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細胞内IP3測定用分子センサー コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P05P002761
整理番号 Y2004-P001
掲載日 2005年5月20日
出願番号 特願2004-196818
公開番号 特開2005-040132
登録番号 特許第4803976号
出願日 平成16年7月2日(2004.7.2)
公開日 平成17年2月17日(2005.2.17)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
優先権データ
  • 特願2003-272241 (2003.7.9) JP
発明者
  • 谷村 明彦
  • 東城 庸介
  • 根津 顕弘
  • 森田 貴雄
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 細胞内IP3測定用分子センサー コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 細胞内のイノシトール1,4,5三リン酸(IP3)の濃度を高精度で定量する分子センサーに関する。
【解決手段】 IP3受容体のリガンド結合部及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を起こす2種の蛍光物質から成る分子センサーである。この2種の蛍光物質として、ECFP又はその改変体及びEYFP又はその改変体が好ましい。この分子センサーをコードする遺伝子を細胞などに導入し、この分子センサーを発現した細胞(SH-SY5Y細胞)にIP3を結合させると、2種の蛍光物質(例えば、ECFPとEYFP)の間の蛍光共鳴エネルギー転移の効率が変化するので、蛍光強度の比を感知してIP3を測定する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


IP3は細胞が神経伝達物質、ホルモン、増殖因子などの刺激を受けることによって細胞内で産生され、Ca2+シグナルを誘導する細胞内メッセンジャーである。IP3が特異的に作用するターゲットであるIP3受容体は、小胞体などの細胞内Ca2+貯蔵部位(Ca2+ストア)に分布するCa2+チャネルである。IP3受容体が活性化すると、ストアから細胞質にCa2+が放出される。
IP3-Ca2+系は血圧、学習、免疫機能、内分泌及び外分泌機能、炎症などの調節において重要な働きをしており、IP3-Ca2+系の障害が記憶・学習機能、運動機能、発生に深刻な障害を与えることなどが明らかにされている(非特許文献1等)。従って、IP3濃度の定量はこのような病態の解明、治療や診断法の確立、薬剤の開発において極めて重要である。
特に近年、fura-2などのCa2+感受性蛍光色素を用いて、生きた細胞のCa2+反応をリアルタイムで可視化する技術が確立された(非特許文献2)。このような研究によって、IP3が時間・空間的なパターンの異なる多彩なCa2+シグナルを発生させることが明らかにされてきた。しかし、従来の技術では細胞内のIP3を測定することができない。



現在一般的に行われているIP3の定量法は、IP3結合タンパク質を用いた競合アッセイ、あるいはイオン交換樹脂を用いたIP3の分離定量である(非特許文献3等)。これらは、検出トレーサーとして放射性同位元素を用いるため操作が煩雑である。これらの方法は、細胞集団から抽出したサンプルを用いてIP3濃度を測定するため、細胞内のIP3濃度やその動態を知ることはできなかった。
近年、蛍光ラベルしたIP3結合タンパク質の蛍光強度の変化によってIP3濃度を定量する方法が開発されている(非特許文献4)。この方法は、放射性同位元素を用いる方法より簡便であるが細胞集団から抽出したサンプルを用いる点は同じである。
従来法の中で最も注目されているのは、IP3結合タンパク質(PLCdのPHドメイン)とGFPの融合遺伝子を細胞に導入し、その遺伝子でコードされる融合タンパク質(GFP-PHD)の局在によって細胞内のIP3濃度の変化を解析する方法である(非特許文献5及び6、特許文献1)。この方法によって、生きた細胞でIP3の動態を知ることが初めて可能になった。しかし、GFP-PHDが細胞膜から遊離する微少な分布の変化を検出する必要があり定量的な測定は極めて難しい。また、この解析には共焦点レーザー顕微鏡が不可欠であり、汎用性が低い。
なお、IP3受容体においてIP3と高親和性を示す領域があることが知られている(非特許文献7、特許文献2)。
また最近、2種類の蛍光物質(例えば、フルオロセイントとローダミン、ECFPとEYFP)の間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した分子プローブの開発が注目されており(非特許文献8~10)、各種標的物質や阻害剤などの検出に用いられている(特許文献3,4)



【特許文献1】
特開2000-135095
【特許文献2】
特開2000-60565
【特許文献3】
特表2003-513271
【特許文献4】
WO 98/40477
【非特許文献1】
Matsumoto et al. Nature 379:168-171 (1996)
【非特許文献2】
G.Brooker et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,87:2813-2817 (1990)
【非特許文献3】
D.S.Bredt et al., Biochimi. Biophysi. Res.Commun., 159:976-982 (1989)
【非特許文献4】
Mori T. et al., J. Am. Chem. Soc., 124: 1138-1139 (2002)
【非特許文献5】
K. Hirose, et al., Science 284: 1527-1530 (1999)
【非特許文献6】
T. Uchiyama et al., J. Biol. Chem., 277: 8106-8113 (2002)
【非特許文献7】
日本薬誌(Folia Pharmacol. Jpn.) 121, 241-253 (2003)
【非特許文献8】
B.A. Pollok and R. Heim. Trends in Cell Bioloby, 9:57-60(1999)
【非特許文献9】
Adams SR. et al. Nature 349: 694-697 (1991)
【非特許文献10】
Miyawaki A. et al., Nature 388: 882-887 (1996)

産業上の利用分野


この発明は、細胞内カルシウム・シグナルを誘導する最も重要な細胞内メッセンジャーの1つである、イノシトール1,4,5三リン酸(以下「IP3」ともいう。)の濃度を高精度で測定する分子センサー及びこの分子センサーを用いたIP3の測定法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
IP受容体のリガンド結合部及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を起こす2種の蛍光物質から成る分子センサーであって、前記IP受容体のリガンド結合部が、以下の(1)又は(2)のいずれかのポリペプチドから成る分子センサー。
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列の265~489番目のいずれかから842~868番目のいずれかまでのアミノ酸配列を含むポリペプチド
(2)(1)のポリペプチドにおいて、1若しくは数個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、イノシトール1,4,5三リン酸との親和性を有するポリペプチド

【請求項2】
前記蛍光物質が、蛍光タンパク質ECFP又はその改変体及び蛍光タンパク質EYFP又はその改変体から成る請求項1に記載の分子センサー。

【請求項3】
更に、局在化シグナルを有する請求項1又は2に記載の分子センサー。

【請求項4】
前記蛍光タンパク質ECFPが、(3)又は(4)のいずれかのポリペプチドから成り、蛍光タンパク質EYFPが、(5)又は(6)のいずれかのポリペプチドから成る請求項1~3のいずれか一項に記載の分子センサー。
(3)配列番号1で表されるアミノ酸配列の21~259番目のアミノ酸配列から成るポリペプチド
(4)(3)のポリペプチドにおいて、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、465~495nmにピークを有する光を発光するポリペプチド
(5)配列番号1で表されるアミノ酸配列の899~1137番目のアミノ酸配列から成るポリペプチド
(6)(5)のポリペプチドにおいて、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、522~548nmにピークを有する光を発光するポリペプチド

【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の分子センサーをコードするDNA。

【請求項6】
請求項5に記載のDNAを含む組換えベクター。

【請求項7】
請求項6に記載の組換えベクターにより形質転換された形質転換体(ヒトを除く。)

【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の分子センサーを細胞内に有する細胞(ヒトを除く。)

【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の分子センサーを体内に有する動物(ヒトを除く。)又は植物。

【請求項10】
請求項7に記載の形質転換体、請求項8に記載の細胞又は請求項9に記載の動物若しくは植物に350~500nmの光を照射して、400~515nm及び515~600nmにおける蛍光を測定し、これらの蛍光強度を指標として、該形質転換体又は該細胞におけるイノシトール1,4,5三リン酸の濃度を見積もる方法。

【請求項11】
請求項7に記載の形質転換体、請求項8に記載の細胞又は請求項9に記載の動物若しくは植物に未知の薬剤を導入し、これに350~500nmの光を照射して、400~515nm及び515~600nmにおける蛍光を測定し、これらの蛍光強度を指標として、IP受容体のリガンド又は阻害剤をスクリーニングする方法。

【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の分子センサーから成るIP3検知装置。

【請求項13】
請求項12に記載の装置と被検物とを接触させ、350~500nmの光を照射して、400~515nm及び515~600nmにおける蛍光を測定し、これらの蛍光強度を指標として、被検物中のイノシトール1,4,5三リン酸の濃度を見積もる方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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