い。一方、管内の流体の流速が0.6m/sを超えると、コルゲート管内の摩擦係数が大きくなり、管内の圧力損失が大きくなる。そこで、内部を流れる流体の流速範囲を0.1m/s~0.6m/sとする。その結果、コルゲート溝と管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用コルゲート伝熱管全体の性能が向上する。
【0025】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている。
【0026】
コルゲート管内突起による管内流体の圧力損失への影響要素として、コルゲート溝の高さ、管内流体のレイノルズ数、速度、突起の高さなどのほか、突起の形状が挙げられる。突起の形状が鋭角状である場合、角を曲がる流れにより剥離渦が生じ、流体の圧力損失が高くなる。
【0027】
そこで、突起の任意の高さにおける断面形状が、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されているようにしている。すなわち、突起の外周面が滑らかな曲面で形成されているため、突起の形状が鋭角状であるものに比べて剥離渦の発生を抑えることができ、管内流体の圧力損失による影響が抑えられ、コルゲート伝熱管全体の性能が向上する。
【0028】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、流体が流出する流体流出口の近傍に位置する区間には、突起が設けられていない。
【0029】
コルゲート伝熱管の流体流出口部では、流体の温度が高く、例えば流体が水である場合、コルゲート管内面にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起を設けると、突起によりスケールの付着が促進されるおそれがある。そこで、流体の温度が高い流体流出口近傍に位置する区間には、突起が設けられていない管、例えば平滑管を使用することにより、スケールの発生を抑える。
【0030】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、突起の高さH1よりも溝深さの浅い溝が管内面に形成されている。
【0031】
低レイノルズ数域においては、コルゲート伝熱管内面に設けられた突起のうち、小さい突起より大きい突起の方が熱伝達率の向上に貢献する。そこで、コルゲート伝熱管内に溝付き管の溝の深さより高い突起を設けることで伝熱効果の向上を図る。一方、高レイノルズ数域においては、突起の高さより深さの浅い溝の方が熱伝達率の向上に貢献する。そこで、高レイノルズ域においては、突起の高さより溝深さの浅い溝が内面に形成されている溝付き管を採用することにより、コルゲート伝熱伝熱管の伝熱性能がさらに向上する。
【0032】
発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、複数の突起は、管軸方向に平行して設けられている。
【0033】
管軸方向に突起を設けることにより、伝熱促進が連続しておこなえる。また、流体の流れは管軸方向に直線的に流れるため、圧力損失の増加が小さく、伝熱管全体の性能が向上する。
【0034】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、複数の突起は、螺旋状に設けられている。
【0035】
螺旋状に突起を設けることにより、管内の流体の流れに旋回が発生し、流体の通過長さが長くなり、伝熱性能がさらに向上する。
【0036】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、複数の突起は、伝熱管の径方向の対向する位置で一対となるように設けられている。
【0037】
径方向の対向する位置で一対となるように突起を設けることにより、突起付近の断面積が減少し、流体の混合が促進され、伝熱性能がさらに向上される。
【0038】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、複数の突起のピッチP1と伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0039】
突起のピッチP1と伝熱管内径Dとの比が0.5以下の場合、伝熱促進効果は得られるが、上流側において突起の影響により圧力損失が大きくなる。また、突起のピッチP1と伝熱管内径Dとの比が10以上の場合、伝熱促進効果が小さくなる。
【0040】
そこで、突起のピッチP1と伝熱管内径Dとの比を0.5~10にすることで、伝熱促進効果を維持しつつ、圧力損失の増加が小さく、伝熱管全体の性能が向上する。
【0041】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、複数の突起間には、高さ(H2)が0.5mm未満の小突起が設けられている。
【0042】
低レイノルズ数域においては、小さい突起より大きい突起の方が熱伝達率の向上に貢献するが、高レイノルズ数域においては、大きい突起より小さい突起(小突起)の方が熱伝達率の向上に貢献する。ここでは、大きな突起の間に小さな突起を設けることにより、レイノルズ数が低い区間では大きな突起により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間では小さな突起による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。
【0043】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、伝熱管の内面には、突起が設けられていない平滑部が存在する。
【0044】
突起のない平滑部において、伝熱管内の断面積は最大となる。すなわち、突起を設けている部分と突起を設けていない部分との間の内面形状の変化が最大となり、伝熱性能が向上する。一方、伝熱管内面に平滑部が存在しない場合は、伝熱管の内径が減少したものと同じ効果となり、流体の流速が速くなること伝熱促進効果は得られるが、管内の圧力損失も大きくなる。
【0045】
第1発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、突起は外部から力を加えることにより形成されるものであり、直線部には形成され、曲げ部には形成されない。
【0046】
外部から力を加えることにより伝熱管の内面に突起を形成させる場合、外面が凹むとともに対応する内面において管内に向け突起が形成されることが多い。また、一般的に、伝熱管に直線部と曲げ部を有している。曲げ部には、直線部における圧力損失に加えて曲げによる付加的な圧力損失が存在する。ここで、曲げ部の内面にさらに突起を設けると、曲げ部における圧力損失がさらに増大されるおそれがある。また、曲げ作業過程で伝熱管外面の凹んだ部位に大きな変形が発生し、破損などが発生するおそれがある。そこで、直線部には突起を設け、曲げ部には突起を設けていない。
【0047】
16発明に係る給湯用コルゲート伝熱管は、第1発明から第発明のいずれかに記載の給湯用コルゲート伝熱管において、突起は外部から力を加えることにより形成されるものであり、曲げ部においては、曲げられている面と交差する区間には形成されていない。
【0048】
伝熱管の曲げ部において、曲げられている面と交差する部分の変形量がいちばん大きい。そこで、伝熱管の曲げ部において、曲げられている面と交差する区間には突起を設けていない。例えば、伝熱管が水平面で曲げられている場合、曲げ部における水平面と交差する区間には突起を設けない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ヒートポンプ給湯器の模式図
【図2】水熱交換器の概略図。
【図3】コルゲート伝熱管の平面図。
【図4】コルゲート伝熱管の管内流れのレイノルズ数を表すグラフ。
【図5】(a)コルゲート伝熱管の断面斜視図。 (b)図5(a)のA-A矢視断面図。 (c)図5(b)のB-B矢視断面図。
【図6】実験1の結果を示すグラフ図。
【図7】実験2の結果を示すグラフ図。
【図8】実験3の結果を示すグラフ図。
【図9】実験4の結果グラフ図。
【図10】実施例1に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図11】実施例2に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図12】(a)実施例3に係るコルゲート伝熱管の平面図。 (b)実施例3に係るコルゲート伝熱管の斜視図。
【図13】実施例4に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図14】実施例5に係るコルゲート伝熱管の平面図。 (a)実施例5に係るコルゲート伝熱管の平面図。 (b)実施例5に係るコルゲート伝熱管の斜視図。
【図15】実施例6に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図16】実施例7に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図17】実施例8に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図18】実施例9に係るコルゲート伝熱管の平面図。
【図19】(a)実施例10に係るコルゲート伝熱管の平面図。 (b)実施例10に係るコルゲート伝熱管の斜視図。
【図20】実施例11に係るコルゲート伝熱管の平面図。 (a)コルゲート伝熱管の斜視図。 (b)ハイフィン伝熱管の斜視図。 (c)花柄伝熱管の斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1 貯湯ユニット
100 ヒートポンプ給湯器
2 冷媒サイクル
30 水熱交換器
311 水流入口
312 水流出口
313,413,513,613 突起
315 小突起
316,416,516,616 コルゲート溝
644 溝
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明に係る給湯用コルゲート伝熱管について、添付図及び実施例に基づいて説明する。
【0052】
図1は、本発明の給湯用コルゲート伝熱管を採用したヒートポンプ式給湯機の模式図である。ここで、ヒートポンプ式給湯機は、貯湯ユニット1とヒートポンプユニット2とを備えている。貯湯ユニット1は、水道管11と、貯湯タンク12と、水循環用ポンプ13と、給水管3と、水熱交換器30を構成するコルゲート伝熱管31と、温湯管16と、混合弁17と、給湯管18とが順に連結されている。ここでは、給水管11から貯湯タンク12に水道水が供給される。貯湯タンク12の底部から温度の低い水が水循環用ポンプ13より水熱交換器30のコルゲート伝熱管31に供給され加熱される。加熱された温湯は、貯湯タンク12の上部に流入される。温湯管16を経て貯湯タンク12の上部から出湯される高温の温湯は、混合弁17により混合水管19の冷水と混合される。この混合弁17により給湯の温度が調節され、給湯管18によりユーザに供給される。
【0053】
次に、ヒートポンプユニット2は冷媒循環回路を備え、この冷媒循環回路は、圧縮機21と、水熱交換器30と、膨張弁23と、空気熱交換器24とを、冷媒管32により順に接続して構成される。冷媒は圧縮機21により高圧に圧縮された後、水熱交換器30に送られる。水熱交換器30において熱交換された冷媒は、膨張弁23を通過し、空気熱交換器24へ供給される。冷媒は、周囲からの熱を吸収して圧縮機21に還流される。
【0054】
図2は、ヒートポンプ給湯機における水熱交換器30の概略図である。図2に示すように、水熱交換器30は、コルゲート伝熱管31と冷媒管32とによって構成されている。コルゲート伝熱管31は、同一平面上において長円形状となるように渦巻き形状に形成され、水通路Wを形成している。冷媒管32は、伝熱管31の外周に螺旋状に巻き付けられ、冷媒通路Rを形成している。そして、コルゲート伝熱管31における渦巻きの外周側を水流入口311、コルゲート伝熱管31における渦巻きの中心側を水流出口312としている。水熱交換器30において、冷媒管32内の冷媒は、冷媒流入口322においてA22方向から流入し放熱する。その後、冷媒流出口321においてA21方向から流出する。水流入口311においてA11方向から供給された水道水はこの熱により加熱され、温湯となって水流出口312においてA12方向に流出する。
【0055】
次に、コルゲート伝熱管31について説明する。図3に示すように、コルゲート伝熱管31の管内面には、コルゲート316が形成され、高さがH1の複数の突起313が、管軸方向において上下対称に設けられている。図3においては、紙面方向から見て上方に設けられた突起313のみが表示されている。本実施例では、伝熱管31の水流入口311における水温は約10℃、水流出口312における水温は約90℃と設定されている。ここで、コルゲート伝熱管における水の流量は約0.8L/minである。また、コルゲート伝熱管の外径が8mm~14mm(内径が6mm~12mm)であることが好ましい。
【0056】
コルゲート伝熱管31の管内流のレイノルズ数Reを、図4に表している。図4で示すように、コルゲート伝熱管31の水流入口311におけるレイノルズ数Reは約2000であり、管内の流れは層流域である。水の流れが進むにつれ、流入口311から流入された水は、図2に示す冷媒管32との熱交換を行い水温が高くなる。水温上昇により、水の粘性係数が小さくなり、レイノルズ数Reは段々大きくなる。図4において、水流出口312におけるレイノルズ数Reは約7000であって、管内流は層流から乱流への遷移領域に位置する。ここで、コルゲート伝熱管31の管内面に設けられた複数の突起313が、伝熱性能の向上に与える影響及び圧力損失に与える影響を調べるため、以下の実験を行った。
【0057】
(1)実験1
図5(a)はコルゲート伝熱管31の断面斜視図である。実験1においては、内径Dが8mmの管内面に、深さがHmのコルゲート316に、高さがH1の突起を上下対称に設けている。図5(b)は、図5(a)のA-A矢視断面図であり、図5(c)は、図5(b)のB-B矢視断面図である。図5(a)及び図5(b)から分るように、突起313は伝熱管の外面を凹ませることによって内面に形成されるようになっている。また、図5(c)から分るように、突起313の横断面図の形状は楕円形になるように形成されている。ここで、コルゲート伝熱管31の内面には、突起が設けられていない平面部31aが存在する。
【0058】
図6(a)は、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、突起を設けていないコルゲート管を採用した場合と、コルゲートの深さHm+突起の高さH1が1.2mmの場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管及び突起を設けていないコルゲート伝熱管のヌセルト数Nuと平滑管のNuoの比(Nu/Nuo)を表している。ここで、ヌセルト数は、固体壁から流体への熱の伝わりやすさの指標としての熱伝達率値を無次元化したものであり、その値が大きいほど、固体壁から流体へ熱が伝わりやすくなる。従って、Nu/Nuoの値が大きいほど、突起及びコルゲートによる伝熱管の伝熱性能の向上が大きい。実線は突起313を設けたコルゲート伝熱管、点線は突起を設けていないコルゲート伝熱管である場合の実験結果を表わしている。図6(a)から分るように、突起を設けていないコルゲート伝熱管の伝熱性能はレイノルズ数と関係なく平滑管の3倍ぐらいである。一方、突起の高さH1が1.2mmの突起313を設けたコルゲート伝熱管の場合、レイノルズ数Reが4000以下の状態で、管内に設けた突起313による伝熱性能の向上は明らかである。一方、レイノルズ数Reが4000以上の場合、管内に設けた突起313による伝熱性能の向上は緩やかである。
【0059】
図6(b)は、管内の流れが、層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、突起を設けていないコルゲート管を採用した場合と、コルゲートの深さHm+突起の高さH1が1.2mmの場合のコルゲート伝熱管31を採用した場合の管内圧力損失の推移を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管及び突起を設けていないコルゲート管のファニングの摩擦係数fと平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。ここで、ファニングの摩擦係数は、管内流れの圧力損失を表す無次元数であり、その値が大きいほど、管内流れの圧力損失は大きくなる。したがって、f/foの値が大きいほど、管内の水圧損失は大きくなる。実線は突起313を設けたコルゲート伝熱管、点線は突起を設けていないコルゲート伝熱管である場合の実験結果を表わしている。図6(b)から分るように、レイノルズ数Reが7000以下である場合、管内面に設けた突起313による管内圧力損失の増加部分は、ほぼ一定している。
【0060】
(2)実験2
実験2においては、突起313の高さH1が伝熱性能及び管内流れの圧力損失に与える影響を調べるため、管内面に設けた突起313の高さH1を変更させながら実験を行った。図7(a)は、内径Dが8mmのコルゲート伝熱管に、高さH1が異なる突起を、管軸方向のピッチPが15mmになるように上下対称に設けた場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸は突起313の高さH1の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図7(a)から分るように、レイノルズ数Reが4000及び2000の場合ともに、突起313の高さH1が高くなるほど伝熱性能は向上する。
【0061】
図7(b)は、管内圧力損失の推移を表したものである。ここで、横軸は突起313の高さH1の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図7(b)から分るように、レイノルズ数Reが4000及び2000の場合ともに、突起313の高さH1が高くなるほど管内圧力損失は大きくなる。特に、H1が1.0以上の場合、管内圧力損失の増加が顕著になっている。
【0062】
図7(c)は、内径Dが8mmのコルゲート伝熱管に、高さH1が異なる突起を15mm(管軸方向)ピッチで上下対称に設けた場合の伝熱管全体の性能を表したものである。すなわち、伝熱性能の向上と圧力損失の抑制を総合的に考慮した性能を表す。ここで、横軸は突起の高さの値を表している。縦軸は、突起を設けたコルゲート伝熱管のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を、突起を設けた伝熱管のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)で割った値を表している。上述したように、Nu/Nuoの値が大きいほど伝熱性能が向上され、f/foの値が大きいほど管内の水圧損は大きくなる。したがって、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が大きいほど、伝熱性能の向上が図れるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、伝熱管全体の性能が向上したこととなる。
【0063】
図7(c)において、実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図7(c)から分るように、レイノルズ数Reが2000で、伝熱管内に設けられた突起の高さが0.79mmである場合、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が一番大きく、突起の高さが2.0mmを超えるとその値は顕著に小さくなる。すなわち、低レイノルズ数区間では、突起の高さが0.5mm~1.5mmの範囲内である場合、伝熱管全体の性能向上が図れる。特に、突起の高さが0.5mm~0.79mmの範囲内であることが好ましい。
【0064】
(3)実験3
実験3においては、突起313の高さH1をそのまま指標とするのではなく、相対粗度(H1/D)を指標としている。この相対粗度(H1/D)が伝熱性能及び管内流れの圧力損失に与える影響を調べるため、相対粗度(H1/D)を変更させながら実験を行った。図8(a)は、レイノルズ数Reが2000である状態及び4000である状態で、相対粗度(H1/D)が異なる場合のコルゲート伝熱管の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸は相対粗度(H1/D)の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。図8(a)から分るように、突起の相対粗度(H1/D)の値が大きいほど伝熱性能は向上する。また、図8(a)の点線から分るように、レイノルズ数2000の状態では、相対粗度(H1/D)の値が0.1以下では突起による伝熱性能の向上は小さい。
【0065】
図8(b)は、管内圧力損失の推移を表したものである。ここで、横軸は相対粗度(H1/D)の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図8(b)から分るように、レイノルズ数Reが4000及び2000の場合ともに、突起313の高さH1/Dが高くなるほど管内圧力損失は大きくなる。特に、H1/Dが0.12以上の場合、管内圧力損失の増加が顕著になっている。
【0066】
図8(c)は、突起の相対粗度(H1/D)が異なる場合のコルゲート伝達管全体の性能を表したものである。ここで、横軸は相対粗度(H1/D)の値を表している。縦軸は、突起を設けた伝熱管のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を、突起を設けたコルゲート伝熱管のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)で割った値を表している。上述したように、Nu/Nuoの値が大きいほど伝熱性能が向上され、f/foの値が大きいほど管内の水圧損は大きくなる。したがって、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が大きいほど、熱伝達率の向上を図るとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響を抑え、コルゲート伝熱管全体の性能が向上したこととなる。図8(c)から分るように、レイノルズ数Reが2000の場合、コルゲート伝熱管内に設けられた突起の相対粗度(H1/D)が0.1である場合、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が一番大きく、突起の相対粗度(H1/D)が0.20を超えるとその値は顕著に小さくなる。すなわち、低レイノルズ数Reの区間では、突起の相対粗度(H1/D)が0.05~0.15の範囲内である場合は、伝熱管全体の性能向上が図れる。特に、突起の相対粗度(H1/D)が0.05~0.15の範囲内であることが好ましい。
【0067】
(4)実験4
実験4においては、突起313の高さH1の指標だけでなく、突起313の高さH1とコルゲート溝の深さHmとの比(H1/Hm)を指標としている。この相対高さ(H1/Hm)が伝熱性能及び管内流れの圧力損失に与える影響を調べるため、相対高さ(H1/Hm)を変更させながら実験を行った。図9(a)は、レイノルズ数Reが2000である状態及び4000である状態で、相対高さ(H1/Hm)が異なる場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸は相対高さ(H1/Hm)の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。図9(a)から分るように、突起の相対高さ(H1/Hm)の値が大きいほど伝熱性能は向上する。また、図9(a)の点線から分るように、レイノルズ数2000の状態では、相対粗度(H1/Hm)の値が0.5以下では突起による伝熱性能の向上は小さい。
【0068】
図9(b)は、管内圧力損失の推移を表したものである。ここで、横軸は相対高さ(H1/Hm)の値を表している。縦軸は、突起313を設けたコルゲート伝熱管31のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図8(b)から分るように、レイノルズ数Reが2000の場合、突起313の高さ相対高さ(H1/Hm)が高くなるほど管内圧力損失は大きくなる。特に、H1/Hmが1.8以上の場合、管内圧力損失の増加が顕著になっている。
【0069】
図9(c)は、突起の相対高さ(H1/Hm)が異なる場合の伝達管全体の性能を表したものである。ここで、横軸は相対高さ(H1/Hm)の値を表している。縦軸は、突起を設けた伝熱管のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を、突起を設けた伝熱管のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)で割った値を表している。図9(c)から分るように、レイノルズ数Reが2000で、伝熱管内に設けられた突起の相対高さ(H1/Hm)が1.8である場合、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が一番大きく、突起の相対高さ(H1/Hm)が3.0を超えるとその値は顕著に小さくなる。すなわち、低レイノルズ数Reの区間では、突起の相対高さ(H1/Hm)が1.0~3.0の範囲内である場合は、伝熱管全体の性能向上が図れる。特に、突起の相対高さ(H1/Hm)が1.0~2.0の範囲内であることが好ましい。
【0070】
本発明に係る給湯用コルゲート伝熱管の異なる構造については、下記の実施例でさらに説明する(下記の実施例における内径D、コルゲート溝の深さHm、突起の高さH1,H2、ピッチ及び溝の深さなどの値は単に例示したものであり、実施例において特許請求の範囲に記載された各パラメータの数値範囲及び上記各実験で用いた値を用いることも可能である。)
【0071】
<実施例1>
図10では、実施例1で使用したコルゲート伝熱管41の構造を示している。図10(a)で示すように、内径Dが8mmの平滑管に、溝の深さHmが0.5mm、管軸方向のピッチPmが10mmのコルゲート溝416が形成されている。図10(b)で示すように、高さH1が1mmの突起43を、管軸方向のピッチPが15mmになるように上下対称に設けている。ここでは、複数の突起のピッチ(P1)とコルゲートのピッチ(Pm)の値が異なる値にすることで、突起413がコルゲート溝416と重ならない位置に設けられることとなり、管内における圧力損失の急増を抑えることができる。
【0072】
<実施例2>
実施例2のコルゲート伝熱管51では、図11で示すように、コルゲート溝516が設けられており、高さH1が1.0mmの突起513の間には、高さH2が0.3mmの小突起515を設けている。低レイノルズ数域においては、小さい突起より大きい突起の方が熱伝達率の向上に貢献するが、高レイノルズ数域においては、大きい突起より小さい突起の方が熱伝達率の向上に貢献する。そこで、高さH1が1.0mmの突起513の間に、高さH2が0.3mmの小突起515を設けることにより、レイノルズ数が低い区間ではコルゲート溝516と突起513により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間ではコルゲート溝516と小突起515による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。
【0073】
<実施例3>
図12に示すように、実施例3で採用したコルゲート伝熱管61は、管内面上螺旋C1に沿って突起613を設けている。図12(a)は、コルゲート伝熱管61の平面図であり、図12(b)はコルゲート伝熱管61の斜視図である。ここで、突起613の高さH1は1.0mm、円周方向のピッチP1は6mm、管軸方向のピッチP2は6mmである。
【0074】
<実施例4>
図13に示すように、実施例4で採用したコルゲート伝熱管63は、深さが0.5mmのコルゲート溝636が設けられた伝熱管に、突起633が設けられている区間63aと、突起が設けられていない区間63bを有する。ここで、突起が設けられていない区間63bは、水の流出口632近傍に位置する区間である。伝熱管63の流出口632近傍では、流体である水の温度が高く、管壁にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起部を設けた場合、スケールの付着が促進される場合がある。そこで、水温が高い水流出口632近傍に位置する区間63bには、突起を設けらないことにより、スケールの発生が抑えられる。
【0075】
<実施例5>
図14に示すように、実施例5で採用したコルゲート伝熱管64は、深さが0.5mmのコルゲート溝646と深さと0.2mmの溝644とが設けられた溝付き管に、高さH1が1.0mmの突起643を、管軸方向のピッチPが15mmになるように上下対称に設けている。ここで、コルゲート溝646は実線、溝644は細い実線で表わしている。ここでは、溝644が設けられている管に突起643を設けることで、コルゲート溝646、溝644と突起643による伝熱管全体の相乗効果が計られる。
【0076】
<実施例6>
図15に示すように、実施例6で採用したコルゲート伝熱管65は、区間65a、区間65bより構成されている。水流出口652の近傍に位置する区間65bには突起を設けていないコルゲート伝熱管を採用し、その他の区間65aには、深さが0.5mmのコルゲート溝656と深さが0.2mmの溝654が設けられた溝付き管に高さが1.0mmの突起653を設けている。コルゲート溝656は実線、溝654は細い実線で表わしている。コルゲート溝656、溝654と突起653による伝熱管全体の相乗効果が計られるとともに、水温が高い水流出口652近傍に位置する区間65bにおけるスケールの発生が抑えられる。
【0077】
<実施例7>
図16に示すように、実施例7で採用したコルゲート伝熱管66は、区間66a、区間66b,区間66cの3区間から構成されている。水流入口661から管内のレイノルズ数Reが4000までの区間66aには、深さが0.5mmのコルゲート溝666と深さが0.2mmの溝664が設けられた溝付き管に高さが1.0mmの突起663を設けたものを採用し、水流出口662の近傍に位置する区間66cには深さが0.5mmのコルゲート溝666付きのコルゲート管を採用し、区間66aと区間66cとの間には深さが0.5mmのコルゲート溝と664の深さが0.2mmの溝付き管66bを採用している。ここで、コルゲート溝666は実線、溝664は細い実線で表わしている。ここでは、レイノルズ数が低い区間では突起663と溝664とコルゲート溝666とにより伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間では溝664とコルゲート溝666による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。また、水温が高い水流出口662近傍に位置する区間66cにおいてはコルゲート溝666によるスケールの発生が抑えられる。
【0078】
<実施例8>
図17に示すように、実施例8で採用した伝熱管67は、区間67a、区間67b,区間67cの3区間から構成されている。水流入口671から管内のレイノルズ数Reが4000までの区間67aには、深さが0.5mmのコルゲート溝666と高さが1.0mmの突起673を設けたものを採用し、水流出口672の近傍に位置する区間67cには深さが0.5mmのコルゲート溝676を有するコルゲート伝熱管を採用し、区間67aと区間67cとの間には深さが0.5mmのコルゲート溝676と、溝674の深さが0.2mmの溝付き管67bを採用している。ここで、コルゲート溝676は実線、溝674は細い実線で表わしている。ここでは、レイノルズ数が低い区間ではコルゲート溝676と突起673により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間ではコルゲート溝676と溝674による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。また、水温が高い水流出口672近傍に位置する区間67cにおいてはコルゲート溝676によりスケールの発生が抑えられる。
【0079】
<実施例9>
図18に示すように、実施例9で採用したコルゲート伝熱管68は、直線部684には突起683を設けているが、曲げ部B1~B7(点線部分)には突起を設けていない。曲げ部B1~B7の内面に突起を設けることによる管内圧力損失の増大を回避し、また曲げ作業過程における大きな変形、破損などの発生を回避できる。
【0080】
<実施例10>
図19(a)は、実施例10で採用したコルゲート伝熱管69の平面図を示したものであり、図19(b)は、伝熱管69の斜視図を示したものである。ここで、直線部694には突起693が設けられているが、曲げ部C-Cにおいて、曲げられている面S1と交差する区間695には突起を設けていない。
【0081】
<実施例11>
図20に示すように、実施例11で採用したコルゲート伝熱管70は、コルゲート伝熱管の外面71と冷媒管72との接触部位には突起を設けていない。冷媒管72が巻かれる部位に対応する管外面に凹みが設けられると、冷媒管72と伝熱管外面71との接触が悪くなり、冷媒管72からの伝熱効果が低下するおそれがある。そこで、冷媒管72が巻き付けられていない部位に突起713を設けることで、冷媒管72からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。
【0082】
<その他>
上述した実験及び実施例においては、図21(a)に示すように、伝熱管としてコルゲート溝を有するコルゲート管に突起が設けられている。なお、図21(b)に示すように、伝熱管としてハイフィン管に突起が設けられた管、または図21(c)に示すように、伝熱管として花柄管に突起が設けられた管を採用することもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20