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超音波モータとこれを用いた穿刺システム

国内特許コード P05A007464
整理番号 IP22
掲載日 2005年9月2日
出願番号 特願2003-426049
公開番号 特開2005-185072
登録番号 特許第4288349号
出願日 平成15年12月24日(2003.12.24)
公開日 平成17年7月7日(2005.7.7)
登録日 平成21年4月10日(2009.4.10)
発明者
  • 田中 幹也
  • 岡 正人
  • 沖 俊任
  • 若佐 裕治
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 超音波モータとこれを用いた穿刺システム
発明の概要 【課題】 MRI装置により発生する磁場の影響を受けにくく高い精度で正確な位置に穿刺することのできる穿刺システムとこれに用いる超音波モータを提供することである。
【解決手段】 弾性振動体5aに着接された圧電素子6a,6bを超音波振動させることによって弾性振動体5aに進行波を発生させ、かつ、これに動体2aを圧着させることによって弾性振動体5aと動体2aとの間に発生した摩擦力を駆動力として作動する超音波モータにおいて、螺旋状の第1の山部3bと第1の谷部3aと第1の側面部3cを備える雄ネジ部3と、この雄ネジ部3に螺合し螺旋状の第2の山部4bと第2の谷部4aと第2の側面部を備える雌ネジ部4とを有し、圧電素子6a,6bが着接された弾性振動体5aを第1の山部3b、第1の谷部あるいは第1の側面部3cの表面に設け、雌ネジ部4を動体2aとするものである。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


一般に、検体の頭部を穿刺して行う手術方法に定位脳手術がある。定位脳手術とは、固定した検体の頭部をMRI(磁気共鳴画像)装置やCT(コンピューター断層撮影)装置を用いて撮影して手術目標を事前に定め、その後、この手術目標に従って低侵襲で脳深部のごく一部にある病変に対して穿刺針を正確に挿入する方法であり、高血圧性脳内出血の治療法の1つである穿頭血腫吸引術やパーキンソン病治療のDBS(脳深部刺激療法)等に用いられている。



しかしながら、MRI装置は静磁場中に置かれた検体に対して特定周波数の電磁場を与えて検体内の水素原子核を励起させ、この励起された水素原子核が元の状態に戻る間に生じる特定周波数のMR信号(核磁気共鳴信号)を検出してコンピュータで処理することにより検体の断層像を得るものであるため、MRI装置を作動させた状態で断層像を見ながら手術を行うことは困難であるという課題があった。



このような課題に対処するため、いくつかの発明及び考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「処置器具」という名称で、MR像(核磁気共鳴像)を見ながら外科手術を行うことのできる処置器具に関する発明が開示されている。



以下、図7(a)を参照しながら、特許文献1に開示された技術について説明する。
特許文献1の発明である処置器具は図7(a)に示すようにオープンマグネット型MRI装置の静磁場発生用磁石24を構成する一対のマグネット24a,24b間に形成される空間27内で用いられ、処置器具の一つに図7(a)に示すような定位脳手術装置11がある。これはオープンマグネット型MRI装置の手術台28に固設された基台21上に固定される固定環12と、これに回転可能に取り付けられた円弧状のアーム17とから構成され、固定環12には患者22の頭部23を固定するための複数の固定ピン14が、アーム17には処置用プローブや内視鏡等の処置器具20を保持した保持具19がスリット18に沿って移動可能に具備されている。また、固定環12内部にはオープンマグネット型MRI装置からのMR信号を検出するためのMR信号検出コイル13が埋設されており、これはチューナー15に設けられたコネクタ16及び信号伝送ケーブル26を介してオープンマグネット型MRI装置側のコネクタ25に接続されている。なお、処置器具20は磁界中においてほとんどあるいは全く磁化を示さずMRIにほとんど歪みを起こさない材料から構成されているものとする。
このような構造より、オープンマグネット型MRI装置の静磁場中に固定環12で頭部23を固定された患者22に対してRFコイルを用いて特定周波数の高周波磁場を与えることによって頭部23から発生されるMR信号を固定環12内部のMR信号検出コイル13で検知し、頭部23の断層像を得ることが可能である。またこれにより、得られた断層像から患者22頭部23の処置すべき患部の位置を決めて患部に向って処置器具20を挿入することにより外科的処置を行うことができる。したがって、患部に最も近い位置にMR信号検出コイル13を置く構造とすることで手術全体のシステムの簡素化が可能となる。



特許文献2には、「外科手術支援装置」という名称で、手術操作において手術器具の位置及び手術過程を画面上にリアルタイムに表示することのできる外科手術支援装置に関する発明が開示されている。



以下、特許文献2を引用しながら、特許文献2に開示された技術について説明する。
特許文献2の外科手術支援装置は被検体の断層像の画像データを記憶させておく画像記憶手段と、被検体が横たわっている手術台の一の端部に設けられ3次元の傾斜磁場を発生させる磁気ソースと、被検体に手術を施すための手術器具と、手術器具に具備され手術器具の3次元位置を検出する磁気センサと、画像記憶手段に記憶された所定の画像に磁気センサから得られた手術器具先端部の位置情報を演算合成して画面上に表示する実空間座標値検出手段、画像空間座標値変換手段、画像選択手段、画像合成手段及び表示手段とから構成されている。また、手術器具先端部の位置情報の演算手段には手術器具の挿入領域を算出する挿入領域演算手段やこの挿入領域演算手段で算出された手術領域の画像上の位置の画素値を別の画素値に置き換える画素値置換手段が設けられており、手術履歴画像を表示できるようになっている。したがって、あらかじめ被検体の断層像を画像記憶手段に収集記憶させておき、磁気センサによって手術器具の位置を検出して算出しこの手術器具の位置情報をもとに記憶させておいた断層像に手術器具の位置を合成表示することによって断層像を見ながらリアルタイムで手術を行うことができる。また、手術履歴画像を得ることができるという点においては手術操作を行った組織とそうでない組織を区別することができ、手術を効率よくかつ安全に行うことができる。



特許文献3には、「手術装置」という名称で、MRI装置計測領域に手術台を設けかつ内視鏡や超音波スキャナ等を用いて局所的な画像をモニタしながら遠隔操作で手術を行うことのできる手術装置に関する発明が開示されている。



以下、特許文献3を引用しながら、特許文献3に開示された技術について説明する。
MRI装置を使用しながらマニピュレータによる遠隔手術を行うことのできる特許文献3の手術装置は、術具を支持する操作マニピュレータと、これを操作する操作入力手段と、術具の作業領域を局所的に観察するための映像手段、例えば、MRI装置、内視鏡及び超音波スキャナ等とこれらの検出結果より得られる画像を表示するモニタ等と、検体を載せる手術台とから構成されている。そして、操作マニピュレータ及びMRI装置は手術台の長手方向に対してスライド可能な構造となっており、処置あるいは撮影する患部位置に応じて移動できる構造となっている。また、操作入力手段には触覚や力を検出する手段が設けられており術具が患部組織から受ける力や感触がフィードバックされて医師等の操作入力者に伝わるとともに、モニタ上の映像を必要に応じてMR画像、内視鏡画像あるいは超音波スキャナ画像に切り替えることが可能である。さらには、危機管理制御装置を設けてMRI装置による計測中に操作マニピュレータ、内視鏡及び超音波スキャナを電気的に停止状態(機械的ロック状態)にして動作しないように制御してMRI装置により発生する磁場の影響を回避する工夫がなされており、安全性の高い手術を行うことができるようにしている。



また、MRI装置ではその動作原理に磁界を利用しているため、MRI装置使用下で手術を行えるシステムの駆動手段としては磁界を発生せず、しかも、MRI装置によって発生される磁場の影響を受けない超音波モータを用いたアクチュエータが好適とされている。
超音波モータに関する発明には、例えば、特許文献4に「超音波モータ」という名称で、構造が簡易で安価な振動特性にばらつきの少ない超音波モータが開示されている。



以下、図7(b)乃至(d)を参照しながら、特許文献4に開示された技術について説明する。
図7(b)に示すように超音波モータ29は振動の節の部分を支持リング33で支持したパイプ状圧電楕円運動振動子30と、このパイプ状圧電楕円運動振動子30の中空部を貫通し両端部がねじ切られている軸と、パイプ状圧電楕円運動振動子30の両端部に具備されるカップ状ローター32と、軸の両端に螺合されたねじ31とで構成され、カップ状ローター32は軸の両端部にねじ31を螺着させることによってパイプ状圧電楕円運動振動子30の両端部に圧接された構造となっている。また、パイプ状圧電楕円運動振動子30の周表面にはパイプ状圧電楕円運動振動子30の長手方向と平行に4つ分割電極34~36が施されている(4つの分割電極のうち1つは図示せず)。そして、このような構造の超音波モータ29は、分割電極34,36を接続して一つのプラス端子とし残りの分割電極35と図示していない分割電極を接続してマイナス端子として第1の交流電圧を印加すると図7(c)に示すようにパイプ状圧電楕円運動振動子30の中央部が下側あるいは上側に膨らむように屈曲する。すなわち、パイプ状圧電楕円運動振動子30が上下方向に屈曲振動する(以下、第1の屈曲振動と呼ぶ。)。また、分割電極35,36を接続してマイナス端子とし分割電極34と図示していない分割電極を接続してプラス端子として第2の交流電圧を印加すると図7(c)におけるパイプ状圧電楕円運動振動子30の振動方向と垂直な方向、つまり、左右方向にパイプ状圧電楕円運動振動子30が屈曲振動する(以下、第2の屈曲振動と呼ぶ。)。
したがって、このような駆動原理により第1及び第2の交流電圧の位相を変え第1及び第2の屈曲振動の位相をずらすことによって、図7(d)に示すようにパイプ状圧電楕円運動振動子30を円運動または楕円運動させることができる。そして、これによりパイプ状圧電楕円運動振動子30の円運動または楕円運動による回転力が両端部のカップ状ローター32に伝達され、さらに、カップ状ローター32がパイプ状圧電楕円運動振動子30内部に貫通している軸と一緒に回転することによって超音波モータ29を駆動させることができる。なお、カップ状ローター32はねじ31でパイプ状圧電楕円運動振動子30に圧接されているため自動的に位置決めされベアリングを用いなくても安定に回転する。つまり、振動特性のばらつきが少ない超音波モータを得ることができる。



【特許文献1】
特開平9-94233号公報
【特許文献2】
特開2003-153876号公報
【特許文献3】
特開平10-146341号公報
【特許文献4】
特開平2-164285号公報

産業上の利用分野


本発明は、MRI装置対応の穿刺システムとその穿刺システムを駆動する超音波モータに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
弾性振動体に着接された圧電素子を超音波振動させることによって前記弾性振動体に進行波を発生させ、かつ、これに動体を圧着させることによって前記弾性振動体と前記動体との間に発生した摩擦力を駆動力として作動する超音波モータにおいて、螺旋状の第1の山部と第1の谷部と第1の側面部を備える雄ネジ部と、この雄ネジ部に螺合し螺旋状の第2の山部と第2の谷部と第2の側面部を備える雌ネジ部とを有し、前記圧電素子が着接された弾性振動体を前記第1の山部、第1の谷部あるいは第1の側面部の表面に設け、前記雌ネジ部を前記動体とすることを特徴とする超音波モータ。

【請求項2】
弾性振動体に着接された圧電素子を超音波振動させることによって前記弾性振動体に進行波を発生させ、かつ、これに動体を圧着させることによって前記弾性振動体と前記動体との間に発生した摩擦力を駆動力として作動する超音波モータにおいて、螺旋状の第1の山部と第1の谷部と第1の側面部を備える雄ネジ部と、この雄ネジ部に螺合し螺旋状の第2の山部と第2の谷部と第2の側面部を備える雌ネジ部とを有し、前記圧電素子が着接された弾性振動体を前記第2の山部、第2の谷部あるいは第2の側面部の表面に設け、前記雄ネジ部を前記動体とすることを特徴とする超音波モータ。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の超音波モータの前記動体先端部に非磁性体の穿刺針を取設したことを特徴とする穿刺システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003426049thum.jpg
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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