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ゲノム塩基配列を解読する方法及び装置並びにゲノム物理地図を作成する方法及び装置

国内特許コード P05A007519
整理番号 植物バイオ-186
掲載日 2005年9月21日
出願番号 特願2003-341475
公開番号 特開2005-102613
登録番号 特許第4581075号
出願日 平成15年9月30日(2003.9.30)
公開日 平成17年4月21日(2005.4.21)
登録日 平成22年9月10日(2010.9.10)
発明者
  • 大谷 敏郎
  • 山本 公子
  • 杉山 滋
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ゲノム塩基配列を解読する方法及び装置並びにゲノム物理地図を作成する方法及び装置
発明の概要 【課題】 存在位置を記録しつつ染色体からDNAを回収し、その塩基配列を決定することにより全ゲノム塩基配列を復元可能なゲノム塩基配列解読方法及び装置、並びに染色体上の特定の位置からDNAを回収し、その塩基配列情報の一部を利用してゲノムライブラリークローンのゲノム上への位置づけを行うゲノム物理地図作成方法及び装置。
【解決手段】 掻き取り機構を兼ねたAFM探針7により染色体の形状を精密に取得し、染色体上の正確な位置の微小断片を連続して掻き取る。掻き取った染色体断片は、DNAの抽出手段8へ投入され、抽出されたDNAは増幅手段9へ移される。増幅されたDNAは、適当なベクターにクローニングされ、クローンの塩基配列は塩基配列決定手段10により順次を決定される。得られた塩基配列データはデータ処理機構11に送られ、断片及び染色体全体の塩基配列が復元される。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要


従来、一般に行われているゲノム塩基配列解読及び物理地図作成の手順を以下に示す。
塩基配列を解読する場合は、対象生物の組織から全ゲノムDNAを抽出し、制限酵素や超音波処理などによって数kbの長さに細かく断片化し、適当なベクターにクローニングしてプールしておく。このプールから無作為にクローンをとりだし、その塩基配列を順次決定する。この操作を、決定した塩基配列の総量が全ゲノムの数倍になるまで行う。これは、ゲノム上の任意の箇所が平均して数回重複して読まれることを意味する。通常、読まれる塩基配列の量は全ゲノムの2倍から10倍程度である。決定された各クローンの塩基配列はデータベースに蓄積し、コンピュータにより、各クローンの末端の塩基配列同士を比較することにより、隣り合うクローンを見つけてつなげ、元の染色体ないしゲノムの配列を復元する。しかし、実際には、類似配列によるつなぎ間違い、重複回数の不足による読まれない領域やクローンが単離できない解読不能領域の存在により、この方法によって全ゲノムの配列を復元することは不可能である。そこで、ある程度の長さの領域(コンティグ)が復元できた時点で、過去の研究によって作成されている物理地図や遺伝地図を参照することにより、コンティグをゲノム上に位置づけ、最終的にゲノムのほぼ全域の塩基配列の復元を行うことができる。



物理地図を作成する場合は、対象生物の組織から抽出した全ゲノムDNAを、100kbから300kb程度に断片化し、BAC(bacterial artificial chromosome)、YAC(yeast artificial chromosome)、PAC(P1 derived artificial chromosome)などのベクターにクローニングしてゲノムDNAライブラリーを作成する。次に、ライブラリーに含まれるクローンを何種類かの制限酵素によって切断し、切断サイトのクローン上の位置を決定して制限酵素地図を作成する。その後、各クローンの間で制限酵素地図を比較し、その切断パターンの解析から隣り合うクローンを決定する(フィンガープリント法)。この作業と並行して、遺伝地図を参照して、得られたコンティグを染色体上に位置付ける。マーカーのうち配列情報を有するものを利用し、その塩基配列をもとにPCRプライマーないしハイブリダイゼーションプローブを作製して、ライブラリーの中から、そのマーカーの配列を有するものを特定する。あるコンティグに含まれるクローンのひとつが、このようにして染色体上に位置づけられれば、そのコンティグそのものの染色体上の位置も明らかになる。
以上の作業を繰り返して、染色体のほぼ全域にコンティグを位置づけることができれば物理地図が完成する。
染色体の微小断片を切断してDNAを回収した例としては、過去にBiochem. Biophys.Res. Comm. 248, 748 (1998)やJ. Struct. Biol. 119, 232 (1997)等があるが、1ヶ所のみからの回収であり、また、断片の塩基配列の解読及び復元は試みていない。また、染色体から完全に連続して断片を切断回収した例はない。



【特許文献1】
特開平8-112110号公報
【非特許文献1】
Biochem. Biophys.Res. Comm. 248, 748 (1998)
【非特許文献2】
J. Struct. Biol. 119, 232 (1997)

産業上の利用分野


本発明は、ゲノム塩基配列を解読する方法またはゲノム物理地図を作成する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
真核生物のゲノム塩基配列を解読する方法であって、
真核生物の染色体を、複数の微小断片に順次切断する工程、
該複数の微小断片の該染色体上の位置を記録する工程、及び
該複数の微小断片を個別に回収する工程、
を含み、
さらに、
回収した微小断片からDNAを抽出する工程、
抽出したDNAをテンプレートとし、ランダムな配列をその一部または全部に有するプライマーを用いてPCRを行う工程、
得られた複数のPCR産物を回収してクローニングし、該複数のPCR産物の全長または部分の塩基配列データを得る工程、
該塩基配列データを、該複数のPCR産物のそれぞれの末端部の塩基配列に基づいて繋ぎあわせることにより、前記微小断片全体の塩基配列を復元する工程、及び
復元された微小断片の塩基配列を、前記複数の微小断片の該染色体上の位置の記録に基づいて整列させることにより、前記染色体の全長または一部の塩基配列を復元する工程
を含む、ゲノム塩基配列解読方法であって、
前記染色体を切断する工程を、原子間力顕微鏡または近接場光プローブ顕微鏡の探針による掻き取り、ガラスまたは金属製の針またはキャピラリーによる掻き取り、または、レーザーによる破断により行い、
前記複数の微小断片の位置を記録する工程を、原子間力顕微鏡、近接場光プローブ顕微鏡、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いることにより行う
前記ゲノム塩基配列解読方法。

【請求項2】
前記染色体が、分裂期染色体またはパキテン期染色体である、請求項1記載のゲノム塩基配列解読方法。

【請求項3】
前記複数の微小断片が、染色体長軸方向に対して0.5μm以下の長さを有する、請求項1記載のゲノム塩基配列解読方法。

【請求項4】
前記掻き取りを、染色体の長軸と直角方向に中央位置まで直線的に掻き取った後、掻き取り幅の1/20以上1/2以下だけ位置を長軸方向にずらし、再び直線的に残りの半分を掻き取ることにより行うか、あるいは、長軸と直角方向から5°~30°の角度をつけて掻き取ることにより行う、請求項1記載のゲノム塩基配列解読方法。

【請求項5】
真核生物のゲノム物理地図を作成する方法であって、
真核生物の染色体を、複数の微小断片に順次切断する工程、
該複数の微小断片の該染色体上の位置を記録する工程、及び
該複数の微小断片を個別に回収する工程、
を含み、
さらに、
回収した微小断片からDNAを抽出する工程、
抽出したDNAをテンプレートとし、ランダムな配列をその一部または全部に有するプライマーを用いてPCRを行う工程、
得られたPCR 産物を回収してクローニングし、該PCR 産物の塩基配列を決定する工程、
前記真核生物から抽出したゲノムDNAを断片化して任意のクローニングベクターに挿入して、ゲノムDNAライブラリーを作成する工程、
前記PCR 産物の塩基配列を、該ゲノムDNAライブラリーに含まれるクローンの塩基配列と照合し、該ゲノムDNAライブラリーに含まれる該クローンの染色体上における位置を決定する工程
を含む、ゲノム物理地図作成方法であって、
前記染色体を切断する工程を、原子間力顕微鏡または近接場光プローブ顕微鏡の探針による掻き取り、ガラスまたは金属製の針またはキャピラリーによる掻き取り、または、レーザーによる破断により行い、
前記複数の微小断片の位置を記録する工程を、原子間力顕微鏡、近接場光プローブ顕微鏡、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いることにより行う
前記ゲノム物理地図作成方法。

【請求項6】
前記染色体が、分裂期染色体またはパキテン期染色体である、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。

【請求項7】
前記複数の微小断片が、染色体長軸方向に対して0.5μm以下の長さを有する、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。

【請求項8】
前記クローニングベクターが、YACまたはBACまたはPACである、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。

【請求項9】
前記塩基配列を照合する工程を、PCRまたはハイブリダイゼーションにより行う、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。

【請求項10】
前記塩基配列を照合する工程を、前記ゲノムDNAライブラリーに含まれるクローンの一部に対して行うか、あるいは前記ゲノムDNAライブラリーに含まれるクローンをテンプレートとしたPCR産物により行う、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。

【請求項11】
前記位置を決定する工程において、前記ゲノムDNAライブラリーに含まれるクローンに代えて、前記真核生物由来の既知の遺伝子及びその一部または cDNA及びESTまたは該真核生物のゲノムDNAからPCRにより増幅した任意のDNAまたはランダムな配列を持つ任意の合成DNAを使用する、請求項5記載のゲノム物理地図作成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003341475thum.jpg
出願権利状態 登録


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