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難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法

国内特許コード P150011764
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2013-526308
公表番号 特表2013-536805
出願日 平成23年8月31日(2011.8.31)
公表日 平成25年9月26日(2013.9.26)
国際出願番号 CN2011079194
国際公開番号 WO2012028101
国際出願日 平成23年8月31日(2011.8.31)
国際公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
優先権データ
  • 201010268940.0 (2010.9.1) CN
発明者
  • チャン,キアン
  • ダイ,ウェンビン
  • ワン,ジァンチェン
  • チャン,シュアン
出願人
  • 北京大学
発明の名称 難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法
発明の概要 難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法である。該組成物は難溶性薬物を0.01~10重量%、注射用油を0~20重量%、リン脂質を10~80重量%、溶媒を20~89重量%含む。組成物の調製方法は、まず難溶性薬物を溶媒、注射用油又はそれらの混合物に溶解させ、さらに他の成分を加え、均一に混合するか、難溶性薬物を他の成分の混合物に溶解させ、均一に混合するか、又はまず難溶性薬物を一部の溶媒に溶解させ、さらに他の成分と残量の溶媒との混合溶媒に加え、均一に混合することを含む。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



統計によれば、新薬の開発中、約40%の薬物は水溶解度が原因でその開発が制限されてしまい、ある薬物は汎用の有機溶媒に対しても難溶性である。水に難溶性の薬物を可溶化させることが薬剤学に対する研究における重要な課題の1つとなる。汎用の可溶化方法としてpH値の調節;共溶媒、助溶媒、シクロデキストリン包接体、リン脂質複合体、界面活性剤による可溶化;ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、固体脂質ナノ粒子、マイクロエマルション、脂肪乳剤等の調製;又は薬物構造の面で適当な基により水溶性基を導入して水溶性の大きい誘導体を得る化学的方法がある。





一部の薬物分子が解離可能な弱酸又は弱アルカリで、溶液のpH値を調節することによって、難溶性薬物を解離させる方法が溶解度を増加するための簡単でかつ効果的な方法である。注射により薬剤を投入する時に、緩衝対の容量の問題に対する注意が要求されており、血液が優れた緩衝能力を有するために、難溶性薬物は血液による希釈で過飽和になりやすい。





ある非極性薬物については、極性の比較的小さい有機溶媒(共溶媒)と水の混合物で薬物を溶解させるのが普通である。FDAにより許容される注射剤において、10%は共溶媒が使用され、この処方は薬物の溶解度を顕著に増加できるだけでなく、溶液における薬物の加水分解反応を減少させ、製剤の安定性を増加させることもできる。難溶性薬物の一部では、比較的高割合の有機溶媒を使用することによってしか溶解度への要求に達することができず、例えば、フェノバルビタール注射液が10%エタノールと67.8%プロピレングリコールで溶解させることが必要である。高割合の有機溶媒は注射部位の局所刺激性と静脈炎を起こしやすく、例えば処方にエタノールを10%より多く含有すると、注射による疼痛が著しく感じる。





シクロデキストリンの包接は多種の薬物に用いられ、その特有のかご型構造がホストゲスト分子複合体を形成可能で、非極性薬物分子が非極性かご型構造の内部に位置し、シクロデキストリンの外部におけるポリヒドロキシと極性水分子との親和力が強いために、溶解度を向上させる效果を有する。しかしながら、一部の難溶性薬物では、薬物担持量が低い。シクロデキストリンにおける薬物の可溶化効果が薬物分子とシクロデキストリンの結合定数に依存し、例えばベンゾジアゼピン系薬物の結合定数が低く、比較したところ、従来の共溶媒の処方が用いられる。言い換えれば、全部の薬物がシクロデキストリンで包接できるとは限らない。また、シクロデキストリンの種類に制限がある上に、顕著な毒性を有し、現在注射剤への応用がまた普及されていない。





近年、リポソーム、ミクロスフェア、固体脂質ナノ粒子、マイクロエマルション及び親水性誘導体を難溶性薬物の水溶性の向上へ応用することが多くなり、国内外でそれに対する研究と特許が大量にある。それらの研究はある程度の進捗を得たが、また効果が不安定で、処方プロセスが複雑で、薬物担持量が低く、界面活性剤の毒性が大きくかつ開発コストが高い等の問題が存在している。





界面活性剤はミセルを形成することにより水における非極性薬物の溶解度を増加させる。多くの難溶性抗腫瘍薬物は臨床注射用とする時に、界面活性剤を用いて可溶化させることを必要とする。現在国内外で許容される注射用とすることができる界面活性剤にはポリソルベート(主にポリソルベート80、即ちTween 80)、ポロキサマー(主にpoloxamer 188)、ポリオキシエチレンヒマシ油類(主にCremophor EL)及びリン脂質がある。その中でも、poloxamer 188とリン脂質は乳化能がより強いために、可溶化能が弱く、主に静脈注射用脂肪乳剤に用いられる。Cremophor ELとTween 80は可溶化能と乳化能がともに強く、非水媒体において難溶薬物を可溶化させ、使用直前に注射用水(又は注射用生理食塩水溶液、注射用グルコース溶液)等で配制して、水溶液又は乳剤を形成することができる。この使用準備済の注射剤において、Cremophor EL又はTween 80の可溶化能と乳化能は両方ともに重要な役割を果たす。





例えば、上場したパクリタキセル、テニポシド注射剤に大量のCremophor ELが含有されて、使用直前に注射用水等の水性媒体で水溶液を調製でき、ドセタキセル注射剤に大量のTween 80が含有されて、使用直前に注射用水等の水性媒体で水溶液を調製でき、それに関する特許文献がまた多くあり、いずれもCremophor EL又はTween 80が用いられる。特許(特許文献1)において、リン脂質、その他の界面活性剤(Tween 80、poloxamer 188およびCremophor EL)および非水溶媒を使用してパクリタキセル難溶性薬物の注射剤を調製し、中国発明特許(特許文献2)は注射用のテニポシド注射剤に関し、処方に界面活性剤としてツウィーン80が含まれる。一般的に、Cremophor EL又はTween 80を使用せずに難溶性薬物の注射剤を調製するのが困難である。





しかし、処方にCremophor EL又はTween 80を使用した注射液は、投入した後、一部の患者が薬疹、頻呼吸、気管支けいれん、低血圧、溶血等の不良反応を発生することで、臨床上の応用が非常に不便になり、患者に大きな苦しみをもたらし、投薬のコンプライアンスが悪い。近年、国内外の多くの薬剤師がCremophor EL又はTween 80を減少また代替するために新しい抗腫瘍薬物の投入システムを研究している。それら2種の界面活性剤は重度の副作用を引き起こすために、一般的に限られた注射剤に用いられるだけで、注射剤にそれら2種の界面活性剤を使用しないと薬物のコンプライアンスの向上に有利であることが勿論のことである。

産業上の利用分野



本発明は薬物製剤の分野に属し、難溶性薬物の溶解度を増加させる技術に関し、具体的に難溶性薬物の液体組成物及びその調製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
成分として、難溶性薬物を0.01~10重量%、注射用油を0重量%~20重量%、リン脂質を10~80重量%、溶媒を20~89重量%含む難溶性薬物の液体組成物。

【請求項2】
成分として、難溶性薬物を0.1~2.5重量%、注射用油を0.5重量%~10重量%、リン脂質を20~45重量%、溶媒を42.5~79重量%含む請求項1に記載の液体組成物。

【請求項3】
前記難溶性薬物が、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、オキサリプラチン、ゲフチナット、ドキソルビシン、イリノテカン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、テモゾロミド、イマチニブ、ビノレルビン、レトロゾール、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-ヒドロキシカンプトテシン、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンSN-38、トポテカン、イリノテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビンポセチン、ノルカンタリジン、シリビン、プロポフォール、フロルフェニコール、ミチグリニド、アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、シロリムス、イブプロフェン、ニトレンジピン、ニカルジピン、ニモジピン、グリクラジド、プロパルシド、ニフェジピン、フェロジピン、グリベンクラミド、アシクロビル、オレアノール酸、ブレビスカピン、フェルラ酸、パラセタモール、パルミトイルリゾキシン、ペンクロメジン、ビタミンA、タモキシフェン、ナベルビン、バルプロ酸、タクロリムス、シクロスポリンA、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、ドンペリドン、スルピリド、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アジスロマイシン、イトラコナゾール、ミコナゾール、ブリモニジン、ラタノプロスト、シリビン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、リファキシミン、シサプリド、シクロスポリン、ジクロフェナック酸、フェロジピン、イブプロフェン、インドメタシン、ニカルジピン、ニフェジピン、テルフェナジン、テオフィリン、ケトプロフェン、フロセミド、スピロノラクトン、ジピリダモール、ピロキシカム、メフェナム酸、トリクロロチアジド、ピンドロール又はそれらの混合物から選ばれ、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、ポドフィロトキシン、アルテミシニン、カンプトテシン、ビンブラスチン又はそれらの混合物が好ましく、パクリタキセル、ドセタキセル、カペシタビン、ビノレルビン、テモゾロミド、ドキソルビシン、ゲフチナット、テニポシド、エトポシド、アルテミシニン、カンプトテシン又はパクリタキセルとテニポシドとの混合物がより好ましい請求項1又は2に記載の液体組成物。

【請求項4】
前記リン脂質が、天然リン脂質、半合成リン脂質、合成リン脂質又はそれらの混合物から選ばれる請求項1又は2に記載の液体組成物。

【請求項5】
前記天然リン脂質がレシチンであり、前記レシチンとして好ましくは卵黄レシチン、大豆レシチン又はそれらをいかなる割合で組み合せた混合物から選ばれる請求項4に記載の液体組成物。

【請求項6】
前記半合成リン脂質と合成リン脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルグリセロホスホコリン (DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、前記リン脂質のペグ化誘導体又はそれらの混合物から選ばれ、水素添加大豆ホスファチジルコリンとポリエチレングリコール-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンが好ましい請求項4に記載の液体組成物。

【請求項7】
前記注射用油が、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ヒマシ油、オリーブオイル、ピーナッツ油、綿実油、ごま油、サフラワー油、モノステアリン酸グリセリル又はモノオレイン酸グリセリルから選ばれる1種又は2種以上の混合物であり、大豆油、コーン油、中鎖トリグリセリド又はそれらの混合物が好ましい請求項1又は2に記載の液体組成物。

【請求項8】
前記溶媒が、無水エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N,N-ジメチルアセトアミド、安息香酸ベンジル、オレイン酸エチル、ベンジルアルコールから選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2に記載の液体組成物。

【請求項9】
前記溶媒が、無水エタノール、又は無水エタノールとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物、又は無水エタノールとポリエチレングリコールの混合物、又はグリセリンとN,N-ジメチルアセトアミドの混合物である請求項8に記載の液体組成物。

【請求項10】
前記ポリエチレングリコールに重量平均分子量が異なったポリエチレングリコール又はそれらの混合物が含まれ、前記重量平均分子量が200~2000の範囲、好ましく200~400の範囲である請求項8又は9に記載の液体組成物。

【請求項11】
さらに薬学的に許容可能な医薬品用添加剤を含む請求項1又は2に記載の液体組成物。

【請求項12】
前記医薬品用添加剤が、補助乳化剤、安定剤、pH調節剤および酸化防止剤を含む請求項11に記載の液体組成物。

【請求項13】
前記液体組成物が、注射用濃溶液の形を呈し、使用直前に注射用溶液で調製して注射用に用いられるか、又はカプセル剤、軟カプセル剤又は経口液体製剤とする請求項1~12のいずれか1項に記載の液体組成物。

【請求項14】
前記注射用濃溶液が、臨床使用時に5%グルコース溶液、生理食塩水、注射用水又はそれらの混合物で分散され、静脈用として均一な水和液を形成する請求項13に記載の液体組成物。

【請求項15】
前記水和液の平均粒径が10~5000nmの範囲である請求項14に記載の液体組成物。

【請求項16】
難溶性薬物を溶媒、注射用油又はそれらの混合物に溶解させ、さらにリン脂質及び液体組成物におけるその他の成分を加えて均一に混合した後、前記液体組成物が得られること、又は難溶性薬物を溶媒、注射用油、リン脂質及びその他の成分の混合物中に溶解させ、均一に混合した後、前記液体組成物が得られること、又はまず難溶性薬物を一部の溶媒中に溶解させ、さらにリン脂質、注射用油、残量の溶媒及びその他の成分の混合物中に加え、均一に混合した後、前記液体組成物が得られることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の液体組成物の調製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
分野
  • 生活必需品
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