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エンドトキシン不応答性モデル動物 実績あり

国内特許コード P05P001943
整理番号 E072P02
掲載日 2005年5月9日
出願番号 特願2003-338013
公開番号 特開2005-102544
登録番号 特許第4236549号
出願日 平成15年9月29日(2003.9.29)
公開日 平成17年4月21日(2005.4.21)
登録日 平成20年12月26日(2008.12.26)
発明者
  • 審良 静男
  • 山本 雅裕
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 エンドトキシン不応答性モデル動物 実績あり
発明の概要 【課題】 TIRドメインを含みTRIF関連アダプタータンパク質(TRIF-related adaptor molecule;TRAM)の機能解明に有用な、特にグラム陰性菌の細胞壁画分であるエンドトキシンに不応答性のモデル非ヒト動物や、かかるエンドトキシンに不応答性のモデル非ヒト動物を用いたTLR4が認識するリガンドに対する応答の促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法等を提供すること。
【解決手段】 染色体上のTRAM遺伝子の一部もしくは全部が欠損し、野生型において発現されるTRAMを発現する機能が失われており、TLR4が認識するリガンドに対する応答性が特異的に傷害されているエンドトキシン不応答性マウスを、TLR4が認識するリガンドに対する応答の促進物質又は抑制物質のスクリーニングに用いる。
従来技術、競合技術の概要


トール(Toll)遺伝子は、ショウジョウバエの胚発生中の背腹軸の決定(例えば、非特許文献1、2参照)、また成体における侵入病原体を検出する自然免疫に関与しており(例えば、非特許文献3~5参照)、かかるTollは、細胞外領域にロイシンリッチリピート(LRR)を有するI型膜貫通受容体である。また、免疫反応や感染時の応答、造血、ウイルス感染や腫瘍細胞の障害に重要な役割を果たしている細胞間シグナル伝達物質であるサイトカインの中でも、リンパ球間でシグナルを伝え合うサイトカインはインターロイキン(以下「IL」という)と呼ばれているが、前記I型膜貫通受容体の細胞質内領域は、哺乳類IL-1受容体(IL-1R)の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかとなっている(例えば、非特許文献6~8参照)。



近年、Toll遺伝子の哺乳類のホモログが同定され(例えば、非特許文献9~12参照)、ヒトTLRファミリーについては、これまでに10種のTLR(TLR1~TLR10)が報告されている。TLRファミリーの役割は、細菌の共通構造を認識するパターン認識受容体(PRR:pattern recognition receptor)として、別々の病原体会合分子パターン(PAMPs:pathogen-associated molecular patterns)を識別し、転写因子であるNF-κBの核内への移行を導く同様の細胞内シグナル伝達経路の活性化を引き起こす。かかるシグナル伝達経路は、最終的には炎症性サイトカインを産生させ、宿主防衛反応を誘起し、さらに獲得免疫に対しても宿主防衛反応を誘起させる。また、近年多くのTLRリガンドが報告されている。



TLR1は、トリアシル化リポタンパク質を認識する(例えば、非特許文献13参照)。TLR2は、ペプチドグリカン(PGN)、細菌由来トリアシル化リポタンパク質、マイコプラズマ由来ジアシル化リポタンパク質、及びクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)のGPIアンカーなどのさまざまな細菌成分を認識する(例えば、非特許文献14~21参照)。TLR3は、RNAウイルスのライフサイクルにおいて発生する二重鎖RNAの認識に関与している(例えば、非特許文献22参照)。TLR4は、グラム陰性菌の細胞壁に特異的な糖脂質であるリポポリサッカライド(以下LPS)の受容体である(例えば、非特許文献23、24参照)。TLR5は、細菌の鞭毛のタンパク質成分であるフラジェリンを認識する(例えば、非特許文献25参照)。TLR6は、ジアシル化したリポタンパク質を認識する際に必要とされており(例えば、非特許文献26参照)、TLR7は、抗ウイルス性の合成化合物であるイミダゾキノリン及びその誘導体R-848を認識する際に極めて重要である(例えば、非特許文献27参照)。TLR9は、細菌由来の非メチル化CpGモチーフ(5'-Pu-Pu-CpG-Pyr-Pyr-3')を有するDNAの受容体である(例えば、非特許文献28参照)。



TLRの細胞内シグナル伝達経路は、TLRの細胞質領域の中に保存されているTIRドメインにより誘導される。細胞質分子であるMyD88には、TIRドメイン及びデスドメインがある。MyD88のデスドメインは、IRAK-1やIRAK-4等、その他のデスドメインを含む分子と相互作用する際に必要とされている(例えば、非特許文献29~31参照)。TIRドメインは、その他のTIRドメインを含む受容体又はアダプターと二量体を形成する際に必要であると報告されている。実際に、MyD88欠損マウスは、全てのTLRリガンドとIL-1に応答した炎症誘発性サイトカインの産生や脾細胞の増殖を示さず、MyD88が全てのTLRとIL-1受容体の免疫反応に必須であることを示唆した(例えば、非特許文献32参照)。しかしながら、MyD88欠損マウスにおいて、TLR3リガンドであるポリ(I:C)やTLR4が認識するリガンドであるLPSは、IFN-β等の特定の遺伝子の発現を未だ刺激する。IFN-βの誘発は、樹状細胞の成熟や、それに続くIFN誘発遺伝子の発現を引き起こす(例えば、非特許文献33、34参照)。これらの観察は、TLRシグナル伝達が、少なくとも2つの経路、すなわち、炎症誘発性サイトカインの産生を引き起こすMyD88依存的経路、並びにIFN誘発遺伝子の誘発及び樹状細胞の成熟と会合したMyD88非依存的経路により構成されることを示唆した。また、全てのTLRを仲介するMyD88依存的シグナル伝達経路の特異性は、2番目に見い出された、TIRドメインを含むアダプターであるTIRAPにより提供される(例えば、非特許文献35、36参照)。TIRAP欠損マウスは、TLR2及びTLR4を介するMyD88依存的シグナル伝達経路の活性の激減を示したが、その他のTLRに対しては示さなかった(例えば、非特許文献37、38参照)。



MyD88非依存的シグナル伝達経路の詳細な分子機構については明らかになっていないが、別のTIRドメインを含む分子、TRIFの新たな同定(例えば、非特許文献39、40参照)や、この遺伝子が変異したマウスによる遺伝学的証拠により、TRIFは、TLR3及びTLR4が共有するMyD88非依存的シグナル伝達経路における重要な役割を果たしていることが明らかになった(例えば、非特許文献41、42参照)。さらに、近年の研究により、2種の非典型的IκBキナーゼ(IKK)、すなわち、IKK-ι/IKKε及びTBK1/T2Kが、TRIFと相互作用し、IRF-3を活性化し、最終的にIFN-βの誘発を引き起こすことが明らかになった(例えば、非特許文献43、44参照)。



現在まで、ヒトゲノムにおいて、さらに2種のTIRドメインを含むアダプターが同定されている。1種はSARM(SAMドメイン及びARMドメインを含むタンパク質(SAM and ARM domain-containing protein)の略語)と呼ばれており、TLR/IL-1Rシグナル伝達におけるその生理学的機能は、未だ明らかではない(例えば、非特許文献45、46参照)。もう1種は、TRAM(TRIF関連アダプター分子(TRIF-Related Adaptor Molecule)の略語、別名TIRP)である(例えば、非特許文献47参照)。これまでのインビトロ分析は、TRAMの異所的発現が、MyD88、TIRAP及びTRIFのようなNF-κBを活性化することを示唆した。しかしながら、TRIFとは異なり、IFN-βプロモーターを活性化しなかった。このタンパク質のドミナントネガティブ変異体は、IL-1Rを介してNF-κBの活性化を阻害したが、TLRを介しては阻害しなかった。これは、TRAMが、IL-1Rを介したMyD88依存的シグナル伝達経路において、特異的なアダプタータンパク質であることを示唆した。しかしながら、インビボにおけるTRAMの役割は、未だ明らかではない。



【非特許文献1】
Cell 52, 269-279, 1988
【非特許文献2】
Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996
【非特許文献3】
Nature 406, 782, 2000
【非特許文献4】
Nat. Immunol. 2, 675, 2001
【非特許文献5】
Annu. Rev. Immunol. 20, 197, 2002
【非特許文献6】
Nature 351, 355-356, 1991
【非特許文献7】
Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996
【非特許文献8】
J. Leukoc. Biol. 63, 650-657, 1998
【非特許文献9】
Nature 388, 394-397, 1997
【非特許文献10】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 588-593, 1998
【非特許文献11】
Blood 91, 4020-4027, 1998
【非特許文献12】
Gene 231, 59-65, 1999
【非特許文献13】
J. Immunol. 169, 10-14, 2002
【非特許文献14】
Science 285, 732, 1999
【非特許文献15】
Science 285, 736, 1999
【非特許文献16】
J.Biol. Chem. 274, 33419, 1999
【非特許文献17】
Immunity 11, 443, 1999
【非特許文献18】
J. Immunol. 164, 554, 2000
【非特許文献19】
Nature 401, 811, 1999
【非特許文献20】
J. Immunol. 167, 416, 2001
【非特許文献21】
Nat. Med. 8, 878-884, 2002
【非特許文献22】
Immunity 11, 443-451, 1999
【非特許文献23】
Nature 413, 732-738, 2001
【非特許文献24】
J. Immunol. 162, 3749-3752, 1999
【非特許文献25】
Science 282, 2085-2088, 1998
【非特許文献26】
Nature 410, 1099-1103, 2001
【非特許文献27】
Int. Immunol. 13, 933-940, 2001
【非特許文献28】
Nat. Immunol. 3, 196-200, 2002
【非特許文献29】
Nature 408, 740-745, 2000
【非特許文献30】
Immunity 7, 837-847, 1997
【非特許文献31】
Moll. Cell. 11, 293-302, 2003
【非特許文献32】
Immunity 9, 1, 143-150, 1998
【非特許文献33】
J. Immunol. 167, 5887-5894, 2001
【非特許文献34】
J. Immunol. 166, 5688-5694, 2001
【非特許文献35】
Nat. Immunol. 2, 835-841, 2001
【非特許文献36】
Nature 413, 78-83, 2001
【非特許文献37】
Nature 420, 324-329, 2002
【非特許文献38】
Nature 420, 329-333, 2002
【非特許文献39】
J. Immunol. 169, 6668-6672, 2002
【非特許文献40】
Nat. Immunol. 4, 161-167, 2003
【非特許文献41】
Science 301, 640-643, 2003
【非特許文献42】
Nature, 424, 743- 748, 2003
【非特許文献43】
Science 300, 1148-1151, 2003
【非特許文献44】
Nat. Immunol. 4, 491-496, 2003
【非特許文献45】
Genomics 74, 234-244, 2001
【非特許文献46】
Trends Immunol. 24, 286-290, 2003
【非特許文献47】
J. Biol. Chem. 278, 24526-24532, 2003

産業上の利用分野


本発明は、Toll様受容体(Toll Like Receptor:TLR)のシグナル伝達を仲介するTRIF関連アダプター分子(TRIF-related adaptor molecule;TRAM)遺伝子の機能が欠損した非ヒト動物、特にエンドトキシン等のTLR4が認識するリガンドに対して不応答性のTRAMノックアウトマウスや、これらを用いたTLR4が認識するリガンドに対する応答の促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
染色体上のTRIF関連アダプター分子(TRIF-related adaptor molecule;TRAM)遺伝子が欠損し、野生型において発現されるTRAMを発現する機能が失われており、TLR4が認識するリガンドに対する応答性が特異的に障害されているマウスを、TLR4を介したMyD88非依存的なエンドトキシン不応答性のモデル動物として使用する方法
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 審良自然免疫プロジェクト 領域
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