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推力制御装置付ポンプジェット推進器

国内特許コード P05A008077
整理番号 1890
掲載日 2005年12月2日
出願番号 特願平11-091994
公開番号 特開2000-280981
登録番号 特許第3171394号
出願日 平成11年3月31日(1999.3.31)
公開日 平成12年10月10日(2000.10.10)
登録日 平成13年3月23日(2001.3.23)
発明者
  • 高橋 敏明
  • 岩井 誠一
出願人
  • 防衛装備庁長官
  • 三菱重工業株式会社
発明の名称 推力制御装置付ポンプジェット推進器
発明の概要 【課題】プロペラの後方に設けたフラップの操作により、プロペラからの噴流の方向を制御して、水中航走体を所定のコースに沿って航走させることができるとともに、フラップに作用する噴流の流体力により、プロペラの回転により生じるアンバランストルクを打消すことができるようにした推力制御装置付ポンプジェット推進器を提供する。
【解決手段】推力制御装置付ポンプジェット推進器32は、水中航走体20の後端部外殻2との間に間隔を設け、外殻2と同軸状に配置され、プロペラ8の外周を包囲するシュラウド24と、シュラウド24の後端部内周面から内側に突設されたベーン28で支持された駆動装置27で操舵され、プロペラ8からの噴流の方向を変えて、水中航走体20の航走方向を制御するとともに、噴流の流体力により、プロペラ8の回転によるアンバランストルクを打消する逆方向のトルクを発生させるフラップ30とからなる。
従来技術、競合技術の概要


所定海域の海底等の状況を調査するために、水中を航走させるようにした水中航走体は、尾部に設けたプロペラで水中航走体の周辺の海水を後方へ押し出すことにより、推進力を発生させ、この推進力で水中を航走するとともに、水中航走体に作用する流体力により、調査を行う所定海域で所定の姿勢に保持して、あらかじめ定められた所定コースを航走させることができるようにした操舵装置を具えるようにしている。
このような操舵装置としては、航走体外殻の後部等から水中へ十字状に突出させて設けた各操舵翼を、水中航走体の外側を流れる外部流の方向から変角させる操舵を行い、この操舵に伴い各操舵翼に発生する流体力により、水中航走体の3次元的な航走方向を制御するとともに、特に、単軸のプロペラの回転で生じることのあるアンバランストルクとは、逆方向のトルクを各操舵翼に作用する流体力で発生させて、水中航走体が機軸まわりに回転するのを防止する、トルクバランスをとり、水中航走体の機体軸まわりの姿勢を、所定の姿勢にして航走させることができるようにした操舵翼方式のものがある。
しかしながら、このような操舵翼方式の操舵装置では、各操舵翼に大きな操舵力を発生させて行われる、上下、左右の姿勢を制御して航走方向を制御する制御と対向して設けられた操舵翼を互いに逆方向に操舵して、各操舵翼の操舵力によりトルクを発生させてトルクバランスをとる制御とが、航走体外殻の後部等から水中へ突出させて設けられ、航走体外殻内に設けた操舵機構で駆動されるようにした同一の操舵翼を使用して制御するようにしている。
しかも、上下、左右の姿勢を制御して航走方向を制御する制御では、対称に配置されている操舵翼の舵角を同一にして制御する必要があり、さらに、アンバランストルクの発生するプロペラの回転数に対応して操舵を行いトルクバランスをとるための操舵翼の制御では、対称に配置されている操舵翼、もしくは4枚の操舵翼の舵角を同一にして、しかも、対称に配置された操舵翼の舵角を逆方向にして制御する必要があり、操舵機構が複雑になり、さらには、水中航走体の機軸まわりのトルクが小さいことから、微小な操舵を行う操舵翼の操舵に困難さが伴うことになる。
また、構造上、モーメントの小さい水中航走体の機軸まわりの運動に対して、各操舵翼のミスアライメント等による影響が、非常に大きくなるために、精度の高いトルクバランスを保持させる制御を行いながら、航走させることが難しいという問題もある。
さらに、上述した操舵装置では、プロペラの回転で外部流を加速させて発生する噴流の方向を、プロペラの後方に設けられ、噴流を後方に噴射させるようにしたプロペラダクトの方向を制御することによって、水中航走体の上下、および左右方向の姿勢制御を行い、水中航走体の航走方向を制御するとともに、プロペラダクト内に設けたステータに働く噴流力により、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させて、水中航走体を所定の姿勢に保持して航走させるようにした、推力制御(TVC:Thrust Vector Control、以下TVCという。)方式を採用するようにしたものもある。
しかしながら、このような宇宙空間を航行するロケット等において採用されているTVC方式の操舵装置では、水中航走体の上下、左右方向の航走方向の制御においては、プロペラで加速された噴流全体の方向をプロペラダクトの偏向により制御するようにしているため、この上下、左右にプロペラダクトを偏向させるプロペラダクトの偏向機構が複雑になるとともに、重量的にも大きなものとなり、水中航走体の重量が増大して、水中航走体の運動性能が劣化するなどの不具合があるとともに、偏向機構の作動に大きな容量の動力源が必要となるという不具合がある。
さらに、プロペラダクト内に配設されたステータが、水中航走体の定常航走時のプロペラの回転により発生するアンバランストルクを、その時のプロペラ回転数によって発生する噴流の流体力によって、逆方向のトルクを発生させてトルクバランスをとるようにした、いわゆる、ステータの噴流方向に対する迎角が固定されたものにされているために、プロペラの回転数によっては、トルクバランスの保持が困難になるという不具合がある。
また、上述した操舵翼方式およびTVC方式の各操舵装置の不具合を解消する操舵装置として、水中航走体の航走方向の制御には、操舵翼方式の操舵装置と同様に、操舵翼に作用する流体力を利用するようにした操舵装置にするとともに、プロペラの回転で生じるアンバランストルクの解消には、各操舵翼に発生する流体力は利用せず、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させるために、TVC方式の操舵装置同様に、プロペラの後流側にステータを設け、このステータに作用するプロペラ噴流の流体力により、アンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させてトルクバランスを取り、水中航走体を所定の姿勢にして航走させるようにした操舵翼方式とTVC方式の各操舵装置の有する各利点を利用するようにした、操舵装置を採用するようにした水中航走体もある。
図3は、上述した水中航走体の操舵装置のうち、各操舵翼に発生する流体力により、水中航走体の上下、左右方向の航走方向を制御するとともに、プロペラの後流側にステータを設け、このステータに作用するプロペラ噴流の流体力により、プロペラの回転で生じるアンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させて、トルクバランスを取り、水中航走体を所定の姿勢にして航走させるようにした操舵装置を設けるようにした、水中航走体のポンプジェット推進器を示す縦断面図である。
図に示すように、従来のこのようなポンプジェット推進器1では、水中航走体10の外周を形成する外殻2内に設けた制御盤3から発信された、水中航走体10を所定の速度で航走させるための動力信号により、動力源4からは、この入力された動力信号に基づく駆動力が主動機5に伝達される。動力源4から駆動力が伝達された主動機5は、減速機構6及び駆動軸7を介して、駆動軸7の後端部に、外殻2の外周面より外方に翼部が突出するようにして、翼根部が固着されたプロペラ8を回転させるようにしている。
また、プロペラ8の外周には、プロペラ8の外周縁と間隔を設けて、プロペラ8の前縁前方から後縁後方まで、プロペラ8の外周全体を包囲するようにして、水中航走体10の尾部と同軸状に設けられ、水中航走体10の外殻2に沿って流れる外部流を内部に流入させるようにした筒状のシュラウド9が設けられている。
このために、プロペラ8の外周に固定されたシュラウド9の内部に流入した外部流は、プロペラ8の回転によって加速され、水中航走体10を制御盤3から発信された動力信号に対応する航走速度にする、推進力を水中航走体10に発生させて航走させることができる。
また、プロペラ8の外周を包囲するようにして、基端が外殻2の外周に機軸方向と平行に配置されて固定され、後述するひれ12で支持されて設けられた、シュラウド9の出口側であるプロペラ8の後流側には、周方向に等ピッチで配設された複数個の、通常は4個以上の翼形状のステータ11が設けられ、プロペラ8で加速された外部流を、このステータ11に作用させることにより、プロペラ8の回転でプロペラ8の回転方向と逆方向に生じるアンバランストルクとは、逆方向のトルクをステータ11に発生させ、トルクバランスを取ることによって、水中航走体10を機軸まわりに所定の姿勢にして航走させる推力を得るようにしている。
また、周方向に等ピッチに配設されたステータ11を、出口側に固着するようにした筒状のシュラウド9を支持するため、プロペラ8配置位置より前方の外殻2の後端部には、周方向に等ピッチに配設された翼型形状の前述のひれ12が、外殻2の外周面から突出させて設けられ、水中航走体10の航走時における直進性を良好に保持するようにしている。
さらに、ひれ12の翼端側には、外殻2に固着されたひれ12の配置方向とは自在に変角できるようにして、水中航走体10の上下、左右方向の航走方向を制御する、いわゆる、操舵を行うようにしたフィン14を設けるようにしている。また、外殻2の内部には、制御盤3からの操舵信号によって、ひれ12内に遊嵌して設けた回転軸16を回動させて、このフィン14の変角を行い、操舵を行う操舵装置15が設けられている。
このように、ひれ12の外側に配置されたフィン14を操舵装置15によって操舵し、水中航走体10の上下、左右方向の航走運動を制御する操舵翼方式の操舵装置と、プロペラ8の後流側に設けたステータ11に作用する加速された外部流13の流体力によりトルクバランスをとるようにして、水中航走体10の機軸まわりのトルクを制御するTVC方式の操舵装置とを採用し、双方の不具合を解消するようにした、上述した、いわゆるコンバインド操舵装置では、操舵翼方式およびTVC方式の操舵装置の上述した不具合が解消されて、秀れた運動性能の水中航走体とすることができ、調査を行う所定海域を定められたコースに沿って、正確な姿勢を保持させて、水中航走体を航走させることができるようになる。
上述した操舵方式にしたコンバインド操舵装置においては、舵としてのフィン14の操舵による効きが、航走速度の2乗に比例するため、水中航走体10が高速で航走する場合には有効であり、水中航走体10の上下、左右方向の航走運動を自在に制御でき、水中航走体10を調査等を行う海域の所定の位置へ航走させることができる。しかしながら、例えば、海域の特定位置を詳細に調査する等の理由で、低速で航走する必要がある場合には、フィン14に作用する流体力が極端に小さくなり、いわゆる、舵が効かなくなり、潮流などの外乱に対処できず、効率的に運用できないことが生じうる。
また、上述したように駆動軸7が一本で、1個のプロペラ8だけで、航走させるようにした水中航走体10の場合、プロペラ8が回転することによって、水中航走体10自体はその反作用として、プロペラ8の回転方向とは重心位置まわりに反対方向に回されるアンバランストルクが発生し、このため、上述したコンバインド操舵装置を設けるようにした水中航走体10のポンプジェット推進器1では、ステータ11をプロペラ8後流に設け、プロペラ8で加速された外部流の方向に対して迎角をとるように取り付け、シュラウド9の出口側に周方向に等ピッチに設けた各ステータ11に揚力を発生させ、全体としてアンバランストルクとは逆方向のトルクを発生させることで、トルクバランスをとるようにしている。
しかしながら、このようにしてトルクバランスをとるようにしたものでは、プロペラ8の回転数が変化すれば、プロペラ8によって加速される外部流の速度が変化するため、各ステータ11に発生するトルクも変化し、しかも、プロペラ8の回転で発生するアンバランストルクとプロペラ8の回転で加速された外部流により各ステータ11に発生する推力により発生する逆方向のトルクとは、プロペラ8の回転数によっては一致せず、常に、プロペラ8の回転によって水中航走体10に発生するアンバランストルクとは、同量の逆方向のトルクを発生させることはできず、アンバランストルクを完全に解消した、最適なトルクバランスをとることができなくなるという不具合もある。

産業上の利用分野


本発明は、水中航走体を航走させるためのポンプジェット推進器に係り、特に、プロペラによって加速され後方に噴射される噴流(外部流)の方向を、フラップの操舵により制御して、水中航走体の航走方向を水中航走体のミッション達成に必要な方向に誘導するとともに、特に、単軸のプロペラの回転で水中航走体に発生するアンバランストルクを、フラップに作用する噴流の流体力により逆方向のトルクを発生させて、打消すことができるようにした推力制御装置付ポンプジェット推進器に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
後端部に設置されたプロペラで外部流を加速して推力を発生させ航走するとともに、プロペラで加速させた外部流の流体力で航走方向および姿勢制御を行うようにした、水中航走体の推力制御装置付ポンプジェット推進器において、前記プロペラの配置位置より前方の前記水中航走体の外殻の周方向に等ピッチに配設して突出させた、複数の支持翼に先端部の内周面が固定され、前記プロペラの外周を包囲して前記プロペラの後方まで延設され、前記外殻と間隔を設けて同軸状に配置されたシュラウドと、前記プロペラが固着された駆動軸の後端と隙間を設けて前記プロペラの後方に配設された耐圧ケースに収納され、前記水中航走体の内部に設けた制御盤からの作動信号に対応した駆動力を発生する操舵装置と、前記シュラウドの後端部内周面と前記耐圧ケースの外周面との間に架設されたベーンの後縁側に沿って前縁側が配置され、前記操舵装置により前記プロペラで加速された外部流の方向から自在に操舵され、前記水中航走体の航走方向制御および姿勢制御を行うフラップとを設けたことを特徴とする推力制御装置付ポンプジェット推進器。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP1999091994thum.jpg
出願権利状態 登録
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