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環状DNAへのランダム変異導入方法

国内特許コード P06A008362
整理番号 動物バイオ-95
掲載日 2006年4月14日
出願番号 特願2004-045862
公開番号 特開2005-229950
登録番号 特許第4214230号
出願日 平成16年2月23日(2004.2.23)
公開日 平成17年9月2日(2005.9.2)
登録日 平成20年11月14日(2008.11.14)
発明者
  • 藤井 亮太
  • 北岡 本光
  • 林 清
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 環状DNAへのランダム変異導入方法
発明の概要

【課題】 環状DNAの増幅及び環状DNAへのランダム変異を導入を簡便かつ迅速に行う方法の提供。
【解決手段】 以下の工程を含むことを特徴とする、環状DNAの増幅方法:
(a)環状DNAを鋳型としてローリングサークル型増幅法によりDNAを増幅し、直鎖状DNAからなる増幅産物を得る工程
(b)得られた増幅産物を用いて原核宿主細胞を形質転換し、該細胞内で環状DNAを再構築させる工程、ならびに
以下の工程を含むことを特徴とする、環状DNAへのランダム変異導入方法:
(c)環状DNAを鋳型とし、複製の忠実度を低下させる条件下でローリングサークル型増幅法によりDNAを増幅し、直鎖状DNAからなる増幅産物を得る工程
(d)得られた増幅産物を用いて宿主細胞を形質転換し、該細胞内で環状DNAを再構築させる工程
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


外来性の遺伝子を挿入でき、宿主内で自立的に増殖できるDNAをベクターと呼ぶ。プラスミドなどのベクターは、分子生物学における基本的ツールとして、DNAの発現やクローニングなど、さまざまな用途で用いられている。これらのベクターは、対象とするDNAをインサートとして組み込んで環状化した後に、宿主細胞を形質転換するのに用いられる。ここで、インサートを組み込んだベクターの濃度が不十分だと、形質転換の際に十分な数の形質転換体が得られないことがある。その場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてインサートを増幅してから形質転換する手法が一般的である。すなわち、インサート部分をPCRで増幅し、増幅産物を制限酵素で切り出し、リガーゼを用いて新たなベクターに連結し、それから宿主細胞を形質転換することによって増幅した環状DNAを得る。ところが上記のような手法では、PCRを行うにあたり特異的なプライマーを設計し、なおかつ増幅時の温度条件を細かく設定しなければならず、またPCR産物を適当な制限酵素で切断してリガーゼでベクターに組み込む操作も必要なことから手間がかかる。特に、cDNAのように多様な遺伝子がベクターに挿入されている場合、すなわち遺伝子ライブラリーを形成している場合は、増幅から形質転換までの操作の条件検討に厳密さが求められ、高い効率で行わないと、形質転換の際にライブラリーの多様性を減少させてしまう可能性がある。もし、制限酵素やリガーゼを用いずに増幅から形質転換までの操作を簡略化することができれば、作業の効率化につながると考えられる。



一方、遺伝子工学の進歩のおかげで、タンパク質を遺伝子レベルで操作し、機能を改変することができるようになった。たとえば、酵素にランダム変異を導入し、機能の変化した変異体を選抜することで、酵素の機能を改変することも可能である。特に、ランダム変異と選抜の操作を繰り返して酵素の機能を徐々に向上させる技術は進化分子工学と呼ばれ、理論上は酵素の性質を思い通りに改変することができることから、汎用性が高く、研究や産業の分野で幅広く利用されている。遺伝子にランダム変異を導入する手法は数多く知られている。ランダム変異導入方法の多くは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA増幅反応を利用している。よく利用されるランダム変異導入方法としては、反応溶液にマンガンイオンを加えるなどして、ポリメラーゼ複製の忠実度(相補鎖に対して正しい塩基対を形成するように塩基を導入する率)を低下させることで、ランダム変異を導入しつつDNAを増幅する手法(エラープローン PCR)がある(非特許文献1)。エラープローン PCRは特殊な技術や試薬を使用していないため、現時点では最も簡便で変異のバリエーションの多いランダム変異導入方法であるといえる。ほかにも、核酸類縁体をPCR増幅時に取り込ませることでDNA複製の忠実度を低下させる方法や、dNTPを織り交ぜた核酸配列を合成することで変異を導入する方法もある。このように、ランダム変異導入方法の多くが、PCRによるDNA増幅に依存している。しかしながら、PCRを利用した変異導入方法では、通常、増幅産物をベクターに挿入する操作が必要である。具体的には、(i)PCR増幅産物の末端を適当な制限酵素で切断する、(ii)アガロースゲル電気泳動法などにより増幅産物を分画して精製する、(iii)リガーゼを使って、増幅産物を適当なベクターの制限酵素サイトに連結する、という操作である。ところが、各操作での収率や純度が高くないと、変異体ライブラリーのバリエーションが低下する恐れがあるため、各操作の条件検討は慎重に行う必要があり、相応の手間と時間を要する。



このように、PCRによる遺伝子増幅法は、遺伝子工学分野において汎用されているが、近年、PCR以外の新規遺伝子増幅法がいくつか開発され、高い注目を集めている。たとえば、自然界におけるλファージなどの複製機構であるローリングサークル型複製機構(Kornberg, A. and Baker, T.A. 1992. DNA replication. W.H. Freeman and Company, San Francisco)を利用して環状DNAを指数関数的に増幅する手法が知られており、ローリングサークル型増幅(RCA)法と呼ばれている(特許文献1、非特許文献2等参照)。RCA法により得られる増幅産物は、環状DNAの一周分のDNA配列が反復した直鎖状DNAであり、例えば微量な環状DNAからサイクルシークエンス反応のための鋳型DNAを調製することなどにもっぱら利用されていた(非特許文献3等参照)。また、酵母のコロニー由来のプラスミドDNAをRCA法により増幅させたDNA産物を酵母に導入して環化された例は知られているが(非特許文献4)、大腸菌などの原核宿主細胞への形質転換については検討されておらず、また、RCA法を変異導入に利用した例はない。

【特許文献1】USP 5854033号公報

【非特許文献1】Leung et al. (1989). "A method for random mutagenesis of a defined DNA segment using a modified polymerase chain reaction." Techniques 1(1): 11-15

【非特許文献2】Dean et al. (2001). "Rapid amplification of plasmid and phage DNA using Phi 29 DNA polymerase and multiply-primed rolling circle amplification." Genome Res 11(6): 1095-1099

【非特許文献3】Nelson et al. (2002). "TempliPhi, phi29 DNA polymerase based rolling circle amplification of templates for DNA sequencing." Biotechniques Suppl: 44-47

【非特許文献4】Ding et al. (2003). "Direct retransformation of yeast with plasmid DNA isolated from single yeast colonies using rolling circle amplification." Biotechniques 35(4): 774-779

産業上の利用分野


本発明は、ローリングサークル型増幅(Rolling Circle Amplification:RCA)法を利用する環状DNAの増幅方法、及び環状DNAへのランダム変異導入方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする、環状DNAへのランダム変異導入方法。
(c)環状DNAを鋳型とし、複製の忠実度を低下させる条件下でローリングサークル型増幅法によりDNAを増幅し、直鎖状DNAからなる増幅産物を得る工程
(d)得られた増幅産物を用いて宿主細胞を形質転換し、該細胞内で環状DNAを再構築させる工程

【請求項2】
複製の忠実度の低下をマンガンイオンの添加により行うことを特徴とする、請求項に記載の方法。

【請求項3】
宿主細胞が原核細胞又は真核細胞である、請求項又はに記載の方法。

【請求項4】
環状DNAが宿主細胞内で独自に複製可能なDNAである、請求項からのいずれかに記載の方法。

【請求項5】
宿主細胞内で独自に複製可能なDNAがプラスミドである、請求項に記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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