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癌治療のための医薬品およびその使用

国内特許コード P150011757
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2013-036487
公開番号 特開2013-163674
出願日 平成25年2月26日(2013.2.26)
公開日 平成25年8月22日(2013.8.22)
優先権データ
  • 200610011247.9 (2006.1.20) CN
発明者
  • ▲羅▼ 永章
  • ▲韓 慶▼
  • 雷 清新
  • 常 国▲棟▼
  • 付 彦
出願人
  • 清華大学
  • 北京普▲羅▼吉生物科技▲発▼展有限公司
発明の名称 癌治療のための医薬品およびその使用
発明の概要 【課題】抗癌複合体、並びにその製造方法、および該複合体を含む医薬組成物または該複合体を含むキットの提供。
【解決手段】修飾剤とエンドスタチンとにより形成される複合体であって、該修飾剤が、該エンドスタチンの生体内半減期を延長可能である複合体。さらには該修飾剤が、前記エンドスタチンに共有結合されている前記複合体。修飾剤としては、巨大分子重合体、タンパク質もしくはその断片、ペプチド、小分子または他の化学物質からなる群から選択される前記複合体。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



血管新生とは、現存する血管からの新しい毛細血管の成長を意味する。癌細胞の成長および移行は、血管新生に依存し、そのため、癌の血管内皮細胞を癌治療の標的とみなすことは、癌治療のための新しい戦略を提供する(非特許文献1)。





エンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのC末端の20kDaの切断断片である。1997年に、ハーバード大学のFolkman教授らは、血管内皮細胞の増殖、移行、および生体内での血管形成への阻害活性を持つ血管内皮腫細胞の培地内に、このタンパク質を発見した。さらなる実験により、前記組み換えエンドスタチンは、マウスでの種々の癌の成長および転移を阻害でき、薬剤耐性を誘導しない癌でさえ、治療可能なことが明らかになった。エンドスタチンの前記活性の基礎となる機構は、血管内皮細胞の成長阻害による癌組織内の血管新生の抑制である。その結果、癌は、成長に必要な栄養および酸素を得られず、成長の阻害または壊死が起こる(非特許文献2、3)。遺伝子操作により調製されるヒト組み換えエンドスタチンは、抗癌複合体に発展し、臨床試験で癌の成長に有効な阻害効果を示す。中国では、それは、非小細胞肺癌の臨床試験において、極めて優れた抗癌効果を示す。





化学的薬剤と比較すると、ポリペプチドおよびタンパク質の薬剤は、低い毒性/副作用、および、薬剤耐性がほとんど無い等の利点を有する。より高い活性、生物学的な有効性、生体内での低分解性を達成するために、前記タンパク質薬剤は、通常、静脈内に投与される。しかし、この状況では、低分子量のタンパク質薬剤の半減期は非常に短いが、その理由は、分解だけではなく、腎臓を介した迅速な除去にもよる。血液中では、タンパク質の水力半径がアルブミンよりも大きい場合、あるいはタンパク質の分子量が66kDaよりも大きい場合、そのタンパク質は、循環システムにおいて、安定に保たれる。しかし、より低分子量のタンパク質は、糸球体を介して血液から迅速に除去されうる。このように、血液中で低分子量タンパク質の有効な治療濃度を維持するために、頻繁な注射または連続的な注入が必要となる。このような治療により治療効果を達成できたが、それによって、患者には不便さおよび痛みをもたらし、治療のコストも増大する。一方では、長期間の薬剤投与により、例えば、免疫反応等の副作用が起こる可能性がある。





【非特許文献1】

olkman J. N Engl J Med 1971; 285:1182-1186

【非特許文献2】

olkman J.ら、Cell 1997; 88:277-285

【非特許文献3】

olkman J.ら、Nature 1997; 390:404-407

産業上の利用分野



本発明は、エンドスタチンを含み、生理活性があり且つ代謝的に安定な複合体、およびその徐放性製剤、ならびに、それらの調製方法に関する。本発明は、また、前述の複合体または徐放性製剤を含む医薬組成物およびキットを提供する。本発明は、また、癌を予防、診断、治療するための、エンドスタチン複合体、徐放性製剤、医薬組成物、およびキットの使用、ならびに抗癌剤調製のためのエンドスタチン複合体の使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
修飾剤とエンドスタチンとにより形成される複合体であって、前記修飾剤が、前記エンドスタチンの生体内半減期を延長可能である複合体。

【請求項2】
前記修飾剤が、前記エンドスタチンに共有結合されている、請求項1記載の複合体。

【請求項3】
前記修飾剤が、巨大分子重合体、タンパク質もしくはその断片、ペプチド、小分子または他の化学物質からなる群から選択される、請求項2記載の複合体。

【請求項4】
前記巨大分子重合体が、ポリエチレンアルコール、ポリエーテル化合物、ポリビニルピロリドン、ポリアミノ酸、ジビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、硫酸デキストラン、セルロースおよびセルロース誘導体(メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含む)のようなデキストラングルカン誘導体、でんぷんおよびでんぷん誘導体、ポリエチレンスクロース、ポリオキシエチル化ポリオール、ヘパリンもしくはヘパリン断片、ポリ-アルキル-エチレングリコールおよびその誘導体、ポリ-アルキル-エチレングリコールとその誘導体との共重合体、ポリビニルエチルエーテル、a,P-ポリ[(2-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルタミド]、ポリカルボン酸、ポリオキシエチレン-オキシメチレン、ポリアクリロイルモルホリン、アミノ化合物と酸化オレフィンとの共重合体、ポリヒアルロン酸、ポリオキシラン、エタン二酸とマロン酸との共重合体、ポリ(1,3-ジオキソラン)、エチレンとマレイン酸ヒドラジドとの共重合体、ポリシアル酸、シクロデキストリンまたは他の薬学上許容できる重合体からなる群から選択される、請求項3記載の複合体。

【請求項5】
前記ポリエーテル化合物が、HO((CHO)H、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド(HO((CHO)H)、ポリビニルアルコール((CHCHOH))またはそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項4記載の複合体。

【請求項6】
前記ポリエチレンアルコールが、ポリエチレングリコール(モノメトキシポリエチレングリコールおよびモノヒドロキシポリエチレングリコールを含む)、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリブテノールまたはそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項4記載の複合体。

【請求項7】
前記ポリエチレンアルコールが、ポリエチレングリコールである、請求項6記載の複合体。

【請求項8】
前記ポリエチレングリコールが、モノメトキシポリエチレングリコールである、請求項7記載の複合体。

【請求項9】
エンドスタチン一分子が、一つ以上のポリエチレングリコール分子と結合している、請求項7または8記載の複合体。

【請求項10】
前記エンドスタチンが、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基、リジン残基側鎖のε-アミノ基、システイン残基のメルカプト基、アスパラギン酸残基側鎖のカルボキシル基、グルタミン酸残基側鎖のカルボキシル基、またはそれらの組合せからなる群から選択される前記エンドスタチンにおける部位で、ポリエチレングリコールと結合している、請求項7から9のいずれか一項記載の複合体。

【請求項11】
エンドスタチン一分子が、前記エンドスタチン分子N末端のα-アミノ基でポリエチレングリコール一分子と結合している、請求項7から10のいずれか一項記載の複合体。

【請求項12】
前記エンドスタチン分子が、一つ以上のポリエチレングリコール分子と、前記エンドスタチン分子N末端のα-アミノ基、または、野生型エンドスタチンの75番目、95番目、106番目、117番目もしくは183番目のリジン残基に対応するリジン残基側鎖のε-アミノ基、またはそれらの組合せで結合している、請求項7から10のいずれか一項
記載の複合体。

【請求項13】
前記エンドスタチン分子が、一つ以上のポリエチレングリコール分子と、前記エンドスタチン分子の付加されたシステイン残基側鎖のメルカプト基で結合し、前記付加されたシステイン残基が、前記エンドスタチン分子のN末端、C末端または内部領域に、システインまたはシステインを含むペプチド鎖の付加により導入されている、請求項7から10のいずれか一項記載の複合体。

【請求項14】
前記エンドスタチン分子が、一つ以上のポリエチレングリコール分子と、前記エンドスタチン分子のアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基側鎖のカルボキシル基で結合している、請求項7から10のいずれか一項記載の複合体。

【請求項15】
前記ポリエチレングリコール分子が、線状または分岐状である、請求項7から14のいずれか一項記載の複合体。

【請求項16】
前記ポリエチレングリコール分子が、1,000から100,000Da、好ましくは5,000から40,000Daの範囲の平均分子量を有する、請求項7から14のいずれか一項記載の複合体。

【請求項17】
前記タンパク質が、アルブミン、免疫グロブリン、甲状腺ホルモン結合性タンパク質、
トランスサイレチン、トランスフェリン、フィブリノゲンまたはそれらの断片からなる群から選択される、請求項3記載の複合体。

【請求項18】
エンドスタチン一分子が、一つ以上のアルブミン分子、好ましくはヒト血清アルブミンまたはその断片と結合している、請求項17記載の複合体。

【請求項19】
前記エンドスタチン分子が、一つ以上の免疫グロブリンFc断片、好ましくはヒト免疫グロブリンIgGのFc断片と結合している、請求項17記載の複合体。

【請求項20】
前記エンドスタチン分子が、小分子または小ペプチドまたは他の化合物と結合しており、前記複合体が、生体内の他の分子または成分と、反応または結合可能であり、それにより、前記複合体が、生体内の他の分子または成分と、より大きな複合体を形成可能である、請求項3記載の複合体。

【請求項21】
前記複合体が、血液成分のアミノ基、水酸基またはメルカプト基と共有結合を形成可能な反応基を含む、請求項20記載の複合体。

【請求項22】
前記反応基が、アルブミンのような血液成分のメルカプト基と反応可能なマレイミドである、請求項21記載の複合体。

【請求項23】
前記複合体が、アルブミンまたは免疫グロブリンのようないくつかの血液成分に強い親和性を有し、それにより、より大きな複合体を形成可能である、請求項20記載の複合体。

【請求項24】
前記複合体が、グリコシル化、リン酸化もしくはアシル化されたエンドスタチン分子のような、小分子または小ペプチドで修飾されたエンドスタチン分子であって、前記修飾部位が、野生型タンパク質に存在するアミノ酸残基、または、変異により生じたアミノ酸残基である、請求項3記載の複合体。

【請求項25】
前記修飾剤が、非共有相互作用を介して前記エンドスタチン分子と結合し、前記修飾剤が、タンパク質、小分子または他の化学物質である、請求項1記載の複合体。

【請求項26】
生体適合物質と、エンドスタチンまたは請求項1から25のいずれか一項記載の複合体とにより形成される徐放性製剤。

【請求項27】
前記徐放性製剤が、マイクロカプセル、ヒドロゲル、マイクロスフェア、微小浸透圧ポンプまたはリポソームからなる群から選択される形態である、請求項26記載の徐放性製剤。

【請求項28】
前記エンドスタチンが、ヒト、ネズミ科または他の哺乳類由来である、請求項1から25のいずれか一項記載の複合体、または、請求項26もしくは27記載の徐放性製剤。

【請求項29】
前記エンドスタチンが、配列番号1に示す配列を有する野生型ヒトエンドスタチンである、請求項1から25のいずれか一項記載の複合体、または、請求項26もしくは27記載の徐放性製剤。

【請求項30】
前記野生型ヒトエンドスタチンが、E. coliでの発現時に配列番号2または配列番号1に示す配列を有する、請求項1から25のいずれか一項記載の複合体、または、請求項26もしくは27記載の徐放性製剤。

【請求項31】
前記エンドスタチンが、エンドスタチンの活性断片、変異体、誘導体、異性体またはそれらの組合せである、請求項1から25のいずれか一項記載の複合体、または、請求項26もしくは27記載の徐放性製剤。

【請求項32】
前記エンドスタチン断片が、配列番号3、配列番号4または配列番号5に示す配列を有するペプチドである、請求項31の複合体または徐放性製剤。

【請求項33】
前記エンドスタチン誘導体が、野生型エンドスタチンのN末端またはC末端への長さ1から15アミノ酸のペプチド付加により形成される、請求項31記載の複合体または徐放性製剤。

【請求項34】
前記エンドスタチン誘導体が、野生型ヒトエンドスタチンN末端に9つのアミノ酸であるHisタグMGGSHHHHHの付加により形成される、請求項33記載の複合体または徐放性製剤。

【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項記載の複合体または徐放性製剤と薬学上許容できるキャリアーとを含む医薬組成物。

【請求項36】
前記薬学上許容できるキャリアーが、リン酸、クエン酸または他の有機酸の緩衝液のような水溶性のpH緩衝液;アスコルビン酸または他の抗酸化剤;低分子量のポリペプチド(10残基以下);血清アルブミン、グルチン、免疫グロブリンまたは他のタンパク質;ポリビニルピロリドンまたは他の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、リジンまたは他のアミノ酸;単糖、二糖、グルコース、マンノース、デキストリンまたは他の炭水化物;EDTAまたは他のキレート剤;マンニトール、ソルビトールまたは他の糖アルコール;ナトリウムイオンまたは他の塩を形成する対イオン;Tween(登録商標)、PEG、PLURONICS(登録商標)または他の非イオン性界面活性剤である、請求項35記載の医薬組成物。

【請求項37】
請求項1から36のいずれか一項記載の複合体、徐放性製剤または医薬組成物、およびその使用説明書を含むキット。

【請求項38】
請求項7から16のいずれか一項記載のポリエチレングリコールで修飾されたエンドスタチンとその使用説明書とを含むキット。

【請求項39】
活性化ポリエチレングリコールとエンドスタチンとを混合して、溶液、温度、pHおよび反応モル比を含む適切な条件下で反応させる工程を含む、請求項7から16のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体の調製方法。

【請求項40】
前記pHが、pH3~10である、請求項39記載の方法。

【請求項41】
陽イオン交換カラムを使用して前記複合体を精製する工程を含む、請求項7から16のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体の調製方法。

【請求項42】
ゲルろ過を使用して前記複合体を精製する工程を含む、請求項7から16のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体の調製方法。

【請求項43】
癌の予防、診断および治療における、請求項1から38のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体、医薬組成物、徐放性製剤またはキットの使用。

【請求項44】
前記癌が、肺癌、神経内分泌腫瘍、大腸癌、骨肉腫、肝癌、胃癌、膵臓癌、口腔癌、乳癌、前立腺癌、リンパ腫、食道癌、口腔癌、鼻咽腔癌、子宮頸癌、肉腫、腎臓癌、胆道癌、悪性黒色腫または他の癌から選択される、請求項43記載の使用。

【請求項45】
異常な血管新生により生じる組織または器官の障害によって特徴づけられる疾患の予防、診断および治療における、請求項1から38のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体、徐放性製剤、医薬組成物またはキットの使用。

【請求項46】
前記投与経路が、静脈内注射、静脈管内投与、皮下注射、筋内注射、腹腔内注射、皮下への埋め込み、経皮吸収、肝動脈注射、経口投与、経鼻投与、口腔粘膜投与、眼内投与、直腸投与、膣内投与および他の臨床上許容できる経路からなる群から選択される、請求項43から45のいずれか一項記載の使用。

【請求項47】
癌の治療のための医薬品の調製における、請求項1から36のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体、徐放性製剤または医薬組成物の使用。

【請求項48】
異常な血管新生により生じる組織または器官の障害によって特徴づけられる疾患の治療のための医薬品の調製における、請求項1から36のいずれか一項記載のエンドスタチンを含む複合体、徐放性製剤または医薬組成物の使用。

【請求項49】
エンドスタチンと、エンドスタチンの生体内半減期を延長可能な修飾剤との間で複合体を形成させる工程を含む、エンドスタチンの半減期の延長方法。

【請求項50】
エンドスタチンまたはエンドスタチンを含む複合体、および生体適合物質を使用して徐放性製剤を形成する工程を含む、エンドスタチンの半減期の延長方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
分野
  • 生活必需品
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