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イオン性フタロシアニンデンドリマーを内包した高分子ミセル構造体による光力学療法剤、光化学的遺伝子導入用の光増感剤、および医薬品 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P05P002379
整理番号 A251P53
掲載日 2005年5月20日
出願番号 特願2004-040535
公開番号 特開2005-120068
登録番号 特許第5364225号
出願日 平成16年2月17日(2004.2.17)
公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
登録日 平成25年9月13日(2013.9.13)
優先権データ
  • 特願2003-330725 (2003.9.22) JP
発明者
  • 片岡 一則
  • 張 祐銅
  • 西山 伸宏
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 イオン性フタロシアニンデンドリマーを内包した高分子ミセル構造体による光力学療法剤、光化学的遺伝子導入用の光増感剤、および医薬品 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 体内で特性が低く、周囲細胞を侵さずに癌や腫瘍などの標的細胞、あるいは遺伝子や生理活性物質を導入する標的細胞の細胞内小器官に対し効率的かつ選択的に作用する光増感剤であるフタロシアニンデンドリマーおよび、フタロシアニンデンドリマー内包高分子ミセル構造体を提供する。
【解決手段】 一般式〔1〕;
【化1】



(qはデンドリマー表面の荷電原子の数を示し、cは荷電であって負(-)または正(+)を示し、PcMは一般式〔2〕;
【化2】



で表され、式中のMは、金属原子を示し、R1、R2、R3、及び、R4は、水素原子もしくは、同一または別異のアリールエーテルデンドロンサブユニットを示し、かつ、R1、R2、R3、及び、R4のうちの少なくとも一つはアリールエーテルデンドロンサブユニットであり、一般式〔3〕;
【化3】



で表され、nは整数を示す)で表されるイオン性フタロシアニンデンドリマー、およびこれを包含する高分子ミセル構造体とする。
【選択図】 なし





従来技術、競合技術の概要


現在、癌や網膜疾患の治療に一般的に用いられている多くの化学薬品や放射線による治療法は、目標箇所以外の組織細胞への影響が大きく、痛み、発熱、嘔吐などの副作用を伴うため、患者に多大な苦痛を与える。また、これらの治療法に用いられる薬剤や放射線が周辺細胞を破壊することによる二次腫瘍も大きな問題となっている。



そこで近年、癌や腫瘍の治療を目的とした副作用の少ない薬剤や、薬剤を標的箇所である癌細胞へ直接運搬することができるドラッグデリバリーシステムに関する研究が盛んに行われている。



なかでも光力学療法(Photodynamic Therapy)は、紫外線、可視光、赤外光などの光に反応する化合物を体内に取り入れ、標的箇所に光を照射することによって標的箇所を治療する方法であるため、光照射を行わない場合、あるいは光が照射されない箇所においては、化合物が反応せず、標的箇所、つまり癌細胞のみを選択的に破壊する治療法として注目されている。



光力学療法では、高い腫瘍親和性をもち、収率よく光励起される光反応性化合物(光増感剤)が望まれる。このような光力学療法用光反応性化合物としては、ポルフィリン化合物が例示される。すなわち、これら化合物は、光照射により周囲の酸素分子と反応し、光励起させ、酸化力の強い一重項酸素(Singlet Oxygen)に変換することができ、この一重項酸素が、周辺細胞を酸化し、破壊するのである。



そこで、ポルフィリン環を結合させたオリゴマー状の化合物や、フタロシアニンに糖鎖やDNA、蛋白質などを結合した化合物が提案され、細胞認識能や腫瘍親和性を高くすることが研究されている。しかし、多くのポルフィリン化合物は、光照射を行わない状態においても毒性が高く、標的箇所以外の細胞をも破壊してしまうという問題があった。さらに、光反応の反応効率や、腫瘍親和性が低いため、大量の化合物を体内に注入することを必要とする点においても、好ましいとは言い難かったのが実状である。



また、ポルフィリン、フタロシアニンに代表される従来の光増感剤は、高濃度において凝集体を形成し、エネルギー消光により一重項酸素生成効率の著しい減少が認められる。また、このような光増感剤をリポソームや高分子ミセルなどの薬物担体に搭載した場合、同様な光増感剤の凝集により一重項酸素生成効率の著しい減少が認められる。効果的な光力学療法のためには、光増感剤の凝集を抑制し、患部への選択的な光増感剤のデリバリーと患部における効率的な一重項酸素生成を達成しうる新規技術の開発が大きな課題である。



たとえばこれまでに提案されている技術(特許文献1、特許文献2)によるとポルフィリンを有するデンドリマーとその高分子ミセル構造体により、光照射を行わない状態においても毒性を低くすることや血液中での高い溶解性などが達成されている。しかし、ポルフィリンの最大吸収波長は430nm付近で、この波長の光は皮膚での透過率が低く、組織深部に存在する腫瘍に対する処置は不可能である。



一方、遺伝子や各種生理活性物質の標的細胞への導入技術として、siRNAやアンチセンスオリゴDNAなどの核酸医薬やタンパク質医薬の開発が活発となっているが、細胞質内で機能発現するそれらの医薬品は細胞内のエンドソーム/リソソームにおいて消化分解を受けることがその有効性を大きく妨げていることが知られている。



1999年、Bergらは、これらの遺伝子、核酸医薬やタンパク質医薬のエンドソームから細胞質への移行性を光選択的に高める手段として、Photochemical Internalization (PCI)および光化学的遺伝子導入法を提案した(非特許文献1、非特許文献2)。この方法は、汎用光増感剤を細胞と前培養し、遺伝子、核酸医薬およびタンパク質医薬を細胞に作用させ、光照射を行うことにより、エンドソーム膜に光障害を与え、遺伝子、核酸・タンパク質医薬の細胞質移行性を高めるといったものである。



しかしこの方法は原理的には、遺伝子、核酸医薬およびタンパク質医薬の機能発現を光照射により制御することを可能とするが、光増感剤がエンドソーム以外の細胞小器官に非特異的に集積し一重項酸素を産生することで、細胞へ顕著な光毒性を与えるという、実用化への大きな問題がある。実際にBergらは、最大の遺伝子発現効率が得られる条件において、約50%の細胞が死滅することを報告している (非特許文献2)。この問題を解決するためには、エンドソームに特異的に集積し、エンドソーム選択的に光障害を与える新しい光増感剤の開発が必要である。加えて、in vivo法において低侵襲的な部位選択的治療を行うための有効な濃度の光増感剤および核酸・タンパク質医薬を患部に適確に送達する方法も確立されておらず、その開発も極めて重要である。
【特許文献1】
特開2001-206885号公報
【特許文献2】
特開2001-206886号公報
【非特許文献1】
K. Berg, et al., Cancer Research 59, 1180-1183 (1999)
【非特許文献2】
A. Hogest, et al., Human Gene Therapy, 11, 869-880 (2000)

産業上の利用分野


この出願の発明は、イオン性フタロシアニンデンドリマーを内包した高分子ミセル構造体による光力学療法剤、光化学的遺伝子導入用の光増感剤、および医薬品に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式〔1〕;


(qはデンドリマー表面の荷電原子の数を示し、cは荷電であって負(-)または正(+)を示し、PcMは一般式〔2〕;


で表され、式中のMは、金属原子を示し、R1、R2、R3、及び、R4は、水素原子もしくは、同一または別異のアリールエーテルデンドロンサブユニットを示し、かつ、R1、R2、R3、及び、R4のうちの少なくとも一つはアリールエーテルデンドロンサブユニットであり、一般式〔3〕;


で表され、nは2以上の整数を示し、前記の荷電cが負(-)の場合、Wはアニオン基を示し、荷電cが正(+)の場合、Wはカチオン基を示し、各々のWはスペーサー分子鎖を介して結合してもよく、その複数がベンゼン環に結合していてもよい。スペーサー分子鎖は、次式;
C(Z)Z′R4(CR56)m
(ZおよびZ′は、各々、同一または別異に、O、S、及びNのうちの一種の原子であり、R4はZ′がN原子の場合に炭化水素基であり、R5及びR6は、同一または別異に、水素原子または炭化水素基を示し、mは0または1以上の整数を示す)で表されるイオン性フタロシアニンデンドリマーを含む高分子ミセル構造体を有効成分とすることを特徴とする癌治療用の光力学療法剤。

【請求項2】
アニオン基が、酸アニオン基である請求項1記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項3】
カチオン基が、次式;N+(CR1233
(R1,R2,及びR3は、各々、同一または別異に、炭化水素基を示す。)で表される請求項1記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項4】
nが25以下の整数である請求項1ないし3のいずれか記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項5】
高分子ミセル構造体が、イオン性フタロシアニンデンドリマーと水溶性のポリアミノ酸系ポリマーとの静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項6】
水溶性のポリアミノ酸系ポリマーが、ポリアルキレングリコールとポリアミノ酸とのブロックコポリマーである請求項5記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項7】
高分子ミセル構造体が、アニオン性フタロシアニンデンドリマーと、水溶性ポリエチレングリコール-ポリL-リシンブロックポリマー(〔PEG-PLL〕)との静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項6記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項8】
高分子ミセル構造体が、カチオン性フタロシアニンデンドリマーとポリエチレングリコール-ポリL-アスパラギン酸ブロックポリマー(〔PEG-P(Asp)〕)との静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項6記載の癌治療用の光力学療法剤。

【請求項9】
一般式〔1〕;


(qはデンドリマー表面の荷電原子の数を示し、cは荷電であって負(-)または正(+)を示し、PcMは一般式〔2〕;


で表され、式中のMは、金属原子を示し、R1、R2、R3、及び、R4は、水素原子もしくは、同一または別異のアリールエーテルデンドロンサブユニットを示し、かつ、R1、R2、R3、及び、R4のうちの少なくとも一つはアリールエーテルデンドロンサブユニットであり、一般式〔3〕;


で表され、nは2以上の整数を示し、前記の荷電cが負(-)の場合、Wはアニオン基を示し、荷電cが正(+)の場合、Wはカチオン基を示し、各々のWはスペーサー分子鎖を介して結合してもよく、その複数がベンゼン環に結合していてもよい。スペーサー分子鎖は、次式;
C(Z)Z′R4(CR56)m
(ZおよびZ′は、各々、同一または別異に、O、S、及びNのうちの一種の原子であり、R4はZ′がN原子の場合に炭化水素基であり、R5及びR6は、同一または別異に、水素原子または炭化水素基を示し、mは0または1以上の整数を示す)で表されるイオン性フタロシアニンデンドリマーを含む高分子ミセル構造体を有効成分とすることを特徴とする標的細胞への光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項10】
アニオン基が、酸アニオン基である請求項9記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項11】
カチオン基が、次式;N+(CR1233
(R1,R2,及びR3は、各々、同一または別異に、炭化水素基を示す。)で表される請求項10記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項12】
nが25以下の整数である請求項9ないし12のいずれか記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項13】
高分子ミセル構造体が、イオン性フタロシアニンデンドリマーと水溶性のポリアミノ酸系ポリマーとの静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項14】
水溶性のポリアミノ酸系ポリマーが、ポリアルキレングリコールとポリアミノ酸とのブロックコポリマーである請求項13記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項15】
高分子ミセル構造体が、アニオン性フタロシアニンデンドリマーと、水溶性ポリエチレングリコール-ポリL-リシンブロックポリマー(〔PEG-PLL〕)との静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項14記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項16】
高分子ミセル構造体が、カチオン性フタロシアニンデンドリマーとポリエチレングリコール-ポリL-アスパラギン酸ブロックポリマー(〔PEG-P(Asp)〕)との静電結合型高分子ミセルであることを特徴とする請求項14記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤。

【請求項17】
請求項9ないし16のいずれか記載の光化学的遺伝子導入用の光増感剤を含むことを特徴とする医薬品。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製 領域
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