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非天然コラーゲン様タンパク質及びその応用

国内特許コード P150011653
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2012-539158
公表番号 特表2013-511263
登録番号 特許第5737597号
出願日 平成21年11月19日(2009.11.19)
公表日 平成25年4月4日(2013.4.4)
登録日 平成27年5月1日(2015.5.1)
国際出願番号 CN2009075039
国際公開番号 WO2011060583
国際出願日 平成21年11月19日(2009.11.19)
国際公開日 平成23年5月26日(2011.5.26)
発明者
  • 黄 岩山
  • 周 林福
  • ▲陳▼ 智
出願人
  • 浙江大学
発明の名称 非天然コラーゲン様タンパク質及びその応用
発明の概要 本発明は、配列が(Gly-X-Y)nである非天然コラーゲン様タンパク質を提供し、うちXとYはそれぞれCysを除く天然のアミノ酸残基であり、nは20~300である。当該非天然コラーゲン様タンパク質は薬物タンパク質と融合することで、より高い親水性とより長い半減期を備える融合タンパク質を生成可能である。これより、本発明は、当該融合タンパク質、その核酸、発現ベクター、宿主細胞、生成方法及び製薬への応用についても提供する。
従来技術、競合技術の概要



腎臓、肝臓及び分解など複数の要因の作用により、臨床応用されている大部分の生物活性ポリペプチド/タンパク質は体内で急速に消失することが多く、通常、半減期はわずか数分から数時間である。よって、治療においては、多量且つ頻繁な注射を施すことで有効な薬物濃度を維持する必要があるが、このことは患者にとって苦痛であるだけでなく、薬物の血漿中濃度が変動することで治療効果が低減し、中毒性副作用を増加させる。





現在、これら生物活性ポリペプチド/タンパク質の体内での半減期を延長可能とする様々な方法が報告されている。例えば、水溶性高分子(例えば、ポリグリコール、グルコサン等)によって生物活性ポリペプチド/タンパク質を修飾する方法の応用に成功しており、PEG-ADAやPEG-IFNα等はその一例である。修飾により、体内での半減期延長、安定性と溶解度の向上、免疫原性の低減等が実現される。しかし、あいにくこうした修飾手法にも多くの課題がある。まず、タンパク質/ポリペプチドを化学修飾すると、通常これら生体高分子の活性は著しく低下し、完全に消失することもある(Veronese FM,Biomaterials,22:405-417,2001)。次に、高分子化合物はいずれもタンパク質/ポリペプチド表面のアミノ基、メルカプト基、イミダゾール基といった基と反応し、共有結合によってタンパク質/ポリペプチド分子と結合する。しかし、タンパク質/ポリペプチドの分子量は膨大で構造が複雑なため、潜在的に活性PEGと反応可能な基の数もまた膨大となる。PEGとの結合位置によって、生成物の安定性や生物活性等の性質は異なる。更には、化学合成された大部分の高重合体、例えばPEG等は生体で分解されることがない。例えば、長期的に大量のPEG-インターフェロン(PEG-IFNα2a)を注射した場合の腎臓への蓄積が発見されている(Conover CD et al.,Artificial Organs.,21:369-378,1997;Bendele.A et al.,Toxicol Sci.,42:152-157,1998)。薬物設計的には、こうした蓄積薬物がない方が安全なのは明らかである。一方で、PEG修飾されたタンパク質はPEG抗体(多機能ハプテンと定義される。)を生じ、薬物の半減期に影響することが発見されている(Caliceti P & Veronese FM,Adv Drug Deliv Rev.,55:1261-1277,2003)。





以上のような技術的課題のために、化学修飾の手法によってタンパク質/ポリペプチドの体内における薬物代謝特性を改善する技術が提案されて久しいにも拘わらず、真に臨床応用可能な製品は極めて少ない。





また、特定のキャリアタンパク質と融合することで生物活性ポリペプチド/タンパク質の体外安定性又は体内半減期を高める方法もある。例えば、米国特許第5876969号、同第576688号及び同第7176278号は、アルブミン、抗体Fc断片、トランスフェリン(トランスフェリンの突然変異体及びその断片)と融合することで、生物活性ポリペプチド/タンパク質の半減期が延長されると記載している。これらタンパク質と融合することで半減期が延長される主な理由としては、これらタンパク質がいずれもFcRn受容体媒介の循環作用によって、それ自体の体内安定性を高めて半減期を延長するからである。融合タンパク質キャリアとして理想的なタンパク質は、(1)それ自体が体内において比較的長い半減期を持つこと、(2)免疫原性を持たないこと、(3)半減期の延長とは無関係の生体効果を一切持たないこと、(4)治療用タンパク質の生物活性に影響しないこと、という特徴を備えなければならない。しかし、現在開示されている技術方案では、これら全ての条件を満たすことはできない。中でも最大の課題は免疫原性の増加であり、例えば、Fc断片は構造自体が非保存的で複数の配列を有するため、免疫原性が生じやすい。また、これらキャリアタンパク質は、通常いくらかの生物学的効果をもたらす。例えば、抗体Fc断片は、補体と結合し、Fc受容体との結合によるアレルギー反応、食作用の調節、抗体による細胞殺傷作用といった幅広い生理機能を有するし、HSAはそれ自体が多くの正常な体内生理機能を有し、多数の物質の輸送や代謝に関与する。こうした生物学的特性は、融合タンパク質キャリアとしては不利である。更に、これらキャリアタンパク質はそれ自体が複雑な空間構造を有しており、活性タンパク質と融合すると、立体障害効果によって活性タンパク質の生物活性を著しく低減させてしまう(Baggio LL et al.,Diabetes.,53:2492-2500,2004;Huang YS et al.,Eur J Pharm Biopharm.,67:301-308,2007)。





総括すると、活性タンパク質の体内半減期を改善する従来の方案には、(1)生成物が均一でなく、複雑な手順が要求される、(2)修飾物が生体に分解されずに体内に蓄積される、(3)免疫原性が増加する、(4)タンパク質の生物活性が著しく低下し、完全に消失することもある、(5)不要な生物活性機能をもたらすおそれがある、といった弊害があった。化学修飾、タンパク質融合の別に拘わらず、活性タンパク質の体内外での半減期を改善する方案は、いずれも上記の弊害を完全には回避できていない。





アルブミン、Fc断片等の天然キャリアタンパク質に存在する弊害を回避するために、キャリアタンパク質としてアミノ酸配列を人工的に構築する試みもなされており、例えば、GlyやGluを豊富に含有するアミノ酸重合体を構築し、これを融合キャリアとしてタンパク質の薬物半減期を延長する試みがある。David W.Leungらは、化学合成されたポリグルタミン酸を模倣し、人工的にポリグルタミン酸配列を合成して融合キャリアとし、タンパク質の薬物半減期を延長させている(US20080176288)。或いは、人工的にポリグリシン配列を合成して融合キャリアとする試み(Schlapschy M et al.,Protein Eng Des Sel.,20:273-284,2007)の他、完全な人工設計の試み、例えばGly、Asp、Glu、Ser等の親水性アミノ酸を選択して人工的にアミノ酸重合体を構築し、これを融合キャリアタンパク質として薬物半減期を延長させるという試みもなされている。しかし、こうした完全に再設計されたアミノ酸重合体を融合キャリアとした場合には実際の効果を予測し難く、多くの課題が存在する。例えば、(1)人工設計の配列は、理論上は多くの親水性アミノ酸を含有するが、タンパク質構造と機能との関係の複雑さから、従来技術では完全な人工設計配列について空間構造(例えば、二次構造や三次構造等)を予測し難く、よって潜在的な生物学的機能や免疫原性は未知である。(2)人工的に設計された反復配列は自然進化に伴って生成されたタンパク質配列とは異なり、特に反復配列における極めて高頻度の断片については組換え発現が難しく、実際の発現量は極めて低くなることが多いため、実用的ではない。発明者は、David W.Leungらが提示する方法(US20080176288)に基づき、ポリグルタミン酸を組換え発現して融合キャリアとしてタンパク質の薬物半減期延長を試みたが、実際には、当該方法が言うような配列は発現されなかった。





よって、当該分野では、タンパク質/ポリペプチドの体内外における安定性を効果的で簡便に改善し、且つ他の副作用が全く或いはほとんどない技術方案を開発することが急がれている。

産業上の利用分野



本発明はタンパク質分野に関し、更に具体的には、新型で且つ生物活性とより長い半減期を有する組換え融合タンパク質、及びその生成と応用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニットであって、
前記ゼラチン様ユニットが(Gly-X-Y)nで表される組換えポリペプチドであり(式中、Glyはグリシン残基でありXとYはそれぞれ20種類の天然アミノ酸のうちCysを除く任意のアミノ酸残基であり、nは20~300である)、且つ、
(a)前記組換えポリペプチド中の親水性アミノ酸Asn、Asp、Gln、Glu、Lys、Pro、Ser、Hyp、Argのアミノ酸含有量が、40%~2/3(66.7%)であり、
(b)Pro数とHyp数の和とnとの比が0.6以上であり、
(c)Gly数の和とnの比は1.15以下であり、
(d)等電点が3~7であり、
(e)コラスカー及びトンガオンカー法で算出した平均抗原指数が0.98以下であり、
(f)ProtParam式で計算した場合、親水性を表すGRAVY値が-1.1より小さく、
(g)前記組換えポリペプチドは、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:2におけるすべてのAsnをGluに置き換えて得られたポリペプチド、又はSEQ ID NO:3によりコードされたポリペプチドを含有し、
付加条件として、前記組換えポリペプチドは天然のゼラチンタンパク質ではないことを特徴とする、生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニット。

【請求項2】
前記生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニットの分子量が10~100kDaであることを特徴とする、請求項1に記載の生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニット。

【請求項3】
組換え融合タンパク質であって、前記組換え融合タンパク質は生物活性ポリペプチド、及び請求項1に記載の生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニットを融合してなることを特徴とする、組換え融合タンパク質。

【請求項4】
前記生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチンユニットを含有しない生物活性ポリペプチドに比べ、前記融合タンパク質の体内半減期は少なくとも2倍であることを特徴とする、請求項3に記載の組換え融合タンパク質。

【請求項5】
前記生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチンユニットは前記融合タンパク質のアミノ末端、カルボキシル末端、両端、又は中間に位置することを特徴とする、請求項3に記載の組換え融合タンパク質。

【請求項6】
前記生物活性ポリペプチドの融合用組換え融合タンパク質は、下記化学式(1)に示す単量体又はその重合体であり、
{GLK}p-R-{GLK}q 式1
ここで、GLKは請求項1に記載の生物活性ポリペプチドの融合用組換えゼラチン様ユニットを表し、pとqは各々が0又は1であり、且つpとqは同時に0とはならず、Rは前記生物活性ポリペプチドの融合用ゼラチンユニットを含有しない、生物学的機能を持つタンパク質であり、且つ前記Rはゼラチンタンパク質ではなく、“-”はペプチド結合を表すことを特徴とする、請求項3に記載の組換え融合タンパク質。

【請求項7】
前記組換え融合タンパク質は重合体であり、且つ前記化学式(1)における各RとGLKは同じであっても異なっていてもよいことを特徴とする、請求項6に記載の組換え融合タンパク質。

【請求項8】
請求項3に記載の組換え融合タンパク質をコードする、遺伝子。

【請求項9】
請求項8に記載の遺伝子を含む、発現ベクター。

【請求項10】
請求項9に記載の発現ベクターを含むか、或いは染色体に請求項9に記載の遺伝子を組み込んでいることを特徴とする、組換え宿主細胞。

【請求項11】
請求項10に記載の組換え宿主細胞を培養して、請求項3に記載の組換え融合タンパク質を発現するステップと、
前記組換え融合タンパク質を分離するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の組換え融合タンパク質を生成する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
分野
  • 化学;冶金
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