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穂の形態および赤かび病抵抗性の識別方法とその利用による麦類植物の改良方法

国内特許コード P05A007478
整理番号 植物バイオー174
掲載日 2005年9月21日
出願番号 特願2003-110682
公開番号 特開2004-313062
登録番号 特許第4203595号
出願日 平成15年4月15日(2003.4.15)
公開日 平成16年11月11日(2004.11.11)
登録日 平成20年10月24日(2008.10.24)
発明者
  • 小松田 隆夫
  • バドラデン エブラヒム サイド タバタバエイ
  • コンフェン フェー
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 穂の形態および赤かび病抵抗性の識別方法とその利用による麦類植物の改良方法
発明の概要 【課題】麦類植物について、二条あるいは六条性、及び二条あるいは六条性遺伝子と連鎖する赤かび病抵抗性を特異的かつ効率的に識別できる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】二条性を示すオオムギ品種と六条性を示すオオムギ品種との交配分離世代を用い、こられの各個体の条性を正確に判定した。その結果、条性は1遺伝子支配を示すことが分った。また、該遺伝子と連鎖する分子マーカーを用いることにより、被検麦類植物について六条性または二条性を識別できることを見出した。また、該分子マーカーを用いることにより、二条あるいは六条性遺伝子と連鎖する赤かび病抵抗性を識別できると考えられる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


世界の重要穀物であるイネや、コムギ、オオムギ、トウモロコシなどはいずれもその種子(胚及び胚乳)を食用とする作物である。オオムギでは一つの穂軸に対し3個の一花小穂を形成し、この3個の小穂が全て種子を形成するものを六条オオムギ、中央の1個の小穂のみが種子を形成するものを二条オオムギと総称する。この二条オオムギと六条オオムギは生物学的には同種であるが、起源や来歴をはじめ、各種形態・生理生態的形質が異なり、それによって品質や用途も異なる。日本には、はじめに六条オオムギが1世紀頃に大陸から伝来したとされ、昔から米食の補助食料とされ、一部飼料とされた。その他味噌、醤油原料とされる。これに対して二条オオムギは明治以降に欧州から導入され、タンパク質が少なく、でんぷんの比率が高く、麦芽製造過程における揃いが優れており、主にビール醸造に利用されている。



オオムギの条性の違いは第二染色体に座乗する、単一の遺伝子(vrs1)で支配されることがわかっている。六条オオムギと二条オオムギの形態を細かく比較すれば、二条オオムギは3個の小穂のうち両側の2小穂でサイズの減少、雄蕊の退化、雌蕊の痕跡化、禾の消失など多くの顕著な変化を示すなど、単一遺伝子が多面的発現をしている。また、条性の遺伝子が存在するゲノム領域には開花期、草丈等農業上重要な形質や、醸造諸特性が連鎖しており、きわめて重要な領域である。また近年、麦類赤かび病に対する抵抗性遺伝子(QTL)がオオムギの条性遺伝子と密接に連鎖することが明らかになった(非特許文献1及び2)。



麦類の赤かび病はコムギ、オオムギ、エン麦等多くのイネ科作物を侵し、穀粒の商品価値を損なうのみならず、deoxynivalenolなどのマイコトキシンを生じる重大な病害である。deoxynivalenolは感染穀粒の摂食により人及び動物に対して出血症をともなう胃腸障害等をもたらし、状況によっては死に至る極めて危険性の高い毒素である。deoxynivalenolはpHの変化や熱に対して安定であるため無毒化することが困難である。したがって一定基準を越えた発病穀粒は醸造、加工、飼料等いかなる形態でも利用することが出来ず、廃棄されなければならない。病原菌はフザリウム(Fusarium spp.)であり、これは極ありふれた腐生菌で、世界中の麦作地帯に分布しており、特に開花期から登熟期に雨の多い地域で被害が大きいとされている。一方では、食の安全性に対する意識の高まりから農薬の使用を極力おさえた栽培が求められるようになってきており、抵抗性品種開発は麦類の安全性向上のために不可欠である。以上の課題はアジア地域のみならず、合衆国や欧州を含めた世界規模で解決すべき緊急の課題となっている。



しかしながら一方で、オオムギ赤かび病の抵抗性向上はそれほど進んでいない。この原因は、数少ない抵抗性素材が農業上不利な形質を多く併せ持っているためまだ育種素材として有効利用されていないこと、抵抗性が成熟段階でのみでしか判断できない形質でありマーカーによる早期選抜が不可能であったこと、また、抵抗性が条性と同じ遺伝子に支配されるのか、あるいは二つの遺伝子が強く連鎖していて切り離すことが可能か否かが明らかでなく、適切な育種の方針を設定することが出来なかったなどの理由による。このような問題を解決するために、分子マーカーの開発と早期世代で判別する方法の確立が望まれていた。



尚、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】
de la Pena, et al. 1999. Theor. Appl. Genet. 99:561-569
【非特許文献2】
Zhu, et al. 1999. Theor. Appl. Genet. 99:1221-1232

産業上の利用分野


本発明は麦類の穂の形態及び赤かび病抵抗性を支配する遺伝子を識別する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
麦類植物の条性または赤かび病抵抗性を識別する方法であって、配列番号:15のいずれかに記載の塩基配列またはその部分配列からなる分子マーカーを少なくとも1用いることを特徴とする識別方法。

【請求項2】
分子マーカーが二条性あるいは六条性を有する麦類植物と同様の型を示す場合に、被検植物がそれぞれ二条性あるいは六条性であると判定される、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
分子マーカーが赤かび病抵抗性あるいは罹病性を有する麦類植物と同様の型を示す場合に、被検植物がそれぞれ赤かび病抵抗性あるいは罹病性であると判定される、請求項1に記載の方法。

【請求項4】
以下の(a)~(d)に記載の工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
(a)麦類植物からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
(c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程

【請求項5】
以下の(a)~(d)に記載の工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
(a)麦類植物からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を鋳型として、プライマーDNAを用いてPCR反応を行う工程
(c)増幅したDNA断片を、その大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程

【請求項6】
以下の(a)~(e)に記載の工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
(a)麦類植物からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素で処理する工程
(c)処理されたDNA試料を鋳型として、AFLP反応を行う工程
(d)増幅したDNA断片を、その大きさに応じて分離する工程
(e)検出されたDNAパターンを、対照と比較する工程

【請求項7】
麦類植物がオオムギである、請求項1~のいずれかに記載の方法。

【請求項8】
配列番号:1~5のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含有する、麦類植物の条性または赤かび病抵抗性を識別するための試薬。

【請求項9】
配列番号:6および7に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを含有する、麦類植物の条性または赤かび病抵抗性を識別するための試薬。

【請求項10】
麦類植物がオオムギである、請求項またはに記載の試薬。

【請求項11】
請求項1~のいずれかに記載の方法により二条性であると識別される麦類植物を早期に選抜する工程を含む、二条性の形質を有する人為的に改変された麦類植物の作製方法。

【請求項12】
請求項1~のいずれかに記載の方法により六条性であると識別される麦類植物を早期に選抜する工程を含む、六条性の形質を有する人為的に改変された麦類植物の作製方法。

【請求項13】
請求項1~のいずれかに記載の方法により赤かび病抵抗性と識別される麦類植物を早期に選抜する工程を含む、赤かび病抵抗性の形質を有する人為的に改変された麦類植物の作製方法。

【請求項14】
請求項1~のいずれかに記載の方法により赤かび病罹病性と識別される麦類植物を早期に選抜する工程を含む、赤かび病罹病性の形質を有する人為的に改変された麦類植物の作製方法。

【請求項15】
麦類植物がオオムギである、請求項1114のいずれかに記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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23068_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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