TOP > 国内特許検索 > 細胞死を調節する方法

細胞死を調節する方法

国内特許コード P05A007590
整理番号 植物バイオー173
掲載日 2005年9月21日
出願番号 特願平10-060158
公開番号 特開平11-253164
登録番号 特許第3586706号
出願日 平成10年3月11日(1998.3.11)
公開日 平成11年9月21日(1999.9.21)
登録日 平成16年8月20日(2004.8.20)
発明者
  • 大橋 祐子
  • 瀬尾 茂美
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 細胞死を調節する方法
発明の概要 【課題】 細胞死を調節すること
【解決手段】 タバコDS9遺伝子などの細胞死調節遺伝子を単離し、植物発現ベクターに組み込み、これらの遺伝子を植物で発現させることにより、細胞死の調節が可能な植物を取得した。
従来技術、競合技術の概要


植物は、病原体(例えば、ウイルス、細菌、糸状菌およびウイロイド)に感染すると、1)病原体が全身に広がって、増殖することにより病気になるか、または、2)感染部位に病原体を封じ込め、全身への広がりを抑えることにより病原体に対して抵抗性になるかのいずれかの反応を示す。病原体に対する植物の後者のような反応は、超過敏反応(hypersensitive response、HR)と呼ばれる。この反応においては、感染した部位に局所的な細胞死が生じ、壊死病斑が形成されることが知られている。このような病原体感染に伴う壊死病斑形成は植物の典型的な抵抗性反応であり、プログラム細胞死と考えられる。しかし、その分子機構はほとんど解っていない。



HRは、全ての植物において生じるわけではない。植物において、感染した病原体に由来する病原性遺伝子の産物を認識する遺伝子が、内因的に存在する場合に生じる。このような遺伝子が存在しない場合、HRは生じず、植物は病原体感染に対して非抵抗性である。



タバコモザイクウイルス(TMV)感染に対するタバコのHRは、従来から植物のHRを研究するために用いられてきたモデル系である。



N遺伝子は、TMVの感染によるHR(すなわち、細胞死)に関与する細胞死調節遺伝子の1つである。TMV感染に対して、N遺伝子を有するタバコ(NNタバコ)はHRを生じるが、N遺伝子を有さないタバコ(nnタバコ)はHRを生じない(Holmes, Phytopathology 28, 553, (1938))ことが報告されている。NNタバコのHRは、24℃以下の温度においてのみ生じ、28℃以上では生じない。それゆえ、N遺伝子および温度条件の両方が、TMVに感染した細胞におけるHRの誘発に必須であると考えられてきた。



しかし、本発明者らの研究により、アクチノマシシンD(AMD)および熱(50℃、2分)で処理した場合、通常はHRを生じない30℃の温度条件下でも、NNタバコにおいて、TMV感染に対するHRが誘発されることが見出された。さらに、TMV感染に対するHRは、AMDおよび熱での同様な処理によって、N遺伝子を有さないnnタバコにおいても誘発された。これらにより、TMV感染に対する細胞死が、N遺伝子の存在および非存在、ならびに温度とは無関係に生じ得ることが明らかになった(ShimomuraおよびOhashi, Virology, 43, 531,(1971);OhashiおよびShimomura, Virology, 48, 601(1972))。AMDは核におけるDNA依存性のRNA合成を阻害することが知られている。従って、植物において新規な細胞調節遺伝子が存在し、その転写および引き続くタンパク質合成の抑制によりHRが誘発される可能性が示された。



このような細胞死調節遺伝子が同定されれば、その発現レベルをコントロールすることにより、植物細胞死を調節(促進または抑制)することが可能であると考えられる。特に、細胞死を調節することにより、環境ストレスに対する抵抗性を植物に付与することは、農業の分野において重要な課題である。



しかし、このような細胞死調節遺伝子はこれまでに同定されておらず、発現レベルを調節して細胞死を促進または抑制することにより、環境ストレスに対して抵抗性を付与するという研究は、全くなされていないのが現状である。

産業上の利用分野


本発明は、細胞死を調節する方法に関する。さらに詳しくは、細胞死調節遺伝子の発現レベルを調節することにより、様々な環境ストレスに対して、植物に抵抗性を付与する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物において細胞死を調節する方法であって、
DS9をコードする配列番号1の411~2240からなる核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドで、植物細胞を形質転換する工程;および
該形質転換した植物細胞を再分化させて、植物を得る工程、
を包含し、
ここで、該ポリヌクレオチドは、該植物細胞中でATP依存性Zn型メタロプロテイナーゼの産生を増大させ、それによって該植物中の細胞の細胞死が抑制される、方法。

【請求項2】
植物において細胞死を調節する方法であって、DS9をコードする配列番号1の411~2240からなる核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドの相補配列からなるアンチセンスを含むポリヌクレオチドで、植物細胞を形質転換する工程;および
該形質転換した植物細胞を再分化させて、植物を得る工程、
を包含し、
ここで、該植物中の細胞の細胞死が促進される、方法。

【請求項3】
植物の細胞死を促進することにより植物に環境ストレスに対する抵抗性を付与する方法であって、DS9をコードする配列番号1の411~2240核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドの相補配列からなるアンチセンスを含むポリヌクレオチドで、植物細胞を形質転換する工程;および
該形質転換した植物細胞を再分化させて、植物を得る工程、
を包含する、方法。

【請求項4】
DS9をコードする配列番号1の411~2240からなる核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドの選択的な阻害剤をスクリーニングする方法であって、
該DS9をコードする配列番号1の411~2240からなる核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドを有する植物細胞に、阻害剤候補物質を暴露する工程;および、
該植物細胞において該DS9をコードする配列番号1の411~2240からなる核酸配列、または該配列番号1の411~2240からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、葉緑体の恒常性を維持するために機能するメタロプロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする、核酸配列からなるポリヌクレオチドがコードするタンパク質の産生が選択的に減少したか否かを同定する工程、を包含する、方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

11466_01SUM.gif
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close