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非線形電磁超音波センサおよびこれを用いた微小傷検出装置並びに微小傷検出方法

国内特許コード P06P003370
整理番号 fit04B03
掲載日 2006年4月14日
出願番号 特願2004-247299
公開番号 特開2006-064529
登録番号 特許第4500895号
出願日 平成16年8月26日(2004.8.26)
公開日 平成18年3月9日(2006.3.9)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発明者
  • 村山 理一
出願人
  • 学校法人福岡工業大学
発明の名称 非線形電磁超音波センサおよびこれを用いた微小傷検出装置並びに微小傷検出方法
発明の概要

【課題】接触媒質を使用することなく、非検査材の100μm以下の微小傷を検出することが可能な非線形電磁超音波センサおよびこれを用いた微小傷検出装置並びに微小傷検出方法の提供。
【解決手段】被検査材Pの直上に配置され電磁力を利用して表面波およびSH波をそれぞれ励振する超音波送信子1と、この超音波送信子1の駆動周波数に対して1倍および実数倍の受信特性を有する複数の超音波受信子2a,2bとから構成される非線形電磁超音波センサである。表面波およびSH波をそれぞれ超音波送信子1から励振することで、被検査材Pのスリット状の傷に対して超音波が垂直に入射する場合、表面波は傷開口部を密着させるが、SH波は密着させない。このとき、表面波の引っ張り振動時には傷の幅が拡がるので表面波は通過しないが、圧縮振動時には傷の幅が狭まるので表面波は通過する。これにより、高調波成分が発生し、非線形超音波を検出することができる。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


構造材料表面は、応力、腐食環境、高温などにより最も損傷劣化を受けやすい。この劣化損傷を初期段階で検出できれば、主き裂伝播による大規模な事故を避けることができ、また供用条件の調整などにより構造の寿命を延長させることが可能となる。従来の非破壊検査法としては、線形超音波を利用した超音波探傷法が一般的に知られている。



ところが、線形超音波を利用した超音波探傷法では、開口き裂の検出、評価は可能であるが、初期疲労き裂のようにほとんど閉じたき裂(擬閉口き裂)の検出は極めて困難である。すなわち、擬閉口き裂では入射超音波の一部がき裂面を部分的に通過するため、明瞭な反射波が得られない。また、溶接部介在物のように、見かけ上結合しているが、ほとんど結合強度のない部分、いわゆるキッシングボンド部の場合にも、同様の理由により反射波が得られない。線形超音波による傷検出限界は波長の1/10程度と言われている。



ところで、近年では、従来の線形超音波では全く検知できなかった微小クラックに対するセンシングが可能になるという非線形超音波の利点が注目され、検討され始めている。非線形超音波とは、発生した超音波の波形が伝播の前後で歪む現象をいう。非線形超音波ではこの歪み現象の結果、発生した超音波を特徴付ける周波数と音速が変化する(図13参照。)。



このような非線形超音波が発生する原因としての構造物は、図14および図15に示すように、この構造物を構成する粒子50とそれらをつなぐばね51の連続体として考えられる。すなわち、図14に示すように、超音波が線形に伝播する場合は、超音波の振幅が比較的小さく、ばね51の弾性限度内のため、入射した超音波の振動の様子がそのまま伝達される。これに対し、図15に示すように、大振幅の超音波を入射させた場合、ばね51が弾性限度を超えて伸び縮みするため、入射した超音波の振動の様子が、そのまま伝えられないことになる。



なお、このような非線形超音波現象は、結合力の高い物質では起こりにくいとされており、気体、液体、固体の順番でより起こりにくくなっている。したがって、現状、非線形超音波の利用は医療分野に限られており、人体(実質、水と考えられる)の診断装置として普及しているだけである。一方、工業分野では、扱う対象が主に固体(金属)であるため、非線形現象が起こりにくく、利用されることはなかった。



近年、固体材料で非線形超音波を発生する理由として、上記の原因と異なるものが提案され、検討されている。この非線形超音波現象は、接触型非線形超音波と呼ばれている。すなわち、超音波が、傷部(内部に空孔のある状態)に到達した場合、超音波の反射率は(Z物質-Z空気)/(Z物質+Z空気)で与えられる。Zは音響インピーダンスと言われ、音速×密度で定義される。空気の場合、Z空気=0.000428(Pa・s/m)、鋼の場合、Z物質=46.4(Pa・s/m)となり、代入するとほぼ100%反射されることになる。一般の超音波による非破壊検査はこの原理を利用して、反射される超音波の大きさを判断し、傷の有無を検出している。



しかしながら、超音波が傷部に到着して、傷部を押したり引いたりした場合に、もし超音波振幅が傷部の空隙の幅よりも大きければ、傷部が押されたときに傷部の空隙がなくなる可能性が考えられる。このような場合、超音波は傷部を通過することになる。したがって、図16に示すように、入射超音波と波形の異なる超音波が伝播することになる。但し、通常、非破壊検査で用いられる超音波振幅は、nmからサブnm程度と言われており、傷部の空隙の幅がこの値より大きければ、上記の現象は発生しない。



非線形超音波を用いたき裂検出システムとしては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。図17は非線形超音波の一般的な検出システムとして、2種類の材料の拡散接合部を評価する場合のセンサの配置図である。送信用超音波センサ52から、一定周波数の超音波を、接触媒質53を介して材料54,55中に入射し、拡散接合部56を通過した超音波を接触媒質57を介して反対側面の受信用超音波センサ58で受信している。受信側超音波センサ58は、非線形超音波が発生している場合、その主超音波成分は入射した超音波の主超音波成分とは大きく異なる場合が多いので、広い周波数帯域の超音波成分を受信できるように広帯域型を用いる場合が多い。これを用いれば、一定範囲の材料・接合条件のとき、2次高調波振幅を測定して接合強度の予測が可能になると言われている。



なお、これらの従来の非線形超音波による非破壊検査評価では、超音波センサとして圧電振動子を用いている。また、この他の超音波センサとしては、例えば、特許文献2に記載のように電磁超音波センサも知られているが、電磁超音波センサは送信効率が悪く、発生する超音波強度(振幅)が小さいので、大強度の振幅が必要な非線形超音波検出は無理であるという常識がある。また、本発明者が開示した電磁超音波センサに関する文献として、例えば非特許文献1,2がある。




【特許文献1】特開2001-305109号公報

【特許文献2】特開2001-13118号公報

【非特許文献1】村山理一,「電磁超音波センサの基礎」,非破壊検査,社団法人日本非破壊検査協会,平成14年2月,第51巻,第2号,p.62-67

【非特許文献2】村山理一、星原弘征、福重友紀,「ラム波、SH板波交互励振型電磁超音波探触子の開発」,第23回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予稿集,超音波シンポジウム運営委員会,平成14年11月7日,p.173-174

産業上の利用分野


本発明は、非線形超音波を利用して固体中の100μm以下の微小傷を検出する非線形電磁超音波センサおよびこれを用いた微小傷検出装置並びに微小傷検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検査材の直上に配置され電磁力を利用して表面波およびSH波をそれぞれ励振する超音波送信子と、この超音波送信子の駆動周波数に対して1倍および実数倍の受信特性を有する前記被検査材の直上に配置された複数の超音波受信子とから構成される非線形電磁超音波センサ。

【請求項2】
前記複数の超音波受信子は、前記超音波送信子に対して左右対称に配置したものである請求項1記載の非線形電磁超音波センサ。

【請求項3】
前記超音波送信子は、前記表面波およびSH波を交互に励振可能なものである請求項1または2に記載の非線形電磁超音波センサ。

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の非線形電磁超音波センサと、この非線形電磁超音波センサにより受信した電気信号を増幅する増幅器と、この増幅器による増幅後の電気信号に基づいて周波数解析を行う解析器とを有する微小傷検出装置。

【請求項5】
被検査材の直上に配置され電磁力を利用して超音波送信子から表面波およびSH波をそれぞれ送信し、
前記超音波送信子の駆動周波数に対して1倍および実数倍の受信特性を有する前記被検査材の直上に配置された複数の超音波受信子により前記被検査材を伝播した超音波信号をそれぞれ受信し、
前記複数の超音波受信子により受信した電気信号を増幅し、
この増幅後の電気信号に基づいて周波数解析を行う
微小傷検出方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004247299thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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