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希土類ユーロピウム錯体および発光材料としてのその使用

国内特許コード P150011777
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2014-511712
公表番号 特表2014-516040
登録番号 特許第5957518号
出願日 平成24年2月19日(2012.2.19)
公表日 平成26年7月7日(2014.7.7)
登録日 平成28年6月24日(2016.6.24)
国際出願番号 CN2012071298
国際公開番号 WO2012163108
国際出願日 平成24年2月19日(2012.2.19)
国際公開日 平成24年12月6日(2012.12.6)
優先権データ
  • 201110139842.1 (2011.5.27) CN
発明者
  • 卞 祖強
  • 衛 慧波
  • 丁 飛
  • 黄 春輝
出願人
  • 北京大学
発明の名称 希土類ユーロピウム錯体および発光材料としてのその使用
発明の概要 本発明は、希土類ユーロピウム錯体および発光材料としての応用に関する。前記ユーロピウム錯体の構造式はEu(ND)であり、ここで、NDは4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、Aは他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。このようなユーロピウム錯体は、効率の高いフォトルミネッセンス量子収率、優れる熱安性および良好なキャリア輸送効率を有しており、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス材料として使用することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



周知のように、21世紀において、エネルギーは人類、社会の発展と進歩により解決しなければならない難題である。人々が新しいエネルギーを開発するとともに、「省エネ」を行うことも重要となっている。生活におけるエネルギーの消費の方面で、照明のみでエネルギー総量の20%程度を占めている。しかしながら、現在の照明光源におけるエネルギーの利用効率はいまだに満足な効果を達成できていない。LED(Light-emitting Diode)光源は、高効率のエネルギー変換率により注目されている。特にOLED(Organic Light-emitting Diode、有機発光ダイオード)は、大面積、フレキシブル、超薄型であるなどの潜在的な長所を有しており、かつ理論的な発光効率が高く、研究の中心となりつつある。





また、フルカラーディスプレイの方面で、OLEDは同様に魅力的な応用可能性を有している。現在、人々が用いているカラーディスプレイの多くは陰極線管または液晶ディスプレイである。陰極線管は、体積が大きく、応答速度が遅く、効率が低いため次第に淘汰されている。一方、現在市場で最も多く用いられている液晶ディスプレイは、体積が小さく、性能もある程度向上しているが、パッシブ式光源で、視野角が小さく、応答速度が遅い等の短所がある。有機エレクトロルミネッセンスに存在する大きな魅力としては、第一に、フルカラー自発発光で、色が鮮明であり(液晶パネルは背景光源を必要とする)、第二に、超薄型ディスプレイで、フレキシブルに屈曲可能であり、第三に、応答速度が速く(液晶の100倍)、視野角範囲が180°までと広く、(液晶パネルはわずか45°である)、第四に、低駆動電圧でわずか3~10ボルトの直流電圧を必要とし、発光効率が高く、第五に、作製が簡単で、低コストであるといった特徴がある。





そのため、有機分子発光材料は、照明またはディスプレイのいずれの方面でも重要な応用可能性を有している。そのうちの希土類発光材料は、その特有の性質のため、これらの2つの面において非常に利点がある。希土類錯体発光材料の優位性は主に下記の点で具現される。





第一に、狭帯域放出で、単色性が良い。これは高色純度のディスプレイ素子に極めて有利である。希土類元素は独特の電子配置およびエネルギー準位構造を有しており、特にその4f電子軌道上のエネルギー準位が豊富であり、希土類元素の発光は全て4f軌道のエネルギー準位間で行われる。そのエネルギー準位が高く、同時に内殻電子でもあり、外殻電子がそれに対してシールドするため、その発光の外部要素から受ける干渉が小さくなり、鋭い狭帯域放出を有するようになる。カラーディスプレイに用いられる有機低分子エレクトロルミネッセンスにとって、赤緑青(RGB)の三原色はフィルタまたは他の方法によって得る必要があるため、一定の光エネルギーが無駄になってしまう。希土類化合物は色座標が10nm未満の狭帯域放出を有するため、それを有機エレクトロルミネッセンス材料に応用することも重要な意義がある。





第二に、量子効率が理論的に高い。純粋な有機蛍光発光材料はスピン統計の制限を受け、その最大内部量子効率には理論的な限界(25%以下)がある。それに比べ、希土類錯体の発光過程は有機配位子の励起一重項が系間を通じて励起三重項に項間交差し、さらにエネルギーを希土類イオンに伝達することで、4f電子が励起を受けるようにし、その後、基底状態に戻り発光する。一重項および三重項はいずれもエネルギー伝達が可能であるため、理論的には、内部量子効率が100%に達することが可能となる。





第三に、配位子の修飾が発光の波長に影響を及ぼさない。良好なエネルギー準位マッチングおよびキャリア伝導性に達成するためには、一般に配位子に対して様々な修飾が行われるが、発光性を有する希土類錯体の中心イオンは希土類イオンであるため、配位子の修飾はスペクトルのピーク変位の変化を生じさせない。よって、材料の設計および変性の面で、希土類錯体発光材料はさらに独特の長所を有する。





これから分かるように、希土類錯体は優れた発光性能を有しており、フォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス分野においていずれも幅広い応用可能性がある。フォトルミネッセンス分野において、通常、赤色光ユーロピウムおよび緑色光テルビウムの下方変換フォトルミネッセンス材料は蛍光粉として用いることができる。現在、照明蛍光灯において最も一般的に使用される三原色蛍光粉は、希土類緑色粉(Ce,Tb)MgAl1119、青色粉(Ba,Mg,Eu)Al1627、および赤色粉Y:Eu3+である。これらは全て希土類を含有する無機固体発光材料である、希土類有機錯体に対して言えば、その発光効率はより高いものの、化学的安定性および蛍光熱安定性は無機材料に及ばない。そのため、熱および赤外線の放射に対して安定的な有機錯体蛍光材料を開発することで、希土類の用量を減少し、コストを削減することができる。三価のユーロピウム錯体は、紫外線光を効率よく吸収し、鮮明な赤色光を放出することができ、有機赤色光下方変換材料として用いることができる。中山大学のキョウ孟濂らはカルバゾール含有βジケトン配位子を含む一連の希土類Eu錯体を合成して、このような錯体を下方変換発光蛍光粉として近紫外光を発光するInGaN基板上に塗布し、赤色光を発光するLED素子を作製した(M.L.Gong et al,Appl.Phys.B,2010,99,757)。ただし、Eu錯体を用いてフォトルミネッセンスするこのようなLED素子には、温度消光と電圧の変化に応じて混色が発生する可能性とが存在するという不安定な問題がある。





エレクトロルミネッセンス分野において、既に多くの人々により希土類Eu錯体のOLED方面への応用に関する研究が行かれている。現在使用されているユーロピウム錯体はほぼ全てがβ-ジケトン系化合物である。1991年に、日本のKidoらが初めて希土類ユーロピウム錯体Eu(TTA)・2HOを発光材料として用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、狭帯域の赤色発光を実現した。最近、本研究チームにより、オキサジアゾール含有フェナントロリン誘導体を中性第2配位子として用いてEu(TTA)PhOを合成し、かつOLED素子が作製され、最大輝度が1086カンデラ毎平方メートルの純粋なユーロピウム赤色光放出が得られ、最大電力効率が5.5ルーメン毎ワットに達することができ、これはOLED素子に用いられるEu(TTA)系発光材料の研究において比較的高いレベルである(Zhuqi Chen et al,New J.Chem.,2010,34,487)。





現在、研究に利用されている希土類ユーロピウム錯体は、ほぼ全てがβ-ジケトン系化合物をアンテナ配位子として用いており、β-ジケトン系化合物にはフォトルミネッセンス量子収率が比較的高い化合物が少なくないが、LED材料の下方変換またはエレクトロルミネッセンスOLEDにおける応用は順調でない。主な源因は、このタイプの配位子には、第一に、β-ジケトン構造錯体の発光は温度消光が発生しやすく、第二に、β-ジケトン構造錯体はエレクトロルミネッセンスの際のキャリア輸送性能が比較的低いといった重要な短所があるためである。これらの欠点はβ-ジケトン系ユーロピウム錯体のエレクトロルミネッセンスの効率および素子の作動における温度上昇の安定性に大きな影響を及ぼす。

産業上の利用分野



本発明は、希土類錯体発光材料の分野に関し、特に、高効率のフォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス性能を有する新規な希土類錯体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体の構造は、式IIで表されることを特徴とするユーロピウム錯体。


(式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基である。)
(式IIにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは窒素または酸素の配位点を含んでおらず、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。)

【請求項2】
前記ユーロピウム錯体は、以下の構造の1つを有することを特徴とする請求項1に記載のユーロピウム錯体。


(ここで、A、L、x、y、およびmは請求項1に記載のとおりである。)

【請求項3】
前記Aはβ-ジケトン系配位子であり、前記ユーロピウム錯体は以下の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のユーロピウム錯体。


(上式において、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは窒素または酸素の配位点を含んでおらず、R、Rは、それぞれ独立して、アリール基、ヘテロアリール基または含フッ素アルキル基であり、Lは中性配位子であり、x=1または2、y=1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3である。)

【請求項4】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体の構造は、式Vで表されることを特徴とするユーロピウム錯体。


(式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRが窒素または酸素の配位点を含む基であって、前記4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系配位子はアニオン性三座配位子であり、形成される錯体Eu(ND)において、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)
(式Vにおいて、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、かつRは、窒素または酸素の配位点を含む基であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)

【請求項5】
前記Rは、含窒素5員複素環アリール基、含窒素6員複素環アリール基、またはカルボニル基を含む基であることを特徴とする請求項4に記載のユーロピウム錯体。

【請求項6】
前記ユーロピウム錯体の構造は、式IIIまたは式IVで表されることを特徴とする請求項5に記載のユーロピウム錯体。


(式IIIおよび式IVにおいて、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基であり、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基またはアルコキシ基であり、R10は、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アミノ基、N-置換アミン基またはアルコキシ基であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1または2である。)

【請求項7】
ユーロピウム錯体において、構造式がEu(ND)であり、ここで、NDは式Iで表される4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン系アニオン配位子であり、AはND以外の他のアニオン配位子であり、Lは中性配位子であり、x=1、2または3、y=0、1または2、かつx+y=3であり、m=0、1、2または3であり、
前記ユーロピウム錯体は、以下の錯体の1つであることを特徴とするユーロピウム錯体。




(式Iにおいて、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、N-置換アミン基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アシルアミノ基、N-置換アミド基、アリール基またはヘテロアリール基である。)

【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のユーロピウム錯体発光材料としての使用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
分野
  • 化学;冶金
  • 電気
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