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保護された水酸基を有する化合物、その製造法およびその用途

国内特許コード P05A007499
整理番号 有機材料-74
掲載日 2005年9月21日
出願番号 特願2003-209560
公開番号 特開2005-075729
登録番号 特許第4102263号
出願日 平成15年8月29日(2003.8.29)
公開日 平成17年3月24日(2005.3.24)
登録日 平成20年3月28日(2008.3.28)
発明者
  • 春見 隆文
  • 今場 司朗
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 今場 司朗
発明の名称 保護された水酸基を有する化合物、その製造法およびその用途
発明の概要

【課題】水酸基を有する化合物の水酸基の保護基として利用できる新たな化合物を開発すること。さらに、糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体もしくは類縁体の水酸基の保護剤として、1種類の当該化合物を用いて、水酸基を有する化合物から有用な糖鎖ライブラリーの調製および糖鎖の自動合成機に応用できる糖鎖を始めとする有機化合物を合成する方法を提供すること。
【解決手段】UCP基により保護されてなる水酸基を有する化合物;アミノ酸誘導体またはアミノ酸誘導体の重合体を、水酸基もしくはUCP基のN末端とカップリングさせることを特徴とする前記化合物の製造法;UCP基中の酸アミド結合をN末端側から逐次切り離す方法により、前記化合物の水酸基を保護するUCP基を脱保護させて水酸基を遊離せしめ、当該遊離水酸基へ縮合反応により特定の化合物を結合させることを特徴とする有機化合物の合成方法。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体もしくは類縁体の水酸基の保護剤としては、従来様々な種類の保護基が適宜用いられていた。ある特定の水酸基を遊離にするには、他の水酸基の保護基とは違った特殊な保護基を用いる必要があった。つまり、目的の保護基だけを選択的に脱保護する試薬が必要であり、その条件では他の保護基が脱離しないという条件でなくてはならなかった(非特許文献1)。
このような従来の方法では、多くの水酸基を持つ糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体もしくは類縁体の、それぞれの水酸基にそれぞれ違った糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体もしくは類縁体を導入するためには、水酸基の数だけ上記のような特殊な保護基が必要であり、合成できる糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体もしくは類縁体には限度があった。
【0003】
このような従来の方法を用いる合成法では、糖鎖の自動合成化は装置が巨大になりすぎて不可能である。さらに、コンビナトリアルライブラリーを調製しようとしても、操作があまりに複雑すぎて不可能である。
糖鎖の合成に限定して言えば、現在ではほとんどすべての天然の糖鎖を有機化学的に合成できる技術は確立している。それは様々な保護基を駆使して実現できたものであるが、これとこれを用いれば糖鎖を合成できるという一般的合成法は確立していない。
何故ならば、糖鎖の合成に恒常的に用いることができる保護基が存在していないためである(非特許文献1)。
【0004】
もしも、ある1種類の保護基によりすべての糖鎖を合成することが可能であるなら、糖鎖合成のための一般論が確立でき、さらに糖鎖の自動合成機に発展させることが可能である。すでに糖鎖の自動合成機に向けた取り組みは世界中で行われている(非特許文献2、3)が、これらの方法では、いずれも今までの保護基を用いているために、ある同じ繰り返し構造の糖鎖しか得られておらず、あまり複雑な糖鎖、つまり高度に分岐している糖鎖が得られていない。
さらに、糖鎖ライブラリーは、糖鎖の機能を知る上で欠かすことのできないものであるが、未だにそれが有機化学的に作られていない。それもひとえに水酸基の保護基の問題である。
【0005】
ところで、Morten MeldalおよびLeslie Mirandaは、有機合成で用いることのできる一次元的保護基を提案した(特許文献1および2参照)。この提案によれば、ある同一の官能基に反応順序をつけるために、それぞれの官能基に重合度の異なる保護基を導入し、それぞれの保護基の重合度を一つずつ減らす操作を行うことにより、重合度の一番小さいものから順番に官能基を選択的に遊離することができる。この保護基は、単に重合度の相違だけでそれぞれの官能基を特徴づけることができるので、同一の官能基の種類だけ様々な種類の保護基が必要であったという問題を解決できるものであった。
しかしながら、この一次元的保護基は、実質的にアミノ基の保護基としての用途が示されているに過ぎない。すなわち、この保護基が水酸基の保護基となりうるのか、仮に水酸基を保護できたとして、アミノ基を保護した場合と同様に重合度を一つずつ減らすことができるのか、例えば糖と糖との縮合反応のときにも安定に存在しうるか、縮合反応の進行を妨害する可能性はないか等について実験に基づくデータが示されていないことから、糖鎖合成等における水酸基の保護基としての用途について、特許文献1および2には全く記載がなく、示唆もされていない。
【0006】
【非特許文献1】
P. Sears and C-H. Wong, Science 291, 2344 (2001)
【非特許文献2】
K. C. Nicolaou, N. Watanabe, J. Li, J. Pastor, N. Winssinger, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 37, 1559 (1998)
【非特許文献3】
O. J. Plante, E. R. Palmacci, P. H. Seeberger, Science 291, 1523 (2001)
【特許文献1】
国際公開公報第02/081413号パンフレット
【特許文献2】
米国出願公開第2002/0146684号明細書
産業上の利用分野
本発明は、保護された水酸基を有する化合物、その製造法およびその用途に関し、詳しくは水酸基の保護基としてのUCP基で保護された水酸基を有する化合物であって、糖鎖の自動合成機および糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体のコンビナトリアルライブラリーの調製に応用できる新規化合物、その製造法および当該化合物の水酸基の保護基としての用途に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 1個または複数個の水酸基を有する糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体であって、当該水酸基のうちの一部または全部が、下記の式(I)で表される水酸基の保護基としてのUCP基により保護されてなり、下記の式(II)で表される保護された水酸基を有する化合物から、UCP基中の酸アミド結合N末端側から1残基分のアミノ酸誘導体を逐次切り離す方法により、当該化合物の水酸基を保護するUCP基のうち、式(I)中のRが同一の基である全てのUCP基を、重合度の最も少ないUCP基で保護されていた箇所から順に脱保護させて水酸基を遊離せしめ、当該遊離水酸基へ縮合反応により特定の化合物を結合させることを特徴とする糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体の合成方法。
【化学式1】
(式中、nが1もしくは3~10である場合、RはFmoc基またはBoc基、nが2である場合、RはBoc基;Rは低級アルキル基または水素原子;RおよびRは同一もしくは異なる基で、水素原子または低級アルキル基またはアリール基を示す。nは1~10の整数を示し、nが2~10の整数の場合、各単位中のR、R、Rは、相互に同一であっても良く、異なっても良い。)
【化学式2】
(式中、ZはUCP基;mは1以上であって、水酸基を有する化合物Rの水酸基の数以下の整数;Rは水酸基を有する化合物を示し、mが2以上の場合、各Zは、同一であっても良く、異なっても良い。)
【請求項2】 糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体である保護された水酸基を有する化合物が、複数の水酸基を有する化合物であって、前記複数の水酸基のうちの一部または全部が重合度の同一もしくは異なるUCP基により保護されている場合に、UCP基中の酸アミド結合のN末端側から1残基分のアミノ酸誘導体を逐次切り離す方法により、当該化合物の水酸基を保護するUCP基のうち、式(I)中のRが同一の基である全てのUCP基の重合度を1つ減少させ、重合度の最も少ないUCP基で保護されていた箇所から順に脱保護させて水酸基を遊離せしめ、当該遊離水酸基へ縮合反応により特定の化合物を結合させ、次いで重合度の少ないUCP基から順に水酸基を遊離する反応と、縮合反応による特定の化合物の結合反応を順次繰り返すことを特徴とする、請求項1記載の糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体の合成方法。
【請求項3】 糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体である保護された水酸基を有する化合物が、複数の水酸基を有する化合物であって、前記複数の水酸基のうちの一部または全部が重合度の同一もしくは異なるUCP基により保護されている場合に、UCP基中の酸アミド結合のN末端側から1残基分のアミノ酸誘導体を逐次切り離す方法により、当該化合物の水酸基を保護するUCP基のうち、式(I)中のRが同一の基である全てのUCP基の重合度を1つ減少させ、重合度の最も少ないUCP基で保護されていた箇所から順に脱保護させて水酸基を遊離せしめ、当該遊離水酸基へ縮合反応により、上記化合物と同一または異なる構造を有する糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体である保護された水酸基を有する化合物を結合させ、次いで重合度の少ないUCP基から順に水酸基を遊離する反応と、縮合反応による糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体である保護された水酸基を有する化合物の結合反応を順次繰り返すことを特徴とする、請求項または記載の糖質、複合糖質、またはそれらの誘導体の合成方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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