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飛行システムおよび航空機用擬似視界形成装置

国内特許コード P05A008055
整理番号 1784
掲載日 2005年12月2日
出願番号 特願平09-232688
公開番号 特開平11-072350
登録番号 特許第3052286号
出願日 平成9年8月28日(1997.8.28)
公開日 平成11年3月16日(1999.3.16)
登録日 平成12年4月7日(2000.4.7)
発明者
  • 丹羽 良之
  • 板東 舜一
  • 矢部 龍太郎
  • 西村 宏貴
  • 寺島 樹雄
  • 佐古 澄男
出願人
  • 防衛装備庁長官
発明の名称 飛行システムおよび航空機用擬似視界形成装置
発明の概要 【課題】 悪天候によって現実の視界が失われた場合でも、パイロットが通常の有視界飛行方式と同様にして運航可能なヘリコプタを実現すること。
【解決手段】 人工衛星などによる3次元デジタル地図を広域地形情報として第1メモリにストアしておき、レーザレーダによる局地地形情報を第2メモリにストアしておき、高圧電線、高層ビルおよびクレーンなどの障害物情報を第3メモリにストアしておき、これら3つの情報を読出して、パイロットに、ヘルメットに設けられた透過型表示手段によって、擬似視界を、現実の視界と重なるようにして表示する。
従来技術、競合技術の概要


ヘリコプタのごとき回転翼航空機は、現在世界各地において海、山岳地における人命救助、救急患者の輸送、山小屋への物資輸送等に広く用いられている。
この回転翼航空機は離発着に場所を必要としない、空中において停止状態に保持ができる等の利点があり、原理的にはいつでもどこへでも飛んでゆける理想の輸送機関である。しかしながら、霧や小雨のようなわずかな悪天候下においてさえも運行中止になるなど、大型固定翼航空機に比べて非常に低い信頼性しかないという問題があり、定期的な人員および物資輸送事業はほとんど失敗に終わっている。また企業の社用機としての実験的運航事例もあるが、悪天候時の無理な運航により不幸な事故が多発し、最近ではほとんど人員輸送には使用されないようになっている。また、少し雨が降ると飛行できなくなる。
このような回転翼航空機の信頼性が低い理由として、次の1)~5)などを挙げることができる。
1)図11に示すように、計器飛行方式(以下、IFRと略称する)が利用できないことがある。IFRは視界なしでも飛行することができるように、レーダ等の電波誘導システムが慣性航法システムを利用し、航空管制官の指示によって飛行するものである。その管制方針は、一定の独占的な空間を各機に割当てることにより空中衝突を防止することにある。各機は、この割当てられた空間の中を飛行することが義務づけられているので、飛行経路1を適宜変更することはできない。さらに自動着陸装置も発達し、よほどひどい悪天候でなければ離発着できるので、これを装備した大型機による定期航空便では98%以上というような高い定時発航率を達成するまでになっている。これは、主として大型の固定翼機の運行支援を目的としたものであり、一定の飛行のルートに設置された電波標識上空を経由して飛行することが義務づけられている。
ところが、この図11の方式は、回転翼航空機のように自由に飛行し、各地に非常に多数設置された電波標識のないヘリポートを利用するような場合、および災害時および有事の臨時ヘリポート等では、まったく利用できないものである。この事情は小型固定翼機にも当てはまる。
2)さらにIFRのレーダ電波は、レーダを装備している大空港付近以外では利用できないだけでなく、低空を飛行することが多い回転翼航空機の場合には空港の近くであっても山の影になるので受信できないこともある。したがってIFRをあきらめ、有視界飛行方式(略称VFR)によって飛行せざるをえない。
3)VFRの場合には天候状態、とりわけ視界について厳しい条件がつけられおり、霧や雨、それに夜間の飛行は困難であり、定時発航率も60%台と低く、ヘリコプタが一般に広く用いられない主たる理由になっている。このことは、定期運航だけでなく、先に述べた人命救助や、災害支援等においても共通する大きな問題である。
4)上記のIFRとVFRの区分は明快であるが、現実の天候は時間・地域・高度等により変化するものであるので、たとえばVFRで飛行許可されても、途中で天候が悪化して計器飛行条件に近くなることも多い。この場合、飛行高度を変更したり、航路を変更することで何とか目的地に到達しようとして、かなり無理をすることがある。
図12に示すように、上空は雲2または霧に覆われていても地上付近は視程があることが多く、悪天候のときには雲の下に出ようとして低空ぎりぎりの飛行経路3を飛行することが多い。このとき一瞬、局地的な濃霧に巻込まれたり、雲の中に突入すると、いわゆる空間識失調(バーディゴ)と呼ばれる状態に陥り、パイロットは飛行航路を外れ、地面や山に衝突する事故の原因になる。もし、飛行高度を上げて雲中も飛行することができれば、地上との衝突の危険性はなくなるが、有視界飛行方式では不可能である。
このような運航条件に関する事情は、常に晴れ渡っている高高度を飛行し、他の航空機以外には障害物のない大型固定翼機には当てはまらないものである。
5)また最近、人工衛星による測地システム(略称GPS、GlobalPositioning System)を利用したIFRも研究されている。これは、回転翼航空機が互いにGPSによる位置情報を交換することにより空中衝突を防止し、より自由度の高い航空管制方式を提供するものである。この方式は、予め設定した飛行計画に拘束されること、および悪天候時の地上の障害物との衝突防止には役立たないことなどの問題点があり、飛行安全上の問題を完全に解決できるものではない。したがって回転翼航空機の信頼性向上には限定的な効果しか得られない。

産業上の利用分野


本発明は、回転翼航空機・および小型固定翼機の運航を容易なものにするために、パイロットに人工的に創成された擬似視界を提供するシステムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
航空機を操縦するパイロットが着座する座席の機軸前方および左右両側方に、現実の視界を見ることができる窓が形成され、
表示手段が設けられ、
この表示手段は、パイロットの目の前方で窓を介する現実の視界を透過して見ることができ、擬似視界を表示し、さらに、
広域地形の緯度、経度および高度を地図上の各位置に有する広域地形情報である3次元デジタル地図をストアする第1メモリと、
広域地形情報よりも狭い局地地形の緯度、経度および高度を地図上の各位置に有する局地地形情報をストアする第2メモリと、
障害物の緯度、経度および高度を有する障害物情報をストアする第3メモリと、
航空機の緯度、経度および高度を検出する第1検出手段と、
パイロット現在位置およびパイロットの顔の正面の姿勢を検出する第2検出手段と、
第1~第3メモリならびに第1および第2検出手段との各出力に応答し、表示手段を透過してパイロットが見る現実の視界の地形と障害物とに、擬似視界の地形と障害物とが重なって表示されるように、第1~第3メモリの前記情報を読出して緯度、経度および高度の基準を一致させて演算し、前記擬似視界を表示手段によって表示させる処理手段とを含むことを特徴とする飛行システム。

【請求項2】
レーザレーダと、
ミリ波レーダと、
レーザレーダの出力が与えられ、局地地形情報を作成して第2メモリにストアする局地地形情報演算手段と、
レーザレーダとミリ波レーダとの出力が与えられ、障害物情報を作成して第3メモリにストアする障害物情報演算手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の飛行システム。

【請求項3】
レーザレーダは、
局地地形情報を得るために、レーザビームを大略下方に向けて走査し、
障害物情報を得るために、レーザビームを、大略前方かつ水平に向けて走査し、
ミリ波レーダは、障害物情報を得るために、電磁波ビームを、大略前方かつ水平に向けて走査することを特徴とする請求項2記載の飛行システム。

【請求項4】
レーザレーダと、
レーザレーダの出力が与えられ、局地地形情報を作成して第2メモリにストアする局地地形情報演算手段と、
レーザレーダの出力が与えられ、障害物情報を作成して第3メモリにストアする障害物情報演算手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の飛行システム。

【請求項5】
レーザレーダは、
局地地形情報を得るために、レーザビームを大略下方に向けて走査し、
障害物情報を得るために、レーザビームを、大略前方かつ水平に向けて走査することを特徴とする請求項4記載の飛行システム。

【請求項6】
局地地形情報演算手段によって作成された局地地形情報と、第1メモリにストアされている広域地形情報とが、同一位置に関して、異なっているかどうかを判別する手段と、
判別手段の出力に応答し、異なっていることが判別されたときにのみ、局地地形情報を第2メモリに更新してストアすることを特徴とする請求項2~5のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項7】
第2メモリへの局地地形情報および第3メモリへの障害物情報のストアを、手動入力操作によって指示するストア入力指示手段を含み、
このストア入力指示手段によって入力指示されたときに第2および第3メモリへのストアが行われることを特徴とする請求項2~6のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項8】
表示手段は、擬似視界の表示の濃度を変化可能であることを特徴とする請求項1~7のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項9】
障害物情報を手動入力操作によって第3メモリにストアする手段をさらに含むことを特徴とする請求項1~8のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項10】
飛行物体の緯度、経度および高度を表わす無線信号を受信する受信手段をさらに含み、
前記処理手段は、受信手段の出力に応答し、実際の視界の飛行物体に、擬似視界の飛行物体を表わすキャラクタが重なって表示されるように、受信手段の出力を演算して表示手段によって表示させることを特徴とする請求項1~9のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項11】
航空機は、回転翼航空機であることを特徴とする請求項1~10のうちの1つに記載の飛行システム。

【請求項12】
広域地形の緯度、経度および高度を地図上の各位置に有する広域地形情報である3次元デジタル地図をストアする第1メモリと、
広域地形情報よりも狭い局地地形の緯度、経度および高度を地図上の各位置に有する局地地形情報をストアする第2メモリと、
障害物の緯度、経度および高度を有する障害物情報をストアする第3メモリと、
現実の視界を透過して見ることができ、擬似視界を表示する表示手段と、
観察者の現在位置および観察者の顔の正面の方向とを検出する検出手段と、
第1~第3メモリならびに第1および第2検出手段との各出力に応答し、表示手段を透過して観察者が見る現実の視界の地形と障害物とに、擬似視界の地形と障害物とが重なって表示されるように、第1~第3メモリの前記情報を読出して緯度、経度および高度の基準を一致させて演算し、前記擬似視界を表示手段によって表示させる処理手段とを含むことを特徴とする航空機用擬似視界形成装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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