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移植片対宿主病(GVHD)モデル動物 コモンズ

国内特許コード P05P002579
整理番号 A211P16
掲載日 2005年11月11日
出願番号 特願2004-100061
公開番号 特開2005-278558
登録番号 特許第5242882号
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
発明者
  • 高井 俊行
  • 中村 晃
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 移植片対宿主病(GVHD)モデル動物 コモンズ
発明の概要

【課題】 致死性の移植片対宿主病(GVHD)を発症するモデル動物や、かかるGVHDモデル動物を用いたGVHDの予防・治療剤のスクリーニング方法や、MHCクラスI分子を認識する受容体タンパク質PIR-B及びその遺伝子や、PIR-Bのヒトホモログを有効成分とするGVHDの予防・治療剤を提供すること。
【解決手段】 PIR-Bをコードする非ヒト動物の内在性遺伝子の全部又は一部が破壊・欠損・置換等の遺伝子変異により不活性化され、PIR-Bを発現する機能を失なったマウスをGVHDモデル動物として用い、GVHDの予防・治療剤をスクリーニングする。PIR-Bのヒトホモログとしては、LILRB1、LILRB2等を挙げることができる。

従来技術、競合技術の概要


免疫システムは、2つの確立した自己認識機構を有している。すなわち、T細胞、NK細胞の、それぞれT細胞受容体(TCR)及びキラー受容体である。胸腺間質細胞上に自己ペプチドを有する主要組織適合複合体(MHC)クラスI及びクラスII分子は、自己に対する適切な反応性を有するTCRをもつT細胞の選択に使われる。他方で、同種MHCクラスIを有する細胞障害性T細胞(CTL)へのTCRの関与は、ターゲットの除去を誘発する。NK細胞上の抑制キラー受容体は自己組織に損傷を与えないように、クラスI分子を認識する(例えば、非特許文献1~3参照)。組織移植では、ドナーとレシピエントとの間のMHCのミスマッチは、レシピエントCTLによる移植片の拒絶を導く。反対に、免疫無防備状態の個体への骨髄移植は、移植片対宿主病(GVHD)の原因となり、ドナーのCTLが、同種のMHCクラスIを有する樹状細胞(DC)等のレシピエントの抗原提示細胞によって活性化され、宿主組織に有害なダメージを与える(例えば、非特許文献4参照)。



最近、様々なヒトリンパ球及び骨髄細胞に発現するいくつかの白血球免疫グロブリン(Ig)様受容体(LILR、以前は、ILT/LIR/MIR/HM)が、MHCクラスI又はそれに関連する分子に結合することが示された(例えば、非特許文献5~7参照)。ITIM(Immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)をハーバリングする抑制LILRである、MHCクラスIを有するLILRB1又はLILRB2の関与は、CD40リガンドを介してIL-1α、TNF-α、IL-6等の様々なサイトカインの骨髄単球性細胞による分泌をダウンレギュレートするネガティブシグナルを伝達する(例えば、非特許文献5、7、9参照)。さらに近年、LILRB2及びLILRB4が、同種間心臓移植における、移植片生着に関与していることが示唆された(例えば、非特許文献10参照)。しかし、適切な動物モデルが存在しないため、ヒトLILRの生理学的、病理学的な重要性に関する多くの解釈は、まだ確認されていない。



対のIg様受容体(PIR)-A及び-B(例えば、非特許文献11、12参照)は、構造、発現形式及びゲノム位置の類似性により、ヒトLILRの関連体又はオルソログとして提案されている(例えば、非特許文献13~17参照)。PIR-A及び-Bは、B細胞、マスト細胞、マクロファージ、顆粒球及びDCを含む様々な造血細胞系譜で発現するが、T細胞やNK細胞では発現しない(例えば、非特許文献12、13参照)。PIR-A及びPIR-Bの外部ドメインのアミノ酸配列は、それらの中では、かなり相同性が高い(同一性92%以上)(例えば、非特許文献12、13参照)。PIR-Aは、数多くの遺伝子によりコードされ、細胞表面での発現と、活性化シグナルのデリバリーには、Fc受容体共通γ鎖(FcRγ)を必要としている(例えば、非特許文献14、18~20参照)。反対に、PIR-Bは、単一の遺伝子によってコードされ、その細胞質部分にITIMを有し、B細胞抗原受容体(BCR)などの他の活性化型受容体の細胞間の関与によって、インビトロの受容体を介しての活性化シグナルを抑制する(例えば、非特許文献19、21、22参照)。PIR-B欠損(PIR-B-/-)マウスを、T依存性抗原で免疫化したところ、増大したIL-4生成及び増強したIgG1及びIgE生成を含む、Tヘルパー2(TH2)応答が増強し、アレルギー反応等のTH2ゆがみ状況(TH2skewing condition)の発達におけるPIR-Bの制御的役割を示唆した(例えば、非特許文献23参照)。LILRBとの類似性と、及び脾細胞内のPIR-Bの恒常的なリン酸化が、β2-ミクログロブリン(β2m)欠損(β2-/-)マウスにおいて減少することを見い出したこと(例えば、非特許文献24参照)で、PIR-Bが、古典的又は非古典的なMHCクラスI分子を認識することを示唆した。胎児栄養芽細胞の非古典的なMHCクラスIbである、ヒトの組織適合白血球抗原(HLA)-Gが、PIR-Bと結合する(例えば、非特許文献25参照)との観察が、この点を裏付けている。しかし、PIRとMHCクラスI間の相互作用、又は生理学的な重要性に対する直接な証拠はない。



他方、骨髄移植の際、免疫抑制剤(コルチコステロン(プレドニゾロン)、抗胸腺細胞グロブリン、シクロスポリン、など)が用いられている。これらの免疫抑制剤は、現在のところ拒絶反応を抑えるためには必須であるが、正常な免疫力低下(易感染症)以外にも、肝・腎機能を低下させるといった副作用がある。また、α-グリコシルセラミドを含有する移植片対宿主病(GVHD)を抑制し、かつ移植片の生着率を促進する薬剤(例えば、特許文献1参照)や、レチノイン酸レセプター(RAR)アゴニストを有効成分とする移植片対宿主疾患および臓器移植時の移植片拒絶反応の予防・治療剤(例えば、特許文献2参照)や、末梢血移植後に、ヒトG-CSFを移植レシピエントに投与することにより、GVHDを抑制する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。



また、生体内でのTh2型免疫応答の機構や、アレルギーの発症機構が解析することができ、かつB細胞の過剰応答のみならずアレルギーなどを発症しやすい、PIR-B遺伝子機能が染色体上で欠損したTh2型過剰免疫応答モデルマウスも知られている(例えば、特許文献4参照)。




【特許文献1】特開2002-284692号公報

【特許文献2】特開平10-158192号公報

【特許文献3】WO01/028581号公報

【特許文献4】特開2003-134964号公報

【非特許文献1】Scand. J. Immunol. 55, 221-228, 2002

【非特許文献2】Nat. Rev. Immunol. 1, 41-49, 2001

【非特許文献3】Science 290, 84-89, 2000

【非特許文献4】Science 285, 412-415, 1999

【非特許文献5】J. Leukoc. Biol. 66, 375-381, 1999

【非特許文献6】Cytokine Growth Factor Rev. 11, 209-217, 2000

【非特許文献7】Annu. Rev. Immunol. 17, 875-904, 1999

【非特許文献8】J. Exp. Med. 186, 1809-1818, 1997

【非特許文献9】J. Immunol. 160, 3096-3100, 1998

【非特許文献10】Nat. Immunol. 3, 237-243, 2002

【非特許文献11】J. Biol. Chem. 272, 7320-7327, 1997

【非特許文献12】Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94, 5261-5266, 1997

【非特許文献13】J. Biochem. 123, 358-368, 1998

【非特許文献14】J. Exp. Med. 189, 309-318, 1999

【非特許文献15】Curr. Top. Microbiol. Immunol, 244, 137-149, 1999

【非特許文献16】Immunol. Rev. 181, 215-222, 2001

【非特許文献17】Nat. Rev. Immunol. 3, 445-453, 2003

【非特許文献18】J. Exp. Med. 188, 991-995, 1998

【非特許文献19】J. Immunol. 161, 4042-4047, 1998

【非特許文献20】J. Biol. Chem. 274, 30288-30296, 1999

【非特許文献21】Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95, 2446-2451, 1998

【非特許文献22】J. Exp. Med. 187, 1355-1360, 1998

【非特許文献23】Nat. Immunol. 6, 542-548, 2002

【非特許文献24】Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 96, 15086-15090, 1999

【非特許文献25】Eur. J. Immunol. 32, 2418-2426, 2002

産業上の利用分野


本発明は、移植片対宿主病(GVHD)モデル動物、詳しくはPIR-BノックアウトマウスからなるGVHDモデル動物や、かかるGVHDモデル動物を用いたGVHDの予防・治療剤のスクリーニング方法や、MHCクラスI分子を認識する受容体タンパク質PIR-B及びその遺伝子や、PIR-Bのヒトホモログを有効成分とするGVHDの予防・治療剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
PIR-Bをコードする非ヒト動物の内在性遺伝子の全部又は一部が破壊・欠損・置換等の遺伝子変異により不活性化され、PIR-Bを発現する機能を失なった非ヒト動物からなる移植片対宿主病(GVHD)モデル動物に、非自己の脾臓細胞と被検物質とを静脈内に投与し、移植片対宿主病(GVHD)の症状改善の程度をマクロファージ上のPIR-AとH-2との結合の程度を指標として測定・評価することを特徴とする移植片対宿主病(GVHD)の予防・治療剤のスクリーニング方法。

【請求項2】
致死量以下の放射線照射を行った後に、非自己の脾臓細胞と被検物質とを静脈内に投与することを特徴とする請求項1記載の移植片対宿主病(GVHD)の予防・治療剤のスクリーニング方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
  • 有機化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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11793_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 免疫難病・感染症等の先進医療技術(遺伝子レベルでの発症機構の解明を通じた免疫難病・感染症の新たな治療技術の創製を目指して) 領域
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