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マゼンタ染料ならびにそれらの調製方法および利用

国内特許コード P150011621
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2014-546282
公表番号 特表2015-504100
登録番号 特許第5913628号
出願日 平成24年4月10日(2012.4.10)
公表日 平成27年2月5日(2015.2.5)
登録日 平成28年4月8日(2016.4.8)
国際出願番号 CN2012073710
国際公開番号 WO2013139056
国際出願日 平成24年4月10日(2012.4.10)
国際公開日 平成25年9月26日(2013.9.26)
優先権データ
  • 201210074586.7 (2012.3.20) CN
発明者
  • ペン、シャオジュン
  • リー、シーユー
  • ウー、ジンヘ
  • メン、ファンミン
  • ツァン、ロン
  • ファン、ジェンリ
  • ワン、フェン
  • リー、シャオレイ
出願人
  • 大連理工大学
  • ジュハイ ナインスター マネージメント カンパニー リミテッド
発明の名称 マゼンタ染料ならびにそれらの調製方法および利用
発明の概要 本発明は、マゼンタ染料の一類、それらの調製方法および利用に関する。マゼンタ染料としては、一般式(I)の形で現れる、アントラピリドン骨格上にカルボキシル基と、スルホン酸基と、カルボニルプロピルスルフリルスルホン酸とを同時に含有する化合物を含む染料、またはそれらの混合物が挙げられる。一般式(I)において:Aは、カチオンM、または置換もしくは非置換ベンジル基、または置換もしくは非置換ナフチルメチルであってよく;M、M、Mは、それぞれカチオンまたはカチオン性基であり;スルホン酸基(SOは、ベンゼン環のいずれの位置にあってもよく、このmは、0~2の整数である。本発明のマゼンタ染料は、カルボキシル(またはカルボン酸ベンジルエステルもしくはナフトアート)と、スルホン酸基と、カルボニルプロピルスルフリルとを同時に含有するため、抜群の諧調性、光輝性、耐光性、耐水性、耐オゾン性、ならびに溶解性および溶液安定性等を特徴とする。
【化1】



【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要



カラー記録方法の中で、インクジェット印刷は、典型的なものの1つである。ノズルが記録材料と接触しないので、インクジェットプリンタは、静かであることを特徴とし、加えて小型化、高速およびカラー化の実現の容易さも特徴とする。そのため、インクジェット印刷は、近年、急速に発達してきている。





旧来のペンインクとは異なり、インクジェットインクは、高密度画像を形成すること、ノズルを詰まらせないこと、良好に乾燥すること、殆どにじまないこと、安定して保管されること等々が可能であることを要する。加えて、インクジェットインクによって形成される画像は、耐水性、防湿性、耐光性、耐オゾン性を有することを要し、これらの堅牢性についてはより高い要求が提起される。耐水性:通常、基材表面は、多孔質酸化ケイ素、カチオン性ポリマー、アルミナゾルまたは特殊セラミックスを吸着し得るので、かかる有機または無機粒子およびPVA樹脂とともに染料を紙表面に塗布すると、耐水性を有意に向上させることができる。耐光性:4原色、すなわち黄色、マゼンタ、シアンおよび黒色の中で、マゼンタは、最も弱い耐光性を有し、画質に深刻な影響を及ぼすことがある;したがって、マゼンタ染料の耐光性を向上させることが重要な課題になっている。防湿性:印刷画像が高湿環境で保管されることになった場合、染料は、記録材料の一部として、良好な耐にじみ堅牢性(anti-bleeding fastness)のものであることが求められる。特に、写真のカラーマッチングに高度な要求が課せられる場合、染料のにじみが起こると、画質は有意に低下することになる。しかし、耐水性と比較して、耐光性、防湿性、耐オゾン性および溶解性の向上のほうが実現し難い。





加えて、近年のデジタルカメラの幅広い人気に伴い、写真を自宅で印刷する機会が増えてきている。印刷物を保管するとき、画像の変色の原因となる室内空気中の酸化性ガスも問題の1つになっている。酸化性ガスは、記録紙上または中の染料との反応により画像の変色および退色を引き起こす。特に、オゾンガスは、酸化を促進しインクジェットプリント画像を退色させる主要物質であり、そのため耐オゾンガス性の向上は、耐光性の向上と同様に重要な課題になっている。





インクジェットインク用のマゼンタ染料の典型的な例としては、キサンテンタイプのローダミン染料、およびH酸カップリングから誘導されるアゾ染料が挙げられる。ローダミン染料は、階調性および光輝性の点で最も卓越しているが、耐光性の点で極めて不良である。H酸誘導アゾ染料は、良好な光沢および耐水性の染料であるが、同時に不良な耐光性、耐オゾン性および光輝性の染料である。特に、銅フタロシアニンを有するシアン染料、および黄色アゾ染料と比較して、やはり不良な耐光性の染料である。





近年、アントラピリドン染料をはじめとする優れた耐光性および光輝性のマゼンタ染料が開発された。それらは、それらの分子足場のアントラセン環上にメチルホルマート基およびスルホン酸基を有していないが、好適な性能を有する。関連特許の例:中国特許出願公開第101595185号、中国特許出願公開第101298526号、米国特許出願公開第2008257209号、米国特許第7691191号(B2)等。





しかし、これらの特許に示されている染料は、階調性、光輝性、耐光性、耐水性、耐オゾン性ならびに溶解性および溶液安定性のすべての要件を満たさない。一部の染料の耐光性および耐オゾン性は向上しているが、それらの染料の溶解性およびインクジェットインクの安定性、特に長期安定性は、依然として不十分である。インク中の染料の長期安定性は、それらの溶解性に関連している。特に、水への染料の溶解度は、多くの場合、理想的ではない。

産業上の利用分野



本発明は、マゼンタ染料の一類、それらの調製方法および利用に関する。本発明は、特に、アントラピリドン環上にスルホン酸基とカルボキシル基を同時に有する化合物、または該化合物の塩もしくは該化合物のエステル、またはそれらの混合物、ならびにマゼンタ着色剤としての利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(I)の形で現れる、アントラピリドン骨格上にカルボキシル基と、スルホン酸基と、カルボニルプロピルスルフリルスルホン酸とを同時に含有する化合物:
【化1】



(一般式(I)中:Aは、カチオンM、または置換もしくは非置換ベンジル基、または置換もしくは非置換ナフチルメチルであってよく;M、Mは、それぞれカチオンまたはカチオン性基であり;スルホン酸基(SO)mは、ベンゼン環のいずれの位置にあってもよく、このmは、1~2の整数であり、Mが、次のカチオン:H、Li、Na、K、NH、または有機アンモニウム塩N(このR、R、R、Rは、それぞれ、同じまたは異なるH、C1-18アルキル基、シクロヘキシル基、CHCHOH、CH(CH)CHOHもしくはベンジル基である)から選択される)またはそれらの混合物を含む、マゼンタ染料。

【請求項2】
AがカチオンMであるとき、前記一般式(I)が一般式(I’):
【化2】



に変更され、
Aが置換または非置換ベンジル基であるとき、前記一般式(I)が一般式(II):
【化3】



に変更され、
Aが置換または非置換ナフチルメチルであるとき、前記一般式(I)が一般式(II’):
【化4】



に変更され、
前記一般式(II)および(II’)中、Rが、H、C1-6アルキル基、CN、NO、SOHもしくはSO、F、Cl、Br、COH、CO、CO
、またはNHCORであり;Rが、HまたはC1-6アルキル基であり;Rが、HまたはC1-6アルキル基であり;(R)nが、ベンゼン環のいずれの位置にあってもよく、このnが0~3の整数であり;
前記一般式(I’)、(II)および(II’)中、M、M、M、M、Mが、それぞれカチオンまたはカチオン性基であり;スルホン酸基(SO)mが、ベンゼン環のいずれの位置にあってもよく、このmが1~2の整数である、
請求項1に記載のマゼンタ染料。

【請求項3】
、M、M、M、Mが、次のカチオン:H、Li、Na、K、NH、または有機アンモニウム塩N(このR、R、R、Rは、それぞれ、同じまたは異なるH、C1-18アルキル基、シクロヘキシル基、CHCHOH、CH(CH)CHOHもしくはベンジル基である)から選択される、請求項2に記載のマゼンタ染料。

【請求項4】
有機アンモニウム塩Nが、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、またはトリイソプロパノールアミン塩から選択される、請求項3に記載のマゼンタ染料。

【請求項5】
カチオンが、H、Li、Na、K、またはNHから選択される、請求項3
に記載のマゼンタ染料。

【請求項6】
前記一般式(I)で示される化合物が、任意の割当量を有する混合物の形態で使用され得る、請求項2~5のいずれかに記載のマゼンタ染料。

【請求項7】
請求項1に記載の一般式(I)で示される化合物またはそれらの混合物を調製するための方法であって、
(1)一般式(IV)で示される中間化合物を合成する工程
【化5】



[一般式(IV)中のRは、C-Cアルキル基であり;
環化工程は、原料として一般式(III)または(III’)で示される化合物に基づき、該一般式(III)または(III’)で示される化合物とマロン酸ジエステル(ROOC-C-COOR)とを用いて有機溶剤中、100℃~250℃の温度で2~10時間、環化反応を行って、一般式(IV)で示される中間化合物を形成する段階
【化6】



【化7】



を含み;
前記環化後、反応系を冷却し、その液体反応系から分離した一般式(IV)の化合物を濾過して、固体中間体(IV)化合物を得る];
(2)スルホン化および分解工程
[前記一般式(IV)で示される中間化合物を、10℃~120℃の温度下、5~30%SOまたはクロロスルホン酸を含有する発煙硫酸(SO・HSO)でスルホン化し、同時に分解反応を2~4時間行って、混合物を得る;前記混合物は、一般式(V)、(VI)、(VII)で示される化合物:
【化8】



を1つ以上含有する];
(3)加水分解工程
[前記工程(2)で得たスルホン化化合物を酸性条件またはアルカリ性条件で加水分解する;
酸性条件での加水分解:前記工程(2)で得たスルホン化液を40℃~80℃に加熱し、そして1.5~5時間加水分解する。その後、アルカリを使用して前記スルホン化液中の硫酸を中和し、一般式(I’)(MはHである)で示される化合物の溶液を最終的に得
アルカリ性条件での加水分解:前記工程(2)で得たスルホン化液を、アルカリを使用して中性に中和し、その後、アルカリを使用して、弱アルカリが現れる9~10にpHを調整し、その後、40℃~80℃に加熱し、1.5~5時間、加水分解し、一般式(I’)で示される化合物の溶液を最終的に得];
(4)ベンジル化(またはナフチルメチル化)工程
[一定の温度、pH、投入量の比、反応時間の条件下でのベンジル化(またはナフチルメチル化)試薬と前記工程(3)における一般式(I’)で示される化合物の溶液とを使用するベンジル化(またはナフチルメチル化)反応により、一般式(II)で示される化合物(または一般式(II’)で示される化合物)を得る];
(5)塩析工程
[前記工程(4)で得た混合物を塩で塩析して、前記一般式(I)で示される化合物の1つ以上の塩を含有する塩混合物を生成する];
(6)分離工程
[前記一般式(I)で示される化合物の塩を前記塩混合物から段階的塩析または逆相イオン対クロマトグラフィーなどの採用により分離し、得られた化合物塩をそれぞれ脱塩して、前記一般式(I)で示される化合物を生成する]
を含む方法。

【請求項8】
前記工程(1)において、前記反応温度が、100℃~200℃であり、前記反応時間が、2~10時間であり、前記有機溶剤が、100℃~300℃の沸点を有し、反応原料(III)または(III’)を溶解または部分溶解することができ;
前記工程(2)において、前記反応時間が、3~4時間であり、前記スルホン化温度が、10~100℃であり、発煙硫酸中の三酸化硫黄の含有量が、5~20%であり;
前記工程(3)において、前記加水分解温度が、40~80℃であり、加水分解時間が1.5~5時間であり;前記加水分解反応において使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化第二鉄、水酸化銅であり;
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応の温度が、50℃~150℃であり、前記ベンジル化反応のpHが、0~12であり、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~100であり、前記ベンジル化反応の反応時間が、1~120時間であり、前記ナフチルメチル化反応の温度が、70℃~150℃であり、前記ナフチルメチル化反応のpHが、0~12であり、前記ナフチルメチル化反応の投入量のモル比(I’:ナフチルメチル化試薬)が、1:1~20であり、前記ナフチルメチル化反応の反応時間が、0.5~10時間であり;
前記工程(5)において、前記塩析工程において使用される塩が、無機塩であり、前記無機塩が、塩化アンモニウム、塩化ナトリウムまたは塩化リチウムから選択される、
請求項7に記載の一般式(I)で示される化合物またはその混合物を調製するための方法。

【請求項9】
前記工程(1)において、前記反応温度が、130℃~190℃であり、前記反応時間が、2~10時間であり、前記有機溶剤が、140℃~250℃の沸点を有し;
前記工程(2)において、前記発煙硫酸中の三酸化硫黄の含有量が、6~15%であり;
前記工程(3)において、前記加水分解温度が、40~70℃であり、加水分解時間が1.5~4時間であり;
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応の温度が、60℃~130℃であり、前記ベンジル化反応のpHが、3~12であり、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~80であり、前記ベンジル化反応の反応時間が、1~96時間であり、前記ナフチルメチル化反応の温度が、70℃~130℃であり、前記ナフチルメチル化反応のpHが、3~12であり、前記ナフチルメチル化反応の投入量のモル比(I’:ナフチルメチル化試薬)が、1:1~10であり、前記ナフチルメチル化反応の反応時間が、1~5時間である、
請求項8に記載の一般式(I)で示される化合物またはそれらの混合物を調製するための方法。

【請求項10】
前記工程(1)において、前記反応時間が、2~8時間であり、前記有機溶剤が、140℃~200℃の沸点を有し;
前記工程(3)において、前記加水分解温度が、50~70℃であり、加水分解時間が1.5~3時間であり;
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応の温度が、70℃~80℃であり、前記ベンジル化反応のpHが、5~10であり、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~70であり、前記ベンジル化反応の反応時間が、1~72時間であり、前記ナフチルメチル化反応の温度が、70℃~120℃であり、前記ナフチルメチル化反応のpHが、4~9であり、前記ナフチルメチル化反応の投入量のモル比(I’:ナフチルメチル化試薬)が、1:1~5であり、前記ナフチルメチル化反応の反応時間が、1~3時間である、
請求項9に記載の一般式(I)で示される化合物またはその混合物を調製するための方法。

【請求項11】
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応のpHが、6~10であり、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~60であり、前記ベンジル化反応の反応時間が、1~48時間であり、前記ナフチルメチル化反応の温度が、70℃~110℃であり、前記ナフチルメチル化反応のpHが、5~7であり、前記ナフチルメチル化反応の投入量のモル比(I’:ナフチルメチル化試薬)が、1:1~3である、
請求項10に記載の一般式(I)で示される化合物またはその混合物を調製するための方法。

【請求項12】
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応のpHが、7~9であり、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~50であり、前記ベンジル化反応の反応時間が、1~24時間であり、前記ナフチルメチル化反応の温度が、70℃~100℃である、
請求項11に記載の一般式(I)で示される化合物またはその混合物を調製するための方法。

【請求項13】
前記工程(4)において、前記ベンジル化反応の投入量のモル比(I’:ベンジル化試薬)が、1:1~40である、請求項12に記載の一般式(I)で示される化合物またはその混合物を調製するための方法。

【請求項14】
インクジェット水系インク組成物であって、該組成物の総重量に基づき、1~20重量%の請求項1記載のマゼンタ染料と、5~50重量%の水混和性有機溶剤と、30~94重量%の水とを含有する組成物。

【請求項15】
前記成分含有量の合計が100%である、請求項14に記載のインクジェット水系インク組成物。

【請求項16】
前記水混和性有機溶剤が、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジグリセロール、2-ピロリドンおよびN-メチル-2-ピロリドンのうちの1つ以上から選択される、請求項14または15に記載のいずれか1つのインクジェット水系インク組成物。

【請求項17】
次の材料:インク、塗料、ペイント、レーザー印刷用トナー、マーカー、紙、布地、ガラスまたはセラミックのための着色剤として役立つ、請求項1に記載のマゼンタ染料の利用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014546282thum.jpg
出願権利状態 登録
分野
  • 化学;冶金
  • 処理操作;運輸
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