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明細書 :給湯用伝熱管

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4942773号 (P4942773)
公開番号 特開2009-068838 (P2009-068838A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年5月30日(2012.5.30)
公開日 平成21年4月2日(2009.4.2)
発明の名称または考案の名称 給湯用伝熱管
国際特許分類 F28F  13/12        (2006.01)
F28F   1/40        (2006.01)
FI F28F 13/12 Z
F28F 1/40 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 19
出願番号 特願2009-001139 (P2009-001139)
分割の表示 特願2006-524145 (P2006-524145)の分割、【原出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
出願日 平成21年1月6日(2009.1.6)
優先権出願番号 200510056765.8
優先日 平成17年3月25日(2005.3.25)
優先権主張国 中華人民共和国(CN)
審査請求日 平成21年1月7日(2009.1.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506259634
【氏名又は名称】清華大学
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】李 志信
【氏名】孟 継安
【氏名】沼田 光春
【氏名】笠井 一成
個別代理人の代理人 【識別番号】100094145、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 由己男
【識別番号】100111187、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 秀忠
審査官 【審査官】マキロイ 寛済
参考文献・文献 特開2005-009833(JP,A)
特開昭61-289293(JP,A)
特開2004-085090(JP,A)
特開平09-243284(JP,A)
調査した分野 F28F 13/12
F28F 1/40
特許請求の範囲 【請求項1】
内部と外部との熱交換を行う給湯用伝熱管であって、
内面の少なくとも一部に、高さ(H1)が0.8mm~2.0mmである複数の突起が設けられており、
管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sであり、
前記突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されており、
前記伝熱管の一端側には前記突起が設けられていない平滑部が設けられ、前記平滑部が設けられた端部を流体が流出する流体出口とし
前記複数の突起のピッチ(P)と内径(D)との比は、0.5~10である、
給湯用伝熱管。
【請求項2】
内部と外部との熱交換を行う給湯用伝熱管であって、
管内面の少なくとも一部に、高さ(H1)が内径(D)の0.1~0.25倍である複数の突起が設けられており、
管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sであり、
前記突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されており、
前記伝熱管の一端側には前記突起が設けられていない平滑部が設けられ、前記平滑部が設けられた端部を流体が流出する流体出口とし、
前記複数の突起のピッチ(P)と内径(D)との比は、0.5~10である、
給湯用伝熱管。
【請求項3】
前記複数の突起は、管軸の方向に平行して設けられている、
請求項1または2に記載の給湯用伝熱管。
【請求項4】
前記複数の突起は、螺旋状に設けられている、
請求項1または2に記載の給湯用伝熱管。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器技術、特に給湯用伝熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置、給湯器などに用いられる熱交換装置においては、管内に水などの流体が流れるとともに管内外の温度差によって熱交換を行う給湯用伝熱管が設けられている。そして、給湯用伝熱管の伝熱性能を向上させるため、管内面に溝が形成された溝付管が使われることがある。また、給湯用伝熱管の内面に突起を設けて伝熱性能を向上させる技術も提案されている。
【0003】
このように、給湯用伝熱管内部に突起を設けると、給湯用伝熱管の伝熱面積が大きくなるとともに、突起により流体が撹拌されることで、伝熱面における熱伝達率が増大され、伝熱性能が向上する。しかし、給湯用伝熱管内部に突起を設けると、突起によって管摩擦係数が増大し、管内の流れの圧力損失が大きくなる。そこで、給湯用伝熱管内部に高さが0.45mm~0.6mmの突起を設けて、冷媒との熱伝達を促進しつつ圧力損失を抑える技術が提案されている(特許文献1:特公平6-70556)。
【発明の概要】
【0004】
しかし、給湯用伝熱管内の流体の流速が非常に低く、管内における流体の流れが層流域から乱流域への遷移領域である場合、特許文献1で開示された高さ0.45mm~0.6mmの突起を設けても伝熱性能の向上は小さい。
【0005】
例えば、図1に示すヒートポンプ式給湯器においては、電気代の安い夜間電力を効率的に利用するため、長い時間をかけて水を約10℃から約90℃まで一過式で沸かす。ここでは、製品のコンパクト化と高効率を確保するため、給湯用伝熱管内を流れる水の流量を非常に小さい値(例えば、0.8L/min)に設定している。このように管内の水流量が小さい給湯用伝熱管においては、給湯用伝熱管の内径を小さくすることで管内の流速を高め、伝熱性能を向上させる方法を採用している。しかし、この場合でも管内の水流量が小さいため、管内における水の流れは、流入口付近では層流域から乱流域への遷移領域(Re=1500~3000)、流出口付近でも乱流初期(Re=7000)程度である。また、水の流入口付近の低温区間では、熱伝導率も小さいため、効率的な熱交換が期待できない。
【0006】
本発明の目的は、上記背景技術の問題点を克服し、簡単な構造で、低レイノルズ数域において伝熱性能の向上を図るとともに、管内の圧力損失が小さい給湯用伝熱管を提供することにある。
【0007】
第1発明に係る給湯用伝熱管は、内部と外部との熱交換を行う給湯用伝熱管であって、内面の少なくとも一部に、高さH1が0.8mm~2.0mmである複数の突起が設けられている。また、管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sであり、流体が流出する流体流出口の近傍に位置する区間には、突起が設けられていない。さらに、突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている。複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0008】
層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間では、管内に設けた突起の高さを従来のように低く設定すると伝熱性能の向上効果が得られない。
【0009】
そこで、層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間、すなわちレイノルズ数Reが7000未満の区間に位置する部分の管内面に、管内に向けて突出する高さが0.8mm~2.0mmの複数の突起を設けた。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0010】
ここで、管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである。なお、給湯用伝熱管の内部を流れる流体の流速が0.2m/s~0.4m/sであることが好ましい。ここで、管内の流体の流速が0.1m/s未満である場合、給湯用伝熱管の熱伝達率が極めて低い。一方、管内の流体の流速が0.6m/sを超えると、管内の摩擦係数が大きくなり、管内の圧力損失が大きくなる。そこで、内部を流れる流体の流速範囲を0.1m/s~0.6m/sとする。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0011】
また、管内突起による管内流体の圧力損失への影響要素として、管内流体のレイノルズ数、速度、突起の高さなどのほか、突起の形状が挙げられる。突起の形状が鋭角状である場合、角を曲がる流れにより剥離渦が生じ、流体の圧力損失が高くなる。
【0012】
そこで、突起の任意の高さにおける断面形状が、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されているようにしている。すなわち、突起の外周面が滑らかな曲面で形成されているため、突起の形状が鋭角状であるものに比べて剥離渦の発生を抑えることができ、管内流体の圧力損失による影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0013】
さらに、給湯用伝熱管の流体流出口部では、流体の温度が高く、例えば流体が水である場合、管内面にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起を設けると、突起によりスケールの付着が促進されるおそれがある。そこで、流体の温度が高い流体流出口近傍に位置する区間には、突起が設けられていない管、例えば平滑管を使用することにより、スケールの発生を抑える。
【0014】
なお、管内面に設けられた複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0015】
突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比が0.5以下の場合、伝熱促進効果は得られるが、上流側において突起の影響により圧力損失が大きくなる。また、突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比が10以上の場合、伝熱促進効果が小さくなる。
【0016】
そこで、突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.5~10にすることで、伝熱促進効果を維持しつつ、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0017】
第2発明に係る給湯用伝熱管は、内部と外部との熱交換を行う給湯用伝熱管であって、内面の少なくとも一部に、高さH1が内径Dの0.1~0.25倍である複数の突起が設けられている。また、管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sであり、流体が流出する流体流出口の近傍に位置する区間には、突起が設けられていない。さらに、突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている。複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0018】
管内に突起が設けられた場合、管摩擦係数は、レイノルズ数Re及び相対粗度の関数となる。ここでは、管内突起による管摩擦係数への影響を表すため、管内に設けた突起の高さと管内径との比(すなわち相対粗度)を用いている。層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間において、管内壁面の相対粗度を所定範囲内にすることにより、伝熱効果の向上を図るとともに圧力損失による影響を最小限に抑えることができる。
【0019】
そこで、層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間、すなわちレイノルズ数Reが7000未満の区間に位置する部分の内面に、高さH1が内径Dの0.1~0.25倍である複数の突起を設けた。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0020】
ここで、管内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである。なお、給湯用伝熱管の内部を流れる流体の流速が0.2m/s~0.4m/sであることが好ましい。ここで、管内の流体の流速が0.1m/s未満である場合、給湯用伝熱管の熱伝達率が極めて低い。一方、管内の流体の流速が0.6m/sを超えると、管内の摩擦係数が大きくなり、管内の圧力損失が大きくなる。そこで、内部を流れる流体の流速範囲を0.1m/s~0.6m/sとする。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0021】
また、管内突起による管内流体の圧力損失への影響要素として、管内流体のレイノルズ数、速度、突起の高さなどのほか、突起の形状が挙げられる。突起の形状が鋭角状である場合、角を曲がる流れにより剥離渦が生じ、流体の圧力損失が高くなる。
【0022】
そこで、突起の任意の高さにおける断面形状が、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されているようにしている。すなわち、突起の外周面が滑らかな曲面で形成されているため、突起の形状が鋭角状であるものに比べて剥離渦の発生を抑えることができ、管内流体の圧力損失による影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0023】
さらに、給湯用伝熱管の流体流出口部では、流体の温度が高く、例えば流体が水である場合、管内面にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起を設けると、突起によりスケールの付着が促進されるおそれがある。そこで、流体の温度が高い流体流出口近傍に位置する区間には、突起が設けられていない管、例えば平滑管を使用することにより、スケールの発生を抑える。
【0024】
なお、管内面に設けられた複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0025】
突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比が0.5以下の場合、伝熱促進効果は得られるが、上流側において突起の影響により圧力損失が大きくなる。また、突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比が10以上の場合、伝熱促進効果が小さくなる。
【0026】
そこで、突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.5~10にすることで、伝熱促進効果を維持しつつ、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0027】
第3発明に係る給湯用伝熱管は、第1発明または第2発明に記載の給湯用伝熱管において、複数の突起は、管軸方向に平行して設けられている。
【0028】
管軸方向に突起を設けることにより、伝熱促進が連続しておこなえる。また、流体の流れは管軸方向に直線的に流れるため、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0029】
第4発明に係る給湯用伝熱管は、第1発明または第2発明に記載の給湯用伝熱管において、複数の突起は、螺旋状に設けられている。
【0030】
螺旋状に突起を設けることにより、管内の流体の流れに旋回が発生し、流体の通過長さが長くなり、伝熱性能がさらに向上する。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明で述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0032】
第1発明では、管内面の少なくとも一部に、高さH1が0.8mm~2.0mmである複数の突起を設けている。これにより、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間でも、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。特に、突起の高さが0.9mm~1.2mmの範囲内であることが好ましい。また、給湯用伝熱管は外径が8mm~14mm(内径が6mm~12mm)であることが好ましい。
【0033】
また、内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである。ここで、管内の流体の流速が0.1m/s未満である場合、給湯用伝熱管の熱伝達率が極めて低い。一方、管内の流体の流速が0.6m/sを超えると、管内の摩擦係数が大きくなり、管内の圧力損失が大きくなる。そこで、内部を流れる流体の流速範囲を0.1m/s~0.6m/sとする。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0034】
ここで、突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている。
【0035】
ここでは、突起の外周面が滑らかな曲面で形成されているため、突起の形状が鋭角状であるものに比べて剥離渦の発生を抑えることができ、管内流体の圧力損失による影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0036】
さらに、流体が流出する流体流出口の近傍に位置する区間には、突起が設けられていない。
【0037】
給湯用伝熱管の流体流出口部では、流体の温度が高く、例えば流体が水である場合、管内面にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起を設けると、突起によりスケールの付着が促進される場合がある。そこで、流体の温度が高い流体流出口近傍に位置する区間には、突起が設けられていない管、例えば平滑管を使用することにより、スケールの発生を抑える。
【0038】
なお、複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0039】
突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.5~10にすることで、伝熱促進効果を維持しつつ、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。特に、給湯用伝熱管の突起ピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.8~4にしたほうが好ましい。
【0040】
第2発明では、管内面の少なくとも一部に、高さH1が内径Dの0.1~0.25倍である複数の突起を設けている。これにより、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間でも、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。特に、突起の相対粗度(H1/D)が0.11~0.15の範囲内であることが好ましい。
【0041】
また、内部を流れる流体の流速が0.1m/s~0.6m/sである。ここで、管内の流体の流速が0.1m/s未満である場合、給湯用伝熱管の熱伝達率が極めて低い。一方、管内の流体の流速が0.6m/sを超えると、管内の摩擦係数が大きくなり、管内の圧力損失が大きくなる。そこで、内部を流れる流体の流速範囲を0.1m/s~0.6m/sとする。その結果、管内に設けた突起による熱伝達率の向上が図られるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0042】
ここで、突起の任意の高さにおける断面形状は、円形、楕円形もしくは近似円形のような滑らかな曲線で構成されている。
【0043】
ここでは、突起の外周面が滑らかな曲面で形成されているため、突起の形状が鋭角状であるものに比べて剥離渦の発生を抑えることができ、管内流体の圧力損失による影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0044】
さらに、流体が流出する流体流出口の近傍に位置する区間には、突起が設けられていない。
【0045】
給湯用伝熱管の流体流出口部では、流体の温度が高く、例えば流体が水である場合、管内面にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起を設けると、突起によりスケールの付着が促進される場合がある。そこで、流体の温度が高い流体流出口近傍に位置する区間には、突起が設けられていない管、例えば平滑管を使用することにより、スケールの発生を抑える。
【0046】
なお、複数の突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比は0.5~10である。
【0047】
突起のピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.5~10にすることで、伝熱促進効果を維持しつつ、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。特に、給湯用伝熱管の突起ピッチPと給湯用伝熱管内径Dとの比を0.8~4にしたほうが好ましい。
【0048】
第3発明では、第1発明または第2発明に記載の給湯用伝熱管において、複数の突起は、管軸方向に平行して設けられている。
【0049】
管軸方向に突起を設けることにより、伝熱促進が連続しておこなえる。また、流体の流れは管軸方向に直線的に流れるため、圧力損失の増加が小さく、給湯用伝熱管全体の性能が向上する。
【0050】
第4発明では、第1発明または第2発明に記載の給湯用伝熱管において、複数の突起は、螺旋状に設けられている。
【0051】
螺旋状に突起を設けることにより、管内の流体の流れに旋回が発生し、流体の通過長さが長くなり、伝熱性能がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ヒートポンプ給湯器の模式図
【図2】水熱交換器の概略図。
【図3】給湯用伝熱管の平面図。
【図4】給湯用伝熱管の管内流れのレイノルズ数を表すグラフ。
【図5】(a)給湯用伝熱管の断面斜視図。 (b)図5(a)のA-A矢視断面図。 (c)図5(b)のB-B矢視断面図。
【図6】実験1の結果を示すグラフ図。
【図7】実験2の結果を示すグラフ図。
【図8】実験3の結果を示すグラフ図。
【図9】実験4に係る給湯用伝熱管の断面斜視図。
【図10】実験4の結果グラフ図。
【図11】変形例1に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図12】(a)変形例2に係る給湯用伝熱管の平面図。 (b)変形例2に係る給湯用伝熱管の斜視図。 (c)変形例2のもう一つの給湯用伝熱管の斜視図。
【図13】変形例3に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図14】変形例4に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図15】変形例5に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図16】変形例6に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図17】変形例7に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図18】変形例8に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図19】(a)変形例9に係る給湯用伝熱管の平面図。 (b)変形例9に係る給湯用伝熱管の斜視図。
【図20】変形例10に係る給湯用伝熱管の平面図。
【図21】(a)変形例11に係る給湯用伝熱管の平面図。 (b)図21(a)のD-D矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<全体構成>
図1は、ヒートポンプ式給湯機の模式図である。ここで、ヒートポンプ式給湯機は、貯湯ユニット1とヒートポンプユニット2とを備えている。給湯ユニット1は、水道管11と、貯湯タンク12と、水循環用ポンプ13と、給水管3と、水熱交換器30を構成する給湯用伝熱管31と、温湯管16と、混合弁17と、給湯管18とが順に連結されている。ここでは、給水管11から貯湯タンク12に水道水が供給される。貯湯タンク12の底部から温度の低い水が水循環用ポンプ13より水熱交換器30の給湯用伝熱管31に供給され加熱される。加熱された温湯は、貯湯タンク12の上部に流入される。温湯管16を経て貯湯タンク12の上部から出湯される高温の温湯は、混合弁17により混合水管19の冷水と混合される。この混合弁17により給湯の温度が調節され、給湯管18によりユーザに供給される。

【0054】
次に、ヒートポンプユニット2は冷媒循環回路を備え、この冷媒循環回路は、圧縮機21と、水熱交換器30と、膨張弁23と、空気熱交換器24とを、冷媒管32により順に接続して構成される。冷媒は圧縮機21により高圧に圧縮された後、水熱交換器30に送られる。水熱交換器30において熱交換された冷媒は、膨張弁23を通過し、空気熱交換器24へ供給される。冷媒は、周囲からの熱を吸収して圧縮機21に還流される。

【0055】
<水熱交換器>
図2は、ヒートポンプ給湯機における水熱交換器30の概略図である。図2に示すように、水熱交換器30は、給湯用伝熱管31と冷媒管32とによって構成されている。給湯用伝熱管31は、同一平面上において長円形状となるように渦巻き形状に形成され、水通路Wを形成している。冷媒管32は、給湯用伝熱管31の外周に螺旋状に巻き付けられ、冷媒通路Rを形成している。そして、給湯用伝熱管31における渦巻きの外周側を水流入口311、給湯用伝熱管31における渦巻きの中心側を水流出口312としている。水熱交換器30において、冷媒管32内の冷媒は、冷媒流入口322においてA22方向から流入し放熱する。その後、冷媒流出口321においてA21方向から流出する。水流入口311においてA11方向から供給された水道水はこの熱により加熱され、温湯となって水流出口312においてA12方向に流出する。

【0056】
<給湯用伝熱管>
次に、給湯用伝熱管31について説明する。図3に示すように、給湯用伝熱管31の管内面には、高さがH1の複数の突起313が、管軸方向において20mmピッチ(図3のP参照)で上下対称に設けられている。図3においては、紙面方向から見て上方に設けられた突起313のみが表示されている。本実施例では、給湯用伝熱管31の水流入口311における水温は約10℃、水流出口312における水温は約90℃と設定されている。ここで、給湯用伝熱管における水の流量は約0.8L/minである。また、給湯用伝熱管の外径が8mm~14mm(内径が6mm~12mm)であることが好ましい。

【0057】
給湯用伝熱管31の管内流のレイノルズ数Reを、図4に表している。図4で示すように、給湯用伝熱管31の水流入口311におけるレイノルズ数Reは約2000であり、管内の流れは層流域である。水の流れが進むにつれ、流入口311から流入された水は、図2に示す冷媒管32との熱交換を行い水温が高くなる。水温上昇により、水の粘性係数が小さくなり、レイノルズ数Reは段々大きくなる。図4において、水流出口312におけるレイノルズ数Reは約7000であって、管内流は層流から乱流への遷移領域に位置する。ここで、給湯用伝熱管31の管内面に設けられた複数の突起313が、伝熱性能の向上に与える影響及び圧力損失に与える影響を調べるため、以下の実験を行った。

【0058】
(1)実験1
図5(a)は給湯用伝熱管31の断面斜視図である。実験1においては、内径Dが8mmの管内面に、高さH1が1.0mmの突起を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けている。図5(b)は、図5(a)のA-A矢視断面図であり、図5(c)は、図5(b)のB-B矢視断面図である。図5(a)及び図5(b)から分るように、突起313は給湯用伝熱管の外面を凹ませることによって内面に形成されるようになっている。また、図5(c)から分るように、突起313の横断面図の形状は楕円形になるように形成されている。ここで、給湯用伝熱管31の内面には、突起が設けられていない平面部31aが存在する。図6(a)は、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、突起を設けていない平滑管を採用した場合と、高さH1が1mmの突起313を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けた場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、突起313を設けた給湯用伝熱管31のヌセルト数Nuと、突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。ここで、ヌセルト数は、固体壁から流体への熱の伝わりやすさの指標としての熱伝達率値を無次元化したものであり、その値が大きいほど、固体壁から流体へ熱が伝わりやすくなる。従って、Nu/Nuoの値が大きいほど、突起による給湯用伝熱管の伝熱性能の向上が大きい。図6(a)から分るように、レイノルズ数Reが4000以下の場合、高さH1が1mmの突起313による伝熱性能の向上は明らかである。一方、レイノルズ数Reが4000以上の場合、管内に設けた突起313による伝熱性能の向上は緩やかである。

【0059】
図6(b)は、管内の流れが、層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、突起を設けていない平滑管を採用した場合と、高さH1が1mmの突起313を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けた給湯用伝熱管31を採用した場合の管内圧力損失の推移を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、突起313を設けた給湯用伝熱管31のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。ここで、ファニングの摩擦係数は、管内流れの圧力損失を表す無次元数であり、その値が大きいほど、管内流れの圧力損失は大きくなる。したがって、f/foの値が大きいほど、管内の水圧損失は大きくなる。図6(b)から分るように、レイノルズ数Reが約2000である場合、すなわち管内の流れが層流域である場合は、突起313を設けた給湯用伝熱管31の管内圧力損失が突起を設けていない平滑管内の圧力損失と同等となっている。一方、レイノルズ数Reが大きくなり、管内の流れが層流域から乱流域へ遷移するにつれ、管内面に設けた突起313による管内圧力損失が大きくなり、レイノルズ数Reが4000以上の場合は、ほぼ一定している。

【0060】
(2)実験2
実験2においては、突起313の高さH1が伝熱性能及び管内流れの圧力損失に与える影響を調べるため、管内面に設けた突起313の高さH1を変更させながら実験を行った。図7(a)は、内径Dが8mmの給湯用伝熱管に、高さH1が異なる突起を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けた場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸は突起313の高さH1の値を表している。縦軸は、突起313を設けた給湯用伝熱管31のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図7(a)から分るように、レイノルズ数Reが4000及び2000の場合ともに、突起313の高さH1が高くなるほど伝熱性能は向上する。また、図7(a)の点線から分るように、レイノルズ数Reが2000の状態では、突起313の高さH1が0.5mm以下の場合突起313による伝熱性能の向上はほとんど見られない。突起313の高さH1が0.8mm以上になって、はじめて伝熱性能の向上効果が現れる。

【0061】
図7(b)は、内径Dが8mmの給湯用伝熱管に、高さH1が異なる突起を20mm(管軸方向)ピッチで上下対称に設けた場合の給湯用伝熱管全体の性能を表したものである。すなわち、伝熱性能の向上と圧力損失の抑制を総合的に考慮した性能を表す。ここで、横軸は突起の高さの値を表している。縦軸は、突起を設けた給湯用伝熱管のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を、突起を設けた給湯用伝熱管のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)で割った値を表している。上述したように、Nu/Nuoの値が大きいほど伝熱性能が向上され、f/foの値が大きいほど管内の水圧損は大きくなる。したがって、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が大きいほど、伝熱性能の向上が図れるとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響が抑えられ、給湯用伝熱管全体の性能が向上したこととなる。

【0062】
図7(b)において、実線はレイノルズ数Reが4000である場合、点線はレイノルズ数Reが2000である場合の実験結果を表わしている。図7(b)から分るように、レイノルズ数Reが2000及び4000の状態ともに、給湯用伝熱管内に設けられた突起の高さが0.8mmである場合、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が一番大きく、突起の高さが2.0mmを超えるとその値は顕著に小さくなる。すなわち、低レイノルズ数区間では、突起の高さが0.8mm~2.0mmの範囲内である場合、給湯用伝熱管全体の性能向上が図れる。特に、突起の高さが0.9mm~1.2mmの範囲内であることが好ましい。

【0063】
(3)実験3
実験3においては、突起313の高さH1をそのまま指標とするのではなく、相対粗度(H1/D)を指標としている。この相対粗度(H1/D)が伝熱性能及び管内流れの圧力損失に与える影響を調べるため、相対粗度(H1/D)を変更させながら実験を行った。図8(a)は、レイノルズ数Reが2000である状態及び4000である状態で、突起を設けていない平滑管を採用した場合と、相対粗度(H1/D)が異なる場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸は相対粗度(H1/D)の値を表している。縦軸は、突起313を設けた給湯用伝熱管31のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。図8(a)から分るように、突起の相対粗度(H1/D)の値が大きいほど伝熱性能は向上する。また、図8(a)の点線から分るように、レイノルズ数2000の状態では、相対粗度(H1/D)の値が0.1以下では突起による伝熱性能の向上はほとんど見られない。

【0064】
図8(b)は、突起を設けていない平滑管を採用した場合と、突起の相対粗度(H1/D)が異なる場合の伝達管全体の性能を表したものである。ここで、横軸は相対粗度(H1/D)の値を表している。縦軸は、突起を設けた給湯用伝熱管のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を、突起を設けた給湯用伝熱管のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)で割った値を表している。上述したように、Nu/Nuoの値が大きいほど伝熱性能が向上され、f/foの値が大きいほど管内の水圧損は大きくなる。したがって、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が大きいほど、熱伝達率の向上を図るとともに、突起が管内の圧力損失に与える影響を抑え、給湯用伝熱管全体の性能が向上したこととなる。図8(b)から分るように、レイノルズ数Reが2000、及び4000の状態ともに、給湯用伝熱管内に設けられた突起の相対粗度(H1/D)が0.1である場合、Nu/Nuoの値をf/foの値で割った値が一番大きく、突起の相対粗度(H1/D)が0.25を超えるとその値は顕著に小さくなる。すなわち、低レイノルズ数Reの区間では、突起の相対粗度(H1/D)が0.1~0.25の範囲内である場合は、給湯用伝熱管全体の性能向上が図れる。特に、突起の相対粗度(H1/D)が0.11~0.15の範囲内であることが好ましい。

【0065】
(4)実験4
実験4においては、図9に示す給湯用伝熱管41と図5に示す給湯用伝熱管31との比較を行った。ここで、図9に示す給湯用伝熱管41は、内径Dが8mmの管内面に、深さが0.2mmの溝42が設けられたものである。ここで、溝42は線で表わしている。一方、図5に示すように給湯用伝熱管31は、高さがH1の複数の突起313が、ピッチPが20mmになるように上下対称に設けたものである。図10(a)は、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、給湯用伝熱管41を採用した場合と、給湯用伝熱管31を採用した場合の伝熱性能を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、給湯用伝熱管31及び給湯用伝熱管41のヌセルト数Nuと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のヌセルト数Nuoとの比(Nu/Nuo)を表している。ここで、実線は給湯用伝熱管31を採用した際の実験データであり、点線は給湯用伝熱管41を採用した際の実験データである。図10(a)から分るように、レイノルズ数Reが7000未満の場合、突起313が設けられた給湯用伝熱管31による伝熱性能の向上が、溝42が設けられた給湯用伝熱管41による伝熱性能の向上より顕著である。一方、レイノルズ数Reが7000以上の場合、溝42が設けられた給湯用伝熱管41による伝熱性能の向上が、突起313が設けられた給湯用伝熱管31による伝熱性能の向上より顕著である。

【0066】
図10(b)は、管内の流れが層流域及び層流域から乱流域への遷移が発生する低レイノルズ数の区間の各レイノルズ数Reにおいて、給湯用伝熱管41を採用した場合と、給湯用伝熱管31を採用した場合の管内圧力損失を表したものである。ここで、横軸はレイノルズ数Reの値を表している。縦軸は、給湯用伝熱管31及び給湯用伝熱管41のファニングの摩擦係数fと突起を設けていない平滑給湯用伝熱管のファニングの摩擦係数foとの比(f/fo)を表している。ここで、実線は給湯用伝熱管31を採用した際の実験データであり、点線は給湯用伝熱管41を採用した際の実験データである。図10(b)から分るように、給湯用伝熱管31においては、レイノルズ数Reが約2000である場合、すなわち管内の流れが層流域である場合は、平滑管内の圧力損失と同等となっている。一方、レイノルズ数Reが大きくなり、管内の流れが層流域から乱流域へ遷移するにつれ、管内面に設けた突起313による管内圧力損失が大きくなる。一方、給湯用伝熱管41においては、管内の流れが層流域および/または層流域から乱流域へ遷移領域のすべての区間において、管内圧力損失が平滑管内の圧力損失より大きくなっている。また、管内の流れが層流域および/または層流域から乱流域へ遷移領域のすべての区間において、給湯用伝熱管41における管内圧力損失が給湯用伝熱管31における管内圧力損失より高くなっている。上記実験データから分るように、給湯用伝熱管31の給湯用伝熱管全体の性能が給湯用伝熱管41より高い。

【0067】
[変形例1]
実施例1では、内径Dが8mmの管内面に、高さH1が1mmの突起を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けている給湯用伝熱管31を使用した。変形例1の給湯用伝熱管51では、図11で示すように、高さH1が1.0mmの突起513の間には、高さH2が0.3mmの小突起515を設けている。低レイノルズ数域においては、小さい突起より大きい突起の方が熱伝達率の向上に貢献するが、高レイノルズ数域においては、大きい突起より小さい突起の方が熱伝達率の向上に貢献する。そこで、高さH1が1.0mmの突起513の間に、高さH2が0.3mmの小突起515を設けることにより、レイノルズ数が低い区間では突起513により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間では小突起515による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。

【0068】
[変形例2]
図12に示すように、変形例2で採用した給湯用伝熱管61は、管内面上螺旋C1に沿って突起613を設けている。図12(a)は、給湯用伝熱管61の平面図であり、図12(b)は給湯用伝熱管61の斜視図である。ここで、突起613の高さH1は1.0mm、円周方向のピッチP1は6mm、管軸方向のピッチP2は6mmである。

【0069】
図12(c)に示す給湯用伝熱管62は、高さH1が1.0mmの突起623の間に、高さH2が0.3mmの小突起625を設けたものである。ここで、円周方向のピッチP3は2mm、管軸方向のピッチP4は2mmである。

【0070】
[変形例3]
図13に示すように、変形例3で採用した給湯用伝熱管63は、突起633が設けられている区間63aと、突起が設けられていない区間63bを有する。ここで、突起が設けられていない区間63bは、水の流出口632近傍に位置する区間である。給湯用伝熱管63の流出口632近傍では、流体である水の温度が高く、管壁にスケールが付着するおそれがある。このような区間に突起部を設けた場合、スケールの付着が促進される場合がある。そこで、水温が高い水流出口632近傍に位置する区間63bには、突起を設けらないことにより、スケールの発生が抑えられる。

【0071】
[変形例4]
図14に示すように、変形例4で採用した給湯用伝熱管64は、深さが0.2mmの溝644が設けられた溝付き管に高さH1が1.0mmの突起643を、管軸方向のピッチPが20mmになるように上下対称に設けている。ここで、溝644は線で表わしている。ここでは、溝644が設けられている管に突起643を設けることで、溝644と突起643による給湯用伝熱管全体の相乗効果が計られる。

【0072】
[変形例5]
図15に示すように、変形例5で採用した給湯用伝熱管65は、区間65a、区間65bより構成されている。水流出口652の近傍に位置する区間65bには平滑管を採用し、その他の区間65aには、深さが0.2mmの溝654が設けられた溝付き管に高さが1.0mmの突起653を設けている。溝654は線で表わしている。溝654と突起653による給湯用伝熱管全体の相乗効果が計られるとともに、水温が高い水流出口652近傍に位置する区間65bにおけるスケールの発生が抑えられる。

【0073】
[変形例6]
図16に示すように、変形例6で採用した給湯用伝熱管66は、区間66a、区間66b,区間66cの3区間から構成されている。水流入口661から管内のレイノルズ数Reが4000までの区間66aには、深さが0.2mmの溝664が設けられた溝付き管に高さが1.0mmの突起663を設けたものを採用し、水流出口662の近傍に位置する区間66cには溝も突起も設けていない平滑管を採用し、区間66aと区間66cとの間には溝664の深さが0.2mmの溝付き管66bを採用している。ここで、溝664は線で表わしている。ここでは、レイノルズ数が低い区間では突起663と溝664により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間では溝664による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。また、水温が高い水流出口662近傍に位置する区間66cにおけるスケールの発生が抑えられる。

【0074】
[変形例7]
図17に示すように、変形例7で採用した給湯用伝熱管67は、区間67a、区間67b,区間67cの3区間から構成されている。水流入口671から管内のレイノルズ数Reが4000までの区間67aには、高さが1.0mmの突起673を設けたものを採用し、水流出口662の近傍に位置する区間67cには平滑管を採用し、区間67aと区間67cとの間には溝674の深さが0.2mmの溝付き管67bを採用している。ここで、溝674は線で表わしている。ここでは、レイノルズ数が低い区間では突起673により伝熱性能が向上され、レイノルズ数が高い区間では溝674による伝熱性能の向上の相乗効果が図られることにより、熱交換器全体の性能が向上する。また、水温が高い水流出口672近傍に位置する区間67cにおけるスケールの発生が抑えられる。

【0075】
[変形例8]
図18に示すように、変形例8で採用した給湯用伝熱管68は、直線部684には突起683を設けているが、曲げ部B1~B7には突起を設けていない。曲げ部B1~B7の内面に突起を設けることによる管内圧力損失の増大を回避し、また曲げ作業過程における大きな変形、破損などの発生を回避できる。

【0076】
[変形例9]
図19(a)は、変形例9で採用した給湯用伝熱管69の平面図を示したものであり、図19(b)は、給湯用伝熱管69の斜視図を示したものである。ここで、直線部694には突起693が設けられているが、曲げ部C-Cにおいて、曲げられている面S1と交差する区間695には突起を設けていない。

【0077】
[変形例10]
図20に示すように、変形例10で採用した給湯用伝熱管70は、給湯用伝熱管の外面71と冷媒管72との接触部位には突起を設けていない。冷媒管72が巻かれる部位に対応する管外面に凹みが設けられると、冷媒管72と給湯用伝熱管外面71との接触が悪くなり、冷媒管72からの伝熱効果が低下するおそれがある。そこで、冷媒管72が巻き付けられていない部位に突起713を設けることで、冷媒管72からの伝熱効果の低下を防ぐことができる。

【0078】
[変形例11]
図21(a)は、変形例11で採用した給湯用伝熱管80の平面図を示したものであり、図21(b)は、図21(a)のD-D矢視断面図である。図21(a)に示すように、高さH1が1.0mmの突起813は、管軸方向のピッチP1が20mm、円周方向のピッチP2が約6mmになるように上下左右対称に設けている。
【符号の説明】
【0079】
1 給湯サイクル
100 ヒートポンプ給湯器
2 冷媒サイクル
30 水熱交換器
31 給湯用伝熱管
311 水流入口
312 水流出口
313,413,513,613 突起
314 溝
315 小突起
32 冷媒管
【先行技術文献】
【0080】

【特許文献1】特公平6-70556
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20