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塩基性抗菌性ペプチドを有効成分とする細胞増殖剤 コモンズ

国内特許コード P05P001993
整理番号 Y2003-P297
掲載日 2005年6月24日
出願番号 特願2003-395008
公開番号 特開2005-154338
登録番号 特許第4293889号
出願日 平成15年11月26日(2003.11.26)
公開日 平成17年6月16日(2005.6.16)
登録日 平成21年4月17日(2009.4.17)
発明者
  • 二川 浩樹
  • 濱田 泰三
  • 青木 美枝
  • 西村 正宏
  • 辻 紘一郎
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 塩基性抗菌性ペプチドを有効成分とする細胞増殖剤 コモンズ
発明の概要

【課題】 間葉系幹細胞などの各種細胞をインビトロ等で効率よく増殖させることができる細胞増殖剤や、かかる細胞増殖剤を用いた、実際の臨床応用における組織移植の際の術後感染の防止という観点からも非常に重要である細胞の増殖方法を提供すること。
【解決手段】 ミトコンドリアのシグナルペプチド、ヒスタチン-5、ウシ及びヒトのラクトフェリシン等の天然由来の抗菌性ペプチドや、本発明者により合成された2つの抗菌性ペプチド(特開2002-179698号公報、特開2002-179699号公報)等の設計された抗菌性ペプチドの存在下で、間葉系幹細胞を増殖させる。その際、塩基性線維芽細胞増殖因子等の細胞増殖因子を併存させることもできる。

従来技術、競合技術の概要


現在、医科歯科領域において組織再生医学に関する研究および臨床応用が趨勢を極めている。このような組織再生には、主として患者から採取した自己細胞(特に幹細胞)を体外で培養/増殖/分化させ、再生した組織を移植するという型がとられている。例えば、間葉系幹細胞を培養/増殖させる場合に、主として塩基性線維芽細胞増殖因子(塩基性FGF)が用いられている(例えば、特許文献1参照)が、この塩基性FGFは非常に高価であり、このため大量培養や増殖が非常に高価なものになる。また、培養途中、あるいは生体移植時に感染の恐れがあり、感染した場合には術後経過・予後が非常に悪くなるという問題が残っている。



一方、生物は外界の微生物に対して自らを防御するため、様々な防御機構を備えているが、その一つに抗菌性ペプチドを挙げることができる(例えば、非特許文献1参照)。かかる抗菌性ペプチドは、本来生物自らが産生しているものであるため、生体に対しての副作用あるいは阻害作用は極めて小さく、しかも細菌(グラム陽性、陰性を含む)及び真菌と広い抗菌スペクトルを持っている為に、抗生物質に代わり得るものとして大きな期待を集めている。



かかる抗菌性ペプチドとして、ヒスタチン(Histatin)、ディフェンシン(Defensin)、ラクトフェリン(Lactoferrin)、ラクトフェリンの分解産物であるラクトフェリシン(Lactoferrcin)、マガイニン(Magainin)、セクロピン(Cecropin)、メリチチン(Melititin)、マキュラチン(maculatin)等の天然由来の抗菌性ペプチドや、オランダのACTAグループによりヒスタチン誘導体として合成されたDhvar4及びDhvar5(例えば、非特許文献2参照)、本発明者により合成された2つの抗菌性ペプチド(例えば、特許文献2及び3参照)等の設計された抗菌性ペプチドが知られている。



天然のヒトヒスタチンファミリーとして、ヒトの顎下及び耳下の唾液分泌液中に見られる、ヒスチジンに富む12種類の低分子量ペプチド群が知られている(例えば、非特許文献3~5参照)。これらヒスタチン類の中でも、それぞれ38、32及び24アミノ酸残基から構成されているヒスタチン1、3及び5がヒト唾液中に多く存在しており、成人健常者の唾液中に50~450μg/mlの濃度で存在している(例えば、非特許文献6参照)。抗カンジダ作用が最も高いとされているヒスタチン5は、ヒスタチン3の32のアミノ酸残基の1~24残基と共通したアミノ酸配列を有している。



ディフェンシンファミリーは、6個のシステイン残基が3対の分子内ジスルフィド結合を形成するカチオン性のペプチドとして特徴づけられている。これらのシステイン残基のジスルフィド結合の組合せにより、ヒトディフェンシンファミリーは、α-及びβ-の2種のサブファミリーに分類される。1985年にGanzらにより初めて見出されたヒトα-ディフェンシンについては、現在6個の異なる分子が報告されている。また、ヒトβ-ディフェンシンには、腎臓、膵臓、尿管、気道、その他数種の上皮組織で構成的に発現するヒトβ-ディフェンシン-1と、皮膚、肺、口腔粘膜、唾液などにも存在することが確認され、41アミノ酸残基から成るシステインリッチのカチオン性ペプチドであるヒトβ-ディフェンシン-2とが知られている(例えば、非特許文献7参照)。また、ヒトβディフェンシン1及びヒトβディフェンシン2が、歯周炎の原因菌の1つであるグラム陰性菌のActinobacillus actinomycetemcomitanに強い抗菌活性があることや、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythus、Prevotella intermedia、Campylobacter rectus、Fusobacteriumspecies、Eubacterium species、Treponema speciesなどの歯周炎原因菌にも抗菌活性があることが知られている(例えば、特許文献4参照)。



一般に,このような抗菌性のペプチドは塩基性~中性であり、かつ両親媒性である。微生物の細胞膜あるいは細胞壁は生体細胞に比べて陰性荷電が非常に高く、このようなペプチドの塩基性(pI値が高い)という性質は、微生物の細胞膜との(非特異的ではあるが)選択的な初期結合を促進するために必要であると考えられている。したがって、pI値が低く生理学的pH域で陽性(+)に荷電しにくいペプチドの場合、その多くが抗菌性はあっても細胞毒性が高いことが知られている。このように、抗菌ペプチドは、本来自然免疫と関連して、外来性の微生物刺激に反応して分泌される。このようなペプチドは、だ液などのイオン強度の低い溶液中では非常に強い抗菌活性を示す事が知られている(例えば、非特許文献8,9参照)。例えば、ヒスタチン5は20~50mMPBSで抗菌活性を失うことが知られている。また、歯肉線維芽細胞や歯根膜細胞によっても産生されるβ-ディフェンシンは組織内ではほとんど抗菌活性は示さない(例えば、非特許文献10参照)。これは組織液や血液のイオン強度が高いため抗菌活性が失われていると考えられている。

【特許文献1】特開2003-52365号公報

【特許文献2】特開2002-179698号公報

【特許文献3】特開2002-179699号公報

【特許文献4】特開2001-288105号公報

【非特許文献1】デンタルダイヤモンド 26, No.356, 85-90, 2001

【非特許文献2】FEBS Lett, 449, 105-110, 1999

【非特許文献3】J.Biol.Chem., 261, 1177-1182, 1986

【非特許文献4】J.Biol.Chem., 263, 7472-7477, 1988

【非特許文献5】J.Dent.Res., 69, 2-6, 1990

【非特許文献6】J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998

【非特許文献7】Eur J Oral Sci; 109, 121-124, 2002

【非特許文献8】J.Biol.Chem., 273, 20438-20447, 1998

【非特許文献9】Biochim Biophys Acta., Dec 15;1462(1-2), 55-70, 1999

【非特許文献10】Jpn. J. Med Mycol, 41, 77-81, 2000

産業上の利用分野


本発明は、塩基性抗菌性ペプチドを有効成分とする細胞増殖剤や、かかる細胞増殖剤を用いた細胞のインビトロ増殖方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1~7のいずれかに示されるアミノ酸配列からなる塩基性抗菌性ペプチドを有効成分とすることを特徴とする間葉系幹細胞増殖剤。

【請求項2】
間葉系幹細胞が、歯槽骨の骨髄、口蓋又は歯槽骨の骨膜から分離された間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項記載の細胞増殖剤。

【請求項3】
請求項1又は2記載の細胞増殖剤を用いて、インビトロにおいて細胞を増殖させることを特徴とする間葉系幹細胞の増殖方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
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