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Akt活性特異的抑制ポリペプチド 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P05P002736
整理番号 Y2003-P583
掲載日 2005年8月12日
出願番号 特願2004-134583
公開番号 特開2005-198643
登録番号 特許第4819321号
出願日 平成16年4月28日(2004.4.28)
公開日 平成17年7月28日(2005.7.28)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
優先権データ
  • 特願2003-416556 (2003.12.15) JP
発明者
  • 野口 昌幸
  • 岡田 太
  • 廣村 信
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 Akt活性特異的抑制ポリペプチド 新技術説明会 実績あり
発明の概要 【課題】Akt(Protein Kinase B)の活性を特異的に抑制するポリペプチド、そのDNA、その抗体、及びAkt活性の阻害剤或いは抗腫瘍剤等を提供する。
【解決手段】該ポリペプチドは、ヒトTCL1のアミノ酸配列のうち特定部位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、ヒトTCL1Bのアミノ酸配列のうち特定部位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、ヒトMTCP1のアミノ酸配列のうち特定部位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、マウス又はラットTCL1のアミノ酸配列のうち特定部位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、及びその誘導体からなる。更に、該ポリペプチドをコードする特定の配列のDNA、及び該ポリペプチドに特異的に結合する抗体を包含する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


Aktキナーゼ(Protein Kinase B:以下、Aktと表示する。)は1990年代の初めに相次いでウイルスv-Aktとの相同性を手がかりに見つけられたセリンスレオニンリン酸化酵素である。現在までに3つのサブタイプがあることが確認されている。これらの分子は80%程度の相同性があり、当初から癌化との関連性が注目されていた。特に、サイトカインの細胞内シグナル伝達の中で細胞死を抑制する中心的な役割を担っていることがわかり注目されている(Genes & Dev., 13:2905-2927, 1999; Annu. Rev. Biochem., 67:481-507, 1998; Biochem.J., 335: 1-13, 1998)。



このAktは、分子量約57kDで、プレクストリン相同ドメイン(pleckstrin homology domain:PHドメイン)にイノシトールリン酸が選択的に結合し、主に細胞膜への局在を規定する役割を果たす機能をN末端に持つ。また、C末端側には、リン酸化キナーゼドメインを持つ。ホスファチディルイノシトール-3-キナーゼ(Phosphatidylinositol 3-kinase:P13K)からのシグナルによりPHドメインにPIP3などが結合し、Akt分子が細胞膜に移行すること、並びにAktの三次構造を変化させることがその活性化に関与していると推測されている。



Aktの活性化にはスレオニン308基(Thr308)、セリン473基(Ser473)の2つのアミノ酸のリン酸化が必須であると考えられている。Thr308はPDK(phosphoinositide dependent kinase)によりリン酸化されることが知られているが、Ser473のリン酸化のプロセスは十分に解明されておらず、ILK(integrin linked kinase)やPDK2などのいくつかの不確定な分子がそのリン酸化のプロセスに関与している可能性が推測されているに過ぎない。また、最近Ser473のリン酸化に自己リン酸化が可能性も報告されている。



活性化されたAktは細胞死抑制に関与する分子のリン酸化を促進することが知られている。このAktによりリン酸化されるセリン/スレオニン近傍のアミノ酸配列はRXRXXS/Tとして知られている(J. Biol. Chem.in press,2000)。BAD.Caspace 9.FKHRI(forkhead transcription factor)などの分子はこれらのアミノ酸配列を持ち、Aktの生理的条件下での基質として知られている。不活性型BADがAktによりリン酸化され、リン酸化依存的に14-3-3タンパク質と結合し、活性型Bcl-2やBcl-XLなどの細胞死抑制作用のあるタンパク質を遊離する。これらの既知の機能並びに未解明の種々のターゲットを介してAktはアポトーシス抑制制御の中心的な役割を担っていると考えられている(Cell,96:857-868,1999)。



このようにセリン/スレオニンキナーゼAktは、細胞内タンパク質のセリン又はスレオニン残基を特異的にリン酸化する機能を有しており、該リン酸化機能によって多細胞器官へのシグナル伝達を媒介する役割を担っている。そして、該Aktのリン酸化機能によって細胞内の種々の機構が調節されている。例えば、有糸分裂、細胞増殖、細胞分化、脂質代謝の制御、免疫応答、炎症性応答、グリコーゲンの代謝の制御等、細胞内の種々の機構の調節に関与している。同時に、このことは、癌、肥満症、自己免疫障害、炎症、及び糖尿病(II型)のような広範囲な種々の疾患や障害に関与していることを意味する。



近年、Aktの活性化が、乳がん、肺がん、前立腺がん、卵巣がん、或いは、白血病及びリンパ系腫瘍のような血液系がん等に関与することが報告されている(Annu. Rev.Biochem. 68,965,1999)。これらの悪性腫瘍においてはAktの活性が上昇することから、Aktの活性化がこれらの悪性腫瘍の原因となっていると考えられている。最近、これらのセリン/スレオニンキナーゼの活性を、セリン/スレオニンキナーゼのHJループの誘導体であるショートペプチドを用いて調節し、上記のような疾患や障害の治療を行う試みもなされている(特表2002-500649号公報)。



一方で、プロトオンコジーンとしてTCL1が知られている。TCL1は、ヒトT細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)でその活性が上がることで注目され、これまでに3つの類似するサブタイプ(TCL1、MTCP1、TCL1b)があることが知られている(Oncogene,8:2475-2483,1993;Proc. Natl. Acad. Sci. USA,91:12530-12534,1994)。これらの遺伝子座、14q、32、χ28がT細胞受容体遺伝子座に転座することによりその発現が活性化され、ヒト白血病(T-PLL)を起こすことが知られている。しかし、13~16kDの小さなタンパク質で、これまでに知られている特有な機能構造を持たないことから、その機能は全くわからなかった。



生理的条件下でのこれらの分子の発現は、比較的限定されている。TLC1発現は、分化早期(CD3-/CD4-/CD8-)T細胞、並びに形質細胞分化前までの各種B細胞のリンパ系細胞に限られている。また、MTCP1の生理的条件下での発現の詳細は不明であるが、最近の遺伝子発現の解析結果から活性化T細胞で発現が誘導されていることが確認された。TCL1bは、ごく最近クローニングされた分子で、TCL遺伝子座の極めて近くに存在する。マウスでは5種のサブタイプが存在し、ヒトでは1種のみが存在すると考えられている。この遺伝子の発現は分化初期の胚芽細胞で非常に高い発現があることが報告されている。



TCL1の遺伝子はクローニングされ、1324の塩基配列と113のTCL1のアミノ酸配列が明らかにされている(米国特許第5,985,598号明細書)。



しかし今まで、TCL1の機能については全く分かっていなかった。本発明者らは、Akt活性化のプロセスを解明する目的でAktに結合するタンパク質分子を酵母を用いたtwo-hybrid法によりヒトB細胞由来のライブラリーを用いて検索した結果、プロトオンコジーンTCL1がAktと結合することを見い出した。すなわち、TCL1がAktと結合し、多量体を形成し、その多量体のAktが活性化されることを示し、TCL1がAktの活性化を促すAktの活性補助因子であることを見い出した(Mol. Cell,6:395-407,2000)。更に、本発明者らは、TCL1がAktを介した細胞分裂、細胞死(アポトーシス)の抑制などを亢進し、白血病やヒトリンパ系の腫瘍の病因となっていることを明らかにし、その後の研究により、細胞内及び細胞外でのリコンビナントタンパクを使った免疫共沈法により、TCL1が異種のAkt分子間での重合形成を促進し、TCL1が異種のAkt分子の間でAktセリン472/473残基のリン酸化を促進することを示し、TCL1がAktを活性化する分子学的な機序を明らかにした(J. Biological Chemistry,277[5],3743-3751,2002)。



更に、本発明者らはPCR法を応用したTCL1オンコジーンのアミノ酸ランダムライブラリーを作成し、TCL1とAktの結合並びにTCL1の重合形成に必要なアミノ酸部位を同定し、また、TCL1のダイマー形成或いはAktとの結合能を欠く変異型TCL1を同定した。そして、この変異型TCL1はAktを活性化(in vitoro或いはin vivoとも)する能力を欠き、ミトコンドリア外膜の安定化、細胞死抑制、Aktの核内への移行などTCL1の各種機能を失うことを確認した(Molecular and Cellular Biology,22[5],1513-1525,2002)。すなわち、本発明者らはこれまで機能の分からなかったプロトオンコジーンTCL1が、Aktの活性補助因子であり、その活性化にAktとの結合、TLC1同士の重合形成が必須であることを見い出した。
【特許文献1】
特表2002-500649号公報。
【特許文献2】
米国特許第5,985,598号明細書。
【非特許文献1】
Genes & Dev.,13:2905-2927,1999。
【非特許文献1】
Annu.Rev.Biochem.,67:481-507,1998。
【非特許文献1】
Biochem.J.,335:1-13,1998。
【非特許文献1】
J. Biol. Chem.in press,2000。
【非特許文献1】
Cell,96:857-868,1999。
【非特許文献1】
Oncogene,8:2475-2483,1993。
【非特許文献1】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA,91:12530-12534,1994。
【非特許文献1】
Mol. Cell,6:395-407,2000。
【非特許文献1】
J. Biological Chemistry,277[5],3743-3751,2002。
【非特許文献1】
Molecular and Cellular Biology,22[5],1513-1525,2002。

産業上の利用分野


本発明は、セリンスレオニンキナーゼAkt(Protein Kinase B)の活性を特異的に抑制するポリペプチド、該ペプチドをコードするDNA及び該ポリペプチドを有効成分とするAkt活性の特異的阻害剤或いは該ポリペプチドを有効成分とする抗腫瘍剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列表の配列番号1、配列番号7、又は配列番号9に示されるアミノ酸配列からなるAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチド。

【請求項2】
配列表の配列番号1、配列番号7、又は配列番号9に示されるアミノ酸配列において、N末端及びC末端のそれぞれ1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチド。

【請求項3】
以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子DNA。
(a)配列番号1、配列番号7、又は配列番号9に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号1、配列番号7、又は配列番号9に示されるアミノ酸配列において、N末端及びC末端のそれぞれ1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチド。

【請求項4】
配列番号2、配列番号8、又は配列番号10に示される塩基配列を含み、かつAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチドをコードするDNA。

【請求項5】
請求項3又は4記載のAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチドをコードするDNAを、遺伝子発現ベクターに組込んで構築したことを特徴とする組換え発現ベクター。

【請求項6】
請求項記載の組換え発現ベクターを宿主細胞に導入し、発現することを特徴とするAktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチドを製造する方法。

【請求項7】
請求項1又は2記載のポリペプチドを有効成分とするAktのキナーゼ活性の特異的阻害剤。

【請求項8】
ポリペプチドがヒトTCL1のタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸残基10~24の配列であることを特徴とする請求項記載のAktのキナーゼ活性の特異的阻害剤。

【請求項9】
ポリペプチドがマウスTCL1のタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸残基9~24の配列であることを特徴とする請求項記載のAktのキナーゼ活性の特異的阻害剤。

【請求項10】
ポリペプチドがラットTCL1のタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸残基9~24の配列であることを特徴とする請求項記載のAktのキナーゼ活性の特異的阻害剤。

【請求項11】
請求項1又は2記載のポリペプチドを有効成分とする、ホスホイノシチドのAktへの結合の阻害剤。

【請求項12】
請求項1又は2記載のポリペプチドを有効成分とする抗腫瘍剤。

【請求項13】
抗腫瘍剤が、悪性腫瘍の予防、治療のための薬剤であることを特徴とする請求項12記載の抗腫瘍剤。

【請求項14】
悪性腫瘍の治療が、乳がん、肺がん、白血病、又はリンパ系腫瘍の予防、治療であることを特徴とする請求項13記載の抗腫瘍剤。

【請求項15】
請求項3又は4記載Aktのキナーゼ活性を特異的に抑制するポリペプチドをコードするDNAを生体細胞(ヒト生体細胞を除く)に導入し、該ポリペプチドを発現することにより、Aktのキナーゼ活性を特異的に抑制する方法。
国際特許分類(IPC)
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