TOP > 中国の大学の特許 > 上海交通大学の特許一覧 > 組織工学腱及びその生体外構築方法

組織工学腱及びその生体外構築方法

国内特許コード P150011668
掲載日 2015年3月30日
出願番号 特願2010-513625
公表番号 特表2010-531683
出願日 平成20年3月24日(2008.3.24)
公表日 平成22年9月30日(2010.9.30)
国際出願番号 CN2008070566
国際公開番号 WO2009003375
国際出願日 平成20年3月24日(2008.3.24)
国際公開日 平成21年1月8日(2009.1.8)
優先権データ
  • 200710043013.7 (2007.6.29) CN
発明者
  • 曹 ▲誼▼ 林
  • ▲劉▼ ▲偉▼
  • ▲許▼ 峰
  • ▲ドン▼ 丹
  • 李 宏
  • 崔 磊
出願人
  • 上海国睿生命科技有限公司
  • 上海交通大学医学院附属第九人民医院
発明の名称 組織工学腱及びその生体外構築方法
発明の概要 本発明は、(a) 薬学的に許容される生物分解可能な材料、及び(b) 前述の生物分解可能な材料に接種され、且つ(i) 線維芽細胞、(ii) 脂肪由来細胞、或は(iii) 1:10000~10000:1の線維芽細胞と脂肪由来細胞との混合物、からなる群より選ばれる種細胞、を含む組織工学的腱移植物を公開する。前述の移植物は、種細胞を薬学的に許容される生物分解可能な材料と混合し、種細胞-生物材料複合体を得た後、複合体を生物反応器で培養することにより得られる。本発明の移植物は腱欠損の修復に有用である。
従来技術、競合技術の概要 腱は、骨格筋の筋腹と骨とを繋ぐ緻密なコラーゲン線維の結合組織束であり、骨格筋の構成部分である。腱の構造は、筋肉の延長・退化部分と見なしてもよい。新鮮標本の腱は、銀白色で、紐帯状で、質が強靭である。弛緩の状態では、表面に波紋があり、弛緩状態の4%以上引っ張られると、この波紋が消えるが、張力が取り消されたら波紋はまた現れる。筋-腱接合部では、コラーゲン線維が筋内膜に入り、筋線維の筋膜に付着し、腱-骨接合部では、腱束が直接骨と骨膜まで延伸し、そのうちの大多数のコラーゲン線維が骨に入り、シャーピー線維を形成する。腱は筋腹の収縮による力を伝え、骨格を引っ張り、運動させる。腱そのものは収縮能力がないものの、大きな張力に抵抗することができる。

腱欠損は、現在、臨床実践でよくある問題であり、腱欠損に対する治療方法は主に、(1)自家腱移植、(2)同種他家腱移植、(3)腱移植の代用物がある。しかし、上述の方法はいずれも欠点があり、自家腱移植には腱のドナー部位が少ないという問題がある。新鮮腱の他家移植はひどい免疫拒否反応を引き起こし、凍結乾燥処理した同種他家腱では保存されるのはコラーゲン線維だけなので、そのさき自家腱細胞に替える必要がある。人工腱代用物は、初期では生物力学強度が優れたが、最終的に分解され、また炎症、線維化や腱粘着などの反応を起こし、ひいては、代用物が体外に排出されることもある。

前世紀80年代末期に、組織工学の出現と盛んな発展はこの難題の解決を可能にした。曹誼林らにより、1994年に、ポリグリコール酸(PGA)短繊維でヌードマウスの皮下に組織工学腱様組織を構築したことが初めて報告された。劉永濤らは、健全な免疫機能を有するニワトリの趾屈筋腱の同所に自家腱細胞を利用して組織工学腱の構築に成功したが、組織工学腱の種細胞として自家腱細胞を利用するには、やはり大きな腱組織を切り取ることが必要で、新たな損傷が生じる。そのため、新しい種細胞源を探すことが組織工学腱の発展の主要な問題となる。

また、現在、国内外で組織工学腱の研究は主に、動物体内における修復実験、すなわち、生体外で十分な数の種細胞を増殖させ、生物材料と複合化した後、直ちに或は生体外で一~二週間だけ培養して生体内の欠損部位に移植することに注目している。すこし初歩の成功を得たが、このような細胞を接種した足場材をそのまま生体内に移植して腱を形成する方式はまだ以下の重大な欠陥がある。(1) 移植するのは、腱移植物ではなく、細胞-材料複合体であることによって、種細胞の生存がよくないため、移植が失敗し、安定した高成功率が得られない。(2) 移植する足場は分解されていない材料で、その分解物は酸性であることが多いため、直接炎症性反応、瘢痕形成や腱粘着を引き起こし、腱の修復効果を直接影響することがある。(3) 移植するのは、腱移植物ではないため、材料の分解に従って、細胞-材料複合体の力学性能が大幅に低下し、高張力部位の腱欠損を修復することができない。そのため、腱構築と修復の動物体内実験が多かったが、上述の問題があるので、臨床の応用まではまだ時間がかかる。

このように、組織工学技術で腱組織の構築、腱組織の欠損の修復を行い、産業的生産の目的を実現する一つの要点は、大量の正常な機能を持つ腱細胞を得ることである。しかし、腱細胞は数回の継代を経て基質を分泌する能力を失うため、大量の機能活性を持つ腱細胞を得て大きな欠損組織を修復することが困難である。もう一つの要点は、ある程度の力
学性能を持ち、大部分の材料はすでに分解した比較的に成熟した腱組織を構築することである。そのため、より幅広い種細胞源、より最適化した生体外の構築技術を探すのは、組織工学腱の研究の焦点となった。

前者の要点について、多くの学者が大量の研究を行い、腱の組織工学の種細胞源を広くし、且つその増殖を促進させようとしている。

第一に、代用できる細胞、例えば、骨髄間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell、MSC)、真皮線維芽細胞(Dermal Fibroblast、DF)を探すことである。MSCは一族の多分化能を持つ細胞であり、特定の誘導条件で多種の間葉細胞に分化することができ、AwadらがMSCを分離・培養してコラーゲンと複合化した細胞-コラーゲン複合体を人工的欠損の膝蓋靱帯に移植し、対照群(単なるコラーゲンを使用)と比較したところ、実験群の組織の弾性率、最大張力、硬度などが対照群よりも大きかったが、組織学と形態学において両者は大きな差別がなかったことを見出した。しかしながら、骨髄間葉系幹細胞源には限りがあり、分離が複雑である。陳兵らは、ブタの自家線維芽細胞で組織工学腱を構築して浅趾屈筋腱の欠損を修復することに成功したことにより、真皮線維芽細胞を組織工学腱或は靱帯の構築の種細胞とする可能性が証明された。

第二に、種細胞の増殖と基質の合成を促進させることである。成長因子は、細胞間の信号伝達により細胞の活動に影響を与える一類のポリペプチドの因子であり、生体内・外で細胞の増殖を促進・抑制することができる。多くの学者は直接成長因子を使って研究し、その体内・外での腱損傷の修復に対する促進作用が実証された。また、遺伝子組換え技術を利用し、遺伝子情報を細胞に伝達することにより、細胞の機能を変える人もいた。このような技術でターゲット細胞におけるタンパク質(例えば成長因子)の合成と分泌を増加・抑制し、細胞の成長を調節し、組織修復の過程に参与する。この方法の応用に成功すれば、細胞、組織を必要なようにサイトカインを合成・分泌させることによって、その成長を調節することができる。異なる方法で遺伝子を腱に導入することに成功した学者がすでにいたが、LacZ標識遺伝子が膝蓋靱帯に応用された後、発現が6週間も継続し、ニワトリの趾屈筋腱での実験では、Louらは遺伝子組換え技術を利用してLacZ標識遺伝子を腱に導入し、この遺伝子が75日後も検出され、そして、腱損傷後の粘着形成を減少・阻止する方法がいくつか提出された。

上述の各種の研究を経たものの、腱の種細胞源が少ないという問題がまだ解決されていない。

後者の要点について、生体外で各種の生物材料を使って腱組織の構築を行うことを試みる学者がいた。曹徳君らは、吸収可能な生物材料であるポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)と腱細胞を用いて生体外で組織工学腱を構築し、U型バネで細胞-PGA複合体に継続的に張力を与えてから生体外で培養し、6週間後構造が正常な腱と類似で、ある程度の力学性能を持つ腱様組織が形成されたが、この方法は、加わる張力の大きさや頻度などのパラメーターを正確に定量することができず、構築された組織の力学性能は極めて弱かった。生体外での生体内微環境のシミュレーションは、まださらなる改良と最適化が必要である。

そのため、本分野では、新規な種細胞を使用し、且つ生体外で構築されたものであって、優れた力学性能を持つ組織工学的ヒト腱が切望されている。

産業上の利用分野 本発明は、医学及び生物医学工学分野に関し、より具体的に、真皮線維芽細胞及び/又は脂肪由来細胞を利用して生体外で組織工学腱を構築する製造方法及び用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a) 薬学的に許容される生物分解可能な材料、及び
(b) 前述の生物分解可能な材料に接種され、且つ(i) 線維芽細胞、(ii) 脂肪由来細胞、或は(iii) 1:10000~10000:1の線維芽細胞と脂肪由来細胞との混合物、からなる群より選ばれる種細胞、
を含むことを特徴とする、組織工学的腱移植物。

【請求項2】
最大張力は、10~80Nであることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項3】
前述の種細胞は、線維芽細胞、或は線維芽細胞と脂肪由来細胞との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項4】
前述の種細胞の含有量は、1×105個細胞/ml~5×108個細胞/mlであることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項5】
前述の生物分解可能な材料は、紐帯状であることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項6】
前述の線維芽細胞と脂肪由来細胞は、自家或は同種他家由来であることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項7】
前述の薬学的に許容される生物分解可能な材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロブチレート、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、シュードポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリエステルウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリジオキサノン、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、キトサン、キチン、アルギン酸塩、アルギン酸カルシウムゲル、無細胞基質、及びそれらの各種類と割合の混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の移植物。

【請求項8】
請求項1に記載の組織工学的腱移植物を製造する方法であって、
薬学的に許容される生物分解可能な材料に、前述の生物分解可能な材料に接種され、且つ(i) 線維芽細胞、(ii) 脂肪由来細胞、或は(iii) 1:10000~10000:1の線維芽細胞と脂肪由来細胞との混合物、からなる群より選ばれる種細胞を混合し、種細胞-生物材料複合体を得る工程、
を含むことを特徴とする、方法。

【請求項9】
さらに、種細胞-生物材料複合体を生物反応器で培養し、請求項1に記載の組織工学的腱移植物を得る工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
腱欠損を修復する移植物の製造のための請求項1に記載の組織工学的腱移植物の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
分野
  • 生活必需品
  • 化学;冶金
※ 特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close