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多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料、およびそれからなる永久磁石、ならびにそれらの製造方法

国内特許コード P150011623
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2000-226783
公開番号 特開2001-093713
登録番号 特許第3741597号
出願日 平成12年7月27日(2000.7.27)
公開日 平成13年4月6日(2001.4.6)
登録日 平成17年11月18日(2005.11.18)
優先権データ
  • 99119076.9 (1999.9.14) CN
  • 00102967.3 (2000.3.10) CN
発明者
  • 楊応昌
  • 程本培
  • 葛森林
出願人
  • 北京大学
発明の名称 多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料、およびそれからなる永久磁石、ならびにそれらの製造方法
発明の概要 【課題】 高い残留磁束密度、高い保磁力、および高い最大磁気エネルギー積を有する多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料を提供する。
【解決手段】 一般式(R1-αR′α)x(Mo1-βMβ)yFe100-x-y-zzで表わされる永久磁石材料であり、RはPr、Nd、Pr-Nd富集物およびPrとNdの混合物から選択される軽希土類元素、R′はGd、Tb、Dy、Ho、Er、Yおよびそれらの混合物から選択される重希土類元素、MはB、Ti、V、Cr、Mn、W、Si、Al、Ga、Nb、Ta、Zrおよびそれらの混合物から選択される元素、IはH、C、N、Fおよびそれらの混合物から選択される元素、αは0.01~0.14、βは0.01~0.98、xは4~15原子%、yは3~20原子%、zは5~20原子%である。
従来技術、競合技術の概要



【従来の技術】

従来、工業的な希土類-鉄系永久磁石材料として、Nd2Fe14Bが実用化されている。Nd2Fe14B系永久磁石は、磁性粉を焼結し、その後急速焼入れ技術またはHDDR技術を用いて製造されている。しかしながら、Nd2Fe14B系永久磁石材料は、一般に等方性磁性材料であることから、その最大磁気エネルギー積は60~110kJ/m3(AT/m)(8~13MGOe)にとどまり、より大きな磁気エネルギー積を有する異方性永久磁石材料の開発が進められている。また、Nd2Fe14B系永久磁石材料は、キューリー温度が比較的低く、また耐酸化性が十分ではないという問題がある。さらに、温度130Kで自発磁化して磁化容易軸がc軸でなくなるため、低温で磁性を失うという問題を有する。





一方、特開平3-16102号公報あるいは中国(公開)特許89101552号明細書には、希土類-鉄-窒素系のR2Fe17x系永久磁石材料が開示されている。この発明では、希土類元素RがSm(サマリウム)の場合のみ磁化容易軸が現れる。したがって、高性能の磁性材料を製造するためには、希土類元素Smを必須とするが、Smは、Nd(ネオジム)やPr(プラセオジム)に比較して高価である。





また、1990年に、楊応昌等はR(Fe1-αMα)12系金属間化合物において、窒素原子の格子浸入効果を発見した。ここでRは希土類元素、MはTi、V、Mo、Nb、Ga、W、Si、Al、Mn等の元素であり、モル分率αは0.08~0.27である。この発明は、前記組成の母合金を溶製し凝固し、次に、温度350~600℃の窒素ガス雰囲気中で熱処理を行い、R(Fe1-αMα)12x型の格子浸入型窒化物、たとえば組成NdTiFe11xの窒化物を形成するものである。





また、中性子回折により、窒素原子がTMn12型結晶構造の2b格子位置に浸入することが確認されている。格子間に浸入する窒素原子は、Fe-Fe交換相互作用を高め、それによりキューリー温度を200℃上昇させ、Feの3d軌道電子の磁気モーメントを10~20%増加させる。窒素原子が結晶格子に浸入すると、Pr、Nd、Tb、Dy、Hoの1:12型窒化物には、磁化容易軸が現われ、非常に強い結晶磁気異方性をもたらす。R(Fe1-αα)12系化合物のうち、特に、N(Fe1-αα)12は、先に述べたNdFe14Bに匹敵する固有磁気特性を有する。この発明以降、Smを使用することなく、Ndを使用する永久磁石材料の開発が促進され、実用的な価値を有する新しい希土類永久磁石材料が開発されてきた。





これらの発明は、たとえば、1990年出願の中国登録特許(CNZL)90109166.9号明細書や、Yingchang Yang等が、1990年初めに発表した論文、「新しい硬磁性材料-Nd(Fe,Ti)12x(New Potential Hard Magnetic Materials-Nd (Fe,Ti)12Nx)」:固体物理ニュース(Solid State Communications)、第78巻(1991年)第317~320頁、「YTiFe11x系窒化物の中性子回折研究(Neutron Diffraction Study of the Nitrides YTiFe11Nx)」:固体物理ニュース(Solid State Communications)、第78巻(1991年)、第313~316頁、および「YTiFe11x化合物の結晶磁気異方性(Magnetocrystalline Anisotropy of YTiFe11Nx Compounds)」:応用物理書簡(Applied Physics Letters)、第58巻(1991年)、第2042~2044頁等に開示されている。





これ以降、これに類似する希土類系永久磁石材料の発明が開示されている。たとえば、1992年には、RxFey-wCowzLαの組成の永久磁石材料が米国特許5,403,407号明細書に開示されている。ここで、Rは希土類元素、MはCr、Mo、Ti、V等の元素、Lは炭素または窒素であり、xは5~20原子%、yは65~85原子%、zは6~20原子%、wは約20原子%、αは4~15原子%である。前記合金は、10~20原子%のCoを必須の構成成分とする。母合金を溶製し凝固し、インゴットを粗粉砕した後、高エネルギー・ボール・ミルを用いて機械的合金化(メカニカル・アロイング)法により非晶質(アモルファス)相を形成し、結晶化温度を制御して、保磁力160~640kA/m(2~8kOe)を有する磁性粉を得る。しかし、この磁性粉は等方性であり、残留磁束密度Brは0.3~0.4T(3~4kG)、最大磁気エネルギー積(BH)maxは8~16kJ/m3(1~2MGOe)にとどまり、実用的にはいずれも十分な値とはいえなく、課題が残されている。





永久磁石材料の磁気特性を判断するのに用いられるパラメータは、残留磁束密度Br、保磁力HcJまたはHcB、および最大磁気エネルギー積(BH)maxであることが知られている。ここで、保磁力HcJとは、磁気分極Jと磁界の強さHの磁化曲線であるJ-H曲線において、J=0となる点をいい、保磁力HcBとは、磁束密度Bと磁界の強さHの磁化曲線であB-H曲線において、B=0となる点をいう。このうち特に、最大磁気エネルギー積は、永久磁石の特性を表わすことができるので、永久磁石の優劣を比較する際に常に使用される。前述した先行技術に開示されたいくつかの発明には、材料固有の磁気特性に関わる発明、たとえば、飽和磁化Ms、キューリー温度Tc、および磁気モーメントの異方性Haに関連する発明が多く、残留磁束密度Brおよび最大磁気エネルギー積(BH)maxなどの永久磁石材料に必要とされる特性に着目した発明は多くない。永久磁石材料の性能を表わすパラメータである残留磁束密度Br、保磁力HcJとHcB、および最大磁気エネルギー積(BH)maxは、いずれも結晶構造に敏感な特性であり、理論的にはこれらの特性は磁区構造およびその反磁気過程に、技術的には材料の微細構造およびその製造方法に依存する。この分野の研究開発は、専門的に進めなければならない一つの課題であるものの、非常に複雑な問題である。楊応昌とその共同発明者らが1:12型合金における格子浸入原子の効果を発見した以降のこの10年間に、この問題が解決されなかったので、これに類する永久磁石材料は、応用可能なレベルまで達していないのが現状である。

産業上の利用分野



【発明の属する技術分野】

本発明は、TMn12型の結晶構造を有する多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料に関し、特に、硬磁性材料、たとえば異方性永久磁石材料および等方性永久磁石材料、およびそれからなる永久磁石、ならびにそれらの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(R1-αR′α)(Mo1-ββ)Fe100-x-y-zで表わされるThMn12型正方晶の結晶構造を有する永久磁石材料であって、
RはPr、Nd、Pr-Nd富集物およびPrとNdの混合物からなる群から選択される軽希土類元素、R′はGd、Tb、Dy、Ho、Er、Yおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される重希土類元素、MはB、Ti、V、Cr、Mn、W、Si、Al、Ga、Nb、Taおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される元素、IはH、C、N、Fおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される元素、α、βはそれぞれモル分率で、αは0.01~0.14、βは0.01~0.40、x、y、zはそれぞれ原子%で、xは4~15原子%、yは3~20原子%、zは5~20原子%であることを特徴とする多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料。

【請求項2】
前記xが6~10原子%である請求項1記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料。

【請求項3】
前記yが6~12原子%である請求項1記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料。

【請求項4】
下記工程を備えたことを特徴とする一般式(R1-αR′α)(Mo1-ββ)Fe100-x-y-zで表わされるThMn12型正方晶の結晶構造を有する多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料の製造方法。
(式中RはPr、Nd、Pr-Nd富集物およびPrとNdの混合物からなる群から選択される軽希土類元素、R′はGd、Tb、Dy、Ho、Er、Yおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される重希土類元素、MはB、Ti、V、Cr、Mn、W、Si、Al、Ga、Nb、Taおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される元素、IはH、N、Fおよびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される元素、α、βはそれぞれモル分率で、αは0.01~0.14、βは0.01~0.40、x、y、zはそれぞれ原子%で、xは4~15原子%、yは3~20原子%、zは5~20原子%である。)
(1)RとR′とFeとMoとMを用いて組成(R1-αR′α)(Mo1-ββ)Fe100-x-yの母合金を溶製し凝固する工程と、
(2)前記凝固した合金を、温度200℃~400℃水素ガス雰囲気中で、2~4時間水素化処理を行い微粉末を形成する工程と、
(3)前記形成した微粉末を、前記Iの雰囲気中で、気相-固相反応を行う工程と、
(4)前記気相-固相反応を終えた微粉末を、ジェット粉砕ミルまたはボール・ミルを用いて粉砕する工程。

【請求項5】
前記(3)の工程が、温度300~650℃、圧力1~10気圧の窒素ガス雰囲気中で1~20時間熱処理して気相-固相反応を行う工程である請求項記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料の製造方法。

【請求項6】
前記(3)の工程が、温度200~500℃、圧力1~4気圧の弗素ガス雰囲気中で1~2時間熱処理をして気相-固相反応を行う工程である請求項記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料の製造方法。

【請求項7】
前記水素ガス雰囲気中で水素化処理を行った後、さらに減圧下で温度500~600℃で脱水素を行う請求項4~6のいずれか1項記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料の製造方法。

【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項記載の方法で製造した多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料磁性粉を錯化反応させ磁性粉の表面に保護被膜層を形成し、ついで前記保護被覆層を形成した磁性粉に熱硬化性結合剤を添加して磁性粉と熱硬化性結合剤とを含有する混合物を形成し、そして前記混合物を圧縮成形、射出成形、押出成形または圧延成形を用いてボンディング磁石を製造する多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石の製造方法。

【請求項9】
前記熱硬化性結合剤が、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ナイロン等のポリオレフィン系高分子化合物、ポリエーテル、ウレタン、ポリカーボネート等のポリエステル系高分子化合物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の芳香族ポリエステル系樹脂、天然ゴム、ブタジエン・ゴム、ネオプレン・ゴム、シリコンゴム等の天然ゴムまたは合成ゴムである請求項記載の多元系希土類-鉄格子浸入型永久磁石材料の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
分野
  • 電気
  • 処理操作;運輸
  • 化学;冶金
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