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水溶性デンドリマー分子ワイヤーを用いた水の光分解触媒および水素の製造方法 コモンズ

国内特許コード P05P002364
整理番号 E063P20
掲載日 2005年9月22日
出願番号 特願2004-058529
公開番号 特開2005-246188
登録番号 特許第3934618号
出願日 平成16年3月3日(2004.3.3)
公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
登録日 平成19年3月30日(2007.3.30)
発明者
  • 相田 卓三
  • 江 東林
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 水溶性デンドリマー分子ワイヤーを用いた水の光分解触媒および水素の製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】 水の光分解触媒として効果的な新しい共役ポリマーを開発し、これを利用して高い水素の発生効率を有する新規な水の光分解触媒系を提供する。
【解決手段】 (A)下記の一般式(1)で表される親水性デンドロン側鎖含有ポリフェニレンエチニレン、(B)電子アクセプター(例えばアルキルビオロゲン)、(C)電子ドナー(例えばトリアルカノールアミン)、および(D)還元触媒(例えばPVA保護Ptコロイド)より成る、水の光分解触媒組成物。一般式(1)中、2つのRは、それぞれ独立して、芳香族ポリエーテル構造または芳香族ポリケトン構造を有し芳香環上に負の電荷を持つ親水性の置換基を有するサイズの大きいデンドロン残基であり、mは重合度を示す自然数を表し5~100である。この触媒組成物を含有する水溶液に400から700nmの波長成分を含む光(例えば太陽光)を照射することにより水を光分解して効率的に水素を製造することができる。



【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


水素ガスはクリーンなエネルギー源としてますますその重要度が増しており、とりわけ、水の光分解による水素の製造技術は無尽蔵な水と太陽エネルギーを利用できる、水素の永続的な獲得手段として確立が期待されている技術であり、将来の太陽エネルギーの利用技術としても重要な位置づけがなされている。



かかる水の光分解による水素の製造に関しては、本多、藤嶋らによる、酸化チタン単結晶電極と白金電極を用いた紫外線照射下における水の分解による水素と酸素の発生の報告以来、酸化チタン粒子やその他の半導体粒子でも白金等を担持することにより、同様の分解反応が起こることが数多く報告されてきた。特に、佐山らは、酸化ニッケル、酸化ルテニウム等を担持した酸化ジルコニウムや酸化タンタル半導体からなる光触媒の存在下で、炭酸塩を溶解した水溶液に光を照射すると水 の分解速度が著しく向上することを報告している(K.Sayama, H.Arakawa;J.Photochem. Photobiol.A:Chem.,77,243(1994))(非特許文献1)。



しかし、これらの無機の半導体からなる不均一系の触媒を用いる方法は、水中で安定な水の還元能力のある無機半導体は概して太陽光を有効に吸収できないこと、および、水素と同時に発生する酸素が触媒上で再結合して水を生成すること等のため、いずれも水素の発生効率が1~2%と低いのが難点であった。また、光触媒が耐光性に劣る欠点(光照射により光溶解する)を有し、この溶解を防ぐために、触媒表面を被覆処理すると水素発生機能は全く発現できないこと、および、太陽エネルギーのわずか3%程度を占めるに過ぎない紫外領域の光しか利用できない等の問題がある。さらに、水素と酸素が同時に発生するため爆発性の混合ガスを生じ、これを防ぐために複雑な装置を必要とする等の問題もある。その他にも、例えば、N.S.Lewis;
Nature,414巻、589頁(2001)(非特許文献2)、特開2002-266089号公報(特許文献1)、特開2000-176295号公報(特許文献2)、特開平11-276904号公報(特許文献3)、特開平10-310410号公報(特許文献4)等さまざまな試みがなされているが、半導体粒子を用いた不均一触媒系での太陽光による水からの水素製造の実用化の目処は全くたっていない。



一方、例えば、M.-C.Richouxら;J.Chem.Soc.Faraday
Trans., 178,1873(1982)(非特許文献3)、S.D.-M.Isramら;J.Photochem. Photobiol.
A:Chem., 134, 144 (1998)(非特許文献4)、およびK.Kalyanasundaramら;J. Photochem. Photobiol.
A: Chem., 77, 347(1998)(非特許文献5)には有機化合物よりなる光増感剤を主要成分とする均一系の試みも報告されている。これらの系では光増感剤による光エネルギーの蓄積とそれに続く電荷の分離を引き金とする水の還元による水素発生が必要となるが、光増感剤に問題があり、いずれも水素の発生効率は低い。光により励起された増感剤分子の自己消光、分離した電荷の再結合による電荷の消失および光による増感剤分子の消失がその原因であり、これらのロスをいかに防ぐかがこの方法の鍵となる。



可視光領域に吸収能を有し、π電子共役鎖方向に電荷(正孔)の移動が期待できる共役ポリマーは、これらの問題点を解決できる化合物として魅力的である。しかし、太陽電池、有機LED、ミクロアクチュエーターおよびセンサーとしての応用開発が盛んに行われているにもかかわらず、共役ポリマーは、一般に、水に溶解しないことと、光励起状態がポリマー鎖間のπ電子相互作用により自己消光する性質を有することから水の光分解触媒の増感剤としての可能性は全く知られていない。
【非特許文献1】
K.Sayama, H.Arakawa; J.Photochem. Photobiol. A: Chem., 77, 243(1994)
【非特許文献2】
N.S.Lewis; Nature, 414巻、589頁(2001)
【非特許文献3】
M.-C.Richouxら;J. Chem. Soc. FaradayTrans., 178, 1873(1982)
【非特許文献4】
S.D.-M.Isramら;J. Photochem. Photobiol.A:Chem., 134, 144(1998)
【非特許文献5】
K. Kalyanasundaramら;J. Photochem. Photobiol. A: Chem., 77, 347(1998)
【特許文献1】
特開2002-266089号公報
【特許文献2】
特開2000-176295号公報
【特許文献3】
特開平11-276904号公報
【特許文献4】
特開平10-310410号公報

産業上の利用分野


本発明は、水を光分解して水素を得る触媒系およびその触媒系を用いた水の光分解による水素の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(A)下記の一般式(1)で表される親水性デンドロン側鎖含有ポリフェニレンエチニレン、(B)電子アクセプター、(C)電子ドナー、(D)還元触媒、および(E)pH緩衝剤を成分とする組成物であって、該組成物を水に溶解したときに前記(A)の濃度が10-7~10-5M、前記(B)の濃度が10―4~10-2M,前記(C)の濃度が10-2~1M,かつ前記(D)の濃度が10-5~10-3Mになるように前記(A)~(D)の各成分を含有して成ることを特徴とする水の光分解触媒組成物。
【化1】


〔但し、一般式(1)中、2つのRは、それぞれ独立して、芳香族ポリエーテル構造または芳香族ポリケトン構造を有し芳香環上に負の電荷を持つ親水性の置換基を有するデンドロン残基であり、下記の一般式(2)-1または(2)-2で表され、2つのRは相互に同一であっても異なっていてもよく、mは重合度を示す自然数を表し5~100である。〕
【化2】


【化3】


〔但し、一般式(2)-1または(2)-2中、Aroは芳香環を表し、Xは負の電荷を有する親水性の置換基を表し、nは3~6の整数を表す。〕


【請求項2】
式(1)のデンドロン側鎖含有ポリフェニレンエチニレンにおけるRが芳香族ポリエーテル構造を有し芳香環上に負の電荷を持つ親水性の置換基を有するデンドロン残基であり、下記の一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の水の光分解触媒組成物。
【化4】


〔但し、一般式(3)中、Xは負の電荷を持つ親水性の置換基を表し、nは3~6の整数を表す。〕

【請求項3】
電子アクセプターが下記の一般式(4)で表されるアルキルビオロゲンであり、電子ドナーが下記の一般式(5)で表されるトリアルカノールアミンであり、還元触媒がポリビニルアルコールで安定化された白金コロイドであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水の光分解触媒組成物。
【化5】


(但し、一般式(4)における2つのR1は、それぞれ炭素数1~4のアルキル基を表し、相互に異なっていてもよい。)
【化6】


(但し、一般式(5)におけるnは1~4の自然数を表す。)

【請求項4】
一般式(4)における2つのR1がメチル基またはエチル基であり、一般式(5)におけるnが1または2であることを特徴とする請求項3に記載の水の光分解触媒組成物。

【請求項5】
請求項1~4のいずれかの触媒組成物を含有する水溶液に400から700nmの波長成分を含む光を照射することを特徴とする、水の光分解による水素の製造方法。

【請求項6】
光が太陽光であることを特徴とする請求項5に記載の水素の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 相田ナノ空間プロジェクト 領域
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